JP2004285124A - ポリビニルアルコール不溶化物及びその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール不溶化物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルデヒド類を使用しておらず、毒性や発ガン性の心配のないポリビニルアルコール不溶化物、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコールをリンゴ酸、酒石酸、又はクエン酸によって不溶化したポリビニルアルコール不溶化物である。ポリビニルアルコールとリンゴ酸、酒石酸、又はクエン酸とを水に溶解させた水溶液を、繊維形態に成形した後、リンゴ酸、酒石酸、又はクエン酸の融点以上の温度で加熱することによって不溶化させる、ポリビニルアルコール不溶化物の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリビニルアルコール不溶化物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアルコールを不溶化する方法として、アルデヒド類を用いたアセタール化(又はホルマール化)が周知であり、また、2個のアルデヒド基を有する芳香族化合物によってアセタール化することも知られている(特許文献1)。しかしながら、アルデヒド類は毒性や発ガン性を持っていたりするため、アルデヒド類を用いていないポリビニルアルコール不溶化物が望ましい。
【0003】
【特許文献1】
特公昭29−6145号公報(特許請求の範囲など)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、本発明はアルデヒド類を使用しておらず、毒性や発ガン性の心配のないポリビニルアルコール不溶化物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1にかかる発明は、「ポリビニルアルコールがα−ヒドロキシ酸によって、下記によって定義される沸騰水浸漬減量率(R)が4%以下に不溶化されていることを特徴とするポリビニルアルコール不溶化物

R={(Mb−Ma)/Mb}×100
R:沸騰水浸漬減量率
Mb:沸騰水に20分間浸漬する前における質量
Ma:沸騰水に20分間浸漬した後における質量」である。α−ヒドロキシ酸は食品添加物としても使用できる安全性の高いものであるため、α−ヒドロキシ酸によって不溶化しているポリビニルアルコール不溶化物は、毒性や発ガン性の心配のない、安全性の高いものである。また、沸騰水に浸漬しても質量の減少率が少なく、十分に不溶化したものである。
【0006】
本発明の請求項2にかかる発明は、「前記ポリビニルアルコールが未変性のポリビニルアルコールからなることを特徴とする、請求項1記載のポリビニルアルコール不溶化物」である。ポリビニルアルコールが未変性であることで、分解などによって臭いを発生したりすることのない不溶化物である。
【0007】
本発明の請求項3にかかる発明は、「前記α−ヒドロキシ酸が、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸の中から選ばれる1種類以上からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のポリビニルアルコール不溶化物」である。これらのα−ヒドロキシ酸を用いることで効果的に不溶化できる。また、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸は一分子中に2個以上のカルボキシル基を有し、不溶化しやすいため好適である。
【0008】
本発明の請求項4にかかる発明は、「繊維形態を有することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリビニルアルコール不溶化物」である。不溶化物が繊維形態を有することで、様々な用途に適用でき、応用範囲の広いものである。
【0009】
本発明の請求項5にかかる発明は、「ポリビニルアルコールとα−ヒドロキシ酸とを、これらいずれも溶解させることのできる溶媒に溶解させた溶解液を、所望形態に成形した後、加熱することによって、下記によって定義される沸騰水浸漬減量率(R)が4%以下に不溶化することを特徴とする、ポリビニルアルコール不溶化物の製造方法

R={(Mb−Ma)/Mb}×100
R:沸騰水浸漬減量率
Mb:沸騰水に20分間浸漬する前における質量
Ma:沸騰水に20分間浸漬した後における質量」である。この製造方法によれば、アルデヒド類を用いることなく、安全性が高く、十分に不溶化した不溶化物を得ることができる。
【0010】
本発明の請求項6にかかる発明は、「α−ヒドロキシ酸の添加量がポリビニルアルコールのモノマーユニット1モルに対して、0.005モル以上であることを特徴とする、請求項5に記載のポリビニルアルコール不溶化物の製造方法」である。α−ヒドロキシ酸の添加量を前記範囲とすることによって、沸騰水減量率が4%以下の不溶化物を製造することが容易である。
【0011】
本発明の請求項7にかかる発明は、「加熱温度がα−ヒドロキシ酸の融点以上の温度であることを特徴とする、請求項5又は請求項6記載のポリビニルアルコール不溶化物の製造方法」である。α−ヒドロキシ酸の融点以上の温度で加熱することによって、沸騰水減量率が4%以下の不溶化物を製造することが容易である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のポリビニルアルコール不溶化物(以下、単に「不溶化物」という)はポリビニルアルコールをα−ヒドロキシ酸によって不溶化したものであるが、ポリビニルアルコールとして、ビニルアルコール単位を有するポリビニルアルコール系重合体を使用できる。通常、ビニルアルコールから直接重合することはできないため、酢酸ビニル重合体をけん化することで作製したポリビニルアルコールを使用できる。100モル%けん化したポリビニルアルコール以外に、酢酸ビニルが残存する部分けん化ポリビニルアルコールも使用することができる。部分けん化ポリビニルアルコールのけん化の程度は特に限定されないが、50モル%以上であるのが好ましく、65モル%以上であるのがより好ましく、80モル%以上であるのが更に好ましい。また、これらの範囲のけん化度を有する再酢化物であっても使用することができる。なお、4級アンモニウム塩などを共重合させたり、4級アンモニウム基を有するとともにアルデヒド基などの反応性基を有する低分子量化合物をポリビニルアルコールと反応させるなどして形成したカチオン変性ポリビニルアルコールを使用することもできるが、カチオン変性ポリビニルアルコールは分解して臭いを発生する場合があるため、未変性のポリビニルアルコール(100モル%けん化したポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、或いは再酢化物)であるのが好ましい。
【0013】
本発明で用いることのできるポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定するものではないが、不溶化物の強度が優れているように200以上であるのが好ましく、300以上であるのがより好ましい。また、平均重合度が高すぎると、溶媒に対する溶解性が低下し、生産性に劣る場合があるため、30,000以下であるのが好ましく、20,000以下であるのがより好ましく、12,000以下であるのが更に好ましい。本発明における「けん化度」、「平均重合度」ともに、JIS K6726に準じて測定した値をいう。なお、けん化度が約70モル%を下回る場合であっても、前記JIS規格に則って測定した値をいう。
【0014】
本発明の不溶化物は上記のようなポリビニルアルコールがα−ヒドロキシ酸によって不溶化されたものであるため、アルデヒド類を用いたアセタール化(又はホルマール化)とは異なり、毒性や発ガン性の心配のない、安全性の高いものである。
【0015】
このα−ヒドロキシ酸による不溶化の詳細については明らかではないが、ポリビニルアルコールの水酸基とα−ヒドロキシ酸のカルボキシル基との間で化学反応(エステル化)が起こることによって不溶化されるのではないかと推測している。また、カルボキシル基を2つ以上持つα−ヒドロキシ酸では、この反応は分子内だけではなく分子間でも起こり、架橋も起こっているのではないかと推測している。
【0016】
このα−ヒドロキシ酸は水酸基とカルボキシル基とが同じ炭素原子に結合した有機化合物であり、食品添加物や化粧品原料としても用いられており、安全性が高く、環境上の問題性も低い。このα−ヒドロキシ酸(より具体的にはα−ヒドロキシカルボン酸)として、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。α−ヒドロキシ酸の中でも、常温常圧下で固体であるものは、成形性に優れ、しかも乾燥させた後でも混合物がべとついたりせず、取り扱い性に優れているため、好適に使用できる。これらα−ヒドロキシ酸の中でも、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有するため不溶化しやすく、しかも常温常圧下で固体であるリンゴ酸、酒石酸、クエン酸を好適に使用できる。なお、α−ヒドロキシ酸は1種類、又は2種類以上を併用して不溶化することができ、特にリンゴ酸、酒石酸、クエン酸を1種類、又は2種類以上を併用して不溶化するのが好ましい。このα−ヒドロキシ酸の中には、不斉炭素原子を有するものがあり、異性体が存在するが、本発明ではα−ヒドロキシ酸であればよく、異性体については特に制限はない。
【0017】
このようなα−ヒドロキシ酸によって不溶化された本発明の不溶化物は、下記によって定義される沸騰水浸漬減量率(R)が4%以下に不溶化されたものである。この沸騰水浸漬減量率は、下記の式から明らかなように、沸騰水に浸漬する前後における質量変化の百分率であるため、この沸騰水浸漬減量率の値は不溶化の程度を間接的に示す指標である。本発明の不溶化物は沸騰水浸漬減量率が4%以下というレベルまでに不溶化されたものであるため、水中での使用も問題なく行うことができ、多様な用途へ適用することのできるものである。この沸騰水浸漬減量率の値が小さいということは、それだけ十分に不溶化された不溶化物であることを意味するため、沸騰水浸漬減量率は3%以下であるのが好ましく、2%以下であるのがより好ましく、1%以下であるのが更に好ましく、0.5%以下であるのが最も好ましく、理想的には0%である。

R={(Mb−Ma)/Mb}×100
R:沸騰水浸漬減量率
Mb:沸騰水に20分間浸漬する前における質量
Ma:沸騰水に20分間浸漬した後における質量
【0018】
本発明の不溶化物はどのような形態から構成されていても良く、特に限定されるものではないが、例えば、フィルム形態、繊維形態の形態などを挙げることができる。これらの中でも、繊維形態であると、種々の態様に二次加工することによって、様々な用途に適用でき、応用範囲が広いため好適である。
【0019】
本発明の不溶化物は、例えば、包装用フィルム、繊維形態の不溶化物を用いた繊維集合体(例えば、不織布、織物、編物)からなる一次又は二次電池用のセパレータ、気体又は液体用の濾過材などとして好適に使用することができる。
【0020】
本発明の不溶化物は例えば次のようにして製造することができる。
【0021】
まず、前述のようなポリビニルアルコールとα−ヒドロキシ酸とを用意する。また、これらのいずれも溶解させることのできる溶媒も用意する。この溶媒がポリビニルアルコールとα−ヒドロキシ酸のいずれか一方のみ、又は両方とも溶解させることができないと、均一に混合することが困難となり、沸騰水浸漬減量率が4%以下の不溶化物を得ることが難しくなるためである。なお、溶媒はポリビニルアルコールとα−ヒドロキシ酸のいずれも溶解させることができるものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、水、アルコール類、その他の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも製造環境上の問題を考慮すると、水を用いるのが好ましい。
【0022】
次いで、用意したポリビニルアルコールとα−ヒドロキシ酸とを用意した溶媒に溶解させて溶解液を調製する。このα−ヒドロキシ酸のポリビニルアルコールに対する添加量は、沸騰水浸漬減量率が4%以下の十分に不溶化した不溶化物を製造しやすいように、ポリビニルアルコールのモノマーユニット1モルに対して、0.005モル以上であるのが好ましく、0.01モル以上であるのがより好ましく、0.02モル以上であるのが更に好ましく、0.03モル以上であるのが更に好ましい。他方、α−ヒドロキシ酸のポリビニルアルコールに対する添加量の上限は、ポリビニルアルコールの成形性を損なわない範囲で任意に設定できるが、ポリビニルアルコールのモノマーユニット1モルに対して、1モル以下であるのが好ましく、0.8モル以下であるのがより好ましく、0.5モル以下であるのが更に好ましい。また、溶解液におけるポリビニルアルコールの濃度は、ポリビニルアルコールとα−ヒドロキシ酸のいずれもが溶解できる濃度以下である限り特に限定されるものではなく、不溶化物の形態や不溶化物の成形方法によって任意に設定することができる。一般的には、0.1〜50%であるのが好ましい。
【0023】
次いで、前記溶解液を不溶化物の所望形態に応じて成形する。本発明の不溶化物の形態は特に限定されるものではないが、前述のように、例えば、フィルム形態や繊維形態である場合には、溶解液をフィルム形態や繊維形態に成形する。フィルム形態に成形する場合は、例えば、キャスト法などによってキャストした後に乾燥することで得ることができ、繊維形態に成形する場合は、例えば、従来公知の湿式紡糸法、乾式紡糸法、フラッシュ紡糸法、遠心紡糸法、静電気紡糸法などによって繊維化、又は繊維集合体を形成した後に乾燥することで得ることができる。
【0024】
次いで、前記成形体を加熱することによって、沸騰水浸漬減量率が4%以下に不溶化して、本発明の不溶化物を製造することができる。この加熱処理の温度は、沸騰水浸漬減量率が4%以下となるまで十分に不溶化することができるように、α−ヒドロキシ酸の融点以上の温度で加熱するのが好ましく、融点より5℃以上高い温度で加熱するのがより好ましい。なお、2種類以上のα−ヒドロキシ酸を含む時には、最も高い融点を有するα−ヒドロキシ酸の融点以上の温度で加熱するのが好ましく、融点より5℃以上高い温度で加熱するのがより好ましい。なお、いずれの場合も加熱温度の上限はα−ヒドロキシ酸及びポリビニルアルコールが分解しない温度である。また、加熱時間は、沸騰水浸漬減量率が4%以下となるまで十分に不溶化するように、1分以上であるのが好ましく、3分以上であるのがより好ましく、5分以上であるのが更に好ましい。他方、あまり長時間加熱しても不溶化の効果に変化が見られなくなるため、1時間以内であるのが好ましく、45分以内であるのがより好ましい。
【0025】
本発明における「融点」は示差走査熱量計を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融点とする。
【0026】
以上説明したように、沸騰水浸漬減量率が4%以下の不溶化物は、例えば、α−ヒドロキシ酸の添加量をポリビニルアルコールのモノマーユニット1モルに対して0.005モル以上とする、加熱温度をα−ヒドロキシ酸の融点以上の温度とする、加熱時間を1分以上とする、などの条件を調節することによって、製造することが容易であり、前記条件をより好適な条件とすることによって、沸騰水浸漬減量率のより小さい不溶化物を製造することができる。
【0027】
【実施例】
(実施例1〜8、比較例1〜4)
表1に示すようなポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製、ポリビニルアルコール2,800,部分けん化型、ポリビニルアルコール1,000,完全けん化型、或いはポリビニルアルコール1,000,部分けん化型)と、表1に示すようなα−ヒドロキシ酸及びカルボキシル基を2つ有する有機酸を用意した。
【0028】
次いで、ポリビニルアルコールを電気抵抗18Ω/cmの純水に、加熱しながら表1に示すような所定濃度となるように溶解させた。
【0029】
次いで、前記ポリビニルアルコール水溶液に、表1に示すような所定量だけα−ヒドロキシ酸又は有機酸を添加し、完全に溶解させて溶解液を作製した。
【0030】
次いで、前記溶解液をあらかじめ質量を測定したスライドガラス上にキャストした後に乾燥して、フィルム形態のポリビニルアルコール/α−ヒドロキシ酸混合物、又はポリビニルアルコール/有機酸混合物を得た。
【0031】
次いで、このポリビニルアルコール/α−ヒドロキシ酸混合物、又はポリビニルアルコール/有機酸混合物を、表1に示す条件で加熱処理を行い、ポリビニルアルコール不溶化物を得た。なお、ポリビニルアルコール不溶化物の質量(Mb)をスライドガラスの質量をもとに算出した。
【0032】
その後、沸騰状態に維持した純水(電気抵抗:18Ω/cm)中に、前記ポリビニルアルコール不溶化物を20分間浸漬し、ポリビニルアルコール不溶化物の質量(Ma)を測定した。そして、下記の式により沸騰水減量率(R)を算出した。これらの結果は表1に示す通りであった。
R={(Mb−Ma)/Mb}×100
【0033】
(比較例5)
α−ヒドロキシ酸を添加せず、ポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製、ポリビニルアルコール1,000,部分けん化型)のみを用い、表1に記載の条件で、ポリビニルアルコールフィルムを得た。このポリビニルアルコールフィルムの沸騰水浸漬減量率(R)を実施例1と同様に算出した。この結果は表1に示す通りであった。
【0034】
【表1】
Figure 2004285124
【0035】
表1の結果から、α−ヒドロキシ酸と同様にカルボキシル基を有するグルタル酸(比較例1)やマロン酸(比較例2)を添加しても、沸騰水浸漬減量率が4%以下という十分な不溶化は困難であり、α−ヒドロキシ酸を用いることによる優位性が確認された。また、α−ヒドロキシ酸を添加した場合であっても、加熱が不十分な場合(比較例3、4)には、沸騰水浸漬減量率が4%以下という十分な不溶化は困難であり、α−ヒドロキシ酸の融点以上の温度で加熱することの優位性も確認された。
【0036】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアルコール不溶化物は、安全性が高く、十分に不溶化したものである。
【0037】
本発明のポリビニルアルコール不溶化物の製造方法は、安全性が高く、十分に不溶化したポリビニルアルコール不溶化物を製造することができる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコールがα−ヒドロキシ酸によって、下記によって定義される沸騰水浸漬減量率(R)が4%以下に不溶化されていることを特徴とするポリビニルアルコール不溶化物。

    R={(Mb−Ma)/Mb}×100
    R:沸騰水浸漬減量率
    Mb:沸騰水に20分間浸漬する前における質量
    Ma:沸騰水に20分間浸漬した後における質量
  2. 前記ポリビニルアルコールが未変性のポリビニルアルコールからなることを特徴とする、請求項1記載のポリビニルアルコール不溶化物。
  3. 前記α−ヒドロキシ酸が、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸の中から選ばれる1種類以上からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のポリビニルアルコール不溶化物。
  4. 繊維形態を有することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリビニルアルコール不溶化物。
  5. ポリビニルアルコールとα−ヒドロキシ酸とを、これらいずれも溶解させることのできる溶媒に溶解させた溶解液を、所望形態に成形した後、加熱することによって、下記によって定義される沸騰水浸漬減量率(R)が4%以下に不溶化することを特徴とする、ポリビニルアルコール不溶化物の製造方法。

    R={(Mb−Ma)/Mb}×100
    R:沸騰水浸漬減量率
    Mb:沸騰水に20分間浸漬する前における質量
    Ma:沸騰水に20分間浸漬した後における質量
  6. α−ヒドロキシ酸の添加量がポリビニルアルコールのモノマーユニット1モルに対して、0.005モル以上であることを特徴とする、請求項5に記載のポリビニルアルコール不溶化物の製造方法。
  7. 加熱温度がα−ヒドロキシ酸の融点以上の温度であることを特徴とする、請求項5又は請求項6記載のポリビニルアルコール不溶化物の製造方法。
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