JP2004292334A - 無機系抗菌剤 - Google Patents
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Abstract
【手段】Ag、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる金属イオンの少なくとも1種を含む無機系抗菌剤において、該無機系抗菌剤粒子表面にアルカリ土類金属ハロゲン化物あるいは特定の金属酸化物/水酸化物の微小粒子を付着されている無機系抗菌剤による。
【効果】十分な抗菌効果とその持続性を有する無機系抗菌剤、特にプラスチックスへの混練性に優れた無機系抗菌剤を得られた。
Description
【発明の属する技術分野】本発明は無機系抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗菌剤(本発明の抗菌剤とは抗かび剤をも含む、抗微生物剤全般を表す)を含有した抗菌性の製品には、有機系の抗菌剤が多数使われてきた。しかし、これらの有機系抗菌剤は即効性に優れている反面、持続性が不十分であり、また安全上の問題もあった。そのため、銀系等の無機系抗菌剤も多数使われてきたが、従来の無機系抗菌剤は抗菌効果が不十分、あるいは製品に含有させるときに無機系抗菌剤粒子の凝集が起こり、製品の特性に好ましくない影響があるだけでなく、抗菌効果が損なわれる問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これらの従来の有機系、無機系抗菌剤の抗菌効果の持続性不足、効力不足、人体への安全性不足、時間経過とともに変色する欠点を解決し、また尿、水道水により失活することなく、安全で、効力があり、効力の持続性があり、変色しない抗菌剤を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の実験を行った結果、
(1)Ag、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる金属イオンの少なくとも1種を含む無機系抗菌剤において、該無機系抗菌剤粒子表面に、該無機系抗菌剤粒子より小さく、該無機系抗菌剤粒子と異なる組成の微小粒子が付着している無機系抗菌剤により上記の課題が達成されることを見出した。
(2)前記微小粒子がアルカリ土類金属ハロゲン化物、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、マンガン、ビスマス、スズ、鉛、アンチモン、ニッケル、トリウム、アルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物あよび/あるいは水酸化物である上記(1)記載の記載の無機系抗菌剤無機系抗菌剤により上記の課題が達成されることを見出した。
【0005】該微少粒子の組成は、アルカリ土類金属ハロゲン化物、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、マンガン、ビスマス、スズ、鉛、アンチモン、ニッケル、トリウム、アルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物あよび/あるいは水酸化物が好ましく、アルカリ土類金属ハロゲン化物、あるいはケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、マンガン、ビスマス、アルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物あよび/あるいは水酸化物がより好ましく、アルカリ土類金属ハロゲン化物、あるいはケイ素、アルミニウム、アルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物あよび/あるいは水酸化物がさらに好ましい。
アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムが好ましく用いられるが、カルシウム、マグネシウムがより好ましく、カルシウムが最も好ましい。アルカリ土類金属ハロゲン化物としてはフッ化物が好ましく、フッ化カルシウムが最も好ましい。
【0006】本発明ではこれ以降は混同を避けるため、該微少粒子が付着していない無機系抗菌剤を無機系抗菌剤−1と称し、該微粒子が付着した無機系抗菌剤を無機系抗菌剤−2と称する。
【0007】無機系抗菌剤−1の表面に付着される微少粒子の最適付着量は、該微量粒子の粒子径や化学組成によって一定でないが、多過ぎても、少な過ぎても抗菌効果の低下を招く。該微少粒子が無機系抗菌剤粒子表面を覆う比率は、表面積の10〜90%であることが好ましく、10〜70%がより好ましく、10〜40%が最も好ましい。該微量粒子の最適付着量は、無機系抗菌剤−1に対して通常0.001〜30重量%、好ましくは、0.01〜5重量%の範囲に調整される。また、該微量粒子の平均粒子径は、無機系抗菌剤−1の平均粒子径の1/3以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。
【0008】本発明の該微量粒子を付着させられる無機系抗菌剤−1としては、金属イオンとしてAg、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnの内少なくとも1種を含有する無機系抗菌剤が好ましく、これらの金属イオンはより好ましくはAg、CuおよびZnであり、さらに好ましくはCuおよびZnであり、特に好ましいのはZnである。
【0009】無機系抗菌剤−1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素の内少なくとも1種を含有することが好ましい。これらの内でアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素がより好ましい。
また本発明の無機系抗菌剤−1は酸化物および水酸化物であることが好ましい。複合酸化物、複合水酸化物の場合は固溶体であることが好ましい。
【0010】本発明の無機系抗菌剤−1の好ましいものを示すが、これらに限定されるものではない。下記式(1)〜(6)、CuO、Cu(OH)2、Zn(OH)2およびZnOで表されるものが好ましく、下記式(1)〜(6)、CuO、およびZnOがさらに好ましく、下記式(1)、(4)と(5)、CuO、およびZnOがより好ましく、さらに(1)、(4)、およびZnOが最も好ましい。
【0011】
MxN1 − xO (1)
(式中、NはMgおよび/あるいはCaを示し、MはMn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群から選ばれた金属イオンの少なくとも一種を示し、xは0.02<x<0.8である)
MxN1 − x(OH)2 (2)
(式中、M、N、xは式(1)と同じである)
(MO)・(L2O)y (3)
(式中、M、は式(1)と同じで、Lはアルカリ金属イオンを表し、yは0.0001<y<0.1である)
(MO)・(Al2O3)a・(SiO2)b (4)
(式中、M、は式(1)と同じ。aは0.00≦a<50で、bは0.00≦b<80である。ただし、a=0の場合、bは0.001≦b<80であり、b=0の場合、aは0.001≦a<50である。)
(MO)・(XO2)c (5)
(式中、M、は式(1)と同じ。XはTiおよび/またはZrを表す。cは0.001<c<0.2を表す。)
(MO)・(NO)d・(Al2O3)e (6)
(式中、M、Nは式(1)と同じ。dは0.05≦d<5で、bは0.01≦b<5ある。)
【0012】上記式(1)〜(6)において、MはCuあるいはZnがより好ましく、Znがさらに好ましい。また、上記式(1)および(2)式のNはMgがより好ましい。上記式(3)のLはNa、Kが好ましい。また、上記式(4)のa,bはより好ましくは、aは0.00≦a<2で、bは0.00≦b<50である。(ただし、a=0の場合、bは0.001≦b<50であり、b=0の場合、aは0.001≦a<2である)。さらに好ましくはaは0.00≦a<0.2で、bは0.00≦b<1である。(ただし、a=0の場合、bは0.001≦b<1であり、b=0の場合、aは0.001≦a<0.2である。)
【0013】本発明の好ましい無機系抗菌剤−1の例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。 ( )内の数字は順に、BET表面積(m2/g)、粒度D50%(μm)を表す。)
(A−1)Zn0.14Mg0.86O(15、0.5)
(A−2)Zn0.05Ca0.95O(12、0.6)
(A−3)Cu0.05Ca0.95O(18、0.2)
(A−4)Cu0.14Mg0.86O(30、0.3)
(A−5)Zn0.14Mg0.86(OH)2(19、0.4)
(A−6)ZnO・(Al2O3)0.04 (30、0.3)
(A−7)ZnO・(SiO2)0.05 (25、0.2)
(A−8)ZnO・(TiO2)0.05 (15、0.4)
(A−9)ZnO・(MgO)1.5・(Al2O3)1.25(40、0.3)
(A−10)ZnO(30、0.3)
【0014】本発明の無機系抗菌剤−1は、の製造法としては、特開平6−72816号、特開平6−65011号、特開平8−291011号、特開平8−48606号、特開平11−123385号、特開平11−180808号、特開平11−209258号、特開2000−63219号記載の方法を用いることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0015】該微量粒子の微小粒子の無機系抗菌剤−1粒子への付着を以下の方法でなすことができるが、この方法に限定されるものではない。すなわち、無機系抗菌剤−1が水に不溶あるいは難溶性で、その組成にアルカリ土類金属を含むときは、アルカリ土類金属塩を含む、または含まない水溶液に分散させる。一方その組成にアルカリ土類金属を含まないときは、アルカリ土類金属塩を含む水溶液に分散させる。これらの無機系抗菌剤−1を分散させた水溶液にハロゲン化物を含む水溶液を添加することで無機系抗菌剤−1の表面に該微量粒子の微小粒子を均一に付着させることができる。一方、無機系抗菌剤−1が水溶性の場合は、メタノール、エタノール等の有機溶媒に無機系抗菌剤−1を分散させ、この分散液にアルカリ土類金属含有の有機溶媒液と、ハロゲン化物の有機溶媒を添加することで無機系抗菌剤−1の表面にアルカリ土類金属ハロゲン化物の微小粒子を均一に付着させることができる。
【0016】無機系抗菌剤の粒子形成中あるいは/および後に加熱処理することが好ましい。加熱温度は100〜1000℃が用いられ、100〜700℃が好ましく、150〜600℃がより好ましい。加熱の時期は無機系抗菌剤−1の粒子形成中および/あるい粒子形成後、無機系抗菌剤−2の粒子形成中および/あるい粒子形成後のいずれでも好ましい。
【0017】本発明の無機系抗菌剤−1および−2は表面処理されることが好ましい。 表面処理剤として好ましく用いられるものを例示すれば次の通りである。ステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類;前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩;ステアリルアルコール、オレイルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩;ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリルスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリルスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリルスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤類;オルトリン酸とオレイルアルコール、ステアリルアルコール等のモノまたはジエステルまたは両者の混合物であって、それらの酸型またはアルカリ金属塩またはアミン塩等のリン酸エステル類;ビニルエトキシシラン、ビニルートリス(2ーメトキシーエトキシ)シラン、ガンマーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマーアミノプロピルトリメトキシシラン、ベーター(3,4ーエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマーメルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(Nーアミノエチルーアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタネート系カップリング剤類;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤類;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等の多価アルコールと脂肪酸のエステル類。
【0018】この中でも、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、カップリング剤(シラン系、チタネート系、アルミニウム系)および多価アルコールと脂肪酸のエステル類からなる群から選ばれた表面処理剤の内の少なくとも一種による表面処理が好ましく、さらにステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類および前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩が特に好ましい。表面処理は特開2001−123071号の実施例1記載の方法に準じた方法で行うことができる。
【0019】本発明の無機系抗菌剤−1および−2の粒度D50%が0.01〜20μmが好ましく、0.03〜5μmがより好ましく、0.05〜2μmがさらに好ましい。粒子サイズは、5分間以上超音波で分散させられた後に、レーザー散乱法で測定した値である。抗菌剤のBET表面積は重要な指標である。一般に抗菌効果を迅速に働かすためには、極めて大きいBET表面積が好ましい。しかし、一方では抗菌効果を持続させるためにはある程度以下の値にする必要がある。そのため、BET表面積は1〜300m2/gが好ましく、3〜100m2/gがより好ましく、3〜50m2/gがさらに好ましい。
【0020】本発明では本発明外の無機系抗菌剤を併用してもよい。本発明外の無機系抗菌剤としては本発明記載の無機系抗菌剤−1あるいは銀系抗菌剤がある。銀系の抗菌剤の例としては、「多様化する無機系抗菌剤と高度利用技術」大谷朝男編著(1998年株式会社アイピーシー出版)に記載のあるものがある。中でもゼオライト、シリカゲル、ガラス、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、ケイ酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、アルミナ、釉薬等に担持した銀抗菌剤、銀/ケイ酸アルミン酸マグネシウム抗菌剤、銀超微粒子抗菌剤、錯体化銀/シリカゲル抗菌剤、銀/難溶性リン酸塩抗菌剤が好ましい。
【0021】また、有機系抗菌剤を併用してもよい。その有機系の抗菌剤の例としては、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾ−ルなどイミダゾ−ル誘導体、シクロフルアニドなどN−ハロアルキルチオ系化合物、10、10’−オキシビスフェノキサアルシンなどフェニルエーテル誘導体、セシルジメチルエチルアンモニウムブロミドなど第4級アンモニウム塩および2、3、5、6テトラコロル−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどスルホン誘導体、アミド類、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、メチロール基含有化合物、活性ハロゲン含有化合物、活性化されたN−S結合含有化合物、イソチアゾロン系、有機ヨウ素系、ベンズイソチアゾロン系、およびピリチオン系等が挙げられるが、これに限定するものではない。また、「防菌防黴剤の技術」井上嘉幸編著(2000年普及版第1刷発行、株式会社シーエムシー出版)、および「誰でもわかる抗菌の基礎知識」(西村民男監修、株式会社テクノシステム 1999年8月出版)の121〜130頁に記載のあるものはいずれも用いることができる。
【0022】本発明の無機系抗菌剤の用途としては下記のものがあるが、これらに限定されるものではない。
塗料、繊維および繊維加工製品、プラスチック樹脂およびプラスチック樹脂加工製品、ゴムおよびゴム製品、衛生生理用品、木製品、接着剤、医療用軟膏、水浄化材、ペットの屎尿処理剤、砂場の浄化材、金属製品、食肉および鮮魚の保鮮紙、農業用途の消毒剤、および陶磁器等の抗菌製品が挙げられる。これらの中では、プラスチック樹脂およびプラスチック樹脂加工製品、衛生生理用品、医療用軟膏、水浄化材、砂場の浄化材、金属製品、食肉および鮮魚の保鮮紙、農業用途の消毒剤、および陶磁器等の抗菌製品が特に好ましく、プラスチック樹脂およびプラスチック樹脂加工製品、衛生生理用品、食肉および鮮魚の保鮮紙、農業用途の消毒剤、および陶磁器等の抗菌製品がさらに好ましく、プラスチック樹脂およびプラスチック樹脂加工製品、衛生生理用品が特に好ましい。
【0023】本発明の無機系抗菌剤−2の含有量は、製品の固形分あたり重量比で0.3〜5%が好ましく、0.5〜4%がより好ましい。製品の固形分とは、本発明では抗菌剤を含有する層、部分の固形分を示す。すなわち、例えば塗料製品では、抗菌剤を含有する塗料の固形分を意味する。
【0024】抗菌剤を含有する塗料としては、アミノ・アルキド、ビニル、アクリル、エポキシ、ウレタン、不飽和ポリエステル樹脂系およびエマルジョン系塗料が好ましく、水系、有機系いずれでもよい。色材を含有しないニス、光沢付与のための塗料でもよい。ただし、本発明の無機系抗菌剤を用いる時は、有機溶剤で分散する方が好ましい。水系のエマルジョンで用いる時は、疎水性成分に分散してから水に分散するのが好ましい。含有量はバインダーの性質、分散状態で異なるが、固形分重量比で0.3〜5%が好ましく、1〜4%がより好ましい。
【0025】本発明の無機系抗菌剤−2を繊維に含有させる時は、繊維としては、天然繊維(綿、羊毛、絹、麻、パルプなど)、半合成繊維(レーヨン、キュプラ、アセテートなど)、合成繊維(ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリルニトリル、ポリフッ素など)、または、無機繊維(ガラス、セラミックスなど)を挙げることができる。これらの繊維に抗菌性を付与するには、繊維と本発明の抗菌剤を接触させた後、水洗、乾燥する方法、あるいは、繊維に本発明の抗菌剤をスプレーする方法など、公知の方法を採用できる。おむつ、衛生生理用品等があり、特にポリエチレン、ポリプロピレンを用いた不織布の製品がある。ポリエチレンと不織布を積層したおむつ用品のポリエチレンに本発明。特開2000−234266号に記載の技術を用いることが好ましい。
【0026】好ましく用いられる熱可塑性合成樹脂としては、例えばフッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ABS樹脂、酢酸ビニル樹脂およびポリスチレン樹脂等がある。
【0027】また、熱硬化性合成樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、フラン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリパラバン酸樹脂等が挙げられる。天然高分子の樹脂も好ましい
【0028】鮮魚、食肉類の鮮度保持に使用するいわゆる保鮮紙もある。ポリエチレン等のプラスチックフイルムに抗菌剤を含有させても良いし、不織布に含有させてもよい。カット野菜、食肉、鮮魚類の保管、輸送をする際に、カット野菜等を過塩素酸を含有したpH4〜7の水で消毒したのち、本発明の無機系抗菌剤−2を3重量%ほど錬り込んだポリエチレン等の薄いプラスチック容器に入れることで、菌の再発生を防ぐことができる。
【0029】あおこ、有害な細菌、大腸菌、レジオネラ菌等を除去し、水を浄化するための製品に抗菌剤を含有させてもよい。この場合は多孔質のセラミック、金属、鉱滓、溶鉱炉の滓、ガラス、プラスチック、繊維、木質または土壌、砂、礫等を固めたもの等に含有させることが好ましい。魚の養殖池、プールの循環水浄化、クーリングタワーの浄化等に用いられる。
【0030】土壌改良の目的で保水剤、酸性土壌の中和材の目的で用いられる、多孔質のセラミック、金属、鉱滓、溶鉱炉の滓、ガラス、プラスチック、繊維、木質または土壌、砂、礫等を固めたもの等に含有させると、バクテリア等の繁殖が抑えられ、保水効果が長期にわたり持続し好ましい。
【0031】衛生陶器等の陶磁器製品にも本発明の無機系抗菌剤−2は好ましく用いられる。有機系と異なり高温処理が可能であり、また銀系抗菌剤とは異なり尿中の硫黄化合物で失活せず好ましかった。本発明の無機系抗菌剤を熱可塑性樹脂に含有させ、高比重複合樹脂組成物を形成し、便座、便蓋、本体ケース等の露出構成部品を有する便座装置を作ることも好ましい。複合樹脂組成物を組成する熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(PC)アクリロニトリルブタジエンポリスチレン共重合体樹脂(ABS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(PT)、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂、などがあるがこれらに限定されるものではない。特開2001−61706号に記載の技術を用いることが好ましい。
【0032】本発明の無機系抗菌剤−2と洗剤や界面活性剤を蝋(ろう).シリーコン樹脂.フッソ樹脂.などの造膜撥水剤を特徴的な固着材として、洗剤効果と抗菌・防カビ・芳香・光触媒などの能性をあわせもつタイル(目地)・洗面器・手洗器・便器・レンジなど、水回り用のワックスやコーティング剤として用いることも好ましい。
【0033】表面コートした金属製品でも好ましく用いられる。ステンレススチールの表面層に含有させ、食堂、病院、住宅の洗面台、調理台、壁、食品加工用具、医療用具に用いられる。化粧品にも本発明の無機系抗菌剤−2は好ましく用いられる。化粧品は使用時に手指を入れるため、容器内でバクテリアが繁殖し変色したり、臭気が発生したりすることがあった。これらを防止するために有効である。虫さされの防止用のスプレー、軟膏製品にも有効である。台所、住居、事務所、病室等の壁面に使用される壁紙の接着剤にも含有しうる。
【0034】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために以下に実施例を示す。
【実施例1】無機系抗菌剤―1としてA−6の80gを、水酸化カルシウムでpHを8.5に調整した水500ミリリットルに分散させ、これに32.5%塩化カルシウム溶液10ミリリットルを加えて攪拌しながら、1%フッ化アンモニウム溶液100ミリリットルを滴下した。次に、この分散液をデカンテーションにより洗浄し、固液分離後、150℃で3時間乾燥した。これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、A−6の粒子の表面に微粒子が付着していた。X線によって、A−6組成物質とフッ化カルシウムの存在が確認された。この粒子を無機系抗菌剤−2であるサンプルB−1とする。
【0035】
【実施例2】A−6を各々A−1,8,14に変更した以外は、実施例1を繰り返しサンプルB−2〜4を得た。
これらのB−1〜4のサンプルをプラズマ発光分析(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry)法で各元素の量を定量した。フッ化カルシウムの重量が無機系抗菌剤粒子全体の3重量%であった。また走査型電子顕微鏡(SEM)で粒子を観察した。微少粒子がA−6等の抗菌剤粒子の表面を占める率は15〜30%であった。
【実施例3】ポリエチレンに本発明のサンプルB−1を3重量%、3本ローラーミルで混練し均一に抗菌剤をポリエチレン内に分散した。これを所定の方法で紡糸し、ポリエチレンの繊維を得た。また同様の方法でサンプルB−1を3重量%含有したポリプロピレン繊維を得た。これらの繊維を熱融着させる所定の方法で、混繊スパンボンド不織布を作成した。本不織布のポリエチレンとポリプロピレンの量比は50:50であった(不織布I−1)。
サンプルB−1の代わりに、各々B−2〜4、およびA−6を用いた以外は、不織布I−1の作製法と同様にして、不織布I−2〜4(各々B−2〜4を含有)とC−1(A−6を含有)を得た。また抗菌剤を用いない不織布N−1を得た。これらに尿をかけ、1日経過後に臭気を比較した。臭気の評価は、成人男女各4人の官能評価による。結果は、臭気が少なく好ましかった方から、不織布I−1<I−2<I−3<I−4<<C−1<N−1であった。本発明の抗菌剤を含有した不織布I−1〜4は全て比較例C−1およびN−1より臭気が少なく好ましかった。
【0036】
【実施例4】ポリプロピレンにサンプルB−1を2重量%、3本ローラーミルで混練し、均一に抗菌剤をポリプロプレン内に分散した。このポリプロプレンを成型し容器を作製した(P−1)。サンプルB−1の代わりに、各々B−2〜4、および比較例C−1を用いた以外はP−1と同様にして、容器P−2〜4(各々B−2〜4を含有)とPC−1(A−6を含有)を得た。また抗菌剤を用いないサンプルPN−1を得た。これらの容器に一定量の大腸菌を付着させ、30℃、60%RHで3日間経過させた後、大腸菌の数を測定した。大腸菌の数が少なくて好ましい方から、P−1<P−2<P−3<P−4<<PC−1<PN−1であり、本発明の無機系抗菌剤を用いたP−1〜4は比較例より大腸菌数が少なく好ましかった。
【0037】
【実施例5】洗剤に無機系抗菌剤B−1を4重量添加したものを使用し、汚れ物を洗濯した(サンプルS−1)。脱水後にそのまま1日放置し臭気を5人で官能評価をした。洗濯の順序は洗剤入りの水で洗い、水ですすぎ、脱水する工程で行った。無機系抗菌剤をB−1の代わりに、各々B−2〜4、および比較例C−1を用いた以外はS−1と同様にして洗濯物、S−2〜4(各々B−2〜4を含有)とSC−1(A−6を含有)を得た。また抗菌剤を用いないサンプルSN−1を得た。サンプルS−1〜4、SC−1,SN−1の臭気の官能評価をした。結果は、臭気が少なく好ましかった順から、S−1、2、3<S−4<<SC−1<SN−1であった。本発明の抗菌剤を用いたS−1〜4はいずれも比較例より臭気が少なく好ましかった。
【実施例6】抗菌剤A−6を15gとり150mLの水に懸濁させ、0.5Nの水酸化ナトリウムにてpH12に調整した。別にアルミン酸ナトリウム2.26gを1NK水酸化ナトリウム溶液に総量25mLになるように60℃で溶解し、1時間以上攪拌して1Mのアルミン酸ナトリウム溶液を調製した。また、珪酸ナトリウム4.4gを水に総量40mLになるように溶解し、0.5Mの珪酸ナトリウム溶液を調製した。前記のA−6懸濁液を60℃に加温して、アルミン酸ナトリウム液7.13mLを徐々に添加した。10分間の攪拌の後、珪酸ナトリウム溶液を0.75mL添加した。この混合液に液量が200mLになるように水を加えた。得られた混合液を60℃のまま30分間エージングさせたのち、1Nの硝酸を添加してpH7まで中和し、引き続き1時間熟成させた。熟成後、室温まで冷却して、純水で洗浄し、110℃で乾燥した後、解砕し無機系抗菌剤―1に当たるA−6の表面にアルミナ微粒子が付着した無機系抗菌剤サンプルD−1を得た。
このD−1を実施例5のB−1の変わりに用いた以外は、洗濯サンプルS−1を繰り返しサンプルS−5を得た。実施例5と同様に臭気の試験を行い、臭気が少ない方から、S−5<SC−1であった。比較例のSC−1より臭気が少なく好ましかった。
Claims (2)
- Ag、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる金属イオンの少なくとも1種を含む無機系抗菌剤において、該無機系抗菌剤粒子表面に、該無機系抗菌剤粒子より小さく、該無機系抗菌剤粒子と異なる組成の微小粒子が付着していることを特徴とする無機系抗菌剤。
- 前記微小粒子がアルカリ土類金属ハロゲン化物、あるいはケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、マンガン、ビスマス、スズ、鉛、アンチモン、ニッケル、トリウム、アルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物あよび/あるいは水酸化物であることを特徴とする特許請求項1に記載の無機系抗菌剤。
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Cited By (2)
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JP2007223925A (ja) * | 2006-02-22 | 2007-09-06 | Sinanen Zeomic Co Ltd | 抗菌性ゼオライト及び抗菌性組成物 |
JP2010222266A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Panasonic Corp | 抗菌剤組成物 |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084963A patent/JP2004292334A/ja active Pending
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