JP2004291679A - 車両の空調システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図ること。
【解決手段】車室内の空調を行う、消費電力の異なる部分冷暖房ユニット1、換気ファン2及びエアコン3と、車室内の温度を検出する車室内温度センサ10と、外気温を検出する車外温度センサ11と、部分冷暖房ユニット1、換気ファン2及びエアコン3の中から、車両のエンジン停止時に駆動する空調装置の選択を行うCPU7と、を備え、CPU7は検出された車室内の温度、外気温及び予め設定された目標温度に基づいて、駆動する空調装置を選択する。
【選択図】 図1
【解決手段】車室内の空調を行う、消費電力の異なる部分冷暖房ユニット1、換気ファン2及びエアコン3と、車室内の温度を検出する車室内温度センサ10と、外気温を検出する車外温度センサ11と、部分冷暖房ユニット1、換気ファン2及びエアコン3の中から、車両のエンジン停止時に駆動する空調装置の選択を行うCPU7と、を備え、CPU7は検出された車室内の温度、外気温及び予め設定された目標温度に基づいて、駆動する空調装置を選択する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の空調技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車室内の快適性を維持するため、エアコン、換気ファン等の空調設備を搭載した車両が普及している。また、乗員の足元等に配置され、車室内を部分的に空調するのに好適な空調設備を搭載したものも提案されており、そのような空調設備として例えばペルチェ素子を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
一方、車両を長時間駐車した場合、外気温の影響により車室内の温度が高温又は低温に至り、駐車中の車室内に残っている者や、その後車両に乗り込む者に不快感を与える。とりわけ夏場や冬場にあっては車室内の温度が著しく高温又は低温に至るため顕著となる。ここで、駐車時にあっては通常エンジンが停止しているためエンジン出力を利用して空調設備を駆動する電力を得ることはできない。この点、バッテリから電力を得ることが挙げられるが、バッテリは長時間に渡って十分な電力を供給することは困難である。そこで、車両に太陽電池を設けてこれにより空調設備のための電力を得ることも提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−11517号公報
【特許文献2】特開平11−342731号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、太陽電池の性能が向上しつつあるとはいえ、その出力電力は必ずしも大きなものではなく、車両のエンジン停止時に空調設備を駆動するために利用できる電力には制限がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図り得る車両の空調システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、車室内の空調を行う、消費電力の異なる複数の空調装置と、車室内の温度を検出する第1の検出手段と、外気温を検出する第2の検出手段と、前記複数の空調装置の中から、車両のエンジン停止時に駆動する空調装置の選択を行う選択手段と、を備え、前記選択手段は、前記第1の検出手段により検出された車室内の温度と、前記第2の検出手段により検出された外気温と、予め設定された目標温度と、に基づいて、前記空調装置の選択を行うことを特徴とする車両の空調システムが提供される。
【0008】
このシステムによれば、車室内温度、外気温及び目標温度の関係により、消費電力の異なる複数の空調装置の中から駆動する空調装置が選択される。そして、当該関係により、車内空調を優先したり或いは消費電力を優先する制御が可能となる。従って、このシステムは、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図ることができる。
【0009】
本発明においては、前記複数の空調装置が、外気を車室内に流通させるファンと、空気を加温又は冷却して車室内に供給するエアコンと、車室内の所定の箇所に設置され、通電により放熱又は吸熱する素子と、を含むこともできる。
【0010】
このように冷暖房能力と消費電力の異なる空調装置を採用することで、車室内の空調とその電力消費との多様な調和を図ることができる。
【0011】
この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度と前記外気温とがいずれも前記目標温度よりも高い場合は、前記エアコンと前記素子とを選択して車室内を冷却するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調が優先され車室内の快適性が維持される。
【0012】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記外気温及び前記目標温度よりも高く、かつ、前記外気温と前記目標温度との差が所定の範囲内の場合には、前記ファンと前記素子とを選択して車室内を冷却するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調と消費電力との双方を考慮した空調制御が可能となる。
【0013】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記目標温度よりも高く、かつ、前記外気温が前記目標温度よりも低い場合には、前記ファンを選択して車室内を冷却するようにすることもできる。この選択の場合、消費電力が優先され電力消費を低減することが可能となる。
【0014】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度と前記外気温とがいずれも前記目標温度よりも低い場合は、前記エアコンと前記素子とを選択して車室内を加温するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調が優先され車室内の快適性が維持される。
【0015】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記外気温及び前記目標温度よりも低く、かつ、前記外気温と前記目標温度との差が所定の範囲内の場合には、前記ファンと前記素子とを選択して車室内を加温するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調と消費電力との双方を考慮した空調制御が可能となる。
【0016】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記目標温度よりも低く、かつ、前記外気温が前記目標温度よりも高い場合には、前記ファンを選択して車室内を加温するようにすることもできる。この選択の場合、消費電力が優先され電力消費を低減することが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、前記目標温度をユーザが設定するための設定手段を備えてもよい。これにより、各ユーザの好みに応じた空調が可能となる。
【0018】
また、本発明においては、前記複数の空調装置が、太陽電池により発電された電気を蓄積するバッテリから電力の供給を受けるようにしてもよい。太陽電池を用いることで車両のエンジン停止時においても電力の供給が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る空調システムのブロック図、図2(a)は本実施形態の空調システムの各構成の配置を示す車両のレイアウト図である。本実施形態においては部分冷暖房ユニット1と換気ファン2とエアコン3という、3種類の空調装置を設けた場合を例に挙げて説明する。しかし、本発明はこれに限られず、消費電力の異なる同種複数の空調装置も採用可能であり、また、空調装置の数も複数であれば任意に採用可能である。
【0020】
部分冷暖房ユニット1は、車室内の所定の箇所に設置され、通電により放熱又は吸熱する素子を用いたユニットである。そのような素子としては例えばペルチェ素子を挙げることができる。本実施形態の場合、この部分冷暖房ユニット1を車室内の各シートにそれぞれ内蔵するように構成している。このように配置することで、乗員を直接的に加温又は冷却することができ、体感的には最も効率的な空調装置となる。また、この部分冷暖房ユニット1は、例えば、乗員の足元のフロアやルーフの内側に設けてもよい。
【0021】
換気ファン2は外気を車室内に流通させることにより、車室内の空調を行う空調装置であり、例えば、ファンモータから構成される。本実施形態の場合、車両の前方と後方との2箇所にそれぞれ換気ファン2を配設しており、前方の換気ファン2により車室内に外気を取り込み、後方の換気ファン2から車室内の空気を車両外へ排出するようにしている。
【0022】
エアコン3は空気を加温又は冷却して車室内に供給するものであり、空気を加温又は冷却する点で単に気流を生じさせる換気ファン2と異なる。車室内にはエアコン3による空気の吹出口が複数設けられており(図示せず)、これらの吹出口から加温又は冷却された空気を車室内へ供給する。
【0023】
これらの各空調装置(部分冷暖房ユニット1、換気ファン2及びエアコン3)は、車両のエンジン停止時にあっては太陽電池4により発電された電気を蓄積するサブバッテリ5から電力の供給を受けることで駆動される。なお、エンジン駆動時にはエンジンに取付けられた発電機から電力の供給を受けるように構成することができる。このように太陽電池4から電力の供給を受けることでエンジン停止時においても電力の供給が可能となる。サブバッテリ5は最後方のシート下に配設されており、上述した3種類の空調装置の他、各種補機の電力源として用いることができる。
【0024】
太陽電池4は車両のルーフ表面に配設されており、太陽光を電気エネルギーに変換する。充放電コントローラ6は太陽電池4からの電力をサブバッテリ5に蓄電し、また、サブバッテリ5から各空調装置へ電力が供給されるようにサブバッテリ5の放電を制御するものである。充放電コントローラ6は、CPU7の命令に従って、エンジン停止時において各空調装置等を駆動する場合にサブバッテリ5を放電するようにし、エンジン駆動中或いは各空調装置等の非駆動時にはサブバッテリ5を充電するように作動する。
【0025】
CPU7は、インターフェース15を介して各空調装置(1乃至3)及び充放電コントローラ6の制御を司るプロセッサである。CPU7は各空調装置(1乃至3)の駆動・非駆動の切り替え及び充放電コントローラ6の充電、放電の切り替え等を行い、特に後述する空調選択処理を実行する。ROM(リードオンリメモリ)8には後述する空調選択処理のプログラムの他、固定的なデータを記憶するメモリである。RAM(ランダムアクセスメモリ)9はCPU7によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する。これらのROM8及びRAM9としては他の記憶手段を採用してもよいことはいうまでもない。また、CPU7、ROM8及びRAM9は車両の制御部で用いられるものを併用するようにしてもよい。
【0026】
車室内温度センサ10は車室内の温度を検出するためのセンサであり、本実施形態の場合、車両のルーフ内側に配置しているが車室内の温度を検出可能な任意の配設位置が選択できる。車外温度センサ11は車外気温を検出するためのセンサであり、本実施形態の場合、ボンネット上部に配設しているがこれも外気温を検出可能な任意の配設位置を選択できる。これらのセンサとしては例えばサーミスタ素子を用いることができる。
【0027】
車室内温度センサ10及び車外温度センサ11はインターフェース15を介してCPU7に接続されており、A/D変換器(図示せず)等により検出した車室内温度及び車外温度のデジタル情報をCPU7に提供する。
【0028】
クランク回転検出センサ12は車両のエンジンの停止を検出するためのセンサであり、例えば、エンジンの点火タイミング制御に用いられるクランク角センサをこのクランク回転検出センサ12として併用することもできる。なお、エンジンの停止を検出するために、このクランク回転検出センサ12に代えて他の物理量を検出する各種センサを採用してもよいことはいうまでもない。クランク回転検出センサ12による検出結果はインタフェース15を介してCPU7に提供される。
【0029】
入力スイッチ14は、エンジン停止時に行う車室内空調の目標温度をユーザが設定するための設定用のスイッチであり、ディスプレイ13はユーザが設定する目標温度を表示する表示器である。図2(b)は入力スイッチ14とディスプレイ13との構成例を示す図であり、例えば、インストルメントパネル(インパネ)に配設される。図2(b)においてディスプレイ13は現在の目標温度(設定温度)を表示している。
【0030】
スイッチ14aはデフォルト又は過去に設定された設定温度を下げることを指示するためのもので、スイッチ14bは設定温度を上げることを指示するためのものである。決定スイッチ14cは設定温度の変更時に操作し、変更後に再びこれを操作することで設定温度を確定するためのスイッチである。入力スイッチ14による指示はインターフェース15を介してCPU7に提供され、また、CPU7はインタフェース15を介してディスプレイ13の表示制御を行う。このようにユーザが目標温度を設定可能とすることで、各ユーザの好みに応じた空調が可能となる。
【0031】
次に、本実施形態における、エンジン停止時の各空調モードについて説明する。本実施形態では外気温、車室内温度及び目標温度の関係(以下、温度関係という。)に基づいて、駆動する各空調装置(1乃至3)の組合せを選択する。この組合せは、各空調装置(1乃至3)の消費電力に従って予め設定されており、いずれか一つの空調装置が選択される場合も含まれる。ここで、本実施形態の場合、換気ファン2と部分冷暖房ユニット1とはそれぞれ複数設けられているが、各換気ファン2と、各部分冷暖房ユニット1とは、それぞれ一括して駆動又は非駆動とされるため、各換気ファン2の合計の消費電力を換気ファン2の消費電力とし、各部分冷暖房ユニット1の合計の消費電力を部分冷暖房ユニット1の消費電力として評価する。
【0032】
従って、本実施形態では、エアコン3が最も消費電力が高く、換気ファン2が最も消費電力が小さく、更に、部分冷暖房ユニット1の消費電力がその中間である場合を想定する。ここでいう消費電力とは例えばその装置の定格消費電力であり、本実施形態は各空調装置(1乃至3)の定格消費電力の大小によりその消費電力を評価する。但し、空調状態を他段階で調節可能なエアコンのような空調装置の場合、各空調状態により消費電力が大きく異なる場合も存在する。この場合は各空調状態毎でその消費電力を評価するようにしてもよい。
【0033】
本実施形態では、エンジン停止時の空調モードとして大別すると以下に述べる3種類の空調モードを想定する。図3(a)乃至(c)は各空調モードの動作態様を示す図であり、黒塗りの空調装置(1乃至3)が駆動状態にあることを示している。まず、図3(a)はエアコン+部分冷暖房モード時の動作態様を示す。このモードではエアコン3と部分冷暖房ユニット1が選択されて駆動されており、冷暖房能力は最も高い反面消費電力も最も大きい。
【0034】
図3(b)は換気+部分冷暖房モード時の動作態様を示す。このモードでは換気ファン2と部分冷暖房ユニット1が選択されて駆動されており、冷暖房機能及び消費電力は中間となる。図3(c)は換気モード時の動作態様を示し、このモードでは換気ファン2のみが選択されて駆動される。冷暖房機能は最も劣るが消費電力は最も小さい。本実施形態では上記3種類の空調モードはそれぞれ暖房時と冷房時とで区分けされるので、空調装置(1乃至3)の選択パターンは3種類となるが空調モード全体としては6種類となる。
【0035】
次に、係る構成からなる本実施形態の空調システムの処理について説明する。図4はCPU7が実行する空調選択処理のフローチャートである。CPU7は所定のタイミングで図4の処理を反復する。S1ではクランク回転検出センサ12の検出結果を取得する。S2ではS1で取得した検出結果に基づいてエンジンが停止中か否かを判定する。エンジンが駆動中の場合、S3へ以降し通常モードの空調制御を行う。この場合、エンジンに接続された発電機から電力の供給を受けて各空調装置(1乃至3)を適宜稼動させる。
【0036】
S2でエンジン停止中と判定された場合、エンジン停止時の空調制御を行うべくS4へ進む。S4では車室内温度センサ10及び車外温度センサ11からそれぞれ車室内温度と外気温とを取得する。また、ユーザが設定した目標温度を読み出す。S5以下では温度関係に従って処理を分岐する。
【0037】
S5では目標温度と車室内温度とが近似しているか否かを判定する。近似しているか否かは、両者の差が所定の範囲内(例えば、プラス・マイナス1℃の範囲内の場合)にあるか否かで判定する(近似の判定は以下同様である。)。近似している場合は、特段空調を要しないので1単位の処理を終了する。近似していない場合はS6へ進む。S6では目標温度が車室内温度よりも低いか否かを判定する。低い場合はS7へ進み、そうでない場合はS13へ進む。
【0038】
S7では目標温度と外気温とが近似しているか否かを判定する。近似している場合はS8へ進み、そうでない場合はS9へ進む。S8では換気+部分冷暖房モードが選択され、部分冷暖房ユニット1は冷房(吸熱)とされる。この場合、温度関係は(目標温度)≒(外気温)<(車室内温度)で、春秋の暑い日の場合が考えられる。従って、冷暖房機能及び消費電力が中間の換気+部分冷暖房モードを選択し、それほど冷房能力を上げずに消費電力をセーブして車室内を冷却する。
【0039】
S9では目標温度が外気温よりも低いか否かを判定する。低い場合はS10へ進み、そうでない場合はS11へ進む。S10ではエアコン+部分冷暖房モードが選択され、エアコン2及び部分冷暖房ユニット1はいずれも冷房とされる。この場合、温度関係は(目標温度)<(車室内温度)<(外気温)、若しくは、(目標温度)<(外気温)<(車室内温度)であり、夏場の暑い日の場合が考えられる。そこで、消費電力は大きくなるが車室内の快適性を重視して冷房能力が最も強力なエアコン+部分冷暖房モードを選択し、車室内を冷却する。
【0040】
S11では目標温度が外気温よりも高いか否かを判定する。高い場合はS12へ進み、そうでない場合はS13へ進む。S12では換気モードが選択される。この場合、温度関係は(外気温)<(目標温度)<(車室内温度)であり、冬場で外気温は低いが炎天下等で車室内温度が高い場合が考えられる。そこで、外気を利用することで車室内を冷却すべく、最も消費電力の小さい換気モードを選択し車室内に外気が流通する状態とする。S13では検査モードを実行する。S13へ至る場合は装置の故障等が考えられるので、その故障の検出若しくはユーザへの警告の表示等を行う。
【0041】
次に、S14では目標温度と外気温とが近似しているか否かを判定する。近似している場合はS15へ進み、そうでない場合はS16へ進む。S15では換気+部分冷暖房モードが選択され、部分冷暖房ユニット1は暖房(放熱)とされる。この場合、温度関係は(車室内温度)<(目標温度)≒(外気温)で、春秋の肌寒い日の場合が考えられる。従って、冷暖房機能及び消費電力が中間の換気+部分冷暖房モードを選択し、それほど暖房能力を上げずに消費電力をセーブして車室内を加温する。
【0042】
S16では目標温度が外気温よりも高いか否かを判定する。高い場合はS17へ進み、そうでない場合はS18へ進む。S17ではエアコン+部分冷暖房モードが選択され、エアコン2及び部分冷暖房ユニット1はいずれも暖房とされる。この場合、温度関係は(目標温度)>(車室内温度)>(外気温)、若しくは、(目標温度)>(外気温)>(車室内温度)であり、真冬の寒い日の場合が考えられる。そこで、消費電力は大きくなるが車室内の快適性を重視して暖房能力が最も強力なエアコン+部分冷暖房モードを選択し、車室内を加温する。
【0043】
S18では目標温度が外気温よりも低いか否かを判定する。低い場合はS19へ進み、そうでない場合はS20へ進む。S19では換気モードが選択される。この場合、温度関係は(車室内温度)<(目標温度)<(外気温)であり、夏場に車室内の冷房をかけすぎた直後のような場合が考えられる。そこで、外気を利用することで車室内を加温すべく、最も消費電力の小さい換気モードを選択し車室内に外気が流通する状態とする。S20は上述したS13と同様の検査モードを実行する。
【0044】
このように本実施形態の空調システムによれば、車室内の温度と外気温と目標温度との関係に応じて、車内空調を優先したり或いは消費電力を優先する制御が可能となる。すなわち、乗員の快適性を維持する範囲で空調装置による電力消費を節約でき、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図ることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明によれば、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空調システムのブロック図である。
【図2】(a)は本実施形態の空調システムの各構成の配置を示す車両のレイアウト図、(b)は入力スイッチ14とディスプレイ13との構成例を示す図である。
【図3】(a)乃至(c)は各空調モードの動作態様を示す図である。
【図4】空調選択処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 部分冷暖房ユニット
2 換気ファン
3 エアコン
4 太陽電池
5 サブバッテリ
7 CPU
10 車室内温度センサ
11 車外温度センサ
14 入力スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の空調技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車室内の快適性を維持するため、エアコン、換気ファン等の空調設備を搭載した車両が普及している。また、乗員の足元等に配置され、車室内を部分的に空調するのに好適な空調設備を搭載したものも提案されており、そのような空調設備として例えばペルチェ素子を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
一方、車両を長時間駐車した場合、外気温の影響により車室内の温度が高温又は低温に至り、駐車中の車室内に残っている者や、その後車両に乗り込む者に不快感を与える。とりわけ夏場や冬場にあっては車室内の温度が著しく高温又は低温に至るため顕著となる。ここで、駐車時にあっては通常エンジンが停止しているためエンジン出力を利用して空調設備を駆動する電力を得ることはできない。この点、バッテリから電力を得ることが挙げられるが、バッテリは長時間に渡って十分な電力を供給することは困難である。そこで、車両に太陽電池を設けてこれにより空調設備のための電力を得ることも提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−11517号公報
【特許文献2】特開平11−342731号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、太陽電池の性能が向上しつつあるとはいえ、その出力電力は必ずしも大きなものではなく、車両のエンジン停止時に空調設備を駆動するために利用できる電力には制限がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図り得る車両の空調システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、車室内の空調を行う、消費電力の異なる複数の空調装置と、車室内の温度を検出する第1の検出手段と、外気温を検出する第2の検出手段と、前記複数の空調装置の中から、車両のエンジン停止時に駆動する空調装置の選択を行う選択手段と、を備え、前記選択手段は、前記第1の検出手段により検出された車室内の温度と、前記第2の検出手段により検出された外気温と、予め設定された目標温度と、に基づいて、前記空調装置の選択を行うことを特徴とする車両の空調システムが提供される。
【0008】
このシステムによれば、車室内温度、外気温及び目標温度の関係により、消費電力の異なる複数の空調装置の中から駆動する空調装置が選択される。そして、当該関係により、車内空調を優先したり或いは消費電力を優先する制御が可能となる。従って、このシステムは、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図ることができる。
【0009】
本発明においては、前記複数の空調装置が、外気を車室内に流通させるファンと、空気を加温又は冷却して車室内に供給するエアコンと、車室内の所定の箇所に設置され、通電により放熱又は吸熱する素子と、を含むこともできる。
【0010】
このように冷暖房能力と消費電力の異なる空調装置を採用することで、車室内の空調とその電力消費との多様な調和を図ることができる。
【0011】
この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度と前記外気温とがいずれも前記目標温度よりも高い場合は、前記エアコンと前記素子とを選択して車室内を冷却するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調が優先され車室内の快適性が維持される。
【0012】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記外気温及び前記目標温度よりも高く、かつ、前記外気温と前記目標温度との差が所定の範囲内の場合には、前記ファンと前記素子とを選択して車室内を冷却するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調と消費電力との双方を考慮した空調制御が可能となる。
【0013】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記目標温度よりも高く、かつ、前記外気温が前記目標温度よりも低い場合には、前記ファンを選択して車室内を冷却するようにすることもできる。この選択の場合、消費電力が優先され電力消費を低減することが可能となる。
【0014】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度と前記外気温とがいずれも前記目標温度よりも低い場合は、前記エアコンと前記素子とを選択して車室内を加温するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調が優先され車室内の快適性が維持される。
【0015】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記外気温及び前記目標温度よりも低く、かつ、前記外気温と前記目標温度との差が所定の範囲内の場合には、前記ファンと前記素子とを選択して車室内を加温するようにすることもできる。この選択の場合、車室内の空調と消費電力との双方を考慮した空調制御が可能となる。
【0016】
また、この場合、前記選択手段は、前記車室内の温度が前記目標温度よりも低く、かつ、前記外気温が前記目標温度よりも高い場合には、前記ファンを選択して車室内を加温するようにすることもできる。この選択の場合、消費電力が優先され電力消費を低減することが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、前記目標温度をユーザが設定するための設定手段を備えてもよい。これにより、各ユーザの好みに応じた空調が可能となる。
【0018】
また、本発明においては、前記複数の空調装置が、太陽電池により発電された電気を蓄積するバッテリから電力の供給を受けるようにしてもよい。太陽電池を用いることで車両のエンジン停止時においても電力の供給が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る空調システムのブロック図、図2(a)は本実施形態の空調システムの各構成の配置を示す車両のレイアウト図である。本実施形態においては部分冷暖房ユニット1と換気ファン2とエアコン3という、3種類の空調装置を設けた場合を例に挙げて説明する。しかし、本発明はこれに限られず、消費電力の異なる同種複数の空調装置も採用可能であり、また、空調装置の数も複数であれば任意に採用可能である。
【0020】
部分冷暖房ユニット1は、車室内の所定の箇所に設置され、通電により放熱又は吸熱する素子を用いたユニットである。そのような素子としては例えばペルチェ素子を挙げることができる。本実施形態の場合、この部分冷暖房ユニット1を車室内の各シートにそれぞれ内蔵するように構成している。このように配置することで、乗員を直接的に加温又は冷却することができ、体感的には最も効率的な空調装置となる。また、この部分冷暖房ユニット1は、例えば、乗員の足元のフロアやルーフの内側に設けてもよい。
【0021】
換気ファン2は外気を車室内に流通させることにより、車室内の空調を行う空調装置であり、例えば、ファンモータから構成される。本実施形態の場合、車両の前方と後方との2箇所にそれぞれ換気ファン2を配設しており、前方の換気ファン2により車室内に外気を取り込み、後方の換気ファン2から車室内の空気を車両外へ排出するようにしている。
【0022】
エアコン3は空気を加温又は冷却して車室内に供給するものであり、空気を加温又は冷却する点で単に気流を生じさせる換気ファン2と異なる。車室内にはエアコン3による空気の吹出口が複数設けられており(図示せず)、これらの吹出口から加温又は冷却された空気を車室内へ供給する。
【0023】
これらの各空調装置(部分冷暖房ユニット1、換気ファン2及びエアコン3)は、車両のエンジン停止時にあっては太陽電池4により発電された電気を蓄積するサブバッテリ5から電力の供給を受けることで駆動される。なお、エンジン駆動時にはエンジンに取付けられた発電機から電力の供給を受けるように構成することができる。このように太陽電池4から電力の供給を受けることでエンジン停止時においても電力の供給が可能となる。サブバッテリ5は最後方のシート下に配設されており、上述した3種類の空調装置の他、各種補機の電力源として用いることができる。
【0024】
太陽電池4は車両のルーフ表面に配設されており、太陽光を電気エネルギーに変換する。充放電コントローラ6は太陽電池4からの電力をサブバッテリ5に蓄電し、また、サブバッテリ5から各空調装置へ電力が供給されるようにサブバッテリ5の放電を制御するものである。充放電コントローラ6は、CPU7の命令に従って、エンジン停止時において各空調装置等を駆動する場合にサブバッテリ5を放電するようにし、エンジン駆動中或いは各空調装置等の非駆動時にはサブバッテリ5を充電するように作動する。
【0025】
CPU7は、インターフェース15を介して各空調装置(1乃至3)及び充放電コントローラ6の制御を司るプロセッサである。CPU7は各空調装置(1乃至3)の駆動・非駆動の切り替え及び充放電コントローラ6の充電、放電の切り替え等を行い、特に後述する空調選択処理を実行する。ROM(リードオンリメモリ)8には後述する空調選択処理のプログラムの他、固定的なデータを記憶するメモリである。RAM(ランダムアクセスメモリ)9はCPU7によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する。これらのROM8及びRAM9としては他の記憶手段を採用してもよいことはいうまでもない。また、CPU7、ROM8及びRAM9は車両の制御部で用いられるものを併用するようにしてもよい。
【0026】
車室内温度センサ10は車室内の温度を検出するためのセンサであり、本実施形態の場合、車両のルーフ内側に配置しているが車室内の温度を検出可能な任意の配設位置が選択できる。車外温度センサ11は車外気温を検出するためのセンサであり、本実施形態の場合、ボンネット上部に配設しているがこれも外気温を検出可能な任意の配設位置を選択できる。これらのセンサとしては例えばサーミスタ素子を用いることができる。
【0027】
車室内温度センサ10及び車外温度センサ11はインターフェース15を介してCPU7に接続されており、A/D変換器(図示せず)等により検出した車室内温度及び車外温度のデジタル情報をCPU7に提供する。
【0028】
クランク回転検出センサ12は車両のエンジンの停止を検出するためのセンサであり、例えば、エンジンの点火タイミング制御に用いられるクランク角センサをこのクランク回転検出センサ12として併用することもできる。なお、エンジンの停止を検出するために、このクランク回転検出センサ12に代えて他の物理量を検出する各種センサを採用してもよいことはいうまでもない。クランク回転検出センサ12による検出結果はインタフェース15を介してCPU7に提供される。
【0029】
入力スイッチ14は、エンジン停止時に行う車室内空調の目標温度をユーザが設定するための設定用のスイッチであり、ディスプレイ13はユーザが設定する目標温度を表示する表示器である。図2(b)は入力スイッチ14とディスプレイ13との構成例を示す図であり、例えば、インストルメントパネル(インパネ)に配設される。図2(b)においてディスプレイ13は現在の目標温度(設定温度)を表示している。
【0030】
スイッチ14aはデフォルト又は過去に設定された設定温度を下げることを指示するためのもので、スイッチ14bは設定温度を上げることを指示するためのものである。決定スイッチ14cは設定温度の変更時に操作し、変更後に再びこれを操作することで設定温度を確定するためのスイッチである。入力スイッチ14による指示はインターフェース15を介してCPU7に提供され、また、CPU7はインタフェース15を介してディスプレイ13の表示制御を行う。このようにユーザが目標温度を設定可能とすることで、各ユーザの好みに応じた空調が可能となる。
【0031】
次に、本実施形態における、エンジン停止時の各空調モードについて説明する。本実施形態では外気温、車室内温度及び目標温度の関係(以下、温度関係という。)に基づいて、駆動する各空調装置(1乃至3)の組合せを選択する。この組合せは、各空調装置(1乃至3)の消費電力に従って予め設定されており、いずれか一つの空調装置が選択される場合も含まれる。ここで、本実施形態の場合、換気ファン2と部分冷暖房ユニット1とはそれぞれ複数設けられているが、各換気ファン2と、各部分冷暖房ユニット1とは、それぞれ一括して駆動又は非駆動とされるため、各換気ファン2の合計の消費電力を換気ファン2の消費電力とし、各部分冷暖房ユニット1の合計の消費電力を部分冷暖房ユニット1の消費電力として評価する。
【0032】
従って、本実施形態では、エアコン3が最も消費電力が高く、換気ファン2が最も消費電力が小さく、更に、部分冷暖房ユニット1の消費電力がその中間である場合を想定する。ここでいう消費電力とは例えばその装置の定格消費電力であり、本実施形態は各空調装置(1乃至3)の定格消費電力の大小によりその消費電力を評価する。但し、空調状態を他段階で調節可能なエアコンのような空調装置の場合、各空調状態により消費電力が大きく異なる場合も存在する。この場合は各空調状態毎でその消費電力を評価するようにしてもよい。
【0033】
本実施形態では、エンジン停止時の空調モードとして大別すると以下に述べる3種類の空調モードを想定する。図3(a)乃至(c)は各空調モードの動作態様を示す図であり、黒塗りの空調装置(1乃至3)が駆動状態にあることを示している。まず、図3(a)はエアコン+部分冷暖房モード時の動作態様を示す。このモードではエアコン3と部分冷暖房ユニット1が選択されて駆動されており、冷暖房能力は最も高い反面消費電力も最も大きい。
【0034】
図3(b)は換気+部分冷暖房モード時の動作態様を示す。このモードでは換気ファン2と部分冷暖房ユニット1が選択されて駆動されており、冷暖房機能及び消費電力は中間となる。図3(c)は換気モード時の動作態様を示し、このモードでは換気ファン2のみが選択されて駆動される。冷暖房機能は最も劣るが消費電力は最も小さい。本実施形態では上記3種類の空調モードはそれぞれ暖房時と冷房時とで区分けされるので、空調装置(1乃至3)の選択パターンは3種類となるが空調モード全体としては6種類となる。
【0035】
次に、係る構成からなる本実施形態の空調システムの処理について説明する。図4はCPU7が実行する空調選択処理のフローチャートである。CPU7は所定のタイミングで図4の処理を反復する。S1ではクランク回転検出センサ12の検出結果を取得する。S2ではS1で取得した検出結果に基づいてエンジンが停止中か否かを判定する。エンジンが駆動中の場合、S3へ以降し通常モードの空調制御を行う。この場合、エンジンに接続された発電機から電力の供給を受けて各空調装置(1乃至3)を適宜稼動させる。
【0036】
S2でエンジン停止中と判定された場合、エンジン停止時の空調制御を行うべくS4へ進む。S4では車室内温度センサ10及び車外温度センサ11からそれぞれ車室内温度と外気温とを取得する。また、ユーザが設定した目標温度を読み出す。S5以下では温度関係に従って処理を分岐する。
【0037】
S5では目標温度と車室内温度とが近似しているか否かを判定する。近似しているか否かは、両者の差が所定の範囲内(例えば、プラス・マイナス1℃の範囲内の場合)にあるか否かで判定する(近似の判定は以下同様である。)。近似している場合は、特段空調を要しないので1単位の処理を終了する。近似していない場合はS6へ進む。S6では目標温度が車室内温度よりも低いか否かを判定する。低い場合はS7へ進み、そうでない場合はS13へ進む。
【0038】
S7では目標温度と外気温とが近似しているか否かを判定する。近似している場合はS8へ進み、そうでない場合はS9へ進む。S8では換気+部分冷暖房モードが選択され、部分冷暖房ユニット1は冷房(吸熱)とされる。この場合、温度関係は(目標温度)≒(外気温)<(車室内温度)で、春秋の暑い日の場合が考えられる。従って、冷暖房機能及び消費電力が中間の換気+部分冷暖房モードを選択し、それほど冷房能力を上げずに消費電力をセーブして車室内を冷却する。
【0039】
S9では目標温度が外気温よりも低いか否かを判定する。低い場合はS10へ進み、そうでない場合はS11へ進む。S10ではエアコン+部分冷暖房モードが選択され、エアコン2及び部分冷暖房ユニット1はいずれも冷房とされる。この場合、温度関係は(目標温度)<(車室内温度)<(外気温)、若しくは、(目標温度)<(外気温)<(車室内温度)であり、夏場の暑い日の場合が考えられる。そこで、消費電力は大きくなるが車室内の快適性を重視して冷房能力が最も強力なエアコン+部分冷暖房モードを選択し、車室内を冷却する。
【0040】
S11では目標温度が外気温よりも高いか否かを判定する。高い場合はS12へ進み、そうでない場合はS13へ進む。S12では換気モードが選択される。この場合、温度関係は(外気温)<(目標温度)<(車室内温度)であり、冬場で外気温は低いが炎天下等で車室内温度が高い場合が考えられる。そこで、外気を利用することで車室内を冷却すべく、最も消費電力の小さい換気モードを選択し車室内に外気が流通する状態とする。S13では検査モードを実行する。S13へ至る場合は装置の故障等が考えられるので、その故障の検出若しくはユーザへの警告の表示等を行う。
【0041】
次に、S14では目標温度と外気温とが近似しているか否かを判定する。近似している場合はS15へ進み、そうでない場合はS16へ進む。S15では換気+部分冷暖房モードが選択され、部分冷暖房ユニット1は暖房(放熱)とされる。この場合、温度関係は(車室内温度)<(目標温度)≒(外気温)で、春秋の肌寒い日の場合が考えられる。従って、冷暖房機能及び消費電力が中間の換気+部分冷暖房モードを選択し、それほど暖房能力を上げずに消費電力をセーブして車室内を加温する。
【0042】
S16では目標温度が外気温よりも高いか否かを判定する。高い場合はS17へ進み、そうでない場合はS18へ進む。S17ではエアコン+部分冷暖房モードが選択され、エアコン2及び部分冷暖房ユニット1はいずれも暖房とされる。この場合、温度関係は(目標温度)>(車室内温度)>(外気温)、若しくは、(目標温度)>(外気温)>(車室内温度)であり、真冬の寒い日の場合が考えられる。そこで、消費電力は大きくなるが車室内の快適性を重視して暖房能力が最も強力なエアコン+部分冷暖房モードを選択し、車室内を加温する。
【0043】
S18では目標温度が外気温よりも低いか否かを判定する。低い場合はS19へ進み、そうでない場合はS20へ進む。S19では換気モードが選択される。この場合、温度関係は(車室内温度)<(目標温度)<(外気温)であり、夏場に車室内の冷房をかけすぎた直後のような場合が考えられる。そこで、外気を利用することで車室内を加温すべく、最も消費電力の小さい換気モードを選択し車室内に外気が流通する状態とする。S20は上述したS13と同様の検査モードを実行する。
【0044】
このように本実施形態の空調システムによれば、車室内の温度と外気温と目標温度との関係に応じて、車内空調を優先したり或いは消費電力を優先する制御が可能となる。すなわち、乗員の快適性を維持する範囲で空調装置による電力消費を節約でき、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図ることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明によれば、車両のエンジン停止時における、車室内の空調とその電力消費との調和を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空調システムのブロック図である。
【図2】(a)は本実施形態の空調システムの各構成の配置を示す車両のレイアウト図、(b)は入力スイッチ14とディスプレイ13との構成例を示す図である。
【図3】(a)乃至(c)は各空調モードの動作態様を示す図である。
【図4】空調選択処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 部分冷暖房ユニット
2 換気ファン
3 エアコン
4 太陽電池
5 サブバッテリ
7 CPU
10 車室内温度センサ
11 車外温度センサ
14 入力スイッチ
Claims (10)
- 車室内の空調を行う、消費電力の異なる複数の空調装置と、
車室内の温度を検出する第1の検出手段と、
外気温を検出する第2の検出手段と、
前記複数の空調装置の中から、車両のエンジン停止時に駆動する空調装置の選択を行う選択手段と、を備え、
前記選択手段は、
前記第1の検出手段により検出された車室内の温度と、前記第2の検出手段により検出された外気温と、予め設定された目標温度と、に基づいて、前記空調装置の選択を行うことを特徴とする車両の空調システム。 - 前記複数の空調装置が、
外気を車室内に流通させるファンと、
空気を加温又は冷却して車室内に供給するエアコンと、
車室内の所定の箇所に設置され、通電により放熱又は吸熱する素子と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の空調システム。 - 前記選択手段は、
前記車室内の温度と前記外気温とがいずれも前記目標温度よりも高い場合は、前記エアコンと前記素子とを選択して車室内を冷却することを特徴とする請求項2に記載の車両の空調システム。 - 前記選択手段は、
前記車室内の温度が前記外気温及び前記目標温度よりも高く、かつ、前記外気温と前記目標温度との差が所定の範囲内の場合には、前記ファンと前記素子とを選択して車室内を冷却することを特徴とする請求項2に記載の車両の空調システム。 - 前記選択手段は、
前記車室内の温度が前記目標温度よりも高く、かつ、前記外気温が前記目標温度よりも低い場合には、前記ファンを選択して車室内を冷却することを特徴とする請求項2に記載の車両の空調システム。 - 前記選択手段は、
前記車室内の温度と前記外気温とがいずれも前記目標温度よりも低い場合は、前記エアコンと前記素子とを選択して車室内を加温することを特徴とする請求項2に記載の車両の空調システム。 - 前記選択手段は、
前記車室内の温度が前記外気温及び前記目標温度よりも低く、かつ、前記外気温と前記目標温度との差が所定の範囲内の場合には、前記ファンと前記素子とを選択して車室内を加温することを特徴とする請求項2に記載の車両の空調システム。 - 前記選択手段は、
前記車室内の温度が前記目標温度よりも低く、かつ、前記外気温が前記目標温度よりも高い場合には、前記ファンを選択して車室内を加温することを特徴とする請求項2に記載の車両の空調システム。 - 前記目標温度をユーザが設定するための設定手段を備えことを特徴とする請求項1に記載の車両の空調システム。
- 前記複数の空調装置が、太陽電池により発電された電気を蓄積するバッテリから電力の供給を受けることを特徴とする請求項1に記載の車両の空調システム。
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2003
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