JP2004291500A - 高透過率導電性フィルム、その製造方法、タッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】λ/4機能を有し、光の透過率の高い高透過率透明導電性フィルムを提供する。さらに、薄型、軽量、低コスト、高視認性のタッチパネル、およびタッチパネル付き表示装置を提供すること。
【解決手段】位相差板の少なくとも一方の面に、位相差板側に隣接する層よりも屈折率の低い中間層を積層し、中間層を積層した側の最表面に透明導電膜有し、好ましくは中間層と透明導電膜の間に中間層より屈折率の高い高屈折率層を設けた高透過率導電性フィルムと、それを用いたタッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置を作製する。
【選択図】 なし
【解決手段】位相差板の少なくとも一方の面に、位相差板側に隣接する層よりも屈折率の低い中間層を積層し、中間層を積層した側の最表面に透明導電膜有し、好ましくは中間層と透明導電膜の間に中間層より屈折率の高い高屈折率層を設けた高透過率導電性フィルムと、それを用いたタッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置を作製する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の透過率が高い透明導電性フィルム、その製造方法、並びに該フィルムを用いたタッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会は、高度情報社会と言われており、情報の流通量が増大し、各個人における情報の収集や選択に対する要求が増大している。このような社会的背景においては、情報携帯端末やカーナビゲーションなど移動しながら情報を処理することのできる移動型の情報端末に対するニーズが大きくなり、積極的に開発が進められている。
移動型の情報端末では、操作者とのインターフェイスとしてはキーボードを用いるより、携帯性を重視して、表示装置の表示部に重ねて使用する透明のタッチパネルを搭載することが主流となってきている。
【0003】
近年は情報量増加に伴い表示装置のカラー化の要求も高まっている。しかし、カラー表示ではカラーフィルタにより透過率が低下し、明度が白黒表示時に比べて極端に低下し、視認性が低下する。そのため、カラー液晶表示装置においては、高明度化および高コントラスト化の要求が高くなる。さらに、表示装置にタッチパネルを搭載した場合は、表面の反射に加え、タッチパネルの内部に存在する高屈折率の透明導電膜と空気との界面での反射率が大きく、明るい環境下でのコントラストの低下が大きく、高コントラスト化の要求がより高まることとなる。
【0004】
ところで、タッチパネルが装備される表示装置としては、液晶表示装置、CRT、EL、PDPなどがある。液晶表示装置ではそのほとんどが画面の表示のために偏光板を1枚以上用いている。また、ELではセル内部での反射防止のため、外面側に偏光板と位相差板を組み合わせた円偏光板を設けている。
このような表示装置にタッチパネルを搭載する場合は、前述のように、タッチパネル部の反射率が大きく、反射光が増大し、コントラストが低下することと、さらに装置自体が厚くなるという問題点があった。これに対して液晶表示装置の偏光板と液晶セルの間に抵抗膜式タッチパネルの機能を挿入したインナー型タッチパネルの提案がされている。この方式によれば、界面が減少し、さらにλ/4板と組み合わせることで、界面反射による表示側に再放出される反射光が著しく低減され、視認性が著しく向上する。
【0005】
上記のようなインナータイプタッチパネルの視認者側の基板である上部基板の必要構成要件は、視認者側より、偏光板、λ/4板、透明導電膜という順に機能性膜が設けられていることであるが、一般的には、透明導電膜はλ/4板に直接設けず、他の透明フィルムに透明導電膜を成膜したのち、該透明フィルムの透明導電膜を設けた面と反対側の面上に、粘着剤を介してλ/4板を貼り付けている。しかし、薄型、低生産コストの観点からは、λ/4板に直接透明導電膜を成膜することが望ましい。
【0006】
また、上記のような、上部基板に偏光板とλ/4板を有するタッチパネルをTNの旋光モードを用いた直線偏光タイプの透過型液晶装置に搭載しようとすると、タッチパネルの下部基板の透明導電膜と液晶セルの視認者側の偏光板との間にλ/4機能を付与する必要がある。この場合にはタッチパネルの下部基板にλ/4板を用い、その表面に直接透明導電膜を形成するのが望ましいが、実用化されてはいない。
【0007】
また、このような透明導電膜付きλ/4板を作製しても、透過率の向上の要求があるのは容易に想像できる。この場合の透過率向上の手段としては、λ/4板と透明導電膜の間に屈折率の異なる多層の光学干渉層を設けることが考えられる。この多層干渉層の形成に関する従来の技術としては、ゾルゲル法で形成する方法(例えば、特許文献1および特許文献2参照)や蒸着法で形成する方法(例えば、特許文献3参照)などがある。しかし、いずれも生産性やプロセス温度の問題で、フィルム上に安価に成膜するという目的は十分に満たされていない。
さらに、スパッタリング法や蒸着法で多層の干渉層を設けようとしても、用いることが可能な材料が限定され、干渉層のそれぞれの層の屈折率を希望の値に自由に調整することは困難である。
また、ゾルゲル法で多層の干渉層を設ける場合に関しても、スパッタリング法などと同様に屈折率の制御が難しいことと、基板との密着性や膜の脆性の問題で、フィルム基板の上に成膜することに関しては課題が多い。
なお、多層干渉層をλ/4板と透明導電膜の間に設けた例は、特に報告はされていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−53114号公報
【特許文献2】
特開2000−301648号公報
【特許文献3】
国際公開WO00/63924号パンフレット
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、λ/4機能を有し、光の透過率の高い高透過率透明導電性フィルムを提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、薄型、軽量、低コスト、高視認性のタッチパネル、およびタッチパネル付き表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記に列挙する高透過導電性フィルム、タッチパネル、及びタッチパネル付き表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
(1)位相差板の少なくとも一方の面に、位相差板側に隣接する層よりも屈折率の低い中間層が積層され、該中間層が積層された側の最表面に透明導電膜を有する高透過率導電性フィルム。
(2)位相差板が、ポリマーフィルムからなる透明支持体上に少なくとも二つの光学異方性層が塗布されて形成されたλ/4板であって、少なくとも一つの光学異方性層が液晶性化合物を含む層であることを特徴とする上記(1)に記載の高透過率導電性フィルム。
(3)中間層が、熱もしくは電離放射線硬化性の含フッ素硬化性樹脂および/または熱もしくは電離放射線硬化性の3官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂を主体とする層であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高透過率導電性フィルム。
(4)中間層の屈折率が1.35〜1.6である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(5)ポリマーフィルムと中間層の間にポリマーフィルムより高い屈折率を持つ高屈折率層を有し、高屈折率層の屈折率が1.6〜2.6である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(6)透明導電膜を形成した反対側の面に屈折率の異なる複数の層を有する反射防止構造を設けた上記(1)〜(5)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(7)波長550nmにおける光の透過率が90%以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(8)透明導電膜の膜厚が5〜200nmで、抵抗値が2000Ω/□以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
【0011】
(9)高透過率導電性フィルムを構成する層のうち少なくとも2層以上は塗布法で形成し、かつ、少なくとも2層以上の塗布層は、ポリマーフィルムを一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成されることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルムの製造方法。
【0012】
(10)透明導電膜を有する上部基板および下部基板が、透明導電膜同士を向かい合わせて配置されてなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方の基板が上記(1)〜(8)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルムを含むことを特徴とするタッチパネル。
(11)上部基板が円偏光機能を有していることを特徴とする上記(10)に記載のインナータイプタッチパネル。
(12)上記(10)または(11)に記載のタッチパネルを搭載したタッチパネル付き表示装置。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の高透過率導電性フィルムを用いたタッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置の代表的な例を図1、図2に概略断面図として模式的に示す。
図1の例は、半透過型液晶との組み合わせで、タッチパネルの上部基板(視認側の基板)に液晶表示用の円偏光板を使用した、いわゆるインナータイプタッチパネルであり、円偏光板によって内部反射光を遮ることにより、コントラストを向上させることができる。図1において、下部基板21と、上部基板22は、空隙を設けた状態で、互いに透明導電膜を向かい合わせて配置され、タッチパネル23を形成している。上部基板22のタッチパネルの空隙と反対側の面にはハードコート層18と反射防止膜19が、この順序で配置されるのが望ましいが、ハードコート層と反射防止膜はどちらか片方または両方がなくてもよい。
図2の例はTN(Twisted Nematic)型の旋光モードを用いた直線偏光タイプの透過型液晶装置(51〜58からなる)の上に、上部基板に円偏光機能を有する低反射タッチパネルを搭載した例である。図2の例において、下部基板81と、上部基板82は、空隙を設けた状態で、互いに透明導電膜を向かい合わせて配置され、タッチパネル83を形成している。上部基板82のタッチパネルの空隙と反対側の面にはハードコート層71と反射防止膜72が、この順序で配置されるのが望ましいが、ハードコート層と反射防止膜はどちらか片方または両方がなくてもよい。
図1、図2のいずれの例でも、λ/4板と透明導電膜の間に、λ/4板より屈折率の高い高屈折率層と高屈折率層より屈折率の低い中間層とを、この順番で設けた本発明の高透過率導電性フィルムの構成を用いている。このような層構成にすることで、各界面での反射による干渉作用で、高透過率化を達成することができる。
図1、2に関しては、タッチパネルを表示装置上に搭載しているが、表示装置に関しては、特に限定されるものではなく、さまざまな表示装置に適用することができる。
なお、本発明のタッチパネル付き表示装置はこの例に限定されず、各種のバリエーションがあることは言うまでもない。
【0014】
(位相差板)
本発明では、高透過率導電性フィルムの支持体として位相差板を用いる。
位相差板はポリマーフィルムなど単体からなってもよく、複数枚のフィルムを積層することで構成してもよい。以降、位相差板として最もよく使用されるλ/4板を例示して記述する場合があるが、λ/4板に制限されるわけではない。
【0015】
[位相差板の光学的性質]
位相差板としては、波長λでのレターデーション値(Reλ)がλ/4であるのが理想である。実際には用いる材料により波長によりλ/4からズレが生じるので、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が60乃至135nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が100乃至170nmであればよい。また、Re590−Re450≧2nmであることが好ましく、Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが最も好ましい。
ここで、レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、厚さ(nm)である。
【0016】
[位相差板の構成]
位相差板としては、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフィルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフィルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフィルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースエステルフィルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等を挙げることができる。また、特開2001−4837号公報に記載された液晶性化合物で形成されたλ/2層とλ/4層の2つの光学異方性層が支持体上に形成されることにより、広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板を用いることもできる(以下、このように、少なくとも二つの光学異方性層を有し、少なくとも一つの層が液晶性化合物で形成されたλ/4板を塗布型λ/4板と呼ぶ)。
【0017】
以下、薄型・軽量化でき、コスト面から言って最も好ましく、また光学特性や遅相軸方向のコントロールが容易である塗布型λ/4板の例を詳しく説明する。塗布型λ/4板は、少なくとも二つの光学異方性層を組み合わせることにより得られる。二つの光学異方性層の組み合わせは、二種類の態様に分類できる。
【0018】
第一の態様では、第1の光学異方性層の遅相軸と、第2の光学異方性層の遅相軸とを、実質的に60゜で交差させる。
第1の光学異方性層は、特定の波長(λ)において実質的にλ/2の位相差を有し、第2の光学異方性層は、特定の波長(λ)において実質的にλ/4の位相差を有していることが好ましい。特定の波長(λ)としては、可視領域のほぼ中間である550nmであることが特に好ましい。
特定波長(λ)を550nmとすると、第1の光学異方性層のレターデーション値は、150乃至350nmであることが好ましく、180乃至300nmであることがより好ましく、200乃至280nmであることがさらに好ましく、210乃至270nmであることが最も好ましい。特定波長を550nmとすると、第2の光学異方性層のレターデーション値は、60乃至170nmであることが好ましく、70乃至150nmであることがより好ましく、80乃至135nmであることがさらに好ましく、80乃至120nmであることが最も好ましい。
なお、偏光膜とλ/4板とを組み合わせて円偏光板として機能させる場合、偏光膜の偏光軸と、一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に75゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に15゜で交差させることが好ましい。
また、λ/4板が、さらに長手方向を有する透明支持体を有する場合、透明支持体の長手方向と、一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に75゜で交差させ、そして、直線偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に15゜で交差させることが好ましい。
【0019】
第二の態様では、第1の光学異方性層の遅相軸と、第2の光学異方性層の遅相軸とを、実質的に直交させる。
450nmの波長で測定した第1の光学異方性層のレターデーション値と450nmの波長で測定した第2の光学異方性層のレターデーション値との差、および590nmの波長で測定した第1の光学異方性層のレターデーション値と590nmの波長で測定した第2の光学異方性層のレターデーション値との差は、いずれも実質的に波長差の1/4であることが好ましい。具体的には、Re590−Re450≧2nmであることが好ましく、Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが最も好ましい。
なお、偏光膜とλ/4板とを組み合わせて円偏光板として機能させる場合、偏光膜の偏光軸と、一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に45゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に45゜で交差させることが好ましい。
また、λ/4板が、さらに長手方向を有する透明支持体を有する場合、透明支持体の長手方向と、一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に45゜で交差させ、そして、直線偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に45゜で交差させることが好ましい。
【0020】
[塗布型λ/4板の構成]
図3は、塗布型λ/4板の代表的な構成を示す模式図である。
図3に示すλ/4板は、透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)を有する。
第1光学異方性層(A)の位相差は、実質的にλ/2(波長550nmで150〜350nm)に調整されている。第2光学異方性層(B)の位相差は、実質的にλ/4(波長550nmで60〜170nm)に調整されている。
透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。
図3に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)は、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性化合物(c1およびc2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
【0021】
棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、配向膜のラビング方向(raおよびrb)によって、配向方向が決定されている。第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)と配向膜のラビング方向(ra)とは直交している。すなわち、第1光学異方性層(A)の配向膜としては、直交型配向膜を用いている。一方、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と配向膜のラビング方向(rb)とは平行である。すなわち、第2光学異方性層(B)の配向膜としては、平行型配向膜を用いている。
棒状液晶性化合物(c1およびc2)に代えて、円盤状液晶性化合物を用いることもできる。円盤状液晶性化合物を用いる場合も、円盤状液晶性化合物をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性化合物の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0022】
図4は、円偏光板の代表的な構成を示す模式図である。
図4に示す円偏光板は、図3に示した透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)からなるλ/4板に、さらに偏光膜(P)を有する。
図3と同様に、透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。さらに、偏光膜(P)の偏光軸(p)と透明支持体(S)の長手方向(s)とは直交している。
【0023】
図4に示した第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)も、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性化合物(c1およびc2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
棒状液晶性化合物(c1およびc2)に代えて、円盤状液晶性化合物を用いることもできる。円盤状液晶性化合物を用いる場合も、円盤状液晶性化合物をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性化合物の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
図4に示した円偏光板は、右円偏光を生じる構成である。左円偏光を生じる構成では、λ/2の位相差を有する第1光学異方性層の光軸が−75゜で、λ/4の位相差を有する第2光学異方性層の光軸が−15゜となる。従って、第1光学異方性層のラビング方向が+15゜で、第2光学異方性層のラビング方向が−15゜となる。
【0024】
[光学異方性層]
光学異方性層は、液晶性化合物またはポリマーフィルムから形成することができる。本発明では、少なくとも二つの光学異方性層のうち、少なくとも一つは液晶性化合物から形成するのが好ましく、少なくとも二つの光学異方性層を液晶性化合物から形成することがより好ましい。
【0025】
ポリマーフィルムからなる光学異方性層に用いられるポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステルが含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
フィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸であることが好ましい。一軸延伸は、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。
使用するポリマーの固有複屈折が正の場合には、ポリマーフィルムの面内の屈折率が最大となる方向は、フィルムの延伸方向に相当する。使用するポリマーの固有複屈折が負の場合には、ポリマーフィルムの面内の屈折率が最大となる方向は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
ポリマーフィルムの厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましく、50乃至100μmであることが最も好ましい。
【0026】
光学異方性層に用いる液晶性化合物は、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物が好ましい。液晶性化合物は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。液晶性化合物は、ホモジニアス配向させることが好ましい。
【0027】
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶性化合物は、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許468337号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号の各明細書、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号の各公報に記載がある。
【0028】
下記式(I)で表される重合性棒状液晶性化合物が特に好ましい。
式(I);
Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
【0029】
式(I)において、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。
重合性基の例を以下に示す。
【0030】
【化1】
【0031】
重合性基(Q1およびQ2)は、不飽和重合性基(Q−1〜Q−7)、エポキシ基(Q−8)またはアジリジニル基(Q−9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q−1〜Q−6)であることが最も好ましい。
【0032】
式(I)において、L1およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基である。
L1およびL4は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR1−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R1は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy2)に結合する。
【0033】
L−1:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−
L−6:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−CO−O−
L−7:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−二価の鎖状脂肪族基−
【0034】
二価の鎖状脂肪族基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基または置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、3乃至8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換アルキレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換アルケニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換アルキニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
【0035】
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R1は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0036】
式(I)において、L2またはL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
二価の連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基ことが好ましい。上記R2は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
二価の鎖状脂肪族基の定義および例は、L1およびL4の定義および例と同様である。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R2は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0037】
式(I)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環である方が好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
【0038】
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、1,4−フェニレンまたは1,4−シクロへキシレンであることが特に好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が1乃至5のアシル基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアミド基が含まれる。
【0039】
式(I)において、nは、0、1または2である。nが2の場合、二つのL3およびCy2は、異なっていてもよい。nは、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0040】
円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Cryst. Liq.Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0041】
式(II):D(−L−Q)n
式(II)において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整数である。
【0042】
式(II)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0043】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L−11:−AL−CO−O−AL−
L−12:−AL−CO−O−AL−O−
L−13:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L−14:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L−15:−CO−AR−O−AL−
L−16:−CO−AR−O−AL−O−
L−17:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−18:−CO−NH−AL−
L−19:−NH−AL−O−
L−20:−NH−AL−O−CO−
【0044】
L−21:−O−AL−
L−22:−O−AL−O−
L−23:−O−AL−O−CO−
L−24:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L−25:−O−AL−S−AL−
L−26:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L−27:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L−28:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−29:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L−30:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L−31:−S−AL−
L−32:−S−AL−O−
L−33:−S−AL−O−CO−
L−34:−S−AL−S−AL−
L−35:−S−AR−AL−
【0045】
式(II)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の定義および例は、式(I)におけるQ1およびQ2の定義および例と同様である。
複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上の円盤状液晶性化合物(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
【0046】
液晶性化合物から形成する光学異方性層には、液晶性化合物をホモジニアスで均一に配向させるために水平配向促進剤を添加することが好ましい。
水平配向促進剤は、高分子化合物と低分子化合物とに分類できる。高分子型水平配向促進剤の例には、ポリビニルブチラール、ポリメラミンおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。低分子型水平配向促進剤の例は、以下に示す。
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
水平配向促進剤は、液晶性化合物の量に対して、0.001乃至5質量%の範囲で添加することが好ましく、0.05乃至1質量%の範囲で添加することがさらに好ましい。
【0060】
光学異方性層は、液晶性化合物および下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することができる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0061】
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定する。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(Q)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0062】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2乃至800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、空気中の酸素(酸素は重合阻害作用を有する)の影響を排除するため、窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましい。
【0063】
[配向膜]
液晶性化合物を配向させるために配向膜を用いることが好ましい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回擦ることにより実施する。
【0064】
本発明では、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物をホモジニアスに配向させることが好ましい。ただし、同じ「ホモジニアス」と称していても、棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物とは、著しく相違する。従って、配向膜に使用するポリマーは、液晶化合物の種類(棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物)に応じて決定する必要がある。
棒状液晶性化合物をホモジニアス(水平)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向膜用ポリマー)を用いる。
円盤状液晶性化合物をホモジニアス(垂直)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させるポリマーを用いる。配向膜の表面エネルギーを低下させるためには、ポリマーの側鎖に炭素原子数が10乃至100の炭化水素基を導入することが好ましい。
【0065】
具体的なポリマーの種類については、液晶セル(主に棒状液晶性化合物)または光学補償シート(主に円盤状液晶性化合物)についての様々な文献に記載がある。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて、光学異方性層の液晶化合物を配向させてから、液晶層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定された液晶化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
【0066】
λ/4板を形成する上で、二つの光学異方性層の組み合わせ方の前記第1の態様では、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜または15゜に設定することが好ましい。
一般的な配向膜は、ラビング方向と、液晶性化合物からなる光学異方性層の遅相軸方向とが平行になる。光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に15゜に設定する場合は、一般的な配向膜(平行型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。すなわち、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度は、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)になることが好ましい。
【0067】
一方、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜に設定する場合は、特別な配向膜(直交型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。直交型配向膜を用いると、ラビング方向と、液晶性化合物からなる光学異方性層の遅相軸方向とを実質的に垂直にすることができる。その結果、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度を、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)に設定できる。
【0068】
直交型配向膜は、下記式(III)または(IV)で表される繰り返し単位と、下記式(V)または(VI)で表される繰り返し単位とを含むコポリマーを含むことが好ましい。
【0069】
【化14】
【0070】
式(III)において、R1は、水素原子(アクリル酸コポリマー)またはメチル(メタクリル酸コポリマー)である。
式(III)において、Mは、プロトン,アルカリ金属(例、Li、Na、K)イオンまたはアンモニウムイオンである。アンモニウムイオンは、有機基(例、メチル、エチル)により置換されていてもよい。
式(III)および(IV)において、mは、10乃至95モル%である。
【0071】
式(V)および(VI)において、R2は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R2は、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチルまたはエチルであることがさらに好ましく、水素原子またはメチルであることが最も好ましい。
【0072】
式(V)において、Cyは、脂肪族環基、芳香族基または複素環基である。
脂肪族環基の脂肪族環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン環が含まれる。脂肪族環に、他の脂肪族環、芳香族環または複素環が縮合していてもよい。
芳香族基の芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環およびナフタセン環が含まれる。芳香族環に、脂肪族環または複素環が縮合していてもよい。
複素環基の複素環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。複素環は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和であり、好ましくは最多二重結合を有する。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環およびピラジン環が含まれる。複素環に、他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。
【0073】
脂肪族環基、芳香族基および複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(例、メチル、エチル、t−ブチル)、置換アルキル基(例、クロロメチル、ヒドロキシメチル、塩化トリメチルアンモニオ)、アルコキシ基(例、メトキシ)、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、カルボキシル、アシル基(例、ホルミル)、アミノ、スルホ、アリール基(例、フェニル)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)およびオキソが含まれる。
【0074】
式(VI)において、L1は、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。
式(VI)において、R3は、少なくとも二個の芳香族環または芳香族性複素環を含む炭素原子数が10乃至100である一価の基である。芳香族環および芳香族性複素環の定義および例は、式(V)のCyにおける芳香族環および芳香族性複素環の定義および例と同様である。
式(V)および(VI)において、nは、90乃至5モル%である。
【0075】
式(IV)で表される繰り返し単位を含むコポリマーは、変性ポリビニルアルコールの一種である。変性ポリビニルアルコールのポリビニルアルコール部分に相当する式(IV)で表される繰り返し単位は、ケン化度が100%である必要はない。言い換えると、変性ポリビニルアルコールは、下記式(VII)で表される酢酸ビニルに対応する繰り返し単位を含むことができる。
【0076】
【化15】
【0077】
式(VII)において、kは、0.01乃至20モル%である。
コポリマーは、さらに重合性基を有する繰り返し単位を含むことができる。重合性基を有する繰り返し単位は、下記式(VIII)で表されることが好ましい。
【0078】
【化16】
【0079】
式(VIII)において、R4は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R4は、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
式(VIII)において、L2は、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。
式(VIII)において、Qは重合性基である。重合性基の定義および例は、液晶性化合物の重合性基の定義および例と同様である。
式(VIII)において、pは、0.1乃至20モル%である。
配向膜に、二種類以上のポリマーを併用してもよい。
【0080】
[ポリマーフィルム]
本発明の高透過率導電性フィルムでは、ポリマーフィルムを支持体として用いる。本発明の高透過率導電性フィルムが塗布型λ/4板の場合、ポリマーフィルムそれ自体がλ/4板の透明支持体も兼ねる。
ポリマーフィルムとしては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、環状ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。ポリマーフィルムとして、複屈折のない(レターデーションの小さな)フィルムを用いることが好ましい。そのようなものとしては、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンなどが望ましい。なかでも、インナータイプタッチパネルに用いる場合などには上部基板は偏光板を有するが、この偏光板に用いられるトリアセチルセルロースと熱や湿度に対する線膨張係数を合わせる観点、またコスト面から、トリアセチルセルロースを用いるのが特に好ましい。トリアセチルセルロースフィルムの作製法は、公開技報番号2001−1745にて公開されたものが好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0081】
(ハードコート層)
ポリマーフィルムと高屈折率層の間にはハードコート層を設けることが望ましい。ポリマーフィルムが塗布型λ/4板の場合には、透明支持体と光学異方性層の間にハードコート層を設けてもよいし、光学異方性層と高屈折率層の間に設けてもよい。また、透明支持体の光学異方性層を設けた面とは反対側の面上に、ハードコート層、高屈折率層,2、透明導電膜を設けてもよい(図1の上部基板20の構成)。ハードコート層に用いる材料としては、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、プロピレン系樹脂、ビニル系樹脂などの高分子を単独、または、混合で用いることができる。また、高分子中に無機酸化物微粒子を分散してコートすることも好ましい。無機酸化物微粒子としては、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、SnO2などがあるが、特にSiO2、Al2O3が望ましい。また、無機物のみをスパッタ法などの方法でコートしてもよい。
コートする膜厚としては0.3μm以上50μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.5nm以上10μm以下であり、特に好ましくは1μm以上4μm以下である。
また、ハードコート層の屈折率は、高屈折率層の屈折率以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.55以下であることがさらに好ましい。
【0082】
(高屈折率層)
本発明に用いる高屈折率層は、ベースとなるλ/4板機能を有するポリマーフィルムより屈折率が高い必要がある。しかし、屈折率が低すぎると光の透過率向上の効果が少なくなる傾向があり、一方、屈折率が高すぎると、特定の波長の光の透過率は高くなるが、可視光全域で高い透過率が得られなくなる可能性がある。したがって、屈折率は1.6〜2.6が好ましく、1.6〜2.0がさらに好ましい。特に好ましくは1.6〜1.9である。
【0083】
高屈折率層は、無機微粒子と重合性モノマーの硬化物で形成される。例えば、屈折率の高い無機微粒子、アニオン性分散剤、3官能以上の重合性基を有するモノマー、および重合開始剤を含有する硬化性組成物を塗布、乾燥し、熱および/または電離放射線によりモノマーを重合させ硬化させることによって形成することができる。このようにして形成された高屈折率層は、高屈折率を有するポリマー溶液を塗布、乾燥したものと比較して、耐傷性や密着性に優れる。
高屈折率層の屈折率は、主に、上記モノマーが重合、硬化してなる硬化性樹脂と、無機微粒子の屈折率により決まるので、モノマーや無機微粒子の選択により調整することができる。
【0084】
屈折率の高い無機微粒子としては、Ti、Zr、In、Zn、Sn、Sbの酸化物が挙げられ、この中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含む無機微粒子が好ましい。無機微粒子の平均粒径は、コールターカウンター法で測定したときの平均粒径で1から100nmであることが好ましい。1nm以下では、比表面積が大きすぎるために、塗布液中に分散させた際の安定性に乏しく、好ましくない。100nm以上では、上記モノマーが重合、硬化してなる硬化性樹脂との屈折率差に起因する可視光の散乱が発生し、好ましくない。
3官能以上の重合性基を含有するモノマーとしては、多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。また、アニオン性分散剤としては、アニオン性基を含有するモノマー((メタ)アクリレートモノマーなど)が挙げられる。分散液安定性や、硬化後の膜強度等を確保するために、特開平11−153703号公報や特許番号US6210858 B1等に記載されているような、多官能(メタ)アクリレートモノマーとアニオン性基含有(メタ)アクリレート分散剤とが塗布組成物中に含まれることが好ましい。
重合開始剤は、例えば、紫外線によりラジカルを発生させる、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、これらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。重合開始剤は、単独でも複数開始剤を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の添加量としては、高屈折率層を形成するための硬化性組成物中に含まれる硬化性樹脂の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
硬化させる際に照射する電離放射線としては、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが挙げられるが、なかでも紫外線が好ましい。
【0085】
(中間層)
本発明に用いる中間層は、高屈折率層より屈折率が低い必要があるが、屈折率が高すぎると透過率の向上効果が少ない。また、屈折率が低すぎると膜の強度が低くなり、タッチパネル化した時の、入力の際に受ける入力ペンからの荷重で破壊される可能性がある。したがって、屈折率は1.30〜1.65が望ましく、1.35〜1.60が更に望ましい。より望ましくは1.4〜1.57である。
【0086】
中間層は、熱もしくは電離放射線の照射により硬化する、含フッ素硬化性樹脂および/または3官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂を主体とする層であることが好ましく、さらに、無機微粒子やその他の添加剤を含んでもよい。
熱もしくは電離放射線の照射により硬化する硬化性樹脂としては、同一分子内に2個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂が好ましい。具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシアネート硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られる多官能のウレタンアクリレートやポリエポキシ硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート(メタアクリレート)の反応によって得られる多官能のエポキシアクリレート等を挙げることができる。さらに、以下のA−1からA−44等のエチレン性不飽和基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
【0087】
【化17】
【0088】
【化18】
【0089】
【化19】
【0090】
【化20】
【0091】
【化21】
【0092】
中間層の低屈折率化のために、含フッ素硬化性樹脂を用いるのが好ましい。該含フッ素硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等であり、これらのなかでも低屈折率、モノマーの扱いやすさの観点で特にヘキサフルオロプロピレンが好ましい。
架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者は共重合の後、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されており、特に好ましい。
また上記含フッ素モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いてもよい。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができ、特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されている。
【0093】
中間層と透明導電膜の間の密着性を向上するためには、後述の易接着処理を施すが、密着性を効果的に向上するためには、中間層に使用する含フッ素硬化性樹脂や3官能以上の重合性基を有する電離放射線硬化性樹脂が、易接着処理で、分子鎖を切断された時に、表面に−COOH基および/または−OH基を発生することが好ましく、特に−COOH基を発生するのが好ましい。また、そのような官能基を発生する添加成分を加えてもよい。このような官能基を発生するためには、硬化後の分子鎖中に−COO−結合を有する樹脂を選択するのがよい。
【0094】
中間層の屈折率の調整や硬度付与のために、無機微粒子を含有させることが好ましく、Siの酸化物からなる微粒子が望ましい。Siの酸化物からなる微粒子としては、市販の有機溶剤に分散されたシリカゾルをそのまま塗布液に添加しても、市販の各種シリカ紛体を有機溶剤に分散して使用してもよい。
【0095】
高屈折率層,中間層およびハードコート層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。ウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点でマイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性の観点で特にグラビア法が好ましい。
本発明においては、高透過率導電性フィルムを構成する層(高屈折率層、中間層、および形成する場合は光学異方性層、ハードコート層を含む)のうち少なくとも2層以上は塗布法で形成し、かつ、少なくとも2層以上の塗布層、好ましくは3層以上の塗布層が、該支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成されることが望ましく、該支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に全塗布層が連続で形成されることが特に望ましい。
【0096】
(易接着処理)
中間層の上に透明導電性膜を処理する前には易接着処理するのが望ましく、用途によっては、易接着処理をしないと透明導電性膜の密着性が不十分で、使用中に膜剥離や膜破壊が発生する可能性がある。易接着処理としては、UV照射処理、エキシマUV処理、真空プラズマ処理、減圧プラズマ処理、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、イオンビーム照射処理、ケン化処理などがある。密着性改善効果と処理速度の面からは、特に真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、減圧プラズマ処理、コロナ放電処理、イオンビーム照射処理、ケン化処理が好ましい。生産性上の観点からは、易接着処理プロセスは、高屈折率層および中間層の塗布工程後に、ロールで巻き取る前に減圧プラズマ処理、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、イオンビーム処理、ケン化処理連続で処理するか、または、透明導電性膜の形成前に、真空中で真空プラズマ処理で処理し、連続で透明導電膜を形成するのが望ましい。
【0097】
(透明導電膜)
本発明の高透過率導電性フィルムおよびタッチパネルに用いる透明導電膜は、表面抵抗率が2000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがさらに好ましい。特に好ましくは100Ω/□以上900Ω/□以下である。
【0098】
フィルム上に透明導電膜を形成するには、ロール式の連続スパッタ装置を用いることが好ましい。本発明の高透過率導電性フィルムをアウタータイプの上部基板に用いる場合は透明導電膜と反対側の面にハードコート層と反射防止膜を設けるのが望ましいが、その場合は、透明電極膜を成膜する前に、ハードコート層と反射防止膜を設けるのが望ましい
【0099】
表面抵抗率が上記のような値の透明導電膜は、導電性微粒子分散物、金属アルコキシドなどを塗布によって設けても構わないし、スパッタリング、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法などの真空成膜法、あるいは大気圧での気相成長法によって透明導電膜を形成しても構わない。好ましい形成法はスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングであり、特に好ましくはスパッタリング法である。
【0100】
真空成膜法としては「透明導電膜の新展開」シーエムシー、澤田豊監修「月刊ディスプレイ」1999年9月号に記載の方法を用いることができる。
成膜する透明導電性金属酸化物としてはIn2O3系(Snなどのドープ品、ITOを含む)、SnO2系(F、Sbなどのドープ品を含む)、ZnO系(Al、Gaなどのドープ品を含む)およびこれらの複合酸化物、例えばIn2O3−ZnO系、などが挙げられる。金属窒化物としてはTiNなどが挙げられる。また、銀などと共に成膜してもよい。
【0101】
スパッタ法により酸化インジウムを主成分とする膜を成膜する方法としては、インジウムを主成分とする金属ターゲット、または酸化インジウムを主成分とする焼結体ターゲットを用いた反応性スパッタリングが適する。反応を制御する上では、後者が好ましい。特に好ましくは酸化スズを含有する酸化インジウムターゲットを用いた反応性スパッタリングであり、酸化スズを1質量%から20質量%含むのが望ましく、3質量%から12質量%含むのが特に望ましい。反応性スパッタリング法においてはスパッタリングガスに、アルゴンなどの不活性ガスを用い、反応性ガスとしては酸素を用いる。また、酸素流量の制御はプラズマエミッションモニター法で行うことが好ましい。放電形式は特に規定しないが、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、1対のターゲット間にAC電圧を印加する方法、1対のターゲット間にパルスDC電圧を印加する方法などが好ましい。成膜時の基板の温度は特に規定はないが、基板のガラス転移点以下で可能な範囲で加熱した方が膜強度が向上する傾向がある。
【0102】
透明導電膜が形成された状態で、本発明の高透過率導電性フィルムの波長550nmにおける光の透過率は、90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、93%以上であることがさらに好ましく、94%以上であることが特に好ましい。
さらに、450nm、550nm、650nmの全ての波長で、透過率が90%以上、更に好ましくは92%以上であると、ディスプレイに搭載した際に、透過光の色変化が少なく、特に好ましい。
【0103】
透明導電膜の厚みは、ITOを用いた場合を例にとると、5〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜150nm、更に好ましくは5nm〜30nm、最も好ましくは7〜20nmである。
透明導電膜は、タッチパネルに用いる際には、全面を電極として用いる場合と、全面に電極を形成した後にレジスト形成およびエッチングを行ってパターン加工して用いる場合がある。
【0104】
(円偏光機能付上部基板)
本発明のタッチパネルでは、外光の反射防止の点から、上部基板が円偏光機能を有することが望ましい。
円偏光機能付上部基板は、偏光能を持つ偏光膜を有し、通常該偏光膜の両面又は片面に保護膜が接着剤層を介して設けられ、さらに片面側には、λ/4板が設けられる。λ/4板として、本発明のλ/4板機能を有する高透過率導電性フィルムを用いるのが、低コストで薄型・軽量化でき、好ましい。
【0105】
液晶材料や配向方向、視野角特性などの観点から、λ/4板の遅相軸と偏光膜の透過軸とのなす角度は45°とするのが好ましい。
また、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、偏光膜とλ/4板との間にλ/2板を配置することもある。
【0106】
また、ポリマーフィルム上に2層の光学異方性層が塗布されて形成されたλ/4板の場合は、第1の光学異方性層であるλ/2層の遅相軸と、第2の光学異方性層であるλ/4層の遅相軸とが、実質的に60゜で交差しているのが望ましい。さらに、偏光膜との貼り合わせた際に、偏光膜の偏光軸と、一方の光学異方性層の遅相軸とが、実質的に75゜で交差しており、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一方の光学異方性層の遅相軸とが、実質的に15゜で交差していることが望ましい。
【0107】
一般に、λ/4板、λ/2板などの位相差板は疎水性であり、透湿性が低くなるので、通常10%以上と比較的含水率の高い偏光膜と直に貼り合わせると、偏光膜中の水が偏光板外に揮発するまでの時間が長くなり、偏光度が低下したり、色ムラを生じたりするため、好ましくない。したがって、通常は、λ/4板が偏光膜の保護膜を兼ねることができず、偏光板としては、保護膜/偏光膜/保護膜/(λ/4板)の構成となる。
しかし、最終的に偏光膜の含水率を5%以下の少ない状態に乾燥すると、λ/4板のように透湿性の低いフィルムを偏光膜の保護膜として、偏光膜に直接貼り合わせることができ、結果として、保護膜の使用枚数を減らすこととなり、偏光板全体の厚みを薄くすることができるので、この構成が好ましい。
また、セルロースエステルフィルムを用いたλ/4板を用いると、偏光膜の保護膜として作用し、偏光膜の含水量を特に少ない状態にすることなく、偏光膜に直接貼り合せることができ、非常に好適である。セルロースエステルフィルムを用いたλ/4板としては、セルロースエステルフィルム中に位相差を生じる化合物を混合した後に延伸などの手法で配向させて、λ/4板を作製してもよいし、セルロースエステルフィルムの上に、λ/4の位相差を有する層を塗布など手段で形成してもよい。また、λ/4の位相差を有する層は1層で形成されていてもよいし、上記塗布型λ/4板のように、λ/2の位相差を有する層とλ/4の位相差を有する層を積層して、広帯域のλ/4板を作製してもよい。
【0108】
偏光膜の吸収軸は長尺の偏光膜においては一般に長手方向に位置しており、当然このような偏光板も、本発明に使用可能であるが、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもないことがさらに好ましい(かかる長尺の円偏光板を以下単に「斜め配向した」円偏光板と称することもある)。偏光膜の長手方向と吸収軸方向とがなす角度は、好ましくは10°以上90°未満、より好ましくは20°以上70゜未満、更に好ましくは40°以上50゜未満、特に好ましくは44°以上46゜未満である。これにより、貼合せ前に偏光板とλ/4板を打ち抜き、枚葉で貼り合せるということをせず、ロール・ツー・ロールの貼合せで連続的に長尺の円偏光版が作製することができ、非常に好適である。
【0109】
また、本発明に用いられる円偏光板の単板透過率は、550nmで35%以上、かつ偏光度が550nmで80%以上であることが好ましい。単板透過率は40%以上であることがより好ましく、偏光度は好ましくは95.0%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。
【0110】
(タッチパネル)
本発明のタッチパネルは、例えば、表示装置が液晶表示装置の場合には、液晶セルに近い側の下部基板と、対向する上部基板とからなる。下部基板と上部基板の対向面に、それぞれ透明電極を備えている。
上部基板には上記の円偏光機能付上部基板を用いるとよい。下部基板は、組み合わせる液晶のモードによって変化するが、本発明のλ/4板機能付高透過導電性フィルムを用いるか、または、本発明のλ/4板機能付高透過導電性フィルムのλ/4板機能を除いた透明のポリマーフィルムを用いた高透過率導電性フィルムを用いると非常に効果的であり、画像透過性の良好なタッチパネルが作製可能である。ただし、高透過率化のために高屈折率層,中間層を用いるのは、上部基板か下部基板のどちらか片方でも、充分に効果がある。
上部基板に本発明の高透過率導電性フィルムを用いない場合は、フィルム、プラスチック、ガラスのどれでもよく、透明フィルムの例としては非晶性フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状ポリオレフィンなどのポリマーフィルムが挙げられるが、これに限るものではない。
また、インナータイプタッチパネルの場合は、上部基板としては、円偏光板を用いてもよいし、または上記で挙げた透明フィルム上に円偏光板を貼り合わせたものを用いてもよい。また、上部基板表面に反射防止膜やハードコート層を設けた透明フィルムを貼り付けてもよいし、反射防止膜やハードコート層を設けた透明フィルムをλ/4板とは逆側に位置する保護膜として直接偏光膜に貼り付けて、円偏光板として一体化してもよい。
下部基板としては、例えば、ガラスおよび非晶性フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状ポリオレフィンなどのポリマーフィルムなどを用いる。
【0111】
上部基板および下部基板の表面には透明導電膜が形成されるが、本発明の高透過率導電性フィルムを用いない場合でも、透明導電膜の形成方法は前記の(透明電極膜)の箇所に記載した内容と同様である。
【0112】
2つの透明導電膜間には、ギャップが形成される。ギャップ間には通常空気層が存在するが、オプティカル・マッチングを取るために透明導電膜と屈折率の近い液体を充填させることもできる。また、透明導電膜の基板側にアンダーコート層、または、基板と反対側にオーバーコート層を付与し、光反射を低減させることもできる。スティッキング性をなくし、耐久性を改善するために、透明電極膜表面は粗面化されていてもよい。ギャップ間にはスペーサを設けることができる。スペーサとしては、ドット状スペーサを固定基板または可動基板のどちらかに設ける。ドットスペーサのサイズは径20〜150μm、高さ5〜20μmが望ましく、ピッチ1〜8mmで基板全面に作製されていることが望ましいが、作製密度は基板内で均一でない場合もある。
【0113】
タッチパネルによるデータ入力位置検出の方式は、デジタル式(マトリクス式)、アナログ式のどちらでも用いることができる。
デジタル式(マトリクス式)では、固定基板の透明導電膜(例えばX列)と可動基板の透明導電膜(例えばY列)とによりマトリクスを形成し、押圧による透明導電膜同士の接触位置に対応して、データ位置を検出することができる。
アナログ式では、例えば、固定基板のX軸方向の両端部、および、可動基板のY軸方向の両端部に電極を形成し、押圧により透明電極同士が接触し、接触位置により生じるX方向、Y方向の抵抗値を検出することによって、データ入力位置を検出することができる。
本発明においては、タッチパネルは画像表示装置に組み込んで用いることが好ましいが、タッチパネルが表示部とは別々になっていても構わないし、両者が一体となっていても構わない。
【0114】
本発明のタッチパネルは、様々な表示装置と組み合わせて用いることができる。例えば、カソードレイチューブ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶表示装置などである。本発明のタッチパネルを用いることで、これらタッチパネル付き表示装置の外光の反射を低減することができる。これらの表示装置の中では、液晶表示装置または有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイと組み合わせて用いるのが好ましい。
【0115】
液晶表示装置と組み合わせて用いる場合は、用いられる液晶モードは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型、OCB(Optically Compensated Bend)型、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型、VA(Vertically Aligned)型または、GH(Guest Host)型であることが好ましい。また、反射型、半透過型、透過型いずれに対しても用いることができる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
【0117】
<λ/4板の作製>
(第1配向膜の形成)
厚さ100μm、幅500mm、長さ500mの光学的等方性ロール状トリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.48、レターデーション値4nm)を透明支持体として用いた。
下記のコポリマー(1)の希釈液を透明支持体の片面に連続塗布して、厚さ0.5μmの第1(直交型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し右手16°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
【0118】
【化22】
【0119】
(第1光学異方性層の形成)
第1配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布し、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1.6μmの第1光学的異方性層を形成した。第1光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して74°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は225nmであった。
【0120】
(第1光学異方性層塗布液組成)
下記の棒状液晶性化合物(1) 14.5質量%
下記の増感剤 1.0質量%
下記の光重合開始剤 3.0質量%
下記の水平配向促進剤 1.0質量%
メチルエチルケトン 80.5質量%
【0121】
【化23】
【0122】
【化24】
【0123】
【化25】
【0124】
(第2配向膜の形成)
第1光学異方性層の上に、下記のコポリマー(2)の希釈液を連続塗布して、厚さ0.5μmの第2(平行型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手16°の方向(第1光学異方性層の遅相軸に対して右手58゜の方向)に連続的にラビング処理を実施した。
【0125】
【化26】
【0126】
(第2光学異方性層の形成)
第2配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ0.8μmの第2光学的異方性層を形成し、λ/4板を作製した。第2光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して左手16°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は113nmであった。
【0127】
(第2光学異方性層塗布液組成)
第1光学異方性層で用いた棒状液晶性化合物(1) 13.0質量%
第1光学異方性層で用いた増感剤 1.0質量%
第1光学異方性層で用いた光重合開始剤 3.0質量%
第1光学異方性層で用いた水平配向促進剤 1.0質量%
メチルエチルケトン 82.0質量%
【0128】
(λ/4板としての評価)
作製したλ/4板に、光(測定波長は450nm、550nm、590nm)を照射し、通過した光の位相差(レターデーション値:Re)を測定した。なお、レターデーション値の測定は、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて行った。
測定した結果は次の通りである。
【0129】
【0130】
<導電性フィルムの作製>
(塗布液Aの調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して塗布液Aを調製した。
【0131】
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン超微粒子(TTO−55B、石原テクノ(株)製)30質量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、興人(株)製)1質量部、リン酸基含有アニオン性分散剤(KAYARAD PM0−21、日本化薬(株)製)6質量部およびシクロヘキサノン63質量部を、サンドグラインダーによって、コールター法で測定した平均粒径が42nmになるまで分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
【0132】
(塗布液Bの調製)
シクロヘキサノン54質量部およびメチルエチルケトン18質量部に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.13質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04質量部を溶解した。さらに、上記二酸化チタン分散物26.4質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)1.6質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、塗布液Bを調製した。
【0133】
(塗布液Cの調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して塗布液Cを調製した。
【0134】
(塗布液Dの調製)
シクロヘキサノン75質量部およびメチルエチルケトン19質量部に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.11質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04質量部を溶解した。さらに、上記二酸化チタン分散物3.1質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.1質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、塗布液Dを調製した。
【0135】
[実施例1]
(高屈折率層,中間層の作製)
上記の通りに作製したλ/4板のトリアセチルセルロース支持体の光学異方性層のない面上に、上記の塗布液Aを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:3μm)を形成した。
続いて、ハードコート層上に上記の塗布液Bをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.90、膜厚:40nm)を設けた。
高屈折率層の上に、上記の塗布液Cをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中間層(屈折率:1.525、膜厚:80nm)を設けた。このようにしてλ/4板上に高屈折率層,中間層を作製した。
以上のハードコート層および高屈折率層,中間層は、支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成した。
【0136】
(易接着処理および透明導電膜の作製)
高屈折率層、中間層を形成した上記トリアセチルセルロースフィルムをロール式連続スパッタリング装置にセットして、易接着処理および透明導電性膜形成を連続で行った。スパッタ装置は上記2処理を連続で行えるように、異なる真空度に制御可能な2チャンバーを有しているものを用いた。易接着処理は真空槽を1.2mPaの圧力まで排気した後、Arガスを導入して、ガス圧を2.0Paに調整した後、プラズマ処理用のマグネトロン電極にDC電圧を3.88kW/m2印加し、その電極の前をフィルムを通過させた。処理時間は3分間とった。その後、スパッタチャンバーに搬送し、スパッタ処理を行った。スパッタチャンバーはAr+O2混合ガス(O2=1.0%)を導入し、圧力を0.3Paに調整した。基板温度を50℃、投入電力密度1W/cm2で、DCスパッタリングを行ない、厚み15nmの酸化スズを約10質量%含有する酸化インジウム・酸化スズ膜(ITO)を中間層上に形成した。
【0137】
このようにして得られた導電性フィルムAの透明導電膜側の表面抵抗率を、4端子法にて測定した結果、502Ω/□であった。
光の透過率は450nm:90.5%、550nm:95.4%、650nm:93.4%であり、波長550nmにおける光の透過率が非常に大きな導電性フィルムが得られた。
【0138】
[実施例2]
高屈折率層,中間層を下記の通りに形成した以外は、実施例1と同じ方法で、導電性フィルムBを作製した。
(高屈折率層,中間層の作製)
上記の通りに作製したλ/4板のトリアセチルセルロース支持体の光学異方性層のない面上に、上記の塗布液Aを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:3μm)を形成した。
続いて、ハードコート層上に上記の塗布液Dをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.63、膜厚:40nm)を設けた。
高屈折率層の上に、上記の塗布液Aをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中間層(屈折率:1.51、膜厚:80nm)を設けた。このようにしてλ/4板上に高屈折率層,中間層を作製した。
以上のハードコート層および高屈折率層,中間層は、支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成した。
このようにして得られた導電性フィルムBの光の透過率は、450nm:91.0%、550nm:92.2%、650nm:91.8%であり、可視光の全領域で透過率の高いニュートラルな色味の透明導電膜が得られた。
【0139】
[実施例3]
透明導電膜の膜厚を12nmにした以外は実施例2と同じ方法で、導電性フィルムCを作製した。
このようにして得られた導電性フィルムCの透明導電膜側の表面抵抗率を、4端子法にて測定した結果、685Ω/□であった。
光の透過率は、450nm:92.3%、550nm:92.8%、650nm:92.0%であり、可視光の全領域で透過率の高いニュートラルな色味の透明導電膜が得られた。
【0140】
[比較例1]
中間層を設けない以外は実施例1と同じ方法で、導電性フィルムDを作製した。
このようにして得られた導電性フィルムDの光の透過率は、450nm:89.1%、550nm:89.7%、650nm:90.5%であり、実施例と比較して、低い透過率となった。
【0141】
[比較例2]
高屈折率層,中間層を設けない以外は実施例3と同じ方法で、導電性フィルムEを作製した。
このようにして得られた導電性フィルムEの光の透過率は、450nm:89.6%、550nm:90.3%、650nm:90.8%であり、実施例と比較して、低い透過率となった。
【0142】
<タッチパネルの作製>
[実施例4]
(上部基板の作製)
片面にハードコート層と反射防止膜を設けたトリアセチルセルロースフィルムの裏面(ハードコート層および反射防止膜を設けなかった面)と実施例1の導電性フィルムAの透明導電膜を設けた面の反対側の面がそれぞれ偏光膜と接するように、透明導電膜付き位相差板と反射防止層付きハードコートフィルムを同時に偏光膜に貼り付けた。貼り付ける方向は、偏光膜の透過軸と、第一異方性層の遅相軸とが、15゜となるようにした。
【0143】
(タッチパネルの作製)
上記貼り合わせの後に透明導電膜の上に、表面に2mmピッチのドットスペーサと両端部に銀電極を印刷し、上部基板を作製した。また、実施例1の導電性フィルムAの透明導電膜上に両端に銀電極を印刷し、下部基板を作製した。それぞれの基板には銀電極印刷前に、透明導電膜と銀電極が接触してはいけないところに絶縁コート膜を印刷した。銀電極および絶縁コートはスクリーン印刷機にて印刷し、硬化を行った。上記下部基板と上部基板を透明導電膜同士が対向するように接着し、その後、フレキシブル電極を取り付け、熱圧着にて固定した。この際、両基板の周囲に100μm厚の絶縁性貼り合せ剤を挟んだ。このようにしてタッチパネルA1を作製した。
【0144】
[実施例5]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに実施例2の導電性フィルムBを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルB1を作製した。
【0145】
[実施例6]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに実施例3の導電性フィルムCを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルC1を作製した。
【0146】
[比較例3]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに比較例1の導電性フィルムDを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルD1を作製した。
【0147】
[比較例4]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに比較例2の導電性フィルムEを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルE1を作製した。
【0148】
[実施例7]
(下部基板用透明導電膜付きフィルムの作製)
下部基板として、光学異方性層を設けないトリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.48、レターデーション値4nm)上に、実施例1と同じ方法で、ハードコート層、高屈折率層、中間層、ITO膜を形成し、透明導電膜付きフィルムを作製した。
上記透明導電膜付きフィルムの上に、表面に2mmピッチのドットスペーサと両端部に銀電極を印刷し、下部基板を作製した。
【0149】
(タッチパネルの作製)
実施例1の導電性フィルムAのITO膜上に両端に銀電極を印刷し、上部基板を作製した。それぞれの基板には銀電極印刷前に、透明導電膜と銀電極が接触してはいけないところに絶縁コート膜を印刷した。銀電極および絶縁コートはスクリーン印刷機にて印刷し、硬化を行った。上記下部基板と上部基板を透明導電膜同士が対向するように接着し、その後、フレキシブル電極を取り付け、熱圧着にて固定した。この際、両基板の周囲に100μm厚の絶縁性貼り合せ剤を挟んだ。このようにしてタッチパネルA2を作製した。
【0150】
[実施例8]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに実施例2の導電性フィルムBを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルB2を作製した。
【0151】
[実施例9]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに実施例3の導電性フィルムCを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルC2を作製した。
【0152】
[比較例5]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに比較例1の導電性フィルムDを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルD2を作製した。
【0153】
[比較例6]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに比較例2の導電性フィルムEを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルE2を作製した。
【0154】
<タッチパネル付き透過型液晶表示装置の作製>
[実施例10]
TN型液晶セルを使用した、タッチパネル付き透過型液晶表示装置(CASSIOPEIA BE−500−BU、カシオ計算機(株)製)に設けられているタッチパネル部を取り外し、実施例4で作製したタッチパネルA1を取り付け、タッチパネル付き透過型液晶表示装置A1を作製した。
【0155】
[実施例11]
実施例5で作製したタッチパネルB1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置B1を作製した。
【0156】
[実施例12]
実施例6で作製したタッチパネルC1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置C1を作製した。
【0157】
[比較例7]
比較例3で作製したタッチパネルD1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置D1を作製した。
【0158】
[比較例8]
比較例4で作製したタッチパネルE1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置E1を作製した。
【0159】
タッチパネル付き透過型液晶表示装置A1〜E1を比較した。本発明のA1〜C1はいずれもD1、E1と比較して明るい画像が得られ、視認性が向上した。また、導電性フィルムの透過率が高いほど、明るい画像が得られた。
【0160】
<タッチパネル付き反射型液晶表示装置の作製>
[実施例13]
TN型液晶セルを使用した、タッチパネル付き反射型液晶表示装置(パワーザウルスMI−C1、シャープ(株)製)に設けられているタッチパネル部を取り外し、偏光板と位相差板を剥がし、実施例7で作製したタッチパネルA2を取り付け、タッチパネル付き反射型液晶表示装置A2を作製した。
【0161】
[実施例14]
実施例8で作製したタッチパネルB2を使用した以外は、実施例13と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置B2を作製した。
【0162】
[実施例15]
実施例9で作製したタッチパネルC2を使用した以外は、実施例13と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置C2を作製した。
【0163】
[比較例9]
比較例5で作製したタッチパネルD2を使用した以外は、実施例13と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置D2を作製した。
【0164】
[比較例10]
比較例6で作製したタッチパネルE2を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置E2を作製した。
【0165】
タッチパネル付き反射型液晶表示装置A2〜E2を比較した。本発明のA2〜C2はいずれもD2、E2と比較して明るい画像が得られ、視認性が向上した。また、導電性フィルムの透過率が高いほど、明るい画像が得られた。
【0166】
【発明の効果】
本発明のλ/4板機能を有する高透過率導電性フィルムは、可視光領域の透過率が高く、タッチパネルに用いると、画像透過性が高く、視認性が良化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる、インナータイプタッチパネル搭載表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係わる、アウタータイプタッチパネル搭載表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】λ/4板の代表的な構成を示す模式図である。
【図4】円偏光板の代表的な構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 バックライト
2 保護膜
3 偏光膜
4 λ/4板
5 液晶セル
6 ポリマーフィルム
7 ハードコート
8 高屈折率層
9 中間層
10 透明導電膜
11 透明導電膜
12 中間層
13 高屈折率層
14 ハードコート層
15 λ/4板
16 偏光膜
17 保護膜
18 ハードコート層
19 反射防止膜
20 λ/4機能付き高透過率導電性フィルム
21 高透過率導電性フイルム(下部基板)
22 上部基板
23 タッチパネル
23 タッチパネル搭載半透過型液晶表示装置
51 バックライト
52 保護膜
53 偏光膜
54 保護膜
55 液晶セル
56 保護膜
57 偏光膜
58 保護膜
59 λ/4板
60 ハードコート層
61 高屈折率層
62 中間層
63 透明導電膜
64 透明導電膜
65 中間層
66 高屈折率層
67 ハードコート層
68 λ/4板
69 偏光膜
70 保護膜
71 ハードコート
72 反射防止膜
80 λ/4機能付き高透過率導電性フィルム
81 λ/4機能付き高透過率導電性フィルム(下部基板)
82 上部基板
83 タッチパネル
84 タッチパネル搭載透過型液晶表示装置
S 長尺状透明支持体
s 透明支持体の長手方向
A 第1光学異方性層
a 第1光学異方性層の面内の遅相軸
B 第2光学異方性層
b 第2光学異方性層の面内の遅相軸
c1、c2 棒状液晶性化合物
P 偏光膜
p 偏光膜の偏光軸
ra 第1光学異方性層の配向膜のラビング方向
rb 第2光学異方性層の配向膜のラビング方向
α aとsとの角度
β bとsとの角度
γ aとbとの角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の透過率が高い透明導電性フィルム、その製造方法、並びに該フィルムを用いたタッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会は、高度情報社会と言われており、情報の流通量が増大し、各個人における情報の収集や選択に対する要求が増大している。このような社会的背景においては、情報携帯端末やカーナビゲーションなど移動しながら情報を処理することのできる移動型の情報端末に対するニーズが大きくなり、積極的に開発が進められている。
移動型の情報端末では、操作者とのインターフェイスとしてはキーボードを用いるより、携帯性を重視して、表示装置の表示部に重ねて使用する透明のタッチパネルを搭載することが主流となってきている。
【0003】
近年は情報量増加に伴い表示装置のカラー化の要求も高まっている。しかし、カラー表示ではカラーフィルタにより透過率が低下し、明度が白黒表示時に比べて極端に低下し、視認性が低下する。そのため、カラー液晶表示装置においては、高明度化および高コントラスト化の要求が高くなる。さらに、表示装置にタッチパネルを搭載した場合は、表面の反射に加え、タッチパネルの内部に存在する高屈折率の透明導電膜と空気との界面での反射率が大きく、明るい環境下でのコントラストの低下が大きく、高コントラスト化の要求がより高まることとなる。
【0004】
ところで、タッチパネルが装備される表示装置としては、液晶表示装置、CRT、EL、PDPなどがある。液晶表示装置ではそのほとんどが画面の表示のために偏光板を1枚以上用いている。また、ELではセル内部での反射防止のため、外面側に偏光板と位相差板を組み合わせた円偏光板を設けている。
このような表示装置にタッチパネルを搭載する場合は、前述のように、タッチパネル部の反射率が大きく、反射光が増大し、コントラストが低下することと、さらに装置自体が厚くなるという問題点があった。これに対して液晶表示装置の偏光板と液晶セルの間に抵抗膜式タッチパネルの機能を挿入したインナー型タッチパネルの提案がされている。この方式によれば、界面が減少し、さらにλ/4板と組み合わせることで、界面反射による表示側に再放出される反射光が著しく低減され、視認性が著しく向上する。
【0005】
上記のようなインナータイプタッチパネルの視認者側の基板である上部基板の必要構成要件は、視認者側より、偏光板、λ/4板、透明導電膜という順に機能性膜が設けられていることであるが、一般的には、透明導電膜はλ/4板に直接設けず、他の透明フィルムに透明導電膜を成膜したのち、該透明フィルムの透明導電膜を設けた面と反対側の面上に、粘着剤を介してλ/4板を貼り付けている。しかし、薄型、低生産コストの観点からは、λ/4板に直接透明導電膜を成膜することが望ましい。
【0006】
また、上記のような、上部基板に偏光板とλ/4板を有するタッチパネルをTNの旋光モードを用いた直線偏光タイプの透過型液晶装置に搭載しようとすると、タッチパネルの下部基板の透明導電膜と液晶セルの視認者側の偏光板との間にλ/4機能を付与する必要がある。この場合にはタッチパネルの下部基板にλ/4板を用い、その表面に直接透明導電膜を形成するのが望ましいが、実用化されてはいない。
【0007】
また、このような透明導電膜付きλ/4板を作製しても、透過率の向上の要求があるのは容易に想像できる。この場合の透過率向上の手段としては、λ/4板と透明導電膜の間に屈折率の異なる多層の光学干渉層を設けることが考えられる。この多層干渉層の形成に関する従来の技術としては、ゾルゲル法で形成する方法(例えば、特許文献1および特許文献2参照)や蒸着法で形成する方法(例えば、特許文献3参照)などがある。しかし、いずれも生産性やプロセス温度の問題で、フィルム上に安価に成膜するという目的は十分に満たされていない。
さらに、スパッタリング法や蒸着法で多層の干渉層を設けようとしても、用いることが可能な材料が限定され、干渉層のそれぞれの層の屈折率を希望の値に自由に調整することは困難である。
また、ゾルゲル法で多層の干渉層を設ける場合に関しても、スパッタリング法などと同様に屈折率の制御が難しいことと、基板との密着性や膜の脆性の問題で、フィルム基板の上に成膜することに関しては課題が多い。
なお、多層干渉層をλ/4板と透明導電膜の間に設けた例は、特に報告はされていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−53114号公報
【特許文献2】
特開2000−301648号公報
【特許文献3】
国際公開WO00/63924号パンフレット
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、λ/4機能を有し、光の透過率の高い高透過率透明導電性フィルムを提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、薄型、軽量、低コスト、高視認性のタッチパネル、およびタッチパネル付き表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記に列挙する高透過導電性フィルム、タッチパネル、及びタッチパネル付き表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
(1)位相差板の少なくとも一方の面に、位相差板側に隣接する層よりも屈折率の低い中間層が積層され、該中間層が積層された側の最表面に透明導電膜を有する高透過率導電性フィルム。
(2)位相差板が、ポリマーフィルムからなる透明支持体上に少なくとも二つの光学異方性層が塗布されて形成されたλ/4板であって、少なくとも一つの光学異方性層が液晶性化合物を含む層であることを特徴とする上記(1)に記載の高透過率導電性フィルム。
(3)中間層が、熱もしくは電離放射線硬化性の含フッ素硬化性樹脂および/または熱もしくは電離放射線硬化性の3官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂を主体とする層であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高透過率導電性フィルム。
(4)中間層の屈折率が1.35〜1.6である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(5)ポリマーフィルムと中間層の間にポリマーフィルムより高い屈折率を持つ高屈折率層を有し、高屈折率層の屈折率が1.6〜2.6である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(6)透明導電膜を形成した反対側の面に屈折率の異なる複数の層を有する反射防止構造を設けた上記(1)〜(5)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(7)波長550nmにおける光の透過率が90%以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
(8)透明導電膜の膜厚が5〜200nmで、抵抗値が2000Ω/□以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
【0011】
(9)高透過率導電性フィルムを構成する層のうち少なくとも2層以上は塗布法で形成し、かつ、少なくとも2層以上の塗布層は、ポリマーフィルムを一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成されることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルムの製造方法。
【0012】
(10)透明導電膜を有する上部基板および下部基板が、透明導電膜同士を向かい合わせて配置されてなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方の基板が上記(1)〜(8)のいずれかに記載の高透過率導電性フィルムを含むことを特徴とするタッチパネル。
(11)上部基板が円偏光機能を有していることを特徴とする上記(10)に記載のインナータイプタッチパネル。
(12)上記(10)または(11)に記載のタッチパネルを搭載したタッチパネル付き表示装置。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の高透過率導電性フィルムを用いたタッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置の代表的な例を図1、図2に概略断面図として模式的に示す。
図1の例は、半透過型液晶との組み合わせで、タッチパネルの上部基板(視認側の基板)に液晶表示用の円偏光板を使用した、いわゆるインナータイプタッチパネルであり、円偏光板によって内部反射光を遮ることにより、コントラストを向上させることができる。図1において、下部基板21と、上部基板22は、空隙を設けた状態で、互いに透明導電膜を向かい合わせて配置され、タッチパネル23を形成している。上部基板22のタッチパネルの空隙と反対側の面にはハードコート層18と反射防止膜19が、この順序で配置されるのが望ましいが、ハードコート層と反射防止膜はどちらか片方または両方がなくてもよい。
図2の例はTN(Twisted Nematic)型の旋光モードを用いた直線偏光タイプの透過型液晶装置(51〜58からなる)の上に、上部基板に円偏光機能を有する低反射タッチパネルを搭載した例である。図2の例において、下部基板81と、上部基板82は、空隙を設けた状態で、互いに透明導電膜を向かい合わせて配置され、タッチパネル83を形成している。上部基板82のタッチパネルの空隙と反対側の面にはハードコート層71と反射防止膜72が、この順序で配置されるのが望ましいが、ハードコート層と反射防止膜はどちらか片方または両方がなくてもよい。
図1、図2のいずれの例でも、λ/4板と透明導電膜の間に、λ/4板より屈折率の高い高屈折率層と高屈折率層より屈折率の低い中間層とを、この順番で設けた本発明の高透過率導電性フィルムの構成を用いている。このような層構成にすることで、各界面での反射による干渉作用で、高透過率化を達成することができる。
図1、2に関しては、タッチパネルを表示装置上に搭載しているが、表示装置に関しては、特に限定されるものではなく、さまざまな表示装置に適用することができる。
なお、本発明のタッチパネル付き表示装置はこの例に限定されず、各種のバリエーションがあることは言うまでもない。
【0014】
(位相差板)
本発明では、高透過率導電性フィルムの支持体として位相差板を用いる。
位相差板はポリマーフィルムなど単体からなってもよく、複数枚のフィルムを積層することで構成してもよい。以降、位相差板として最もよく使用されるλ/4板を例示して記述する場合があるが、λ/4板に制限されるわけではない。
【0015】
[位相差板の光学的性質]
位相差板としては、波長λでのレターデーション値(Reλ)がλ/4であるのが理想である。実際には用いる材料により波長によりλ/4からズレが生じるので、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が60乃至135nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が100乃至170nmであればよい。また、Re590−Re450≧2nmであることが好ましく、Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが最も好ましい。
ここで、レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、厚さ(nm)である。
【0016】
[位相差板の構成]
位相差板としては、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフィルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフィルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフィルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースエステルフィルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等を挙げることができる。また、特開2001−4837号公報に記載された液晶性化合物で形成されたλ/2層とλ/4層の2つの光学異方性層が支持体上に形成されることにより、広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板を用いることもできる(以下、このように、少なくとも二つの光学異方性層を有し、少なくとも一つの層が液晶性化合物で形成されたλ/4板を塗布型λ/4板と呼ぶ)。
【0017】
以下、薄型・軽量化でき、コスト面から言って最も好ましく、また光学特性や遅相軸方向のコントロールが容易である塗布型λ/4板の例を詳しく説明する。塗布型λ/4板は、少なくとも二つの光学異方性層を組み合わせることにより得られる。二つの光学異方性層の組み合わせは、二種類の態様に分類できる。
【0018】
第一の態様では、第1の光学異方性層の遅相軸と、第2の光学異方性層の遅相軸とを、実質的に60゜で交差させる。
第1の光学異方性層は、特定の波長(λ)において実質的にλ/2の位相差を有し、第2の光学異方性層は、特定の波長(λ)において実質的にλ/4の位相差を有していることが好ましい。特定の波長(λ)としては、可視領域のほぼ中間である550nmであることが特に好ましい。
特定波長(λ)を550nmとすると、第1の光学異方性層のレターデーション値は、150乃至350nmであることが好ましく、180乃至300nmであることがより好ましく、200乃至280nmであることがさらに好ましく、210乃至270nmであることが最も好ましい。特定波長を550nmとすると、第2の光学異方性層のレターデーション値は、60乃至170nmであることが好ましく、70乃至150nmであることがより好ましく、80乃至135nmであることがさらに好ましく、80乃至120nmであることが最も好ましい。
なお、偏光膜とλ/4板とを組み合わせて円偏光板として機能させる場合、偏光膜の偏光軸と、一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に75゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に15゜で交差させることが好ましい。
また、λ/4板が、さらに長手方向を有する透明支持体を有する場合、透明支持体の長手方向と、一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に75゜で交差させ、そして、直線偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に15゜で交差させることが好ましい。
【0019】
第二の態様では、第1の光学異方性層の遅相軸と、第2の光学異方性層の遅相軸とを、実質的に直交させる。
450nmの波長で測定した第1の光学異方性層のレターデーション値と450nmの波長で測定した第2の光学異方性層のレターデーション値との差、および590nmの波長で測定した第1の光学異方性層のレターデーション値と590nmの波長で測定した第2の光学異方性層のレターデーション値との差は、いずれも実質的に波長差の1/4であることが好ましい。具体的には、Re590−Re450≧2nmであることが好ましく、Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが最も好ましい。
なお、偏光膜とλ/4板とを組み合わせて円偏光板として機能させる場合、偏光膜の偏光軸と、一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に45゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に45゜で交差させることが好ましい。
また、λ/4板が、さらに長手方向を有する透明支持体を有する場合、透明支持体の長手方向と、一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に45゜で交差させ、そして、直線偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に45゜で交差させることが好ましい。
【0020】
[塗布型λ/4板の構成]
図3は、塗布型λ/4板の代表的な構成を示す模式図である。
図3に示すλ/4板は、透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)を有する。
第1光学異方性層(A)の位相差は、実質的にλ/2(波長550nmで150〜350nm)に調整されている。第2光学異方性層(B)の位相差は、実質的にλ/4(波長550nmで60〜170nm)に調整されている。
透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。
図3に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)は、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性化合物(c1およびc2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
【0021】
棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、配向膜のラビング方向(raおよびrb)によって、配向方向が決定されている。第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)と配向膜のラビング方向(ra)とは直交している。すなわち、第1光学異方性層(A)の配向膜としては、直交型配向膜を用いている。一方、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と配向膜のラビング方向(rb)とは平行である。すなわち、第2光学異方性層(B)の配向膜としては、平行型配向膜を用いている。
棒状液晶性化合物(c1およびc2)に代えて、円盤状液晶性化合物を用いることもできる。円盤状液晶性化合物を用いる場合も、円盤状液晶性化合物をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性化合物の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0022】
図4は、円偏光板の代表的な構成を示す模式図である。
図4に示す円偏光板は、図3に示した透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)からなるλ/4板に、さらに偏光膜(P)を有する。
図3と同様に、透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。さらに、偏光膜(P)の偏光軸(p)と透明支持体(S)の長手方向(s)とは直交している。
【0023】
図4に示した第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)も、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性化合物(c1およびc2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
棒状液晶性化合物(c1およびc2)に代えて、円盤状液晶性化合物を用いることもできる。円盤状液晶性化合物を用いる場合も、円盤状液晶性化合物をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性化合物の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
図4に示した円偏光板は、右円偏光を生じる構成である。左円偏光を生じる構成では、λ/2の位相差を有する第1光学異方性層の光軸が−75゜で、λ/4の位相差を有する第2光学異方性層の光軸が−15゜となる。従って、第1光学異方性層のラビング方向が+15゜で、第2光学異方性層のラビング方向が−15゜となる。
【0024】
[光学異方性層]
光学異方性層は、液晶性化合物またはポリマーフィルムから形成することができる。本発明では、少なくとも二つの光学異方性層のうち、少なくとも一つは液晶性化合物から形成するのが好ましく、少なくとも二つの光学異方性層を液晶性化合物から形成することがより好ましい。
【0025】
ポリマーフィルムからなる光学異方性層に用いられるポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステルが含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
フィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸であることが好ましい。一軸延伸は、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。
使用するポリマーの固有複屈折が正の場合には、ポリマーフィルムの面内の屈折率が最大となる方向は、フィルムの延伸方向に相当する。使用するポリマーの固有複屈折が負の場合には、ポリマーフィルムの面内の屈折率が最大となる方向は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
ポリマーフィルムの厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましく、50乃至100μmであることが最も好ましい。
【0026】
光学異方性層に用いる液晶性化合物は、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物が好ましい。液晶性化合物は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。液晶性化合物は、ホモジニアス配向させることが好ましい。
【0027】
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶性化合物は、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許468337号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号の各明細書、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号の各公報に記載がある。
【0028】
下記式(I)で表される重合性棒状液晶性化合物が特に好ましい。
式(I);
Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
【0029】
式(I)において、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。
重合性基の例を以下に示す。
【0030】
【化1】
【0031】
重合性基(Q1およびQ2)は、不飽和重合性基(Q−1〜Q−7)、エポキシ基(Q−8)またはアジリジニル基(Q−9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q−1〜Q−6)であることが最も好ましい。
【0032】
式(I)において、L1およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基である。
L1およびL4は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR1−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R1は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy2)に結合する。
【0033】
L−1:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−
L−6:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−CO−O−
L−7:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−二価の鎖状脂肪族基−
【0034】
二価の鎖状脂肪族基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基または置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、3乃至8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換アルキレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換アルケニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換アルキニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
【0035】
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R1は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0036】
式(I)において、L2またはL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
二価の連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基ことが好ましい。上記R2は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
二価の鎖状脂肪族基の定義および例は、L1およびL4の定義および例と同様である。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R2は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0037】
式(I)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環である方が好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
【0038】
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、1,4−フェニレンまたは1,4−シクロへキシレンであることが特に好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が1乃至5のアシル基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアミド基が含まれる。
【0039】
式(I)において、nは、0、1または2である。nが2の場合、二つのL3およびCy2は、異なっていてもよい。nは、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0040】
円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Cryst. Liq.Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0041】
式(II):D(−L−Q)n
式(II)において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整数である。
【0042】
式(II)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0043】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L−11:−AL−CO−O−AL−
L−12:−AL−CO−O−AL−O−
L−13:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L−14:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L−15:−CO−AR−O−AL−
L−16:−CO−AR−O−AL−O−
L−17:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−18:−CO−NH−AL−
L−19:−NH−AL−O−
L−20:−NH−AL−O−CO−
【0044】
L−21:−O−AL−
L−22:−O−AL−O−
L−23:−O−AL−O−CO−
L−24:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L−25:−O−AL−S−AL−
L−26:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L−27:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L−28:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−29:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L−30:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L−31:−S−AL−
L−32:−S−AL−O−
L−33:−S−AL−O−CO−
L−34:−S−AL−S−AL−
L−35:−S−AR−AL−
【0045】
式(II)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の定義および例は、式(I)におけるQ1およびQ2の定義および例と同様である。
複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上の円盤状液晶性化合物(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
【0046】
液晶性化合物から形成する光学異方性層には、液晶性化合物をホモジニアスで均一に配向させるために水平配向促進剤を添加することが好ましい。
水平配向促進剤は、高分子化合物と低分子化合物とに分類できる。高分子型水平配向促進剤の例には、ポリビニルブチラール、ポリメラミンおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。低分子型水平配向促進剤の例は、以下に示す。
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
水平配向促進剤は、液晶性化合物の量に対して、0.001乃至5質量%の範囲で添加することが好ましく、0.05乃至1質量%の範囲で添加することがさらに好ましい。
【0060】
光学異方性層は、液晶性化合物および下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することができる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0061】
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定する。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(Q)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0062】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2乃至800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、空気中の酸素(酸素は重合阻害作用を有する)の影響を排除するため、窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましい。
【0063】
[配向膜]
液晶性化合物を配向させるために配向膜を用いることが好ましい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回擦ることにより実施する。
【0064】
本発明では、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物をホモジニアスに配向させることが好ましい。ただし、同じ「ホモジニアス」と称していても、棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物とは、著しく相違する。従って、配向膜に使用するポリマーは、液晶化合物の種類(棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物)に応じて決定する必要がある。
棒状液晶性化合物をホモジニアス(水平)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向膜用ポリマー)を用いる。
円盤状液晶性化合物をホモジニアス(垂直)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させるポリマーを用いる。配向膜の表面エネルギーを低下させるためには、ポリマーの側鎖に炭素原子数が10乃至100の炭化水素基を導入することが好ましい。
【0065】
具体的なポリマーの種類については、液晶セル(主に棒状液晶性化合物)または光学補償シート(主に円盤状液晶性化合物)についての様々な文献に記載がある。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて、光学異方性層の液晶化合物を配向させてから、液晶層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定された液晶化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
【0066】
λ/4板を形成する上で、二つの光学異方性層の組み合わせ方の前記第1の態様では、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜または15゜に設定することが好ましい。
一般的な配向膜は、ラビング方向と、液晶性化合物からなる光学異方性層の遅相軸方向とが平行になる。光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に15゜に設定する場合は、一般的な配向膜(平行型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。すなわち、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度は、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)になることが好ましい。
【0067】
一方、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜に設定する場合は、特別な配向膜(直交型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。直交型配向膜を用いると、ラビング方向と、液晶性化合物からなる光学異方性層の遅相軸方向とを実質的に垂直にすることができる。その結果、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度を、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)に設定できる。
【0068】
直交型配向膜は、下記式(III)または(IV)で表される繰り返し単位と、下記式(V)または(VI)で表される繰り返し単位とを含むコポリマーを含むことが好ましい。
【0069】
【化14】
【0070】
式(III)において、R1は、水素原子(アクリル酸コポリマー)またはメチル(メタクリル酸コポリマー)である。
式(III)において、Mは、プロトン,アルカリ金属(例、Li、Na、K)イオンまたはアンモニウムイオンである。アンモニウムイオンは、有機基(例、メチル、エチル)により置換されていてもよい。
式(III)および(IV)において、mは、10乃至95モル%である。
【0071】
式(V)および(VI)において、R2は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R2は、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチルまたはエチルであることがさらに好ましく、水素原子またはメチルであることが最も好ましい。
【0072】
式(V)において、Cyは、脂肪族環基、芳香族基または複素環基である。
脂肪族環基の脂肪族環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン環が含まれる。脂肪族環に、他の脂肪族環、芳香族環または複素環が縮合していてもよい。
芳香族基の芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環およびナフタセン環が含まれる。芳香族環に、脂肪族環または複素環が縮合していてもよい。
複素環基の複素環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。複素環は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和であり、好ましくは最多二重結合を有する。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環およびピラジン環が含まれる。複素環に、他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。
【0073】
脂肪族環基、芳香族基および複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(例、メチル、エチル、t−ブチル)、置換アルキル基(例、クロロメチル、ヒドロキシメチル、塩化トリメチルアンモニオ)、アルコキシ基(例、メトキシ)、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、カルボキシル、アシル基(例、ホルミル)、アミノ、スルホ、アリール基(例、フェニル)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)およびオキソが含まれる。
【0074】
式(VI)において、L1は、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。
式(VI)において、R3は、少なくとも二個の芳香族環または芳香族性複素環を含む炭素原子数が10乃至100である一価の基である。芳香族環および芳香族性複素環の定義および例は、式(V)のCyにおける芳香族環および芳香族性複素環の定義および例と同様である。
式(V)および(VI)において、nは、90乃至5モル%である。
【0075】
式(IV)で表される繰り返し単位を含むコポリマーは、変性ポリビニルアルコールの一種である。変性ポリビニルアルコールのポリビニルアルコール部分に相当する式(IV)で表される繰り返し単位は、ケン化度が100%である必要はない。言い換えると、変性ポリビニルアルコールは、下記式(VII)で表される酢酸ビニルに対応する繰り返し単位を含むことができる。
【0076】
【化15】
【0077】
式(VII)において、kは、0.01乃至20モル%である。
コポリマーは、さらに重合性基を有する繰り返し単位を含むことができる。重合性基を有する繰り返し単位は、下記式(VIII)で表されることが好ましい。
【0078】
【化16】
【0079】
式(VIII)において、R4は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R4は、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
式(VIII)において、L2は、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。
式(VIII)において、Qは重合性基である。重合性基の定義および例は、液晶性化合物の重合性基の定義および例と同様である。
式(VIII)において、pは、0.1乃至20モル%である。
配向膜に、二種類以上のポリマーを併用してもよい。
【0080】
[ポリマーフィルム]
本発明の高透過率導電性フィルムでは、ポリマーフィルムを支持体として用いる。本発明の高透過率導電性フィルムが塗布型λ/4板の場合、ポリマーフィルムそれ自体がλ/4板の透明支持体も兼ねる。
ポリマーフィルムとしては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、環状ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。ポリマーフィルムとして、複屈折のない(レターデーションの小さな)フィルムを用いることが好ましい。そのようなものとしては、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンなどが望ましい。なかでも、インナータイプタッチパネルに用いる場合などには上部基板は偏光板を有するが、この偏光板に用いられるトリアセチルセルロースと熱や湿度に対する線膨張係数を合わせる観点、またコスト面から、トリアセチルセルロースを用いるのが特に好ましい。トリアセチルセルロースフィルムの作製法は、公開技報番号2001−1745にて公開されたものが好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0081】
(ハードコート層)
ポリマーフィルムと高屈折率層の間にはハードコート層を設けることが望ましい。ポリマーフィルムが塗布型λ/4板の場合には、透明支持体と光学異方性層の間にハードコート層を設けてもよいし、光学異方性層と高屈折率層の間に設けてもよい。また、透明支持体の光学異方性層を設けた面とは反対側の面上に、ハードコート層、高屈折率層,2、透明導電膜を設けてもよい(図1の上部基板20の構成)。ハードコート層に用いる材料としては、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、プロピレン系樹脂、ビニル系樹脂などの高分子を単独、または、混合で用いることができる。また、高分子中に無機酸化物微粒子を分散してコートすることも好ましい。無機酸化物微粒子としては、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、SnO2などがあるが、特にSiO2、Al2O3が望ましい。また、無機物のみをスパッタ法などの方法でコートしてもよい。
コートする膜厚としては0.3μm以上50μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.5nm以上10μm以下であり、特に好ましくは1μm以上4μm以下である。
また、ハードコート層の屈折率は、高屈折率層の屈折率以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.55以下であることがさらに好ましい。
【0082】
(高屈折率層)
本発明に用いる高屈折率層は、ベースとなるλ/4板機能を有するポリマーフィルムより屈折率が高い必要がある。しかし、屈折率が低すぎると光の透過率向上の効果が少なくなる傾向があり、一方、屈折率が高すぎると、特定の波長の光の透過率は高くなるが、可視光全域で高い透過率が得られなくなる可能性がある。したがって、屈折率は1.6〜2.6が好ましく、1.6〜2.0がさらに好ましい。特に好ましくは1.6〜1.9である。
【0083】
高屈折率層は、無機微粒子と重合性モノマーの硬化物で形成される。例えば、屈折率の高い無機微粒子、アニオン性分散剤、3官能以上の重合性基を有するモノマー、および重合開始剤を含有する硬化性組成物を塗布、乾燥し、熱および/または電離放射線によりモノマーを重合させ硬化させることによって形成することができる。このようにして形成された高屈折率層は、高屈折率を有するポリマー溶液を塗布、乾燥したものと比較して、耐傷性や密着性に優れる。
高屈折率層の屈折率は、主に、上記モノマーが重合、硬化してなる硬化性樹脂と、無機微粒子の屈折率により決まるので、モノマーや無機微粒子の選択により調整することができる。
【0084】
屈折率の高い無機微粒子としては、Ti、Zr、In、Zn、Sn、Sbの酸化物が挙げられ、この中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含む無機微粒子が好ましい。無機微粒子の平均粒径は、コールターカウンター法で測定したときの平均粒径で1から100nmであることが好ましい。1nm以下では、比表面積が大きすぎるために、塗布液中に分散させた際の安定性に乏しく、好ましくない。100nm以上では、上記モノマーが重合、硬化してなる硬化性樹脂との屈折率差に起因する可視光の散乱が発生し、好ましくない。
3官能以上の重合性基を含有するモノマーとしては、多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。また、アニオン性分散剤としては、アニオン性基を含有するモノマー((メタ)アクリレートモノマーなど)が挙げられる。分散液安定性や、硬化後の膜強度等を確保するために、特開平11−153703号公報や特許番号US6210858 B1等に記載されているような、多官能(メタ)アクリレートモノマーとアニオン性基含有(メタ)アクリレート分散剤とが塗布組成物中に含まれることが好ましい。
重合開始剤は、例えば、紫外線によりラジカルを発生させる、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、これらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。重合開始剤は、単独でも複数開始剤を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の添加量としては、高屈折率層を形成するための硬化性組成物中に含まれる硬化性樹脂の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
硬化させる際に照射する電離放射線としては、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが挙げられるが、なかでも紫外線が好ましい。
【0085】
(中間層)
本発明に用いる中間層は、高屈折率層より屈折率が低い必要があるが、屈折率が高すぎると透過率の向上効果が少ない。また、屈折率が低すぎると膜の強度が低くなり、タッチパネル化した時の、入力の際に受ける入力ペンからの荷重で破壊される可能性がある。したがって、屈折率は1.30〜1.65が望ましく、1.35〜1.60が更に望ましい。より望ましくは1.4〜1.57である。
【0086】
中間層は、熱もしくは電離放射線の照射により硬化する、含フッ素硬化性樹脂および/または3官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂を主体とする層であることが好ましく、さらに、無機微粒子やその他の添加剤を含んでもよい。
熱もしくは電離放射線の照射により硬化する硬化性樹脂としては、同一分子内に2個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂が好ましい。具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシアネート硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られる多官能のウレタンアクリレートやポリエポキシ硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート(メタアクリレート)の反応によって得られる多官能のエポキシアクリレート等を挙げることができる。さらに、以下のA−1からA−44等のエチレン性不飽和基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
【0087】
【化17】
【0088】
【化18】
【0089】
【化19】
【0090】
【化20】
【0091】
【化21】
【0092】
中間層の低屈折率化のために、含フッ素硬化性樹脂を用いるのが好ましい。該含フッ素硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等であり、これらのなかでも低屈折率、モノマーの扱いやすさの観点で特にヘキサフルオロプロピレンが好ましい。
架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者は共重合の後、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されており、特に好ましい。
また上記含フッ素モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いてもよい。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができ、特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されている。
【0093】
中間層と透明導電膜の間の密着性を向上するためには、後述の易接着処理を施すが、密着性を効果的に向上するためには、中間層に使用する含フッ素硬化性樹脂や3官能以上の重合性基を有する電離放射線硬化性樹脂が、易接着処理で、分子鎖を切断された時に、表面に−COOH基および/または−OH基を発生することが好ましく、特に−COOH基を発生するのが好ましい。また、そのような官能基を発生する添加成分を加えてもよい。このような官能基を発生するためには、硬化後の分子鎖中に−COO−結合を有する樹脂を選択するのがよい。
【0094】
中間層の屈折率の調整や硬度付与のために、無機微粒子を含有させることが好ましく、Siの酸化物からなる微粒子が望ましい。Siの酸化物からなる微粒子としては、市販の有機溶剤に分散されたシリカゾルをそのまま塗布液に添加しても、市販の各種シリカ紛体を有機溶剤に分散して使用してもよい。
【0095】
高屈折率層,中間層およびハードコート層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。ウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点でマイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性の観点で特にグラビア法が好ましい。
本発明においては、高透過率導電性フィルムを構成する層(高屈折率層、中間層、および形成する場合は光学異方性層、ハードコート層を含む)のうち少なくとも2層以上は塗布法で形成し、かつ、少なくとも2層以上の塗布層、好ましくは3層以上の塗布層が、該支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成されることが望ましく、該支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に全塗布層が連続で形成されることが特に望ましい。
【0096】
(易接着処理)
中間層の上に透明導電性膜を処理する前には易接着処理するのが望ましく、用途によっては、易接着処理をしないと透明導電性膜の密着性が不十分で、使用中に膜剥離や膜破壊が発生する可能性がある。易接着処理としては、UV照射処理、エキシマUV処理、真空プラズマ処理、減圧プラズマ処理、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、イオンビーム照射処理、ケン化処理などがある。密着性改善効果と処理速度の面からは、特に真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、減圧プラズマ処理、コロナ放電処理、イオンビーム照射処理、ケン化処理が好ましい。生産性上の観点からは、易接着処理プロセスは、高屈折率層および中間層の塗布工程後に、ロールで巻き取る前に減圧プラズマ処理、常圧プラズマ処理、コロナ放電処理、イオンビーム処理、ケン化処理連続で処理するか、または、透明導電性膜の形成前に、真空中で真空プラズマ処理で処理し、連続で透明導電膜を形成するのが望ましい。
【0097】
(透明導電膜)
本発明の高透過率導電性フィルムおよびタッチパネルに用いる透明導電膜は、表面抵抗率が2000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがさらに好ましい。特に好ましくは100Ω/□以上900Ω/□以下である。
【0098】
フィルム上に透明導電膜を形成するには、ロール式の連続スパッタ装置を用いることが好ましい。本発明の高透過率導電性フィルムをアウタータイプの上部基板に用いる場合は透明導電膜と反対側の面にハードコート層と反射防止膜を設けるのが望ましいが、その場合は、透明電極膜を成膜する前に、ハードコート層と反射防止膜を設けるのが望ましい
【0099】
表面抵抗率が上記のような値の透明導電膜は、導電性微粒子分散物、金属アルコキシドなどを塗布によって設けても構わないし、スパッタリング、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法などの真空成膜法、あるいは大気圧での気相成長法によって透明導電膜を形成しても構わない。好ましい形成法はスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングであり、特に好ましくはスパッタリング法である。
【0100】
真空成膜法としては「透明導電膜の新展開」シーエムシー、澤田豊監修「月刊ディスプレイ」1999年9月号に記載の方法を用いることができる。
成膜する透明導電性金属酸化物としてはIn2O3系(Snなどのドープ品、ITOを含む)、SnO2系(F、Sbなどのドープ品を含む)、ZnO系(Al、Gaなどのドープ品を含む)およびこれらの複合酸化物、例えばIn2O3−ZnO系、などが挙げられる。金属窒化物としてはTiNなどが挙げられる。また、銀などと共に成膜してもよい。
【0101】
スパッタ法により酸化インジウムを主成分とする膜を成膜する方法としては、インジウムを主成分とする金属ターゲット、または酸化インジウムを主成分とする焼結体ターゲットを用いた反応性スパッタリングが適する。反応を制御する上では、後者が好ましい。特に好ましくは酸化スズを含有する酸化インジウムターゲットを用いた反応性スパッタリングであり、酸化スズを1質量%から20質量%含むのが望ましく、3質量%から12質量%含むのが特に望ましい。反応性スパッタリング法においてはスパッタリングガスに、アルゴンなどの不活性ガスを用い、反応性ガスとしては酸素を用いる。また、酸素流量の制御はプラズマエミッションモニター法で行うことが好ましい。放電形式は特に規定しないが、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、1対のターゲット間にAC電圧を印加する方法、1対のターゲット間にパルスDC電圧を印加する方法などが好ましい。成膜時の基板の温度は特に規定はないが、基板のガラス転移点以下で可能な範囲で加熱した方が膜強度が向上する傾向がある。
【0102】
透明導電膜が形成された状態で、本発明の高透過率導電性フィルムの波長550nmにおける光の透過率は、90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、93%以上であることがさらに好ましく、94%以上であることが特に好ましい。
さらに、450nm、550nm、650nmの全ての波長で、透過率が90%以上、更に好ましくは92%以上であると、ディスプレイに搭載した際に、透過光の色変化が少なく、特に好ましい。
【0103】
透明導電膜の厚みは、ITOを用いた場合を例にとると、5〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜150nm、更に好ましくは5nm〜30nm、最も好ましくは7〜20nmである。
透明導電膜は、タッチパネルに用いる際には、全面を電極として用いる場合と、全面に電極を形成した後にレジスト形成およびエッチングを行ってパターン加工して用いる場合がある。
【0104】
(円偏光機能付上部基板)
本発明のタッチパネルでは、外光の反射防止の点から、上部基板が円偏光機能を有することが望ましい。
円偏光機能付上部基板は、偏光能を持つ偏光膜を有し、通常該偏光膜の両面又は片面に保護膜が接着剤層を介して設けられ、さらに片面側には、λ/4板が設けられる。λ/4板として、本発明のλ/4板機能を有する高透過率導電性フィルムを用いるのが、低コストで薄型・軽量化でき、好ましい。
【0105】
液晶材料や配向方向、視野角特性などの観点から、λ/4板の遅相軸と偏光膜の透過軸とのなす角度は45°とするのが好ましい。
また、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、偏光膜とλ/4板との間にλ/2板を配置することもある。
【0106】
また、ポリマーフィルム上に2層の光学異方性層が塗布されて形成されたλ/4板の場合は、第1の光学異方性層であるλ/2層の遅相軸と、第2の光学異方性層であるλ/4層の遅相軸とが、実質的に60゜で交差しているのが望ましい。さらに、偏光膜との貼り合わせた際に、偏光膜の偏光軸と、一方の光学異方性層の遅相軸とが、実質的に75゜で交差しており、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一方の光学異方性層の遅相軸とが、実質的に15゜で交差していることが望ましい。
【0107】
一般に、λ/4板、λ/2板などの位相差板は疎水性であり、透湿性が低くなるので、通常10%以上と比較的含水率の高い偏光膜と直に貼り合わせると、偏光膜中の水が偏光板外に揮発するまでの時間が長くなり、偏光度が低下したり、色ムラを生じたりするため、好ましくない。したがって、通常は、λ/4板が偏光膜の保護膜を兼ねることができず、偏光板としては、保護膜/偏光膜/保護膜/(λ/4板)の構成となる。
しかし、最終的に偏光膜の含水率を5%以下の少ない状態に乾燥すると、λ/4板のように透湿性の低いフィルムを偏光膜の保護膜として、偏光膜に直接貼り合わせることができ、結果として、保護膜の使用枚数を減らすこととなり、偏光板全体の厚みを薄くすることができるので、この構成が好ましい。
また、セルロースエステルフィルムを用いたλ/4板を用いると、偏光膜の保護膜として作用し、偏光膜の含水量を特に少ない状態にすることなく、偏光膜に直接貼り合せることができ、非常に好適である。セルロースエステルフィルムを用いたλ/4板としては、セルロースエステルフィルム中に位相差を生じる化合物を混合した後に延伸などの手法で配向させて、λ/4板を作製してもよいし、セルロースエステルフィルムの上に、λ/4の位相差を有する層を塗布など手段で形成してもよい。また、λ/4の位相差を有する層は1層で形成されていてもよいし、上記塗布型λ/4板のように、λ/2の位相差を有する層とλ/4の位相差を有する層を積層して、広帯域のλ/4板を作製してもよい。
【0108】
偏光膜の吸収軸は長尺の偏光膜においては一般に長手方向に位置しており、当然このような偏光板も、本発明に使用可能であるが、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもないことがさらに好ましい(かかる長尺の円偏光板を以下単に「斜め配向した」円偏光板と称することもある)。偏光膜の長手方向と吸収軸方向とがなす角度は、好ましくは10°以上90°未満、より好ましくは20°以上70゜未満、更に好ましくは40°以上50゜未満、特に好ましくは44°以上46゜未満である。これにより、貼合せ前に偏光板とλ/4板を打ち抜き、枚葉で貼り合せるということをせず、ロール・ツー・ロールの貼合せで連続的に長尺の円偏光版が作製することができ、非常に好適である。
【0109】
また、本発明に用いられる円偏光板の単板透過率は、550nmで35%以上、かつ偏光度が550nmで80%以上であることが好ましい。単板透過率は40%以上であることがより好ましく、偏光度は好ましくは95.0%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。
【0110】
(タッチパネル)
本発明のタッチパネルは、例えば、表示装置が液晶表示装置の場合には、液晶セルに近い側の下部基板と、対向する上部基板とからなる。下部基板と上部基板の対向面に、それぞれ透明電極を備えている。
上部基板には上記の円偏光機能付上部基板を用いるとよい。下部基板は、組み合わせる液晶のモードによって変化するが、本発明のλ/4板機能付高透過導電性フィルムを用いるか、または、本発明のλ/4板機能付高透過導電性フィルムのλ/4板機能を除いた透明のポリマーフィルムを用いた高透過率導電性フィルムを用いると非常に効果的であり、画像透過性の良好なタッチパネルが作製可能である。ただし、高透過率化のために高屈折率層,中間層を用いるのは、上部基板か下部基板のどちらか片方でも、充分に効果がある。
上部基板に本発明の高透過率導電性フィルムを用いない場合は、フィルム、プラスチック、ガラスのどれでもよく、透明フィルムの例としては非晶性フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状ポリオレフィンなどのポリマーフィルムが挙げられるが、これに限るものではない。
また、インナータイプタッチパネルの場合は、上部基板としては、円偏光板を用いてもよいし、または上記で挙げた透明フィルム上に円偏光板を貼り合わせたものを用いてもよい。また、上部基板表面に反射防止膜やハードコート層を設けた透明フィルムを貼り付けてもよいし、反射防止膜やハードコート層を設けた透明フィルムをλ/4板とは逆側に位置する保護膜として直接偏光膜に貼り付けて、円偏光板として一体化してもよい。
下部基板としては、例えば、ガラスおよび非晶性フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状ポリオレフィンなどのポリマーフィルムなどを用いる。
【0111】
上部基板および下部基板の表面には透明導電膜が形成されるが、本発明の高透過率導電性フィルムを用いない場合でも、透明導電膜の形成方法は前記の(透明電極膜)の箇所に記載した内容と同様である。
【0112】
2つの透明導電膜間には、ギャップが形成される。ギャップ間には通常空気層が存在するが、オプティカル・マッチングを取るために透明導電膜と屈折率の近い液体を充填させることもできる。また、透明導電膜の基板側にアンダーコート層、または、基板と反対側にオーバーコート層を付与し、光反射を低減させることもできる。スティッキング性をなくし、耐久性を改善するために、透明電極膜表面は粗面化されていてもよい。ギャップ間にはスペーサを設けることができる。スペーサとしては、ドット状スペーサを固定基板または可動基板のどちらかに設ける。ドットスペーサのサイズは径20〜150μm、高さ5〜20μmが望ましく、ピッチ1〜8mmで基板全面に作製されていることが望ましいが、作製密度は基板内で均一でない場合もある。
【0113】
タッチパネルによるデータ入力位置検出の方式は、デジタル式(マトリクス式)、アナログ式のどちらでも用いることができる。
デジタル式(マトリクス式)では、固定基板の透明導電膜(例えばX列)と可動基板の透明導電膜(例えばY列)とによりマトリクスを形成し、押圧による透明導電膜同士の接触位置に対応して、データ位置を検出することができる。
アナログ式では、例えば、固定基板のX軸方向の両端部、および、可動基板のY軸方向の両端部に電極を形成し、押圧により透明電極同士が接触し、接触位置により生じるX方向、Y方向の抵抗値を検出することによって、データ入力位置を検出することができる。
本発明においては、タッチパネルは画像表示装置に組み込んで用いることが好ましいが、タッチパネルが表示部とは別々になっていても構わないし、両者が一体となっていても構わない。
【0114】
本発明のタッチパネルは、様々な表示装置と組み合わせて用いることができる。例えば、カソードレイチューブ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶表示装置などである。本発明のタッチパネルを用いることで、これらタッチパネル付き表示装置の外光の反射を低減することができる。これらの表示装置の中では、液晶表示装置または有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイと組み合わせて用いるのが好ましい。
【0115】
液晶表示装置と組み合わせて用いる場合は、用いられる液晶モードは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型、OCB(Optically Compensated Bend)型、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型、VA(Vertically Aligned)型または、GH(Guest Host)型であることが好ましい。また、反射型、半透過型、透過型いずれに対しても用いることができる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
【0117】
<λ/4板の作製>
(第1配向膜の形成)
厚さ100μm、幅500mm、長さ500mの光学的等方性ロール状トリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.48、レターデーション値4nm)を透明支持体として用いた。
下記のコポリマー(1)の希釈液を透明支持体の片面に連続塗布して、厚さ0.5μmの第1(直交型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し右手16°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
【0118】
【化22】
【0119】
(第1光学異方性層の形成)
第1配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布し、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1.6μmの第1光学的異方性層を形成した。第1光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して74°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は225nmであった。
【0120】
(第1光学異方性層塗布液組成)
下記の棒状液晶性化合物(1) 14.5質量%
下記の増感剤 1.0質量%
下記の光重合開始剤 3.0質量%
下記の水平配向促進剤 1.0質量%
メチルエチルケトン 80.5質量%
【0121】
【化23】
【0122】
【化24】
【0123】
【化25】
【0124】
(第2配向膜の形成)
第1光学異方性層の上に、下記のコポリマー(2)の希釈液を連続塗布して、厚さ0.5μmの第2(平行型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手16°の方向(第1光学異方性層の遅相軸に対して右手58゜の方向)に連続的にラビング処理を実施した。
【0125】
【化26】
【0126】
(第2光学異方性層の形成)
第2配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ0.8μmの第2光学的異方性層を形成し、λ/4板を作製した。第2光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して左手16°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は113nmであった。
【0127】
(第2光学異方性層塗布液組成)
第1光学異方性層で用いた棒状液晶性化合物(1) 13.0質量%
第1光学異方性層で用いた増感剤 1.0質量%
第1光学異方性層で用いた光重合開始剤 3.0質量%
第1光学異方性層で用いた水平配向促進剤 1.0質量%
メチルエチルケトン 82.0質量%
【0128】
(λ/4板としての評価)
作製したλ/4板に、光(測定波長は450nm、550nm、590nm)を照射し、通過した光の位相差(レターデーション値:Re)を測定した。なお、レターデーション値の測定は、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて行った。
測定した結果は次の通りである。
【0129】
【0130】
<導電性フィルムの作製>
(塗布液Aの調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して塗布液Aを調製した。
【0131】
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン超微粒子(TTO−55B、石原テクノ(株)製)30質量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、興人(株)製)1質量部、リン酸基含有アニオン性分散剤(KAYARAD PM0−21、日本化薬(株)製)6質量部およびシクロヘキサノン63質量部を、サンドグラインダーによって、コールター法で測定した平均粒径が42nmになるまで分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
【0132】
(塗布液Bの調製)
シクロヘキサノン54質量部およびメチルエチルケトン18質量部に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.13質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04質量部を溶解した。さらに、上記二酸化チタン分散物26.4質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)1.6質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、塗布液Bを調製した。
【0133】
(塗布液Cの調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して塗布液Cを調製した。
【0134】
(塗布液Dの調製)
シクロヘキサノン75質量部およびメチルエチルケトン19質量部に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.11質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04質量部を溶解した。さらに、上記二酸化チタン分散物3.1質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.1質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、塗布液Dを調製した。
【0135】
[実施例1]
(高屈折率層,中間層の作製)
上記の通りに作製したλ/4板のトリアセチルセルロース支持体の光学異方性層のない面上に、上記の塗布液Aを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:3μm)を形成した。
続いて、ハードコート層上に上記の塗布液Bをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.90、膜厚:40nm)を設けた。
高屈折率層の上に、上記の塗布液Cをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中間層(屈折率:1.525、膜厚:80nm)を設けた。このようにしてλ/4板上に高屈折率層,中間層を作製した。
以上のハードコート層および高屈折率層,中間層は、支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成した。
【0136】
(易接着処理および透明導電膜の作製)
高屈折率層、中間層を形成した上記トリアセチルセルロースフィルムをロール式連続スパッタリング装置にセットして、易接着処理および透明導電性膜形成を連続で行った。スパッタ装置は上記2処理を連続で行えるように、異なる真空度に制御可能な2チャンバーを有しているものを用いた。易接着処理は真空槽を1.2mPaの圧力まで排気した後、Arガスを導入して、ガス圧を2.0Paに調整した後、プラズマ処理用のマグネトロン電極にDC電圧を3.88kW/m2印加し、その電極の前をフィルムを通過させた。処理時間は3分間とった。その後、スパッタチャンバーに搬送し、スパッタ処理を行った。スパッタチャンバーはAr+O2混合ガス(O2=1.0%)を導入し、圧力を0.3Paに調整した。基板温度を50℃、投入電力密度1W/cm2で、DCスパッタリングを行ない、厚み15nmの酸化スズを約10質量%含有する酸化インジウム・酸化スズ膜(ITO)を中間層上に形成した。
【0137】
このようにして得られた導電性フィルムAの透明導電膜側の表面抵抗率を、4端子法にて測定した結果、502Ω/□であった。
光の透過率は450nm:90.5%、550nm:95.4%、650nm:93.4%であり、波長550nmにおける光の透過率が非常に大きな導電性フィルムが得られた。
【0138】
[実施例2]
高屈折率層,中間層を下記の通りに形成した以外は、実施例1と同じ方法で、導電性フィルムBを作製した。
(高屈折率層,中間層の作製)
上記の通りに作製したλ/4板のトリアセチルセルロース支持体の光学異方性層のない面上に、上記の塗布液Aを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:3μm)を形成した。
続いて、ハードコート層上に上記の塗布液Dをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.63、膜厚:40nm)を設けた。
高屈折率層の上に、上記の塗布液Aをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中間層(屈折率:1.51、膜厚:80nm)を設けた。このようにしてλ/4板上に高屈折率層,中間層を作製した。
以上のハードコート層および高屈折率層,中間層は、支持体を一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成した。
このようにして得られた導電性フィルムBの光の透過率は、450nm:91.0%、550nm:92.2%、650nm:91.8%であり、可視光の全領域で透過率の高いニュートラルな色味の透明導電膜が得られた。
【0139】
[実施例3]
透明導電膜の膜厚を12nmにした以外は実施例2と同じ方法で、導電性フィルムCを作製した。
このようにして得られた導電性フィルムCの透明導電膜側の表面抵抗率を、4端子法にて測定した結果、685Ω/□であった。
光の透過率は、450nm:92.3%、550nm:92.8%、650nm:92.0%であり、可視光の全領域で透過率の高いニュートラルな色味の透明導電膜が得られた。
【0140】
[比較例1]
中間層を設けない以外は実施例1と同じ方法で、導電性フィルムDを作製した。
このようにして得られた導電性フィルムDの光の透過率は、450nm:89.1%、550nm:89.7%、650nm:90.5%であり、実施例と比較して、低い透過率となった。
【0141】
[比較例2]
高屈折率層,中間層を設けない以外は実施例3と同じ方法で、導電性フィルムEを作製した。
このようにして得られた導電性フィルムEの光の透過率は、450nm:89.6%、550nm:90.3%、650nm:90.8%であり、実施例と比較して、低い透過率となった。
【0142】
<タッチパネルの作製>
[実施例4]
(上部基板の作製)
片面にハードコート層と反射防止膜を設けたトリアセチルセルロースフィルムの裏面(ハードコート層および反射防止膜を設けなかった面)と実施例1の導電性フィルムAの透明導電膜を設けた面の反対側の面がそれぞれ偏光膜と接するように、透明導電膜付き位相差板と反射防止層付きハードコートフィルムを同時に偏光膜に貼り付けた。貼り付ける方向は、偏光膜の透過軸と、第一異方性層の遅相軸とが、15゜となるようにした。
【0143】
(タッチパネルの作製)
上記貼り合わせの後に透明導電膜の上に、表面に2mmピッチのドットスペーサと両端部に銀電極を印刷し、上部基板を作製した。また、実施例1の導電性フィルムAの透明導電膜上に両端に銀電極を印刷し、下部基板を作製した。それぞれの基板には銀電極印刷前に、透明導電膜と銀電極が接触してはいけないところに絶縁コート膜を印刷した。銀電極および絶縁コートはスクリーン印刷機にて印刷し、硬化を行った。上記下部基板と上部基板を透明導電膜同士が対向するように接着し、その後、フレキシブル電極を取り付け、熱圧着にて固定した。この際、両基板の周囲に100μm厚の絶縁性貼り合せ剤を挟んだ。このようにしてタッチパネルA1を作製した。
【0144】
[実施例5]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに実施例2の導電性フィルムBを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルB1を作製した。
【0145】
[実施例6]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに実施例3の導電性フィルムCを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルC1を作製した。
【0146】
[比較例3]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに比較例1の導電性フィルムDを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルD1を作製した。
【0147】
[比較例4]
実施例4において、導電性フィルムAの代わりに比較例2の導電性フィルムEを用いた以外は実施例4と同じ方法で、タッチパネルE1を作製した。
【0148】
[実施例7]
(下部基板用透明導電膜付きフィルムの作製)
下部基板として、光学異方性層を設けないトリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.48、レターデーション値4nm)上に、実施例1と同じ方法で、ハードコート層、高屈折率層、中間層、ITO膜を形成し、透明導電膜付きフィルムを作製した。
上記透明導電膜付きフィルムの上に、表面に2mmピッチのドットスペーサと両端部に銀電極を印刷し、下部基板を作製した。
【0149】
(タッチパネルの作製)
実施例1の導電性フィルムAのITO膜上に両端に銀電極を印刷し、上部基板を作製した。それぞれの基板には銀電極印刷前に、透明導電膜と銀電極が接触してはいけないところに絶縁コート膜を印刷した。銀電極および絶縁コートはスクリーン印刷機にて印刷し、硬化を行った。上記下部基板と上部基板を透明導電膜同士が対向するように接着し、その後、フレキシブル電極を取り付け、熱圧着にて固定した。この際、両基板の周囲に100μm厚の絶縁性貼り合せ剤を挟んだ。このようにしてタッチパネルA2を作製した。
【0150】
[実施例8]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに実施例2の導電性フィルムBを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルB2を作製した。
【0151】
[実施例9]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに実施例3の導電性フィルムCを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルC2を作製した。
【0152】
[比較例5]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに比較例1の導電性フィルムDを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルD2を作製した。
【0153】
[比較例6]
実施例7において、導電性フィルムAの代わりに比較例2の導電性フィルムEを用いた以外は実施例7と同じ方法で、タッチパネルE2を作製した。
【0154】
<タッチパネル付き透過型液晶表示装置の作製>
[実施例10]
TN型液晶セルを使用した、タッチパネル付き透過型液晶表示装置(CASSIOPEIA BE−500−BU、カシオ計算機(株)製)に設けられているタッチパネル部を取り外し、実施例4で作製したタッチパネルA1を取り付け、タッチパネル付き透過型液晶表示装置A1を作製した。
【0155】
[実施例11]
実施例5で作製したタッチパネルB1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置B1を作製した。
【0156】
[実施例12]
実施例6で作製したタッチパネルC1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置C1を作製した。
【0157】
[比較例7]
比較例3で作製したタッチパネルD1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置D1を作製した。
【0158】
[比較例8]
比較例4で作製したタッチパネルE1を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き透過型液晶表示装置E1を作製した。
【0159】
タッチパネル付き透過型液晶表示装置A1〜E1を比較した。本発明のA1〜C1はいずれもD1、E1と比較して明るい画像が得られ、視認性が向上した。また、導電性フィルムの透過率が高いほど、明るい画像が得られた。
【0160】
<タッチパネル付き反射型液晶表示装置の作製>
[実施例13]
TN型液晶セルを使用した、タッチパネル付き反射型液晶表示装置(パワーザウルスMI−C1、シャープ(株)製)に設けられているタッチパネル部を取り外し、偏光板と位相差板を剥がし、実施例7で作製したタッチパネルA2を取り付け、タッチパネル付き反射型液晶表示装置A2を作製した。
【0161】
[実施例14]
実施例8で作製したタッチパネルB2を使用した以外は、実施例13と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置B2を作製した。
【0162】
[実施例15]
実施例9で作製したタッチパネルC2を使用した以外は、実施例13と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置C2を作製した。
【0163】
[比較例9]
比較例5で作製したタッチパネルD2を使用した以外は、実施例13と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置D2を作製した。
【0164】
[比較例10]
比較例6で作製したタッチパネルE2を使用した以外は、実施例10と同じ方法でタッチパネル付き反射型液晶表示装置E2を作製した。
【0165】
タッチパネル付き反射型液晶表示装置A2〜E2を比較した。本発明のA2〜C2はいずれもD2、E2と比較して明るい画像が得られ、視認性が向上した。また、導電性フィルムの透過率が高いほど、明るい画像が得られた。
【0166】
【発明の効果】
本発明のλ/4板機能を有する高透過率導電性フィルムは、可視光領域の透過率が高く、タッチパネルに用いると、画像透過性が高く、視認性が良化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる、インナータイプタッチパネル搭載表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係わる、アウタータイプタッチパネル搭載表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】λ/4板の代表的な構成を示す模式図である。
【図4】円偏光板の代表的な構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 バックライト
2 保護膜
3 偏光膜
4 λ/4板
5 液晶セル
6 ポリマーフィルム
7 ハードコート
8 高屈折率層
9 中間層
10 透明導電膜
11 透明導電膜
12 中間層
13 高屈折率層
14 ハードコート層
15 λ/4板
16 偏光膜
17 保護膜
18 ハードコート層
19 反射防止膜
20 λ/4機能付き高透過率導電性フィルム
21 高透過率導電性フイルム(下部基板)
22 上部基板
23 タッチパネル
23 タッチパネル搭載半透過型液晶表示装置
51 バックライト
52 保護膜
53 偏光膜
54 保護膜
55 液晶セル
56 保護膜
57 偏光膜
58 保護膜
59 λ/4板
60 ハードコート層
61 高屈折率層
62 中間層
63 透明導電膜
64 透明導電膜
65 中間層
66 高屈折率層
67 ハードコート層
68 λ/4板
69 偏光膜
70 保護膜
71 ハードコート
72 反射防止膜
80 λ/4機能付き高透過率導電性フィルム
81 λ/4機能付き高透過率導電性フィルム(下部基板)
82 上部基板
83 タッチパネル
84 タッチパネル搭載透過型液晶表示装置
S 長尺状透明支持体
s 透明支持体の長手方向
A 第1光学異方性層
a 第1光学異方性層の面内の遅相軸
B 第2光学異方性層
b 第2光学異方性層の面内の遅相軸
c1、c2 棒状液晶性化合物
P 偏光膜
p 偏光膜の偏光軸
ra 第1光学異方性層の配向膜のラビング方向
rb 第2光学異方性層の配向膜のラビング方向
α aとsとの角度
β bとsとの角度
γ aとbとの角度
Claims (12)
- 位相差板の少なくとも一方の面に、位相差板側に隣接する層よりも屈折率の低い中間層が積層され、該中間層が積層された側の最表面に透明導電膜を有する高透過率導電性フィルム。
- 位相差板が、ポリマーフィルムからなる透明支持体上に少なくとも二つの光学異方性層が塗布されて形成されたλ/4板であって、少なくとも一つの光学異方性層が液晶性化合物を含む層であることを特徴とする請求項1に記載の高透過率導電性フィルム。
- 中間層が、熱もしくは電離放射線硬化性の含フッ素硬化性樹脂および/または熱もしくは電離放射線硬化性の3官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂を主体とする層であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
- 中間層の屈折率が1.35〜1.6である請求項1〜3のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
- ポリマーフィルムと中間層の間にポリマーフィルムより高い屈折率を持つ高屈折率層を有し、高屈折率層の屈折率が1.6〜2.6である請求項1〜4のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
- 透明導電膜を形成した反対側の面に屈折率の異なる複数の層を有する反射防止構造を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
- 波長550nmにおける光の透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
- 透明導電膜の膜厚が5〜200nmで、抵抗値が2000Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高透過率導電性フィルム。
- 高透過率導電性フィルムを構成する層のうち少なくとも2層以上は塗布法で形成し、かつ、少なくとも2層以上の塗布層は、ポリマーフィルムを一回送り出してから巻き取るまでの間の一工程中に連続で形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高透過率導電性フィルムの製造方法。
- 透明導電膜を有する上部基板および下部基板が、透明導電膜同士を向かい合わせて配置されてなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方の基板が請求項1〜8のいずれかに記載の高透過率導電性フィルムを含むことを特徴とするタッチパネル。
- 上部基板が円偏光機能を有していることを特徴とする請求項10に記載のインナータイプタッチパネル。
- 請求項10または11に記載のタッチパネルを搭載したタッチパネル付き表示装置。
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