JP2014205787A - 多糖類多孔質体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特別な工程を必要とせず、常圧低温で簡便に均一な多糖類多孔質体の製造方法を提供する。【解決手段】セルロース、ヘミセルロース、澱粉およびキチンのいずれかである多糖類、テトラアルキルアンモニウムアセテート、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を含む多糖類物質溶液を調製する工程と、前記多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒を接触させて含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを調製する工程と、前記含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを乾燥する工程とを含む多糖類多孔質体の製造方法を提供する。【選択図】 図2

Description

本発明は、セルロースなど多糖類物質の多糖類多孔質体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、多糖類物質溶液から特別な工程を必要とせず、均一な多孔質体を製造する方法に関する。
多糖類物質多孔質体を調製する方法は、これまで、種々のものが知られている。しかし、セルロースを溶解させるのに、毒性や腐食性のない安全な溶媒を用いるための開発およびセルロース膨潤ゲルから凍結乾燥法、超臨界二酸化炭素乾燥法、高温での溶媒乾燥等ではない常温常圧に近い条件による多糖類物質多孔質体の製造法の開発が近年公表されてきている。
例えば、特許文献1には、セルロースを溶解させたセルロース水溶液をセルロース非溶媒に接触させ、得られたセルロース膨潤ゲルを水溶性有機溶媒で溶媒置換処理し、得られたセルロース膨潤ゲルが含む上記水溶性有機溶媒を脂肪族炭化水素溶媒と置換した後、セルロース膨潤ゲルを含む上記脂肪族炭化水素溶媒を常温常圧下で乾燥するセルロース多孔質体の製造方法が開示されている。しかし、セルロースを溶解する溶媒は、尿素又はチオ尿素と水酸化アルカリ金属を含む水溶液であり、セルロースを溶解するためには−20℃程度の低温化での処理が必要であり、水溶液も強アルカリ性でありセルロースの安定性や環境に課題があった。
また、特許文献2には、セルロースをイオン液体に溶解させた溶液を、セルロース非溶解性の液体に接触させることで凝固させ、任意の形状と厚みを持った多孔質セルロース膜を形成するセルロース多孔質膜の製造方法が開示されている。しかし、この方法では、多孔質セルロース膜を形成するのに長時間が必要であり、生成するものは多孔質セルロース膜に限られている。
一方、多糖類物質多孔質体を調製する方法ではないが、本出願人は、多糖類物質を溶解する溶媒等に関する特許を出願している(特許文献3)。
特開2013−23637号公報 特開2012−57137号公報 特開2012−211302号公報
本発明は、従来のセルロース多孔質体の製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、従来のような凍結乾燥、超臨界二酸化炭素乾燥法、溶媒置換法等の複雑且つ減圧又は高圧な工程を必要とせず、常圧下で簡便且つ均一な種々の形態のセルロースなど多糖類物質の多孔質体を安全に、短時間に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、疎水性溶媒を含む多糖類物質溶液を多糖類不溶溶媒を接触させて、その際発生する相分離により多糖類多孔質体を製造する方法を見出したものであって、以下の技術的手段から構成される。
〔1〕 多糖類多孔質体を製造する方法であって、
多糖類、下記式で表わされるテトラアルキルアンモニウムアセテート(以下、「TAAA」と記載するときがある。)、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を含む多糖類物質溶液を調製する工程と、
前記多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒を接触させて含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを調製する工程と、
前記含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを乾燥する工程とを含むことを特徴とする多糖類多孔質体の製造方法。
式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数3〜6のアルキル基を表す。
〔2〕 前記多糖類物質溶液中の多糖類の濃度が0.1〜35重量%、疎水性溶媒の濃度が5〜80重量%、TAAAと非プロトン性極性溶媒の合計の濃度が19.9〜94.9重量%であり、TAAAと非プロトン性極性溶媒の比率は、TAAAの濃度が0.2〜65重量%であることを特徴とする前記〔1〕に記載の多糖類多孔質体の製造方法。
〔3〕 前記多糖類物質がセルロース、ヘミセルロース、澱粉およびキチンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の多糖類多孔質体の製造方法。
〔4〕 前記非プロトン性極性溶媒が、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ピリジン溶媒系および尿素系溶媒から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の多糖類多孔質体の製造方法。
〔5〕前記疎水性溶媒が、エステル系疎水性溶媒、ケトン系疎水性溶媒、アルコール系疎水性溶媒、エーテル系疎水性溶媒、ハロゲン系疎水性溶媒、及び、アミド系疎水性溶媒から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の多糖類多孔質体の製造方法。
本発明の方法によれば、多糖類物質の結晶形態に依存することなく、均一な多糖類物質多孔質体を製造することができる。また、本発明の方法によれば、従来のような長い凝固工程や乾燥工程が不要である。また、本発明の疎水性溶媒を回収、再利用することができる。
従って、このような本発明の方法によれば、多糖類物質膨潤ゲルを乾燥するに際して、凍結乾燥のように減圧と低温を必要とせず、また、二酸化炭素超臨界乾燥のように高圧を必要とせず、勿論、高温も必要とせず、多糖類物質膨潤ゲルを常圧下に連続的に製造することができ、従って、従来の方法と相違して、温度や圧力の変化のためのエネルギーや装置や費用も必要とせずに、均一且つ多孔質度を自由に制御できる多糖類物質多孔質体を効率よく、しかも、少ない製造費用にて製造することができる。
実施例1で得られたセルロース多孔質フィルムを密度測定のために切り出した状態の写真。 実施例11で得られたセルロース多孔質繊維の写真。 実施例12で得られたセルロース多孔質粒子の写真。
本発明は、多糖類多孔質体を製造する方法であって、多糖類、下記式で表わされるテトラアルキルアンモニウムアセテート、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を含む多糖類物質溶液を調製する工程と、前記多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒を接触させて含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを調製する工程と、前記含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを乾燥する工程とを含むことを特徴とする多糖類多孔質体の製造方法である。
式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数3〜6のアルキル基を表す。
そして、本発明の多糖類多孔質体の製造方法で製造される多糖類多孔質体は繊維、フィルム、シート、バルク、粒子、不織布等の種々の形態の多糖類多孔質体とすることが可能である。
本発明の多糖類、TAAA、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を含む多糖類物質溶液を調製する前記工程において、多糖類を溶解するには、TAAA、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を調整した後に多糖類を混合しても良いし、TAAAおよび非プロトン性極性溶媒と多糖類を混合して多糖類を溶解した溶液に疎水性溶媒を混合しても良い。多糖類の溶解は、多糖類をTAAAおよび非プロトン性極性溶媒の混合溶媒に溶解してから疎水性溶媒と混ぜた方が、多糖類の溶解速度を落ちないことからより好ましい。
特に、TAAA、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を混合した溶媒により多糖類物質を溶解する場合には、疎水性溶媒の濃度が高くなると、多糖類の溶解速度が遅くなり、溶解度も低くなる。従って、TAAAおよび非プロトン性極性溶媒と多糖類を混合して多糖類を溶解した溶液に疎水性溶媒を混合することがより好ましい。
多糖類溶液を調製する温度は10℃から100℃であれば良い、20℃から80℃がより好ましい、より好ましくは30℃から70℃である。
多糖類を溶解してから疎水性溶媒と混ぜる場合の温度は疎水性溶媒の沸点により適切に調整するのが良い。例えば、疎水性溶媒の沸点が低い場合、蒸発を避けるためより低い温度に多糖類溶解液の温度を下げて疎水性溶媒を加えるのが好ましい。その場合、疎水性溶媒の沸点より5℃以上低いことが好ましい。
多糖類を溶解するのは、通常常温で行うことが可能であるが、混合を促進するためには、多糖類、TAAA、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒のそれぞれが変質しない温度以下に、好ましくは100℃以下、より好ましくは20℃から80℃、更に好ましくは30℃から70℃で行うのが良い。
また、攪拌機を用いて混合を促進することも可能である。
多糖類を溶解する時間については、特に制限はなく、多糖類を均一に溶解するため所要時間であればよい。多糖類が完全溶解するかどうかを判断するには光学偏光顕微鏡で観察すればよい。
また、多糖類の溶解を不活性ガス中で行っても良い。そうすることにより、多糖類の重合度の低下を防止することができる。
前記多糖類物質溶液の各成分の濃度は、多糖類の濃度が0.1〜35重量%、疎水性溶媒の濃度が5〜80重量%、TAAAと非プロトン性極性溶媒の合計の濃度が19.9〜94.9重量%の範囲から選択され、TAAAと非プロトン性極性溶媒の比率は、TAAAの濃度が0.2〜65重量%の範囲から選択される。好ましくは、多糖類の濃度が0.5〜20重量%、疎水性溶媒の濃度が10〜75重量%、TAAAと非プロトン性極性溶媒の合計の濃度が24.5〜89.5重量%の範囲から選択され、TAAAと非プロトン性極性溶媒の比率は、TAAAの濃度が1〜55重量%であり、より好ましくは、多糖類の濃度が1〜15重量%、疎水性溶媒の濃度が20〜67重量%、TAAAと非プロトン性極性溶媒の合計の濃度が32〜79重量%の範囲から選択され、TAAAと非プロトン性極性溶媒の比率は、TAAAの濃度が3〜45重量%である。
多糖類物質の濃度は、濃度が薄くなると多糖類多孔質体を成形する際、ゲルになる時間(凝固時間)が長くなりすぎたり、得られた多孔質体は脆くなる恐れがあり、濃度が濃くなると多糖類の溶解が不完全になったり、溶解しでも溶液の粘度が高すぎると成形性が悪化する恐れがあるため0.1〜35重量%であることが良い。
TBAAと非プロトン性極性溶媒の合計の濃度は、濃度が薄くなると多糖類の溶解度が低下したり、溶解速度が遅くなったりする恐れがあり、濃度が濃くなると多糖類に対する溶解性が失う恐れがあるため19.9〜94.9重量%であることが良い。
疎水性溶媒の添加量は、濃度が薄くなるとゲルになる間(凝固時間ともいう)に凝固液(多糖類の不溶溶媒)に溶出し、多孔質にならない恐れがあるため好ましくなく、5重量%以上であることが良い。
また、疎水性溶媒の添加量は、TAAAおよび非プロトン性極性溶媒と多糖類を混合して多糖類を溶解した溶液に疎水性溶媒を混合する場合は、前記の疎水性溶媒の濃度で添加するが、TAAA、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を混合した溶媒で多糖類物質を溶解する場合には、疎水性溶媒の濃度が高くなると、多糖類の溶解速度が遅くなり、溶解度が低くなって不溶多糖類物質が残存するので、疎水性溶媒の濃度をTAAA、非プロトン性極性溶媒及び疎水性溶媒の混合溶媒中の疎水性溶媒の濃度を40%以下、より好ましくは38%以下にするのがよい。
そして、TAAAと非プロトン性極性溶媒の比率は、TAAAの濃度がTAAAと非プロトン性極性溶媒の合計重量に対して0.2から65重量%であれば、多糖類物質物質を溶解することができ、非プロトン性極性溶媒の比率が高いほど、多糖類物質物質の溶解液の流動性を高くすることができる。
そして、多糖類多孔質体の空孔率は疎水性溶媒の種類と含有率により制御できる。
前記多糖類多孔質体の空孔率は、通常5から98%の範囲でその使用する用途によって選択して製造することができる。細孔率は5%以下になると多糖類多孔質体としての特徴が生かせず、98%以上になると多孔質の強度が低すぎるため好ましくない。より好ましくは10から95%の範囲での用途が多い。
本発明で製造することができる多糖類多孔質体は、セルロース、ヘミセルロース、澱粉、キチンその他の多糖類についての多孔質物質である。
前記TAAAは、テトラブチルアンモニウムアセテートであることが最も好ましい。
前記非プロトン性極性溶媒は、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ピリジン溶媒系および尿素系溶媒であり、これらの溶媒を単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
アミド系溶媒として好適なものは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびこれらの誘導体が挙げられ、スルホキシド系溶媒として好適なものは、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジフェニル=スルホキシド、ブチルエチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、テトラヒドロチオフェン1,1-ジオキシド、チオフェン1-オキシドおよびこれらの誘導体が挙げられ、ピリジン溶媒系として好適なものは、ピリジン、4−メチルピリジン、メチルピリジン(ピコリン)、2,6-ルチジン、ビピリジンおよびこれらの誘導体が挙げられ、尿素系として好適なものは、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素およびこれらの誘導体が挙げられる。
前記疎水性溶媒はエステル系、ケトン系、アルコール系、エーテル系、及び、ハロゲン系溶媒から選択される少なくとも1種であり、前記TAAAおよび非プロトン性極性溶媒に溶解し、前記多糖類不溶溶媒に不溶であるか溶解度が低い溶媒が好ましい。
エステル系として好適なものは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモンメチルエーテルアセテートなどの脂肪酸エステル溶媒および安息香酸メチル、安息香酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどの芳香族カルボン酸エステル溶媒が挙げられる。
また、ケトン系として好適なものは、ブタノン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられ、アルコール系として好適なものは、ブタノールなど水酸基当量に対して炭素数4以上のアルコールが挙げられ、エーテル系として好適なものは、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジプロピルエーテルなどが挙げられ、ハロゲン系として好適なものは、塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エタンなどが挙げられる。
疎水性溶媒は一種類で良いが、細孔構造を制御するため二種類以上を使用することも可能である。
前記多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒を接触させて含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを調製する工程においては、前記多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒を接触させることにより、多糖類不溶溶媒中で含疎水性溶媒多糖類物質ゲルが生成する。
含疎水性溶媒多糖類物質ゲルは、ゲル中に疎水性溶媒が含まれることになる多糖類不溶溶媒と疎水性溶媒(TAAAが溶けにくい多糖類不溶溶媒を用いた場合は、TAAAを含む場合がある)が多糖質の組織の中で相分離を起こし、多糖質の組織の中に間隔(細孔)を作る役割を果たすため、多糖類不溶溶媒と疎水性溶媒をゲルから除去することにより多孔質の多糖類を生成することができるものと推察される。
前記多糖類物質溶液が、疎水性溶媒を含まない場合も、多糖類不溶溶媒を接触させて多糖類物質ゲルを生成することはできるが、そのようなゲルは、疎水性溶媒を含まないので多糖類物質ゲルは、多糖質の組織に含まれている多糖類不溶溶媒は、多糖類組織中に均一分散の状態になっており、多糖質の組織の中に間隔(細孔)を作ることができない。
多孔質を成形するときに用いる多糖類不溶溶媒(凝固液)の温度は5℃から100℃が好ましい、より好ましくは10℃から80℃、更により好ましくは20℃から60℃。適切な温度範囲は疎水性溶媒の沸点以下の温度により適切判断すればよい。
前記多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒を接触させるには、多糖類物質溶液に多糖類不溶溶媒を加えても良いし、多糖類不溶溶媒に多糖類物質溶液を加えても良い。好ましくは、多糖類不溶溶媒に多糖類物質溶液を加えることによって行われ、生成する多糖類物質多孔体の形態によってその加え方を適宜選択することができる。すなわち、多糖類不溶溶媒に多糖類物質溶液を滴下することにより、粒子状、バルク状等の含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを生成させ、多糖類不溶溶媒中に多糖類物質溶液をノズルから噴出することにより、繊維状、不織布状等の含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを生成させ、多糖類不溶溶媒と多糖類物質溶液を平面状にして接触させることにより、フィルム状、シート状の含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを生成させることができる。
本発明の製造方法は、短時間の多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒の接触により含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを生成することができるので、含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを糸状、フィルム状、シート状に連続的して製造することができる。
前記多糖類不溶溶媒は、溶液に溶解している多糖類物質が不溶であるか溶解度が非常に低い、且つ、非プロトン性極性溶媒を溶解し、疎水性溶媒の溶解度が低い溶媒であればよい。TAAAの溶解度については、含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを生成するのに問題にはならないが、前記ゲル中に残存したTAAAを除去するために洗浄等の余分な工程が増えるので、TAAAを溶解する性質を併せ持つ溶媒が最も適している。そのような多糖類不溶溶媒を例示すると、水、グリコール、グリセリン、ケトン類の水溶液、アルコール類の水溶液、グリコール類の水溶液、グリセリンの水溶液等を挙げることができる。その中でも、大量に容易に入手が可能で、沸点が低く、前記ゲルが生成しやすい水が最適である。
前記の多糖類不溶溶媒として最も適している溶媒、すなわち、溶液に溶解している多糖類物質が不溶であるか溶解度が非常に低い、且つ、TAAAおよび非プロトン性極性溶媒を溶解し、疎水性溶媒の溶解度が低い溶媒を用いて含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを生成した場合に、生成した含疎水性溶媒多糖類物質ゲルは、TAAAおよび非プロトン性極性溶媒はほとんど含まれず多糖類の構造中の大部分には疎水性溶媒と多糖類不溶溶媒とが相分離を生じて含まれる。そのような含疎水性溶媒多糖類物質ゲルは、公知の方法により容易に多糖類不溶溶媒から取り出すことができ、室温から使用した疎水性溶媒及び/又は多糖類不溶溶媒の沸点近傍の温度までの温度範囲での乾燥工程を経て、多糖類多孔質体を生成することができる。
前記含疎水性溶媒多糖類物質ゲルは、続く乾燥工程において、前記含疎水性溶媒多糖類物質ゲル中の疎水性溶媒および多糖類不溶溶媒を乾燥除去することによって多糖類多孔質体を生成することができる。
多糖類不溶溶媒から取り出した前記含疎水性溶媒多糖類物質ゲルは、乾燥工程の前段階で水、水溶性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン等)のいずれかの一つ以上を含む溶媒で洗浄する工程を一工程以上設けても良い。そうすることにより、ゲルの表面に付着したまたはゲル中のTAAAおよび非プロトン性極性溶媒を除去することができ乾燥工程の乾燥温度を低くすることができる。条件によっては、室温に放置することにより乾燥することもできる。
乾燥は、常圧で良いが、多孔質を制御するため又は乾燥速度を向上するため、減圧して行っても良い。逆に乾燥速度を抑えるため加圧して行っても良い。
好ましい多糖類物質ゲルは、固くなった連続相の多糖類の中に多糖類不溶溶媒と相分離を起こした疎水性溶媒が閉め込められた状態で生成する。そのため、続いて、乾燥することにより疎水性溶媒を除去することにより、または、メタノールやアセトン等の極性有機溶媒を用いて洗浄した後乾燥することにより、疎水性溶媒が除去され、その跡が残って多孔質構造になると考えられる。
ゲル化工程の後に洗浄工程を入れる場合、多糖類物質溶液が一旦ゲルになった後は、洗浄用溶媒はテトラアルキルアンモニウム、非プロトン性極性溶媒を溶解すればどのような洗浄用溶媒であっても良い。例えば、多糖類不溶溶媒である水を用いたら、疎水性溶媒は多糖類物質ゲル内に取り込まれたままであるが、その後の乾燥の時蒸発により疎水性溶媒を除去すればよい。一方、洗浄用溶媒としてメタノールやアセトン等の有機溶媒を用いたら疎水性溶媒はテトラアルキルアンモニウムアセテート、非プロトン性極性溶媒と一緒に洗浄されるがそれでも良い。
本発明について、実施例を用いてさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
以下において、得られたセルロース成形体の密度と空孔率は以下のようにして求めた。
(セルロース多孔質体の密度)
穴開けポンチ(直径2cm)でセルロースフィルムから直径2cmの円状なフィルムを切り出し、厚み(d)、重さ(W)と多孔質体の面積S(cm2) に基づいて下記式から密度を算出した。即ち、
密度=W/(d×S)
(セルロース多孔質体の空孔率)
特許文献1に示す密度法によるセルロース多孔質体の空孔率を算出する。即ち、セルロース多孔質体の密度はアモルファスセルロースの密度(1.436)と等しいとし、セルロース多孔質体の厚みd(cm)と重量W(g)と円盤の面積(片面)S(cm2)に基づいて、下記式から空孔率を算出した。
空孔率={1−(W/1.436)/dS}×100(%)
(多孔質フィルムの成形)
[実施例1]
50mlのバイオ瓶でジメチルスルホキシド7.2gとテトラブチルアンモニウムアセテート(東京化成社製)2.8gを混合し、そこにろ紙(アドバンテック社製、商品番号No5B)0.85gを加え、50℃設定した加熱スターラーで撹拌しながらろ紙を溶解させた後、酢酸エチル20gを加え、均一な溶液まで撹拌した。得られたセルロース溶液をガラス板上にキャストしてから蒸留水に入れて凝固させた。約3分後白いゲル状なフィルムが得られた。次にゲル状フィルムをメタノールで洗浄してから平滑な板上に置いて室温で乾燥した。乾燥後フィルムの密度と空孔率を評価し、結果を表1に示す。
[実施例2〜4]
酢酸エチルの添加量を変えた以外は実施例1と同様にして、セルロース溶液を調製、フィルムを作製した。えられたフィルムの密度と空孔率を算出し、結果を表1に示す。
[実施例5〜7]
酢酸エチルに代えて、表1に記載した疎水性溶媒を用いた以外は実施例4と同様にして、セルロース溶液を調製、フィルムを作製した。得られたフィルムの密度と空孔率を算出し、結果を表1に示す。
[実施例8]
ジメチルスルホキシドに代えて、ジメチルアセトアミドを用いた以外は実施例2と同様にして、セルロース溶液を調製、フィルムを作製した。えられたフィルムの密度と空孔率を算出し、結果を表1に示す。
[実施例9]
酢酸エチルとテトラブチルアンモニウムアセテートとジメチルスルホキシドを均一に混ぜてから、ろ紙を溶解したこと以外は実施例4と同様にして、フィルムを作製した。えられたフィルムの密度と空孔率を算出し、結果を表1に示す。
[実施例10]
ろ紙に代えて、微結晶セルロース(メルク社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、セルロース溶液を調製、フィルムを作製した。えられたフィルムの密度と空孔率を算出し、結果を表1に示す。
[比較例1]
酢酸エチルに代えてアセトンを用いた以外は実施例1と同様にして、セルロース溶液を調製、フィルムを作製した。えられたフィルムは透明であった。
実施例1〜10と比較例1の結果をまとめて表1に示す。
原料のセルロースの密度は、1.436g/cmに対して、比較例1は、多孔質セルロースが生成していないことを示しているが、実施例の密度は、0.9g/cm以下であり、多孔質セルロースが生成していることが解る。
(他の成形形態)
[実施例11]
繊維状の多孔質セルロースを成形した例を示す。ガラス板上のキャストに変えて、シリンジで蒸留水に連続に押出した以外は実施例1と同様にして、セルロース溶液を調製、繊維状な多孔質体を得られた。その写真は図2に示す。
[実施例12]
粒子状の多孔質セルロースを成形した例を示す。ガラス板上のキャストに変えて、ピペットで蒸留水に滴下した以外は実施例1と同様にして、セルロース溶液を調製、粒子状な多孔質体を得られた。その写真は図3に示す。
本発明は、多糖類物質多孔質体を製造する技術分野及び多糖類多孔質体の応用分野に広く適用することが可能である。
本発明で得られる多糖類物質多孔質体は、繊維、フィルム、粒子とシートなどの各種形状の多孔質体に成形可能なため、各種産業用途に利用することができる。利用される例を示すと液担持体、吸着材、断熱材、吸音材、耐衝撃材などに好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 多糖類多孔質体を製造する方法であって、
    多糖類、下記式で表わされるテトラアルキルアンモニウムアセテート(以下、「TAAA」と記載するときがある。)、非プロトン性極性溶媒および疎水性溶媒を含む多糖類物質溶液を調製する工程と、
    前記多糖類物質溶液と多糖類不溶溶媒を接触させて含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを調製する工程と、
    前記含疎水性溶媒多糖類物質ゲルを乾燥する工程とを含むことを特徴とする多糖類多孔質体の製造方法。
    式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数3〜6のアルキル基を表す。
  2. 前記多糖類物質溶液中の多糖類の濃度が0.1〜35重量%、疎水性溶媒の濃度が5〜80重量%、TAAAと非プロトン性極性溶媒の合計の濃度が19.9〜94.9重量%であり、TAAAと非プロトン性極性溶媒の比率は、TAAAの濃度が0.2〜65重量%であることを特徴とする請求項1に記載の多糖類多孔質体の製造方法。
  3. 前記多糖類物質がセルロース、ヘミセルロース、澱粉およびキチンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多糖類多孔質体の製造方法。
  4. 前記非プロトン性極性溶媒が、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ピリジン溶媒系および尿素系溶媒から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多糖類多孔質体の製造方法。
  5. 前記疎水性溶媒が、エステル系疎水性溶媒、ケトン系疎水性溶媒、アルコール系疎水性溶媒、エーテル系疎水性溶媒、ハロゲン系疎水性溶媒、及び、アミド系疎水性溶媒から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多糖類多孔質体の製造方法。
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