JP2004285219A - 水性コーティング組成物及びその安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の水性コーティング組成物は、合成樹脂エマルション100重量部に対し、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物である補助安定剤0.01〜10重量部を含有することを特徴とする。また、合成樹脂エマルションを含有する水性コーティング組成物に、補助安定剤を添加するだけで、機械安定性、貯蔵安定性の向上を図ることができる。
【選択図】なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、貯蔵安定性に優れた水性コーティング組成物及びその安定化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗料、インキ、接着剤等の各種分野においては、健康被害の低減や安全性の向上、大気環境汚染を低減する目的で、溶剤系から水性系への転換が図られつつある。
これに伴い、水性系に対する性能向上の要望も高まり、例えば、水を媒体とする合成樹脂エマルションの研究が盛んに行われている。
【0003】
ところで、合成樹脂エマルションは、通常水を媒体とし樹脂を分散させているものであるが、この際、樹脂の分散性には界面活性剤が大きな役割を果たす。つまり、合成樹脂エマルションの製造時または製造後の貯蔵時においては、界面活性剤の存在により、優れた機械的安定性や貯蔵安定性等を付与することが可能である。また、界面活性剤の量を増やすことにより、機械的安定性や貯蔵安定性等をいっそう高めることができる。
しかしながら、合成樹脂エマルションをコーティング膜として用いる場合、界面活性剤の存在が、耐水性等の膜物性にかえって悪影響を与える可能性がある。この問題は、界面活性剤の量が多いほど、顕著となる。
【0004】
このような問題に対して、例えば、特許文献1、2では、反応性界面活性剤を用いて、機械的安定性や貯蔵安定性と、耐水性等の膜物性の向上を図っている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−344805号公報
【特許文献2】特開2002−265505号公報
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のような反応性界面活性剤を用いる場合、精密な樹脂設計が必要となる。また、反応性界面活性剤は、比較的コストが高く工業的にも不利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、機械的安定性や貯蔵安定性に優れ、耐水性等の膜物性にも優れた水性コーティング組成物及びその安定化方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、合成樹脂エマルションと、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物である補助安定剤を含有する水性コーティング組成物が、機械的安定性や貯蔵安定性に優れ、耐水性等の膜物性にも優れ、かつ、簡便に製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は下記の特徴を有するものである。
1.合成樹脂エマルション100重量部に対し、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物である補助安定剤0.01〜10重量部、を含有する水性コーティング組成物。
2.該補助安定剤が、炭素数8〜30のアルカン、炭素数8〜30のアルキルアルコール、炭素数8〜30のアルキルチオールから選ばれる一種以上であることを特徴とする1.に記載の水性コーティング組成物。
3.合成樹脂エマルション100重量部を含有する水性コーティング組成物に、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物である補助安定剤0.01〜10重量部を添加することを特徴とする水性コーティング組成物の安定化方法。
4.該補助安定剤が、炭素数8〜30のアルカン、炭素数8〜30のアルキルアルコール、炭素数8〜30のアルキルチオールから選ばれる一種以上であることを特徴とする3.に記載の水性コーティング組成物の安定化方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0011】
本発明の水性コーティング組成物は、合成樹脂、水、界面活性剤を基本構成成分とする合成樹脂エマルションと、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物である補助安定剤を含有するものである。
【0012】
本発明の補助安定剤は、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物(好ましくは13〜20の脂肪族炭化水素化合物)であることを特徴とし、直鎖状や分岐状(好ましくは直鎖状)、飽和や不飽和等の形態については特に限定されない。
後述する合成樹脂エマルション中に、補助安定剤を含有することにより、合成樹脂エマルションが安定化し、水性コーティング組成物の機械安定性、貯蔵安定性を高めることができる。したがって、界面活性剤の量が少なくても、優れた機械安定性、貯蔵安定性を得ることができ、さらに界面活性剤の量が少なくすむため、コーティング膜の耐水性等の膜物性にも優れた水性コーティング組成物を得ることができる。また、予め製造しておいた水性コーティング組成物に、補助安定剤を添加するだけで、水性コーティング組成物の機械的安定性や貯蔵安定性を十分高めることができる。
【0013】
本発明におけるメカニズムは、明らかでないが、おそらく、補助安定剤が樹脂と界面活性剤との界面付近に適度に入り込むことができ、電気的反発力や立体的安定性等を増大させ、合成樹脂エマルションの安定化に寄与しているものと思われる。
補助安定剤として、炭素数が8より小さい脂肪族炭化水素化合物を用いた場合は、補助安定剤が水媒体中に存在しやすくなり、合成樹脂エマルションの安定化に寄与しなくなる傾向がある。炭素数が30より大きい脂肪族炭化水素化合物を用いた場合は、補助安定剤が樹脂粒子中に存在しやすくなり、樹脂粒子を膨潤させ、機械安定性を阻害する恐れがある。
【0014】
このような補助安定剤としては、例えば、炭素数8〜30のアルカン(好ましくは13〜20のアルカン)、炭素数8〜30のアルキルアルコール(好ましくは13〜20のアルキルアルコール)、炭素数8〜30のアルキルチオール(好ましくは13〜20のアルキルチオール)等を用いることが好ましく、これらのうち、1種または2種以上を使用することができる。
【0015】
炭素数8〜30のアルカンとしては、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、3,4−ジエチルヘキサン、2,6−ジメチルオクタン、3,3−ジメチルオクタン、3,5−ジメチルオクタン、4,4−ジメチルオクタン、3−エチル−3−メチルヘプタン、2−メチルノナン、3−メチルノナン、4−メチルノナン、5−メチルノナン、2−メチルウンデカン、3−メチルウンデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン等を挙げることができる。
【0016】
炭素数8〜30のアルキルアルコールとしては、例えば、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレイルアルコール等を挙げることができる。
【0017】
炭素数8〜30のアルキルチオールとしては、例えば、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオール、トリデカンチオール、テトラデカンチオール、ペンタデカンチオール、ヘキサデカンチオール、ヘプタデカンチオール、オクタデカンチオール、ノナデカンチオール、エイコサンチオール等を挙げることができる。
【0018】
本発明では特に、炭素数8〜30のアルキルアルコールを用いることが好ましく、さらには炭素数13〜20のアルキルアルコールを用いることがより好ましい。
また本発明の効果を損なわない程度に、炭素数8〜30の脂環式炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物を使用することもできる。
【0019】
本発明の補助安定剤の含有量は、後述する合成樹脂エマルション100重量部に対し、0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。補助安定剤の含有量がこのような範囲である場合は、水性コーティング組成物の機械安定性、貯蔵安定性を高めることができる。0.01重量部より少ない場合は、水性コーティング組成物の機械安定性、貯蔵安定性に寄与しなくなる。10重量部より多い場合は、耐水性等の膜物性に悪影響を与える場合がある。
【0020】
本発明の合成樹脂エマルションは、樹脂、水、界面活性剤を基本構成成分とするものであり、水媒体中に、界面活性剤で樹脂を安定化させているものであれば特に限定されず、公知のもの使用すればよい。
【0021】
合成樹脂エマルションとしては、通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、シリコン樹脂エマルション、エチレン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、ポリエステル樹脂エマルション、アルキッド樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション等を挙げることができ、1種または2種以上を使用することができる。
【0022】
合成樹脂エマルションの製造は、単量体、水、開始剤、界面活性剤等を配合し、公知の乳化重合法等により製造すればよい。
【0023】
単量体としては、、通常乳化重合等に用いられる単量体を使用すればよく、例えば、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有単量体;
アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン等の1級アミノ基含有単量体;
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有単量体;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の3級アミノ基含有単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジルフマレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、ε−カプロラクトン変性グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体;
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の1級水酸基含有単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有単量体;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体;
ビニルオキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;
マレイン酸アミド、(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド等のアミド基含有単量体;
トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシシリル基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のシリル基含有単量体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、n一アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オキチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ドデセニル(メタ)アクリレート、オタタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等が等を挙げることができ、1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0024】
開始剤としては、通常乳化重合に用いられる開始剤を使用すればよく、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリルおよびその塩酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物:これらの過硫酸塩または過酸化物と鉄イオン等の金属イオンおよびナトリウムスルボキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等の還元剤との組合せによるレドックス開始剤等を挙げることができ、1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの使用量は、特に限定されないが、単量体混合物100重量部に対して、0.1〜5重量部程度とすればよい。また、このような開始剤の替わりに、エネルギー線照射等を用いてもよい。
【0025】
界面活性剤としては、製造時の重合安定性や機械安定性、製造後の貯蔵安定性や機械安定性に寄与するもので、例えば、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン性界面活性剤;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライト、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライト、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライト等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの使用量は、特に限定されないが、通常単量体混合物100重量部に対して、0.01〜20重量部程度とすればよい。
【0026】
さらに、通常使用される、重合禁止剤、連鎖移動剤、緩衝剤等の他の成分を用いることもできる。また、媒体は、通常水であるが、本発明の効果を阻害しない程度に親水性溶媒を用いてもよい。
【0027】
また本発明では、界面活性剤の替わりに、反応性界面活性剤や高分子安定剤を用いて安定化させている合成樹脂エマルションや水分散型樹脂においても、前記界面活性剤と同様の効果がある。また、界面活性剤、反応性界面活性剤、高分子安定剤のいずれか2種以上を併用し安定化させているものについても同様の効果がある。
このような反応性界面活性剤、高分子安定剤としては、公知のものを使用することができる。
【0028】
このようにして得られた合成樹脂エマルションの粒子径は、特に限定されず、通常使用される粒子径の範囲であればよく、10nm〜10μmと幅広い範囲で適応可能である。また合成樹脂エマルションの態様は、コアシェル型、単中空・多中空型、ミクロ相分離型等特に限定されず、形態も球型、針型、板型等特に限定されず用いることができる。さらに通常O/W型エマルションを用いるが、用途に合わせてW/O型エマルションでも適用可能である。
【0029】
本発明の補助安定剤は、合成樹脂エマルション製造後または合成樹脂エマルションを含む水性コーティング組成物製造後に添加すればよい。合成樹脂エマルション製造後または合成樹脂エマルションを含む水性コーティング組成物製造後に添加するだけで、簡便に水性コーティング組成物の安定性を向上させることができる。
【0030】
本発明の水性コーティング組成物は、合成樹脂エマルション、補助安定剤以外に、通常塗料に用いられる、親水性溶媒、顔料、骨材、可塑剤、撥水剤、繊維、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、増粘剤等の成分を配合することもできる。
水性コーティング組成物における合成樹脂エマルションの含有量は、特に限定されないが、通常5〜95重量%程度であればよい。
【0031】
本発明における補助安定剤は、合成樹脂エマルションの安定化とともに、水性コーティング組成物の中に顔料や骨材等の粉体が存在する場合は、それらの安定性にも寄与することができる。さらに、水性コーティング組成物の凍結防止性等の性能を向上させることもできる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0033】
(実施例1)
アクリル合成樹脂エマルションA(単量体組成:スチレン、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリレート、乳化剤:ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(臨界ミセル濃度以下)、固形分40%、粒子径200nm)40重量部にヘキサデカノール0.5部、珪砂60重量部を加え、水性コーティング組成物1を作製し、機械安定性を評価した。
【0034】
(機械安定性)
作製した水性コーティング組成物1を、500ccのカップに400cc入れ、攪拌羽根(ヘイドンスリーワンモータディスパ、φ60mm)を用いて1800rpmで攪拌を開始し、ゲル化または著しく流動性を失った時点を終点とし、終点までの時間を測定した。評価は、○:20分以上、×:20分未満、とした。
【0035】
次に、アクリル合成樹脂エマルションA60重量部にヘキサデカノール0.5部、水7重量部、酸化チタン22重量部、添加剤(消泡剤、造膜助剤等)11重量部を加え、水性コーティング組成物2を作製し、貯蔵安定性、耐水性、耐侯性について評価した。
【0036】
(貯蔵安定性)
作製した水性コーティング組成物2を、250ccのカップに200cc入れ、温度50℃にて、1週間養生し、粘度変化を確認した。
評価は、○:粘度変化30%未満、×:粘度変化30%以上、とした。
【0037】
(耐水性)
作製した水性コーティング組成物2を、ガラス板の上に塗付厚が0.15mmとなるように塗付し、標準状態で1週間養生し、試験体を作製した。作製した試験体を、23℃の水に1週間浸水させた。
耐水性試験では、浸水前後の光沢度を光沢度計(日本電色工業(株)社製)で測定(入射角:60°)し、そこから算出される光沢保持率(%)(=浸水後の光沢度×100/浸水前の光沢度)によって評価した。評価は、○:光沢保持率90%以上、×:光沢保持率90%未満、とした。
【0038】
(耐候性)
作製した水性コーティング組成物2を、ガラス板の上に塗付厚が0.15mmとなるように塗付し、標準状態で1週間養生し、試験体を作製した。作製した試験体を、50℃の温水に1時間浸漬し、その後270nmの紫外線を16時間照射することを1サイクルとし、3サイクル行った。
耐候性試験では、3サイクル前後の光沢度を耐水性試験と同様に測定し、光沢保持率によって評価した。評価は、○:光沢保持率%80以上、×:光沢保持率80%未満、とした。
【0039】
(比較例1)
アクリル合成樹脂エマルションA40重量部に、珪砂60重量部を加え、水性コーティング組成物3を作成し、実施例1と同様の機械安定性試験を行った。
また、アクリル合成樹脂エマルションA60重量部に、水7重量部、酸化チタン22重量部、添加剤(消泡剤、造膜助剤等)11重量部を加え、水性コーティング組成物4を作成し、実施例1と同様の貯蔵安定性、耐水性、耐侯性試験を行った。
【0040】
(実施例2)
水性コーティング組成物3、水性コーティング組成物4にそれぞれヘキサデカノール0.5部を添加し、比較例1と同様の各種試験を行った。
【0041】
(表1)
【0042】
【本発明の効果】
本発明の水性コーティング組成物は、機械安定性、貯蔵安定性に優れ、かつ耐水性等の膜物性にも優れている。また、水性コーティング組成物に補助安定剤を添加するだけで、機械安定性、貯蔵安定性を向上させることができる。
Claims (4)
- 合成樹脂エマルション100重量部に対し、
炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物である補助安定剤0.01〜10重量部、を含有する水性コーティング組成物。 - 該補助安定剤が、炭素数8〜30のアルカン、炭素数8〜30のアルキルアルコール、炭素数8〜30のアルキルチオールから選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水性コーティング組成物。
- 合成樹脂エマルション100重量部を含有する水性コーティング組成物に、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素化合物である補助安定剤0.01〜10重量部を添加することを特徴とする水性コーティング組成物の安定化方法。
- 該補助安定剤が、炭素数8〜30のアルカン、炭素数8〜30のアルキルアルコール、炭素数8〜30のアルキルチオールから選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項3に記載の水性コーティング組成物の安定化方法。
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