JP2004284030A - 光コネクタの金型の構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバ同士を接続するための高精度な突合孔を安価に製造することができる光コネクタの金型の構造を提供する。
【解決手段】光ファイバを挿入して突き合わせ、光接続するための光コネクタの突合孔を形成するための突合孔形成ピン110は、ピン固定台400に固定されて、光コネクタを射出成形するための金型に設けられる。突合孔形成ピン110は、ピン固定台400に挿入されて、ピン固定部402aにおけるピン固定孔402の内周と、突合孔形成ピン110の外周との間の隙間に接着剤等を流し込まれることにより、ピン固定台400に固定される。突合孔形成ピン110は外径が一定の丸棒であり、形状が単純なため、真円度、円筒度、同軸度などの精度を極めて高くするための加工が容易であり、かつ、その加工を安価に行うことができる。
【選択図】 図15
【解決手段】光ファイバを挿入して突き合わせ、光接続するための光コネクタの突合孔を形成するための突合孔形成ピン110は、ピン固定台400に固定されて、光コネクタを射出成形するための金型に設けられる。突合孔形成ピン110は、ピン固定台400に挿入されて、ピン固定部402aにおけるピン固定孔402の内周と、突合孔形成ピン110の外周との間の隙間に接着剤等を流し込まれることにより、ピン固定台400に固定される。突合孔形成ピン110は外径が一定の丸棒であり、形状が単純なため、真円度、円筒度、同軸度などの精度を極めて高くするための加工が容易であり、かつ、その加工を安価に行うことができる。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の光ファイバ同士を接続する光コネクタを製造するための金型の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のIT(Information Technology)技術の進展はめざましく、情報通信機器間の通信には、従来の電気通信回線に加え、より高速で、より信頼性の高い光通信回線が導入されつつある。この光通信回線における情報の伝達には、光ファイバが利用されている。
【0003】
一般によく利用される光ファイバは、断面の直径が約9μm(0.009mm)のコアと呼ばれる光学的に密な媒質が、クラッドと呼ばれる光学的に疎な媒質で覆われた、断面の直径が約125μm(0.125mm)の2層構造を有しており、さらにその外周をコーティングによって保護された、断面の直径が約250μm(0.25mm)の光通信線である。光ファイバによる情報の伝達の際にコアに入射される光は、その入射角が、クラッドとの境界面における臨界角(屈折角度が90度以上となる境界角度)より小さな角度となるように入射されるので、コア内を全反射しながら伝播される。すなわち、光の損失が極めて小さいので、光ファイバを利用した情報通信では、長距離であってもロスが少なく効率のよい情報の伝達を行うことができる。
【0004】
このような光ファイバを用い、情報通信機器間の接続が行われる場合に、十分な長さの光ファイバケーブルが使用されればよいが、現実にはその中途において、光ファイバ同士の接続が必要となることが多々ある。この光ファイバ同士の接続には、高温で溶かした光ファイバの先端同士を融着させて永続的に接続する方法や、光コネクタを用い、光ファイバの端面同士を突き合わせて着脱可能に接続する方法が利用される。
【0005】
上記のようにコアの断面の直径は非常に小さく、互いの軸の中心線がわずかにずれただけでも伝播される光の損失が発生するので、光ファイバ同士の接続は高精度に行われること、すなわち、軸の中心線のずれが0.1μm(0.0001mm)以内であることが要求される。光コネクタを利用した光ファイバ同士の接続において、この要求精度が満たされるためには、その光コネクタが極めて正確な寸法精度をもって形成されていることが要求される。
【0006】
特に複数本の光ファイバ同士を同時に接続させるための光コネクタの一例として、その小型化や配線の容易さを実現するため、互いに平行に配列された光ファイバ同士を突き合わせて接続する構造を有するものがある。このような光コネクタには、接続を行う各光ファイバ同士を両端からそれぞれ挿入するための突合孔が貫通して穿設されている。また、その突合孔の端部、すなわち、光ファイバを挿入する挿入口の部分が、外方に向かって広がり形状を有するように構成されることによって、光ファイバを挿入しやすくなっている。
【0007】
大量生産、低価格化が求められる光コネクタの製造は、通常、射出成形によって行われる。光コネクタの金型には、上記突合孔を形成するための突合孔形成ピン(配列孔形成ピン)が固定されたピン固定台が設けられている。例えば、特許文献1では、上記広がり形状を実現するため、突合孔形成ピン(配列孔形成ピン)は外径の小さい小径部と外径の大きい大径部とから構成されている。そして、小径部と大径部との間には外径を徐々に変化させたテーパー状の部分が形成され、大径部の部分がピン固定台(ピン固定部)に埋設されている。
【0008】
このような金型を用いて製造された光コネクタを利用して光ファイバ同士の接続を行う場合、その接続の精度は、突合孔の内周の成形精度(真円度、円筒度、同軸度など)に左右される。そのため、突合孔の内周を形成する部分である突合孔形成ピンの小径部の外周は、極めて正確な精度で構成される必要がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−289058号公報 (第0037,0038段落)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、非常に小さい光ファイバの外径とほぼ同じ内径の突合孔を形成するための突合孔形成ピンの小径部を大径部から削り出した場合、小径部を高い精度に形成するための加工は手間や費用がかかり、生産コストの増加や生産工程の複雑化などを招く原因となっていた。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、光ファイバ同士を接続するための高精度な突合孔を安価に製造することができる光コネクタの金型の構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の光コネクタの金型の構造は、二組の互いに平行に配列された複数本の光ファイバの各先端同士が突き合わされて接続されるための突合孔を有する光コネクタが、射出成形によって形成されるための光コネクタの金型の構造であって、前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成し、金型の開閉時に固定される側の固定型に、先端側から後端側までの間で一定の径を有し、前記突合孔を形成するための複数本の突合孔形成ピンと、当該突合孔形成ピンを挿入して固定するための複数のピン固定孔が平行に配列されて穿設されたピン固定台とを備えている。
【0013】
また、請求項2に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記ピン固定台には、前記ピン固定孔の一方の端部の内縁より前記ピン固定台の外方に向かってそれぞれ筒状に突設され、挿入された前記突合孔形成ピンの外周の一部を覆って保護するピン保護筒が設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成し、金型の開閉時に移動される側の可動型に、前記金型が閉じられた場合に、前記固定型に設けられた前記突合孔形成ピンの先端がそれぞれ挿入されるように、前記固定型の前記ピン固定孔および前記ピン保護筒と同様のピン固定孔およびピン保護筒を有するピン固定台を対向して配置したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ピン固定孔は前記ピン固定台を貫通し、前記ピン固定孔の前記一方の端部とは反対側の他方の端部近傍の内周部分において、前記ピン固定孔の内径は、前記一方の端部近傍の内周部分の内径よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記可動型は、金型が開かれる場合に、前記可動型の移動にともない形成された前記光コネクタを前記突合孔形成ピンから離型するために、前記光コネクタを保持する保持部を備えている。
【0017】
また、請求項6に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項5に記載の発明の構成に加え、前記保持部は、前記可動型の移動方向に対して直交する方向にスライドして前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成するスライド型であって、当該スライド型は、金型が開かれる場合に、前記光コネクタが前記突合孔形成ピンより離型されてから前記光コネクタの保持を解除する方向にスライドされることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した光コネクタの金型の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態の光コネクタの金型1(図12参照)によって射出成形される光コネクタ10を使用した光ファイバ同士の光接続の概要について説明する。図1は、光コネクタ10および光ファイバ51を支持した光プラグ50の斜視図である。
【0019】
図1に示すように、光コネクタ10の筐体は略直方体形状を有し、その筐体には、二組の互いに平行に配列された複数本(本実施例においては16本)の光ファイバ51の各先端51a同士をそれぞれ突き合わせて光接続するため、これら各光ファイバ51を挿入するための複数(本例においては18本)の円筒状の突合孔30が、光ファイバ51の配列にあわせ、筐体の長手方向に沿って互いに平行な等間隔の配列をなすように穿設されている。なお、突合孔30の配列方向における最も外側に配置された2本の突合孔30は、使用されないダミー孔となっている。
【0020】
前述したように、光ファイバ51は約250μmの断面直径を有する光通信線で、複数本が束にまとめられ、光ケーブル52として配線される。光ケーブル52の長さは任意であるが、その端部に光コネクタ10と係合する光プラグ50が設けられることによって、光ファイバ51同士の光接続を行い、延長することができるようになっている。
【0021】
光プラグ50の筐体は、1つの側面に凹部形成された凹部53を有する略直方体形状に構成され、その凹部53の設けられた側面とは反対側の側面より光ケーブル52の一端が接続されている。筐体内部で光ケーブル52より引き出された光ファイバ51は、凹部53の設けられた側面の略中央にあたる位置にてその先端51aを揃えた状態で整列されるように、先端51aより軸方向に所定の長さ分離れた位置を凹部53の内部にて支持されている。この支持された光ファイバ51の軸の配列幅は、光コネクタ10の突合孔30の軸の配列幅と略同一となるように位置決めされている。なお、光ファイバ51の先端51aより所定の長さ分の部分にはコーティングが施されておらず、コアとクラッドとからなるその部分の断面直径は、前述したように約125μmとなっている。
【0022】
光ファイバ51同士の光接続が行われる場合、光コネクタ10の筐体は、光プラグ50の凹部53に、突合孔30の軸方向における略半分の深さまで嵌合されるようになっている。このとき、光コネクタ10の各突合孔30に各光ファイバ51がそれぞれ対応して挿入される。そして、光プラグ50から露出した光コネクタ10の部分がもう1つの光プラグ50の凹部53に嵌合される。そのときに、先の光プラグ50の光ファイバ51が挿入された突合孔30の他端より、後の光プラグ50の光ファイバ51が挿入され、突合孔30の軸方向の略中央の位置で、各々の光ファイバ51の各先端51a同士が突き合わされて、光ファイバ同士の光接続が行われる。
【0023】
上記は光コネクタ10の使用例の一つであるが、以下に、図2〜図9を参照して、この光コネクタ10の構成について説明する。図2は、光コネクタ10の平面図である。図3は、光コネクタ10の底面図である。図4は、光コネクタ10の右側面図である。図5は、光コネクタ10の前面図である。図6は、図2の2点鎖線A−A’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。図7は、図2の2点鎖線B−B’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。図8は、光コネクタ10の左前方斜め上方からみた外観を示す斜視図である。図9は、光コネクタ10の左前方斜め下方からみた外観を示す斜視図である。なお、光コネクタ10の前面方向、背面方向、左側面方向、右側面方向、上面方向、底面方向をそれぞれ−Z方向、+Z方向、−X方向、+X方向、+Y方向、−Y方向とする。
【0024】
上記のように、略直方体形状を有する光コネクタ10の筐体は、その各エッジを面取りされている。図2に示すように、光ファイバ51(図1参照)同士の接続を行う光コネクタ10の筐体の上面11は、平面視、左右方向(X軸方向)を長手方向とする略長方形状を有する。筐体の前後方向における上面11の両端部分(前面側の上面11aおよび背面側の上面11b)を除く上面11の部分には、左右方向に沿った溝状の凹部12が凹設されている。図4に示すように、側面視、凹部12の深さ(Y軸方向における筐体の上面11と凹部12の凹部底面12aとの間の距離)は、筐体の前後方向の長さよりも短く構成された上下方向の長さの4〜5分の1程度であり、また、図2に示すように、溝状の凹部12の幅(凹部底面12aのZ軸方向における長さ)は、筐体の前後方向の長さの3分の2程度である。そして、凹部底面12aは、凹部12の長手方向(X軸方向)両端の縁端部12b,12cにおいて、それぞれ、凹部12の各端辺に向かって筐体の底面方向(図4における−Y方向)に傾斜する斜面が形成されている。
【0025】
図3に示すように、光コネクタ10の筐体の底面13にも凹部14が形成され、図6に示すように、その深さ(Y軸方向における筐体の底面13と凹部14の凹部底面14aとの間の距離)は凹部12と略同一である。しかし、図3に示すように、底面視、凹部14の形状は凹部12とは異なって略矩形状に設けられている。この凹部14は、筐体の底面において左右方向および前後方向にそれぞれ対称となる位置に凹設されている。すなわち、Z軸方向における底面13の両端部分(前面側の底面13aおよび背面側の底面13b)の長さは略同一であり、また、X軸方向における底面13の両端部分(左側面側の底面13cおよび右側面側の底面13d)の長さも同様に略同一となっている。このように、凹部12と凹部14とが異なる形状となっているので、図4に示す、筐体の右側面15は、凹字形状に構成される。なお、図8に示すように、筐体の左側面16の形状は、筐体が前後方向(Z軸方向)において対称な形状となっているため、右側面15と同一である。
【0026】
次に、図5に示すように、筐体の前面17には、略矩形状に凹設された袋穴部18が設けられている。袋穴部18もまた、筐体の前面において左右方向および上下方向にそれぞれ対称となる位置に凹設されている。すなわち、Y軸方向における前面17の両端部分(上面側の前面17aおよび底面側の前面17b)の長さは略同一であり、また、X軸方向における前面17の両端部分(左側面側の前面17cおよび右側面側の前面17d)の長さも同様に略同一となっている。
【0027】
前述したように、光コネクタ10には、互いに平行な等間隔に配列された18本の円筒状の突合孔30が穿設されている。図6に示すように、この突合孔30は、その軸方向が筐体の前後方向(Z軸方向)となるように、また、その配列方向が筐体の左右方向(X軸方向)となるように筐体内を貫通されている。このため、図5に示すように、各突合孔30の軸方向は、前面17と略平行に設けられた袋穴部18の袋穴底面18aに対して直交する。この配列された18本の突合孔30の内周は、袋穴底面18aに孔設された開口18bを介し、袋穴底面18aにそれぞれ接続されている。なお、図7に示すように、開口18bは突合孔30の断面より大きく構成されており、その内周は突合孔30の内周に向かって狭窄されている。これは、光ファイバ51の先端51aの挿入を容易に行えるようにするためである。
【0028】
なお、図9に示すように、筐体の背面19の形状は、前面17と同一であり、背面19には袋穴部20が凹設され、その袋穴底面20aには、筐体内部を貫通する各突合孔30にそれぞれ狭窄して接続される開口20bが一列に並んで孔設されている。このように、筐体の前面17と背面19とは同一の構成となっており、それぞれが、上下方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)に対称な形状となっている。
【0029】
このように構成される光コネクタ10は、従来の技術の説明において述べたように、突合孔30の内周の成形精度、すなわち、突合孔30の軸方向と垂直な断面がどれほど正確な円を形成しているか(真円度)、真円を形成する突合孔30の断面の直径が軸方向のどの部分においても同じであるか(円筒度)、真円を形成する突合孔30の断面の中心は軸方向のどの部分においてもその軸の位置と一致するか(同軸度)などが、極めて正確であることが要求される。このため、この光コネクタを射出成形するための金型1には、極めて高い精度の光コネクタ10を形成するための様々な工夫が施されている。
【0030】
以下、図10〜図16を参照して、光コネクタ10を射出成形するための金型1の構造について説明する。図10は、固定型100の斜視図である。図11は、可動型200およびスライド型300,350の斜視図である。図12は、図10,図11の2点鎖線C−C’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。図13は、図10,図11の2点鎖線D−D’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。図14は、ピン固定台400の斜視図である。図15は、図14の2点鎖線E−E’における矢視方向からみたピン固定台400の断面図である。図16は、ピン係合台450の斜視図である。
【0031】
なお、以下の図において、金型1で形成される光コネクタ10の形成時の向きと、図2〜図9における光コネクタ10の軸方向とは一致させてある。このため、スライド型300,350の摺動方向をY軸方向、金型1の開閉方向をZ軸方向、突合孔30を形成するための突合孔形成ピン110の配列方向をX軸方向とする。また、以下では説明の都合上、Z軸方向を上下方向として説明するが、必ずしもこの向きで射出成形が行われるわけではない(一般的に、射出成形はZ軸方向を水平方向として行われる。)。また、突合孔形成ピン110は、本例では18本設けているが、図12では、説明の都合上、一部を省略して図示した。
【0032】
図10に示す、固定型100は、公知の射出成型機(図示外)に固定された場合に、射出成型機の金型1の固定部分において、金型1の開閉時に移動されない側(射出ノズル側)に配置される金型である。固定型100は、略正方形の板状のコア板101と、コア板101が厚み方向に延長された形状のスプルー板121と、コア板101の板面より一回り大きく厚みがやや小さめの取付板141とが層状に連結固定された略直方体形状を有する。
【0033】
コア板101の分割面101a(図中+Z方向側の面)は、金型1が閉じられた際に可動型200の分割面201a(図11参照)に対向して閉じ合わされる面であり、いわゆるPL(Parting Line)面である(なお、図12、図13において、PLを一点鎖線で示す。)。この分割面101a上には光コネクタ10を形成するための形状や、可動型200との閉じ合わせを行うための構造が設けられている。
【0034】
分割面101aの四隅のそれぞれの近傍には、金型1が閉じられた場合に可動型200のガイドブッシュ202(図11参照)と係合し、固定型100と可動型200との互いの位置決めを行うための4つのガイドピン102が、鉛直方向に突設されている。また、X軸方向に並ぶ2つのガイドピン102のそれぞれの間には、可動型200に設けられたスライド型300,350(図11参照)を金型1の開閉に併せて摺動させるためのアンギュラピン104a,104bが、互いの先端同士が相反する方向(Y軸方向)に向くように、それぞれ斜めに突設されている。
【0035】
分割面101aの略中央には、2本のアンギュラピン104a,104b同士を結ぶ方向と直交する方向(X軸方向)に長手方向を有する略長方形状の凹部112が、分割面101aに対して段違い状に凹設され、この部分において光コネクタ10の前面17(図5参照)が形成される。その凹部112の略中央の位置に、光コネクタ10の袋穴部18(図8参照)を形成するため、分割面101aの水平面よりも突出するように、略直方体形状の袋穴部形成部401が設けられている。
【0036】
図12,図13に示すように、この袋穴部形成部401は、コア板101の中央にてその厚み方向(Z軸方向)に貫通して設けられた略直方体形状のピン固定台400の突起部分である。そのピン固定台400の+Z方向側の外側面400aは、固定型100の分割面101aの一部を構成し、図14に示すように、袋穴部形成部401は、その外側面400aの短手方向(Y軸方向)の中央にて台状に突設され、それが外側面400aの長手方向(X軸方向)の一端から他端にかけて延設されている。外側面400aのうち、袋穴部形成部401の基部の短手方向の両端よりも外側の部分は、それぞれ袋穴部形成部401の長手方向に沿って一段掘り下げられた堀状の凹部400bが設けられており、この凹部400bが、固定型100の分割面101aの凹部112の一部を構成している。
【0037】
ピン固定台400には、袋穴部形成部401の突設先端側(+Z方向側)の面401aの長手方向に沿った中央線に沿って、ほぼ等間隔に、Z軸方向を軸方向とするピン固定孔402が複数本(本実施例では18本)、穿設されている。図15に示すように、ピン固定孔402は、ピン固定台400を貫通されており、ピン固定孔402のうち、袋穴部形成部401が突設された側とは反対側の端部より所定長分(本実施例ではピン固定台400のZ軸方向の長さの1/2程度)にあたるピン固定部402aは、その内径が、ピン固定孔402の他の部分より一回り大きく構成されている。そして、袋穴部形成部401の突設先端側の面401a側のピン固定孔402の内縁は、ピン固定台400の外方に向かって筒状に突設されており、この部分は、その突設先端に向かって先細り状のピン保護筒403として構成されている。このピン保護筒403により、ピン固定台400から露出した部分の突合孔形成ピン110の根元部分を保護することができる
【0038】
各ピン固定孔402には、複数本(本実施例では18本)の突合孔形成ピン110がそれぞれ係合されている。突合孔形成ピン110は外径が一定の丸棒であり、一端がピン固定台400の−Z方向側の面に揃えられ、他端はピン固定台400の外方に、先端110aを尖らされた状態で延設されている。そして、突合孔形成ピン110は、ピン固定部402aにおけるピン固定孔402の内周と、突合孔形成ピン110の外周との間の隙間に流し込まれる接着剤等が固化されることによって、ピン固定台400に固定されるようになっている。
【0039】
次に、図12に示すように、スプルー板121内には、固定型100の取付板141に開口されたノズル口142より射出成型機(図示外)から注入される成形材料を二手に分け、分割面101a側に導くスプルー122が設けられている。図10に示すように、分割面101aには、このスプルー122を介して分割面101a側に流動される成形材料を、光コネクタ10の成形位置に導くためのランナー103が溝状に凹設されている。ランナー103とスプルー122との接続部103aは、凹部112の長手方向の両端より外側の位置に2箇所、設けられており、接続部103aからランナー103内に侵入する成形材料は、このランナー103によって、凹部112の短手方向の両端の外側の位置まで誘導されるようになっている。そして、ランナー103内における成形材料の流路末端は、凹部112の長手方向と平行に、凹部112の長手方向よりも長い溝103bが溝状に凹設され、成形材料は、その溝103bの略中央にて、溝設方向と直交する方向から溝103b内に流入される。
【0040】
次いで、図12に示すように、接続部103aとの接続部分である上記スプルー122の先端部分は狭窄状に設けられており、成形後に金型1が開いた時に、スプルー122内の成形材料をランナー103内の成形材料から容易に分離できるようになっている。また、本実施の形態では、光コネクタ10はジルコニア等のセラミックスを原材料としている。射出成形時には、ジルコニア粉体に熱可塑性樹脂等からなるバインダが混合された成形材料が使用されるが、この成形材料は粘弾性が高い。このため、図示しないが、スプルー122には、その通路のほぼ全体に渡って加熱コイルが周設されており、成形材料がスプルー122内で冷えて粘弾性がさらに高められることが防止されている。
【0041】
次に、図11に示す、可動型200は、射出成型機(図示外)の金型1の固定部分において、金型1の開閉時に移動される側に配置される金型である。可動型200は、光コネクタ10のキャビティ210などが設けられた略正方形の板状のキャビティ板201と、成形後にキャビティ210内に残る光コネクタ10を押し出すためのエジェクタピン236a〜236c(図12,図19参照)を出退させる押出プレート235の移動を規制し、キャビティ板201より厚みが小さい当て板221と、押出プレート235の移動空間を構築するためのスペーサブロック231と、可動型200を射出成型機に取り付けるための取付板241とが、固定型100と同様に、層状に連結固定された略直方体形状を有する。なお、押出プレート235は、図11〜図13,図17〜図19に示されるように、2枚のプレートを重合してねじ手段(図示せず)により一体係合され、図12に示されるように、エジェクタピン236a〜236cの各基端部を2枚のプレートによって挟持固定している。
【0042】
キャビティ板201は略直方体形状の厚めの金属板で、その上部中央には、キャビティ板201のY軸方向の一対の側面間を溝状に貫通するスライド溝205が設けられており、−Y方向からみたキャビティ板201は、略凹字形状を有している。キャビティ板201の分割面201a(−Z方向側の面)は、分割面101aに対向するPL面である。この分割面201a上には、分割面101a上の構造に対応した構造が設けられている。
【0043】
分割面201aの四隅のそれぞれの近傍には、固定型100の4本のガイドピン102のそれぞれに係合するガイドブッシュ202が孔設されており、前述したように、固定型100と可動型200との型閉じの際の位置決めを担う。
【0044】
また、スライド溝205の両側には、分割面101a上に凹設された2つのランナー103の各溝103bの各両端部分に対応する位置に、エジェクト孔203aがそれぞれ設けられている。さらに、近接する2つのエジェクト孔203aの間の位置で、固定型100の接続部103aに対向する位置にはエジェクト孔203bが設けられ、後述するキャビティ210内にも、エジェクト孔203c(図12参照)が設けられている。これらエジェクト孔203a〜203cは、キャビティ板201および当て板221をそれぞれ貫通しており、押出プレート235から鉛直方向に突設されたエジェクタピン236a(図17参照),236b,236c(図12参照)がそれぞれ出退可能に挿入されている。なお、エジェクタピンとエジェクト孔は、他にも複数設けられていてもよい。エジェクタピン236a〜236cの外周と、エジェクト孔203a〜203cの内周との間の隙間は数ミクロン程度であり、この隙間より、射出成形時に成形材料から発生されるガスや、ランナー103やキャビティ210内に残る空気が排出されるようになっている。
【0045】
スライド溝205内には、その溝方向(Y軸方向)に摺動可能な2つのスライド型300,350がそれぞれ設けられている。スライド型300、350は、分割面201aの略中央の位置で、お互いの一つの側面同士が対向して合わさり、その合わせ面に各々設けられた凹部にて、光コネクタ10を形成するためのキャビティ210が構成されている。キャビティ210には、光コネクタ10の外側面の形状を形成するための突起や窪み等(例えば、図13に示す、光コネクタ10の凹部12,14(図7参照)を形成するための凸部210b、210aなど)が設けられている。このキャビティ210で形成される光コネクタ10の筐体の向きは、突合孔30の軸方向がZ軸方向、その配列方向がX軸方向、上面11側が+Y方向側、底面13側が−Y方向側となっている。このため、上記キャビティ210の凸部210a,210bは、それぞれスライド型300,350の各合わせ面に設けられている。なお、凸部210a,210bが、本発明における「保持部」として機能する。
【0046】
図12,図13,図16に示すように、キャビティ210の底部(+Z方向側の内面部分)は略中央にてその厚み方向に貫通され、キャビティ210内に進入する突合孔形成ピン110のそれぞれの先端110aが係合して固定されるピン係合孔452が穿設されたピン係合台450が設けられている。ピン係合台450は、ピン固定台400(図14参照)とほぼ同様の構成であり、袋穴部形成部451と、ピン係合孔452と、ピン保護筒453と、ピン固定部452aと、凹部450bとがそれぞれ袋穴部形成部401と、ピン固定孔402と、ピン保護筒403と、ピン固定部402aと、凹部400bとに相当し、互いに同等の大きさとなっている。なお、凹部450bは、光コネクタ10の背面19(図9参照)を形成する凹部113の一部を構成する。
【0047】
また、ピン係合台450の+Z方向側の外側面450aは、ピン固定台400の外側面400aとは異なり、Z軸方向における凹部450bからの距離が、外側面400aと凹部400bとの間の距離よりも大きくなっている。図13に示すように、その距離は、凹部450bと、光コネクタ10の凹部12,14のZ軸方向側の内側面12d,14d(図7参照)との間の距離となっている。これにより、ピン固定台400がキャビティ板201に固定された場合に、外側面400aが、スライド型300,350が摺動するキャビティ板201のスライド溝205の底面と同一な平面内に位置されるようになっている。
【0048】
そして、図11に示すように、分割面201aのうちのスライド型300,350の上面にあたる部分には、キャビティ210内に成形材料を導入するための導入路であるゲート302,352がそれぞれキャビティ210に接続して凹設されている。ゲート302,352は、固定型100のランナー103と溝103bの位置で接続されており、ランナー103を通ってゲート302,352に侵入する成形材料は、ゲート302,352内をY軸方向に流れてキャビティ210に注入される。ゲート302,352はX軸方向に広い幅を有している。
【0049】
また、図11に示すように、スライド型300,350にはそれぞれ、固定型100から突設された2本のアンギュラピン104a,104bが係合されるピン受孔301,351が穿設されている。図13に示すように、アンギュラピン104aは、固定型100の分割面101aの鉛直方向(+Z方向)よりやや−Y方向に、また、アンギュラピン104bはアンギュラピン104aと同様の状態で、やや+Y方向に傾いて、それぞれ突設されている。ピン受孔301,351も、それぞれ係合されるアンギュラピン104a,104bと略同一方向、略同一角度の傾きが設けられている。ピン受孔301,351の内径は、アンギュラピン104a,104bの外径よりも大きくなるように構成されている。
【0050】
なお、取付板241の略中央には、押出プレート235をZ軸方向に出退させるための駆動ピン(図示外)が係合されるプレート出退孔242が穿設されている。
【0051】
光コネクタ10の生産は、大方、以下の工程に沿って行われる。まず、光コネクタ10の射出成形が行われる(射出成形工程)。射出成形工程では、射出成型機の成形サイクル(金型の型閉じ、成形材料の充填、成形材料の固化、金型の型開き、光コネクタ10の取り出し)に従って、光コネクタ10の形成が行われる。ところで、前述したように、本実施例の光コネクタ10には、ジルコニア等のセラミックスの粉体にバインダが混合された成形材料が使用される。このため、射出成形工程後には、例えば約500度に加熱され、内包する水分の除去とバインダ成分の分解が行われる(乾燥工程)。なお、前記乾燥工程の前にゲートカットによりランナーが取り除かれる(ゲート加工工程)。さらに、例えば約1400度に加熱される、いわゆる焼結が行われる(焼結工程)。そして、研磨等による光コネクタ10の表面加工が施され(表面加工工程)、光コネクタ10の製品化が行われる。
【0052】
このように生産される光コネクタ10は、前述したように、突合孔30の内周の成形精度(真円度、円筒度、同軸度など)が、極めて正確であることが要求される。特に、射出成形工程における成形精度は、その後の工程を経て生産される光コネクタ10の製品としての精度において重要となる。図15に示すように、高い精度が求められる突合孔30の内周を形成する突合孔形成ピン110は、前述したように、外径が一定の丸棒である。このような突合孔形成ピン110は、突合孔形成ピン110の構成が単純なために、例えばセンタレス研磨などの容易な加工を行うだけで、その精度を極めて高いものとすることができ、かつ、安価に製造することができる。
【0053】
以下、図12〜図19を参照して、光コネクタ10の射出成形時の金型1の動作について説明する。図17は、金型1の型閉じ前の状態を示す斜視図である。図18は、金型1で光コネクタ10の成形後、型開きされた状態を示す斜視図である。図19は、金型1で光コネクタ10の成形後、光コネクタ10が離型される状態を示す斜視図である。
【0054】
前述したように、金型1は射出成型機(図示外)に取り付けられて使用される。通常の射出成型機では水平方向に型の開閉が行われるようになっており、金型1は、図17において、Z軸方向を水平方向として射出成型機に取り付けられる。このとき、固定型100は、金型1の開閉時に移動されない側の固定部分に配置され、射出ノズル(図示外)の先端が固定型100のノズル口142に係合される。また、スライド型300,350の摺動時に、スライド型300,350の重量による負荷がアンギュラピン104a,104bにかからないように、X軸方向を上下方向として射出成型機に取り付けられる。なお、射出成型機への金型1の取り付けは、必ずしも上記の向きで行われる必要はない。
【0055】
射出成形が開始されると、まず、型閉じが行われる。可動型200が固定型100に向かって移動され、金型1が閉じられる。このとき、固定型100の4本のガイドピン102が、可動型200の4つのガイドブッシュ202に係合され、これにより、固定型100と可動型200との位置決めが行われる。また、図13に示すように、可動型200の方向(+Z方向)に向かって互いが外開き状に突設されている固定型100のアンギュラピン104a,104bに対して、固定型100の方向(−Z方向)に向かって互いがすぼみ状に孔設されている可動型200のピン受孔301,351がそれぞれ係合される。すると、固定されたアンギュラピン104a,104bに、ピン受孔301,351の+Z方向側の内周面が当接され、そのピン受孔301,351が設けられたスライド型300,350がその応力によって、規制された方向、すなわち、スライド型300は−Y方向、スライド型350は+Y方向に向かってそれぞれ摺動される。
【0056】
キャビティ210内に進入する各突合孔形成ピン110の各先端110aがピン係合台450の各ピン係合孔452に係合され、金型1の型閉じが完了すると、スライド型300,350の互いの対向面同士、および、固定型100の分割面101aと可動型200の分割面201aとがそれぞれ密着状態となる。各型のキャビティ210の構成部分が集合してキャビティ210が構成され、ゲート302、352、ランナー103、およびスプルー122が、成形材料の通路を構成して、キャビティ210とノズル口142とを接続する。
【0057】
次に、射出成型機の射出ノズル(図示外)の先端が移動されてノズル口142に接続され、成形材料の射出が行われる。図17に示すように、成形材料はスプルー122を通り、図12に示すように、スプルー122にて二手に分けられて、2箇所の接続部103aからそれぞれランナー103内に侵入する。そして、ランナー103内を流動する成形材料はそれぞれの流路(図10参照)を通り、図13に示す、溝103bに達して、ここからゲート302,352にそれぞれ侵入する。そして、成形材料はゲート302,352を介してキャビティ210内に充填される。
【0058】
このようにして、金型1への成形材料の充填が完了すると、金型1を閉じた状態でしばらく放置され、その間に成形材料が固化される。その後、金型1の型開きが行われる。上記型閉じの際と同様に、図13に示すように、アンギュラピン104a,104bに対して今度は+Z方向に移動されるピン受孔301,351の−Z方向側の内面がそれぞれ当接され、スライド型300,350に動力が伝達される。
【0059】
ところで、前述したように、ピン受孔301,351およびそれぞれに係合されるアンギュラピン104a,104は、略同一方向、略同一角度の傾きが設けられ、また、ピン受孔301,351の内径はアンギュラピン104a,104bの外径よりも大きくなっている。これにより、型開きが開始されて+Z方向に移動されるピン受孔301,351の−Z方向側の内面がアンギュラピン104a,104bのそれぞれに当接されるまでにタイムラグが生じる。すなわち、型開きが開始されてからしばらくの間、ピン受孔301,351と、アンギュラピン104a,104bとが当接されないので、スライド型300,350は摺動されないのである。
【0060】
この間、互いが閉じた状態となっているスライド型300,350は、光コネクタ10の凹部12,14を形成するキャビティ210の凸部210b,210aは、光コネクタの凹部12,14に係合した状態のままで維持される。このため、Z軸方向に型開きが行われる金型1では、凸部210a,210bがそれぞれ光コネクタ10の内側面12d,14d(図7参照)に当接する。その結果、形成された光コネクタ10、およびそれと接合したゲート302,352内、ランナー103内で固化した成形材料が可動型200に保持され、固定型100から離型される。
【0061】
また、光コネクタ10の突合孔30を形成する突合孔形成ピン110は固定型100に固定されており、型開きの際に、可動型200に保持された光コネクタ10がその突合孔形成ピン110の軸方向にまっすぐ引き抜かれる。このため、光コネクタ10の重量が突合孔形成ピン110に負荷としてかかることがない。
【0062】
さらに可動型200と固定型100との間の距離が離れることによって、ピン受孔301,351と、アンギュラピン104a,104bとが当接され、上記型閉じの際と同様に、アンギュラピン104a,104bに対して今度は+Z方向に移動されるピン受孔301,351の−Z方向側の内面がそれぞれ当接され、スライド型300,350に動力が伝達される。これにより、図18に示すように、応力を受けたスライド型300,350は、互いに離れる方向に摺動される。
【0063】
次いで、図19に示すように、射出成型機の駆動ピン(図示外)が、押出プレート235を−Z方向に押圧して移動させる。すると、押出プレート235から突設されたエジェクタピン236a,236b,236c(図12参照)がそれぞれ−Z方向に移動され、それぞれの先端により、成形された光コネクタ10とランナー103やゲート302,352の部分などで固化された成形材料とが可動型200から押し出される。
【0064】
このとき、スライド型300,350は既に光コネクタ10から離れているので、光コネクタ10が可動型200と接している部分は、図16に示す、ピン係合台450に係合する部分、および、スライド溝205の底面に凹設された凹部113に係合する部分のみである。このように光コネクタ10が可動型200に接する部分が少ないので、可動型200からの離型が行われる際の離型抵抗が小さくなり、離型抵抗による光コネクタ10の歪みなどを低減することができる。こうして、金型1から光コネクタ10の離型が行われる。
【0065】
このようにして金型1で射出成形された光コネクタ10は、ゲート加工工程、乾燥工程、焼結工程、表面加工工程を経て製品として完成される。射出成形工程において、極めて高い精度で製造した突合孔形成ピン110により、極めて高い精度の突合孔30を形成することができる。また、離型時の光コネクタ10にかかる離型抵抗を小さくして、光コネクタ10の変形を防ぐことで、光コネクタ10の成形精度(真円度、円筒度、同軸度など)を維持して金型1から離型させることができる。
【0066】
なお、仮に、突合孔形成ピン110が可動型200にあり、光コネクタ10がエジェクタピンによって離型された場合、光コネクタ10がピン係合台450に係合する部分、および、スライド溝205の底面に凹設された凹部113に係合する部分からはずれた時点で光コネクタ10の重量が突合孔形成ピン110に負荷としてかかってしまい、突合孔形成ピン110の破損を招いてしまう。さらに、スライド型300,350による光コネクタ10の保持が行われなかった場合、型開きの際に突合孔形成ピン110に突合孔30が係合したまま光コネクタ10が固定型100に残ってしまい、上記同様の理由で突合孔形成ピン110の破損を招き、好ましくない。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の光コネクタ10を射出成形するための金型1では、外径が一定の丸棒を、光コネクタ10の突合孔30の内周を形成するための突合孔形成ピン110として使用できる。このため、突合孔形成ピン110の加工に複雑な加工を必要としないので、極めて高い精度の突合孔形成ピン110を安価に製造できる。また、型開きの際に、可動型200に光コネクタ10を保持させて、固定型100に設けた突合孔形成ピン110から光コネクタ10を引き抜くことで、突合孔形成ピン110に対して光コネクタ10の重量による負荷を与えることがなく、突合孔形成ピン110の破損を防止することができる。
【0068】
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、図20に示すように、ピン係合台450の代わりにピン固定台400を使用してもよい。この場合、ピン固定台400とピン係合台450との相違部分は、スライド型300,350同士の合わせ面において、その形状を再現すれば足りる。これにより、ピン係合台450を製造する必要がなく、しかも、全く同一の仕様であるピン固定台400のピン固定孔402に突合孔形成ピン110の各先端110aを係合させることで、キャビティ210内における突合孔形成ピン110の位置決めを正確に行うことができる。また、2つのピン固定台400は同一の工法で製造できるので、各ピン固定孔402の位置などの精度を高くすることができる。
【0069】
また、金型1で形成される光コネクタ10の筐体は略直方体形状であるが、この形状に限らず、円筒形状、多角柱形状など任意の形状であってもよい。また、形成される光コネクタ10は、光プラグ50のそれぞれに係合して使用されるが、光コネクタ10の筐体の外周から光コネクタ10を保持するアダプタを設けて光プラグ50が支持されるようにしてもよい。この場合、光コネクタ10の筐体をアダプタが保持するための部分に光プラグ50の筐体が干渉しないようにするためには、光プラグ50の筐体に切欠や突設部等を設ければよい。
【0070】
また、凹部12は溝状、凹部14は略矩形状に凹設されたが、それぞれ任意の形状であってもよく、少なくとも突合孔30の配列平面に対向する位置に凹部底面12a,14aが設けられていればよい。また、凹部12の深さと凹部14の深さとは同じとしたが、突合孔30の軸から各凹部12,14のそれぞれの凹部底面12a,14aまでの距離が同じであればよく、筐体の外側面等に対する深さは異なっていてもよい。
【0071】
また、突合孔形成ピン110は必ずしも一直線上に配列されていなくともジグザグ状の配列や複数列の配列でもよく、等間隔な配列となっていなくともよい。また、可動型200を金型1の型の開閉時に移動される側としたが、固定型100を移動される側としてもよい。なお、型開きの際に、光コネクタ10を保持する側の金型と、突合孔形成ピン110が設けられる側の金型とは異なるようにすることで、光コネクタ10の離型時に、その重量で突合孔形成ピン110を破損することを防止できる。
【0072】
また、光コネクタ10の成形材料として、ジルコニア等のセラミックスの粉体に熱可塑性樹脂等からなるバインダが混合された成形材料を利用したが、これに限らず、金属の粉体、アルミナ、ジルコニアの混合粉体等にバインダを混合した成形材料等を利用してもよい。
【0073】
また、光ファイバ51同士の接続は、それを支持した光プラグ50同士の接続による場合に限らず、光コネクタ10を、例えば、基板用の接続コネクタとして配線基板上などに配置し、突合孔30の一端側より基板上の配線を挿入し、他端側に光プラグ50を抜き差し可能としてもよい。
【0074】
また、突合孔形成ピン110は、ピン固定台400に接着剤等によって固定されるが、その他の方法によって、固定、あるいはピン固定孔402から抜けにくくしてもよい。例えば、突合孔形成ピン110のピン固定部402aに対応する部分の外周にメッキ等を施し、ピン固定孔402の内周とメッキ等との摩擦により突合孔形成ピン110を抜けにくくしてもよい。また、ピン固定孔402に流し込む接着剤として、その粘度が十分に低いものを使用した場合には、ピン固定孔402aを設けなくともよい。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明の光コネクタの金型の構造では、光コネクタの突合孔形成ピンとして径が一定の単純な形状のピンを利用することで、突合孔形成ピンの精度を高めやすく、光コネクタの突合孔を高精度で形成することができる。また、突合孔形成ピンの形状が単純なため、精度よく加工するための工程を簡易化することができる。
【0076】
また、請求項2に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1に係る発明の効果に加え、ピン固定台に固定された突合孔形成ピンの露出部分で、ピン固定台に近い側の近傍は、ピン保護筒で保護されているので、突合孔形成ピンを折れにくくすることができる。
【0077】
また、請求項3に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1または2に係る発明の効果に加え、可動型に突合孔形成ピンを位置決めするため、その先端を挿入する受け側として、固定型に設けたものと同一のピン固定台等を設けることで、突合孔形成ピンの位置決めとして利用することができるとともに、突合孔形成ピンの先端部を保護することができ、しかも、ピン固定台を固定型、可動型の両方に区別なく共通に利用できる。
【0078】
また、請求項4に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1乃至3のいずれかに係る発明の効果に加え、ピン固定孔の他方の端部近傍の内径が、一方の端部近傍の内径より大きくなっているので、挿入された突合孔形成ピンと、その内径の大きな部分のピン固定孔との間に接着剤を注入したり、あるいは、その内径の大きな部分に対向する突合孔形成ピンの外周部分にあらかじめメッキ等を塗布したその突合孔形成ピンを挿入することで、突合孔形成ピンをピン固定台に完全に固定することができる。
【0079】
また、請求項5に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1乃至4のいずれかに係る発明の効果に加え、金型が開かれる場合に、可動型側に光コネクタを保持して突合孔形成ピンからの離型を行うので、突合孔形成ピンに対して付着した光コネクタを突合孔形成ピンから確実に分離解除して、その光コネクタを可動型側に取り出すことができ、しかも、突合孔形成ピンの破損を防ぐことができる。
【0080】
また、請求項6に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項5に係る発明の効果に加え、光コネクタが可動型から離型される場合には、スライド型が開かれることによって光コネクタの保持が解除されるので、光コネクタが可動型から離型される際にその可動型に接する部分が少なくなり、離型抵抗による光コネクタの歪み等を低減できるので、光コネクタの精度を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光コネクタ10および光ファイバ51を支持した光プラグ50の斜視図である。
【図2】光コネクタ10の平面図である。
【図3】光コネクタ10の底面図である。
【図4】光コネクタ10の右側面図である。
【図5】光コネクタ10の前面図である。
【図6】図2の2点鎖線A−A’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。
【図7】図2の2点鎖線B−B’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。
【図8】光コネクタ10の左前方斜め上方からみた外観を示す斜視図である。
【図9】光コネクタ10の左前方斜め下方からみた外観を示す斜視図である。
【図10】固定型100の斜視図である。
【図11】可動型200およびスライド型300,350の斜視図である。
【図12】図10,図11の2点鎖線C−C’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。
【図13】図10,図11の2点鎖線D−D’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。
【図14】ピン固定台400の斜視図である。
【図15】図14の2点鎖線E−E’における矢視方向からみたピン固定台400の断面図である。
【図16】ピン係合台450の斜視図である。
【図17】金型1の型閉じ前の状態を示す斜視図である。
【図18】金型1で光コネクタ10の成形後、型開きされた状態を示す斜視図である。
【図19】金型1で光コネクタ10の成形後、光コネクタ10が離型される状態を示す斜視図である。
【図20】ピン係合台450の代わりにピン固定台400を使用した変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 金型
10 光コネクタ
30 突合孔
51 光ファイバ
51a 先端
100 固定型
110 突合孔形成ピン
200 可動型
210 キャビティ
210a,210b 凸部
300,350 スライド型
400 ピン固定台
402 ピン固定孔
402a ピン固定部
403 ピン保護筒
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の光ファイバ同士を接続する光コネクタを製造するための金型の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のIT(Information Technology)技術の進展はめざましく、情報通信機器間の通信には、従来の電気通信回線に加え、より高速で、より信頼性の高い光通信回線が導入されつつある。この光通信回線における情報の伝達には、光ファイバが利用されている。
【0003】
一般によく利用される光ファイバは、断面の直径が約9μm(0.009mm)のコアと呼ばれる光学的に密な媒質が、クラッドと呼ばれる光学的に疎な媒質で覆われた、断面の直径が約125μm(0.125mm)の2層構造を有しており、さらにその外周をコーティングによって保護された、断面の直径が約250μm(0.25mm)の光通信線である。光ファイバによる情報の伝達の際にコアに入射される光は、その入射角が、クラッドとの境界面における臨界角(屈折角度が90度以上となる境界角度)より小さな角度となるように入射されるので、コア内を全反射しながら伝播される。すなわち、光の損失が極めて小さいので、光ファイバを利用した情報通信では、長距離であってもロスが少なく効率のよい情報の伝達を行うことができる。
【0004】
このような光ファイバを用い、情報通信機器間の接続が行われる場合に、十分な長さの光ファイバケーブルが使用されればよいが、現実にはその中途において、光ファイバ同士の接続が必要となることが多々ある。この光ファイバ同士の接続には、高温で溶かした光ファイバの先端同士を融着させて永続的に接続する方法や、光コネクタを用い、光ファイバの端面同士を突き合わせて着脱可能に接続する方法が利用される。
【0005】
上記のようにコアの断面の直径は非常に小さく、互いの軸の中心線がわずかにずれただけでも伝播される光の損失が発生するので、光ファイバ同士の接続は高精度に行われること、すなわち、軸の中心線のずれが0.1μm(0.0001mm)以内であることが要求される。光コネクタを利用した光ファイバ同士の接続において、この要求精度が満たされるためには、その光コネクタが極めて正確な寸法精度をもって形成されていることが要求される。
【0006】
特に複数本の光ファイバ同士を同時に接続させるための光コネクタの一例として、その小型化や配線の容易さを実現するため、互いに平行に配列された光ファイバ同士を突き合わせて接続する構造を有するものがある。このような光コネクタには、接続を行う各光ファイバ同士を両端からそれぞれ挿入するための突合孔が貫通して穿設されている。また、その突合孔の端部、すなわち、光ファイバを挿入する挿入口の部分が、外方に向かって広がり形状を有するように構成されることによって、光ファイバを挿入しやすくなっている。
【0007】
大量生産、低価格化が求められる光コネクタの製造は、通常、射出成形によって行われる。光コネクタの金型には、上記突合孔を形成するための突合孔形成ピン(配列孔形成ピン)が固定されたピン固定台が設けられている。例えば、特許文献1では、上記広がり形状を実現するため、突合孔形成ピン(配列孔形成ピン)は外径の小さい小径部と外径の大きい大径部とから構成されている。そして、小径部と大径部との間には外径を徐々に変化させたテーパー状の部分が形成され、大径部の部分がピン固定台(ピン固定部)に埋設されている。
【0008】
このような金型を用いて製造された光コネクタを利用して光ファイバ同士の接続を行う場合、その接続の精度は、突合孔の内周の成形精度(真円度、円筒度、同軸度など)に左右される。そのため、突合孔の内周を形成する部分である突合孔形成ピンの小径部の外周は、極めて正確な精度で構成される必要がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−289058号公報 (第0037,0038段落)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、非常に小さい光ファイバの外径とほぼ同じ内径の突合孔を形成するための突合孔形成ピンの小径部を大径部から削り出した場合、小径部を高い精度に形成するための加工は手間や費用がかかり、生産コストの増加や生産工程の複雑化などを招く原因となっていた。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、光ファイバ同士を接続するための高精度な突合孔を安価に製造することができる光コネクタの金型の構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の光コネクタの金型の構造は、二組の互いに平行に配列された複数本の光ファイバの各先端同士が突き合わされて接続されるための突合孔を有する光コネクタが、射出成形によって形成されるための光コネクタの金型の構造であって、前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成し、金型の開閉時に固定される側の固定型に、先端側から後端側までの間で一定の径を有し、前記突合孔を形成するための複数本の突合孔形成ピンと、当該突合孔形成ピンを挿入して固定するための複数のピン固定孔が平行に配列されて穿設されたピン固定台とを備えている。
【0013】
また、請求項2に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記ピン固定台には、前記ピン固定孔の一方の端部の内縁より前記ピン固定台の外方に向かってそれぞれ筒状に突設され、挿入された前記突合孔形成ピンの外周の一部を覆って保護するピン保護筒が設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成し、金型の開閉時に移動される側の可動型に、前記金型が閉じられた場合に、前記固定型に設けられた前記突合孔形成ピンの先端がそれぞれ挿入されるように、前記固定型の前記ピン固定孔および前記ピン保護筒と同様のピン固定孔およびピン保護筒を有するピン固定台を対向して配置したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ピン固定孔は前記ピン固定台を貫通し、前記ピン固定孔の前記一方の端部とは反対側の他方の端部近傍の内周部分において、前記ピン固定孔の内径は、前記一方の端部近傍の内周部分の内径よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記可動型は、金型が開かれる場合に、前記可動型の移動にともない形成された前記光コネクタを前記突合孔形成ピンから離型するために、前記光コネクタを保持する保持部を備えている。
【0017】
また、請求項6に係る発明の光コネクタの金型の構造は、請求項5に記載の発明の構成に加え、前記保持部は、前記可動型の移動方向に対して直交する方向にスライドして前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成するスライド型であって、当該スライド型は、金型が開かれる場合に、前記光コネクタが前記突合孔形成ピンより離型されてから前記光コネクタの保持を解除する方向にスライドされることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した光コネクタの金型の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態の光コネクタの金型1(図12参照)によって射出成形される光コネクタ10を使用した光ファイバ同士の光接続の概要について説明する。図1は、光コネクタ10および光ファイバ51を支持した光プラグ50の斜視図である。
【0019】
図1に示すように、光コネクタ10の筐体は略直方体形状を有し、その筐体には、二組の互いに平行に配列された複数本(本実施例においては16本)の光ファイバ51の各先端51a同士をそれぞれ突き合わせて光接続するため、これら各光ファイバ51を挿入するための複数(本例においては18本)の円筒状の突合孔30が、光ファイバ51の配列にあわせ、筐体の長手方向に沿って互いに平行な等間隔の配列をなすように穿設されている。なお、突合孔30の配列方向における最も外側に配置された2本の突合孔30は、使用されないダミー孔となっている。
【0020】
前述したように、光ファイバ51は約250μmの断面直径を有する光通信線で、複数本が束にまとめられ、光ケーブル52として配線される。光ケーブル52の長さは任意であるが、その端部に光コネクタ10と係合する光プラグ50が設けられることによって、光ファイバ51同士の光接続を行い、延長することができるようになっている。
【0021】
光プラグ50の筐体は、1つの側面に凹部形成された凹部53を有する略直方体形状に構成され、その凹部53の設けられた側面とは反対側の側面より光ケーブル52の一端が接続されている。筐体内部で光ケーブル52より引き出された光ファイバ51は、凹部53の設けられた側面の略中央にあたる位置にてその先端51aを揃えた状態で整列されるように、先端51aより軸方向に所定の長さ分離れた位置を凹部53の内部にて支持されている。この支持された光ファイバ51の軸の配列幅は、光コネクタ10の突合孔30の軸の配列幅と略同一となるように位置決めされている。なお、光ファイバ51の先端51aより所定の長さ分の部分にはコーティングが施されておらず、コアとクラッドとからなるその部分の断面直径は、前述したように約125μmとなっている。
【0022】
光ファイバ51同士の光接続が行われる場合、光コネクタ10の筐体は、光プラグ50の凹部53に、突合孔30の軸方向における略半分の深さまで嵌合されるようになっている。このとき、光コネクタ10の各突合孔30に各光ファイバ51がそれぞれ対応して挿入される。そして、光プラグ50から露出した光コネクタ10の部分がもう1つの光プラグ50の凹部53に嵌合される。そのときに、先の光プラグ50の光ファイバ51が挿入された突合孔30の他端より、後の光プラグ50の光ファイバ51が挿入され、突合孔30の軸方向の略中央の位置で、各々の光ファイバ51の各先端51a同士が突き合わされて、光ファイバ同士の光接続が行われる。
【0023】
上記は光コネクタ10の使用例の一つであるが、以下に、図2〜図9を参照して、この光コネクタ10の構成について説明する。図2は、光コネクタ10の平面図である。図3は、光コネクタ10の底面図である。図4は、光コネクタ10の右側面図である。図5は、光コネクタ10の前面図である。図6は、図2の2点鎖線A−A’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。図7は、図2の2点鎖線B−B’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。図8は、光コネクタ10の左前方斜め上方からみた外観を示す斜視図である。図9は、光コネクタ10の左前方斜め下方からみた外観を示す斜視図である。なお、光コネクタ10の前面方向、背面方向、左側面方向、右側面方向、上面方向、底面方向をそれぞれ−Z方向、+Z方向、−X方向、+X方向、+Y方向、−Y方向とする。
【0024】
上記のように、略直方体形状を有する光コネクタ10の筐体は、その各エッジを面取りされている。図2に示すように、光ファイバ51(図1参照)同士の接続を行う光コネクタ10の筐体の上面11は、平面視、左右方向(X軸方向)を長手方向とする略長方形状を有する。筐体の前後方向における上面11の両端部分(前面側の上面11aおよび背面側の上面11b)を除く上面11の部分には、左右方向に沿った溝状の凹部12が凹設されている。図4に示すように、側面視、凹部12の深さ(Y軸方向における筐体の上面11と凹部12の凹部底面12aとの間の距離)は、筐体の前後方向の長さよりも短く構成された上下方向の長さの4〜5分の1程度であり、また、図2に示すように、溝状の凹部12の幅(凹部底面12aのZ軸方向における長さ)は、筐体の前後方向の長さの3分の2程度である。そして、凹部底面12aは、凹部12の長手方向(X軸方向)両端の縁端部12b,12cにおいて、それぞれ、凹部12の各端辺に向かって筐体の底面方向(図4における−Y方向)に傾斜する斜面が形成されている。
【0025】
図3に示すように、光コネクタ10の筐体の底面13にも凹部14が形成され、図6に示すように、その深さ(Y軸方向における筐体の底面13と凹部14の凹部底面14aとの間の距離)は凹部12と略同一である。しかし、図3に示すように、底面視、凹部14の形状は凹部12とは異なって略矩形状に設けられている。この凹部14は、筐体の底面において左右方向および前後方向にそれぞれ対称となる位置に凹設されている。すなわち、Z軸方向における底面13の両端部分(前面側の底面13aおよび背面側の底面13b)の長さは略同一であり、また、X軸方向における底面13の両端部分(左側面側の底面13cおよび右側面側の底面13d)の長さも同様に略同一となっている。このように、凹部12と凹部14とが異なる形状となっているので、図4に示す、筐体の右側面15は、凹字形状に構成される。なお、図8に示すように、筐体の左側面16の形状は、筐体が前後方向(Z軸方向)において対称な形状となっているため、右側面15と同一である。
【0026】
次に、図5に示すように、筐体の前面17には、略矩形状に凹設された袋穴部18が設けられている。袋穴部18もまた、筐体の前面において左右方向および上下方向にそれぞれ対称となる位置に凹設されている。すなわち、Y軸方向における前面17の両端部分(上面側の前面17aおよび底面側の前面17b)の長さは略同一であり、また、X軸方向における前面17の両端部分(左側面側の前面17cおよび右側面側の前面17d)の長さも同様に略同一となっている。
【0027】
前述したように、光コネクタ10には、互いに平行な等間隔に配列された18本の円筒状の突合孔30が穿設されている。図6に示すように、この突合孔30は、その軸方向が筐体の前後方向(Z軸方向)となるように、また、その配列方向が筐体の左右方向(X軸方向)となるように筐体内を貫通されている。このため、図5に示すように、各突合孔30の軸方向は、前面17と略平行に設けられた袋穴部18の袋穴底面18aに対して直交する。この配列された18本の突合孔30の内周は、袋穴底面18aに孔設された開口18bを介し、袋穴底面18aにそれぞれ接続されている。なお、図7に示すように、開口18bは突合孔30の断面より大きく構成されており、その内周は突合孔30の内周に向かって狭窄されている。これは、光ファイバ51の先端51aの挿入を容易に行えるようにするためである。
【0028】
なお、図9に示すように、筐体の背面19の形状は、前面17と同一であり、背面19には袋穴部20が凹設され、その袋穴底面20aには、筐体内部を貫通する各突合孔30にそれぞれ狭窄して接続される開口20bが一列に並んで孔設されている。このように、筐体の前面17と背面19とは同一の構成となっており、それぞれが、上下方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)に対称な形状となっている。
【0029】
このように構成される光コネクタ10は、従来の技術の説明において述べたように、突合孔30の内周の成形精度、すなわち、突合孔30の軸方向と垂直な断面がどれほど正確な円を形成しているか(真円度)、真円を形成する突合孔30の断面の直径が軸方向のどの部分においても同じであるか(円筒度)、真円を形成する突合孔30の断面の中心は軸方向のどの部分においてもその軸の位置と一致するか(同軸度)などが、極めて正確であることが要求される。このため、この光コネクタを射出成形するための金型1には、極めて高い精度の光コネクタ10を形成するための様々な工夫が施されている。
【0030】
以下、図10〜図16を参照して、光コネクタ10を射出成形するための金型1の構造について説明する。図10は、固定型100の斜視図である。図11は、可動型200およびスライド型300,350の斜視図である。図12は、図10,図11の2点鎖線C−C’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。図13は、図10,図11の2点鎖線D−D’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。図14は、ピン固定台400の斜視図である。図15は、図14の2点鎖線E−E’における矢視方向からみたピン固定台400の断面図である。図16は、ピン係合台450の斜視図である。
【0031】
なお、以下の図において、金型1で形成される光コネクタ10の形成時の向きと、図2〜図9における光コネクタ10の軸方向とは一致させてある。このため、スライド型300,350の摺動方向をY軸方向、金型1の開閉方向をZ軸方向、突合孔30を形成するための突合孔形成ピン110の配列方向をX軸方向とする。また、以下では説明の都合上、Z軸方向を上下方向として説明するが、必ずしもこの向きで射出成形が行われるわけではない(一般的に、射出成形はZ軸方向を水平方向として行われる。)。また、突合孔形成ピン110は、本例では18本設けているが、図12では、説明の都合上、一部を省略して図示した。
【0032】
図10に示す、固定型100は、公知の射出成型機(図示外)に固定された場合に、射出成型機の金型1の固定部分において、金型1の開閉時に移動されない側(射出ノズル側)に配置される金型である。固定型100は、略正方形の板状のコア板101と、コア板101が厚み方向に延長された形状のスプルー板121と、コア板101の板面より一回り大きく厚みがやや小さめの取付板141とが層状に連結固定された略直方体形状を有する。
【0033】
コア板101の分割面101a(図中+Z方向側の面)は、金型1が閉じられた際に可動型200の分割面201a(図11参照)に対向して閉じ合わされる面であり、いわゆるPL(Parting Line)面である(なお、図12、図13において、PLを一点鎖線で示す。)。この分割面101a上には光コネクタ10を形成するための形状や、可動型200との閉じ合わせを行うための構造が設けられている。
【0034】
分割面101aの四隅のそれぞれの近傍には、金型1が閉じられた場合に可動型200のガイドブッシュ202(図11参照)と係合し、固定型100と可動型200との互いの位置決めを行うための4つのガイドピン102が、鉛直方向に突設されている。また、X軸方向に並ぶ2つのガイドピン102のそれぞれの間には、可動型200に設けられたスライド型300,350(図11参照)を金型1の開閉に併せて摺動させるためのアンギュラピン104a,104bが、互いの先端同士が相反する方向(Y軸方向)に向くように、それぞれ斜めに突設されている。
【0035】
分割面101aの略中央には、2本のアンギュラピン104a,104b同士を結ぶ方向と直交する方向(X軸方向)に長手方向を有する略長方形状の凹部112が、分割面101aに対して段違い状に凹設され、この部分において光コネクタ10の前面17(図5参照)が形成される。その凹部112の略中央の位置に、光コネクタ10の袋穴部18(図8参照)を形成するため、分割面101aの水平面よりも突出するように、略直方体形状の袋穴部形成部401が設けられている。
【0036】
図12,図13に示すように、この袋穴部形成部401は、コア板101の中央にてその厚み方向(Z軸方向)に貫通して設けられた略直方体形状のピン固定台400の突起部分である。そのピン固定台400の+Z方向側の外側面400aは、固定型100の分割面101aの一部を構成し、図14に示すように、袋穴部形成部401は、その外側面400aの短手方向(Y軸方向)の中央にて台状に突設され、それが外側面400aの長手方向(X軸方向)の一端から他端にかけて延設されている。外側面400aのうち、袋穴部形成部401の基部の短手方向の両端よりも外側の部分は、それぞれ袋穴部形成部401の長手方向に沿って一段掘り下げられた堀状の凹部400bが設けられており、この凹部400bが、固定型100の分割面101aの凹部112の一部を構成している。
【0037】
ピン固定台400には、袋穴部形成部401の突設先端側(+Z方向側)の面401aの長手方向に沿った中央線に沿って、ほぼ等間隔に、Z軸方向を軸方向とするピン固定孔402が複数本(本実施例では18本)、穿設されている。図15に示すように、ピン固定孔402は、ピン固定台400を貫通されており、ピン固定孔402のうち、袋穴部形成部401が突設された側とは反対側の端部より所定長分(本実施例ではピン固定台400のZ軸方向の長さの1/2程度)にあたるピン固定部402aは、その内径が、ピン固定孔402の他の部分より一回り大きく構成されている。そして、袋穴部形成部401の突設先端側の面401a側のピン固定孔402の内縁は、ピン固定台400の外方に向かって筒状に突設されており、この部分は、その突設先端に向かって先細り状のピン保護筒403として構成されている。このピン保護筒403により、ピン固定台400から露出した部分の突合孔形成ピン110の根元部分を保護することができる
【0038】
各ピン固定孔402には、複数本(本実施例では18本)の突合孔形成ピン110がそれぞれ係合されている。突合孔形成ピン110は外径が一定の丸棒であり、一端がピン固定台400の−Z方向側の面に揃えられ、他端はピン固定台400の外方に、先端110aを尖らされた状態で延設されている。そして、突合孔形成ピン110は、ピン固定部402aにおけるピン固定孔402の内周と、突合孔形成ピン110の外周との間の隙間に流し込まれる接着剤等が固化されることによって、ピン固定台400に固定されるようになっている。
【0039】
次に、図12に示すように、スプルー板121内には、固定型100の取付板141に開口されたノズル口142より射出成型機(図示外)から注入される成形材料を二手に分け、分割面101a側に導くスプルー122が設けられている。図10に示すように、分割面101aには、このスプルー122を介して分割面101a側に流動される成形材料を、光コネクタ10の成形位置に導くためのランナー103が溝状に凹設されている。ランナー103とスプルー122との接続部103aは、凹部112の長手方向の両端より外側の位置に2箇所、設けられており、接続部103aからランナー103内に侵入する成形材料は、このランナー103によって、凹部112の短手方向の両端の外側の位置まで誘導されるようになっている。そして、ランナー103内における成形材料の流路末端は、凹部112の長手方向と平行に、凹部112の長手方向よりも長い溝103bが溝状に凹設され、成形材料は、その溝103bの略中央にて、溝設方向と直交する方向から溝103b内に流入される。
【0040】
次いで、図12に示すように、接続部103aとの接続部分である上記スプルー122の先端部分は狭窄状に設けられており、成形後に金型1が開いた時に、スプルー122内の成形材料をランナー103内の成形材料から容易に分離できるようになっている。また、本実施の形態では、光コネクタ10はジルコニア等のセラミックスを原材料としている。射出成形時には、ジルコニア粉体に熱可塑性樹脂等からなるバインダが混合された成形材料が使用されるが、この成形材料は粘弾性が高い。このため、図示しないが、スプルー122には、その通路のほぼ全体に渡って加熱コイルが周設されており、成形材料がスプルー122内で冷えて粘弾性がさらに高められることが防止されている。
【0041】
次に、図11に示す、可動型200は、射出成型機(図示外)の金型1の固定部分において、金型1の開閉時に移動される側に配置される金型である。可動型200は、光コネクタ10のキャビティ210などが設けられた略正方形の板状のキャビティ板201と、成形後にキャビティ210内に残る光コネクタ10を押し出すためのエジェクタピン236a〜236c(図12,図19参照)を出退させる押出プレート235の移動を規制し、キャビティ板201より厚みが小さい当て板221と、押出プレート235の移動空間を構築するためのスペーサブロック231と、可動型200を射出成型機に取り付けるための取付板241とが、固定型100と同様に、層状に連結固定された略直方体形状を有する。なお、押出プレート235は、図11〜図13,図17〜図19に示されるように、2枚のプレートを重合してねじ手段(図示せず)により一体係合され、図12に示されるように、エジェクタピン236a〜236cの各基端部を2枚のプレートによって挟持固定している。
【0042】
キャビティ板201は略直方体形状の厚めの金属板で、その上部中央には、キャビティ板201のY軸方向の一対の側面間を溝状に貫通するスライド溝205が設けられており、−Y方向からみたキャビティ板201は、略凹字形状を有している。キャビティ板201の分割面201a(−Z方向側の面)は、分割面101aに対向するPL面である。この分割面201a上には、分割面101a上の構造に対応した構造が設けられている。
【0043】
分割面201aの四隅のそれぞれの近傍には、固定型100の4本のガイドピン102のそれぞれに係合するガイドブッシュ202が孔設されており、前述したように、固定型100と可動型200との型閉じの際の位置決めを担う。
【0044】
また、スライド溝205の両側には、分割面101a上に凹設された2つのランナー103の各溝103bの各両端部分に対応する位置に、エジェクト孔203aがそれぞれ設けられている。さらに、近接する2つのエジェクト孔203aの間の位置で、固定型100の接続部103aに対向する位置にはエジェクト孔203bが設けられ、後述するキャビティ210内にも、エジェクト孔203c(図12参照)が設けられている。これらエジェクト孔203a〜203cは、キャビティ板201および当て板221をそれぞれ貫通しており、押出プレート235から鉛直方向に突設されたエジェクタピン236a(図17参照),236b,236c(図12参照)がそれぞれ出退可能に挿入されている。なお、エジェクタピンとエジェクト孔は、他にも複数設けられていてもよい。エジェクタピン236a〜236cの外周と、エジェクト孔203a〜203cの内周との間の隙間は数ミクロン程度であり、この隙間より、射出成形時に成形材料から発生されるガスや、ランナー103やキャビティ210内に残る空気が排出されるようになっている。
【0045】
スライド溝205内には、その溝方向(Y軸方向)に摺動可能な2つのスライド型300,350がそれぞれ設けられている。スライド型300、350は、分割面201aの略中央の位置で、お互いの一つの側面同士が対向して合わさり、その合わせ面に各々設けられた凹部にて、光コネクタ10を形成するためのキャビティ210が構成されている。キャビティ210には、光コネクタ10の外側面の形状を形成するための突起や窪み等(例えば、図13に示す、光コネクタ10の凹部12,14(図7参照)を形成するための凸部210b、210aなど)が設けられている。このキャビティ210で形成される光コネクタ10の筐体の向きは、突合孔30の軸方向がZ軸方向、その配列方向がX軸方向、上面11側が+Y方向側、底面13側が−Y方向側となっている。このため、上記キャビティ210の凸部210a,210bは、それぞれスライド型300,350の各合わせ面に設けられている。なお、凸部210a,210bが、本発明における「保持部」として機能する。
【0046】
図12,図13,図16に示すように、キャビティ210の底部(+Z方向側の内面部分)は略中央にてその厚み方向に貫通され、キャビティ210内に進入する突合孔形成ピン110のそれぞれの先端110aが係合して固定されるピン係合孔452が穿設されたピン係合台450が設けられている。ピン係合台450は、ピン固定台400(図14参照)とほぼ同様の構成であり、袋穴部形成部451と、ピン係合孔452と、ピン保護筒453と、ピン固定部452aと、凹部450bとがそれぞれ袋穴部形成部401と、ピン固定孔402と、ピン保護筒403と、ピン固定部402aと、凹部400bとに相当し、互いに同等の大きさとなっている。なお、凹部450bは、光コネクタ10の背面19(図9参照)を形成する凹部113の一部を構成する。
【0047】
また、ピン係合台450の+Z方向側の外側面450aは、ピン固定台400の外側面400aとは異なり、Z軸方向における凹部450bからの距離が、外側面400aと凹部400bとの間の距離よりも大きくなっている。図13に示すように、その距離は、凹部450bと、光コネクタ10の凹部12,14のZ軸方向側の内側面12d,14d(図7参照)との間の距離となっている。これにより、ピン固定台400がキャビティ板201に固定された場合に、外側面400aが、スライド型300,350が摺動するキャビティ板201のスライド溝205の底面と同一な平面内に位置されるようになっている。
【0048】
そして、図11に示すように、分割面201aのうちのスライド型300,350の上面にあたる部分には、キャビティ210内に成形材料を導入するための導入路であるゲート302,352がそれぞれキャビティ210に接続して凹設されている。ゲート302,352は、固定型100のランナー103と溝103bの位置で接続されており、ランナー103を通ってゲート302,352に侵入する成形材料は、ゲート302,352内をY軸方向に流れてキャビティ210に注入される。ゲート302,352はX軸方向に広い幅を有している。
【0049】
また、図11に示すように、スライド型300,350にはそれぞれ、固定型100から突設された2本のアンギュラピン104a,104bが係合されるピン受孔301,351が穿設されている。図13に示すように、アンギュラピン104aは、固定型100の分割面101aの鉛直方向(+Z方向)よりやや−Y方向に、また、アンギュラピン104bはアンギュラピン104aと同様の状態で、やや+Y方向に傾いて、それぞれ突設されている。ピン受孔301,351も、それぞれ係合されるアンギュラピン104a,104bと略同一方向、略同一角度の傾きが設けられている。ピン受孔301,351の内径は、アンギュラピン104a,104bの外径よりも大きくなるように構成されている。
【0050】
なお、取付板241の略中央には、押出プレート235をZ軸方向に出退させるための駆動ピン(図示外)が係合されるプレート出退孔242が穿設されている。
【0051】
光コネクタ10の生産は、大方、以下の工程に沿って行われる。まず、光コネクタ10の射出成形が行われる(射出成形工程)。射出成形工程では、射出成型機の成形サイクル(金型の型閉じ、成形材料の充填、成形材料の固化、金型の型開き、光コネクタ10の取り出し)に従って、光コネクタ10の形成が行われる。ところで、前述したように、本実施例の光コネクタ10には、ジルコニア等のセラミックスの粉体にバインダが混合された成形材料が使用される。このため、射出成形工程後には、例えば約500度に加熱され、内包する水分の除去とバインダ成分の分解が行われる(乾燥工程)。なお、前記乾燥工程の前にゲートカットによりランナーが取り除かれる(ゲート加工工程)。さらに、例えば約1400度に加熱される、いわゆる焼結が行われる(焼結工程)。そして、研磨等による光コネクタ10の表面加工が施され(表面加工工程)、光コネクタ10の製品化が行われる。
【0052】
このように生産される光コネクタ10は、前述したように、突合孔30の内周の成形精度(真円度、円筒度、同軸度など)が、極めて正確であることが要求される。特に、射出成形工程における成形精度は、その後の工程を経て生産される光コネクタ10の製品としての精度において重要となる。図15に示すように、高い精度が求められる突合孔30の内周を形成する突合孔形成ピン110は、前述したように、外径が一定の丸棒である。このような突合孔形成ピン110は、突合孔形成ピン110の構成が単純なために、例えばセンタレス研磨などの容易な加工を行うだけで、その精度を極めて高いものとすることができ、かつ、安価に製造することができる。
【0053】
以下、図12〜図19を参照して、光コネクタ10の射出成形時の金型1の動作について説明する。図17は、金型1の型閉じ前の状態を示す斜視図である。図18は、金型1で光コネクタ10の成形後、型開きされた状態を示す斜視図である。図19は、金型1で光コネクタ10の成形後、光コネクタ10が離型される状態を示す斜視図である。
【0054】
前述したように、金型1は射出成型機(図示外)に取り付けられて使用される。通常の射出成型機では水平方向に型の開閉が行われるようになっており、金型1は、図17において、Z軸方向を水平方向として射出成型機に取り付けられる。このとき、固定型100は、金型1の開閉時に移動されない側の固定部分に配置され、射出ノズル(図示外)の先端が固定型100のノズル口142に係合される。また、スライド型300,350の摺動時に、スライド型300,350の重量による負荷がアンギュラピン104a,104bにかからないように、X軸方向を上下方向として射出成型機に取り付けられる。なお、射出成型機への金型1の取り付けは、必ずしも上記の向きで行われる必要はない。
【0055】
射出成形が開始されると、まず、型閉じが行われる。可動型200が固定型100に向かって移動され、金型1が閉じられる。このとき、固定型100の4本のガイドピン102が、可動型200の4つのガイドブッシュ202に係合され、これにより、固定型100と可動型200との位置決めが行われる。また、図13に示すように、可動型200の方向(+Z方向)に向かって互いが外開き状に突設されている固定型100のアンギュラピン104a,104bに対して、固定型100の方向(−Z方向)に向かって互いがすぼみ状に孔設されている可動型200のピン受孔301,351がそれぞれ係合される。すると、固定されたアンギュラピン104a,104bに、ピン受孔301,351の+Z方向側の内周面が当接され、そのピン受孔301,351が設けられたスライド型300,350がその応力によって、規制された方向、すなわち、スライド型300は−Y方向、スライド型350は+Y方向に向かってそれぞれ摺動される。
【0056】
キャビティ210内に進入する各突合孔形成ピン110の各先端110aがピン係合台450の各ピン係合孔452に係合され、金型1の型閉じが完了すると、スライド型300,350の互いの対向面同士、および、固定型100の分割面101aと可動型200の分割面201aとがそれぞれ密着状態となる。各型のキャビティ210の構成部分が集合してキャビティ210が構成され、ゲート302、352、ランナー103、およびスプルー122が、成形材料の通路を構成して、キャビティ210とノズル口142とを接続する。
【0057】
次に、射出成型機の射出ノズル(図示外)の先端が移動されてノズル口142に接続され、成形材料の射出が行われる。図17に示すように、成形材料はスプルー122を通り、図12に示すように、スプルー122にて二手に分けられて、2箇所の接続部103aからそれぞれランナー103内に侵入する。そして、ランナー103内を流動する成形材料はそれぞれの流路(図10参照)を通り、図13に示す、溝103bに達して、ここからゲート302,352にそれぞれ侵入する。そして、成形材料はゲート302,352を介してキャビティ210内に充填される。
【0058】
このようにして、金型1への成形材料の充填が完了すると、金型1を閉じた状態でしばらく放置され、その間に成形材料が固化される。その後、金型1の型開きが行われる。上記型閉じの際と同様に、図13に示すように、アンギュラピン104a,104bに対して今度は+Z方向に移動されるピン受孔301,351の−Z方向側の内面がそれぞれ当接され、スライド型300,350に動力が伝達される。
【0059】
ところで、前述したように、ピン受孔301,351およびそれぞれに係合されるアンギュラピン104a,104は、略同一方向、略同一角度の傾きが設けられ、また、ピン受孔301,351の内径はアンギュラピン104a,104bの外径よりも大きくなっている。これにより、型開きが開始されて+Z方向に移動されるピン受孔301,351の−Z方向側の内面がアンギュラピン104a,104bのそれぞれに当接されるまでにタイムラグが生じる。すなわち、型開きが開始されてからしばらくの間、ピン受孔301,351と、アンギュラピン104a,104bとが当接されないので、スライド型300,350は摺動されないのである。
【0060】
この間、互いが閉じた状態となっているスライド型300,350は、光コネクタ10の凹部12,14を形成するキャビティ210の凸部210b,210aは、光コネクタの凹部12,14に係合した状態のままで維持される。このため、Z軸方向に型開きが行われる金型1では、凸部210a,210bがそれぞれ光コネクタ10の内側面12d,14d(図7参照)に当接する。その結果、形成された光コネクタ10、およびそれと接合したゲート302,352内、ランナー103内で固化した成形材料が可動型200に保持され、固定型100から離型される。
【0061】
また、光コネクタ10の突合孔30を形成する突合孔形成ピン110は固定型100に固定されており、型開きの際に、可動型200に保持された光コネクタ10がその突合孔形成ピン110の軸方向にまっすぐ引き抜かれる。このため、光コネクタ10の重量が突合孔形成ピン110に負荷としてかかることがない。
【0062】
さらに可動型200と固定型100との間の距離が離れることによって、ピン受孔301,351と、アンギュラピン104a,104bとが当接され、上記型閉じの際と同様に、アンギュラピン104a,104bに対して今度は+Z方向に移動されるピン受孔301,351の−Z方向側の内面がそれぞれ当接され、スライド型300,350に動力が伝達される。これにより、図18に示すように、応力を受けたスライド型300,350は、互いに離れる方向に摺動される。
【0063】
次いで、図19に示すように、射出成型機の駆動ピン(図示外)が、押出プレート235を−Z方向に押圧して移動させる。すると、押出プレート235から突設されたエジェクタピン236a,236b,236c(図12参照)がそれぞれ−Z方向に移動され、それぞれの先端により、成形された光コネクタ10とランナー103やゲート302,352の部分などで固化された成形材料とが可動型200から押し出される。
【0064】
このとき、スライド型300,350は既に光コネクタ10から離れているので、光コネクタ10が可動型200と接している部分は、図16に示す、ピン係合台450に係合する部分、および、スライド溝205の底面に凹設された凹部113に係合する部分のみである。このように光コネクタ10が可動型200に接する部分が少ないので、可動型200からの離型が行われる際の離型抵抗が小さくなり、離型抵抗による光コネクタ10の歪みなどを低減することができる。こうして、金型1から光コネクタ10の離型が行われる。
【0065】
このようにして金型1で射出成形された光コネクタ10は、ゲート加工工程、乾燥工程、焼結工程、表面加工工程を経て製品として完成される。射出成形工程において、極めて高い精度で製造した突合孔形成ピン110により、極めて高い精度の突合孔30を形成することができる。また、離型時の光コネクタ10にかかる離型抵抗を小さくして、光コネクタ10の変形を防ぐことで、光コネクタ10の成形精度(真円度、円筒度、同軸度など)を維持して金型1から離型させることができる。
【0066】
なお、仮に、突合孔形成ピン110が可動型200にあり、光コネクタ10がエジェクタピンによって離型された場合、光コネクタ10がピン係合台450に係合する部分、および、スライド溝205の底面に凹設された凹部113に係合する部分からはずれた時点で光コネクタ10の重量が突合孔形成ピン110に負荷としてかかってしまい、突合孔形成ピン110の破損を招いてしまう。さらに、スライド型300,350による光コネクタ10の保持が行われなかった場合、型開きの際に突合孔形成ピン110に突合孔30が係合したまま光コネクタ10が固定型100に残ってしまい、上記同様の理由で突合孔形成ピン110の破損を招き、好ましくない。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態の光コネクタ10を射出成形するための金型1では、外径が一定の丸棒を、光コネクタ10の突合孔30の内周を形成するための突合孔形成ピン110として使用できる。このため、突合孔形成ピン110の加工に複雑な加工を必要としないので、極めて高い精度の突合孔形成ピン110を安価に製造できる。また、型開きの際に、可動型200に光コネクタ10を保持させて、固定型100に設けた突合孔形成ピン110から光コネクタ10を引き抜くことで、突合孔形成ピン110に対して光コネクタ10の重量による負荷を与えることがなく、突合孔形成ピン110の破損を防止することができる。
【0068】
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、図20に示すように、ピン係合台450の代わりにピン固定台400を使用してもよい。この場合、ピン固定台400とピン係合台450との相違部分は、スライド型300,350同士の合わせ面において、その形状を再現すれば足りる。これにより、ピン係合台450を製造する必要がなく、しかも、全く同一の仕様であるピン固定台400のピン固定孔402に突合孔形成ピン110の各先端110aを係合させることで、キャビティ210内における突合孔形成ピン110の位置決めを正確に行うことができる。また、2つのピン固定台400は同一の工法で製造できるので、各ピン固定孔402の位置などの精度を高くすることができる。
【0069】
また、金型1で形成される光コネクタ10の筐体は略直方体形状であるが、この形状に限らず、円筒形状、多角柱形状など任意の形状であってもよい。また、形成される光コネクタ10は、光プラグ50のそれぞれに係合して使用されるが、光コネクタ10の筐体の外周から光コネクタ10を保持するアダプタを設けて光プラグ50が支持されるようにしてもよい。この場合、光コネクタ10の筐体をアダプタが保持するための部分に光プラグ50の筐体が干渉しないようにするためには、光プラグ50の筐体に切欠や突設部等を設ければよい。
【0070】
また、凹部12は溝状、凹部14は略矩形状に凹設されたが、それぞれ任意の形状であってもよく、少なくとも突合孔30の配列平面に対向する位置に凹部底面12a,14aが設けられていればよい。また、凹部12の深さと凹部14の深さとは同じとしたが、突合孔30の軸から各凹部12,14のそれぞれの凹部底面12a,14aまでの距離が同じであればよく、筐体の外側面等に対する深さは異なっていてもよい。
【0071】
また、突合孔形成ピン110は必ずしも一直線上に配列されていなくともジグザグ状の配列や複数列の配列でもよく、等間隔な配列となっていなくともよい。また、可動型200を金型1の型の開閉時に移動される側としたが、固定型100を移動される側としてもよい。なお、型開きの際に、光コネクタ10を保持する側の金型と、突合孔形成ピン110が設けられる側の金型とは異なるようにすることで、光コネクタ10の離型時に、その重量で突合孔形成ピン110を破損することを防止できる。
【0072】
また、光コネクタ10の成形材料として、ジルコニア等のセラミックスの粉体に熱可塑性樹脂等からなるバインダが混合された成形材料を利用したが、これに限らず、金属の粉体、アルミナ、ジルコニアの混合粉体等にバインダを混合した成形材料等を利用してもよい。
【0073】
また、光ファイバ51同士の接続は、それを支持した光プラグ50同士の接続による場合に限らず、光コネクタ10を、例えば、基板用の接続コネクタとして配線基板上などに配置し、突合孔30の一端側より基板上の配線を挿入し、他端側に光プラグ50を抜き差し可能としてもよい。
【0074】
また、突合孔形成ピン110は、ピン固定台400に接着剤等によって固定されるが、その他の方法によって、固定、あるいはピン固定孔402から抜けにくくしてもよい。例えば、突合孔形成ピン110のピン固定部402aに対応する部分の外周にメッキ等を施し、ピン固定孔402の内周とメッキ等との摩擦により突合孔形成ピン110を抜けにくくしてもよい。また、ピン固定孔402に流し込む接着剤として、その粘度が十分に低いものを使用した場合には、ピン固定孔402aを設けなくともよい。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明の光コネクタの金型の構造では、光コネクタの突合孔形成ピンとして径が一定の単純な形状のピンを利用することで、突合孔形成ピンの精度を高めやすく、光コネクタの突合孔を高精度で形成することができる。また、突合孔形成ピンの形状が単純なため、精度よく加工するための工程を簡易化することができる。
【0076】
また、請求項2に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1に係る発明の効果に加え、ピン固定台に固定された突合孔形成ピンの露出部分で、ピン固定台に近い側の近傍は、ピン保護筒で保護されているので、突合孔形成ピンを折れにくくすることができる。
【0077】
また、請求項3に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1または2に係る発明の効果に加え、可動型に突合孔形成ピンを位置決めするため、その先端を挿入する受け側として、固定型に設けたものと同一のピン固定台等を設けることで、突合孔形成ピンの位置決めとして利用することができるとともに、突合孔形成ピンの先端部を保護することができ、しかも、ピン固定台を固定型、可動型の両方に区別なく共通に利用できる。
【0078】
また、請求項4に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1乃至3のいずれかに係る発明の効果に加え、ピン固定孔の他方の端部近傍の内径が、一方の端部近傍の内径より大きくなっているので、挿入された突合孔形成ピンと、その内径の大きな部分のピン固定孔との間に接着剤を注入したり、あるいは、その内径の大きな部分に対向する突合孔形成ピンの外周部分にあらかじめメッキ等を塗布したその突合孔形成ピンを挿入することで、突合孔形成ピンをピン固定台に完全に固定することができる。
【0079】
また、請求項5に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項1乃至4のいずれかに係る発明の効果に加え、金型が開かれる場合に、可動型側に光コネクタを保持して突合孔形成ピンからの離型を行うので、突合孔形成ピンに対して付着した光コネクタを突合孔形成ピンから確実に分離解除して、その光コネクタを可動型側に取り出すことができ、しかも、突合孔形成ピンの破損を防ぐことができる。
【0080】
また、請求項6に係る発明の光コネクタの金型の構造では、請求項5に係る発明の効果に加え、光コネクタが可動型から離型される場合には、スライド型が開かれることによって光コネクタの保持が解除されるので、光コネクタが可動型から離型される際にその可動型に接する部分が少なくなり、離型抵抗による光コネクタの歪み等を低減できるので、光コネクタの精度を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光コネクタ10および光ファイバ51を支持した光プラグ50の斜視図である。
【図2】光コネクタ10の平面図である。
【図3】光コネクタ10の底面図である。
【図4】光コネクタ10の右側面図である。
【図5】光コネクタ10の前面図である。
【図6】図2の2点鎖線A−A’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。
【図7】図2の2点鎖線B−B’における矢視方向からみた光コネクタ10の断面図である。
【図8】光コネクタ10の左前方斜め上方からみた外観を示す斜視図である。
【図9】光コネクタ10の左前方斜め下方からみた外観を示す斜視図である。
【図10】固定型100の斜視図である。
【図11】可動型200およびスライド型300,350の斜視図である。
【図12】図10,図11の2点鎖線C−C’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。
【図13】図10,図11の2点鎖線D−D’における矢視方向からみた、金型1を閉じた場合の断面図である。
【図14】ピン固定台400の斜視図である。
【図15】図14の2点鎖線E−E’における矢視方向からみたピン固定台400の断面図である。
【図16】ピン係合台450の斜視図である。
【図17】金型1の型閉じ前の状態を示す斜視図である。
【図18】金型1で光コネクタ10の成形後、型開きされた状態を示す斜視図である。
【図19】金型1で光コネクタ10の成形後、光コネクタ10が離型される状態を示す斜視図である。
【図20】ピン係合台450の代わりにピン固定台400を使用した変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 金型
10 光コネクタ
30 突合孔
51 光ファイバ
51a 先端
100 固定型
110 突合孔形成ピン
200 可動型
210 キャビティ
210a,210b 凸部
300,350 スライド型
400 ピン固定台
402 ピン固定孔
402a ピン固定部
403 ピン保護筒
Claims (6)
- 二組の互いに平行に配列された複数本の光ファイバの各先端同士が突き合わされて接続されるための突合孔を有する光コネクタが、射出成形によって形成されるための光コネクタの金型の構造であって、
前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成し、金型の開閉時に固定される側の固定型に、
先端側から後端側までの間で一定の径を有し、前記突合孔を形成するための複数本の突合孔形成ピンと、
当該突合孔形成ピンを挿入して固定するための複数のピン固定孔が平行に配列されて穿設されたピン固定台と
を備えたことを特徴とする光コネクタの金型の構造。 - 前記ピン固定台には、前記ピン固定孔の一方の端部の内縁より前記ピン固定台の外方に向かってそれぞれ筒状に突設され、挿入された前記突合孔形成ピンの外周の一部を覆って保護するピン保護筒が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の光コネクタの金型の構造。
- 前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成し、金型の開閉時に移動される側の可動型に、
前記金型が閉じられた場合に、前記固定型に設けられた前記突合孔形成ピンの先端がそれぞれ挿入されるように、前記固定型の前記ピン固定孔および前記ピン保護筒と同様のピン固定孔およびピン保護筒を有するピン固定台を対向して配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタの金型の構造。 - 前記ピン固定孔は前記ピン固定台を貫通し、前記ピン固定孔の前記一方の端部とは反対側の他方の端部近傍の内周部分において、前記ピン固定孔の内径は、前記一方の端部近傍の内周部分の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光コネクタの金型の構造。
- 前記可動型は、金型が開かれる場合に、前記可動型の移動にともない形成された前記光コネクタを前記突合孔形成ピンから離型するために、前記光コネクタを保持する保持部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光コネクタの金型の構造。
- 前記保持部は、前記可動型の移動方向に対して直交する方向にスライドして前記光コネクタを形成するためのキャビティの一部を構成するスライド型であって、
当該スライド型は、金型が開かれる場合に、前記光コネクタが前記突合孔形成ピンより離型されてから前記光コネクタの保持を解除する方向にスライドされることを特徴とする請求項5に記載の光コネクタの金型の構造。
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2003
- 2003-03-19 JP JP2003075370A patent/JP2004284030A/ja active Pending
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