JP2004292853A - 棒状部材の高周波焼入方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の方法は、棒状の被焼入部材2の外周面2aを高周波誘導加熱後、該外周面2aを急冷して焼入するに際し、前記被焼入部材2を貫通かつ移動させるひとつの高周波加熱コイル3に、2周波発振機4により、低い周波数f1から高い周波数f2までの複数の周波数の高周波加熱電力を同時に供給して、前記被焼入部材2の外周面2aを高周波誘導加熱するとともに、それぞれの周波数の高周波電力の割合(配分比又は配分比率)を、零を含み任意に変えることにより、前記被焼入部材2の外周面からの焼入硬化層2cの深さを任意に、かつ該焼入部材2の長さ方向に連続的に焼入する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、棒形状の被焼入部材、特にその一部に中空部を有する棒形状の被焼入部材、例えば自動車のCVJ(等速ジョイント:constant velocity joint)部品である一般的なドライブシャフトのような金属材からなる部材の外周面を連続的に高周波焼入する方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の自動車の前記CVJ部品である、一般的なドライプシャフト(内部に中空部がない中実部のみからなる)20の正面図を図4に示す。このドライブシャフト20の機能は、例えば自動車のエンジンの動力を車輪に伝達するような、インボードジョイントからアウトボードジョイントヘのトルク伝達である。
【0003】
FF(フロントエンジンフロントドライブ)車の場合、前記ドライブシャフト20の長い側では一定回転数にて曲げ振動に起因する共振現象がおこり、車の走行フィーリングを著しく害する。このような共振現象を避ける手法として、従来よりドライブシャフト20にゴムダンパを取付けて共振現象の低減を図ってきたが、近年、曲げ剛性の大きい、図5にその断面図を示すような中空ドライブシャフト21が使用されるようになった。
この中空ドライブシャフト21の製造で一般的に実用化されている方法は、両端の中実軸21a、21aと中空部パイプ21bとを摩擦溶接部分21c、21cにて摩擦溶接により結合し、その後、その外周面を高周波誘導加熱で焼入を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、長尺の前記中空ドライブシャフト21の外周面の高周波焼入において、硬化層深さを5mmにする場合、周波数が10kHz以下の高周波を用いて、該中空ドライブシャフト21の長さ方向の移動焼入を行っている。
図6の断面図に示すように、長尺の中空ドライブシャフト21では中実(内部全体が実体であること)部21a、21aと中空部パイプ21bがあり、前記中実部21a、21aの硬化層深さを5mmにする揚合、前記中空部パイプ21bの肉厚が5mmでは、中空部パイプ21bがズブ焼入(肉厚の全てが焼入される焼入)となっていた。
【0005】
高周波焼入において、硬化層深さの境界が、圧縮応力と引張応力の変化点に当たるので、形状が異なる中実部21a、21aと中空部パイプ21bの境に応力の変化点が生じると、図7に示すように焼割れ22が発生し易い。前記中空ドライブシャフト(被焼入部材)21内部の焼割れ22は、該中空ドライブシャフト21を非破壊の状態を維持しながら、磁気探傷及びカラーチェックによる、前記焼割れ22の検査ができないという間題点を生じていた。
【0006】
本発明はかかる点を鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解消し、被焼入部材として、一部に中空部を有する棒状部材の高周波焼入にあたり、前記中空部がズブ焼入とならず、かつ中実部と前記中空部との境に焼割れが生じない前記棒状部材の高周波焼入方法を提案することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、被焼入部材として、一部に中空部を有する棒状部材を高周波焼入するものにおいて、前記中空部がズブ焼入とならず、かつ中実部と前記中空部との境に焼割れが生じない前記棒状部材の高周波焼入装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の構成は、棒状の被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱後、該外周面を急冷して焼入するに際し、前記被焼入部材を貫通かつ移動させるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数から高い周波数までの複数の周波数の高周波加熱電力を同時に供給して、前記被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱するとともに、それぞれの周波数の高周波電力の割合を、零を含み任意に変えることにより、前記被焼入部材の外周面からの焼入硬化深さを任意に、かつ該焼入部材の長さ方向に連続的に焼入する棒状部材の高周波焼入方法である。
【0009】
前記複数の周波数の高周波加熱電力による加熱時間が、それぞれ独立して任意に変えられる棒状部材の高周波焼入方法である。
【0010】
前記棒状の被焼入部材の一部が、中空である棒状部材の高周波焼入方法である。
【0011】
前記複数の周波数が、異なる2周波数で、かつ1kHzないし400kHzの周波数である棒状部材の高周波焼入方法である。
【0012】
棒状の被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱後、該外周面を急冷して焼入する装置において、前記被焼入部材を貫通かつ移動させるひとつの高周波加熱コイルと、前記被焼入部材をその長さ方向に、前記高周波加熱コイルに貫通かつ移動させる搬送手段と、低い周波数から高い周波数までの複数の周波数の高周波電力を、零を含みある割合に、それぞれの制御手段によりそれぞれ出力調整して、前記被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱する前記高周波加熱コイルに、同時に供給する複数の高周波電源部と、前記被焼入部材の高周波誘導加熱された前記外周面を冷却する冷却手段とを備え、前記被焼入部材の外周面からの焼入硬化深さを任意に、かつ該焼入部材の長さ方向に連続的に焼入する棒状部材の高周波焼入装置である。
【0013】
前記複数の高周波電源部が2個で、該高周波電源部のそれぞれが出力する周波数が、異なる2周波数で、かつ1kHzないし400kHzの周波数である棒状部材の高周波焼入装置である。
【0014】
本発明は、棒状部材の高周波焼入方法及び高周波焼入装置は、以上のように構成されているので、被焼入部材として、一部に中空部を有する棒状部材を高周波焼入するにあたり、中実部の外径と、前記中空部の肉厚が異なる前記棒状部品の外周面側に高周波加熱コイルを配設して、前記高周波加熱コイル又は前記棒状部材の一方又は双方を移動(双方の場合は、互いに逆方向に移動)させながら高周波焼入れする方法及び装置において、前記高周波加熱コイルに1以上の周波数(1kHzないし400kHzの周波数)の高周波加熱電力を同時に供給するとともに、その加熱出力の割合(又は配分)を変えることにより、前記棒状部材の外周面からの焼入硬化深さを変えている。特に、前記中空部の外周面の肉厚に沿った焼入硬化深さとしている。
【0015】
本発明によれば、一部に中空部を有する棒状部材を高周波焼入するに際し、又はものにおいては、前記中空部がズブ焼入とならず、かつ中実部と前記中空部との境に焼割れが発生することはない。
【0016】
なお、本発明は、本出願人が先に提案した「高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法」(特願2002−154973号にて提案)に関連する技術で、その改良技術である。
【0017】
前記「高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法」の技術は、1つの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数の2周波の高周波加熱電力を同時に供給して、被加熱体の表面からの加熱深さを任意に調整することを課題とし、その解決手段(方法)は、被加熱体を高周波誘導加熱する際に、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法である。
すなわち、前記被加熱体に使用される1つの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して、前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、一方の周波数の高周波電力と他方の周波数の高周波電力との配分を、任意の配分比又は配分比率に変え、又は前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。図1は、本発明の棒状部材の高周波焼入方法とその高周波焼入装置の一実施の形態を示す図で、一部に中空部を有するドライブシャフトを、高周波加熱コイルを貫通、移動しながら、高周波焼入する前記高周波焼入装置の説明構成図、図2は、図1による前記ドライブシャフトの移動焼入時の、該ドライブシャフトの長さ方向の各部位における、高周波加熱コイルに高周波加熱電力を供給又は加熱サイクルを示す図、図3は、図2により高周波焼入されたとき、前記ドライブシャフトの外周面に焼入硬化層が形成されるパターンを示す該ドライブシャフトの断面図である。
【0019】
図1において、高周波焼入装置1は、棒状の被焼入部材として、金属材、例えば鋼系材からなる円柱形の、自動車のCVJ(等速ジョイント:constant velocity joint)部品である一般的な前記ドライブシャフトで、一部に中空部を有する該ドライブシャフト2を、矢印方向に移動させながら、該ドライブシャフト2の外周面2aを高周波移動焼入するものである。
なお、前記ドライブシャフト2は、図5に示す前記ドライブシャフト21と構造的に同等で、両端の中実軸と、中央部の中空部パイプとを摩擦溶接部分にて摩擦溶接により結合、形成されている。
【0020】
前記高周波焼入装置1は、前記ドライブシャフト2を貫通かつ移動させるひとつの高周波加熱コイル3に対して、2周波高周波電源としての2周波発振機4から、制御装置5によりそれぞれ制御(オン、オフする)される、低い周波数f1と高い周波数f2の2周波の高周波加熱電力を同時に供給する。そして前記ドライブシャフト2の外周部2aの加熱部分2bを、順次ある所定の焼入温度まで加熱した直後に、前記制御装置5の制御により冷却液供給装置6を介して冷却液噴射環6aから、加熱された前記外周面2aに向けて冷却液、例えば冷却水を噴射して急冷し、前記外周面2aの高周波移動焼入を行って焼入硬化層2cを形成させる。前記高周波焼入中、搬送装置7により、前記ドライブシャフト2をその長さ方向の矢印方向に移動させている。
なお、前記制御装置5は、前記2周波発振機4及び前記冷却液供給装置6のほか、前記ドライブシャフト2をその長さ方向に任意の一定速度で移動させる前記搬送装置7をも制御する。
【0021】
前記2周波発振機4は、前記低い周波数f1、例えば3kHzの高周波加熱電力を出力する第1の高周波発振機4aと、前記高い周波数f2、例えば200kHzの高周波加熱電力を出力する第2の高周波発振機4bとからなり、前記制御装置5は、前記第1の高周波電源部4aから高周波加熱電力を出力調整するとともに、該高周波加熱電力を出力する加熱時間を任意に制御(オン、オフする)し、また、前記第2の高周波発振機4bから高周波加熱電力を出力調整するとともに、該高周波加熱電力を出力する加熱時間を任意に制御(オン、オフする)し、さらに、前記第1の高周波発振機4aと第2の高周波発振機4bとを、交互に出力させることもできる。
【0022】
また、前記制御装置5は、前記高周波加熱コイル3とともに独立して巻回される監視コイル8を接続して、前記第1、第2の高周波発振機4a、4bからの前記高周波加熱コイル3へのそれぞれの高周波加熱電力の出力状態を監視しながら、該第1、第2の高周波発振機4a、4bを制御している。
【0023】
また、同時に、前記制御装置5は、前記ドライブシャフト2を加熱する前記高周波加熱コイル3に対して、前記2周波発振機4の前記第1の高周波発振機4aから出力される前記低いの周波数f1の高周波電力と、前記第2の高周波発振機4bから出力される前記高いの周波数f2の高周波電力との配分割合を、それぞれ任意の配分比又は配分比率(加熱に要する全体高周波電力の、例えば%による配分)に変えたり、又は、前記2周波のそれぞれの高周波加熱電力による加熱時間を、それぞれ独立して任意に変えることにより、前記ドライブシャフト2の外周面2aからの焼入深さを任意に調整したり、又は連続的に調整することができる。
【0024】
また、前記制御装置5は、前記高周波加熱コイル3に対して、前記2周波発振機4から出力される前記低いの周波数f1の高周波加熱電力と、前記高いの周波数f2の高周波電力との配分割合を、それぞれ任意の配分比又は配分比率に変えると同時に、前記2周波のそれぞれの高周波加熱電力による加熱時間を、それぞれ独立して任意に変えることにより、前記ドライブシャフト2の外周面2aからの焼入深さを任意に調整したり、又は連続的に調整することもできる。
【0025】
次いで、図2に示すように、前記ドライブシャフト2の中実部と中空部との各部位では、その外周面2aを高周波加熱する周波数f1、f2とその高周波電力の割合(配分比又は配分比率)を変えて前記高周波加熱コイル3に供給した(具体的実施例は後記のとおり)。すなわち、前記中実部では、低い周波数f1で大きい電力とし、前記中空部では、高い周波数f2と低い周波数f1とにより、前記中実部における大きい電力に比較して小さい電力を同時に供給した。特に、該中空部の加熱電力は、低い周波数f1の加熱電力を高い周波数f2の加熱電力より少なくした。前記中空部に高い周波数f2を使用することで、高周波誘導加熱による浸透深さを浅くすることが可能となり、該中空部のズブ焼入れを回避することができた。
【0026】
本実施の形態により、前記ドライブシャフト2の外周面2aに得られた焼入硬化層3cのパターンは、図3に示すように、前記中実部では、約5mmの焼入硬化層で、前記中空部では、肉厚内の約3mmの焼入硬化層となった。前記中空部において、前記高い周波数f2と前記低い周波数f1の加熱電力出力の配分により、さらに目標とする焼入硬化深さにすることが可能である。
本実施の形態により、図3に示すように、前記ドライブシャフト2のその長さ方向の外周面2aに沿った焼入硬化層2cパターンとなることで、前記ドライブシャフト2の内部の焼割れを防止することができた。
【0027】
[実施例]
以下に、本実施の形態にかかる具体的な実施例を以下に示す。
(1)被焼入部材:ドライブシャフト
(a)材質:S40BCM
(b)寸法:中実部外径30mm、中空部外径40mm(肉厚=5mm)、長さ500mm
(2)高周波誘導加熱条件
1)中実部
(a)低い周波数f1=3kHz、加熱電力の出力=120kW(配分割合=100%)、
移動速度(送り速度)=30mm/sec
(b)高い周波数f2=200kHz、加熱電力の出力=0kW(配分割合=0%)、
2)中空部
(a)低い周波数f1=3kHz、加熱電力の出力=40kW(配分割合=36%)、
移動速度(送り速度)=30mm/sec
(b)高い周波数f2=200kHz、加熱電力の出力=70kW(配分割合=64%)、
移動速度(送り速度)=30mm/sec
【0028】
前記加工条件により、前記ドライブシャフト2に焼入を施したときの、中実部スプライン谷の表面硬さは、Hv700〜720であり、硬化層深さは、5.0〜5.5mmである。肉厚5mmの前記中空部の表面硬さは、Hv700〜720であり、硬化層深さは、3.0〜3.3mmである。
【0029】
従来の高周波焼入方法では、前記中空部の表面硬さは、Hv700〜720であり、硬化層深さは、5mmと肉厚全てに焼入れされていたが、本実施の形態によれば、前記中空部が所定の表面硬さがHv700〜720で、肉厚より狭い硬化層深さとなったことで、該中空部内側の焼割れを防止することができた。
【0030】
以上のとおり、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、発振機の台数を2台としたが、2台に限定されるものでなく、必要に応じて増やしてもよい。中空部の加熱において、前記高い周波数f2と前記低い周波数f1の高周波加熱電力を、前記高周波加熱コイル3に同時供給としたが、前記高い周波数f2のみの供給でも可能である。また、前記中実部の高周波加熱において、前記低い周波数f1のみの供給としたが、前記高い周波数f2と前記低い周波数f1との高周波加熱電力の同時供給でも可能である。
【0031】
前記低い周波数f1と前記高い周波数f2の高周波加熱電力を、加熱中、それぞれ一定の値としたが、前記被焼入部材に要求される焼入硬化層深さにより、その電力値を無段階で変化させてもできる。前記中実部及び中空部を、その長さ方向に連続移動焼入としたが、必要部位だけを焼入する部分焼入でも可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の棒状の被加熱部材の高周波焼入方法及びその装置によれば、前記被焼入部材を貫通かつ移動させる高周波加熱コイルに、低い周波数から高い周波数までの複数の周波数の高周波加熱電力を同時に供給して、前記被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱するとともに、それぞれの周波数の高周波電力の割合を、零を含み任意に変えるので、一部に中空部を有する棒状の被加熱部材の外周面を高周波焼入するに際し、又は高周波焼入装置においては、前記中空部がズブ焼入とならず、かつ中実部と前記中空部との境に焼割れが生じないとういう優れた効果を奏する。
【0033】
また、本発明によれば、外径が異なる前記中実部と肉厚が異なる前記中空部からなる棒状の被加熱部材のそれぞれの外周面を高周波焼入するに際し、又は高周波焼入装置においては、単数又は複数の周波数の高周波加熱電力を同時に供給して、前記被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱するとともに、それぞれの周波数の高周波電力の割合を零を含み任意に変えることにより、前記棒状の被加熱部材の外周面に沿って任意な焼入硬化深さにすることが可能となり、前記中空部内側の焼割れをも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の棒状部材の高周波焼入方法とその高周波焼入装置の一実施の形態を示す図で、一部に中空部を有するドライブシャフトを、高周波加熱コイルを貫通、移動しながら、高周波焼入する前記高周波焼入装置の説明構成図である。
【図2】図1による前記ドライブシャフトの移動焼入時の、該ドライブシャフトの長さ方向の各部位における、高周波加熱コイルに高周波加熱電力の供給又は加熱サイクルを示す図で、横軸は図3に示す前記ドライブシャフトの長さ方向の各部位を示し、縦軸は、等速で移動する前記ドライブシャフトの長さ方向の各部位における、高周波加熱コイルに供給する高周波加熱電力を示す。
【図3】図2により高周波焼入されたとき、前記ドライブシャフトの外周面に焼入硬化層が形成されるパターンを示す該ドライブシャフトの断面図である。
【図4】従来から使用される自動車のCVJ部品で、一般的なドライプシャフト(中実部のみからなる)を示す正面図である。
【図5】従来から使用される自動車のCVJ部品で、一部に中空部を有する中空ドライブシャフトの断面図である。
【図6】従来の高周波焼入方法により、一部に中空部を有する中空ドライブシャフトに形成された焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【図7】従来の高周波焼入方法により、一部に中空部を有する中空ドライブシャフトに生じた焼割れを示す断面図である。
【符号の説明】
1 高周波焼入装置
2,21 ドライブシャフト(被焼入部材)
2a 外周面
2b 加熱部分
2c 焼入硬化層
3 高周波加熱コイル
4 2周波発振機
4a 第1の高周波発振機(低い周波数f1を出力)
4b 第2の高周波発振機(高い周波数f2を出力)
5 制御装置
6 冷却液供給装置
6a 冷却液噴射環
7 搬送装置
Claims (6)
- 棒状の被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱後、該外周面を急冷して焼入するに際し、
前記被焼入部材を貫通かつ移動させるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数から高い周波数までの複数の周波数の高周波加熱電力を同時に供給して、前記被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱するとともに、それぞれの周波数の高周波電力の割合を、零を含み任意に変えることにより、前記被焼入部材の外周面からの焼入硬化深さを任意に、かつ該焼入部材の長さ方向に連続的に焼入することを特徴とする棒状部材の高周波焼入方法。 - 前記複数の周波数の高周波加熱電力による加熱時間が、それぞれ独立して任意に変えられることを特徴とする請求項1に記載の棒状部材の高周波焼入方法。
- 前記棒状の被焼入部材の一部が、中空であることを特徴とする請求項1に記載の棒状部材の高周波焼入方法。
- 前記複数の周波数が、異なる2周波数で、かつ1kHzないし400kHzの周波数であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棒状部材の高周波焼入方法。
- 棒状の被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱後、該外周面を急冷して焼入する装置において、
前記被焼入部材を貫通かつ移動させるひとつの高周波加熱コイルと、
前記被焼入部材をその長さ方向に、前記高周波加熱コイルに貫通かつ移動させる搬送手段と、
低い周波数から高い周波数までの複数の周波数の高周波電力を、零を含みある割合に、それぞれの制御手段によりそれぞれ出力調整して、前記被焼入部材の外周面を高周波誘導加熱する前記高周波加熱コイルに、同時に供給する複数の高周波電源部と、
前記被焼入部材の高周波誘導加熱された前記外周面を冷却する冷却手段と
を備え、前記被焼入部材の外周面からの焼入硬化深さを任意に、かつ該焼入部材の長さ方向に連続的に焼入することを特徴とする棒状部材の高周波焼入装置。 - 前記複数の高周波電源部が2個で、該高周波電源部のそれぞれが出力する周波数が、異なる2周波数で、かつ1kHzないし400kHzの周波数であることを特徴とする請求項5に記載の棒状部材の高周波焼入装置。
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