JP2004285510A - 共重合ポリエステル繊維 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】高強力、高弾性率でありながらターミナルモジュラスの低い繊維を得ること。
【解決手段】全酸成分に対して、テレフタル酸と4,4’ビフェニルジカルボン酸の量が90mol%以上のポリエステル共重合体からなり、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする共重合ポリエステル繊維。
(1)強度1GPa以上
(2)弾性率40GPa以上
(3)ターミナルモジュラスが0.2GPa以下

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高強度、高弾性率を有する繊維、特に高強度、高弾性率の共重合ポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルタイヤコードに代表されるポリエステル高強力糸は、主にゴム補強用繊維としての物性のバランスが優れており、かつ近年は原料コスト面で他の有機材料に対して優位性を示し、産業資材用として広くかつ大量に使用されている。
【0003】
これらの分野では、強度が高いことが必要であると共に弾性率が高く、かつ、熱寸法安定性が良いことが極めて重要となる。一般に、ポリエチレンテレフタレート繊維はナイロン6やナイロン66などの脂肪族ポリアミド繊維に比べて、弾性率は高いものの、ポリパラテレフタルアミド繊維などの全方向族ポリアミド繊維などと比較すると、決して高いとは言えない。また、高度に配向させて強度弾性率を向上させているために、ターミナルモジュラスが非常に高く、破断伸度が短く、最大荷重点到達直後に脆性破壊を生じるという欠点があった。
【0004】
これに対して、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維に端を発した、リオトロピック液晶紡糸による高強度高弾性率繊維は、サーモトロピック液晶にも応用されるようになり、多くの液晶性高強力繊維が開発されている。しかし、これらサーモトロピック液晶から得られる液晶性高強力繊維は、加工が非常に難しく、特殊な工程が必要であり、生産性を上げることが困難であった。
【0005】
これに対して、フェニル−4,4’ジカルボン酸及びテレフタルサンを酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とする、共重合ポリエステルにより、弾性率が28Gpa以上の弾性率を持つ繊維が得られることを示している(例えば、特許文献1参照)。この繊維は、弾性率と強度を向上させることを主眼としており、高い強度、弾性率は達成しているものの、高度の配向結晶化によって、高いターミナルモジュラスを示し、破断伸度5%と脆性的な破壊を示している。
【0006】
【特許文献1】
特開昭52−107320号公報
【0007】
これに対して、同様のポリエステルを用いて、紡糸一段階でも1GPa以上の強度と、41GPaの弾性率を持った繊維を作り出すことができることを報告している(例えば、非特許文献1参照)。しかし、この文献中も高弾性率と高強度の共重合ポリエステル繊維を研究の主眼としており、ターミナルモジュラスが高いという欠点を有している。
【0008】
【非特許文献1】
Kumar(Fiber Spinning and Structure, and Properties of Poly(ethylene terephthalate−co−4,4’−bibenzoate) Copolyesters, Macromolecules, 35(13), p5123−5130 (2002))
【0009】
ターミナルモジュラスは後加工性を大きく左右する要素の一つである。ターミナルモジュラスが高いと、後加工の工程を通過する際に、僅かな外力による糸の伸度の変化で応力が著しく増大する。即ち、数%のひずみ変動によって破断強度を超えてしまい、工程通過中に糸切れが多発するという欠点を有する。このため、例えばタイヤコードを想定した場合、ディップ工程の乾燥時にコードが破断するという不良を生じる。加工を加えた際に起こる伸度低下に伴う強度低下が大きくなる欠点がある。また、ターミナルモジュラスが高すぎると破断の瞬間まで応力が上がりつづけてしまい、破壊に至る応力が加わると一気に破断してしまうという欠点があった。一般に高強度、高弾性率繊維を作成するためには、その分子鎖を高度に配向させることが重要となってくる。高度に分子鎖が配向した繊維は、その構造からターミナルモジュラスがどうしても高くなってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、こうした事情に着目してなされたものであって、共重合ポリエステルを用いることによって、高い強度・弾性率と、低いターミナルモジュラスを兼ね備えたポリエステル繊維を供給せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、共重合率、紡糸条件の検討を鋭意行った結果、1.1GPaの強度、30GPa以上の弾性率を示し、そのターミナルモジュラスが0.2GPa以下に抑えた繊維を得ることができること発明するに至った。
即ち、本発明は以下の手段による。
1.主たる酸成分がテレフタル酸と4,4’−ビフェニルジカルボン酸からなるポリエステル共重合体からなり、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする共重合ポリエステル繊維。
(1)強度1GPa以上
(2)弾性率40GPa以上
(3)ターミナルモジュラスが0.2GPa以下
2.ポリエステル共重合体中の全酸成分に対して、テレフタル酸と4,4’ビフェニルジカルボン酸の量が90mol%以上であることを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル繊維。
3.ポリエステル共重合体中のグリコール成分が下記式1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の共重合ポリエステル繊維。
HO−A−OH (式1)
(ただし、Aは炭素数2〜6のアルキレン基)
4.ポリエステル共重合体中の全酸成分に対して4,4’−ビフェニルジカルボン酸の占める割合が40〜75mol%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維。
【0012】
以下、本発明を詳述する。
まず、本発明で言うターミナルモジュラスとは、モノフィラメントもしくは無撚のマルチフィラメントの引張試験から得られる応力−ひずみ曲線において、弾性変形領域から最大荷重点または降伏荷重点を取った後のひずみの変化に鈍感な見かけ上平坦部となる箇所のモジュラスを言う。
強度が1GPa以上であることはゴム補強用のみならず、衣料用を含めた各種用途においても必要条件である。強度が0.5GPa未満では工程通過性が著しく低下し、実際上使用が困難である。
【0013】
更にゴムなどの補強効果を考えると高弾性率を有していることが必要である。必要な弾性率は用途により異なるが、初期弾性率30GPa以上であることが望ましく、40GPa以上であることがより好ましい。初期弾性率が30GPa未満では繊維による補強効果が十分に現れない。
【0014】
先に述べたように高強度、高弾性率繊維ではターミナルモジュラスを低く保つ事は非常に困難であった。この高いターミナルモジュラスは後加工時に糸が最大荷重に近い外力を負荷された際、僅かな工程変動によって生じる微小なひずみの増加によって大きな内部応力を発生し、糸が一気に破断応力に達してしまうという欠点を有する。
【0015】
本発明によれば共重合ポリエステル繊維は共重合成分のコントロールと、紡糸条件及び特に熱処理条件を鋭意検討することによって、1GPaの強度、30GPaの弾性率及び0.2GPa以下のターミナルモジュラスを兼ね備えた新規な繊維を製造することが出来ることを見出した。
紡糸条件は、具体的には剪断速度が1000(sec−1)以下の領域で以下の式に相当するドラフトで紡糸を行うことが好ましい。
6000×exp(0.0095×γ) ≦ DDR ≦ 8000×exp(0.0095×γ)
ただし γ : 剪断速度(sec−1
DDR: 紡糸ドラフト
【0016】
本発明によって示される繊維に用いられる共重合ポリエステルの酸成分のうちテレフタル酸と、4,4’−ジカルボン酸の占める割合は90mol%以上であることが好ましい。90mol%以下では、十分に物性を達成することが困難となる。
【0017】
また、本発明によって示される繊維に用いられる共重合ポリエステルの酸成分にはテレフタル酸と、4,4’−ジカルボン酸以外の成分が使用されていてもよい。例えば、ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4’ービフェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホンジカルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0018】
これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とする。
【0019】
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’ービフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0020】
本発明によって示される繊維に用いられる共重合ポリエステルのグリコール成分には任意のグリコールを用いることができる。
【0021】
例えば、グリコールとしてはエチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
【0022】
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0023】
さらに、より簡単に配向をそろえることが可能となるため、これらのグリコールのうち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール,1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5‐ペンタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,ネオペンチルグリコール,1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
加工性の点から、その中でも特に、エチレングリコール,1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコールを用いることが好ましい。
また、それ以外のヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体を共重合しても構わない。
【0024】
例えば、ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0025】
多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。
【0026】
本発明において、剛直な4,4’−ビスベンゾエートユニットはメソゲン基としての役割を果たしていると考えられる。このため、該ポリエステル中の4,4’−ビスベンゾエートユニットは、全ポリエステルに対して40モル%以上であることが好ましい。4,4’ビスベンゾエートユニットが40モル%以下であると、液晶性が不十分なために、分子の配向が進まず、溶融紡糸後に十分な物性を得ることが困難となる。
【0027】
また、該ポリエステル中の4,4’−ビスベンゾエートユニットは、全ポリエステルに対して75モル%以下であることが好ましい。4,4’−ビスベンゾエートユニットが75モル%以上であると、分子の剛直性が高すぎるために、溶融吐出時の粘度変動が大きくなりすぎ加工することが困難になる。
【0028】
紡糸時の剪断速度は高いほうが物性の向上が見込まれる。これは紡糸時の剪断によって、繊維内での構造形成が進むためである。しかし、紡糸時の剪断応力が高すぎると、剪断による粘度低下が大きく、また、メルトフラクチャーなどの不安定挙動を誘発してしまう。
【0029】
紡糸時のドラフトは、高いほうが物性の向上が見込まれる。これは、紡糸時の伸長流動によって、繊維内での構造形成が行われるためである。ところが、この紡糸ドラフトがあまりに高すぎると、ドローレゾナンスなどの不安定挙動を誘発してしまい、均質な繊維を得ることができない。
【0030】
紡糸時の不安定な挙動を抑えつつ、高性能の繊維を生産性良く得るために、特殊な形状の紡糸口金を用い、また、紡糸口金下で保温筒により糸条を加熱し、剪断速度と紡糸ドラフトのコントロールを行い、これらの繊維を得る条件を発見した。
【0031】
該ポリエステルは溶融され、紡糸口金から吐出される。紡糸口金の温度は使用するポリマーの共重合率、固有粘度によっても変化するが、250℃〜350℃程度が好ましい。更に好ましくは300℃か〜320℃程度が好ましい。口金温度が250℃よりも低いと、溶融ポリマーの粘度が高くなりすぎて紡糸困難となる。紡糸口金温度が350℃以上になると、ポリマーの劣化速度が速くなり、物性が下がってくる傾向が見られる。溶融状態で押出された糸条は巻取りまでの間に冷却固化される。紡糸時のノズル剪断速度のコントロールが肝要である。生産性を上げるためには剪断速度が早いことが好ましいが、剪断速度が1000を超えると、メルトフラクチャーが起こり、紡糸困難となる。剪断速度のコントロールのために、紡糸口金Nzの孔径をコントロールすることが重要である。
【0032】
糸条の変形速度は等方性の融液が擬似液晶に転移するのに充分な速度でなくてはならない。このために必要な紡糸速度はポリマーの組成、重合度、吐出剪断速度によって異なるが、通常200m/min以上となる。より好ましくは400m/min以上で紡糸することによって目的の物性の繊維が得やすくなる。ただし、2000m/min以上ではドローレゾナンスが起こり紡糸が困難になる。
【0033】
こうして得られた繊維は高強力、高弾性率を兼ね備えた繊維となっているが、このままではターミナルモジュラスが高いままである。この繊維を雰囲気下で熱処理することによって、強度弾性率を保ったまま、ターミナルモジュラスを下げることが出来ることを発見した。
ここでいう熱処理の雰囲気とは、水分を含む大気中ではなく、不活性ガスが充填された状態もしくは真空状態を言う。本発明のテレフタル酸と4,4’−ビフェニルジカルボン酸を骨格とする共重合ポリエステルの場合には特に真空下での処理が好ましい。
また、熱処理の温度はガラス転移点温度以上、融点以下が好ましく、本発明のテレフタル酸と4,4’−ビフェニルジカルボン酸を骨格とする共重合ポリエステルの場合、120℃以上、220℃以下、好ましくは150℃以上220℃以下、更に好ましくは180℃以上200℃以下である。
更に処理時間は処理温度にも依るが、30秒以上、48時間以下、好ましくは30分以上、24時間以下、更に好ましくは、1時間以上、4時間以下であることが好ましい。
【0034】
上述のような熱処理後を行った後の繊維の固有粘度を測定すると処理前の繊維の固有粘度と比較して粘度が増加していることが見出されている。これは熱処理を施すことによって、分子量が増加していることを示し、本発明の共重合ポリエステル繊維の場合、固相重合が起こっているものと推測される。通常、ポリエステル系の繊維を熱処理すると固相重合することは知られているが、固相重合したポリエステル繊維は、強度の向上は認められる。しかし、本発明のように弾性率と最大応力を未処理の状態と同じレベルに保持したまま、ターミナルモジュラスが減少する。即ち、引張試験から得られる応力−ひずみ曲線において、最大荷重点以降に平坦部を有し破断ひずみが向上することは未だかつて見出されていない。これは、分子鎖が長くなったこと、そしてこの繊維特有の高度な配向状態によって低いターミナルモジュラスが達成されているものと推定されるが、明確ではない。
【0035】
【実施例】
いかに実施例を挙げて本発明の繊維に関して更に詳細に報告する。なお、実施例中の物性は次にようにして測定した。
【0036】
ポリマー、及び繊維の諸物性は下記方法によって測定した。
(強度、初期弾性率、ターミナルモジュラスの測定方法)
20℃、65%RHで定速伸張型の引っ張り試験機を使用し、試料長200mmの試料に繊度(dtex)の1/33の初荷重をかけ、200mm/minの引張り速度で引っ張ったときの最大点応力を強度とする。また、初期弾性率は荷重−伸張曲線の原点からの立ち上がりを直線で延長し、試料を10%伸張したのに相当する位置での応力とする。
ターミナルモジュラスは同じ強伸度曲線から切断伸度より1.0%を減じた点における応力と破断応力の差を求めて、この差を1.0×10−1で除して求めた。
【0037】
(還元粘度の測定方法)
ポリマー0.5g/dl p−クロロフェノール/テトラクロロエタン(3/1)溶液を用いて30℃で計測した。
【0038】
(実施例1〜3)
テレフタル酸ジメチル187部と、4,4’−ビフェニルジカルボン酸318部にエチレングリコール263部を用いて常法に従いエステル化反応を行った。ついで常法に従い重縮合反応を行った。上述のポリマーを210℃で48時間固相重合しIV=1.23の固相重合チップを得た。このチップをエクストルーダー型紡糸機で紡糸温度310℃にて紡糸した。この際フィルターとしては1000meshの金属織物を用い、口金は6.5 mmφの丸孔を用いた。口金から吐出した糸を長さ80cm、内径5cmの加熱筒で除冷した後、一定の引き取り速度で引き取った。この糸を210℃のオーブン中にて真空下で熱処理を行った。表1に得られた繊維の物性を示す。
【0039】
(比較例1)
テレフタル酸ジメチル187部と、4,4’−ビフェニルジカルボン酸318部にエチレングリコール263部を用いて常法に従いエステル化反応を行った。ついで常法に従い重縮合反応を行った。上述のポリマーを210℃で48時間固相重合しIV=1.23の固相重合チップを得た。このチップをエクストルーダー型紡糸機で紡糸温度310℃にて紡糸した。この際フィルターとしては1000meshの金属織物を用い、口金は6.5 mmφの丸孔を用いた。口金から吐出した糸を長さ80cm、内径5cmの加熱筒で除冷した後、一定の引き取り速度で引き取った。表1に得られた繊維の物性を示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004285510
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、4,4’−ジフェニルジカルボン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分および主としてエチレングリコールからなるジオール成分から形成される共重合ポリエステルを溶融紡糸する事によって得られる繊維を更に熱処理することによって、高強力、高弾性率と低いターミナルモジュラスを兼ね備えた繊維を提供することを可能とした。

Claims (4)

  1. 主たる酸成分がテレフタル酸と4,4’−ビフェニルジカルボン酸からなるポリエステル共重合体からなり、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする共重合ポリエステル繊維。
    (1)強度1GPa以上
    (2)弾性率40GPa以上
    (3)ターミナルモジュラスが0.2GPa以下
  2. ポリエステル共重合体中の全酸成分に対して、テレフタル酸と4,4’ビフェニルジカルボン酸の量が90mol%以上であることを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル繊維。
  3. ポリエステル共重合体中のグリコール成分が下記式1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の共重合ポリエステル繊維。
    HO−A−OH (式1)
    (ただし、Aは炭素数2〜6のアルキレン基)
  4. ポリエステル共重合体中の全酸成分に対して4,4’−ビフェニルジカルボン酸の占める割合が40〜75mol%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエステル繊維。
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