JP2004293694A - アクチュエータ - Google Patents
アクチュエータ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004293694A JP2004293694A JP2003087947A JP2003087947A JP2004293694A JP 2004293694 A JP2004293694 A JP 2004293694A JP 2003087947 A JP2003087947 A JP 2003087947A JP 2003087947 A JP2003087947 A JP 2003087947A JP 2004293694 A JP2004293694 A JP 2004293694A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- friction
- rotating
- electric motor
- actuator
- housing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Transmission Devices (AREA)
- Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
Abstract
【課題】コンパクトでありながら被駆動部材側からの逆回転方向トルクを保持することができる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】摩擦部材22はコーン形状を有しているので、回転体23の摩擦面の法線は、回転体23の軸線に対して傾いている。従って、摩擦面がテーパ角αを有し、ここに軸力Fが与えられたとすると、摩擦面の受ける押圧力Nは、N=F/(sinα)で表せ、この場合sinα<1であるからN>Fとなる。
【選択図】 図4
【解決手段】摩擦部材22はコーン形状を有しているので、回転体23の摩擦面の法線は、回転体23の軸線に対して傾いている。従って、摩擦面がテーパ角αを有し、ここに軸力Fが与えられたとすると、摩擦面の受ける押圧力Nは、N=F/(sinα)で表せ、この場合sinα<1であるからN>Fとなる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車のパワーウィンドウ、電動パーキングブレーキ装置のワイヤ巻取り機構、電動ディスクブレーキ装置のキャリパ推進機構、自動クラッチレリーズ駆動機構、VVT駆動装置、2駆4駆切替機構、一般産業用のウインチ、ホイスト、クレーン、各種位置決め装置等に用いられる電動アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車のパワーウィンドウ等には、電動アクチュエータを組み込んで電動モータを駆動源としてウィンドウの開閉を行うようにしており、このような電動アクチュエータには、電動モータの回転運動を出力軸の軸線方向運動に変換する機能および電動モータの停止時に出力軸が回転しないようにする機能を設けることが望まれる。
【0003】
これらの両機能を備えた電動アクチュエータとして、例えばねじ軸に多数の転動体を介してナットが螺合されてねじ軸が回転部とされるとともにナットが軸線方向運動する出力部とされたボールねじと、ボールねじのねじ軸に回転力を伝達する電動モータと、ねじ軸の正回転方向のみに回転可能とされてねじ軸と略同心に配置された一方向クラッチ付回転体と、一方向クラッチ付回転体とねじ軸との間に介装され、ねじ軸の停止時にねじ軸に対して従動側からナットを介して逆回転方向のトルクが作用した際に、一方向クラッチの逆回転方向のロック機能と共働してねじ軸に従動側からの逆回転方向トルクに対する摩擦力による制動トルクを発生させる摩擦材とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平8−322189号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電動アクチュエータにおいては、摩擦材による制動トルクのみで従動側からの逆回転方向トルクを保持するようにしているため、摩擦材に求められる条件(摩擦係数の選定や精度等)が厳しくなり、コスト高になるという問題がある。
【0005】
更に、特許文献1の技術のように回転部材と摩擦部材とを軸線に対し垂直に接触させた場合、摩擦材に作用する押し付け力は軸力と等しくなる軸力が同じであってもボールねじのリードが異なると逆作動回転トルクは変化し、例えばリードが大きい場合、逆作動回転トルクが大きくなるので、それを制動するためには摩擦係数を高くする、あるいは接触半径を大きくする、という対策を講じる必要ががある。しかし前者の対策は摩擦材に求められる条件が厳しくなりコスト高となる上、摩擦係数には限界があり、後者の対策はユニットの大型化を招き、いずれにせよ問題を有しているといえる。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、コンパクトでありながら被駆動部材側からの逆回転方向トルクを保持することができる電動アクチュエータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクチュエータは、被駆動部材を駆動するアクチュエータであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、
前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、
前記動力伝達機構は、
前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記被駆動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構と、
前記ハウジングに対して一方向にのみ回転が許容される内輪を有するワンウェイクラッチ機構と、
前記回転要素と前記ワンウェイクラッチ機構の内輪との一方に取り付けられ、他方に向かって当接可能となっている摩擦部材とを有し、
前記一方における前記摩擦部材が当接する摩擦面の法線は、前記回転要素の軸線に対して傾いていることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明のアクチュエータは、被駆動部材を駆動するアクチュエータであって、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、前記動力伝達機構は、前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記被駆動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構と、前記ハウジングに対して一方向にのみ回転が許容される内輪を有するワンウェイクラッチ機構と、前記回転要素と前記ワンウェイクラッチ機構の内輪との一方に取り付けられ、他方に向かって当接可能となっている摩擦部材とを有しているので、前記被駆動部材から力を受けた場合には、前記摩擦部材の摩擦力を用いて前記回転要素の回転をロックでき、前記電動モータが一方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチが前記回転要素の回転を許容することで前記被駆動部材を駆動でき、前記電動モータが他方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチは回転しないが、前記摩擦部材が摺動することで前記回転要素が回転することで、前記被駆動部材を駆動できるようになっている。更に、本発明においては、前記一方における前記摩擦部材が当接する摩擦面の法線は、前記回転要素の軸線に対して傾いているので、前記摩擦部材と前記摩擦面との間に作用する押しつけ力は、軸力以上のものとなるため、コンパクトな構成ながらも大きな摩擦力を得ることができる。
【0009】
更に、前記回転要素はナットを含み、前記軸線方向移動要素はねじ軸を含むと好ましい。
【0010】
更に、前記回転要素はねじ軸を含み、前記軸線方向移動要素はナットを含むと好ましい。
【0011】
更に、前記一方の摩擦面にはクラウニングが施されていると、部品精度を向上させることなく摩擦部材のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。
【0012】
摩擦部材として、ポリアセタール樹脂や4フッ化エチレン樹脂を用いることにより、安価で耐摩耗性に優れ、ドライでもグリースや油潤滑でも安定した摩擦係数を得ることができる。
【0013】
また、摩擦部材による制動トルクと電動モータの起動トルクやフリクショントルクとを合わせたトルクが被駆動部材側からの逆回転方向トルクを下回る場合には、回転部の停止時に、電動モータへの通電を遮断して電動モータのリード線を短絡させることで、電動モータのフリクショントルクを増大させて対応することができ、更に、回転部の停止時に、電動モータに駆動時よりも低い値の電流を通電することによっても対応することができる。後者の場合、ある程度の制動力は摩擦部材によって得られるので、電動モータに対する電流値は低くて済み、電力ロスを低く抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。図2は、図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図であり、図3は、図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。図4は、本実施の形態の摩擦部材の断面図である。図1において、ボルト1Cにより、円筒状のモータハウジング1Aと円筒状のクラッチハウジング1Bとが連結されており、モータハウジング1Aと、クラッチハウジング1Bとで、ハウジングとなる固定ケース1を構成している。
【0015】
モータハウジング1Aの内周面には、円筒状のステータ2bが固定されており、ステータ2bは、ロータ2cを内包している。軸受9A、9Bによりモータハウジング1Aに対して回転自在に支持された回転軸3の外周面に、ロータ2cが取り付けられ、一体的に回転するようになっている。ロータ2cに隣接して、回転軸3の外周にはコミュテータ2fが配置され、この外周面にブラシ2eが摺動自在に接触している。電動モータ2は、ステータ2b、ロータ2c、ブラシ2e、コミュテータ2f、回転軸3を有する。尚、軸受9Aの外輪は、バネ16によりモータハウジング1Aに対して軸線方向に押圧されており、従って組み付け後において軸受9A、9Bに予圧を与えるようになっている。
【0016】
回転軸3は中空であり、図1の右端側において、モータハウジング1Aに対して軸受9Bにより回転自在に支持された大径部3aと、大径部3aの一部を切り欠いた切欠部3bとを形成している。尚、軸受9Bの外輪は、モータハウジング1Aの内周面とクラッチハウジング1Bの内周面の双方に嵌合しており、それによりクラッチハウジング1Bと電動モータ2の芯合わせを行っている。このように、軸受9Bの外輪を、モータハウジング1Aの内周面とクラッチハウジング1Bの内周面とに嵌合させることで、例えば組付時や検査時などにおいて、モータハウジング1Aからクラッチハウジング1Bを分離しても、2つの軸受9A、9Bによって回転軸3が支持されるので取り扱いに便利である。
【0017】
クラッチハウジング1Bは、大円筒部1aと小円筒部1bとを連結したごとき形状を有する。大円筒部1aの内周面には、ワンウェイクラッチの外輪5が固定されている。図3に示すように、外輪5の内周面には、一方向(図3で時計回り)に進むにつれ軸線から遠くなる複数の斜面5aが形成されており、かかる斜面5aと、その内側に配置された内輪20との間には、転動自在なころ6が各々配置されている。外輪5,ころ6,内輪20でワンウエィクラッチを構成する。
【0018】
図1において、内輪20は、その左端面20aを、クラッチハウジング1Bに対してスラスト軸受21により回転自在に支持されている。内輪20の左端面は、左方に行くにつれ拡径したテーパ面20bを有しており、ここに等肉厚のコーン状の摩擦部材22を取り付けている。
【0019】
内輪20の内側には、回転体23が配置されている。中空である回転体23は、図で右側の縮径部23aと、左側の大径部23bと、それらの間のテーパ部23cとからなる。縮径部23aは、クラッチハウジング1Bに対してラジアル軸受24により回転自在に支持されている。テーパ部23cの外周面(摩擦面)は、摩擦部材22に対して当接した状態に維持される。大径部23bの外周面は、内周にナット10を嵌合しており、その外周に軸線方向に延在するキー溝23d内にキー7を配置している。図2に示すように、キー7は、回転軸3の切欠3b内に位置するように配置されている。尚、キー溝23dの底に形成された貫通孔23eには、無頭ねじ26が先端をナット10の外周面に当接するようにして螺合され、ナット10の回転止めを行っている。
【0020】
図1において、ナット10内をネジ軸11が貫通している。ネジ軸11は、更に回転軸3の内部まで延在するようになっており、それにより軸線方向にコンパクトな構成を提供している。
【0021】
ネジ軸11の図1で左半部外周面には、ネジ溝11a(一部のみ図示)が形成されており、一方、ナット10の内周面には、ネジ溝11aに対向してネジ溝10a(一部のみ図示)が形成され、ネジ溝10a、11aによって形成される螺旋状の空間(転送路)には、多数のボール12が転動自在に配置されている。尚、ナット10と、ネジ軸11と、ボール12とでボールスクリュー機構を構成する。
【0022】
ネジ軸11の図1で右半部は丸軸部11bとなっており、その先端に、円筒状の移動ケース13が配置されている。ネジ軸11の軸線方向位置に関わらず丸軸部11bを覆っている移動ケース13は、大筒13aと、大筒13aの図1で右端側に同軸に配置された短い小筒13bと、大筒13aと小筒13bを連結するフランジ部13cとを有する。小筒13bの内周面には、キー溝13dが設けられ、ここに配置されたキー14を介して、ネジ軸11の図1で右端に、小筒13bは回転不能に取り付けられ、更に止め輪15を介して、ネジ軸11からの抜け出しが阻止されるようになっている。フランジ部13cの端面には、不図示のリンクの一端が連結されており、リンクの他端は不図示のパワーウィンドウ機構に連結されている。被駆動部材を構成するこのリンクが、図1で左方に移動することで、パワーウィンドウ機構を介してウィンドウを上昇させ、図1で右方に移動することで、ウィンドウを下降させるようになっている。尚、リンク(移動ケース13)は、ウィンドウの自重により常に図1で右方向に付勢されているものとする。
【0023】
移動ケース13は、図1で左端近傍に、ピン17を植設している。移動ケース13から半径方向内方に突出したピン17の先端17aは、クラッチハウジング1Bに形成された直線溝1gに対し相対移動可能に係合している。従って、移動ケース13は、クラッチハウジング1Bに対して相対回転不能だが、軸線方向相対移動可能となっている。クラッチハウジング1Bの小円筒部1bの中央内周には、ネジ軸11の丸軸部11bをブッシュ11dを介して支持する隔壁1cが形成されており、それに隣接して(図1で右側に)パッキン18が配置され、丸軸部11bの外周面と小円筒部1bの内周面との間を密封し、異物の侵入を阻止するように機能する。
【0024】
動力伝達機構20は、ワンウェイクラッチ(5,6,20)と、摩擦部材22と、ボールスクリュー機構(12,10、11)とから構成される。又、本実施の形態では、ねじ軸11が軸線方向移動要素、ナット10及び回転体23が回転要素を構成する。
【0025】
本実施の形態の動作について説明する。操作者がウィンドウ操作ボタンを操作すると、不図示のバッテリから電動モータ2に電力が供給され、回転軸3が回転する。このとき、図2において、回転軸3の大径部3aが矢印A方向に回転したとすると、切欠3bの端面がキー7に当たり、ナット10を矢印A方向に回転させようとする。このとき、ナット10と共に回転体23も矢印A方向に回転するが、図3から明らかなように、回転体23のテーパ部23cに対して摩擦部材22を押しつけているワンウェイクラッチの内輪20はA方向に力を受けたとき、ころ6がロック位置へと移動しないので自由に回転でき、従って回転体23の回転も許容される。
【0026】
回転体23とナット10が一体的に回転すると、移動ケース13を介してクラッチハウジング1Bに対して回転不能に支持されたネジ軸11は、ネジ溝10a、11aによって形成される螺旋状の空間(転送路)を転動するボール12によって低摩擦状態で軸線方向に押し出され、すなわち回転変位が軸線方向変位に変換される。ネジ軸11の軸線方向移動と共に、移動ケース13が移動する(図1にあっては、移動ケース13がハウジング1へ近づく方向に移動する)ので、かかる動力がリンク(不図示)を介して、不図示のパワーウィンドウ機構に伝達され、不図示のウィンドウを上昇させるようになっている。
【0027】
一方、操作者がウィンドウ操作ボタンの操作を中断すると、電動モータ2が静止するが、この場合でも、リンクにはウィンドウの自重が作用しているから、それにより付勢された移動ケース13及びネジ軸11の軸線方向変位が、ナット10の回転変位に変換され、よって回転体23が図3の矢印B方向に回転しようとする。ところが、内輪20が矢印B方向に回転する場合、ころ6がロック位置(外輪5と内輪6の間の狭い空間)へと移動するので、いわゆる楔作用により内輪20の回転が阻止される。かかる場合、内輪20に取り付けられた摩擦部材22と、回転体23のテーパ部23cとの間に摩擦力が発生しているため、回転体23の回転が阻止され、それによりウィンドウが自重により落下することが阻止される。
【0028】
更に、運転者が、操作者がウィンドウ操作ボタンを逆操作すると、電動モータ2に逆極性の電力が供給され、回転軸3が逆方向に回転する。図2において、回転軸3の大径部3aが矢印B方向に回転したとすると、切欠3bの端面がキー7に当たり、ナット10を矢印B方向に回転させようとする。このとき、ナット10と共に回転体23も矢印B方向に回転するが、上述したようにワンウエイクラッチの内輪20は矢印B方向に回転を阻止されるため、回転体23には、摩擦部材22の摩擦力に応じた抵抗が生じる。しかしながら、電動モータ2のトルクが十分大きければ、かかる摩擦力にうち勝って、回転体23を回転させることができるため、不図示のリンクを介してウィンドウを下降させることができる。尚、この場合には、回転体23にはウィンドウの自重に基づくトルクが常時付与されているので、それと電動モータ2のトルクとを合わせた合成トルクで、摩擦力にうち勝てば良いので、大電流を電動モータ2に供給する必要はなく省エネも図れる。
【0029】
本実施の形態によれば、テーパ部23cの外周面はテーパ状であり、摩擦部材22はコーン形状を有しているので、テーパ部23cの外周面(摩擦面)の法線は、回転体23の軸線に対して傾いている。従って図4に示すように、摩擦面がテーパ角α(0度<α<90度)を有し、ここに軸力Fが与えられたとすると、摩擦面の受ける押圧力Nは、N=F/(sinα)で表せ、この場合0<sinα<1であるからN>Fとなる。摩擦力は押圧力Nに比例するので、本実施の形態によれば、コンパクトな外径でも大きな摩擦力を得ることができることとなる。尚、摩擦部材22は、回転体23に固定され、内輪20に対して摺動するようにしても良い。
【0030】
図5は、第2の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図6は、本実施の形態の摩擦部材の断面図である。図5、6に示す実施の形態においては、上述した実施の形態に対し、ワンウェイクラッチの内輪及び摩擦部材の形状のみが異なっているので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0031】
図5において、内輪120の内周面における回転体23側には段部120aが形成されており、ここに中空円筒状の摩擦部材122が嵌合している。内輪120と摩擦部材122とは、その一方に軸線に平行に植設され他方に係合するノックピン123を介して、相対回転が阻止されるようになっている。
【0032】
図6に示すように、摩擦部材122の図で左側内周面122aはテーパ状となっており、ここに回転体23のテーパ部23bの外周面(摩擦面)が係合するように構成されている。本実施の形態によれば、摩擦部材122は焼結系の素材から形成できる。テーパ面の精度が悪いと、組み付け時の軸線方向の位置ズレ等を招くこととなるので、焼結後の加工が必要になるが、垂直面であれば位置ズレに対する影響が低いので、無加工でも良い。従って、本実施の形態の摩擦部材122を焼結系の素材から形成する場合、焼結後の加工は、図6で左方側のみで足りるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0033】
図7は、第3の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図7に示す実施の形態においては、図1に示す実施の形態に対し、回転体のテーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、回転体223のテーパ部223c外周面(摩擦面)を凸形状の曲面とすることで、部品精度を向上させることなく摩擦部材22のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。クラウニング形状としては、断面が単一の円弧でもよく、複数の円弧を組み合わせたものでも良い。
【0034】
図8は、第4の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図8に示す実施の形態においては、図1に示す実施の形態に対し、摩擦部材を回転体に取り付けた上で、内輪内周のテーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、摩擦部材22は、回転体23のテーパ部23cに取り付けられ、内輪320のテーパ内周面(摩擦面)320bを凸形状の曲面とすることで、部品精度を向上させることなく摩擦部材22のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。
【0035】
図9は、第5の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図9に示す実施の形態においては、図5に示す実施の形態に対し、回転体のテーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、回転体423のテーパ部423c外周面(摩擦面)を凸形状の曲面とすることで、部品精度を向上させることなく摩擦部材22のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。クラウニング形状としては、断面が単一の円弧でもよく、複数の円弧を組み合わせたものでも良い。
【0036】
図10は、第6の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図10に示す実施の形態においては、図5に示す実施の形態に対し、摩擦部材の内周テーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、内輪120に取り付けられた摩擦部材522は、内周テーパ面520aを凸形状の曲面としているので、部品精度を向上させることなく摩擦部材522のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、ねじ軸を電動モータで回転させ、ナットを軸線方向に移動させる構成においては、回転体をねじ軸に連結しても良い。この場合、ナットが軸線方向移動要素、ねじ軸及び回転体が回転要素となる。更に、摩擦部材は、必ずしも内輪と回転体のいずれにも取り付けられている必要はなく、内輪と回転体との間に近接する方向の力が作用したときに、摩擦部材を挟持する両者に対して摩擦力を発揮する構成であれば良いことは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
本発明のアクチュエータは、被駆動部材を駆動するアクチュエータであって、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、前記動力伝達機構は、前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記被駆動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構と、前記ハウジングに対して一方向にのみ回転が許容される内輪を有するワンウェイクラッチ機構と、前記回転要素と前記ワンウェイクラッチ機構の内輪との一方に取り付けられ、他方に向かって当接可能となっている摩擦部材とを有しているので、前記被駆動部材から力を受けた場合には、前記摩擦部材の摩擦力を用いて前記回転要素の回転をロックでき、前記電動モータが一方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチが前記回転要素の回転を許容することで前記被駆動部材を駆動でき、前記電動モータが他方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチは回転しないが、前記摩擦部材が摺動することで前記回転要素が回転することで、前記被駆動部材を駆動できるようになっている。更に、本発明においては、前記一方における前記摩擦部材が当接する摩擦面の法線は、前記回転要素の軸線に対して傾いているので、前記摩擦部材と前記摩擦面との間に作用する押しつけ力は、軸力以上のものとなるため、コンパクトな構成ながらも大きな摩擦力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図2】図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【図4】第1の実施の形態の摩擦部材の断面図である。
【図5】第1の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図6】第2の実施の形態の摩擦部材の断面図である。
【図7】第3の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図8】第4の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図9】第5の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図10】第6の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【符号の説明】
1A モータ側ハウジング
1B クラッチハウジング
2 電動モータ
3 回転軸
5 外輪
6 ころ
10 ナット
11 ネジ軸
13 移動ケース
20 内輪
22、122 摩擦部材
23、123 回転体
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車のパワーウィンドウ、電動パーキングブレーキ装置のワイヤ巻取り機構、電動ディスクブレーキ装置のキャリパ推進機構、自動クラッチレリーズ駆動機構、VVT駆動装置、2駆4駆切替機構、一般産業用のウインチ、ホイスト、クレーン、各種位置決め装置等に用いられる電動アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車のパワーウィンドウ等には、電動アクチュエータを組み込んで電動モータを駆動源としてウィンドウの開閉を行うようにしており、このような電動アクチュエータには、電動モータの回転運動を出力軸の軸線方向運動に変換する機能および電動モータの停止時に出力軸が回転しないようにする機能を設けることが望まれる。
【0003】
これらの両機能を備えた電動アクチュエータとして、例えばねじ軸に多数の転動体を介してナットが螺合されてねじ軸が回転部とされるとともにナットが軸線方向運動する出力部とされたボールねじと、ボールねじのねじ軸に回転力を伝達する電動モータと、ねじ軸の正回転方向のみに回転可能とされてねじ軸と略同心に配置された一方向クラッチ付回転体と、一方向クラッチ付回転体とねじ軸との間に介装され、ねじ軸の停止時にねじ軸に対して従動側からナットを介して逆回転方向のトルクが作用した際に、一方向クラッチの逆回転方向のロック機能と共働してねじ軸に従動側からの逆回転方向トルクに対する摩擦力による制動トルクを発生させる摩擦材とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平8−322189号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電動アクチュエータにおいては、摩擦材による制動トルクのみで従動側からの逆回転方向トルクを保持するようにしているため、摩擦材に求められる条件(摩擦係数の選定や精度等)が厳しくなり、コスト高になるという問題がある。
【0005】
更に、特許文献1の技術のように回転部材と摩擦部材とを軸線に対し垂直に接触させた場合、摩擦材に作用する押し付け力は軸力と等しくなる軸力が同じであってもボールねじのリードが異なると逆作動回転トルクは変化し、例えばリードが大きい場合、逆作動回転トルクが大きくなるので、それを制動するためには摩擦係数を高くする、あるいは接触半径を大きくする、という対策を講じる必要ががある。しかし前者の対策は摩擦材に求められる条件が厳しくなりコスト高となる上、摩擦係数には限界があり、後者の対策はユニットの大型化を招き、いずれにせよ問題を有しているといえる。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、コンパクトでありながら被駆動部材側からの逆回転方向トルクを保持することができる電動アクチュエータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクチュエータは、被駆動部材を駆動するアクチュエータであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、
前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、
前記動力伝達機構は、
前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記被駆動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構と、
前記ハウジングに対して一方向にのみ回転が許容される内輪を有するワンウェイクラッチ機構と、
前記回転要素と前記ワンウェイクラッチ機構の内輪との一方に取り付けられ、他方に向かって当接可能となっている摩擦部材とを有し、
前記一方における前記摩擦部材が当接する摩擦面の法線は、前記回転要素の軸線に対して傾いていることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明のアクチュエータは、被駆動部材を駆動するアクチュエータであって、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、前記動力伝達機構は、前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記被駆動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構と、前記ハウジングに対して一方向にのみ回転が許容される内輪を有するワンウェイクラッチ機構と、前記回転要素と前記ワンウェイクラッチ機構の内輪との一方に取り付けられ、他方に向かって当接可能となっている摩擦部材とを有しているので、前記被駆動部材から力を受けた場合には、前記摩擦部材の摩擦力を用いて前記回転要素の回転をロックでき、前記電動モータが一方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチが前記回転要素の回転を許容することで前記被駆動部材を駆動でき、前記電動モータが他方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチは回転しないが、前記摩擦部材が摺動することで前記回転要素が回転することで、前記被駆動部材を駆動できるようになっている。更に、本発明においては、前記一方における前記摩擦部材が当接する摩擦面の法線は、前記回転要素の軸線に対して傾いているので、前記摩擦部材と前記摩擦面との間に作用する押しつけ力は、軸力以上のものとなるため、コンパクトな構成ながらも大きな摩擦力を得ることができる。
【0009】
更に、前記回転要素はナットを含み、前記軸線方向移動要素はねじ軸を含むと好ましい。
【0010】
更に、前記回転要素はねじ軸を含み、前記軸線方向移動要素はナットを含むと好ましい。
【0011】
更に、前記一方の摩擦面にはクラウニングが施されていると、部品精度を向上させることなく摩擦部材のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。
【0012】
摩擦部材として、ポリアセタール樹脂や4フッ化エチレン樹脂を用いることにより、安価で耐摩耗性に優れ、ドライでもグリースや油潤滑でも安定した摩擦係数を得ることができる。
【0013】
また、摩擦部材による制動トルクと電動モータの起動トルクやフリクショントルクとを合わせたトルクが被駆動部材側からの逆回転方向トルクを下回る場合には、回転部の停止時に、電動モータへの通電を遮断して電動モータのリード線を短絡させることで、電動モータのフリクショントルクを増大させて対応することができ、更に、回転部の停止時に、電動モータに駆動時よりも低い値の電流を通電することによっても対応することができる。後者の場合、ある程度の制動力は摩擦部材によって得られるので、電動モータに対する電流値は低くて済み、電力ロスを低く抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。図2は、図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図であり、図3は、図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。図4は、本実施の形態の摩擦部材の断面図である。図1において、ボルト1Cにより、円筒状のモータハウジング1Aと円筒状のクラッチハウジング1Bとが連結されており、モータハウジング1Aと、クラッチハウジング1Bとで、ハウジングとなる固定ケース1を構成している。
【0015】
モータハウジング1Aの内周面には、円筒状のステータ2bが固定されており、ステータ2bは、ロータ2cを内包している。軸受9A、9Bによりモータハウジング1Aに対して回転自在に支持された回転軸3の外周面に、ロータ2cが取り付けられ、一体的に回転するようになっている。ロータ2cに隣接して、回転軸3の外周にはコミュテータ2fが配置され、この外周面にブラシ2eが摺動自在に接触している。電動モータ2は、ステータ2b、ロータ2c、ブラシ2e、コミュテータ2f、回転軸3を有する。尚、軸受9Aの外輪は、バネ16によりモータハウジング1Aに対して軸線方向に押圧されており、従って組み付け後において軸受9A、9Bに予圧を与えるようになっている。
【0016】
回転軸3は中空であり、図1の右端側において、モータハウジング1Aに対して軸受9Bにより回転自在に支持された大径部3aと、大径部3aの一部を切り欠いた切欠部3bとを形成している。尚、軸受9Bの外輪は、モータハウジング1Aの内周面とクラッチハウジング1Bの内周面の双方に嵌合しており、それによりクラッチハウジング1Bと電動モータ2の芯合わせを行っている。このように、軸受9Bの外輪を、モータハウジング1Aの内周面とクラッチハウジング1Bの内周面とに嵌合させることで、例えば組付時や検査時などにおいて、モータハウジング1Aからクラッチハウジング1Bを分離しても、2つの軸受9A、9Bによって回転軸3が支持されるので取り扱いに便利である。
【0017】
クラッチハウジング1Bは、大円筒部1aと小円筒部1bとを連結したごとき形状を有する。大円筒部1aの内周面には、ワンウェイクラッチの外輪5が固定されている。図3に示すように、外輪5の内周面には、一方向(図3で時計回り)に進むにつれ軸線から遠くなる複数の斜面5aが形成されており、かかる斜面5aと、その内側に配置された内輪20との間には、転動自在なころ6が各々配置されている。外輪5,ころ6,内輪20でワンウエィクラッチを構成する。
【0018】
図1において、内輪20は、その左端面20aを、クラッチハウジング1Bに対してスラスト軸受21により回転自在に支持されている。内輪20の左端面は、左方に行くにつれ拡径したテーパ面20bを有しており、ここに等肉厚のコーン状の摩擦部材22を取り付けている。
【0019】
内輪20の内側には、回転体23が配置されている。中空である回転体23は、図で右側の縮径部23aと、左側の大径部23bと、それらの間のテーパ部23cとからなる。縮径部23aは、クラッチハウジング1Bに対してラジアル軸受24により回転自在に支持されている。テーパ部23cの外周面(摩擦面)は、摩擦部材22に対して当接した状態に維持される。大径部23bの外周面は、内周にナット10を嵌合しており、その外周に軸線方向に延在するキー溝23d内にキー7を配置している。図2に示すように、キー7は、回転軸3の切欠3b内に位置するように配置されている。尚、キー溝23dの底に形成された貫通孔23eには、無頭ねじ26が先端をナット10の外周面に当接するようにして螺合され、ナット10の回転止めを行っている。
【0020】
図1において、ナット10内をネジ軸11が貫通している。ネジ軸11は、更に回転軸3の内部まで延在するようになっており、それにより軸線方向にコンパクトな構成を提供している。
【0021】
ネジ軸11の図1で左半部外周面には、ネジ溝11a(一部のみ図示)が形成されており、一方、ナット10の内周面には、ネジ溝11aに対向してネジ溝10a(一部のみ図示)が形成され、ネジ溝10a、11aによって形成される螺旋状の空間(転送路)には、多数のボール12が転動自在に配置されている。尚、ナット10と、ネジ軸11と、ボール12とでボールスクリュー機構を構成する。
【0022】
ネジ軸11の図1で右半部は丸軸部11bとなっており、その先端に、円筒状の移動ケース13が配置されている。ネジ軸11の軸線方向位置に関わらず丸軸部11bを覆っている移動ケース13は、大筒13aと、大筒13aの図1で右端側に同軸に配置された短い小筒13bと、大筒13aと小筒13bを連結するフランジ部13cとを有する。小筒13bの内周面には、キー溝13dが設けられ、ここに配置されたキー14を介して、ネジ軸11の図1で右端に、小筒13bは回転不能に取り付けられ、更に止め輪15を介して、ネジ軸11からの抜け出しが阻止されるようになっている。フランジ部13cの端面には、不図示のリンクの一端が連結されており、リンクの他端は不図示のパワーウィンドウ機構に連結されている。被駆動部材を構成するこのリンクが、図1で左方に移動することで、パワーウィンドウ機構を介してウィンドウを上昇させ、図1で右方に移動することで、ウィンドウを下降させるようになっている。尚、リンク(移動ケース13)は、ウィンドウの自重により常に図1で右方向に付勢されているものとする。
【0023】
移動ケース13は、図1で左端近傍に、ピン17を植設している。移動ケース13から半径方向内方に突出したピン17の先端17aは、クラッチハウジング1Bに形成された直線溝1gに対し相対移動可能に係合している。従って、移動ケース13は、クラッチハウジング1Bに対して相対回転不能だが、軸線方向相対移動可能となっている。クラッチハウジング1Bの小円筒部1bの中央内周には、ネジ軸11の丸軸部11bをブッシュ11dを介して支持する隔壁1cが形成されており、それに隣接して(図1で右側に)パッキン18が配置され、丸軸部11bの外周面と小円筒部1bの内周面との間を密封し、異物の侵入を阻止するように機能する。
【0024】
動力伝達機構20は、ワンウェイクラッチ(5,6,20)と、摩擦部材22と、ボールスクリュー機構(12,10、11)とから構成される。又、本実施の形態では、ねじ軸11が軸線方向移動要素、ナット10及び回転体23が回転要素を構成する。
【0025】
本実施の形態の動作について説明する。操作者がウィンドウ操作ボタンを操作すると、不図示のバッテリから電動モータ2に電力が供給され、回転軸3が回転する。このとき、図2において、回転軸3の大径部3aが矢印A方向に回転したとすると、切欠3bの端面がキー7に当たり、ナット10を矢印A方向に回転させようとする。このとき、ナット10と共に回転体23も矢印A方向に回転するが、図3から明らかなように、回転体23のテーパ部23cに対して摩擦部材22を押しつけているワンウェイクラッチの内輪20はA方向に力を受けたとき、ころ6がロック位置へと移動しないので自由に回転でき、従って回転体23の回転も許容される。
【0026】
回転体23とナット10が一体的に回転すると、移動ケース13を介してクラッチハウジング1Bに対して回転不能に支持されたネジ軸11は、ネジ溝10a、11aによって形成される螺旋状の空間(転送路)を転動するボール12によって低摩擦状態で軸線方向に押し出され、すなわち回転変位が軸線方向変位に変換される。ネジ軸11の軸線方向移動と共に、移動ケース13が移動する(図1にあっては、移動ケース13がハウジング1へ近づく方向に移動する)ので、かかる動力がリンク(不図示)を介して、不図示のパワーウィンドウ機構に伝達され、不図示のウィンドウを上昇させるようになっている。
【0027】
一方、操作者がウィンドウ操作ボタンの操作を中断すると、電動モータ2が静止するが、この場合でも、リンクにはウィンドウの自重が作用しているから、それにより付勢された移動ケース13及びネジ軸11の軸線方向変位が、ナット10の回転変位に変換され、よって回転体23が図3の矢印B方向に回転しようとする。ところが、内輪20が矢印B方向に回転する場合、ころ6がロック位置(外輪5と内輪6の間の狭い空間)へと移動するので、いわゆる楔作用により内輪20の回転が阻止される。かかる場合、内輪20に取り付けられた摩擦部材22と、回転体23のテーパ部23cとの間に摩擦力が発生しているため、回転体23の回転が阻止され、それによりウィンドウが自重により落下することが阻止される。
【0028】
更に、運転者が、操作者がウィンドウ操作ボタンを逆操作すると、電動モータ2に逆極性の電力が供給され、回転軸3が逆方向に回転する。図2において、回転軸3の大径部3aが矢印B方向に回転したとすると、切欠3bの端面がキー7に当たり、ナット10を矢印B方向に回転させようとする。このとき、ナット10と共に回転体23も矢印B方向に回転するが、上述したようにワンウエイクラッチの内輪20は矢印B方向に回転を阻止されるため、回転体23には、摩擦部材22の摩擦力に応じた抵抗が生じる。しかしながら、電動モータ2のトルクが十分大きければ、かかる摩擦力にうち勝って、回転体23を回転させることができるため、不図示のリンクを介してウィンドウを下降させることができる。尚、この場合には、回転体23にはウィンドウの自重に基づくトルクが常時付与されているので、それと電動モータ2のトルクとを合わせた合成トルクで、摩擦力にうち勝てば良いので、大電流を電動モータ2に供給する必要はなく省エネも図れる。
【0029】
本実施の形態によれば、テーパ部23cの外周面はテーパ状であり、摩擦部材22はコーン形状を有しているので、テーパ部23cの外周面(摩擦面)の法線は、回転体23の軸線に対して傾いている。従って図4に示すように、摩擦面がテーパ角α(0度<α<90度)を有し、ここに軸力Fが与えられたとすると、摩擦面の受ける押圧力Nは、N=F/(sinα)で表せ、この場合0<sinα<1であるからN>Fとなる。摩擦力は押圧力Nに比例するので、本実施の形態によれば、コンパクトな外径でも大きな摩擦力を得ることができることとなる。尚、摩擦部材22は、回転体23に固定され、内輪20に対して摺動するようにしても良い。
【0030】
図5は、第2の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図6は、本実施の形態の摩擦部材の断面図である。図5、6に示す実施の形態においては、上述した実施の形態に対し、ワンウェイクラッチの内輪及び摩擦部材の形状のみが異なっているので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0031】
図5において、内輪120の内周面における回転体23側には段部120aが形成されており、ここに中空円筒状の摩擦部材122が嵌合している。内輪120と摩擦部材122とは、その一方に軸線に平行に植設され他方に係合するノックピン123を介して、相対回転が阻止されるようになっている。
【0032】
図6に示すように、摩擦部材122の図で左側内周面122aはテーパ状となっており、ここに回転体23のテーパ部23bの外周面(摩擦面)が係合するように構成されている。本実施の形態によれば、摩擦部材122は焼結系の素材から形成できる。テーパ面の精度が悪いと、組み付け時の軸線方向の位置ズレ等を招くこととなるので、焼結後の加工が必要になるが、垂直面であれば位置ズレに対する影響が低いので、無加工でも良い。従って、本実施の形態の摩擦部材122を焼結系の素材から形成する場合、焼結後の加工は、図6で左方側のみで足りるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0033】
図7は、第3の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図7に示す実施の形態においては、図1に示す実施の形態に対し、回転体のテーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、回転体223のテーパ部223c外周面(摩擦面)を凸形状の曲面とすることで、部品精度を向上させることなく摩擦部材22のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。クラウニング形状としては、断面が単一の円弧でもよく、複数の円弧を組み合わせたものでも良い。
【0034】
図8は、第4の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図8に示す実施の形態においては、図1に示す実施の形態に対し、摩擦部材を回転体に取り付けた上で、内輪内周のテーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、摩擦部材22は、回転体23のテーパ部23cに取り付けられ、内輪320のテーパ内周面(摩擦面)320bを凸形状の曲面とすることで、部品精度を向上させることなく摩擦部材22のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。
【0035】
図9は、第5の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図9に示す実施の形態においては、図5に示す実施の形態に対し、回転体のテーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、回転体423のテーパ部423c外周面(摩擦面)を凸形状の曲面とすることで、部品精度を向上させることなく摩擦部材22のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。クラウニング形状としては、断面が単一の円弧でもよく、複数の円弧を組み合わせたものでも良い。
【0036】
図10は、第6の実施の形態にかかるアクチュエータの断面図である。図10に示す実施の形態においては、図5に示す実施の形態に対し、摩擦部材の内周テーパ面にクラウニング加工を施している点のみが異なるので、その他の構成及び作用については同じ符号を付すことで説明を省略する。より具体的に異なる点を説明すると、内輪120に取り付けられた摩擦部材522は、内周テーパ面520aを凸形状の曲面としているので、部品精度を向上させることなく摩擦部材522のエッジ当たりを抑制でき、設計値に近い摩擦係数を得ることができる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、ねじ軸を電動モータで回転させ、ナットを軸線方向に移動させる構成においては、回転体をねじ軸に連結しても良い。この場合、ナットが軸線方向移動要素、ねじ軸及び回転体が回転要素となる。更に、摩擦部材は、必ずしも内輪と回転体のいずれにも取り付けられている必要はなく、内輪と回転体との間に近接する方向の力が作用したときに、摩擦部材を挟持する両者に対して摩擦力を発揮する構成であれば良いことは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
本発明のアクチュエータは、被駆動部材を駆動するアクチュエータであって、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、前記動力伝達機構は、前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記被駆動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構と、前記ハウジングに対して一方向にのみ回転が許容される内輪を有するワンウェイクラッチ機構と、前記回転要素と前記ワンウェイクラッチ機構の内輪との一方に取り付けられ、他方に向かって当接可能となっている摩擦部材とを有しているので、前記被駆動部材から力を受けた場合には、前記摩擦部材の摩擦力を用いて前記回転要素の回転をロックでき、前記電動モータが一方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチが前記回転要素の回転を許容することで前記被駆動部材を駆動でき、前記電動モータが他方向に回転した場合には、前記ワンウエイクラッチは回転しないが、前記摩擦部材が摺動することで前記回転要素が回転することで、前記被駆動部材を駆動できるようになっている。更に、本発明においては、前記一方における前記摩擦部材が当接する摩擦面の法線は、前記回転要素の軸線に対して傾いているので、前記摩擦部材と前記摩擦面との間に作用する押しつけ力は、軸力以上のものとなるため、コンパクトな構成ながらも大きな摩擦力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図2】図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図1の構成をIII−III線で切断して矢印方向に見た図である。
【図4】第1の実施の形態の摩擦部材の断面図である。
【図5】第1の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図6】第2の実施の形態の摩擦部材の断面図である。
【図7】第3の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図8】第4の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図9】第5の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【図10】第6の実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
【符号の説明】
1A モータ側ハウジング
1B クラッチハウジング
2 電動モータ
3 回転軸
5 外輪
6 ころ
10 ナット
11 ネジ軸
13 移動ケース
20 内輪
22、122 摩擦部材
23、123 回転体
Claims (4)
- 被駆動部材を駆動するアクチュエータであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、
前記電動モータの動力を前記被駆動部材に伝達する動力伝達機構とを備え、
前記動力伝達機構は、
前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記被駆動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構と、
前記ハウジングに対して一方向にのみ回転が許容される内輪を有するワンウェイクラッチ機構と、
前記回転要素と前記ワンウェイクラッチ機構の内輪との一方に取り付けられ、他方に向かって当接可能となっている摩擦部材とを有し、
前記一方における前記摩擦部材が当接する摩擦面の法線は、前記回転要素の軸線に対して傾いていることを特徴とするアクチュエータ。 - 前記回転要素はナットを含み、前記軸線方向移動要素はねじ軸を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記回転要素はねじ軸を含み、前記軸線方向移動要素はナットを含むことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記一方の摩擦面にはクラウニングが施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003087947A JP2004293694A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003087947A JP2004293694A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | アクチュエータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004293694A true JP2004293694A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33402207
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003087947A Pending JP2004293694A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | アクチュエータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004293694A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110778673A (zh) * | 2019-09-12 | 2020-02-11 | 浙江捷昌线性驱动科技股份有限公司 | 一种线性致动器的自锁装置和线性致动器 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63145854A (ja) * | 1986-07-26 | 1988-06-17 | Honda Motor Co Ltd | 変速クラツチ |
JPH09222153A (ja) * | 1996-02-16 | 1997-08-26 | Nippon Seiko Kk | リニアアクチュエータ |
JPH09303514A (ja) * | 1996-05-17 | 1997-11-25 | Nippon Seiko Kk | リニアアクチュエータ |
JP2003011692A (ja) * | 2001-07-03 | 2003-01-15 | Tochigi Fuji Ind Co Ltd | デファレンシャル装置 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003087947A patent/JP2004293694A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63145854A (ja) * | 1986-07-26 | 1988-06-17 | Honda Motor Co Ltd | 変速クラツチ |
JPH09222153A (ja) * | 1996-02-16 | 1997-08-26 | Nippon Seiko Kk | リニアアクチュエータ |
JPH09303514A (ja) * | 1996-05-17 | 1997-11-25 | Nippon Seiko Kk | リニアアクチュエータ |
JP2003011692A (ja) * | 2001-07-03 | 2003-01-15 | Tochigi Fuji Ind Co Ltd | デファレンシャル装置 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110778673A (zh) * | 2019-09-12 | 2020-02-11 | 浙江捷昌线性驱动科技股份有限公司 | 一种线性致动器的自锁装置和线性致动器 |
US20220243793A1 (en) * | 2019-09-12 | 2022-08-04 | Zhejiang Jiecang Linear Motion Technology Co., Ltd. | Self-locking apparatus for linear actuator, and linear actuator |
CN110778673B (zh) * | 2019-09-12 | 2023-05-26 | 浙江捷昌线性驱动科技股份有限公司 | 一种线性致动器的自锁装置和线性致动器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5935728B2 (ja) | 直動アクチュエータ | |
JP5376279B2 (ja) | 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 | |
US9574630B2 (en) | Electric linear motion actuator and electric disk brake system | |
US6279691B1 (en) | Electric braking device | |
KR20040088027A (ko) | 구속기구를 가진 나사액츄에이터 | |
JP2005083474A (ja) | 電動リニアアクチュエータ | |
JPH10169747A (ja) | ボールねじ軸抜け止め式直線作動機 | |
JP4304418B2 (ja) | 電動ディスクブレーキ | |
WO2016194965A1 (ja) | 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 | |
JP5585865B2 (ja) | 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 | |
JP2021004646A (ja) | ディスクブレーキ | |
JP2006105170A (ja) | 電動ブレーキ装置 | |
JP2004293694A (ja) | アクチュエータ | |
JP4309778B2 (ja) | 可変圧縮比エンジン用ボールねじアクチュエータ機構 | |
JP3807043B2 (ja) | ボールねじ式リニアアクチュエータ | |
CN212838838U (zh) | 用于车辆的转动轴组件和车辆 | |
JP2002130336A (ja) | 電動機ユニット | |
JP4513158B2 (ja) | 摩擦ローラ式変速機 | |
JP5440923B2 (ja) | 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 | |
JP4214371B2 (ja) | 電動アクチュエータ | |
JP2005155772A (ja) | アクチュエータ | |
JP2756812B2 (ja) | 直動型アクチュエータ | |
WO2019059355A1 (ja) | 電動アクチュエータ | |
JP2020041593A (ja) | 電動式直動アクチュエータ及び電動ブレーキ装置 | |
JP2005291480A (ja) | 電動式リニアアクチュエータ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050830 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080822 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080827 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081217 |