JP2004287281A - 光素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に形成された導波路上に電極を形成した構造の光素子において、該電極はインジウム含有透明酸化物からなりそのキャリア密度は1×1019cm−3以上1×1021cm−3未満で、かつ(222)の結晶面が基板表面に対して優先的に配向し、かつ結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比が1/50未満である光素子。この光素子の製造においては、透明酸化物電極がスパッタリングにより形成される。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、光ピックアップ等に用いられる光素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光素子には、音響光学効果を利用した光制御素子(非特許文献1)、電気光学効果を利用した光制御素子等が存在する。電気光学効果を利用した光制御素子の一つに、Pb1−xLax(Zr1−yTiy)1−x/4O3(PLZT)、LiNbO3、KNbO3等の強誘電体材料に電圧を印可することにより光導波路中の屈折率を変化させる電気光学スイッチがある。
かかる光制御素子としては、従来、プリズム偏向素子(非特許文献2)や、Ti拡散導波路やプロトン交換光導波路を作製したLiNbO3ウェハーを用いて形成したドメイン反転光偏向素子(非特許文献3)や、プリズム型電極光偏向素子(特許文献1)等いくつか提案されている。更には、電気光学結晶の一部領域に所定の電界を形成する一対の電極によりコヒーレント光を偏向する光御素子(特許文献2)、電気光学結晶上に装荷型クラツド層と電極とを形成することで光の偏向分離やスイッチングを行う光制御素子(特許文献3)が開示されいてる。
【0003】
ここで、これらの制御用電極としては、Al,Au,Pt等の金属やSrRuO3,RuO3等の酸化物導電体、ITO,SnO,ZnO等の酸化物透明導電体を用いることが考えられる。しかしながら上部透明電極の材料に金属や酸化物導電体を用いた場合には、光導波路上に積層した電極により導波光の一部が吸収されるという問題が生じ、導波光には導波路面に電界の方向が平行なTEモード光と垂直なTMモード光の二つがあるが、特にTMモード光に関して、この電極による伝播損失が大きくなる。
【0004】
伝播損失だけに着目すれば、例えば、光導波路を形成する強誘電体層と電極の間に屈折率が小さく透明な誘電体膜を導入しても、伝搬損失を低減することが可能となる。しかし、この場合には、導波路へ印可される実効電圧の低下をまねき、駆動電圧の増大を引き起こす。そこで、上部透明電極の材料として、低吸収係数でかつ光導波路に対して低い屈折率を持つ酸化物透明導電体を用いて、電極による伝播損失を著しく低減すると同時に、導波路へ印加される実効電圧の低下を防止している。
この酸化物透明導電体の中でもインジウム含有透明酸化物は、薄膜の安定性、パターニング容易性、低抵抗等の優位な特性を持ち、半導体プロセスの中でも多く用いられてきたが、赤外領域においては光学的吸収を生じ、特に石英ファイバーを用いた光通信システムで用いられる1.3〜1.5μm付近の領域でそれが大きくなり、実用的には困難であるという問題があった。
【0005】
【非特許文献1】
C. S. Tsai and P. Le, Appl. Phys. Lett. vol. 60 (1992) 431.
【非特許文献2】
A.Yariv,New York,Rineh art and Winston,(1991) 336.
【非特許文献3】
Q.Chen, et al., J. Lightwave Tech. vol. 12 (1994) 1401.
【特許文献1】
特開昭62−47627号公報
【特許文献2】
特開平5−134275号公報
【特許文献3】
特開平5−281583号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、導波損失が少なく、良好な導波特性を示すことができる光素子とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の光素子は、 基板上に形成された導波路上に電極を形成した構造の光素子において、該電極はインジウム含有透明酸化物からなりそのキャリア密度は1×1019cm−3以上1×1021cm−3未満で、かつ(222)の結晶面が基板表面に対して優先的に配向し、結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比が1/50未満であることを特徴とする光素子である。
請求項1に記載の光素子は、透明酸化物電極をスパッタリングにより形成することが好ましく、スパッタリングは、酸素圧力のアルゴン圧力に対する比(酸素圧力/アルゴン圧力)が0.1以上10以下の条件下で行われることが好ましい。また、このスパッタリングの成膜速度は0.1μm/hr以上10μm/hr以下であることが好ましく、スパッタリング時の基板温度は、0〜300℃の範囲を保持することが好ましい。また、透明酸化物電極を10nm以上10μm未満の膜厚で形成することが好ましい。
以上の条件で光素子を作製することにより、キャリア密度を1×1021cm−3未満と低下させ、赤外領域での吸収を低下させると共に、 (222)高配向で結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比が1/50未満となるような結晶性を得ることで移動度を向上させ、更にキャリア密度を1×1019cm−3以上とすることで抵抗率を損なわない薄膜を得ることができる。
また、本発明の光素子は、前記電極形成工程において、前記電極形成工程はエッチング法及びリフトオフ法等の種々の方法により形成されたものであってもよい。
特に、本発明は、基板裏面に形成された下部電極と、電気光学効果を有するエピタキシャルまたは単一配向性の強誘電体薄膜からなる光導波路と、インジウムを含む酸化物導電体からなり、前記光導波路上に前記下部電極と対向するように形成され、前記下部電極との間に電圧を印加する上部透明電極とを備えた光制御素子に好適に使用されるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に光制御素子の一例である基板裏面に形成された下部電極と、電気光学効果を有するエピタキシャルまたは単一配向性の強誘電体薄膜からなる光導波路と、インジウムを含む酸化物導電体からなり、前記光導波路上に前記下部電極と対向するように形成され、前記下部電極との間に電圧を印加する上部透明電極とを備えた素子の形態を示す。
【0009】
(光導波路形成工程)
本発明の光素子の製造方法の第1の工程は、基板上に強誘電体薄膜からなる光導波路を形成する光導波路形成工程である。
本発明において使用する基板としては、下部電極としても用いることができる導電性または半導電性の単結晶基板が好ましく、導電性または半導電性のエピタキシャルまたは単一配向性の薄膜を表面に設けた基板も好適に用いられる。
導電性または半導電性の単結晶基板としては、NbやLaなどをドープしたSrTiO3、AlドープZnO、In2O3、RuO2、BaPbO3、SrRuO3、YBa2Cu3O7−x、SrVO3、LaNiO3、La0.5Sr0.5CoO3、ZnGa2O4、CdGa2O4、CdGa2O4、Mg2TiO4、MgTi2O4などの酸化物、Si,Ge,ダイアモンドなどの単体半導体、AlAs,AlSb, AlP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSbなどのIII−V系の化合物半導体、ZnS, ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdSなどのII−VI系の化合物半導体、Pd、Pt、Al、Au、Agなどの金属などが挙げられるが、上部に配置する光導波路の材料との相性が良いことから、酸化物を用いることが好ましい。
【0010】
エピタキシャルまたは単一配向性の導電性または半導電性の薄膜を基板表面に設ける場合、表面に設けられる薄膜材料には、SrTiO3、BaTiO3、BaZrO3、LaAlO3、ZrO2、Y2O38%−ZrO2、MgO、MgAl2O4、LiNbO3、LiTaO3、Al2O3、ZnOなどの酸化物、Si,Ge,ダイアモンドなどの単体半導体、AlAs,AlSb,AlP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSbなどのIII−V系の化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdSなどのII−VI系の化合物半導体などを用いることができるが、上部に配置する光導波路の材料との相性が良いことから、酸化物を用いることが好ましい。
これらの基板材料及び薄膜材料は、光導波路に用いられる強誘電体薄膜の結晶構造、偏向速度、スイッチング速度、または変調速度等、素子によって必要とされるキャリア・モビリティに応じて選ばれることが望ましい。
【0011】
また、光導波路に用いられる強誘電体材料の比誘電率は、数10から数1000であるが、このような強誘電体材料からなる光導波路素子でも、1kHz以上の応答を示すためには基板の抵抗率を104Ω・cm以下とすることが必要であり、RC時定数及び電圧降下の点から、102Ω・cm以下が好ましい。
【0012】
本発明の光導波路に用いられる強誘電体材料は、具体的には、ABO3型のペロブスカイト型では、例えば、正方晶、斜方晶または擬立方晶系材料としてはBaTiO3、PbTiO3、Pb1−xLax(ZryTi1−y)1−x/4O3(xおよびyの値によりPZT、PLT、PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、KNbO3などが挙げられ、六方晶系としてはLiNbO3、LiTaO3などに代表される強誘電体などが挙げられる。タングステンブロンズ型では、例えば、SrxBa1−xNb2O6、PbxBa1−xNb2O6などが挙げられる。この他に、Bi4Ti3O12、Pb2KNb5O15、K3Li2Nb5O15、さらに以上列挙した強誘電体の置換誘導体などから選択される、鉛を含むABO3型のペロブスカイト型酸化物も好適に用いられる。
【0013】
薄膜光導波路は、単結晶基板に対してエピタキシャルまたは単一配向性を有することが必要とされることから、光導波路材料には、単結晶基板材料の結晶構造に類似で、格子定数の差が10%以下の材料を用いることが望ましい。但し、必ずしもこの関係に従わなくともエピタキシ関係を保持できれば良い。また、薄膜光導波路に光を閉じ込めるために、光導波路材料の屈折率が単結晶基板よりも大きくなるように設計される。
【0014】
基板上に強誘電体薄膜を成膜することにより光導波路を形成する。強誘電体薄膜の成膜方法としては、電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、イオン・プレーティング、Rf−マグネトロン・スパッタリング、イオン・ビーム・スパッタリング、レーザー・アブレーション、MBE(分子線エピタキシャル)、CVD(気相成長法)、プラズマCVD、MOCVD(有機金属気相成長法)などの気相法、ゾルゲル法、及びMOD法などのウエット・プロセスのいずれの方法をも用いることができる。強誘電体薄膜の膜厚は、目的に応じて適宜選択されるが、通常は0.1μmから10μmの間に設定される。
【0015】
(電極形成工程)
本発明の光導波路素子の製造方法の第2の工程は、光導波路に接触するインジウム含有透明酸化物電極を、キャリア密度は1×1019cm−3以上1×1021cm−3未満でかつ(222)の結晶面が基板表面に対して優先的に配向し、
結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比が1/50未満である
ように形成する電極形成工程である。
本発明では、電極材料として、導電性のインジウム含有透明酸化物を用いる。導電性のインジウム含有透明酸化物としては、InSnO、InGaO2、MgIn2O4、In2O3、等のインジウムを含む酸化物に、Sn、Sb、F、Zn、F、Ge、Siの少なくとも1種を0.1重量%〜30重量%、好ましくは
1重量%〜10重量%添加することで導電性としたものが、良好な電気光特性と容易なパターニング形成を行うことが可能な点で好ましい。
【0016】
透明酸化物電極を所定形状に形成する方法としては、透明酸化物薄膜を成膜した後、不要部分をエッチングにより除去するエッチング法と、透明酸化物電極を形成しない部分にマスクを形成し、このマスクを用いて透明酸化物薄膜を成膜した後マスクを除去するリフトオフ法とがある。
【0017】
エッチング法の場合は、透明酸化物薄膜を成膜した後、薄膜上にフォトレジストあるいは電子線レジストを塗布、露光してマスクを形成し、このマスクを用いてエッチングを行う。エッチング方法としては、HCl、HNO3、HF、H2SO4、H3PO4、C2H2O2、NH4Fなどの水溶液やその混合水溶液によるウエット・エッチング、CCl4、CCl2F2、CHClFCF3やそれらのO2との混合ガスによるリアクティブ・イオン・エッチング、またはイオンビーム・エチングなどのドライ・エッチングなどが好適である。
【0018】
リフトオフ法の場合は、光導波路上にフォトレジストあるいは電子線レジストを塗布し、ネガパターンを露光してマスクを形成し、このマスクを用いて透明酸化物薄膜を成膜する。その後、マスク上の堆積物と共にマスクを除去する。
透明酸化物電極の形成は、上記エッチング法とリフトオフ法のいずれによっても可能である。
透明酸化物薄膜を成膜する方法としては、電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、イオン・プレーティング、Rf−マグネトロン・スパッタリング、DC−マグネトロン・スパッタリング、イオン・ビーム・スパッタリング、レーザー・アブレーション、MBE等が挙げられるが、スループットを上げることができ、平滑な膜を効率良く得られる点で、スパッタリング法を用いることが好ましい。
【0019】
本発明においては、透明酸化物薄膜を成膜する際にキャリア密度を低下させると共に、(222)高配向な結晶性を持たせることが重要である。通常、インジウム含有透明酸化物導電膜は、ウェットエッチングによるパターン制御性と、欠陥によるキャリアの生成での低抵抗化の観点から多結晶状態で使われることが多い。本発明によりキャリア密度を低下させ赤外領域での吸収を低減させることができるが、それに相反して抵抗率は大きくなる。それを補償し抵抗率を低減させる為には移動度を向上させる必要がある。その移動度の向上を実現する為に(222)の結晶面が基板表面に対して優先的に配向し、結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比が1/50未満であるような結晶性を持たせることで、面内の欠陥を低減し移動度を向上させると共に、1×1019cm−3以上1×1021cm−3未満のキャリア密度を確保することが可能となり、電子デバイスとして充分使用可能な電極抵抗を得ることができる。
【0020】
結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比は、小さい程、移動度を向上させることができ、導波性特が良好となるため、結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比は1/100未満で、かつキァリア密度で
3×1019cm−3以上1×1021cm−3未満が好ましく、特に結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比はほぼゼロで、かつキァリア密度で5×1019cm−3以上1×1021cm−3未満が好ましい。
【0021】
キャリア密度は、1×1019cm−3未満であると、抵抗率が増加して電極としての機能を果たさない等の問題が生じ、一方、1×1021cm−3以上の場合、赤外領域での光学的吸収が増大し、光素子としての機能を果たさなくない等の問題が生じ、導波路素子として好ましくない。
【0022】
本発明において、キャリア密度は、ホール測定により測定した値を意味する。
【0023】
透明酸化物電極を作製する場合、例えば、スパッタリング法を用いる場合には、良好な電気的光学的特性を得るためには、酸素とアルゴンの流量比(酸素流量/アルゴン流量)を0.1より大きくすることが好ましい。該当条件によって酸素が充分供給されることで、薄膜中の酸素欠陥は減少し、それに伴いキャリア密度は1×1021cm−3未満に低減して、赤外での吸収も低減してくる。しかしながらキャリア密度を低減させるだけでは抵抗率は大きくなり、電極として充分機能しなくなるという問題が生じる。この問題に対して酸素流量が増大した条件でかつ成膜速度を0.1μm/hr以上とすることで、(222)単一配向とし結晶性を向上させ、移動度を向上させることで電極として充分な性能を得ることが出来た。
しかし、酸素とアルゴンの流量比(酸素流量/アルゴン流量)が10を超えると、スパッタリング中の酸素イオンの膜への衝突が増加し、膜が劣化することで、抵抗率の増大と膜面内でのバラツキの増大等が不具合が生じることがあるので、酸素とアルゴンの流量比〈酸素流量/アルゴン流量)は10未満が好ましく、より好ましくい酸素とアルゴンの流量比(酸素流量/アルゴン流量)は0.01〜5、さらに好ましくは1〜3である。
【0024】
更に本発明においては、透明酸化物薄膜を成膜する際の基板温度を0℃以上150℃未満としてリフトオフプロセスを用い、パターニング終了後200℃以上400℃未満の温度でアニーリング処理することにより、結晶性向上によるウェットエッチング制御性の困難を回避することができる。ここで、最終的な熱処理温度が200℃未満の場合は光導波路と透明酸化物電極との界面の欠陥状態を十分に改善することができず、良好な電気特性を得ることができず、400℃以上であると、電極材料の微結晶化が大幅に進み、逆に界面での欠陥を増大させてしまう。
【0025】
更にドライエッチングプロセスを用いる場合には、透明酸化物薄膜を成膜する際の基板温度を150℃以上400℃未満にして、グレインの異常成長/多結晶化を押さえ、良好な電気的・光学的特性を持つ高結晶性を得ることもできる。
また、透明酸化物電極の膜厚は、充分な抵抗値を得る為に10nm以上の膜厚にすることが好ましく。グレインの異常成長を押さえる意味から10μm未満の膜厚とすることが好まし、より好ましくは0.1μm以上1μm未満である。
【0026】
電極材料の抵抗は、偏向速度、スイッチング速度、及び変調速度等、素子によって必要とされるキャリア・モビリティに応じて選択される。RC時定数及び電圧降下を考慮しても、実際に素子の動作速度として1kHz以上の応答を示すためには、抵抗率を10−6Ω・cm以上102Ω・cm未満の範囲とすることが好ましい。
電極材料の屈折率は、薄膜光導波路に光を閉じ込めるために、薄膜光導波路材料の屈折率よりも小さいことが必要である。
【0027】
また、透明酸化物電極の抵抗を低下させ、素子の動作速度を向上させるために、透明酸化物電極の上側に、Ti,Cr,Cu,W,Ni,Ta,Ga,In,Al,Pd,Pt,Au,Ag等の金属、またはTi−Al,Al−Cu,Ti−N,Ni−Cr等の合金を、単層もしくは2層以上の多層構造に積層することが好ましく、金属としてはAu,Ti,W,Al,Cu、及びこれらの合金が特に好ましい。また、この金属層の膜厚は、1nm以上10μm未満とすることが好ましい。
また、この金属層は、金属層を電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、イオン・プレーティング、Rf−マグネトロン・スパッタリング、DC−マグネトロン・スパッタリング、イオン・ビーム・スパッタリング、レーザー・アブレーション、MBE等によって形成した後、透明酸化物電極と同時にアニール処理を行う。
【0028】
上記した通り、本発明の製造方法により得られる光導波路素子は、レーザー・プリンター、デジタル複写機、ファクシミリ用の光偏向素子、光通信や光コンピューター用の光スイッチおよび光変調素子、光ディスク用のピックアップなどの各種用途に使用され、良好な電気光学特性を示す。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の製造方法を、実施例に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の製造方法を用い、図1に示す光偏向素子を作製した。
この光偏向素子は、図1に示すように、下部電極でもある単結晶基板12上に、2つの円形レンズ14a、14bが設けられ、単結晶基板12と円形レンズ14a、14bとを覆うように光導波路16が設けられている。光導波路16上には、透明酸化物電極としてプリズム型のITO電極22が設けられている。光偏向素子の入射側にはチャンネル型光導波路24a、24b、24cが設けられ、出射側にはチャンネル型光導波路28a、28b、28cが設けられている。
この光偏光素子の製造例を示す。
まず、洗浄、エッチング、乾燥を予め行ったNbドープSrTiO3(100)からなる単結晶基板12上に、Pb濃度で0.6MのPZT(30/70)用前駆体溶液をスピンコーティングにより塗布した。塗布膜をO2雰囲気中で300℃まで昇温し同温度にて保持する処理を5回繰り返すことによりアモルファスPZT(30/70)薄膜を得た。これを直径800μmの円形レンズ形状にエッチングして、焼成処理することによって、膜厚500nmのエピタキシャルPZT(30/70)薄膜からなる円形レンズ14a、14bを形成した。
【0030】
次に、円形レンズ14a、14bが形成された単結晶基板12上に、Pb濃度で0.6MのPLZT(9/65/35)用前駆体溶液をスピンコーティングにより塗布した。塗布後に焼成することで膜厚600nmのエピタキシャルPLZT(9/65/35)薄膜からなる光導波路16を形成した。結晶学的関係は、単一配向のPLZT(100)//PZT(100)//Nb−SrTiO3(100)、面内方位PLZT[001]//PZT[001]//Nb−SrTiO3[001]の構造が得られた。次に、この薄膜光導波路16のポーリングを行った。
光導波路16の薄膜表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベークの後、底辺500μm、高さ1000μmのプリズム形状に露光した。さらにポストベークを行い、これに続いて現像を行うことにより、プリズム形状のテーパ状レジストパターンを形成した。
【0031】
このレジストパターンを用いて、DC−マグネトロンスパッタリング装置により、O2/Arガス流量比が0.2、圧力0.5Pa、基板温度100℃成膜速度0.3μm/hrの条件で、酸化インジウムに錫を5重量%添加した密度90%以上のターゲットからITO薄膜をスパッタリング形成した。ここでリフトオフを行い、膜厚100nm、底辺500μm、高さ1000μmのプリズム型のITO電極22を形成した。
ITO電極22がパターニング形成された基板を、300℃の温度にてアニール処理し、その後、単結晶基板12の裏面にAl−Cuからなる電極(図示せず)を形成し、オーミックコンタクトを得た。
このようにして作製されたITO薄膜のキャリア密度は8×1020cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ(222)単一配向の薄膜となった。
【0032】
これらにより得られた光偏向素子を用い、チャンネル導波路24bの端面に633nmの波長のレーザービームを集光し、光導波路16内へ導入した。入射したレーザービームはチャンネル導波路24bから出射すると光導波路16内で発散し、円形レンズ14aを通過すると0.4mmにコリメートされた。下部電極でもある単結晶基板12とITO電極22との間に電圧を印加しない場合には、コリメートされたレーザービームは、実線で示す通り、二つめの円形レンズ14bを通過すると集光され、チャンネル導波路28cの端面を通じて出射した。単結晶基板12とITO電極22との間に電圧を印加した場合には、電気光学効果によって、光導波路16のうちITO電極22が接触する部分とそれ以外の部分とにおいて屈折率差が生じ、破線で示す通り、レーザービームが偏向され、偏向されたレーザービームは二つめの円形レンズ14bを通過すると集光されて、チャンネル導波路28bの端面を通じて出射した。
【0033】
(比較例1)
光導波路16の薄膜表面に、ITO薄膜をスパッタリング形成する際の成膜速度を0.01μm/hrとした以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構造の光偏向素子を作製した。
作製されたITO薄膜のキャリア密度は8×1020cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ明確なピークは観測されずアモルファス状態の薄膜となった。
得られた光偏向素子の電気特性をCV(容量Cと電位Vとの関係を示す)特性により評価した。図2(A)に示すように、比較例1の光偏向素子ではヒステリシスが崩れた形が現れた。このように水平部分が少ないヒステリシス曲線は、光導波路16とITO電極22との界面に欠陥が多く存在する場合に見られるものであり、容量が小さく、リーク電流も大きくなった。一方、実施例1の光偏向素子のCV特性は、図2(B)に示すように、整ったヒステリシス曲線を示した。
この光偏向素子に633nmの波長のレーザービームをチャンネル導波路24bの端面に集光し、光導波路16へ導入した。単結晶基板12とITO電極22との間に実施例1と同じ電圧を印加しても、入射したレーザービームは通常の偏向角度の1/5程度しか偏向せず、偏向効率が落ちており、印加電圧に対して充分な偏向角度を得ることができなかった。
【0034】
(実施例2)
本発明の製造方法を用い、図1に示す光偏向素子を作製した。まず、エッチング、乾燥を予め行ったSrTiO3(100)からなる単結晶基板12上に、スパッタリングによりアモルファスPZT(30/70)薄膜を形成した。これを直径800μmの円形レンズ形状にエッチングして、焼成処理することによって、膜厚800nmのエピタキシャルPZT(30/70)薄膜からなる円形レンズ14a、14bを形成した。次に、円形レンズ14a、14bが形成された単結晶基板12上に、スパッタリングによりPZT(52/48)薄膜をエピタキシャル成長して、エピタキシャルPZT(52/48)薄膜からなる光導波路16を形成した。結晶学的関係は、単一配向のPZT(100)//PZT(100)//SrTiO3(100)、面内方位PZT[001]//PZT[001]//SrTiO3[001]の構造が得られた。次に、この薄膜光導波路16のポーリングを行った。光導波路16の薄膜表面に、DC−マグネトロン・スパッタリング装置を用い、O2/Arガス流量比が0.3、圧力0.5Pa、基板温度250℃、成膜速度0.2μm/hrの条件で、酸化インジウムに錫を5重量%添加した密度90%以上のターゲットから150nmの膜厚のITO薄膜をスパッタリング形成した。
【0035】
ITO薄膜の上に、フォトレジストをスピンコートし、リベークの後、底辺500μm、高さ4000μmのプリズム形状に露光した。さらにポストベークを行い、これに続いて現像を行うことにより、プリズム形状のレジストパターンを形成した。
このレジストパターンを用い、HCl水溶液でエピタキシャルPZT(52/48)薄膜をエッチングすることで、膜厚150nm、底辺500μm、高さ4000μmのプリズム型のITO電極22を形成した。
このようにして作製されたITO薄膜のキャリア密度は9×1020cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ(222)単一配向の薄膜となった。
これらによって得られた光偏向素子を用い、実施例1と同様に、チャンネル導波路24bの端面に633nmの波長のレーザービームを集光し、光導波路16内へ導入した。下部電極でもある単結晶基板12とITO電極22との間に電圧を印加した場合には、破線で示す通り、レーザービームが偏向され、偏向されたレーザービームは円形レンズ14bを通過すると集光されて、チャンネル導波路28bの端面を通じて出射し、偏向素子として充分な特性を得ることができた。
【0036】
(比較例2)
光導波路16の薄膜表面に、ITO薄膜をスパッタリング形成する際の酸素/Ar流量比を0.01とした以外は、実施例2と同様にして、図1に示す構造の光偏向素子を作製した。
作製されたITO薄膜のキャリア密度は5×1021cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ(222)(221)等多数のピークが観測され多結晶状態の薄膜となった。
この光偏向素子に633nmの波長のレーザービームをチャンネル導波路24bの端面に集光し、光導波路16へ導入した。単結晶基板12とITO電極22との間に電圧を印加しても、入射したレーザービームはITO電極22において吸収され、光偏向素子としての動作を得ることができなかった。
【0037】
(実施例3)
本発明の製造方法を用い、図3に示す光スイッチを作製した。
この光スイッチは、図3に示すように、下部電極でもある単結晶基板32上へ、第1バッファ層34を固相エピタキシャル成長させ、次に、第1バッファ層34上に第2バッファ層36をアモルファス状に形成した後、5μm幅の開口を有するY分岐チャンネル38を形成、焼成し、その表面に光導波路40を固相エピタキシャル成長させたものであり、Y分岐チャンネル38の上方に位置する光導波路40上には、分岐した各枝に対応して、透明酸化物電極としてITO電極42a、42bが設けられている。
NbドープSrTiO3(100)からなる単結晶基板32上へ、PZT第1バッファ層34を1200nmの膜厚で固相エピタキシャル成長させ、次に、PZT第1バッファ層34上に、PZT第2バッファ層36をアモルファス状に230nmの膜厚で形成の後、5μm幅の開口を有するY分岐チャンネル38を形成し、焼成によりエピタキシャル化した後、その表面にPZT光導波路40を1370nmの膜厚で固相エピタキシャル成長させた。
【0038】
次に、光導波路40の薄膜表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベークの後、図3に斜線を付して示す所定の電極形状に露光した。さらにポストベークを行い、これに続いて現像を行うことにより、所定形状のテーパ状レジストパターンを形成した。
このレジストパターンを用いて、DC−マグネトロンスパッタリング装置により、O2/Arガス流量比が0.25、圧力0.5Pa、基板温度140℃、成膜速度0.23μm/hrの条件で、酸化インジウムに錫を7重量%添加した密度90%以上のターゲットからITO薄膜を200nmの膜厚でスパッタリング形成した。ITO薄膜の上に、さらに100nmの膜厚のAu薄膜(図示せず)を、Arガス流量が200sccm、圧力0.5Pa、基板温度100℃の条件でスパッタリング形成した。ここでリフトオフを行い、Au薄膜が積層されたITO電極42a、42bを形成した。
Au薄膜が積層されたITO電極42a、42bが形成された基板を、380℃の温度にてアニール処理し、その後、単結晶基板12の裏面にAl−Cuからなる電極(図示せず)を形成し、オーミックコンタクトを得た。
このようにして作製されたITO薄膜のキャリア密度は9×1020cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ(222)単一配向の薄膜となった。
【0039】
得られた光スイッチを用い、チャンネル導波路の端面44に633nmの波長のレーザービームを集光し、光導波路40内へ導入した。入射したレーザービームはチャンネル導波路の各端面46、48から出射した。
下部電極でもある単結晶基板32とITO電極42aとの間に電圧を印加し、単結晶基板32とITO電極42bとの間には電圧を印加しなかった。電気光学効果によって、光導波路40のうちITO電極42aが接触するチャンネルと電圧の印加されていないITO電極42bが接触するチャンネルとの間で屈折率差が生じ、チャンネル導波路の端面46からは出射されなくなり、端面48からのみ出射した。
【0040】
(実施例4)
本発明の製造方法を用い、図3に示す光スイッチを作製した。
NbドープSrTiO3(100)からなる単結晶基板32上へ、PZT第1バッファ層34を1200nmの膜厚で固相エピタキシャル成長させ、次に、PZT第1バッファ層34上に、PZT第2バッファ層36をアモルファス状に230nmの膜厚で形成の後、5μm幅の開口を有するY分岐チャンネル38を形成し、焼成によりエピタキシャル化した後、その表面にPZT光導波路40を1370nmの膜厚で固相エピタキシャル成長させた。
光導波路40の薄膜表面に、DC−マグネトロン・スパッタリング装置を用い、O2/Arガス流量比が0.4、圧力0.5Pa、基板温度200℃、成膜速度0.15μm/hrの条件で、酸化インジウムに錫を10重量%添加した密度90%以上のターゲットから5μmの膜厚のITO薄膜をスパッタリング形成した。
ITO薄膜の上に、フォトレジストをスピンコートし、プリベークの後、図3に斜線を付して示す所定の電極形状に露光した。さらにポストベークを行い、これに続いて現像を行うことにより所定形状のレジストパターンを形成した。ここで、HCl水溶液でITO薄膜をエッチングすることで、膜厚5μmのITO電極42a、42bを形成した。
パターニングされたITO電極42a、42bの上に、さらに5nmの膜厚のTi薄膜(図示せず)と1μmの膜厚のAl薄膜(図示せず)とを、Arガス流量が200sccm、圧力0.5Pa、基板温度100℃の条件でスパッタリング形成し、最終的に、5nmの膜厚のTi薄膜と1μmの膜厚のAl薄膜とが積層された5μmの膜厚のITO電極42a、42bを形成した。
【0041】
このようにして作製されたITO薄膜のキャリア密度は9×1020cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ(222)単一配向の薄膜となった。
成膜後のITO薄膜の表面をAFM(原子間力顕微鏡)で観察した結果を図4に示す。図4から分かるように、表面のグレインの大きさは0.1μm程度で薄膜表面の凹凸の高さは数nm〜20nmと平滑な膜となっていた。
その後、単結晶基板32の裏面にAl−Cuからなる電極(図示せず)を形成し、オーミック・コンタクトを得た。
得られた光スイッチを用い、チャンネル導波路の端面44に633nmの波長のレーザービームを集光し、光導波路40内へ導入した。入射したレーザービームはチャンネル導波路の各端面46、48から出射した。
下部電極でもある単結晶基板32とITO電極42aとの間に電圧を印加すると、電気光学効果によって、光導波路40のうちITO電極42aが接触するチャンネルと電圧の印加されていないITO電極42bが接触するチャンネルとの間で屈折率差が生じ、チャンネル導波路の端面46からは出射されなくなり、端面48からのみ出射した。
【0042】
(比較例3)
ITO薄膜をスパッタリング形成する際の基板温度を450℃とした以外は、実施例4と同様にして、図3に示す光スイッチを作製した。
この条件で形成されたITO薄膜のキャリア密度は5×1021cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ(222)(221)等多数のピークが観測され多結晶状態の薄膜となった。
また、ITO薄膜の表面をAFMで観察した結果を図5に示す。表面のグレインの大きさは0.2〜0.4μmと大きくなり、また薄膜表面の凹凸の高さは10nm〜80nmと数倍大きくなり、得られた光スイッチを用い、チャンネル導波路の端面44に633nmの波長のレーザービームを集光し、光導波路40内へ導入したが、導波光の散乱が観測され、導波損失が大きくなった。
【0043】
(実施例5)
本発明の製造方法を用い、図3に示す光スイッチを作製した。
NbドープSrTiO3(100)からなる単結晶基板32上へ、PZT第1バッファ層34を1200nmの膜厚で固相エピタキシャル成長させ、次に、PZT第1バッファ層34上に、PZT第2バッファ層36をアモルファス状に230nmの膜厚で形成の後、5μm幅の開口を有するY分岐チャンネル38を形成し、焼成によりエピタキシャル化した後、その表面にPZT光導波路40を1370nmの膜厚で固相エピタキシャル成長させた。
次に、光導波路40の薄膜表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベークの後、図3に斜線を付して示す所定の電極形状に露光した。さらにポストベークを行い、これに続いて現像を行うことにより、所定形状のテーパ状レジスト・パターンを形成した。
このレジスト・パターンを用いて、DC−マグネトロン・スパッタリング装置により、O2/Arガス流量比が0.16、圧力0.5Pa、基板温度60℃、成膜速度0.5μm/hrの条件で、酸化インジウムに錫を5重量%添加した密度90%以上のターゲットからITO薄膜を0.6μnmの膜厚でスパッタリング形成した。
【0044】
図3には示されていないが、そのITO薄膜の上に、DC−マグネトロン・スパッタリング装置を用い、さらにTiを5nm、Auを0.5μnmの膜厚でスパッタリング形成した。スパッタリングの条件は、Arガス流量が200sccm、圧力0.5Pa、基板温度100℃である。ここでリフトオフを行い、500nmのAu薄膜、10nmのTi薄膜、及び600nmのITO薄膜が積層された構造の上部電極としてのITO電極42a、42bを形成した。
その後、Nb−SrTiO3単結晶基板32の裏面に、Ti−Auからなる電極によってオーミック・コンタクトを形成した後、ITO電極42a、42bが形成された基板を、300℃の温度にてアニール処理した。
このようにして作製されたITO薄膜のキャリア密度は9×1020cm−3で、XRDにより結晶性を評価したところ(222)単一配向の薄膜となった。
得られた光スイッチを用い、チャンネル導波路の端面44に633nmの波長のレーザービームを集光し、光導波路40内へ導入した。入射したレーザービームはチャンネル導波路の各端面46、48から出射した。ITO薄膜が平滑であるため、導波損失が少なく良好な導波特性を示した。
【0045】
【発明の効果】
本発明の光素子は、光導波路構造を有する偏向素子、スイッチング素子、または変調素子等の各種の光制御素子において良好な導波路特性を得ることが可能となる。
また、本発明の光素子の製造方法により、光導波路素子の電気光学特性を損なうことなく、強誘電体薄膜からなる光導波路に接触するインジウム含有透明酸化物電極を形成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した光偏向素子の構造を示す斜視図である。
【図2】(A)は実施例1の光偏向素子を駆動した場合のCV特性を表すグラフであり、(B)は比較例1の光偏向素子を駆動した場合のCV特性を表すグラフである。
【図3】実施例3で作製した光スイッチの構造を示す斜視図である。
【図4】基板温度200℃の場合のITO表面のAFM観察像である。
【図5】基板温度450℃の場合のITO表面のAFM観察像である。
【符号の説明】
12、32 単結晶基板
14a、14b 円形レンズ
16、40 光導波路
22、42a、42b ITO電極
24a、24b、24c チャンネル型光導波路
28a、28b、28c チャンネル型光導波路
34 第1バッファ層
36 第2バッファ層
38 Y分岐チャンネル
44、46、48 端面
Claims (7)
- 基板上に形成された導波路上に電極を形成した構造の光素子において、該電極はインジウム含有透明酸化物からなりそのキャリア密度は1×1019cm−3以上1×1021cm−3未満で、かつ(222)の結晶面が基板表面に対して優先的に配向し、結晶面(211)/結晶面(222)のX線回折強度比が1/50未満であることを特徴とする光素子。
- 請求項1に記載の光素子の製造方法であって、基板上に形成された導波路上にインジウム含有透明酸化物からなる電極を形成することを特徴とする光素子の製造方法。
- 前記透明酸化物電極をスパッタリングにより形成することを特徴とする請求項2に記載の光素子の製造方法。
- 前記スパッタリングは、成膜速度が0.1μm/hr以上10μm/hr未満の条件下で行われる請求項2または請求項3に記載の光素子の製造方法。
- 前記スパッタリングは、酸素流量のアルゴン流量に対する比(酸素流量/アルゴン流量)が0.1以上10未満の条件下で行われる請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の光素子の製造方法。
- パターニングされた前記透明酸化物電極を200℃〜400℃の範囲をアニール処理することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の光素子の製造方法。
- 前記電極形成工程において、透明酸化物電極を10nm以上10μm未満の膜厚で形成する請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の光素子の製造方法。
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