JPH07287257A - 導波路型電気光学素子 - Google Patents

導波路型電気光学素子

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JPH07287257A
JPH07287257A JP7763494A JP7763494A JPH07287257A JP H07287257 A JPH07287257 A JP H07287257A JP 7763494 A JP7763494 A JP 7763494A JP 7763494 A JP7763494 A JP 7763494A JP H07287257 A JPH07287257 A JP H07287257A
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JP
Japan
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waveguide
optical
optical waveguide
light
optical element
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Application number
JP7763494A
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English (en)
Inventor
Shinichiro Sonoda
慎一郎 園田
Hideo Yamanaka
英生 山中
Masami Hatori
正美 羽鳥
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気光学効果を有する基板に形成された光導
波路と、基板との間にバッファ層を介して光導波路に近
接させて取り付けられた少なくとも1対の電極と、これ
らの電極間に電圧を印加する駆動回路とを有する導波路
型電気光学素子において、DCドリフトを低減し、光損
傷を防止し、また電極対向部分における光の入出力効率
も高くする。 【構成】 光導波路11をプロトン交換/アニールにより
形成し、バッファ層12をSnO2 から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気光学効果を有する
基板に形成された光導波路と、この光導波路に近接して
配された少なくとも1対の電極とを有し、これらの電極
間に電圧を印加することによって導波光の変調や、スイ
ッチング等を行なうようにした導波路型電気光学素子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば特開平2−931号公報に示され
るように、電気光学効果を有する基板に形成された薄膜
光導波路と、その上に形成されて該光導波路に電気光学
的回折格子(Electro-Optic Grating )を形成する格子
状電極(以下EOG電極と称する)と、このEOG電極
に電圧を印加する駆動回路とからなり、上記光導波路を
導波する導波光を、EOG電極への電圧印加状態に応じ
て選択的に回折させるようにした導波路型電気光学素子
が公知となっている。
【0003】このような導波路型電気光学素子を用いれ
ば、回折光と非回折光(0次光)のいずれか一方を使用
光としたとき、その使用光を回折の有無あるいは程度に
応じて変調することができる。また、上記回折の有無に
応じて導波光の光路を切り換える光スイッチを構成する
こともできる。
【0004】さらに、例えばJAPANESE JOURNAL OF APPL
IED PHYSICS (ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプ
ライド・フィジックス)Vol.20, No.4, April, 1981 p
p.733〜737 に示されるように、電気光学効果を有する
基板に方向性結合器を構成する2本のチャンネル光導波
路を形成し、各チャンネル光導波路の上に平板状電極を
配し、一方のチャンネル光導波路を導波する導波光を上
記電極への電圧印加状態に応じて選択的に他方のチャン
ネル光導波路に移行させるようにした導波路型電気光学
素子も知られている。
【0005】このような導波路型電気光学素子を用いれ
ば、上記他方のチャンネル光導波路から出射する光を使
用光として、その使用光を電極への電圧印加状態に基づ
いて変調することができるし、また、導波光の光路を切
り換える光スイッチを構成することもできる。
【0006】ところで、上記のような導波路型電気光学
素子においては、電極による光散乱や光吸収を避けるた
めに、電極と基板との間に光学バッファ層を形成するこ
とが必要である。従来このバッファ層は、SiO2 ある
いはAl2 3 から形成されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
なバッファ層を設けた導波路型電気光学素子において
は、いわゆるDCドリフトすなわち、電圧を加えるのに
従って動作点が変動する現象が生じやすいことが認めら
れている。
【0008】このようなDCドリフトを防止するために
従来より、上記のJAPANESE JOURNALOF APPLIED PHYSICS
(ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フ
ィジックス)Vol.20, No.4, April, 1981 pp.733〜737
にも示されているように、バッファ層の電極間の部分を
取り除いて、バッファ層を電極毎に分離させることが提
案されている。
【0009】またAPPLIED PHYSICS LETTER(アプライド
・フィジックス・レター)Vol.47,No.3 1 August 1985
pp.211 〜213 に記載されているように、バッファ層を
比較的抵抗の低い材料であるITO(インジウム・スズ
酸化物)から形成して、DCドリフトを低減させること
も提案されている。
【0010】なお、従来、これらのDCドリフト低減の
ための構成は、すべてTi拡散光導波路を有する導波路
型電気光学素子において採用されていた。
【0011】しかし、上述したDCドリフト低減のため
の構成を有する従来の導波路型電気光学素子は、入力光
が短波長であったりあるいは高強度であると、光損傷
(基板結晶の屈折率が不均一になる現象)のために光入
力が困難になる、という問題が認められている。
【0012】また、特にバッファ層をITOから形成し
た導波路型電気光学素子においては、ITOの吸収端が
可視域に存在するために、電極対向部分における光の入
出力効率(入力光の強度に対する出力光の強度比)が低
くなるという問題も認められている。
【0013】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、DCドリフトを十分に低減可能で、しかも光損
傷を防止し、また電極対向部分における光の入出力効率
も高い導波路型電気光学素子を提供することを目的とす
るものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による導波路型電
気光学素子は、先に述べたように、電気光学効果を有す
る基板に形成された光導波路と、上記基板との間にバッ
ファ層を介して、上記該光導波路に近接させて取り付け
られた少なくとも1対の電極と、これらの電極間に電圧
を印加する駆動回路とを有する導波路型電気光学素子に
おいて、光導波路がプロトン交換/アニール光導波路で
あり、また、バッファ層がSnO2 から形成されている
ことを特徴とするものである。
【0015】
【作用および発明の効果】従来の導波路型電気光学素子
において、光損傷の問題が起きやすいのは、光導波路が
Ti拡散光導波路であることに起因している。それに対
して、本発明の導波路型電気光学素子においてプロトン
交換/アニール光導波路を採用すると、耐光損傷性が高
くなる。
【0016】一方、本発明の導波路型電気光学素子にお
いては、バッファ層が低抵抗のSnO2 から形成されて
いるために、DCドリフトが確実に低減する。以下、そ
の点について詳しく説明する。
【0017】図3に示すように、基板1の上に薄膜光導
波路2が形成され、さらにその上にバッファ層3を介し
て交差櫛形のEOG電極4が形成された構造を考える。
この構造の等価回路は図4のようなものとなる。なお、
1 およびR1 はそれぞれバッファ層3の容量と抵抗、
2 およびR2 はそれぞれ光導波路2の容量と抵抗であ
る。ここで、EOG電極4の1対の電極片4aと4bと
の間にV0 の電圧を印加したとすると、光導波路2にか
かる有効電圧Vは以下のように印加時間tの関数とな
る。
【0018】 V=V0 {A+(B−A)exp-t/τ} ……(1) ただしA=R2 /(R2 +4R1 ) B=C1 /(C1 +4C2 ) τ=R1 2 (C1 +4C2 )/(R2 +4R1 ) すなわち、V0 の電圧が印加された瞬間の有効電圧Vは
B・V0 で、この有効電圧Vは時間τをかけてA・V0
に収れんする。ここでバッファ層3の抵抗R1が非常に
小さいと、上記τの値も非常に小さいものとなる。つま
り上記有効電圧Vは、当初のB・V0 の値から極めて短
い時間内にA・V0 に移行し、そのまま収れんするの
で、あたかも有効電圧Vが最初からA・V0 の値を取っ
て安定しているように観測される。
【0019】バッファ層がSnO2 から形成されて、そ
の抵抗R1 が極めて低くなっていれば、以上のようにし
てDCドリフトが低減されることになる。
【0020】なお、以上は、薄膜光導波路の上にバッフ
ァ層を介して交差櫛形のEOG電極が形成された構造に
ついて述べたが、平板状電極を用いてチャンネル光導波
路に電圧を印加する導波路型電気光学素子においては、
前述の(1) 式における4R1、、4C2 がそれぞれ2R
1 、2C2 に変わるだけである。そこでこの場合も、バ
ッファ層を低抵抗のSnO2 から形成すれば、上記と同
様にしてDCドリフトを十分に低減できるようになる。
【0021】また上記のSnO2 は、前述のITOと比
べると可視域での吸収が著しく低いので、このSnO2
をバッファ層材料として用いた本発明の導波路型電気光
学素子においては、電極対向部分における光の入出力効
率も高く確保されるようになる。
【0022】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を
詳細に説明する。図1および図2はそれぞれ、本発明の
第1実施例による導波路型電気光学素子の平面形状およ
び側面形状を示すものである。この導波路型電気光学素
子は光変調器として構成されたものであり、MgOがド
ープされたLiNbO3 基板10上に形成された薄膜光導
波路11と、その上に形成されたSnO2 膜からなるバッ
ファ層12と、このバッファ層12の上に形成されたEOG
電極13と、このEOG電極13を間において互いに離れる
状態で光導波路11の表面に形成された光入力用線状回折
格子(LinearGrating Coupler:以下LGCと称する)1
4および光出力用LGC15と、上記EOG電極13に所定
の電圧を印加する駆動回路16とを有している。
【0023】この導波路型電気光学素子の要部の作製方
法は、以下の通りである。まず、MgOがドープされた
LINbO3 基板(X板)10をピロリン酸中に浸漬して
140〜150 ℃でプロトン交換を行ない、さらに大気中で3
00 〜400 ℃×1時間のアニール処理を施して、光導波
路11を形成した。この場合は、400 〜800 nmの光に対
して導波光の伝搬モードがシングルモードとなる光導波
路11が得られた。
【0024】次いで、光導波路11上にフォトリソグラフ
ィーによりEOG電極のレジストパターンを形成した。
電極形状は、図3に示した電極4と同様の交差櫛形であ
り、櫛歯状部分の周期Λ=6.9 μmである。
【0025】その後この電極パターンの上にバッファ層
12となるSnO2 を、スパッタリング法により成膜し
た。このスパッタリングは、ArガスとO2 ガスの混合
雰囲気中でSnO2 焼結体をターゲットにして行ない、
全圧中のArガスおよびO2 ガスの分圧比はそれぞれ80
%と20%、混合ガス圧は5mTorr、基板温度は150 ℃に
設定した。また、このときの成膜速度は12nm/min で
あり、バッファ層としてのSnO2 膜の膜厚が、上記レ
ジストパターンよりも薄い200 〜300 nmとなるように
スパッタ時間を制御した。
【0026】SnO2 膜を成膜した後、その上に電極材
料であるAlを蒸着し、次いでレジストをリフトオフす
ることにより、EOG電極13が得られる。なおこの場
合、バッファ層12は各電極部分毎に分離したものとな
る。
【0027】以下、この導波路型電気光学素子の動作を
説明する。変調される光ビーム20を発する例えばHe−
Neレーザー等のレーザー光源21は、平行光であるこの
光ビーム20が、基板10の斜めにカットされた端面10aを
通過し、光導波路11を透過してLGC14の部分に入射す
るように配置されている。それにより、光ビーム20はこ
のLGC14で回折して光導波路11内に入射し、該光導波
路11を導波モードで矢印A方向に進行する。
【0028】この光ビーム(導波光)20は、EOG電極
13に対応する部分を通って導波するが、EOG電極13に
電圧が印加されていない状態では、この導波光20は直進
する。一方、EOG電極13に駆動回路16から所定の電圧
が印加されると、電気光学効果を有する光導波路11の屈
折率が変化して光導波路11に回折格子が形成され、導波
光20はその回折格子により回折する。以上のようにして
回折した光ビーム20Aおよび回折しない光ビーム20B
は、LGC15において基板10側に回折し、この基板10の
斜めにカットされた端面10bから素子外に出射する。
【0029】そこでこの素子外に出射した例えば光ビー
ム20Aを使用光とすれば、前記駆動回路16による電圧印
加の有無に応じてこの光ビーム20Aを変調することがで
きる。例えば所定の画像信号に基づいてこの光ビーム20
Aを変調する場合は、その画像信号に基づいて駆動回路
16による電圧印加を制御すればよい。
【0030】次に、本実施例の導波路型電気光学素子に
おけるDCドリフトについて説明する。DCドリフトを
観測するために、波長514.5 nmの光ビーム20を光導波
路11に入射させ、EOG電極13に8分間一定電圧V0
印加し、そのとき回折した光ビーム20Aの光強度を連続
的に測定した。この印加電圧V0 は、最大回折光量を得
るために必要な電圧Vπの1/2とした。
【0031】この測定に供した導波路型電気光学素子の
EOG電極13の電極指周期Λ=6.9μm、電極指長L
(図3参照)=6.9 mmであり、バッファ層12の厚さは
200 nmである。また、本例のバッファ層12の材料であ
るSnO2 の比抵抗は、4端子法で測定したところ0.1
Ωcmであり、光導波路11の比抵抗1×108 〜1×1010
Ωcmと比べて著しく低くなっている。
【0032】光ビーム20Aの光強度測定結果を図5に示
す。なお、同図の(1)、(2)、(3)は、導波光の
パワー密度がそれぞれ5W/cm2 、0.5 W/cm2
0.05W/cm2 の各場合の光強度測定結果を示してい
る。また光強度は相対値で示してあるが、相対値1が示
す絶対値は、この図5と後述する図6、図7においてす
べて共通である。図5に示される通り、導波光のパワー
密度が低い場合も、また5W/cm2 とかなり高い場合
も、回折した光ビーム20Aの光強度は8分間ほとんど変
動することがなく、顕著なDCドリフトは発生していな
い。
【0033】一方、EOG電極13に対向する光導波路部
分における光の入出力効率は85%と十分高かった。ま
た、導波光のパワー密度が上記の5〜0.05W/cm2
範囲では、光導波路11の光損傷は観測されなかった。そ
して、バッファ層12の下を導波する光の散乱をCCDカ
メラで観測し、その減衰曲線から伝搬損失を求めたとこ
ろ、5dB/cmであった。
【0034】次に、本発明に対する比較例1として、バ
ッファ層を従来装置におけるのと同様にSiO2 から形
成した導波路型電気光学素子について説明する。この比
較例1の導波路型電気光学素子は、図1および図2に示
した導波路型電気光学素子と比較すると、基本的にはバ
ッファ層材料が異なるだけであり、以下では適宜図1お
よび図2中の番号を引用して説明する。
【0035】この比較例1の導波路型電気光学素子の作
製方法は、MgOがドープされたLINbO3 基板(X
板)10に光導波路11を形成し、その上にEOG電極のレ
ジストパターンを形成するところまでは、前記実施例に
おけるのと同様である。また、電極形状も前記実施例と
同様である。
【0036】そして、EOG電極のレジストパターンを
形成した後、この電極パターンの上にバッファ層12とな
るSiO2 を、スパッタリング法により成膜した。この
スパッタリングは、ArガスとO2 ガスの混合雰囲気中
でSiO2 焼結体をターゲットにして行ない、全圧中の
2 ガスの分圧比は10%、混合ガス圧は5mTorr、基板
温度は150 ℃に設定した。また、このときの成膜速度は
10nm/min であり、バッファ層としての膜厚が上記レ
ジストパターンよりも薄い100 〜200 nmとなるように
スパッタ時間を制御した。
【0037】このSiO2 膜を成膜した後、その上に電
極材料であるAlを蒸着し、次いでレジストをリフトオ
フすることにより、EOG電極13が得られる。
【0038】次に、この比較例1の導波路型電気光学素
子におけるDCドリフトについて説明する。DCドリフ
トの観測は、前記第1実施例の場合と同様にして行なっ
た。なおこの場合も、EOG電極13の電極指周期Λ=6.
9 μm、電極指長L=6.9 mmであり、バッファ層12の
厚さは100 nmである。
【0039】また、本比較例1のバッファ層材料である
SiO2 の比抵抗は1×1012〜1×1015Ωcmであり、
光導波路11の比抵抗1×108 〜1×1010Ωcmよりも大
となっている。
【0040】回折した光ビーム20Aの光強度を測定した
結果を図6に示す。なお、同図の(1)、(2)、
(3)は、導波光のパワー密度がそれぞれ5W/c
2 、0.5 W/cm2 、0.05W/cm2 の各場合の光強
度測定結果を示している。図示される通りこの比較例1
においては、回折光の光強度は電圧印加を開始してから
時間が経過するのにつれて徐々に低下し、顕著なDCド
リフトが生じていることが分かる。特に、導波光のパワ
ー密度が5W/cm2 と大きい場合は、その傾向が大で
ある。
【0041】前述の図5に示した測定結果を、この図6
の測定結果と照らし合わせれば、本発明により明らかな
DCドリフト低減効果が得られていることが分かる。
【0042】一方、EOG電極13に対向する光導波路部
分における光の入出力効率は95%と十分高かった。ま
た、導波光のパワー密度が上記の5〜0.05W/cm2
範囲では、光導波路11の光損傷は観測されなかった。そ
して、バッファ層12の下を導波する光の散乱をCCDカ
メラで観測し、その減衰曲線から伝搬損失を求めたとこ
ろ、0.3 dB/cmであった。
【0043】上述の通り、この比較例1の導波路型電気
光学素子は、EOG電極13に対向する光導波路部分にお
ける光の入出力効率および伝搬損失の点では上記第1実
施例の導波路型電気光学素子よりも優れているが、大き
なDCドリフトが生じているため、実用的価値は上記第
1実施例の導波路型電気光学素子よりも低いものとなっ
てしまう。
【0044】次に、本発明に対する比較例2として、バ
ッファ層をITOから形成した導波路型電気光学素子に
ついて説明する。この比較例2の導波路型電気光学素子
は、図1および図2に示した導波路型電気光学素子と比
較すると、基本的にはバッファ層材料が異なるだけであ
り、ここでも、適宜図1および図2中の番号を引用して
説明する。
【0045】この比較例2の導波路型電気光学素子の作
製方法は、MgOがドープされたLINbO3 基板(X
板)10に光導波路11を形成し、その上にEOG電極のレ
ジストパターンを形成するところまでは、前記実施例に
おけるのと同様である。また、電極形状も前記実施例と
同様である。
【0046】そして、EOG電極のレジストパターンを
形成した後、この電極パターンの上にバッファ層12とな
るITOを、スパッタリング法により成膜した。このス
パッタリングは、ArガスとO2 ガスの混合雰囲気中
で、In2 3 :90wt%、SnO2 :10wt%の組成
のインジウム・スズ酸化物をターゲットにして行ない、
全圧中のO2 ガスの分圧比は20%、混合ガス圧は5mTo
rr、基板温度は150 ℃に設定した。また、このときの成
膜速度は12nm/min であり、バッファ層としての膜厚
が上記レジストパターンよりも薄い200 〜300 nmとな
るようにスパッタ時間を制御した。
【0047】このITO膜を成膜した後、その上に電極
材料であるAlを蒸着し、次いでレジストをリフトオフ
することにより、EOG電極13が得られる。
【0048】次に、この比較例2の導波路型電気光学素
子におけるDCドリフトについて説明する。DCドリフ
トの観測は、前記第1実施例の場合と同様にして行なっ
た。なおこの場合も、EOG電極13の電極指周期Λ=6.
9 μm、電極指長L=6.9 mmであり、バッファ層12の
厚さは100 nmである。
【0049】また、本比較例2のバッファ層材料である
ITOの比抵抗は、4端子法で測定したところ3.5 ×10
-4Ωcmであり、光導波路11の比抵抗1×108 〜1×10
10Ωcmと比べて著しく低くなっている。
【0050】回折した光ビーム20Aの光強度を測定した
結果を図7に示す。なお、同図の(1)、(2)、
(3)は、導波光のパワー密度がそれぞれ5W/c
2 、0.5 W/cm2 、0.05W/cm2 の各場合の光強
度測定結果を示している。図示される通りこの比較例2
においても、DCドリフト低減効果が得られている。ま
た、導波光のパワー密度が上記の5〜0.05W/cm2
範囲では、光導波路11の光損傷は観測されなかった。
【0051】しかしこの比較例2の導波路型電気光学素
子においては、EOG電極13に対向する光導波路部分に
おける光の入出力効率は65%とかなり低くなっている。
これは、ITOの吸収端が可視域に存在するためであ
る。そして、バッファ層12の下を導波する光の散乱をC
CDカメラで観測し、その減衰曲線から伝搬損失を求め
たところ15dB/cmであり、第1実施例における5d
B/cmよりもかなり高くなっている。
【0052】上述の通り、この比較例2の導波路型電気
光学素子は、第1実施例の導波路型電気光学素子と同様
にDCドリフト低減効果が得られるものであるが、EO
G電極13に対向する光導波路部分における光の入出力効
率および伝搬損失の点では、第1実施例の導波路型電気
光学素子よりも明らかに劣っている。
【0053】次に、本発明に対する比較例3として、光
導波路11をTi拡散により形成し、またバッファ層をI
TOから形成した導波路型電気光学素子について説明す
る。ここでも、適宜図1および図2中の番号を引用して
説明する。
【0054】この比較例3の導波路型電気光学素子を作
製するに当たり、まず、MgOがドープされたLINb
3 基板(X板)10にTiを25nmの厚さに蒸着し、次
いで950 〜1000℃×5時間の熱処理を施してTiを基板
10に拡散させ、Ti拡散光導波路11を形成する。
【0055】次いでその上に、EOG電極のレジストパ
ターンを形成し、以下比較例2と同様にしてITO膜か
らなるバッファ層12を形成し、AlからなるEOG電極
13を形成する。
【0056】この比較例3の導波路型電気光学素子にお
いて、波長514.5 nmの光ビーム20を光導波路11に入射
させたが、導波光のパワー密度が30mW/cm2 とかな
り低い場合でも光損傷が生じ、光変調器として機能しな
かった。
【0057】次に、図8を参照して本発明の第2実施例
について説明する。この第2実施例の導波路型電気光学
素子は、MgOがドープされたLINbO3 基板10と、
該基板10に形成された、Y分岐光導波路を2つ接続した
形のチャンネル光導波路30と、このチャンネル光導波路
30の一方の分岐部分30aを挟むようにして基板10上に形
成された1対の平板状電極31,31と、これらの平板状電
極31,31に所定の電圧を印加する駆動回路32とを有して
いる。またこの場合も、各平板状電極31と基板10との間
には、SnO2 膜からなるバッファ層33が介設されてい
る。
【0058】上記構成の導波路型電気光学素子におい
て、入力光34はチャンネル光導波路30の図中左端から入
力され、1番目のY分岐で分岐され、分岐部分30aおよ
び30bを導波してから2番目のY分岐で再度合成され
る。この合成された光は、チャンネル光導波路30の図中
右端から出力光34Aとして出力される。
【0059】チャンネル光導波路30の一方の分岐部分30
aに電極31,31を介して所定電圧が印加されると、この
分岐部分30aの屈折率が変化するので、分岐部分30aを
導波する光はこの電圧印加の有無に応じて位相変調され
る。そして、この分岐部分30aを導波した光と、分岐部
分30bを導波した光は合成されたとき干渉するので、出
力光34Aは上記電圧印加の有無に応じて強度変調され
る。
【0060】この第2実施例の導波路型電気光学素子に
おいても、第1実施例と同様にバッファ層33がSnO2
膜から形成されているので、DCドリフト低減効果が得
られる。
【0061】次に、図9を参照して本発明の第3実施例
について説明する。この第3実施例の導波路型電気光学
素子は、MgOがドープされたLINbO3 基板10と、
該基板10に形成された、方向性結合器を構成する2つの
チャンネル光導波路40A、40Bと、一方のチャンネル光
導波路40Aを挟むようにして基板10上に形成された1対
の平板状電極41,41と、これらの平板状電極41,41に所
定の電圧を印加する駆動回路42とを有している。またこ
の場合も、各平板状電極41と基板10との間には、SnO
2 膜からなるバッファ層43が介設されている。
【0062】上記構成の導波路型電気光学素子におい
て、入力光44は一方のチャンネル光導波路40Aに入力さ
れてそこを導波し、両光導波路40A、40Bが近接してい
る部分において他方のチャンネル光導波路40Bに浸み出
し、そこを導波して該光導波路40Bから出力光44Aとし
て出力される。
【0063】チャンネル光導波路40Aに電極41,41を介
して所定電圧が印加されると、この光導波路40Aの屈折
率が変化するので、該光導波路40Aから光導波路40Bへ
の導波光の浸み出しの大きさが変化する。そこで出力光
44Aは、上記電圧印加の有無に応じて強度変調される。
【0064】この第3実施例の導波路型電気光学素子に
おいても、第1、2実施例と同様にバッファ層43がSn
2 膜から形成されているので、DCドリフト低減効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による導波路型電気光学素
子を示す平面図
【図2】上記第1実施例の導波路型電気光学素子の側面
【図3】本発明に用いられる電極の一例を示す斜視図
【図4】図3の構造の等価回路を示す電気回路図
【図5】上記第1実施例の導波路型電気光学素子のDC
ドリフト量測定結果を示すグラフ
【図6】本発明に対する比較例1の導波路型電気光学素
子のDCドリフト量測定結果を示すグラフ
【図7】本発明に対する比較例2の導波路型電気光学素
子のDCドリフト量測定結果を示すグラフ
【図8】本発明の第2実施例による導波路型電気光学素
子を示す斜視図
【図9】本発明の第3実施例による導波路型電気光学素
子を示す斜視図
【符号の説明】
1 基板 2 薄膜光導波路 3 バッファ層 4 EOG電極 10 MgOドープLiNbO3 基板 11 薄膜光導波路 12 バッファ層 13 EOG電極 16 駆動回路 20 光ビーム 20A 回折した光ビーム 20B 回折しない光ビーム 30 チャンネル光導波路 31 平板状電極 32 駆動回路 33 バッファ層 40A、40B チャンネル光導波路 41 平板状電極 42 駆動回路 43 バッファ層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気光学効果を有する基板に形成された
    光導波路と、 前記基板との間にバッファ層を介して、前記光導波路に
    近接させて取り付けられた少なくとも1対の電極と、 これらの電極間に電圧を印加する駆動回路とを有する導
    波路型電気光学素子において、 前記光導波路がプロトン交換/アニール光導波路であ
    り、 前記バッファ層がSnO2 から形成されていることを特
    徴とする導波路型電気光学素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004287281A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Fuji Xerox Co Ltd 光素子およびその製造方法

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