JP2004198614A - 円偏光板、その製造方法、タッチパネルおよび表示装置 - Google Patents
円偏光板、その製造方法、タッチパネルおよび表示装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004198614A JP2004198614A JP2002365279A JP2002365279A JP2004198614A JP 2004198614 A JP2004198614 A JP 2004198614A JP 2002365279 A JP2002365279 A JP 2002365279A JP 2002365279 A JP2002365279 A JP 2002365279A JP 2004198614 A JP2004198614 A JP 2004198614A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- polarizing plate
- transparent
- transparent structure
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Polarising Elements (AREA)
Abstract
【解決手段】λ/4板機能を有する第一の透明構造体と、第二の透明構造体とが偏光膜を挟んで配置された円偏光板であって、円偏光板の厚みは80μm以上300μm以下であり、第一の透明構造体の熱線膨張係数をIT1、湿度線膨張係数をIH1、第二の透明構造体の熱線膨張係数をIT2、湿度線膨張係数をIH2とした時、0.5×IT1 < IT2 < 2.0×IT1、0.5×IH2 < IH1 < 2.0×IH2の少なくとも一方の関係式を満たすことを特徴とする円偏光板。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円偏光板、その製造方法、並びにそれを用いたタッチパネルおよび表示装置に関する。特に、薄型軽量で、温湿度による反り返りの変形の少ない円偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会は、高度情報社会と言われており、情報の流通量が増大し、各個人における情報の収集や選択に対する要求が増大している。このような社会的背景においては、情報携帯端末やカーナビゲーションなど移動しながら情報を処理することのできる移動型の情報端末に対するニーズが大きくなり、積極的に開発が進められている。
移動型の情報端末では、操作者とのインターフェイスとしてはキーボードを用いるより、携帯性を重視して、表示装置の表示部に重ねて使用する透明のタッチパネルを搭載することが主流となってきている。
【0003】
また、近年は情報量増加に伴い表示装置のカラー化の要求も高まっている。しかし、カラー表示ではカラーフィルタにより透過率が低下し、明度が白黒表示時に比べて極端に低下し、視認性が悪くなる。そのため、カラー液晶表示装置においては、高明度化および高コントラスト化が強く要求される。更に、表示装置にタッチパネルを搭載した場合、外部からタッチパネルに進入した光の二つの透明導電膜/空気界面における反射率が大きく、反射した光がタッチパネル装置外部に放出され、ディスプレイの表示内容の視認性を低下させてしまう。この問題に対し、透明導電膜よりも外面側に円偏光板を設置すると、入射光が円偏光となり、透明導電膜/空気界面において反射された光は偏光状態が変わり円偏光板において透過を阻止されるため、外光下など外部からの光の進入が多い状況でも良好な表示が得られる。円偏光板とは直線偏光板およびλ/4板を積層したものである。このような外光に対して透明導電膜の前面に円偏光板を設置するタッチパネルの構成はインナータイプタッチパネルと呼ばれている。
【0004】
一般的なインナータイプタッチパネルの構成図を図1に示す。図1に示されるように、表示装置201上に、固定基板と可動基板とからなるタッチパネルは置かれ、インナータイプの場合には可動基板に円偏光板が含まれる構成となる。直線偏光板は偏光膜208を透明構造体207,209で挟んだ構造となっており、透明構造体207,209としては一般にセルローストリアセテート(TAC)フイルムが用いられることが多い。一方、λ/4板205はポリアリレートフィルムの積層や、変成ポリカーボネート板が一般に用いられている。
TACフイルムは温度・湿度の変化に対する寸度の変化が比較的大きいため、TACから構成されている偏光板の線膨張係数も比較的大きい。一方、現在一般的に用いられているλ/4板の線膨張係数はTACのそれに比べて1桁程度小さい。タッチパネルの可動基板では、このような線膨張係数の異なる複数の部材を積層するため、温度・湿度変化により反りが発生し、可動基板の反りにより必要以上の浮きが発生して入力し易さに影響を与えたり、反りが基板剥がれの原因となったりする。タッチパネルの可動基板板に限らず、円偏光板のカールは大きな問題である。
【0005】
タッチパネル可動基板の反りの問題に対して、直線偏光板の外側表面に当該偏光板よりも線膨張係数の小さな樹脂フイルムを応力緩和性のある糊で貼り付け、直線偏光板の伸びを押さえ込んだ反り抑止方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、特願2002−174781号では、セルローストリアセテート支持体上に二層以上の光学異方性層を塗布することによりλ/4板を作成し、これを使用してインナータイプのタッチパネルを作製している。このタッチパネルの可動基板の構成は図1で示す通常のものと同様である。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−34418号公報
【特許文献2】
特開2001−142683号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図1で示すような構成、さらに反り抑止のため線膨張係数の小さな樹脂フイルムを貼り合わせる構成では、フイルムの積層により厚みが増加してしまう。厚みの増加により入力のために必要な押し圧力が増加し、入力感が悪化する。さらに、部材増加に伴うコストの上昇、製造プロセスの煩雑化などの問題点もある。
【0008】
したがって、本発明は、厚みを増加させること無く高温・高湿条件下でも反りの少ない円偏光板および該円偏光板の製造方法を提供し、さらに、該円偏光板を用いて厚みを増加させること無く反りの影響が改善されたインナータイプタッチパネルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成の円偏光板・タッチパネル・タッチパネル付き表示装置および円偏光板の製造方法が提供され、本発明の上記目的が達成される。ただし、本発明により提供される円偏光板および該円偏光板の製造方法はタッチパネル可動基板としての応用に留まるものではなく、同様の構成を持つ円偏光板全般に適用されうることは言うまでもないことである。
なお、本発明において透明構造体とは、少なくとも支持体を有する透明な構造体であって、単層でもよいし、塗布・蒸着などからなる機能性層を付与した積層体からなる複層でもよい。
【0010】
1.λ/4板機能を有する第一の透明構造体と、第二の透明構造体とが偏光膜を挟んで配置された円偏光板であって、
円偏光板の厚みは80μm以上300μm以下であり、
第一の透明構造体の熱線膨張係数をIT1、湿度線膨張係数をIH1、第二の透明構造体の熱線膨張係数をIT2、湿度線膨張係数をIH2とした時、
式(a):0.5×IT1 < IT2 < 2.0×IT1
式(b):0.5×IH2 < IH1 < 2.0×IH2
の少なくとも一方の関係式を満たすことを特徴とする円偏光板。
【0011】
2.第一の透明構造体が、透明支持体上に少なくとも二つの光学異方性層が形成されてなるλ/4板であって、少なくとも一つの光学異方性層は液晶性化合物を含む層であることを特徴とする上記1に記載の円偏光板。
【0012】
3.第一の透明構造体および第二の透明構造体の少なくとも一方がトリアセチルセルロースフィルムを含むことを特徴とする上記1または2に記載の円偏光板。
【0013】
4.上記1〜3のいずれかに記載の円偏光板の製造方法であって、第一の透明構造体、偏光膜および第二の透明構造体を各々ロール状態で供給し、偏光膜の両側を第一の透明構造体および第二の透明構造体で挟み込んで連続的に貼合し、ロール状態で巻き取る工程を有することを特徴とする円偏光板の製造方法。
【0014】
5.上記1〜3のいずれかに記載の円偏光板を、第一の透明構造体の偏光膜を有する側の面とは反対側の面上に透明導電膜を設け、タッチパネルの可動基板として使用し、該可動基板と透明導電膜を有する固定基板とが、透明導電膜同士が対向するようにスペーサーを介し一定間隔で配置されることを特徴とするタッチパネル。
【0015】
6.上記5に記載のタッチパネルが表示面上に配置されていることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の円偏光板に用いられるλ/4板機能を有する第一の透明構造体について説明する。
第一の透明構造体は、ポリマーを延伸して得られるフイルムを1枚もしくは複数枚積層してなるλ/4板であってもよいし、液晶性化合物を配向させた層を複数層積層してなるλ/4板であってもよい。また、ポリマーフイルムと液晶性化合物を配向させた層とを組み合わせてなるλ/4板であってもよい。
[λ/4板の光学的性質]
λ/4板としては、波長λでのレターデーション値(Reλ)がλ/4であるのが理想である。実際には用いる材料により波長によりλ/4からズレが生じるので、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が60乃至135nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が100乃至170nmであればよい。また、Re590−Re450≧2nmであることが好ましく、Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが最も好ましい。
ここで、レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、厚さ(nm)である。
【0017】
[λ/4板の構成]
本発明でλ/4板機能を有する第一の透明構造体としては、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースアセテートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等の一般的なλ/4板を挙げることができる。
【0018】
本発明でλ/4板機能を有する第一の透明構造体としては、少なくとも二つの光学異方性層を組み合わせることにより得られるλ/4板であることが好ましい。
二つの光学異方性層の組み合わせは、以下の二種類の態様に分類できる。
【0019】
第1の態様では、第1の光学異方性層の遅相軸と、第2の光学異方性層の遅相軸とを、実質的に60゜で交差させる。
第1の光学異方性層は、特定の波長(λ)において実質的にλ/2の位相差を有し、第2の光学異方性層は、特定の波長(λ)において実質的にλ/4の位相差を有していることが好ましい。特定の波長(λ)としては、可視領域のほぼ中間である550nmであることが特に好ましい。
具体的には、特定波長(λ)を550nmとすると、第1の光学異方性層のレターデーション値は、150乃至350nmであることが好ましく、180乃至300nmであることがより好ましく、200乃至280nmであることがさらに好ましく、210乃至270nmであることが最も好ましい。特定波長を550nmとすると、第2の光学異方性層のレターデーション値は、60乃至170nmであることが好ましく、70乃至150nmであることがより好ましく、80乃至135nmであることがさらに好ましく、80乃至120nmであることが最も好ましい。
【0020】
なお、本発明では偏光膜とλ/4板とを組み合わせて円偏光板として機能させるが、偏光膜の偏光軸と、一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に75゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に15゜で交差させることが好ましい。
また、λ/4板が、さらに長手方向を有する透明支持体を有する場合、透明支持体の長手方向と、一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に75゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に15゜で交差させることが好ましい。
【0021】
第2の態様では、第1の光学異方性層の遅相軸と、第2の光学異方性層の遅相軸とを、実質的に直交させる。
450nmの波長で測定した第1の光学異方性層のレターデーション値と450nmの波長で測定した第2の光学異方性層のレターデーション値との差、および590nmの波長で測定した第1の光学異方性層のレターデーション値と590nmの波長で測定した第2の光学異方性層のレターデーション値との差は、いずれも実質的に波長差の1/4であることが好ましい。具体的には、Re590−Re450≧2nmであることが好ましく、Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが最も好ましい。
なお、本発明では偏光膜とλ/4板とを組み合わせて円偏光板として機能させるが、偏光膜の偏光軸と、一つの光学異方性層の遅相軸とは、実質的に45゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とも、実質的に45゜で交差させることが好ましい。
また、λ/4板が、さらに長手方向を有する透明支持体を有する場合、透明支持体の長手方向と、一つの光学異方性層の遅相軸とを、実質的に45゜で交差させ、そして、偏光膜の偏光軸と、もう一つの光学異方性層の遅相軸とも、実質的に45゜で交差させることが好ましい。
【0022】
図2は、二層の光学異方性層を有するλ/4板の代表的な構成を示す模式図である。
図2に示すλ/4板は、透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)を有する。
第1光学異方性層(A)の位相差は、実質的にλ/2(波長550nmで150〜350nm)に調整されている。第2光学異方性層(B)の位相差は、実質的にλ/4(波長550nmで60〜170nm)に調整されている。
透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。
【0023】
図2に示すλ/4板では、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)は、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性化合物(c1およびc2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、配向膜(図示なし)のラビング方向(raおよびrb)によって、配向方向が決定されている。第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)と配向膜のラビング方向(ra)とは直交している。すなわち、第1光学異方性層(A)の配向膜としては、直交型配向膜を用いている。一方、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と配向膜のラビング方向(rb)とは平行である。すなわち、第2光学異方性層(B)の配向膜としては、平行型配向膜を用いている。
棒状液晶性化合物(c1およびc2)に代えて、円盤状液晶性化合物を用いることもできる。円盤状液晶性化合物を用いる場合も、円盤状液晶性化合物をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性化合物の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0024】
二層の光学異方性層を有するλ/4板を用いた円偏光板の代表的な構成を図3に示す。
図3に示す円偏光板は、図2に示す透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)からなるλ/4板に、さらに偏光膜(P)を有する。
図2と同様に、透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。さらに、偏光膜(P)の偏光軸(p)と透明支持体(S)の長手方向(s)とは直交している。
【0025】
図3に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)も、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。棒状液晶性化合物(c1およびc2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性化合物(c1およびc2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
棒状液晶性化合物(r1およびr2)に代えて、円盤状液晶性化合物を用いることもできる。円盤状液晶性化合物を用いる場合も、円盤状液晶性化合物をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性化合物の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
図3に示す円偏光板は、右円偏光を生じる構成である。左円偏光を生じる構成では、λ/2の位相差を有する第1光学異方性層の光軸が−75゜で、λ/4の位相差を有する第2光学異方性層の光軸が−15゜となる。従って、第1光学異方性層のラビング方向が+15゜で、第2光学異方性層のラビング方向が−15゜となる。
【0026】
[光学異方性層]
光学異方性層は、液晶性化合物またはポリマーフイルムから形成することができる。本発明では、少なくとも二つの光学異方性層のうち、少なくとも一つは液晶性化合物から形成するのが好ましく、少なくとも二つの光学異方性層を液晶性化合物から形成することがより好ましい。
【0027】
ポリマーフイルムからなる光学異方性層に用いられるポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステルが含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
フイルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸であることが好ましい。一軸延伸は、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸またはポリマーフイルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフイルムを用いて、二枚以上のフイルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。
使用するポリマーの固有複屈折が正の場合には、ポリマーフイルムの面内の屈折率が最大となる方向は、フイルムの延伸方向に相当する。使用するポリマーの固有複屈折が負の場合には、ポリマーフイルムの面内の屈折率が最大となる方向は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
ポリマーフイルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
ポリマーフイルムの厚さは、10乃至150μmであることが好ましく、20乃至100μmであることがさらに好ましく、30乃至90μmであることが最も好ましい。
【0028】
光学異方性層に用いる液晶性化合物は、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物が好ましい。液晶性化合物は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。液晶性化合物は、ホモジニアス配向させることが好ましい。
【0029】
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶性化合物は、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許468337号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号の各明細書、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号の各公報に記載がある。
【0030】
下記式(I)で表される重合性棒状液晶性化合物が特に好ましい。
式(I);
Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
【0031】
式(I)において、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。
重合性基の例を以下に示す。
【0032】
【化1】
【0033】
重合性基(Q1およびQ2)は、不飽和重合性基(Q−1〜Q−7)、エポキシ基(Q−8)またはアジリジニル基(Q−9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q−1〜Q−6)であることが最も好ましい。
【0034】
式(I)において、L1およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基である。
L1およびL4は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR1−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R1は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy2)に結合する。
【0035】
L−1:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−
L−6:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−CO−O−
L−7:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−二価の鎖状脂肪族基−
【0036】
二価の鎖状脂肪族基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基または置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、3乃至8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換アルキレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換アルケニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換アルキニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
【0037】
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R1は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0038】
式(I)において、L2またはL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
二価の連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基ことが好ましい。上記R2は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
二価の鎖状脂肪族基の定義および例は、L1およびL4の定義および例と同様である。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R2は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0039】
式(I)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環である方が好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
【0040】
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、1,4−フェニレンまたは1,4−シクロへキシレンであることが特に好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が1乃至5のアシル基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアミド基が含まれる。
【0041】
式(I)において、nは、0、1または2である。nが2の場合、二つのL3およびCy2は、異なっていてもよい。nは、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0042】
円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq.Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0043】
式(II):D(−L−Q)n
式(II)において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整数である。
【0044】
式(II)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0045】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L−11:−AL−CO−O−AL−
L−12:−AL−CO−O−AL−O−
L−13:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L−14:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L−15:−CO−AR−O−AL−
L−16:−CO−AR−O−AL−O−
L−17:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−18:−CO−NH−AL−
L−19:−NH−AL−O−
L−20:−NH−AL−O−CO−
【0046】
L−21:−O−AL−
L−22:−O−AL−O−
L−23:−O−AL−O−CO−
L−24:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L−25:−O−AL−S−AL−
L−26:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L−27:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L−28:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−29:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L−30:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L−31:−S−AL−
L−32:−S−AL−O−
L−33:−S−AL−O−CO−
L−34:−S−AL−S−AL−
L−35:−S−AR−AL−
【0047】
式(II)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の定義および例は、式(I)におけるQ1およびQ2の定義および例と同様である。
複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上の円盤状液晶性化合物(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
【0048】
液晶性化合物から形成する光学異方性層には、液晶性化合物をホモジニアスで均一に配向させるために水平配向促進剤を添加することが好ましい。
水平配向促進剤は、高分子化合物と低分子化合物とに分類できる。高分子型水平配向促進剤の例には、ポリビニルブチラール、ポリメラミンおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。低分子型水平配向促進剤の例は、以下に示す。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
【化5】
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】
【化8】
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
【化11】
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
水平配向促進剤は、液晶性化合物の量に対して、0.001乃至5質量%の範囲で添加することが好ましく、0.05乃至1質量%の範囲で添加することがさらに好ましい。
【0062】
光学異方性層は、液晶性化合物および下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することができる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0063】
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定する。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(Q)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0064】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2乃至800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、空気中の酸素(酸素は重合阻害作用を有する)の影響を排除するため、窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましい。
【0065】
[配向膜]
液晶性化合物を配向させるために配向膜を用いることが好ましい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回擦ることにより実施する。
【0066】
本発明では、棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物をホモジニアスに配向させることが好ましい。ただし、同じ「ホモジニアス」と称していても、棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物とは、著しく相違する。従って、配向膜に使用するポリマーは、液晶化合物の種類(棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物)に応じて決定する必要がある。
棒状液晶性化合物をホモジニアス(水平)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向膜用ポリマー)を用いる。
円盤状液晶性化合物をホモジニアス(垂直)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させるポリマーを用いる。配向膜の表面エネルギーを低下させるためには、ポリマーの側鎖に炭素原子数が10乃至100の炭化水素基を導入することが好ましい。
【0067】
具体的なポリマーの種類については、液晶セル(主に棒状液晶性化合物)または光学補償シート(主に円盤状液晶性化合物)についての様々な文献に記載がある。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて、光学異方性層の液晶化合物を配向させてから、液晶層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定された液晶化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
【0068】
λ/4板を形成する上で、二つの光学異方性層の組み合わせ方の上記第1の態様では、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜または15゜に設定することが好ましい。
一般的な配向膜は、ラビング方向と、液晶性化合物からなる光学異方性層の遅相軸方向とが平行になる。光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に15゜に設定する場合は、一般的な配向膜(平行型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。すなわち、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度は、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)になることが好ましい。
【0069】
一方、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜に設定する場合は、特別な配向膜(直交型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。直交型配向膜を用いると、ラビング方向と、液晶性化合物からなる光学異方性層の遅相軸方向とを実質的に垂直にすることができる。その結果、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度を、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)に設定できる。
【0070】
直交型配向膜は、下記式(III)または(IV)で表される繰り返し単位と、下記式(V)または(VI)で表される繰り返し単位とを含むコポリマーを含むことが好ましい。
【0071】
【化14】
【0072】
式(III)において、R1は、水素原子(アクリル酸コポリマー)またはメチル(メタクリル酸コポリマー)である。
式(III)において、Mは、プロトン,アルカリ金属(例、Li、Na、K)イオンまたはアンモニウムイオンである。アンモニウムイオンは、有機基(例、メチル、エチル)により置換されていてもよい。
式(III)および(IV)において、mは、10乃至95モル%である。
【0073】
式(V)および(VI)において、R2は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R2は、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチルまたはエチルであることがさらに好ましく、水素原子またはメチルであることが最も好ましい。
【0074】
式(V)において、Cyは、脂肪族環基、芳香族基または複素環基である。
脂肪族環基の脂肪族環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン環が含まれる。脂肪族環に、他の脂肪族環、芳香族環または複素環が縮合していてもよい。
芳香族基の芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環およびナフタセン環が含まれる。芳香族環に、脂肪族環または複素環が縮合していてもよい。
複素環基の複素環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。複素環は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和であり、好ましくは最多二重結合を有する。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環およびピラジン環が含まれる。複素環に、他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。
【0075】
脂肪族環基、芳香族基および複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(例、メチル、エチル、t−ブチル)、置換アルキル基(例、クロロメチル、ヒドロキシメチル、塩化トリメチルアンモニオ)、アルコキシ基(例、メトキシ)、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、カルボキシル、アシル基(例、ホルミル)、アミノ、スルホ、アリール基(例、フェニル)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)およびオキソが含まれる。
【0076】
式(VI)において、L1は、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。
式(VI)において、R3は、少なくとも二個の芳香族環または芳香族性複素環を含む炭素原子数が10乃至100である一価の基である。芳香族環および芳香族性複素環の定義および例は、式(V)のCyにおける芳香族環および芳香族性複素環の定義および例と同様である。
式(V)および(VI)において、nは、90乃至5モル%である。
【0077】
式(IV)で表される繰り返し単位を含むコポリマーは、変性ポリビニルアルコールの一種である。変性ポリビニルアルコールのポリビニルアルコール部分に相当する式(IV)で表される繰り返し単位は、ケン化度が100%である必要はない。言い換えると、変性ポリビニルアルコールは、下記式(VII)で表される酢酸ビニルに対応する繰り返し単位を含むことができる。
【0078】
【化15】
【0079】
式(VII)において、kは、0.01乃至20モル%である。
コポリマーは、さらに重合性基を有する繰り返し単位を含むことができる。重合性基を有する繰り返し単位は、下記式(VIII)で表されることが好ましい。
【0080】
【化16】
【0081】
式(VIII)において、R4は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R4は、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
式(VIII)において、L2は、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。
式(VIII)において、Qは重合性基である。重合性基の定義および例は、液晶性化合物の重合性基の定義および例と同様である。
式(VIII)において、pは、0.1乃至20モル%である。
配向膜に、二種類以上のポリマーを併用してもよい。
【0082】
[透明支持体]
光学異方性層を組み合わせて得られるλ/4板は、透明支持体を有することが好ましい。
透明支持体は、ポリマーフイルムであることが好ましい。透明支持体は、波長分散が小さいことが好ましい。また、透明支持体は、光学異方性が小さいことも好ましい。
支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が好ましくは1.2未満であることを意味する。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下であることを意味する。
【0083】
長尺状の透明支持体は、ロール状または長方形のシート状の形状を有する。ロール状の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、必要な大きさに切断することが好ましい。また、円偏光板を製造する際は、光学異方性層を積層した後も切断せずに、ロール状態で他の偏光膜等のロール状フイルムと貼り合わせて、ロール状円偏光板を得ることが、製造効率を向上させる上で特に好ましい。
ポリマーフイルム支持体を形成するポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、セルロースアセテートがさらに好ましく、セルローストリアセテートが最も好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
透明支持体の厚さは、10乃至150μmであることが好ましく、20乃至100μmであることがさらに好ましく、30乃至90μmであることが最も好ましい。
透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0084】
[円偏光板]
本発明の円偏光板、特に円偏光板を構成する偏光膜、第二の透明構造体について説明する。
本発明の円偏光板は、偏光能を持つ偏光膜を有し、該偏光膜の片面にλ/4機能を有する第一の透明構造体が、さらに反対側の面には、保護膜である第二の透明構造体が設けられる。
【0085】
本発明では、円偏光板の作製で偏光膜と、λ/4板(第一の透明構造体)と、保護膜(第二の透明構造体)との貼り合わせを、偏光膜、λ/4板、保護膜を各々ロール状態で供給し、連続的に貼合し、ロール状態で巻き取る工程により行うことが製造効率を上げ、コストを下げる意味で好ましい。
具体的には、後述するように、偏光膜を延伸して作製する工程を終えた後、続いて行われる乾燥工程中あるいは乾燥工程後に、偏光膜の両側をλ/4板と保護膜とで挟み込んで貼合する工程を組み込むことで、各々がロール状態で供給され、連続的に貼合することができ、なおかつ、貼合後もロール状態で巻き取ることにより、次工程に一貫した製造ラインでつなげることができる。また、偏光膜を延伸して作製する工程を終えた後、続いて行われる乾燥工程中あるいは乾燥工程後に、両側に保護膜を貼合し、両側保護膜付きの偏光板を作成した後、粘着剤を介して、ロール状態でλ/4板と貼合せ、ロール状態の円偏光板を得ることも可能である。
【0086】
λ/4板と偏光膜との貼り合わせに際し、λ/4板の透明支持体の長手方向と偏光膜の吸収軸との角度は20°以上70°未満が好ましく、45°の角度であることが特に好ましい。
また、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、偏光膜とλ/4板との間にλ/2板を配置することもある。
【0087】
一般に、λ/4板、λ/2板などの位相差板は疎水性で透湿性が低く、偏光膜と直に貼り合わせると、偏光膜の含水率は通常10%以上と比較的高いので、疎水性保護膜と貼り合わせると偏光膜中の水が偏光板外に揮発するまでの時間が長くなり、偏光度が低下したり、色ムラを生じたり好ましくない。しかしながら、本発明で使用するλ/4板は透湿性の高い支持体、例えばトリアセチルセルロースを用いることも可能なため、偏光膜にλ/4板を直接貼り合わせることができる。結果として、保護膜の使用枚数を減らすこととなり、円偏光板全体の厚みを薄くすることができ、タッチパネル、さらには該タッチパネルを搭載する表示装置をさらに薄膜・軽量化することが可能となる。
さらに、本発明の円偏光板には、各種機能膜を直接片面または両面に貼合することができる。貼合する機能膜の例としては、上記のλ/4板、λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光膜と反対面に導電層を設けたプラスチックセル、反射板、半透過機能を持つ反射板、ハードコート層、反射防止層等があげられる。
本発明で円偏光板の厚みは、80μm以上300μm以下であり、軽量・薄膜化の観点からは、80μm以上260μm以下であることがより好ましい。
【0088】
本発明の円偏光板は、長尺(通常ロール形態)の円偏光板において、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもないことが好ましい。長手方向と吸収軸方向とがなす角度は、好ましくは20°以上70゜未満、より好ましくは40°以上50゜未満、特に好ましくは44以上46゜未満である。これにより、長尺の円偏光板からの打ち抜き工程において、得率よく単板の円偏光板を得ることができる。本発明では、長手方向と吸収軸方向とがなす角度を自由に設定することができる。従って、他の光学部材と組み合わせて使用する際にも最適な角度を選ぶことができる。
【0089】
また、本発明の円偏光板は、単板透過率が550nmで35%以上かつ偏光度が550nmで80%以上であることが好ましい。単板透過率は、より好ましくは40%以上であり、偏光度はより好ましくは95.0%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。なお、以下の記載において、特に断りのない限り透過率は単板透過率のことである。
本発明の円偏光板は、優れた単板透過率および偏光度を有しているため、各種表示装置やインナータイプタッチパネルに用いる場合に、表示のコントラストを高めることができ、有利である。
【0090】
斜め配向した偏光膜は、以下に述べる方法により容易に得ることができる。すなわち、斜め配向を偏光膜用ポリマーフイルムの延伸により得るとともに、フイルムの延伸時の揮発分率、フイルムを収縮させる際の収縮率などを工夫することにより得られる。更には、延伸前のフイルムに付着している異物の量を調節することも好ましい。これにより、斜め延伸しても、延伸したフイルムにシワ、ツレが発生せず、表面粗さの小さい優れた平滑性の偏光膜を得ることができる。
以下に、斜め配向した偏光膜を得るための好ましい延伸方法(以下、「本発明の延伸方法」「斜め延伸」と称することもある)について詳述する。
【0091】
<延伸方法>
図4および図5に、偏光膜用ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の例が、概略平面図として示されている。
本発明の延伸方法は、(a)で示される原反フイルムを矢印(イ)方向に導入する工程、(b)で示される幅方向延伸工程、および(c)で示される延伸フイルムを次工程、即ち(ロ)方向に送る工程を含む。以下「延伸工程」と称するときは、これらの(a)〜(c)工程を含んで、本発明の延伸方法を行うための工程全体を指す。
【0092】
フイルムは(イ)の方向から連続的に導入され、上流側から見て左側の保持手段にB1点で初めて保持される。この時点ではいま一方のフイルム端は保持されておらず、幅方向に張力は発生しない。つまり、B1点は本発明の実質的な保持開始点(以下、「実質保持開始点」という)には相当しない。
本発明では、実質保持開始点は、フイルム両端が初めて保持される点で定義される。実質保持開始点は、より下流側の保持開始点A1と、A1から導入側フイルムの中心線11(図4)または21(図5)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡13(図4)または23(図5)と交わる点C1の2点で示される。
この点を起点とし、両端の保持手段を実質的に等速度で搬送すると、単位時間ごとにA1はA2,A3…Anと移動し、C1は同様にC2,C3…Cnに移動する。つまり同時点に基準となる保持手段が通過する点AnとCnを結ぶ直線が、その時点での延伸方向となる。
【0093】
本発明の方法では、図4、図5のようにAnはCnに対し次第に遅れてゆくため、延伸方向は、搬送方向垂直から徐々に傾斜していく。本発明の実質的な保持解除点(以下、「実質保持解除点」という)は、より上流で保持手段から離脱するCx点と、Cxから次工程へ送られるフイルムの中心線12(図4)または22(図5)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡14(図4)または24(図5)と交わる点Ayの2点で定義される。
最終的なフイルムの延伸方向の角度は、実質的な延伸工程の終点(実質保持解除点)での左右保持手段の行程差Ay−Ax(すなわち|L1−L2|)と、実質保持解除点の距離W(CxとAyの距離)との比率で決まる。従って、延伸方向が次工程への搬送方向に対しなす傾斜角θは
tanθ=W/(Ay−Ax)、即ち、
tanθ=W/|L1−L2|
を満たす角度である。
図4および図5の上側のフイルム端は、Ay点の後も18(図4)または28(図5)まで保持されるが、もう一端が保持されていないため新たな幅方向延伸は発生せず、18および28は本発明の実質保持解除点ではない。
【0094】
以上のように、本発明において、フイルムの両端にある実質保持開始点は、左右各々の保持手段への単純な噛み込み点ではない。本発明の二つの実質保持開始点は、上記で定義したことをより厳密に記述すれば、左右いずれかの保持点と他の保持点とを結ぶ直線がフイルムを保持する工程に導入されるフイルムの中心線と略直交している点であり、かつこれらの二つの保持点が最も上流に位置するものとして定義される。
同様に、本発明において、二つの実質保持解除点は、左右いずれかの保持点と他の保持点とを結ぶ直線が、次工程に送りだされるフイルムの中心線と略直交している点であり、しかもこれら二つの保持点が最も下流に位置するものとして定義される。
ここで、略直交とは、フイルムの中心線と左右の実質保持開始点、あるいは実質保持解除点を結ぶ直線が、90±0.5゜であることを意味する。
【0095】
テンター方式の延伸機を用いて左右の行程差を付けようとする場合、レール長などの機械的制約により、しばしば保持手段への噛み込み点と実質保持開始点に大きなずれが生じたり、保持手段からの離脱点と実質保持解除点に大きなずれが生ずることがあるが、上記定義する実質保持開始点と実質保持解除点間の工程が式(1)の関係を満たしていれば本発明の目的は達成される。
【0096】
上記において、得られる延伸フイルムにおける配向軸の傾斜角度は、(c)工程の出口幅Wと、左右の二つの実質的保持手段の行程差|L1−L2|の比率で制御、調整することができる。
偏光板、位相差膜では、しばしば長手方向に対し45゜配向したフイルムが求められる。この場合、45゜に近い配向角を得るために、下記式(2)を満たすことが好ましく、
式(2):0.9W<|L1−L2|<1.1W
さらに好ましくは、下記式(3)を満たすことが好ましい。
式(3):0.97W<|L1−L2|<1.03W
【0097】
具体的な延伸工程の構造は、式(1)を満たす限り、図4〜9に例示するように、設備コスト、生産性を考慮して任意に設計できる。
【0098】
延伸工程へのフイルム導入方向(イ)と、次工程へのフイルム搬送方向(ロ)のなす角度は、任意の数値が可能であるが、延伸前後の工程を含めた設備の総設置面積を最小にする観点からは、この角度は小さい方がよく、3゜以内が好ましく、0.5゜以内がさらに好ましい。例えば図4、図7に例示するような構造で、この値を達成することができる。
このようにフイルム進行方向が実質的に変わらない方法では、保持手段の幅を拡大するのみでは、偏光膜として好ましい長手方向に対して45゜の配向角を得るのは困難である。そこで、図4の如く、一旦延伸した後、収縮させる工程を設けることで、|L1−L2|を大きくすることができる。
延伸率は1.1〜10.0倍が望ましく、より望ましくは2〜10倍であり、その後の収縮率は10%以上が望ましい。また、図7に示すように、延伸−収縮を複数回繰り返すことも、|L1−L2|を大きくできるため好ましい。
【0099】
また、延伸工程の設備コストを最小に抑える観点からは、保持手段の軌跡の屈曲回数、屈曲角度は小さい程良い。この観点からは、図5、図6、図8に例示する如くフイルム両端を保持する工程の出口におけるフイルムの進行方向と、フイルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフイルム進行方向をフイルム両端を保持させた状態で屈曲させることが好ましい。
【0100】
本発明において両端を保持しつつ張力を付与しフイルムを延伸する装置としては、いわゆる図4〜図8のようなテンター装置が好ましい。また、従来型の2次元的なテンターの他に、図9のように螺旋状に両端の把持手段に行路差を付ける延伸工程を用いることもできる。
【0101】
テンター型の延伸機の場合、クリップが固定されたチェーンがレールに沿って進む構造が多いが、本発明のように左右不均等な延伸方法をとると、結果的に図4および5に例示される如く、工程入口、出口でレールの終端がずれ、左右同時に噛み込み、離脱をしなくなることがある。この場合、実質工程長L1,L2は、上に述べたように単純な噛み込み−離脱間の距離ではなく、既に述べたように、あくまでフイルムの両端を保持手段が保持している部分の行程長である。
【0102】
延伸工程出口でフイルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右のフイルム把持手段の搬送速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々の保持手段が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター延伸機等では、チェーンを駆動するスプロケット歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
【0103】
<収縮>
延伸ポリマーフイルムの収縮は、延伸時・延伸後のいずれの工程でも行って良い。収縮は、斜め方向に配向する際の発生するポリマーフイルムのシワが解消すればよく、フイルムを収縮させる手段としては、温度を掛けることにより、揮発分を除去する方法などが挙げられるが、フイルムを収縮させればいかなる手段を用いても良い。好ましいフイルムの収縮率としては、長手方向に対する配向角θを用いて、1/sinθ倍以上収縮することで、値としては10%以上収縮することが好ましい
【0104】
<揮発分率>
延伸工程において、左右の行程差が生じるに従って、フイルムにシワ、寄りが発生する。この問題を解決するために、ポリマーフイルムの支持性を保ち、ポリマーフイルムの揮発分率が5%以上の状態を存在させて延伸し、その後収縮させて揮発分率を低下させることが好ましい。本発明における揮発分率とは、フイルムの単位体積あたりに含まれる揮発成分の体積を表し、揮発成分体積をフイルム体積で割った値(%)である。
本発明において、偏光膜用ポリマーフイルムの延伸前に揮発分を含有させる工程を少なくとも1工程設けることが好ましい。揮発分を含有させる工程は、フイルムをキャストし溶剤、水などを含有させる、溶剤、水などに浸漬、塗布、噴霧する、ことなどにより行われる。後述する<染色処方、染色方法>、<硬膜剤(架橋剤)、金属塩添加>の項に記載の染色工程または硬膜剤添加工程が、揮発分を含有させる工程を兼ねてもよい。染色工程が兼ねる場合は、硬膜剤添加工程を延伸前に設けることが好ましい。硬膜剤添加工程が兼ねる場合は、染色工程は、延伸前もしくは延伸後のいずれに設けてもよい。また、延伸前であれば染色工程と延伸工程を同時に行ってもよい。
【0105】
好ましい揮発分率は、ポリマーフイルムの種類によって異なる。揮発分率の最大は、ポリマーフイルムの支持性を保つ限り可能である。ポリビニルアルコールでは揮発分率として10%〜100%が好ましい。セルロースアシレートでは、10%〜200%が好ましい。
【0106】
<揮発分成分の含有分布>
長尺、特にロール形態の円偏光板を一貫工程で作製する場合には、染色のムラや抜けがないことが必要である。延伸前のフイルム中の揮発成分に分布のムラ(フイルム面内の場所による揮発成分量の差異)があると染色ムラ、抜けの原因となる。従って、延伸前のフイルム中の揮発分成分の含有分布は小さいほうが好ましく、少なくとも5%以下であることが好ましい。揮発成分の分布とは、揮発分率の1m2あたりの変動幅(平均揮発分率に対する、最大値または最小値と該平均揮発分率との差の大きい方の比))を表す。揮発分成分の含有分布を小さくする方法として、フイルムの表裏表面を均一なエアーでブローする、ニップローラーにて均一に絞る、ワイパーなどで拭き取る(ブレード、スポンジ拭き取りなど)などの方法挙げられるが、分布が均一になればいかなる方法を用いても良い。図10〜12にエアーブロー装置、ニップ装置、ブレード装置の一例を示す。
【0107】
<シワ発生から消失までの距離>
斜め方向に配向する際に発生するポリマーフイルムのシワは、本発明における実質保持解除点までに消失していればよい。しかし、シワの発生から消失までに時間がかかると、延伸方向のばらつきが生じることがあるため、好ましくは、シワが発生した地点からできるだけ短い移行距離でシワが消失することが良い。このためには、揮発分量の揮発速度を高くするなどの方法がある。
【0108】
<異物>
本発明において、延伸前のポリマーフイルムに異物が付着していると、表面が粗くなるため、異物を取ることが好ましい。異物が存在していると、特に円偏光板作製時には、色むら・光学むらの原因となる。また、保護膜を張り合わせるまでの間に、異物が付着しないことも重要で、極力浮遊するゴミが少ない環境下で製造することが好ましい。本発明における異物の量とは、フイルム表面に付着している異物の質量を表面積で割った値で、平方メートルあたりのグラム数を表す。異物は、1g/m2以下が好ましく、更に好ましくは0.5g/m2以下であり、少ないほど好ましい。
【0109】
異物の除去方法としては特に限定されず、延伸前のポリマーフイルムに悪影響を与えることなく、異物を除去することができれば、いずれの方法でもよい。例えば、水流を吹き付けることにより異物を掻き落とす方法、気体噴射により異物を掻き落とす方法、布、ゴム等のブレードを用いて異物を掻き落とす方法等が挙げられる。
【0110】
<乾燥>
発生したシワが消失する条件であれば、乾燥条件はいかようでもかまわない。ただし、好ましくは、所望の配向角度が得られた後、できるだけ短い移動距離で乾燥点が来るように調節するのがよい。乾燥点とは、フイルムの表面膜温度が環境雰囲気温度と同じになる場所を意味する。このことから、乾燥速度もできるだけ速いほうが好ましい。
【0111】
<乾燥温度>
発生したシワが消失する条件であれば、乾燥条件はいかようでもかまわないが、延伸するフイルムによって異なる。ポリビニルアルコールフィルムを用いて円偏光板を作成する場合には、20℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上90℃以下である。
【0112】
<膨潤率>
本発明において、ポリマーフイルムがポリビニルアルコールで、硬膜剤を使用した場合、斜め方向に延伸した状態を緩和せずに保つために、延伸前後で水に対する膨潤率が異なることが好ましい。具体的には、延伸前の膨潤率が高く、延伸・乾燥後の膨潤率が低くなることが好ましい。更に好ましくは、延伸する前の水に対する膨潤率が3%以上で、乾燥後の膨潤率が3%以下であることが好ましい。
【0113】
<屈折部>
本発明で保持手段の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲によるフイルム把持手段同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持手段の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
【0114】
<延伸速度>
本発明にて、フイルムを延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表わすと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフイルムおよび延伸機により異なる。
【0115】
<長手方向の張力>
本発明において、フイルムの両端を保持手段により保持する際、保持しやすいようにフイルムが張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、長手方向に張力をかけてフイルムを張るなどの方法が挙げられる。張力としては、延伸前のフイルム状態により異なるが、弛まない程度にすることが好ましい。
【0116】
<延伸時温度>
フイルム延伸時の環境温度は、少なくともフイルムに含まれる揮発分の凝固点以上であればよい。フイルムがポリビニルアルコールである場合には、25℃以上が好ましい。また、偏光膜を作製するためのヨウ素・ホウ酸を浸漬したポリビニルアルコールを延伸する場合には、25℃以上90℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上90℃以下である。
【0117】
<延伸時湿度>
揮発分が水であるフイルム、例えばポリビニルアルコール、セルロースアシレートなどを延伸する場合は、調湿雰囲気下で延伸しても良い。ポリビニルアルコールである場合は、50%以上が好ましく、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0118】
<偏光膜用ポリマーフイルム>
本発明で、偏光膜を形成するための延伸の対象とするポリマーフイルムに関しては特に制限はなく、熱可塑性の適宜なポリマーからなるフイルムを用いることができる。ポリマーの例としては、PVA、ポリカーボネート、セルロースアシレート、ポリスルホンなどを挙げることができる。
好ましくはPVAを包含するポリビニルアルコール系ポリマーである。PVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を少量含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAもポリビニルアルコール系ポリマーに含まれ好ましく用いることができる。
なかでも、PVAが最も好ましい。
【0119】
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0120】
延伸前のポリマーフイルムの好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01Mpa以上5000Mpa以下、更に好ましくは0.1Mpa以上500Mpa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フイルム両端を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、機械に対する負荷が大きくなる。
【0121】
延伸前のフイルムの厚みは特に限定されないが、フイルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
【0122】
<染色処方・方法>
偏光膜は、偏光膜用ポリマーフイルム、例えばPVAフイルムを配向すると共に染色して得られる。染色は、気相または液相吸着により行われる。液相で行う場合の例として、偏光子としてヨウ素を用いる場合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液に偏光膜用ポリマーフイルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。染色操作は、本発明の延伸工程の前後いずれに置いても良い。また、適度に膜が膨潤され延伸が容易になることから、延伸工程前に液相で染色することが特に好ましい。
【0123】
<硬膜剤(架橋剤)、金属塩添加>
偏光膜用ポリマーフイルム、例えばPVAフイルムを延伸して偏光膜を製造する過程では、PVAに架橋させる添加物を用いることが好ましい。特に本発明の斜め延伸法を用いる場合、延伸工程出口でPVAが十分に硬膜されていないと、工程のテンションでPVAの配向方向がずれてしまうことがあるため、延伸前工程あるいは延伸工程で架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して硬膜剤(架橋剤)を含ませるのが好ましい。硬膜剤(架橋剤)を偏光膜用ポリマーフイルムに付与する手段は、特に限定されるものではなく、フイルムの液への浸漬、塗布、噴霧等任意の方法を用いることができるが、特に浸漬法、塗布法が好ましい。塗布手段としてはロールコーター、ダイコーター、バーコーター、スライドコーター、カーテンコーター等、通常知られている任意の手段をとることができる。また、溶液を含浸させた布、綿、多孔質素材等をフイルムに接触する方式も好ましい。硬膜剤(架橋剤)としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
【0124】
硬膜剤(架橋剤)の付与は、延伸機に噛み込む前に行ってもよいし、噛み込んだ後に行っても良く、幅方向延伸が実質的に終了する図4、図5の例の(b)工程の終端までのいずれかの工程で行えばよい。硬膜剤(架橋剤)を添加した後に洗浄・水洗工程を設けてもよい。
【0125】
<偏光子>
ヨウ素の他に二色性色素で染色することも好ましい。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−070802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光素子または偏光板として偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光率とも優れており好ましい。
【0126】
また、PVAを脱水あるいはポリ塩化ビニルを脱塩化水素することによりポリエン構造をつくり、共役二重結合により偏光を得るいわゆるポリビニレン系偏光膜の製造にも、本発明の延伸法は好ましく用いることができる。
【0127】
<保護膜(第二の透明構造体)>
本発明の円偏光板は、偏光膜の片面に保護膜として第二の透明構造体を貼り付けて用いられる。第二の透明構造体の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。なかでも、セルロースアセテートが好ましく、セルローストリアセテートが特に好ましい。
【0128】
保護膜は、通常、ロール形態で供給され、長尺の円偏光板に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護膜の配向軸(遅相軸)は何れの方向であってもよく、操作上の簡便性から、保護膜の配向軸は、長手方向に平行であることが好ましい。
保護膜上には、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層付き保護膜の鉛筆硬度は2H以上が望ましく、3H以上が更に望ましく、最も望ましくは4H以上である。最外層には反射防止層を設けることが好ましい。反射防止膜に関しては、屈折率の異なる2層以上の層からなり、反射率は1.5%以下が好ましく、更に好ましくは1%以下である。
【0129】
前記の斜め延伸法により得られる長尺の偏光膜は、吸収軸が長手方向に平行でないため、配向軸が長手方向に平行である保護膜を本発明の長尺の偏光膜に連続して貼り合わせると、偏光膜の吸収軸と保護膜の配向軸とが平行でない偏光板が得られる。偏光膜の吸収軸と保護膜の配向軸が平行でない角度で貼り合わされている偏光板は、寸度安定性に優れるという効果がある。この性能は、特に液晶表示装置に用いたときに好ましく発揮される。特に、本発明では、保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸との角度は20°以上70°未満であり、寸度安定効果の点から好ましくは40°以上50°未満である。
【0130】
保護膜のレターデーションは一般に低いことが好ましいが、偏光膜の吸収軸と保護膜の配向軸が平行でない場合には、特に保護膜のレターデーション値が一定値以上であると、偏光膜の偏光軸と保護膜の配向軸(遅相軸)が斜めにずれているため、直線偏光が楕円偏光に変化し、好ましくないので、本発明ではレターデーション値は20nm以下とする必要があり、好ましくは波長632.8nmにおいて10nm以下、より好ましくは5nm以下である。
このような低レターデーションの観点から、保護膜として使用するポリマーはセルローストリアセテートが特に好ましい。また、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類も好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号又は特開平11−293116号に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
【0131】
本発明の円偏光板においては、λ/4板の機能を兼ねる第一の透明構造体として透湿性の高いセルローストリアセテートを使用するため、第一の透明構造体、つまりλ/4板を直接、偏光膜に接着することができる。これにより、従来法より保護膜の使用枚数が少ない薄型・軽量化された円偏光板、さらには該円偏光板を用いたタッチパネルおよび該タッチパネルを搭載した表示装置の提供が可能になる。しかしながら、偏光膜の両側を保護膜で貼りあわせた後に、λ/4板を粘着剤などで貼り合わせることも当然可能である。
【0132】
<接着剤>
偏光膜と第一、第二の透明構造体との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01乃至10μmが好ましく、0.05乃至5μmが特に好ましい。
【0133】
<一貫工程>
本発明において、フイルム(偏光膜)を延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程を有し、乾燥後もしくは乾燥中に偏光膜の含水率を10%以下(好ましくは5%以下)にした状態で第一の透明構造体と第二の透明構造体とで偏光膜を挟み込んで貼り合わせた後、後加熱工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてフイルムに第一の透明構造体と第二の透明構造体とを貼り付け、その後両端を耳きりする、もしくは乾燥後、両端保持部からフイルムを解除し、フイルム両端を耳きりした後、第一の透明構造体と第二の透明構造体とを貼り付けるなどの方法がある。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせた後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが,水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上および生産効率上更に好ましい。
【0134】
<打ち抜き>
図13に従来の円偏光板打ち抜きの例を、図14に本発明の円偏光板打ち抜きする例を示す。従来の円偏光板は、図13に示されるように、偏光膜の吸収軸71すなわち延伸軸が長手方向72と一致しているのに対し、本発明の円偏光板は、図14に示されるように、偏光膜の吸収軸81すなわち延伸軸が長手方向82に対して45゜傾斜しており、この角度がLCDにおける液晶セルに貼り合わせる際の偏光膜の吸収軸と、液晶セル自身の縦または横方向とのなす角度に一致しているため、打ち抜き工程において斜めの打ち抜きは不要となる。しかも図14からわかるように、本発明の円偏光板は切断が長手方向に沿って一直線であるため、打ち抜かず長手方向に沿ってスリットすることによっても製造可能であるため、生産性も格段に優れている。
【0135】
[熱線膨張係数、湿度線膨張係数]
本発明の円偏光板では、第一の透明構造体の熱線膨張係数をIT1、湿度線膨張係数をIH1、第二の透明構造体の熱線膨張係数をIT2、湿度線膨張係数をIH2とした時、前記式(a)、式(b)の少なくとも一方、好ましくは両方の関係式を満たす。これにより、円偏光板に用いられる部材間の熱または湿度線膨張係数の違いが小さく、温湿度が変化したときのカールが抑制され、本発明の円偏光板を用いたタッチパネルにおける基板の反り返りを防ぐことができる。望ましくは、IT1とIT2、IH1とIH2が実質的に等しくなるようにするのがよい。
本発明では、第一、第二の透明構造体の材料を選択することにより、式(a)、式(b)の関係式を満たすことができる。この観点から、第一の透明構造体がλ/4板機能を兼ねるので、少なくとも二つの光学異方性層からなるλ/4板を第一の透明構造体とする態様は、第二の透明構造体と線膨張係数が同じもしくは似たような材料を光学異方性層を設ける透明支持体として用いることができるので、特に好ましい態様である。
なお、構造体の厚みや積層された機能層(塗布層)によって、構造体としての線膨張係数は変化する。構造体自体の線膨張係数を決定する要因として大きいものは透明支持体の線膨張係数であるが、その他の構成要素とその組み合わせによっても様々に変化する。そのため、円偏光板の設計にあたり、線膨張係数は構成要素の組み合わせから勘案される理論値も使えるが、実測値を用いて行うことが好ましい。
以上、本発明の円偏光板について説明した。
【0136】
[タッチパネル]
タッチパネルは、表示素子に近い側の固定基板と、対向する可動基板とからなる。固定基板と可動基板の対向面に、それぞれ透明導電膜を備えている。本発明のタッチパネルでは、可動基板としては上記円偏光板を用い、第一の透明構造体上に透明導電膜を設ける。
固定基板は、表示品質を高めるため、透明な光学材料で形成されていることが好ましい。例えば、ガラス、非晶性フイルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステルなどのポリマーフイルムなどが挙げられる。レターデーション値は20nm以下であることが望ましい。
【0137】
可動基板と固定基板との間にはギャップが形成される。ギャップ間には通常空気層が存在する。オプティカル・マッチングを取るために、透明導電膜と屈折率の近い液体をギャップに充填することもできる。透明導電膜の基板側にアンダーコート層、または、基板と反対側にオーバーコート層を付与し、光反射を低減させることもできる。スティッキング性をなくし、耐久性を改善するために、透明電極膜表面を粗面化していてもよい。ギャップ間にはスペーサーを設けることができる。スペーサーとしては、ドット状スペーサーや、固定基板と可動基板との周辺部に設けた貼合せ材が用いられる。
【0138】
タッチパネルによるデータ入力位置検出の方式は、デジタル式(マトリクス式)、アナログ式のどちらでも用いることができる。
デジタル式(マトリクス式)では、固定基板の透明導電膜(例えばX列)と可動基板の透明導電膜(例えばY列)とによりマトリクスを形成し、押圧による透明導電膜同士の接触位置に対応して、データ位置を検出することができる。
アナログ式では、例えば、固定基板のX軸方向の両端部、および、可動基板のY軸方向の両端部に電極を形成し、押圧により透明電極同士が接触し、接触位置により生じるX方向、Y方向の抵抗値を検出することによって、データ入力位置を検出することができる。
本発明においては、タッチパネルは画像表示装置に組み込んで用いることが好ましいが、タッチパネルが表示部とは別々になっていても構わないし、両者が一体となっていても構わない。
【0139】
(透明導電膜)
本発明のタッチパネルに用いる透明導電膜としては、表面抵抗率は、2000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがさらに好ましい。さらに好ましくは100Ω/□以上900Ω/□以下である。
基板上に透明導電膜を形成する場合は、ロール式の連続スパッタ装置を用いることが好ましい。円偏光板を可動基板として用いる本発明では、円偏光板作製において偏光膜とλ/4板である第一の透明構造体との貼り合せを行う前に第一の透明構造体上に透明導電膜を形成するのが、生産性上では好ましい。勿論、貼り合せして円偏光板を作成した後に透明導電膜を形成してもよい。また、第一の透明構造体と同等の熱および湿度線膨張係数を有する透明構造体に透明導電膜を形成し、第一の透明構造体と貼り合わせても問題ない。
【0140】
透明導電膜の表面抵抗率を上記のような値にするためには、導電性微粒子分散物、金属アルコキシドなどの塗布によって設けても構わないし、スパッタリング、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法などの真空成膜法によっても、大気圧での気相成長法によって透明導電膜を形成しても構わないが、好ましくはスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、特に好ましくはスパッタリング法である。
【0141】
真空成膜法にとしては「透明導電膜の新展開」シーエムシー、澤田 豊監修=u月刊ディスプレイ」1999年9月号に記載の方法を用いることができる。
成膜する金属酸化物としてはIn2O3系(Snなどドープ品、ITO含む)、SnO2系(F、Sbなどドープ品含む)、ZnO系(Al、Gaなどのドープ品含む)またはこれらの複合品In2O3−ZnO系などが挙げられる。金属窒化物としてはTiNなどが挙げられる。
また、銀などと共に成膜してもよい。
【0142】
スパッタなどでポリマーフイルム上に成膜する際にはその表面をフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、プロピレン系樹脂、ビニル系樹脂などの高分子や、SiO2,TiO2,ZrO2,SnO2などの無機物でコートすることが好ましい。また、高分子中に無機微粒子を分散してコートすることも好ましい。コートする膜厚としては2nm以上100μm以下が好ましく、さらに好ましくは2nm以上50μm以下であり、特に好ましくは2nm以上10μm以下である。
スパッタ法により酸化インジウムを主として含む膜を成膜する方法としては、インジウムを主成分とする金属ターゲット、または酸化インジウムを主成分とする焼結体であるターゲットを用いた反応性スパッタリングを行うことができる。反応の制御上、後者が好ましい。特に好ましくは酸化スズを含有する酸化インジウムであり、酸化スズを1質量%から20質量%含むのが望ましく、3質量%から12質量%含むのが特に望ましい。反応性スパッタリング法においてはスパッタリングガスとしては、アルゴンなどの不活性ガスを用い、反応性ガスとしては酸素を用いる。また、酸素の流量を制御する方法としてはプラズマエミッションモニター法で行うことが好ましい。放電形式には特に規定しないが、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、1対のターゲット間にAC電圧を印加する方法などが好ましい。成膜時の基板の温度は特に規定はないが、基板のガラス転移点以下で可能な範囲で加熱した方が膜強度は向上する傾向がある。
【0143】
透明導電膜が形成された状態で、可動基板、固定基板の光の透過率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
ただし、可動基板については、円偏光板を作成する前に第一の透明構造体上に透明導電膜を形成した状態での透過率が、上記範囲にあることが好ましい。
【0144】
透明導電膜の厚みは、ITOを用いた場合を例にとると、5〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜150nm、更に好ましくは5nm〜30nm、最も好ましくは7〜20nmである。
透明導電膜は、全面を電極として用いる場合と、全面電極形成後にレジスト形成およびエッチングを行ってパターン加工して用いる場合がある。
【0145】
[表示装置]
本発明のタッチパネルは、様々な表示装置と組み合わせて用いることができる。例えば、カソードレイチューブ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、無機ELデバイス、有機ELデバイス、液晶表示装置などである。本発明の円偏光板を用いることで、これら表示装置の外光の反射を低減することができる。この表示装置の中では、液晶表示装置または有機ELデバイス、無機ELデバイスと組み合わせて用いるのが好ましい。
【0146】
液晶表示装置と組み合わせて用いる場合は、用いられる液晶モードは特に限定されないが、TN(twisted nematic )型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型、OCB(Optically Compensated bend)型、ECB(Electrically controlled birefringence)型、VA(Vertically Aligned)型または、GH(Guest Host)型であることが好ましい。また、反射型、半透過型、透過型いずれに対しても用いることができる。
図15に本発明のタッチパネル付き表示装置の一例を模式的に示す。
【0147】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
(実施例1)
[第一の透明構造体(λ/4板)の作製]
(第1配向膜の形成)
厚さ100μm、幅650mm、長さ500mの光学的等方性ロール状トリアセチルセルロースフイルムを透明支持体として用いた。下記のコポリマー(1)の希釈液を透明支持体の片面に連続塗布して、厚さ0.5μmの第1(直交型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し右手16°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
【0148】
【化17】
【0149】
(第1光学異方性層の形成)
第1配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布し、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1.6μmの第1光学的異方性層を形成した。第1光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して74°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は225nmであった。
【0150】
(第1光学異方性層塗布液組成)
下記の棒状液晶性化合物(1) 14.5質量%
下記の増感剤 1.0質量%
下記の光重合開始剤 3.0質量%
下記の水平配向促進剤 1.0質量%
メチルエチルケトン 80.5質量%
【0151】
【化18】
【0152】
【化19】
【0153】
【化20】
【0154】
(第2配向膜の形成)
第1光学異方性層の上に、下記のコポリマー(2)の希釈液を連続塗布して、厚さ0.5μmの第2(平行型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手16°の方向(第1光学異方性層の遅相軸に対して右手58゜の方向)に連続的にラビング処理を実施した。
【0155】
【化21】
【0156】
(第2光学異方性層の形成)
第2配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ0.8μmの第2光学的異方性層を形成した。第2光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して左手16°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は113nmであった。
【0157】
(第2光学異方性層塗布液組成)
第1光学異方性層で用いた棒状液晶性化合物(1) 13.0質量%
第1光学異方性層で用いた増感剤 1.0質量%
第1光学異方性層で用いた光重合開始剤 3.0質量%
第1光学異方性層で用いた水平配向促進剤 1.0質量%
メチルエチルケトン 82.0質量%
【0158】
(λ/4板としての評価)
作製した第一の透明構造体(λ/4板)に、光(測定波長は450nm、550nm、590nm)を照射し、通過した光の位相差(レターデーション値:Re)を測定した。なお、レターデーション値の測定は、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて行った。以下同じである。
測定した結果は次の通りである。
【0159】
【0160】
[透明導電膜の形成]
第一の透明構造体を巻き取り型のスパッタリング装置にセットして、真空槽を1.2mPaの圧力まで排気した。Ar+O2混合ガス(O2=1.5%)を導入し、圧力を0.25Paに調整した後、基板温度を25℃、投入電力密度を1W/cm2に調整した条件で、DCスパッタリングを行った。これにより、厚み21nmのIn2O3系の透明導電膜を、第一の透明構造体の第2光学異方性層上に形成した。
形成した透明導電膜の表面抵抗率を、4端子法にて測定したところ、406Ω/□であった。また、透明導電膜の光の透過率は、88%であった。
【0161】
[第二の透明構造体の作製]
厚さ100μm、幅650mm、長さ500mの光学的等方性ロール状トリアセチルセルロースフイルム上に、下記のようにしてハードコート層及び反射防止層を設けた。
【0162】
(プライマー層用塗布液の調整)
重量平均分子量25000のメタクリル酸メチル樹脂200質量部を480質量部のメチルエチルケトンと320質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液を、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してプライマー層用塗布液を調製した。
【0163】
(ハードコート層用塗布液の調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層用塗布液を調製した。
【0164】
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン超微粒子(TTO−55B、石原テクノ(株)製)300質量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、興人(株)製)10質量部、リン酸基含有アニオン性分散剤(KAYARAD PM−21、日本化薬(株)製)60質量部およびシクロヘキサノン630質量部を、サンドグラインダーによって、コールター法で測定した平均粒径が42nmになるまで分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
【0165】
(中屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン750質量部およびメチルエチルケトン190質量部に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)1.1質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物31質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)21質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、中屈折率層用塗布液を調製した。
【0166】
(高屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン540質量部およびメチルエチルケトン180質量部に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)1.3質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物A264質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)16質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、高屈折率層用塗布液を調製した。
【0167】
(低屈折率層用塗布液の調製)
屈折率1.42であり、熱架橋性含フッ素ポリマーの6重量パーセントのメチルエチルケトン溶液(JN−7228、JSR(株)製)を溶媒置換して、メチルイソブチルケトン85重量%、2−ブタノール15重量%からなる混合溶媒中に固形分10重量%を含有するポリマー溶液を得た。このポリマー溶液70重量部にMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)10重量部、およびメチルイソブチルケトン42重量部およびシクロヘキサノン28重量部を添加、攪拌の後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)でろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0168】
(第二の透明構造体の作製)
上記のトリアセチルセルロースフイルムに、上記のプライマー層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥し、プライマー層(屈折率:1.49、膜厚:8μm、常温(25℃)での表面弾性率:E=4.2GPa、120℃での表面弾性率:E=0.9GPa)を形成した。
プライマー層の上に、上記のハードコート層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:2μm、常温(25℃)での表面弾性率:E=8.9GPa、120℃での表面弾性率:E=7.7GPa)を設けた。
続いて、上記の中屈折率層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率:1.63、膜厚:67nm)を設けた。
中屈折率層の上に、上記の高屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.90、膜厚:107nm)を設けた。
さらに高屈折率層の上に、上記の低屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で8分間、塗布層を硬化させ、低屈折率層(屈折率:1.43、膜厚:86nm)を設けた。このようにしてハードコート層、および3つの屈折率層からなる反射防止層を有する第二の透明構造体を作製した。
第二の透明構造体の厚み(ハードコート層及び反射防止層付き)は、約110μmであった。
【0169】
[円偏光板の作製]
平均重合度が1700、膜厚75μmのPVAフイルムの両面を水流2L/分で、イオン交換水にて洗浄し、エアーブローして表面水分を飛ばした後、該PVAフイルムをヨウ素1.0g/l,ヨウ化カリウム60.0g/lの水溶液に25℃にて90秒浸漬し、さらにホウ酸40g/l,ヨウ化カリウム30g/lの水溶液に25℃にて120秒浸漬後、フイルムの両面をエアーブローして、余剰水分を除去し、フイルム中の含有水分率の分布を2%以下にした状態で、図4の形態のテンター延伸機に導入した。搬送速度を5m/分として、100m送出し、40℃95%雰囲気下で5.5倍に一旦延伸した後4.0倍まで収縮させ、以降幅を一定に保ち、60℃で乾燥中にPVA延伸膜の含水率が6%となった時点で、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として一方の面を上記で作製した第一の透明構造体と、もう一方の面を第二の透明構造体と貼り合わせ、さらに60℃で30分間加熱した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜と反対の面をケン化処理した後貼合せ、第二の透明構造体は反射防止層を有する側とは反対の面をケン化処理した後に貼りあわせた。この後、テンターより離脱し、幅方向から3cm、カッターにて耳きりをし、有効幅590mm、長さ100mのロール形態の円偏光板を作製した。
乾燥点は(c)ゾーンの中間であり、延伸開始前のPVAフイルムの含水率は30%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフイルムの中心線と次工程に送られるフイルムの中心線のなす角は、0゜だった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口におけるシワ、フイルム変形は観察されなかった。
得られた円偏光板の偏光膜(PVA延伸膜)の吸収軸方向は、λ/4板の透明支持体の長手方向に対し45゜傾斜していた。550nmで測定された偏光度は99.97%、単板透過率は42.9%であった。また、円偏光板の厚みは255μmであった。
【0170】
[タッチパネルの作製]
片面に表面抵抗率が400Ω/□の透明導電膜(ITO)が付いた0.7mm厚みのガラス板を用意した。透明導電膜の面に1mmピッチのドットスペーサーを、両端部に銀電極を、印刷した。
また、上記のようにして得られた透明導電膜付き円偏光板をタッチパネルの可動基板として利用し、この円偏光板の透明導電膜の両端にも銀電極を印刷した。
上記の可動基板と透明導電ガラス板とを、透明導電膜同士が対向するように接着した。同時に、フレキシブル電極も取り付けた。この際、両基板の周囲に100μm厚の絶縁性貼り合せ剤を挟んだ。このようにしてタッチパネルを作製した。
【0171】
(実施例2)
実施例1において、第一の透明構造体に用いる透明支持体の厚みを40μmとする以外は、実施例1と同様にして第一の透明構造体(λ/4板)を作製した。作製した第一の透明構造体(λ/4板)の測定波長450nm,550nm,590nmにおける光の位相差(レターデーション値:Re)を実施例1と同様に測定したところ、測定結果は次の通りであった。
【0172】
【0173】
さらに、実施例1と同様にしてλ/4板(第2光学異方性層)の上に透明導電膜を形成した。
【0174】
第二の透明構造体としては、厚みが40μmのトリアセチルセルロースフイルムを用いた以外は、実施例1と同様に、ハードコート層及び反射防止層を設けたものを用いた。
【0175】
上記の透明導電膜付き第一の透明構造体と第二の透明構造体とを用い、実施例1と同様にして円偏光板を作製した。
円偏光板の550nmで測定された偏光度は99.97%、単板透過率は42.9%であった。また、円偏光板の厚みは130μmであった。
この円偏光板を可動基板として、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0176】
(実施例3)
実施例1の第一の透明構造体において、用いる透明支持体の厚みを40μmとする以外は、実施例1と同様にして第一の透明構造体(λ/4板)を作製した。作製した第一の透明構造体(λ/4板)の測定波長450nm,550nm,590nmにおける光の位相差(レターデーション値:Re)を実施例1と同様に測定したところ、測定結果は次の通りであった。
【0177】
【0178】
さらに、実施例1と同様にしてλ/4板(第2光学異方性層)の上に透明導電膜を形成した。
【0179】
第二の透明構造体としては、厚みが80μmのトリアセチルセルロースフイルムを用いた以外は、実施例1と同様に、ハードコート層及び反射防止層を設けたものを用いた。
【0180】
PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面をケン化した厚み40μmのトリアセチルセルロースフイルムで、もう一方の面を上記の第二の透明構造体で挟んで貼り合わせ、さらに60℃で30分間加熱した。この際、第二の透明構造体は反射防止層を有する側とは反対の面をケン化処理した後に貼りあわせた。
上記のようにして貼り合されたフイルムのトリアセチルセルロースが露出した面にシート状の粘着剤を用いて上記の第一の透明構造体(λ/4板)を貼り合わせ、円偏光板を作製した。粘着剤としては日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。円偏光板の厚みは270μmであった。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0181】
(実施例4)
[第一の透明構造体(λ/4板)の作製]
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン100g、1,2−ジメトキシエタン60g、シクロヘキサン240g、1−ヘキセン25g、およびジエチルアルミニウムクロライド0.96モル/リットルのトルエン溶液3.4mlを、内容積1リットルのオートクレーブに加えた。一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの0.05モル/リットルの1,2−ジメトキシエタン溶液20mlとパラアルデヒドの0.1モル/リットルの1,2−ジメトキシエタン溶液10mlを混合した。この混合溶液4.9mlを、上記オートクレーブ中の混合物に添加した。密栓後、混合物を80℃に加熱して3時間攪拌を行った。得られた重合体溶液に、1,2−ジメトキシエタンとシクロヘキサンの2/8(質量比)の混合溶媒を加えて重合体/溶媒を1/10(質量比)にした後、トリエタノールアミン20gを加えて10分間攪拌した。
【0182】
この重合溶液に、メタノール500gを加えて30分間攪拌して静置した。2層に分離した上層を除き、再びメタノールを加えて攪拌、静置後、上層を除いた。同様の操作をさらに2回行い、得られた下層をシクロヘキサン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体濃度が10質量%のシクロヘキサン−1,2−ジメトキシエタン溶液を得た。この溶液に20gのパラジウム/シリカマグネシア〔日揮化学(株)製、パラジウム量=5質量%〕を加えて、オートクレーブ中で水素圧40kg/cm2として165℃で4時間反応させたのち、水添触媒をろ過によって取り除き、水素添加(共)重合体溶液を得た。
また、この水素添加(共)重合体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を、水素添加(共)重合体に対して0.1質量%加えてから、380℃で減圧下に脱溶媒を行った。次いで、溶融した樹脂を、チッ素雰囲気下で押し出し機によりペレット化し、トリシクロデカンを基本骨格とする熱可塑性樹脂Aを得た。
【0183】
熱可塑性樹脂Aのペレットを原料として、塩化メチレンを溶媒として用いた溶液キャスト法により、厚さ100μm、レターデーション値(Re550nm)15nmのベースフィルムを得た。得られたベースフィルムを延伸倍率125%で1軸延伸し、厚さ90μm、レターデーション値(Re550nm)135nmの第一の透明構造体(λ/4板)得た。膜厚は、キーエンス(株)製レーザーフォーカス変位計LT−8010を用いて測定した。
【0184】
[透明導電膜の形成]
実施例1と同様にして、上記第一の透明構造体の第2光学異方性層上に透明導電膜を形成した。
【0185】
[円偏光板、タッチパネルの作製]
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を上記の第一の透明構造体で、もう一方の面を帝人(株)製「ピュアエース W-5」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0186】
(実施例5)
[第一の透明構造体(λ/4板)の作製]
第一の透明構造体として、WO00/26705号の実施例3に従って、ポリカーボネート共重合体延伸フイルム(λ/4板)を作製した。
波長450nmにおけるレターデーション値は148.5nm、波長550nmにおけるレターデーション値は161.1nm、波長650nmにおけるレターデーション値は162.9nmだった。
【0187】
[透明導電膜の形成]
実施例1と同様にして、上記第一の透明構造体(λ/4板)上に透明導電膜を形成した。
【0188】
[円偏光板、タッチパネルの作製]
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を上記の第一の透明構造体で、もう一方の面を帝人(株)製「ピュアエース W-5」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0189】
(実施例6)
[第一の透明構造体(λ/4板)の作製]
6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンに、重合触媒としてトリエチルアルミニウムの15質量%シクロヘキサン溶液10質量部、トリエチルアミン5質量部、および四塩化チタンの20質量%シクロヘキサン溶液10質量部を添加して、シクロヘキサン中で開環重合し、得られた開環重合体をニッケル触媒で水素添加してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をイソプロピルアルコール中で凝固させ、乾燥し、粉末状の樹脂を得た。この樹脂の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算値)は、40,000、水素添加率は99.8%以上、ガラス転移温度(Tg)は142℃であった。
上述の粉末状樹脂を250℃で溶融し、ペレット化を行った。このペレットを40mmのフルフライト型スクリューを有する単軸押出機を用いて、幅300mmのTダイから溶融押し出しし、直径300mmの3本構成の冷却ロールで巻き取ることにより、シートを作製した。この際のダイ部での樹脂温度は275℃、冷却ロールの温度は、第1、第2、第3ロールの順に120℃、100℃、100℃だった。
【0190】
この延伸前シートの両端は厚さが不均一となるため、幅20mmの部分は切り落とし、表面を目視および光学顕微鏡で観察したが、発泡、スジ、キズなどは観察されなかった。Tgは139℃、平均厚さは75μmで厚さムラは±2μm以下、光線透過率は91.5%、レターデーション値(Re550nm)は平均で11nm、その面内でのバラツキは±5nmであった。
【0191】
この延伸前のシートを140±2℃に制御し、1.25倍の延伸倍率で一軸方向に延伸し、第一の透明構造体(λ/4板)を得た。
【0192】
この第一の透明構造体(λ/4板)の平均厚さは50μm、厚さムラは±1.2μm、レターデーション値(Re550nm)は140nm、その面内でバラツキは±7nmであった。
さらに、80℃で2時間保持した後、室温まで降温し、レターデーション値(Re550nm)を測定したところ、平均で136nmだった。以下、この状態のものを用いた。
【0193】
[透明導電膜の形成]
実施例1と同様にして、上記第一の透明構造体(λ/4板)上に透明導電膜を形成した。
【0194】
[円偏光板、タッチパネルの作製]
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を上記の第一の透明構造体で、もう一方の面を帝人(株)製「ピュアエース W-5」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0195】
(実施例7)
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を実施例4の第一の透明構造体で、もう一方の面をJSR(株)製の「ARTON」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0196】
(実施例8)
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を実施例4の第一の透明構造体で、もう一方の面を日本ゼオン(株)製の「ZEONEX」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0197】
(実施例9)
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を実施例5の第一の透明構造体で、もう一方の面をJSR(株)製の「ARTON」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0198】
(実施例10)
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を実施例5の第一の透明構造体で、もう一方の面を日本ゼオン(株)製の「ZEONEX」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0199】
(実施例11)
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を実施例6の第一の透明構造体で、もう一方の面をJSR(株)製の「ARTON」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0200】
(実施例12)
シート状の粘着剤を用いて、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面を実施例6の第一の透明構造体で、もう一方の面を日本ゼオン(株)製の「ZEONEX」(第二の透明構造体に相当する)で挟んで貼り合わせ、円偏光板を作製した。この際、第一の透明構造体は透明導電膜が外側に露出するように貼り合せる。シート状の粘着剤としては、日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0201】
(比較例)
本発明の優位性を確認するため、比較例として通常の構成の円偏光板およびインナータイプタッチパネルを作製し、性能の評価を行った。
【0202】
第一の透明構造体(λ/4板)として、帝人(株)製「ピュアエース W-159」を使用し、この基板上に実施例1と同様にして透明導電膜を形成した。
また、第二の透明構造体としては、実施例1で作製したハードコート層および反射防止膜付きのトリアセチルセルロースフイルムを用いた。
【0203】
[円偏光板、タッチパネルの作製]
PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、実施例1と同様に作製したPVA延伸膜の一方の面をケン化した厚み40μmのトリアセチルセルロースフイルムで、もう一方の面を上記の第二の透明構造体で挟んで貼り合わせ、さらに60℃で30分間加熱した。この際、第二の透明構造体は反射防止膜の反対の面をケン化処理した後に貼り合わせた。
上記のようにして貼り合されたフイルムのトリアセチルセルロースが露出した面にシート状の粘着剤を用いて上記の第一の透明構造体を貼り合わせ、円偏光板を作製した。粘着剤としては日東電工(株)製の「CS-9611」を使用した。
さらに、作製した円偏光板を用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0204】
(各透明構造体の線膨張係数の測定)
湿度線膨張係数は温度25℃の環境下で10RH%から80RH%まで湿度を変化させた際の寸度変化率から測定した。また、熱線膨張係数は60RH%の環境下で温度を25℃から60℃に変化させた際の寸度変化率から測定を行った。測定方法を以下に示す。
まず測定する透明構造体を一昼夜以上25℃、60RH%の環境で調湿し、その後約20cmの距離をおいて二点穴をあける。この二穴間の距離を新関東科学社製のピンゲージを用いて正確に測定した。測定したサンプルを他の環境に移動し、再び一昼夜以上十分調湿した後に同様の方法で二穴間の距離を測定し、温度または湿度による二点間距離の変化率から線膨張係数を測定した。結果を表1に示す。
【0205】
【表1】
【0206】
[評価]
(液晶表示装置の作製)
TN型液晶セルを使用したタッチパネル付き反射型液晶表示装置(パワーザウルスMI−C1、シャープ(株)製)から、タッチパネル部を取り外し、さらに偏光板と位相差板を剥がした。それらの代わりに、各実施例、比較例で作製したタッチパネルを取り付けた。
実施例1のタッチパネルを取り付けた液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、コントラスト比を測定したところ、正面で10:1であった。また、上下左右でコントラスト比2:1が得られる視野角を測定したところ、上下、左右ともに120゜以上であった。実施例2〜12、比較例のタッチパネルを取り付けた液晶表示装置においても同等の性能が確認された。
さらに、表示された画像を調べたところ、実施例1〜12、比較例のいずれのタッチパネルを取り付けた液晶表示装置においても、白表示でも黒表示でも、色味がなく、ニュートラルグレーが表示されていることを確認した。また、外光の写り込みがなく、アウター型のタッチパネル(可動基板に円偏光板を有しないタッチパネル)を設置した反射型液晶表示装置に比べて視認性が優れていた。
【0207】
また、各実施例、比較例のタッチパネル可動基板である円偏光板(透明導電膜付き)の厚みとタッチパネルのon荷重(入力に必要な荷重の大きさ)および反りの変化量を表2に示す。
反りの変化量は、25℃の温度下において湿度を10RH%から80RH%まで変化させた際のタッチパネル可動基板の反り変化量を測定した。反りの大きさの指標として、下記式で表される量Fを使用した。可動基板の表示面側が凹になる時Fは正、凸になる時Fは負と定義する。
【0208】
【数1】
【0209】
【表2】
【0210】
実施例の円偏光板(タッチパネル可動基板)の膜厚は全て300μm未満であり、比較例で示す一般的な構成のインナータイプタッチパネルの可動基板として用いられる円偏光板の厚み337μmに比べてかなりの薄型化が達成されている。これら各種のタッチパネルのon荷重入力は、各実施例に示す構成では30gf前後であるのに対して、比較例の構成では57gfとなっており、各実施例はより良好な入力感を実現している。On荷重には弾性率の影響も大きいため円偏光板の厚みと厳密な比例関係には無いが、比較例に対する優位性は確認される。また、反りの変化量は、比較例では1.8であるのに対して、各実施例では1.0前後となり、従来の構成に対して反りの改善が確認された。
【0211】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量・薄型で、高温・高湿条件下でも反りの少ない円偏光板を提供することができる。さらに、該円偏光板を用いて厚みを増加させること無く反りの影響が改善され、入力感が良好なインナータイプタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なインナータッチパネルの構成を模式的に示す概略断面図である。
【図2】λ/4板の代表的な構成を示す模式図である。
【図3】円偏光板の代表的な構成を示す模式図である。
【図4】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図5】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図6】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図8】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図9】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図10】エアーブロー装置の概略概念図である。
【図11】ニップ装置の概略概念図である。
【図12】ブレード装置の概略概念図である。
【図13】従来の円偏光板を打ち抜く様子を示す概略平面図である。
【図14】本発明において、円偏光板を打ち抜く様子を示す概略平面図である。
【図15】本発明のタッチパネル付き表示装置を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
(イ) フイルム導入方向
(ロ) 次工程へのフイルム搬送方向
(a) フイルムを導入する工程
(b) フイルムを延伸する工程
(c) 延伸フイルムを次工程へ送る工程
A1 フイルムの保持手段への噛み込み位置とフイルム延伸の起点位置(実質保持開始点:右)
B1 フイルムの保持手段への噛み込み位置(左)
C1 フイルム延伸の起点位置(実質保持開始点:左)
Cx フイルム離脱位置とフイルム延伸の終点基準位置(実質保持解除点:左)
Ay フイルム延伸の終点基準位置(実質保持解除点:右)
|L1−L2| 左右のフイルム保持手段の行程差
W フイルムの延伸工程終端における実質幅
θ 延伸方向とフイルム進行方向のなす角
11 導入側フイルムの中央線
12 次工程に送られるフイルムの中央線
13 フイルム保持手段の軌跡(左)
14 フイルム保持手段の軌跡(右)
15 導入側フイルム
16 次工程に送られるフイルム
17、17’ 左右のフイルム保持開始(噛み込み)点
18、18’ 左右のフイルム保持手段からの離脱点
21 導入側フイルムの中央線
22 次工程に送られるフイルムの中央線
23 フイルム保持手段の軌跡(左)
24 フイルム保持手段の軌跡(右)
25 導入側フイルム
26 次工程に送られるフイルム
27、27’ 左右のフイルム保持開始(噛み込み)点
28、28’ 左右のフイルム保持手段からの離脱点
33、43、53、63 フイルム保持手段の軌跡(左)
34、44、54、64 フイルム保持手段の軌跡(右)
35、45、55、65 導入側フイルム
36、46、56、66 次工程に送られるフイルム
71 吸収軸(延伸軸)
72 長手方向
81 吸収軸(延伸軸)
82 長手方向
101 エアーブロー
111 ニップ装置
121 ブレード装置
201 表示装置
202 透明構造体
203 透明導電膜
204 透明導電膜
205 λ/4板
206 粘着剤
207 透明構造体
208 偏光膜
209 透明構造体
210 ハードコート層
211 反射防止層
S 長尺状透明支持体
s 透明支持体の長手方向
A 第1光学異方性層
a 第1光学異方性層の面内の遅相軸
B 第2光学異方性層
b 第2光学異方性層の面内の遅相軸
c1、c2 棒状液晶性化合物
P 偏光膜
p 偏光膜の偏光軸
ra 第1光学異方性層の配向膜のラビング方向
rb 第2光学異方性層の配向膜のラビング方向
α aとsとの角度
β bとsとの角度
γ aとbとの角度
251 表示装置
252 透明構造体
253 透明導電膜
254 透明導電膜
255 光学異方性層
256 第一の透明構造体
257 偏光膜
258 第2の透明構造体
259 ハードコート層
260 反射防止層
Claims (6)
- λ/4板機能を有する単層もしくは複層からなる第一の透明構造体と、単層もしくは複層からなる第二の透明構造体とが偏光膜を挟んで配置された円偏光板であって、
円偏光板の厚みは80μm以上300μm以下であり、
第一の透明構造体の熱線膨張係数をIT1、湿度線膨張係数をIH1、第二の透明構造体の熱線膨張係数をIT2、湿度線膨張係数をIH2とした時、
式(a):0.5×IT1 < IT2 < 2.0×IT1
式(b):0.5×IH1 < IH2 < 2.0×IH1
の少なくとも一方の関係式を満たすことを特徴とする円偏光板。 - 第一の透明構造体が、透明支持体上に少なくとも二つの光学異方性層が形成されてなるλ/4板であって、少なくとも一つの光学異方性層は液晶性化合物を含む層であることを特徴とする請求項1に記載の円偏光板。
- 第一の透明構造体および第二の透明構造体の少なくとも一方がトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として含むことを特徴とする請求項1または2に記載の円偏光板。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の円偏光板の製造方法であって、第一の透明構造体、偏光膜および第二の透明構造体を各々ロール状態で供給し、偏光膜の両側を第一の透明構造体および第二の透明構造体で挟み込んで連続的に貼合し、ロール状態で巻き取る工程を有することを特徴とする円偏光板の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の円偏光板を、第一の透明構造体の偏光膜を有する側の面とは反対側の面上に透明導電膜を設け、タッチパネルの可動基板として使用し、該可動基板と透明導電膜を有する固定基板とが、透明導電膜同士が対向するようにスペーサーを介し一定間隔で配置されることを特徴とするタッチパネル。
- 請求項5に記載のタッチパネルが表示面上に配置されていることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002365279A JP2004198614A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 円偏光板、その製造方法、タッチパネルおよび表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002365279A JP2004198614A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 円偏光板、その製造方法、タッチパネルおよび表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004198614A true JP2004198614A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=32762881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002365279A Pending JP2004198614A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 円偏光板、その製造方法、タッチパネルおよび表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004198614A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010266496A (ja) * | 2009-05-12 | 2010-11-25 | Olympus Corp | 接合光学素子 |
JP2013097279A (ja) * | 2011-11-04 | 2013-05-20 | Konica Minolta Advanced Layers Inc | 円偏光板、円偏光板の製造方法及び円偏光板が用いられた有機エレクトロルミネッセンス表示装置 |
WO2014185000A1 (ja) * | 2013-05-16 | 2014-11-20 | 日本ゼオン株式会社 | 静電容量式タッチパネル付き表示装置 |
CN106054437A (zh) * | 2015-04-10 | 2016-10-26 | 日东电工株式会社 | 带粘合剂层的偏振膜组、液晶面板及液晶显示装置 |
WO2016194801A1 (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-08 | 富士フイルム株式会社 | 有機エレクトロルミネッセンス表示装置 |
KR101741320B1 (ko) * | 2014-06-30 | 2017-05-29 | 주식회사 엘지화학 | 일체형 원편광판, 그 제조방법 및 이를 포함하는 유기발광 표시장치 |
KR101838385B1 (ko) | 2015-07-22 | 2018-03-13 | 닛토덴코 가부시키가이샤 | 위상차층 부착 편광판 및 화상 표시 장치 |
WO2018110503A1 (ja) * | 2016-12-12 | 2018-06-21 | 日東電工株式会社 | 円偏光板 |
JP2021026086A (ja) * | 2019-08-02 | 2021-02-22 | 日東電工株式会社 | 位相差層付偏光板およびそれを用いた画像表示装置 |
-
2002
- 2002-12-17 JP JP2002365279A patent/JP2004198614A/ja active Pending
Cited By (23)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010266496A (ja) * | 2009-05-12 | 2010-11-25 | Olympus Corp | 接合光学素子 |
JP2013097279A (ja) * | 2011-11-04 | 2013-05-20 | Konica Minolta Advanced Layers Inc | 円偏光板、円偏光板の製造方法及び円偏光板が用いられた有機エレクトロルミネッセンス表示装置 |
WO2014185000A1 (ja) * | 2013-05-16 | 2014-11-20 | 日本ゼオン株式会社 | 静電容量式タッチパネル付き表示装置 |
JPWO2014185000A1 (ja) * | 2013-05-16 | 2017-02-23 | 日本ゼオン株式会社 | 静電容量式タッチパネル付き表示装置 |
US10175831B2 (en) | 2013-05-16 | 2019-01-08 | Zeon Corporation | Display device with a capacitive touch panel |
KR101741320B1 (ko) * | 2014-06-30 | 2017-05-29 | 주식회사 엘지화학 | 일체형 원편광판, 그 제조방법 및 이를 포함하는 유기발광 표시장치 |
CN106054437A (zh) * | 2015-04-10 | 2016-10-26 | 日东电工株式会社 | 带粘合剂层的偏振膜组、液晶面板及液晶显示装置 |
CN106054437B (zh) * | 2015-04-10 | 2021-08-06 | 日东电工株式会社 | 带粘合剂层的偏振膜组、液晶面板及液晶显示装置 |
JPWO2016194801A1 (ja) * | 2015-05-29 | 2018-05-31 | 富士フイルム株式会社 | 有機エレクトロルミネッセンス表示装置 |
US10497905B2 (en) | 2015-05-29 | 2019-12-03 | Fujifilm Corporation | Organic electroluminescence display device having enhanced visibility of black from an oblique direction |
CN107615881A (zh) * | 2015-05-29 | 2018-01-19 | 富士胶片株式会社 | 有机电致发光显示装置 |
WO2016194801A1 (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-08 | 富士フイルム株式会社 | 有機エレクトロルミネッセンス表示装置 |
US10937994B2 (en) | 2015-05-29 | 2021-03-02 | Fujifilm Corporation | Organic electroluminescence display device having a circular polarization plate and a high refractive index layer |
KR20170137930A (ko) * | 2015-05-29 | 2017-12-13 | 후지필름 가부시키가이샤 | 유기 일렉트로 루미네선스 표시 장치 |
KR102008603B1 (ko) * | 2015-05-29 | 2019-08-07 | 후지필름 가부시키가이샤 | 유기 일렉트로 루미네선스 표시 장치 |
CN107615881B (zh) * | 2015-05-29 | 2019-08-27 | 富士胶片株式会社 | 有机电致发光显示装置 |
KR101838385B1 (ko) | 2015-07-22 | 2018-03-13 | 닛토덴코 가부시키가이샤 | 위상차층 부착 편광판 및 화상 표시 장치 |
US10107946B2 (en) | 2015-07-22 | 2018-10-23 | Nitto Denko Corporation | Polarizing plate with a retardation layer and image display apparatus |
JPWO2018110503A1 (ja) * | 2016-12-12 | 2019-10-24 | 日東電工株式会社 | 円偏光板 |
TWI677719B (zh) * | 2016-12-12 | 2019-11-21 | 日商日東電工股份有限公司 | 圓偏光板 |
WO2018110503A1 (ja) * | 2016-12-12 | 2018-06-21 | 日東電工株式会社 | 円偏光板 |
JP2021026086A (ja) * | 2019-08-02 | 2021-02-22 | 日東電工株式会社 | 位相差層付偏光板およびそれを用いた画像表示装置 |
CN114207484A (zh) * | 2019-08-02 | 2022-03-18 | 日东电工株式会社 | 带相位差层的偏振片及使用其的图像显示装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5989859B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
EP1794216B1 (en) | Cellulose acylate film, optical compensation film, polarizing plate, and liquid crystal display device | |
TW200400389A (en) | Compensator comprising a positive and a negative birefringent retardation film | |
JP2002372622A (ja) | 複合位相差板、円偏光板及び液晶表示装置、有機el表示装置 | |
KR102140552B1 (ko) | 광학 소자, 광학 소자의 제조 방법 및 액정 표시 장치 | |
JP2004086328A (ja) | タッチパネル、その製造方法、およびタッチパネル付き表示装置 | |
JP4881340B2 (ja) | 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置 | |
JP2002372623A (ja) | 複合位相差板、円偏光板及び液晶表示装置、有機el表示装置 | |
JP4958824B2 (ja) | 位相差フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 | |
JP2004291500A (ja) | 高透過率導電性フィルム、その製造方法、タッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置 | |
JP4637599B2 (ja) | 光学異方性膜及び液晶表示装置 | |
JP4397644B2 (ja) | 位相差板及びその製造方法、それを用いた円偏光板及び1/2波長板、並びに、反射型液晶表示装置 | |
JP2004198614A (ja) | 円偏光板、その製造方法、タッチパネルおよび表示装置 | |
JP4280597B2 (ja) | 位相差板の製造方法 | |
JP2006293315A (ja) | 光学異方性膜及び液晶表示装置 | |
JP4578900B2 (ja) | 光学フイルム、偏光板及び液晶表示装置 | |
JP2003232922A (ja) | 偏光板および液晶表示装置 | |
JP2007212492A (ja) | 光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 | |
JP2006124368A (ja) | 液晶性化合物、光学異方性膜及び液晶表示装置 | |
JP2005321527A (ja) | 液晶表示装置 | |
US5926313A (en) | Phase retarder film | |
JP4330321B2 (ja) | 位相差板、その製造方法およびそれを用いた円偏光板 | |
JP4521302B2 (ja) | 光学異方性膜及び液晶表示装置 | |
JP2004212863A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2004021545A (ja) | タッチパネルおよび画像表示装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050215 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060325 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20061124 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20071108 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20071115 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20071122 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080619 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080625 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081029 |