JP2004284391A - 発進補助装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】3軸車両で、リーフスプリングを搭載した貨物車両に用いられ、駆動軸である第2軸に荷重をかけた場合に第3軸のブレーキ制動力が弱くなる様に調節することが出来て、しかも、製造コストを低く抑えることが出来るような発進補助装置の提供。
【解決手段】第3軸の制動手段(ブレーキチャンバ11)に圧縮空気を供給するプロポーショナルバルブ(PROP.V.9)の信号圧入力ポート(9a)と、第3軸におけるエアスプリング(ロードグリップベローズ14)との間には信号圧力反転用バルブ(インバージョンバルブ:INV.V.13)が介装されており、このバルブ(13)の信号圧入力ポート(13a)には前記第3軸におけるエアスプリング(ロードグリップベローズ14)の内圧が導入され、該バルブ(13)の入口側(13b)は圧縮空気供給源(補機制御用エアを貯蔵するタンク12)に連通している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前1軸、後2軸で構成される3軸車両で、後2軸のうち前方の軸のみが駆動軸であるリーフスプリングを搭載した貨物車両に関するものであり、より詳細には、係る貨物車両を好適に発進せしめることが出来て、制動時の危険も回避することが出来るような発進補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前1軸、後2軸で構成される3軸車両で、後2軸のうち前方の軸のみが駆動軸である貨物車両では、積載物の質量及び/又は積載物の配置如何により、後2軸の内、駆動軸に作用する荷重が少なくなり、発進に際して、スリップしてしまう可能性がある。
その様な可能性を除去するため、図4に示す様な、駆動する2軸目20に荷重をかけて(3軸目30から2軸目20に荷重を移動して)、発進時に駆動軸20がスリップし難くなるようにせしめる発進補助装置(ロードグリップ)が提案されている。
【0003】
3軸目30には、軽荷重時に軸30を上方に持ち上げるためのエアスプリング14を有している。
ロードセンサ40は、空車と積車を判断する為に付いており、ロードグリップの作動・非作動は、ドライバーがスイッチ操作で行う。
【0004】
ここで、係る発進補助装置を作用させた場合、軸重のバランスを2軸目に集中させる結果として、3軸目に作用する荷重が軽くなり、制動時に、3軸目にブレーキをかけるとロックしやすくなる。制動時に3軸目がロックした場合にはスリップの恐れがあり、危険である。
そのため、例えば、空気・液体複合式ブレーキ、所謂「エアオーバ・ハイドロリック式ブレーキ」では、ロードグリップを作動させると、3軸目のブレーキ力を調整する液圧が調整されて、ロードグリップ作動前に比較してプレーキ制動力を弱くして、3軸目がロックしない様にしている。
【0005】
昨今、ブレーキに関する制御を従来の液圧式、又は上記空気・液体複合式ブレーキから、空気圧制御式にする傾向がある。
そして、エアサスペンションを有する車両であれば、ブレーキ制動力を制御する空気圧をプロポーションバルブで制御して、上述したのと同様な制御が可能である。
【0006】
しかし、リーフサスペンションを有する車両では、上述したロードグリップの作用に際して、制御信号となるエアスプリング内圧力の特性が、リーフサスペンションにおける制御信号となるエアサスペンション内圧力の特性とは、とは逆の特性を示す場合がある。
その様な場合、エアサスペンション搭載車両でブレーキ制動力の制御に用いられたプロポーションバルブは、リーフサスペンション搭載車両では使用することが出来ない。
【0007】
リーフサスペンション搭載車両で、上述したロードグリップ作用時における第3軸のロックを防止する制御を行う為には、リーフサスペンション搭載車両で用いられるエアスプリング内圧力の特性に対応したプロポーショナルバルブを新規に製作しなければならない。
しかしながら、係る新規のプロポーショナルバルブの製作は、多額なコストを必要とするので、現在の状況にはそぐわない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、前1軸、後2軸で構成される3軸車両で、後2軸のうち前方の軸のみが駆動軸であり、リーフスプリングを搭載した貨物車両に用いられ、駆動軸である第2軸に荷重をかけた場合に第3軸のブレーキ制動力が弱くなる様に調節することが出来て、しかも、製造コストを低く抑えることが出来るような発進補助装置(ロードグリップ)の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の発進補助装置(ロードグリップ)は、前1軸、後2軸で構成される3軸車両で、後2軸のうち前方の軸のみが駆動軸であり、リーフスプリングを搭載した貨物車両の発進補助装置(ロードグリップ)において、第3軸の制動手段(ブレーキチャンバ10)に圧縮空気を供給するプロポーショナルバルブ(PROP.V.9)の信号圧入力ポート(9a)と前記貨物車両の第3軸におけるエアスプリング(ロードグリップベローズ14)との間には信号圧力反転用バルブ(インバージョンバルブ:INV.V.13)が介装されており、該信号圧力反転用バルブ(13)の信号圧入力ポート(13a)には前記第3軸におけるエアスプリング(ロードグリップベローズ14)の内圧が導入され、該信号圧力反転用バルブ(13)の入口側(13b)は圧縮空気供給源(補機制御用エアを貯蔵するタンク12)に連通していることを特徴としている(請求項1)。
【0010】
ここで、前記第3軸(後2軸の内後方の軸)のエアスプリング(ロードグリップベローズ14)は、発進時における駆動軸(第2軸、後2軸の内前方の軸)に負荷される荷重を増加するため内圧が上昇して前記第3軸(後2軸の内後方の軸)側を上昇させる様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0011】
前記信号圧力反転用バルブ(インバージョンバルブ:INV.V.13)の出口13c側から吐出される圧縮空気が流過するラインは分岐して、前記第3軸の左右各々のプロポーショナルバルブ9の信号圧入力ポート9aに連通しているのが好ましい(請求項3)。
【0012】
係る構成を具備する本発明によれば、信号圧力反転用バルブ(インバージョンバルブ:INV.V.13)が介装されることにより、信号圧力反転用バルブ(INV.V.13)において、信号圧と出口側圧力とで、信号を反転させることが出来る。
すなわち、信号圧力反転用バルブ(INV.V.13)は、リーフサスペンションを有する車両がロードグリップの作用に際して、制御信号となるロードグリップ用エアスプリング(14)の内圧の特性が、エアサスペンションにおける制御信号となるエアサスペンション内圧の特性とは、とは逆の特性を示す場合であっても、信号が反転するように構成されている。
エアサスペンションを有する車両と同様に、ブレーキ制動力を制御する空気圧をプロポーションバルブで制御して、ロードグリップを作動させると、3軸目のブレーキ力を調整するエア圧が調整されて、ロードグリップ作動前に比較してブレーキ制動力を弱くして、3軸目がロックしない様にすることが可能である。
【0013】
ここで、上述した構成では、PROP.V.を通過する空気流が少ない為に車両によってはブレーキ力の発生が遅れることがある。
これに対して本発明の発進補助装置(ロードグリップ)において、プロポーショナルバルブ(9)の出口側(9r)と第3軸のブレーキ(11)側との間にリレーバルブ(15)を介装し、該リレーバルブ(15)の信号圧入力ポート(15a)にプロポーショナルバルブ(9)の出口側(9r)より吐出された圧縮空気が流過するライン(L95)を連通せしめ、リレーバルブ(15)の入口側(15b)をエアラインL1又はL2に連通せしめることが好ましい(請求項4)。
【0014】
係る構成を採用すれば、PROP.V.(9)の出口側(9r)圧力をリレーバルブ(15)の信号圧とする。リレーバルブ(15)は信号圧が入ると、エアラインL1又はL2に連通するリレーバルブの入口側(15b)と、リレーバルブの出口(15c)側とが開放し、エアラインL1又はL2からブレーキ側へ圧縮空気が流れる。
したがって、第3軸のブレーキ(11)側に必要な量の空気が供給される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態の発進補助装置に係る制動系の構成を示すブロック図であり、説明の冗長を避けるため、専ら、発進補助装置に関わる後2軸の制動系の構成について説明する。
【0016】
エアコンプレッサ1はエアドライヤ2を介装したエアラインL13でサプライタンク3と接続され、そのサプライタンク3はマルチプロテクションバルブ4を経由して、エアラインL35によって後2軸用のブレーキ専用のエアレザーバ(以降、後2軸用のブレーキ専用のエアレザーバを単にエアレザーバと言う)5に接続されている。
【0017】
エアレザーバ5はエアラインL56によってブレーキバルブ6に接続され、そのブレーキバルブ6はエアラインL67によって後2軸用のリレーバルブ7の信号圧入力ポート7aに接続され信号ラインを構成している。
【0018】
リレーバルブ7のサービスラインの入力側7bは前記エアレザーバ5とエアラインL57によって接続されている。また、リレーバルブ7のサービスラインの左右輪への出力口7c、7cはエアラインL78、L78によってABSモジュレータ8、8に接続されている。そのABSモジュレータ8、8はハーネスLeによってABSコントローラ50に接続され、ABSコントローラ50によってABS制御(アンチロックブレーキ制御)される。
【0019】
なお、前記ABSモジュレータ8以降は、左右輪側はともに同様な構成であるので、以後、左輪側のみについて説明する。
【0020】
前記モジュレータ8は、エアラインL1によって2軸目のブレーキ用エアチャンバ10と3軸目のブレーキ用エアチャンバ11を連通するエアラインL2の合流点Gで合流するように接続されている。そして、エアラインL2の合流点Gと3軸目のエアチャンバ11との間の領域にはプロポーショナルバルブ9が介装されている。
【0021】
前記プロポーショナルバルブ9の信号圧入力ポート9aはエアラインL3によって信号圧力反転用バルブ、所謂「インバージョンバルブ」13の出口13cに接続され、インバージョンバルブ13の入口13bはエアラインL4を経由して補機用のエアレザーバ12に接続されている。尚、前記エアラインL3は分岐点BでエアラインL5を分岐し、そのエアラインL5は右輪側のプロポーショナルバルブ9に接続されている。
【0022】
前記インバージョンバルブ13の信号圧入力ポート13aは、ロードグリップ用のエアスプリング14とエアラインL6によって接続され、当該エアスプリング14の内圧がインバージョンバルブに常時かかっている。
尚、当該のインバージョンバルブ13には、図3に示すように、排気口13dが設けてあり、信号圧、すなわちロードグリップ14の内圧が所定値以上の場合には前記エアラインL3内のエアを速やかに大気に開放するように働く。
【0023】
上述した様な発進補助装置において、例えば車両が空車又は軽積載時であって、ブレーキをかけた場合の作動について以下に説明する。
【0024】
図示しないドライバが危険を回避しようとしてブレーキバルブ6のペダル6Pを踏むと、エアラインL67を介して信号エアがブレーキバルブ6からリレーバルブ7の信号圧入力ポート7aに入り、レザーバ5からは作動エアがリレーバルブ7の入力側7bから入り、リレーバルブ7の出力側7cからエアラインL78を経由してABSモジュレータ8に流入する。
【0025】
ABSモジュレータ8はABSコントローラ50からの制御信号をハーネスLeを介して受け、車輪にスリップが生じないように作動エア圧を調整した上で、作動エアをエアラインL1を介してエアラインL2に送る。一方、エアラインL2に介装されたプロポーショナルバルブ9は以下に記述する理由によって信号圧入力ポート側9aにはパイロット圧がかからない状態となっている。
【0026】
前述したように車両は軽負荷かつロードグリップがONの状態となっており、インバージョンバルブ13の信号圧入力ポート13aには、ロードグリップ用エアスプリング内の高圧エアが付加されている。
【0027】
そのような場合には既述した通りインバージョンバルブ13の排気口13dからエアラインL3内のエアを大気に開放する。すなわち、プロポーショナルバルブ9の信号圧入力ポート側9aには殆どパイロット圧がかからないので、エアラインL2のプロポーショナルバルブ9の下流はブレーキエア圧力が制限され、3軸目のブレーキ力を弱めることができる。
その結果、ロックしがちな3軸目のブレーキ力が弱い状態となり、3軸目に制動によるスリップ等の危険な現象は発生しない。
【0028】
ここで、上述した図1の第1実施形態の構成では、プロポーショナルバルブ9を通過する空気流が少ない為に、車両によってはブレーキ力の発生が遅れる場合がある。
これに対して図2に示す第2実施形態の発進補助装置(ロードグリップ)では、プロポーショナルバルブ9の出口側9rと第3軸のブレーキチャンバ11側との間に第2のリレーバルブ15を介装し、第2のリレーバルブ15の信号圧入力ポート15aにプロポーショナルバルブ9の出口側9rより吐出された圧縮空気が流過するラインL95を連通させ、第2のリレーバルブ15の入口側15bをエアラインL1又はL2に連通させている。
【0029】
そのように構成すれば、プロポーショナルバルブの出口側9r圧力が第2のリレーバルブ15の信号圧となる。第2のリレーバルブ15は信号圧が入ると、エアラインL1又はL2に連通するリレーバルブの入口側15bと、リレーバルブの出口15c側とが連通し、プロポーショナルバルブ9からブレーキ側へ大量の圧縮空気が遅滞無く流れる。
したがって、第3軸のブレーキ11側に必要な量の空気が遅滞無く供給される。
【0030】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではないことを付記する。
【0031】
【発明の効果】
本発明の作用効果を、以下に記す。
(a) 信号圧力反転用バルブが介装されることにより、当該バルブにおいて、信号圧と出口側圧力とで、信号を反転させることが出来、リーフサスペンションを有する車両がロードグリップの作用に際して、制御信号となるロードグリップ用エアスプリングの内圧の特性が、エアサスペンションにおける制御信号となるエアサスペンション内圧の特性とは、とは逆の特性を示す場合であっても、信号が反転するように構成されている。そのため、エアサスペンションを有する車両と同様に、ブレーキ制動力を制御する空気圧をプロポーションバルブで制御して、ロードグリップを作動させると、第3軸のブレーキ力を調整するエア圧が調整されて、ロードグリップ作動前に比較してブレーキ制動力を弱くして、第3軸がロックしない様にすることが可能である。
(b) プロポーショナルバルブの出口側と第3軸のブレーキ側との間にリレーバルブを介装し、該リレーバルブの信号圧入力ポートにプロポーショナルバルブの出口側より吐出された圧縮空気が流過するラインを連通せしめ、リレーバルブの入口側をプロポーショナルバルブ入口側に連通させることによって、プロポーショナルバルブの出口側圧力を当該リレーバルブの信号圧とし、リレーバルブは信号圧が入ると、プロポーショナルバルブ入口側に連通するリレーバルブの入口側と、リレーバルブの出口側とが連通し、プロポーショナルバルブ入口側からブレーキ側へ圧縮空気が遅滞無く流れる。
したがって、第3軸のブレーキ側に必要な量の空気が遅滞無く供給される。
(c) 本来、リーフサスペンション用に新たなプロポーションバルブを開発しなくてはならぬところを、簡単な信号圧力反転用バルブをブレーキエアラインに介装するだけで、廉価で安全且つ確実な発信補助機能が付帯される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の発進補助装置に係る制動系の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第2実施形態の発進補助装置に係る制動系の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る信号圧力反転用バルブの平面と側面とを同時に示した2面図。
【図4】発進補助装置の主要構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1・・・エアコンプレッサ
2・・・エアドライヤ
3・・・サプライタンク
4・・・マルチプロテクションバルブ
5・・・エアレザーバ
6・・・ブレーキバルブ
7・・・リレーバルブ
8・・・ABSモジュレータ
9・・・プロポーショナルバルブ
10・・・第2軸用ブレーキチャンバ
11・・・第3軸用ブレーキチャンバ
12・・・補機用エアレザーバ
13・・・信号圧力反転用バルブ/インバージョンバルブ
14・・・エアスプリング
15・・・第2のリレーバルブ
50・・・ABSコントローラ
L55、L95・・・エアライン

Claims (4)

  1. 前1軸、後2軸で構成される3軸車両で、後2軸のうち前方の軸のみが駆動軸であり、リーフスプリングを搭載した貨物車両の発進補助装置において、第3軸の制動手段に圧縮空気を供給するプロポーショナルバルブの信号圧入力ポートと前記貨物車両の第3軸におけるエアスプリングとの間には信号圧力反転用バルブが介装されており、該信号圧力反転用バルブの信号圧入力ポートには前記第3軸におけるエアスプリングの内圧が導入され、該信号圧力反転用バルブの入口側は補機用の圧縮空気供給源に連通していることを特徴とする発進補助装置。
  2. 前記第3軸のエアスプリングは、発進時における駆動軸に負荷される荷重を増加するため内圧が上昇して前記第3軸側を上昇させる様に構成されている請求項1の発進補助装置。
  3. 前記信号圧力反転用バルブの出口側から吐出される圧縮空気が流過するラインは分岐して、前記第3軸の左右各々のプロポーショナルバルブの信号圧入力ポートに連通している請求項1、2の何れかの発進補助装置。
  4. プロポーショナルバルブの出口側と第3軸のブレーキ側との間にリレーバルブを介装し、該リレーバルブの信号圧入力ポートにプロポーショナルバルブの出口側より吐出された圧縮空気が流過するラインを連通せしめ、リレーバルブの入口側をプロポーショナルバルブの入口側に連通している請求項1〜3の何れか1項の発進補助装置。
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