JP2004293911A - 棚装置、および棚装置を備えた冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】前後および上下移動可能な棚装置と通常の棚装置の取着を共通化することによって同一内箱部品での付け替えを可能とし、生産工程を簡略化するのみならず、一般ユーザー宅においても任意に取り換えができるようにした棚装置、およびその棚装置を備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】複数段に設けた棚空間の一段部の収納部3の側壁に固着したコ字状溝を有する固定レール7と、固定レール間に保持されて溝内を水平方向に摺動する可動レール8とアーム10および棚支えとからなる棚移動機構5と、棚支えに載置され可動レールとアームの回動により水平状態を保持して前後および上下移動可能とした棚容器6とを具備するとともに、固定レールのコ字状溝を受け部として固定レール間に通常の棚部材を載置できるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】複数段に設けた棚空間の一段部の収納部3の側壁に固着したコ字状溝を有する固定レール7と、固定レール間に保持されて溝内を水平方向に摺動する可動レール8とアーム10および棚支えとからなる棚移動機構5と、棚支えに載置され可動レールとアームの回動により水平状態を保持して前後および上下移動可能とした棚容器6とを具備するとともに、固定レールのコ字状溝を受け部として固定レール間に通常の棚部材を載置できるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は棚装置に係り、冷蔵庫の貯蔵室に設けた食品載置棚や容器、食器棚、あるいは台所や倉庫など収納棚において、特に前後および上下位置を変更できる棚装置、および棚装置を設けた冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば冷蔵庫や台所収納棚は、食生活の多様化とともに収納量も大形化傾向にあり、特に家庭用冷蔵庫においては、収納内容積が400リットルを越えるクラスが主流になっており、冷蔵庫本体の外形高さ寸法は180cm程度になるとともに、幅寸法や奥行き寸法も大きくなる傾向にある。
【0003】
これに伴って、冷蔵室や野菜室など各貯蔵室の収納容積も拡大しているが、各貯蔵室の配置としては、図14に示すように、本体(51)の上部に最も使用頻度が多く貯蔵物収納容積の大きい冷蔵室(53)を設置し、その下部に野菜室(54)や冷凍室(55)を設置している。前記冷蔵室(53)は、その前面開口部に一側を枢支した扉(52)により前記開口を開閉自在に閉塞しており、室内には収納空間を上下複数段に区分する載置棚(56)を設置している。また、野菜室(54)と冷凍室(55)は、収納物の出し入れ操作の利便性から扉の貯蔵室側に容器を取り付けた引出し式としている。
【0004】
しかしながら、前述したごとく、冷蔵庫本体の高さが180cm程度となり、冷蔵室(53)が本体上部に配置されているため、冷蔵室における最上段棚(57)の底面位置は床面から約160cmの高さとなり、奥行き寸法も深いことから、身長の低い人にとって、最上段の棚(57)への食品の収納や取出し作業は困難となることが多いばかりでなく収納状態の確認もしにくいものであり、特にその棚奥部については非常に使い難いスペースとなっていた。
【0005】
これに対して、本発明の出願人が特願2002−214431として出願したものであって、冷蔵室の上段両側壁に固定レールを配置し、この固定レール内を水平方向に摺動する可動レールに回動自在に前後アームを軸支して両側のアーム間を連結する棚受けに棚容器を載置し、前記可動レールで棚容器を前方移動し、アームの回動によって棚容器を水平状態を保持したまま上下移動可能とすることによって、使用者の手が届きやすく使い勝手を良好にした棚装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記構成の棚容器は、使い勝手が良好となる利点を有する反面、前後移動および水平状態を保持したまま前方下方へ上下移動させるものであるため、棚移動機構が複雑となり、構成部品が多くなってコストが高くなる問題があった。
【0007】
また、棚移動機構を保持する固定レールは、内箱、すなわち断熱材を発泡充填したキャビネットに固着されており、断熱キャビネットの構成も機種専用となって互換性がないことから、棚容器の上下移動機能を必要としない消費者のために通常の載置棚を備えた冷蔵庫も生産した場合には、生産機種が個別の2種系列となってしまい、生産工程のロスが大きくなるとともに、個々の部品数の増加や組立作業が煩雑になる欠点があった。
【0008】
本発明は上記点を考慮してなされたもので、前後および上下移動可能な棚装置と通常の棚装置の取着を共通化することによって同一内箱部品での付け替えを可能とし、生産工程を簡略化するのみならず、一般ユーザー宅においても任意に取り換えができるようにした棚装置、およびその棚装置を備えた冷蔵庫を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の棚装置は、室内上下方向に複数段の棚空間を設けた収納室と、前記棚空間の少なくとも一段部の収納部側壁に固着した断面コ字状の溝を有する固定レールと、この固定レール間に保持されて前記溝内を水平方向に摺動する可動レールとこの可動レールに回動自在に軸支したアームおよび両側のアーム間を連結する棚支えとからなる棚移動機構と、前記棚支えに載置され前記可動レールとアームの回動により水平状態を保持して前後および上下移動可能とした棚容器とを具備するとともに、前記固定レールのコ字状溝を受け部として固定レール間に通常の棚部材を載置できるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、簡単な操作で確実に前後および上下移動ができ、最上段部位置にある棚容器であっても食品の収納や取り出しの使い勝手が良好な棚容器装置を得ることができるとともに、上下移動自在な棚容器を使用しない場合は、仕様の異なる棚構成であっても、内箱形状を変更することなく、棚取着部を形成したキャビネット構成を共通化することで、通常の棚容器を容易に付け替えることができるため、断熱キャビネットが2種系列とならずに製造や生産工程が簡略化できるとともに、部品数の増加を抑え、低コストで容易に異なる棚容器の取り換えをおこなうことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。図1は、冷蔵庫本体(1)の最上部に配設した開扉状態の冷蔵室(3)の室内を示す斜視図であり、この冷蔵室(3)やその下方に配置した図示しない野菜室や冷凍室ほかの貯蔵室は、外箱の内側に断熱材を介して設けた内箱(4)により形成されている。
【0012】
冷蔵室(3)は、従来と同様に、その背面に設けた図示しない冷却器で生成した冷気をファンからダクトを経由し冷気吐出口によって室内に導入し冷却する構成であり、室内は載置棚(14)によって複数の収納部に区分し、冷蔵食品の貯蔵空間を形成している。
【0013】
(6)は、冷蔵室(3)内の最上部に全幅に亙って設置した樹脂成型品からなる棚容器であり、周壁を設けて容器状に形成するとともに前壁の高さは低くして上下に大きく開口させている。背壁は立ち上がり壁をやや低くして、背面に設けたファンからの冷気を冷気吐出口から容器内に導入し易くしている。なお図に示すように、冷気ダクトを冷蔵室(3)の背壁から天井面に延長し、背面のみでなく上面の吐出口からの冷気吹き出しによって冷却力を大きくしてもよい。
【0014】
図2は、棚容器(6)および後述する棚移動機構(5)を挿着していない状態を示しており、内箱(4)の左右側壁の上部には奥行き方向に亙って固定レール(7)が水平に配置されている。
【0015】
棚容器(6)および棚移動機構(5)は、この固定レール(7)に設置されるものであり、詳細を図3、図4に示すように、固定レール(7)内を摺動する可動レール(8)のベース面に軸支した前アーム(9)、後アーム(10)、および棚支え(11)により前後移動とともに上下回動自在に保持されている。
【0016】
以下、棚容器(6)の前後および上下可動構成について詳細に説明する。図5に示すように、固定レール(7)は、冷蔵室(3)の上部の所定高さ位置に奥行き方向に亙って配設されており、棚容器(6)の奥行きは、閉扉の際に冷蔵室開口における扉内側ポケット部が室内側に相当量突出していることから冷蔵室(3)の奥行き寸法の半分程度に設定している。
【0017】
断面コ字状の固定レール(7)の溝内には、外側上辺部に取り付けた2個の滑車(13)により水平方向に摺動する可動レール(8)を設け、この可動レール(8)のベース面の下方内側に、図4に示すように、前アーム(9)および後アーム(10)を離間してその下部を回動自在に軸支し、この前アーム(9)と後アーム(10)の先端の近接する2つの作用点(9a)(10a)で軸着することにより、棚支え(11)を前後アームの回動に沿って平行移動可能に保持している。
【0018】
各棚機能部品の分解状態を示した図6から理解されるように、冷蔵室の両側壁部に位置する前記棚支え(11)間には、水平の棚載置面を形成した棚受け(15)をねじ固定し、この棚受け(15)とともに棚支え(11)に固着され、前方に張り出して枠状に湾曲させた金属ワイヤからなる補強枠(16)によって、棚容器自体に補強構造を施すことなく容器を補強支持するようにして、棚容器(6)の収納載置部を形成し、棚容器(6)を載置して、固定レール(7)上を前後方向に移動し、前後アーム(9)(10)によって水平状態を保持したまま上下回動可能に配置している。
【0019】
そして、可動レール(8)の上部には、前記前後アーム(9)(10)の回動を制御するとともに、可動レール(8)が固定レール(7)の最前端位置まで移動した際には、前後アーム(9)(10)の回動を許容し、前後アームとともに棚支え(11)を移動して、棚支えと棚受け(15)に載置した棚容器(6)を下方へ移動可能にするストッパー(17)を回動自在に軸支している。
【0020】
ストッパー(17)は、図7により明確に記されているように、扇形をなして周縁に水平状態から円弧状に移行するリンク溝(17a)を設けており、このリンク溝(17a)に後レール(10)から外側に突設させたガイドピン(18)を摺動自在に係合させることで、後アーム(10)の回転とともに軸支部(17b)を支点として回動するようにしており、軸支部(17b)の近傍に形成した突出部(17c)を固定レール(7)の上面に係合させて可動レール(8)とともに移動させ、また固定レール(7)の前端面と係合して可動レール(8)の後方への移動を規制するようにしている。
【0021】
そして、可動レール(8)の水平移動中は、図8に示すように、前記突出部(17c)は固定レール(7)の上面にあってストッパー(17)の回動は阻止されており、後アーム(10)および前アーム(9)は回動しないため、可動レール(8)の前方移動中における棚容器(6)の下方回動は阻止されている。
【0022】
可動レール(8)が固定レール(7)の最前端部に至って停止した際は、ストッパーの突出部(17c)が固定レール(7)の前端上部から外れるため、ストッパー(17)は回転動作が許容されて下方へ回転することになり、前後アーム(9)(10)の下方回動も許容されて棚容器(6)の下方への移動が可能となる。
【0023】
ストッパー(17)の回転の結果、棚容器(6)の前方下降状態の斜視図である図9に示すように、突出部(17c)は軸支部(17b)を支点として固定レール(7)の前端縁に係止するように形成され、可動レール(8)の後方への水平移動を阻止して棚容器(6)が下方位置から直接後方に摺動しないようにしている。
これは棚容器(6)が下方位置から直接後方移動した場合の後方に位置する棚上の食品との接触を防止するためである。
【0024】
図4に示すように、通常の設置状態で下方に位置する後アーム(10)の軸支部(10b)には、渦巻きバネ(20)を取り付ける。渦巻きバネ(20)は、板バネからなり支軸(19)に設けたスリット(19a)にその中心部を係止し、バネ外周の端部(20a)を後アーム下辺の鍔部(10c)にねじ固定することで、後アーム(10)の前方への回動に対して戻る方向、すなわち後アームに上方および後方への回動力を付勢するようにしている。
【0025】
前記渦巻きバネ(20)を取り付けた前後アーム(9)(10)内面の棚容器(6)側には、図6に示すように、スプリングカバー(21)を取り付け、棚容器(6)の下方移動時に外面に露出することになる前記渦巻きバネ(20)などの棚移動機構(5)を覆って外面意匠を向上させるとともに、使用者がバネ部などで手指を挟まれたりしないように保護する。
【0026】
前後アーム(9)(10)を連結固定する前記棚支え(11)は、スプリングカバー(21)を介して内面側に設けられるものであり、棚支え(11)の両側下面間に棚受け(15)をねじで固着するとともに補強枠(16)を共締めし、さらに、両側の後アーム(10)の下部後端間を後枠(22)で連結することで、棚容器(6)の収納保持部を形成している。
【0027】
棚容器(6)は、上記棚支え機構部の間に配設され、前端下縁を補強枠(16)に嵌入させるとともに底面を棚受け(15)で支持し、上側縁部を棚支え(11)の上面に取り付けた棚固定具(23)で着脱自在に係止する。
【0028】
この棚固定具(23)は、図6や図10に示すように、棚支え(11)の上端切欠き部に形成した支持部(11a)に軸(23a)を嵌入して取り付け、支持部の下方に穿設した透孔(11b)に係合する係止突起(23b)によって棚容器(6)の周縁上部を係止して保持するものであり、棚容器(6)を取り外したときも棚固定具(23)は棚支えの支持部(11a)に保持されるようにしている。
【0029】
また、図9に示すように、後アーム(10)の外面側には棚容器(6)の下降停止時の緩衝用としてオイルダンパー(25)を固着しており、前方移動後の棚容器(6)が最大下降位置に到達した際には後アーム(10)の回動とともにオイルダンパー(25)の先端のゴムブッシュが可動アーム(8)の上端に柔軟に当接して回動を停止するようにしている。 前記オイルダンパー(25)は、筒状体内にオイルを封入したものであり、棚容器(6)の最下降点より10〜70mmの範囲で衝撃吸収作用を得るように構成している。
【0030】
棚容器(6)の広く開口した前面には、上下回動自在の棚ガード(27)を配設している。棚ガード(27)は、棚容器(6)の全幅に亙るガード部とその両端から棚容器両側の内面に折れ曲がる支持部とからなり、容器側壁内面に設けた凹溝に支持部を係合させることにより、ガード部を棚容器の前面、あるいは上面位置に配置できるようにしている。
【0031】
そして、図10に示すように、前後のアーム(9)(10)、棚受け(15)、ストッパー(17)などを一体に組み立てた棚移動機構(5)は、可動レール(8)部分を固定レール(7)のコ字状溝内に前方から挿入して配置させ、しかる後、固定レール(7)の前方開口を前ストッパー(7a)で封止することで冷蔵室(2)内に設置されるものである。
【0032】
上記構成により、冷蔵室(2)が閉扉状態にある通常の棚容器(6)の載置状態(図1の状態)においては、可動レール(8)は固定レール(7)内の最奥部にあり、それとともに前後アーム(9)(10)も立設状態で可動レール(8)の後部に位置し、棚容器(6)は室内最上段の奥部に位置して保持されている。
【0033】
食品(26)の収納や載置食品の取出しのために棚容器(6)を下方移動する場合は、棚容器(6)の前端を使用者が把持して前方へ引き出せば、可動レール(8)が滑車(13)によって固定レール(7)内を摺動し、滑車(13)に支持された状態で奥行き寸法の2/3程度前方に移動する。(図8の状態)
この状態においては、可動レール(8)に取り付けられた円弧状のストッパー(17)は、突出部(17c)が固定レール(7)の上面に位置しているため回転が阻止され、ガイドピン(18)がリンク溝(17a)内を移動できず、したがって後アーム(10)も回動せず棚容器(6)も下方移動はしない。
【0034】
そして可動レール(8)が最前端に至り、ストッパー(17)の突出部(17c)が固定レール(7)の前端から外れたときに、ストッパー(17)の回動とともに、前アーム(9)および後アーム(10)の回転が可能となるが、棚容器(6)は前方に移動していることから、この状態で収納品(26)の収納取り出し作業をおこなってもよい。
【0035】
さらに収納作業性を向上するため、前方下方に棚容器を移動する場合は、引き続き、棚容器(6)を斜め下方へ引き下ろす。
【0036】
前記により、ストッパー(17)の回動とともに、前アーム(9)および後アーム(10)は軸支部(9b)(10b)を支点として下方へ回動し、それぞれの作用点(9a)(10a)を連結係合した棚支え(11)により、棚受け(15)上の棚容器(6)は水平状態を保持したまま棚一段分下方の冷蔵庫本体開口部の前方まで降下する。(図9の状態)
降下時、棚容器(6)および棚保持機構(5)は載置食品の重さを含めて相当な重量にあるが、渦巻きバネ(20)の上方への付勢力により、比較的軽い負荷力で降下させることができ、下降の中途段階においては、前記ストッパー(17)の突出部(17c)は固定レール(7)の前端縁に係止状態にあり、後方移動することはない。
【0037】
さらに棚容器(6)を降下させた場合は、後アーム(10)に固着したオイルダンパー(25)が可動レール(8)の上面に当接し、棚容器(6)のそれ以上の下降を阻止し定位置に保持するものであり、下方位置にある棚容器(6)を上部位置に戻す場合は、下降動作と逆に棚容器を上方へ持ち上げればよい。
【0038】
しかして、前記断面コ字状の長尺体からなる固定レール(7)は、前方からの断面図である図11に示すように、内箱(4)裏面の断熱材側に配設した補強板(29)によって、内箱内面に強固に固定されており、前述のごとく、棚移動機構(5)を構成する可動レール(8)を滑車(13)を利用して摺動させるものであるが、棚移動機構(5)を取り外した場合には、コ字状溝(7a)に皿容器形状の樹脂製の棚(30)を摺動自在に設置できるように構成している。
【0039】
前記棚(30)は、その周縁に形成した鍔部(30a)を利用して設置されるものであるが、固定レール(7)への受け部である鍔部(30a)に対して、食品載置部である底部(30b)の位置は、前記移動自在の棚容器(6)を上方奥部に配置した際の底部に合わせた位置にして、棚容器(6)と付け替えた場合も通常の棚間隔を保持して使用できるようにしている。
【0040】
なお、前記棚(30)の底部(30b)位置をより低くして、冷蔵室(3)内の最上部であっても食品の収納取り出し性を向上するようにしてもよい。
【0041】
したがって、生産する冷蔵庫の仕様として、上下移動棚容器(6)を採用しない場合には、棚移動機構(5)を取り付けることなく、固定レール(7)および内箱(4)を共通部品として使用できるとともに通常の棚(30)を設置することができるものであり、棚移動機構の有無の都度、内箱、すなわち内外箱間に断熱材を発泡充填して一体化した断熱キャビネット毎に取り換える必要がなく、生産工程のロスが少なくなる。
【0042】
一般に冷蔵庫の生産においては、棚(14)など内装部品は最終組立工程で収納配置するものであり、この構成によれば、生産ステップをほとんど変更することがないため、組立の段取りが煩雑にならず、多くの部品も必要としないことから低コストで容易に2種の仕様の冷蔵庫を得ることができる。
【0043】
また、内箱(4)を含むキャビネット構成が共通であり、付け替え機構も簡単であることから、冷蔵庫に前述の通常の棚(30)を取り付けている使用者が、上下移動自在の棚容器(6)を希望したときは、棚移動機構(5)と棚容器(6)を購入すれば、自宅での付け替えも容易におこなうことができる。
【0044】
他の実施例としては、図12に示すように、上記固定レール(7)に対して、内箱(4)への固定部から棚受け部(37a)までの距離を大きく取った通常の棚(30)用のレール(37)を準備し、この棚受け部(37a)の高さ位置を下部の棚(14)の受け位置に合わせてネジなどで取り付けるようにしてもよい。
【0045】
この構成により、レール(37)を付け替えレールとして内箱(4)側壁の固定レール(7)の取付部に取着すれば、棚を下部の棚(14)と同一構造にして共通使用することができ、共通化によるコスト低減をはかることができる。
【0046】
さらに、図13に示すように、付け替えレール(47)における棚受け部(47a)を、複数段に形成し、これを前記取付部に固定すれば、棚(14)の高さ位置を使い勝手に合わせて調整することができる。
【0047】
上記実施例において、棚容器を冷蔵室内の全幅に亙って設けるだけでなく、冷蔵室内を幅方向に亙って一乃至複数の仕切板で区分し、その個々に対して上記棚装置を取り付けるようにしてもよい。
【0048】
また棚容器形状は、上記した形状や樹脂製に限らず、収納室上部が設置場所あることから、ワインラックなどワイヤで形成しても良いものである。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な操作で確実に前後および上下移動ができ、最上段部位置にある棚容器であっても食品の収納や取り出しの使い勝手が良好な棚容器装置を得ることができるとともに、上下移動自在な棚容器を使用しない場合は、内箱形状を変更することなく、ひいてはキャビネットを機種専用にすることなく共通仕様で通常の棚構成と容易に付け替えることができるため、キャビネット製造や生産工程が煩雑とならず、また、一般の使用者側での付け替えも可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す冷蔵室上部の開扉状態の一部を破断した斜視図である。
【図2】図1から棚および棚移動機構を除去した状態を示す斜視図である。
【図3】図1における冷蔵室内の棚移動機構部を示す斜視図である。
【図4】可動レールに対する前アームと後アームとの関係組立図である。
【図5】棚容器の移動状態を示す縦断面図である。
【図6】図3に示す棚移動機構部品の関係分解図である。
【図7】図3の可動レールと棚ストッパーを示す詳細斜視図である。
【図8】図1における可動レールの引き出し状態を示す斜視図である。
【図9】図1における棚容器の前方降下状態を示す斜視図である。
【図10】図6に示す棚移動機構の組立図である。
【図11】固定レールと通常の棚容器を示すの正断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態の付け替えレールを示す斜視図である。
【図13】付け替えレールの他の実施例を示す斜視図である。
【図14】一般の冷蔵庫を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…冷蔵庫本体 2…冷蔵室扉 3…冷蔵室
5…棚移動機構 6…棚容器 7…固定レール
8…可動レール 9…前アーム 10…後アーム
11…棚支え 14…載置棚 15…棚受け
17…ストッパー 20…渦巻きバネ 23…棚固定具
26…収納品 27…棚ガード 29…補強板
30…通常の棚 30a…鍔部 30b…底部
37、47…付け替えレール 37a、47a…棚受け部
【発明の属する技術分野】
本発明は棚装置に係り、冷蔵庫の貯蔵室に設けた食品載置棚や容器、食器棚、あるいは台所や倉庫など収納棚において、特に前後および上下位置を変更できる棚装置、および棚装置を設けた冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば冷蔵庫や台所収納棚は、食生活の多様化とともに収納量も大形化傾向にあり、特に家庭用冷蔵庫においては、収納内容積が400リットルを越えるクラスが主流になっており、冷蔵庫本体の外形高さ寸法は180cm程度になるとともに、幅寸法や奥行き寸法も大きくなる傾向にある。
【0003】
これに伴って、冷蔵室や野菜室など各貯蔵室の収納容積も拡大しているが、各貯蔵室の配置としては、図14に示すように、本体(51)の上部に最も使用頻度が多く貯蔵物収納容積の大きい冷蔵室(53)を設置し、その下部に野菜室(54)や冷凍室(55)を設置している。前記冷蔵室(53)は、その前面開口部に一側を枢支した扉(52)により前記開口を開閉自在に閉塞しており、室内には収納空間を上下複数段に区分する載置棚(56)を設置している。また、野菜室(54)と冷凍室(55)は、収納物の出し入れ操作の利便性から扉の貯蔵室側に容器を取り付けた引出し式としている。
【0004】
しかしながら、前述したごとく、冷蔵庫本体の高さが180cm程度となり、冷蔵室(53)が本体上部に配置されているため、冷蔵室における最上段棚(57)の底面位置は床面から約160cmの高さとなり、奥行き寸法も深いことから、身長の低い人にとって、最上段の棚(57)への食品の収納や取出し作業は困難となることが多いばかりでなく収納状態の確認もしにくいものであり、特にその棚奥部については非常に使い難いスペースとなっていた。
【0005】
これに対して、本発明の出願人が特願2002−214431として出願したものであって、冷蔵室の上段両側壁に固定レールを配置し、この固定レール内を水平方向に摺動する可動レールに回動自在に前後アームを軸支して両側のアーム間を連結する棚受けに棚容器を載置し、前記可動レールで棚容器を前方移動し、アームの回動によって棚容器を水平状態を保持したまま上下移動可能とすることによって、使用者の手が届きやすく使い勝手を良好にした棚装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記構成の棚容器は、使い勝手が良好となる利点を有する反面、前後移動および水平状態を保持したまま前方下方へ上下移動させるものであるため、棚移動機構が複雑となり、構成部品が多くなってコストが高くなる問題があった。
【0007】
また、棚移動機構を保持する固定レールは、内箱、すなわち断熱材を発泡充填したキャビネットに固着されており、断熱キャビネットの構成も機種専用となって互換性がないことから、棚容器の上下移動機能を必要としない消費者のために通常の載置棚を備えた冷蔵庫も生産した場合には、生産機種が個別の2種系列となってしまい、生産工程のロスが大きくなるとともに、個々の部品数の増加や組立作業が煩雑になる欠点があった。
【0008】
本発明は上記点を考慮してなされたもので、前後および上下移動可能な棚装置と通常の棚装置の取着を共通化することによって同一内箱部品での付け替えを可能とし、生産工程を簡略化するのみならず、一般ユーザー宅においても任意に取り換えができるようにした棚装置、およびその棚装置を備えた冷蔵庫を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の棚装置は、室内上下方向に複数段の棚空間を設けた収納室と、前記棚空間の少なくとも一段部の収納部側壁に固着した断面コ字状の溝を有する固定レールと、この固定レール間に保持されて前記溝内を水平方向に摺動する可動レールとこの可動レールに回動自在に軸支したアームおよび両側のアーム間を連結する棚支えとからなる棚移動機構と、前記棚支えに載置され前記可動レールとアームの回動により水平状態を保持して前後および上下移動可能とした棚容器とを具備するとともに、前記固定レールのコ字状溝を受け部として固定レール間に通常の棚部材を載置できるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、簡単な操作で確実に前後および上下移動ができ、最上段部位置にある棚容器であっても食品の収納や取り出しの使い勝手が良好な棚容器装置を得ることができるとともに、上下移動自在な棚容器を使用しない場合は、仕様の異なる棚構成であっても、内箱形状を変更することなく、棚取着部を形成したキャビネット構成を共通化することで、通常の棚容器を容易に付け替えることができるため、断熱キャビネットが2種系列とならずに製造や生産工程が簡略化できるとともに、部品数の増加を抑え、低コストで容易に異なる棚容器の取り換えをおこなうことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。図1は、冷蔵庫本体(1)の最上部に配設した開扉状態の冷蔵室(3)の室内を示す斜視図であり、この冷蔵室(3)やその下方に配置した図示しない野菜室や冷凍室ほかの貯蔵室は、外箱の内側に断熱材を介して設けた内箱(4)により形成されている。
【0012】
冷蔵室(3)は、従来と同様に、その背面に設けた図示しない冷却器で生成した冷気をファンからダクトを経由し冷気吐出口によって室内に導入し冷却する構成であり、室内は載置棚(14)によって複数の収納部に区分し、冷蔵食品の貯蔵空間を形成している。
【0013】
(6)は、冷蔵室(3)内の最上部に全幅に亙って設置した樹脂成型品からなる棚容器であり、周壁を設けて容器状に形成するとともに前壁の高さは低くして上下に大きく開口させている。背壁は立ち上がり壁をやや低くして、背面に設けたファンからの冷気を冷気吐出口から容器内に導入し易くしている。なお図に示すように、冷気ダクトを冷蔵室(3)の背壁から天井面に延長し、背面のみでなく上面の吐出口からの冷気吹き出しによって冷却力を大きくしてもよい。
【0014】
図2は、棚容器(6)および後述する棚移動機構(5)を挿着していない状態を示しており、内箱(4)の左右側壁の上部には奥行き方向に亙って固定レール(7)が水平に配置されている。
【0015】
棚容器(6)および棚移動機構(5)は、この固定レール(7)に設置されるものであり、詳細を図3、図4に示すように、固定レール(7)内を摺動する可動レール(8)のベース面に軸支した前アーム(9)、後アーム(10)、および棚支え(11)により前後移動とともに上下回動自在に保持されている。
【0016】
以下、棚容器(6)の前後および上下可動構成について詳細に説明する。図5に示すように、固定レール(7)は、冷蔵室(3)の上部の所定高さ位置に奥行き方向に亙って配設されており、棚容器(6)の奥行きは、閉扉の際に冷蔵室開口における扉内側ポケット部が室内側に相当量突出していることから冷蔵室(3)の奥行き寸法の半分程度に設定している。
【0017】
断面コ字状の固定レール(7)の溝内には、外側上辺部に取り付けた2個の滑車(13)により水平方向に摺動する可動レール(8)を設け、この可動レール(8)のベース面の下方内側に、図4に示すように、前アーム(9)および後アーム(10)を離間してその下部を回動自在に軸支し、この前アーム(9)と後アーム(10)の先端の近接する2つの作用点(9a)(10a)で軸着することにより、棚支え(11)を前後アームの回動に沿って平行移動可能に保持している。
【0018】
各棚機能部品の分解状態を示した図6から理解されるように、冷蔵室の両側壁部に位置する前記棚支え(11)間には、水平の棚載置面を形成した棚受け(15)をねじ固定し、この棚受け(15)とともに棚支え(11)に固着され、前方に張り出して枠状に湾曲させた金属ワイヤからなる補強枠(16)によって、棚容器自体に補強構造を施すことなく容器を補強支持するようにして、棚容器(6)の収納載置部を形成し、棚容器(6)を載置して、固定レール(7)上を前後方向に移動し、前後アーム(9)(10)によって水平状態を保持したまま上下回動可能に配置している。
【0019】
そして、可動レール(8)の上部には、前記前後アーム(9)(10)の回動を制御するとともに、可動レール(8)が固定レール(7)の最前端位置まで移動した際には、前後アーム(9)(10)の回動を許容し、前後アームとともに棚支え(11)を移動して、棚支えと棚受け(15)に載置した棚容器(6)を下方へ移動可能にするストッパー(17)を回動自在に軸支している。
【0020】
ストッパー(17)は、図7により明確に記されているように、扇形をなして周縁に水平状態から円弧状に移行するリンク溝(17a)を設けており、このリンク溝(17a)に後レール(10)から外側に突設させたガイドピン(18)を摺動自在に係合させることで、後アーム(10)の回転とともに軸支部(17b)を支点として回動するようにしており、軸支部(17b)の近傍に形成した突出部(17c)を固定レール(7)の上面に係合させて可動レール(8)とともに移動させ、また固定レール(7)の前端面と係合して可動レール(8)の後方への移動を規制するようにしている。
【0021】
そして、可動レール(8)の水平移動中は、図8に示すように、前記突出部(17c)は固定レール(7)の上面にあってストッパー(17)の回動は阻止されており、後アーム(10)および前アーム(9)は回動しないため、可動レール(8)の前方移動中における棚容器(6)の下方回動は阻止されている。
【0022】
可動レール(8)が固定レール(7)の最前端部に至って停止した際は、ストッパーの突出部(17c)が固定レール(7)の前端上部から外れるため、ストッパー(17)は回転動作が許容されて下方へ回転することになり、前後アーム(9)(10)の下方回動も許容されて棚容器(6)の下方への移動が可能となる。
【0023】
ストッパー(17)の回転の結果、棚容器(6)の前方下降状態の斜視図である図9に示すように、突出部(17c)は軸支部(17b)を支点として固定レール(7)の前端縁に係止するように形成され、可動レール(8)の後方への水平移動を阻止して棚容器(6)が下方位置から直接後方に摺動しないようにしている。
これは棚容器(6)が下方位置から直接後方移動した場合の後方に位置する棚上の食品との接触を防止するためである。
【0024】
図4に示すように、通常の設置状態で下方に位置する後アーム(10)の軸支部(10b)には、渦巻きバネ(20)を取り付ける。渦巻きバネ(20)は、板バネからなり支軸(19)に設けたスリット(19a)にその中心部を係止し、バネ外周の端部(20a)を後アーム下辺の鍔部(10c)にねじ固定することで、後アーム(10)の前方への回動に対して戻る方向、すなわち後アームに上方および後方への回動力を付勢するようにしている。
【0025】
前記渦巻きバネ(20)を取り付けた前後アーム(9)(10)内面の棚容器(6)側には、図6に示すように、スプリングカバー(21)を取り付け、棚容器(6)の下方移動時に外面に露出することになる前記渦巻きバネ(20)などの棚移動機構(5)を覆って外面意匠を向上させるとともに、使用者がバネ部などで手指を挟まれたりしないように保護する。
【0026】
前後アーム(9)(10)を連結固定する前記棚支え(11)は、スプリングカバー(21)を介して内面側に設けられるものであり、棚支え(11)の両側下面間に棚受け(15)をねじで固着するとともに補強枠(16)を共締めし、さらに、両側の後アーム(10)の下部後端間を後枠(22)で連結することで、棚容器(6)の収納保持部を形成している。
【0027】
棚容器(6)は、上記棚支え機構部の間に配設され、前端下縁を補強枠(16)に嵌入させるとともに底面を棚受け(15)で支持し、上側縁部を棚支え(11)の上面に取り付けた棚固定具(23)で着脱自在に係止する。
【0028】
この棚固定具(23)は、図6や図10に示すように、棚支え(11)の上端切欠き部に形成した支持部(11a)に軸(23a)を嵌入して取り付け、支持部の下方に穿設した透孔(11b)に係合する係止突起(23b)によって棚容器(6)の周縁上部を係止して保持するものであり、棚容器(6)を取り外したときも棚固定具(23)は棚支えの支持部(11a)に保持されるようにしている。
【0029】
また、図9に示すように、後アーム(10)の外面側には棚容器(6)の下降停止時の緩衝用としてオイルダンパー(25)を固着しており、前方移動後の棚容器(6)が最大下降位置に到達した際には後アーム(10)の回動とともにオイルダンパー(25)の先端のゴムブッシュが可動アーム(8)の上端に柔軟に当接して回動を停止するようにしている。 前記オイルダンパー(25)は、筒状体内にオイルを封入したものであり、棚容器(6)の最下降点より10〜70mmの範囲で衝撃吸収作用を得るように構成している。
【0030】
棚容器(6)の広く開口した前面には、上下回動自在の棚ガード(27)を配設している。棚ガード(27)は、棚容器(6)の全幅に亙るガード部とその両端から棚容器両側の内面に折れ曲がる支持部とからなり、容器側壁内面に設けた凹溝に支持部を係合させることにより、ガード部を棚容器の前面、あるいは上面位置に配置できるようにしている。
【0031】
そして、図10に示すように、前後のアーム(9)(10)、棚受け(15)、ストッパー(17)などを一体に組み立てた棚移動機構(5)は、可動レール(8)部分を固定レール(7)のコ字状溝内に前方から挿入して配置させ、しかる後、固定レール(7)の前方開口を前ストッパー(7a)で封止することで冷蔵室(2)内に設置されるものである。
【0032】
上記構成により、冷蔵室(2)が閉扉状態にある通常の棚容器(6)の載置状態(図1の状態)においては、可動レール(8)は固定レール(7)内の最奥部にあり、それとともに前後アーム(9)(10)も立設状態で可動レール(8)の後部に位置し、棚容器(6)は室内最上段の奥部に位置して保持されている。
【0033】
食品(26)の収納や載置食品の取出しのために棚容器(6)を下方移動する場合は、棚容器(6)の前端を使用者が把持して前方へ引き出せば、可動レール(8)が滑車(13)によって固定レール(7)内を摺動し、滑車(13)に支持された状態で奥行き寸法の2/3程度前方に移動する。(図8の状態)
この状態においては、可動レール(8)に取り付けられた円弧状のストッパー(17)は、突出部(17c)が固定レール(7)の上面に位置しているため回転が阻止され、ガイドピン(18)がリンク溝(17a)内を移動できず、したがって後アーム(10)も回動せず棚容器(6)も下方移動はしない。
【0034】
そして可動レール(8)が最前端に至り、ストッパー(17)の突出部(17c)が固定レール(7)の前端から外れたときに、ストッパー(17)の回動とともに、前アーム(9)および後アーム(10)の回転が可能となるが、棚容器(6)は前方に移動していることから、この状態で収納品(26)の収納取り出し作業をおこなってもよい。
【0035】
さらに収納作業性を向上するため、前方下方に棚容器を移動する場合は、引き続き、棚容器(6)を斜め下方へ引き下ろす。
【0036】
前記により、ストッパー(17)の回動とともに、前アーム(9)および後アーム(10)は軸支部(9b)(10b)を支点として下方へ回動し、それぞれの作用点(9a)(10a)を連結係合した棚支え(11)により、棚受け(15)上の棚容器(6)は水平状態を保持したまま棚一段分下方の冷蔵庫本体開口部の前方まで降下する。(図9の状態)
降下時、棚容器(6)および棚保持機構(5)は載置食品の重さを含めて相当な重量にあるが、渦巻きバネ(20)の上方への付勢力により、比較的軽い負荷力で降下させることができ、下降の中途段階においては、前記ストッパー(17)の突出部(17c)は固定レール(7)の前端縁に係止状態にあり、後方移動することはない。
【0037】
さらに棚容器(6)を降下させた場合は、後アーム(10)に固着したオイルダンパー(25)が可動レール(8)の上面に当接し、棚容器(6)のそれ以上の下降を阻止し定位置に保持するものであり、下方位置にある棚容器(6)を上部位置に戻す場合は、下降動作と逆に棚容器を上方へ持ち上げればよい。
【0038】
しかして、前記断面コ字状の長尺体からなる固定レール(7)は、前方からの断面図である図11に示すように、内箱(4)裏面の断熱材側に配設した補強板(29)によって、内箱内面に強固に固定されており、前述のごとく、棚移動機構(5)を構成する可動レール(8)を滑車(13)を利用して摺動させるものであるが、棚移動機構(5)を取り外した場合には、コ字状溝(7a)に皿容器形状の樹脂製の棚(30)を摺動自在に設置できるように構成している。
【0039】
前記棚(30)は、その周縁に形成した鍔部(30a)を利用して設置されるものであるが、固定レール(7)への受け部である鍔部(30a)に対して、食品載置部である底部(30b)の位置は、前記移動自在の棚容器(6)を上方奥部に配置した際の底部に合わせた位置にして、棚容器(6)と付け替えた場合も通常の棚間隔を保持して使用できるようにしている。
【0040】
なお、前記棚(30)の底部(30b)位置をより低くして、冷蔵室(3)内の最上部であっても食品の収納取り出し性を向上するようにしてもよい。
【0041】
したがって、生産する冷蔵庫の仕様として、上下移動棚容器(6)を採用しない場合には、棚移動機構(5)を取り付けることなく、固定レール(7)および内箱(4)を共通部品として使用できるとともに通常の棚(30)を設置することができるものであり、棚移動機構の有無の都度、内箱、すなわち内外箱間に断熱材を発泡充填して一体化した断熱キャビネット毎に取り換える必要がなく、生産工程のロスが少なくなる。
【0042】
一般に冷蔵庫の生産においては、棚(14)など内装部品は最終組立工程で収納配置するものであり、この構成によれば、生産ステップをほとんど変更することがないため、組立の段取りが煩雑にならず、多くの部品も必要としないことから低コストで容易に2種の仕様の冷蔵庫を得ることができる。
【0043】
また、内箱(4)を含むキャビネット構成が共通であり、付け替え機構も簡単であることから、冷蔵庫に前述の通常の棚(30)を取り付けている使用者が、上下移動自在の棚容器(6)を希望したときは、棚移動機構(5)と棚容器(6)を購入すれば、自宅での付け替えも容易におこなうことができる。
【0044】
他の実施例としては、図12に示すように、上記固定レール(7)に対して、内箱(4)への固定部から棚受け部(37a)までの距離を大きく取った通常の棚(30)用のレール(37)を準備し、この棚受け部(37a)の高さ位置を下部の棚(14)の受け位置に合わせてネジなどで取り付けるようにしてもよい。
【0045】
この構成により、レール(37)を付け替えレールとして内箱(4)側壁の固定レール(7)の取付部に取着すれば、棚を下部の棚(14)と同一構造にして共通使用することができ、共通化によるコスト低減をはかることができる。
【0046】
さらに、図13に示すように、付け替えレール(47)における棚受け部(47a)を、複数段に形成し、これを前記取付部に固定すれば、棚(14)の高さ位置を使い勝手に合わせて調整することができる。
【0047】
上記実施例において、棚容器を冷蔵室内の全幅に亙って設けるだけでなく、冷蔵室内を幅方向に亙って一乃至複数の仕切板で区分し、その個々に対して上記棚装置を取り付けるようにしてもよい。
【0048】
また棚容器形状は、上記した形状や樹脂製に限らず、収納室上部が設置場所あることから、ワインラックなどワイヤで形成しても良いものである。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な操作で確実に前後および上下移動ができ、最上段部位置にある棚容器であっても食品の収納や取り出しの使い勝手が良好な棚容器装置を得ることができるとともに、上下移動自在な棚容器を使用しない場合は、内箱形状を変更することなく、ひいてはキャビネットを機種専用にすることなく共通仕様で通常の棚構成と容易に付け替えることができるため、キャビネット製造や生産工程が煩雑とならず、また、一般の使用者側での付け替えも可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す冷蔵室上部の開扉状態の一部を破断した斜視図である。
【図2】図1から棚および棚移動機構を除去した状態を示す斜視図である。
【図3】図1における冷蔵室内の棚移動機構部を示す斜視図である。
【図4】可動レールに対する前アームと後アームとの関係組立図である。
【図5】棚容器の移動状態を示す縦断面図である。
【図6】図3に示す棚移動機構部品の関係分解図である。
【図7】図3の可動レールと棚ストッパーを示す詳細斜視図である。
【図8】図1における可動レールの引き出し状態を示す斜視図である。
【図9】図1における棚容器の前方降下状態を示す斜視図である。
【図10】図6に示す棚移動機構の組立図である。
【図11】固定レールと通常の棚容器を示すの正断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態の付け替えレールを示す斜視図である。
【図13】付け替えレールの他の実施例を示す斜視図である。
【図14】一般の冷蔵庫を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…冷蔵庫本体 2…冷蔵室扉 3…冷蔵室
5…棚移動機構 6…棚容器 7…固定レール
8…可動レール 9…前アーム 10…後アーム
11…棚支え 14…載置棚 15…棚受け
17…ストッパー 20…渦巻きバネ 23…棚固定具
26…収納品 27…棚ガード 29…補強板
30…通常の棚 30a…鍔部 30b…底部
37、47…付け替えレール 37a、47a…棚受け部
Claims (5)
- 室内上下方向に複数段の棚空間を設けた収納室と、前記棚空間の少なくとも一段部の収納部側壁に固着した断面コ字状の溝を有する固定レールと、この固定レール間に保持されて前記溝内を水平方向に摺動する可動レールとこの可動レールに回動自在に軸支したアームおよび両側のアーム間を連結する棚支えとからなる棚移動機構と、前記棚支えに載置され前記可動レールとアームの回動により水平状態を保持して前後および上下移動可能とした棚容器とを具備するとともに、前記固定レールのコ字状溝を受け部として固定レール間に通常の棚部材を載置できるようにしたことを特徴とする棚装置。
- 通常棚部材における収納品載置面を、固定レールのコ字状溝への保持部に対して所定距離下方に位置させたことを特徴とする請求項1記載の棚装置。
- 室内上下方向に複数段の棚空間を設置した収納室と、前記棚空間の少なくとも一段部の収納部側壁に設けた受け溝を有する固定レールと、この固定レール間に保持されて前記受け溝内を水平方向に摺動する可動レールとこの可動レールに回動自在に軸支したアームおよび両側のアーム間を連結する棚支えとからなる棚移動機構と、前記棚支えに載置され前記可動レールとアームの回動により水平状態を保持して前後および上下移動可能とした棚容器とを具備するとともに、前記固定レールを側壁から着脱可能として通常棚を載置する棚受け部を形成した付け替えレールの取付部を固定レールの取付部に固定可能にしたことを特徴とする棚装置。
- 付け替えレールにおける棚受け部を複数段形成したことを特徴とする請求項3記載の棚装置。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の棚装置を貯蔵室の最上段の棚空間に配置したことを特徴とする冷蔵庫。
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