JP2004283187A - 車椅子 - Google Patents
車椅子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004283187A JP2004283187A JP2003075201A JP2003075201A JP2004283187A JP 2004283187 A JP2004283187 A JP 2004283187A JP 2003075201 A JP2003075201 A JP 2003075201A JP 2003075201 A JP2003075201 A JP 2003075201A JP 2004283187 A JP2004283187 A JP 2004283187A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wheelchair
- body frame
- rear caster
- main
- main body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Handcart (AREA)
Abstract
【課 題】重度障害児(者)の利用に好適なティルト機能を有する、軽量で安価な車椅子を提供する。
【解決手段】主車輪と、主車輪の車軸に回転可能に保持され、前端部下方に前輪を取り付けた本体フレームと、主車輪の車軸位置より後方上方で本体フレームの後端部に一端を回動可能に軸支され、他端に後足車を取り付けた後足車支持フレームと、後足車支持フレームと本体フレームの下方部との間に両端をそれぞれ回動可能に軸支され略水平方向に伸縮する伸縮手段と、を配設した車椅子とする。これにより、軽量で安価な車椅子となり、しかも転倒の心配もなく安全に、車椅子全体を大きくティルトでき、障害者の体圧分散が容易となる。
【選択図】 図1
【解決手段】主車輪と、主車輪の車軸に回転可能に保持され、前端部下方に前輪を取り付けた本体フレームと、主車輪の車軸位置より後方上方で本体フレームの後端部に一端を回動可能に軸支され、他端に後足車を取り付けた後足車支持フレームと、後足車支持フレームと本体フレームの下方部との間に両端をそれぞれ回動可能に軸支され略水平方向に伸縮する伸縮手段と、を配設した車椅子とする。これにより、軽量で安価な車椅子となり、しかも転倒の心配もなく安全に、車椅子全体を大きくティルトでき、障害者の体圧分散が容易となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車椅子に係り、とくに重度障害者用として、転倒を防止し、傾斜角を大きくできるティルト機能を有する車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
車椅子は、一般に、一対の主車輪と、その間に設けられた本体フレームと、一対の前輪とを備えて、障害者を座位姿勢で支持し、障害者自身または介助者の操作により障害者の移動を可能にしている。通常、本体フレームは、背もたれシートを装着するバックレスト部と、主車輪に連結するバック部と、座シートを装着するシートサイド部と、前輪に連結するフロント部と、本体フレームの剛性を高めるベース部と、を有している。なお、通常、バックレスト部の上部先端部には介助者の操作用としてプッシュハンドルが取り付けられている。また、前輪はベース部に取り付けられることもある。
【0003】
このような車椅子には、障害者が背を延ばしたり、あるいは体圧を分散させるために、リクライニング(ティルトともいう)機構を備えることが要望されている。
従来のリクライニング機構としては、バックレスト部をシートサイド部に対し傾倒可能に構成したものが用いられてきた。しかし、このような機構によりリクライニングすると、障害者が座位を変更する必要があり、とくに重度な障害者にとっては、困難な動作を強いられることとなる。このため、障害者が座位姿勢を変更することなく、リクライニングできる車椅子が熱望されている。
【0004】
このような要望に対し、例えば、特許文献1には、座面に対し背もたれの角度を維持したまま傾斜できる、リクライニング機構を有する車椅子が提案されている。特許文献1に記載された車椅子は、前輪と主車輪とを支持する車輪フレームを一対、障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして配置し、座席フレーム体を揺動可能に支持するように軸着し、さらに車輪フレームと座席フレーム体との間に、座席フレーム体の揺動時に座席フレーム体を支持して揺動可能なガイド手段を配設している。この車椅子によれば、障害者が座位姿勢を変更することなくリクライニングできるとしている。
【0005】
また、特許文献2には、市販されている汎用折り畳み車椅子に、車椅子チルト機能補助具を取り付け、チルト機能を備えた車椅子とする技術が提案されている。特許文献2に記載された車椅子チルト機能補助具は、大車輪(主車輪)間に着脱可能に装着される下車挟持部と、該下車挟持部の略中間部下方に装着される補助輪を具備した荷重支持部と、両ハンドル(プッシュハンドル)間に設けた上車挟持棒と、該荷重支持部と該上車挟持棒との間に設置される伸縮手段と、を備えており、新たにチルト式専用車椅子を購入することなく、汎用の車椅子を容易に傾斜させることができ、しかもその傾斜した状態をそのまま維持できるとしている。
【0006】
また、リクライニングを主目的としてはいないが、段差を乗り越えるために傾斜ないし揺動させることが可能な車椅子が種々提案されている。例えば、特許文献3には、主車輪と、該主車輪の軸受けパイプに回動自在に保持され前端部下方に前足車(前輪)が取り付けられた椅子フレームと、該主車輪の軸受けパイプから後方へ伸びて後端に後足車を備えた後足車フレームとを有し、該椅子フレームと該後足車フレームとの間に上下端で軸支された垂直方向の伸縮ロッドを備えるとともに、該伸縮ロッドには遠隔操作可能なロック機構が設けられた車椅子が提案されている。特許文献3に記載された車椅子では、利用者自身の重心移動と、伸縮ロッドのロック機構の解除・ロックを組み合わせて、椅子フレームを後傾させ、前輪を上方に浮かせ後足車で支持された状態を維持しつつ、車椅子を前進させ、段差を乗り越えることができるとしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−65752号公報
【特許文献2】
特開2002−159536 号公報
【特許文献3】
特開平8−38552号公報
【0008】
【発明の解決しようとする課題】
特許文献1に記載された車椅子は、確かに障害者が座位姿勢を変更することなくリクライニングできるが、しかし車椅子構造が複雑で、部品点数が多くなり高価となるうえ、故障しやすく、さらに車椅子の重量も増加して、介護者・介助者などへの経済的、体力的な負担が増大するという問題がある。また、特許文献1に記載された車椅子では、リクライニング角度を大きくするとともに、重心が主車輪の車軸取り付け位置より後方に移動した場合には、転倒する恐れがあるという問題もある。
【0009】
また、特許文献2に記載された車椅子チルト機能補助具を備えた車椅子は、簡単な構造でリクライニングすることができるが、特許文献1に記載された車椅子と同様に、リクライニング角度を大きくするとともに、重心が主車輪の車軸取り付け位置より後方に移動する場合があり、転倒する恐れがあるという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に記載された車椅子でも、座位姿勢を変更することなくリクライニングすることができるが、リクライニングを主目的としていないため、傾斜角度が小さく、利用者(障害者)の体圧分散という目的を十分には達成できないという問題がある。さらに、重心移動を大きくしすぎると、重心が後足車より後方に移動する場合があり、車椅子の安定性が低下し転倒する恐れがある。
【0011】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、座位姿勢を変更することなくリクライニングでき、しかも転倒の恐れがなく、利用者の体圧分散を安全にしかも安定して可能とする、とくに重度障害児(者)の利用に好適な、ティルト機能を有する、軽量で安価な車椅子を提案することを目的とする。また、本発明では、上記した目的を達成でき、しかも介助者の邪魔にならない構造の車椅子とすることも目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成できる車椅子のティルト機構について鋭意検討した。その結果、軽量でかつ安価な車椅子とするためには、複雑なティルト機構を付加することなく、車椅子全体をティルト可能な構造とすることがよいことに想到した。そして、本体フレームを主車輪の車軸に回転可能に保持し、さらに他端に後足車を取り付けた後足車支持フレームを、その一端を主車輪の車軸位置より後方に配置した支点に回動可能に設けるとともに、この後足車支持フレームと本体フレームとを回動可能にした伸縮手段で連結することにより、車椅子を一体としてティルトできることを思い付いた。
【0013】
本発明は、上記した知見に基づきさらに検討を加えて完成したものである。
すなわち、本発明は、主車輪と、該主車輪の車軸に保持され前端部下方に前輪を取り付けられた本体フレームと、を備えた車椅子であって、前記本体フレームが前記主車輪の車軸に回転可能に保持されるとともに、前記主車輪の車軸位置より後方上方で前記本体フレームの後端部に一端を回動可能に軸支され、他端に後足車を取り付けた後足車支持フレームと、該後足車支持フレームの中間部と前記本体フレームの下方部との間に両端をそれぞれ回動可能に軸支され略水平方向に伸縮する伸縮手段と、が配設されていることを特徴とするティルト機能を有する車椅子であり、また、本発明では、前記伸縮手段が、ガス圧駆動であることが好ましく、また、本発明では、前記伸縮手段が、ロック機構を有することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の車椅子の一実施例を、前輪が接地した水平状態で、図1に示す。
本発明の車椅子は、主車輪1と、本体フレーム2と、前輪3と、後足車4と、後足車4を支持する後足車支持フレーム41と、伸縮手段5とを備える。
左右1対の主車輪1の間には、本体フレーム2が設置される。本体フレーム2は、曲げ加工されたアルミニウム管等を連結して利用者に応じ各部位置を調整可能に構成することが好ましく、バックレスト部21と、バック部22と、シートサイド部23と、フロント部24と、ベース部25と、アームレスト部26とを、左右1対有し、利用者(障害者)を座位姿勢で支持する構造を有する。なお、本体フレーム2の構造は図1に示された構造に限定されないことはいうまでもない。
【0015】
バックレスト部21には、背もたれシートが装着され、さらにバックレスト部21の上部先端部には介助者の操作用としてプッシュハンドル211 が取り付けられることが好ましい。なお、左右のバックレスト部21間にはヘッドレスト(図示せず)を装着可能とすることが好ましい。
バック部22には、主車輪の車軸が連結され、利用者を含め本体フレーム2を支持する。シートサイド部23には、座シートが装着され、利用者を座位姿勢で支持する。フロント部24は、シートサイド部23と連結し下方に屈曲して前端部を形成する。フロント部24にはレッグサポート( 図示せず) を付設してもよいことはいうまでもない。ベース部25は、フロント部24あるいはさらにバック部22と連結し本体フレームの剛性を高める。ベース部25には前輪3が水平面内で回転可能に取り付けられることが好ましい。前輪3の取り付け位置はベース部25に限定されるものではなく、フロント部24に連結しても何ら問題はない。
【0016】
アームレスト部26は、利用者が座位姿勢で肘を掛ける肘かけであり、シートサイド部23あるいはバックレスト部21と連結して設けられることが好ましい。図1では、シートサイド部23とバックレスト部21の交点で連結されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本体フレーム2では、左側部材と右側部材との間に、公知の折畳機構あるいは固定機構(図示せず)を備えることはいうまでもない。
【0017】
また、本発明の車椅子にはいうまでもなく、主車輪の回転を停止させる停止装置(図示せず)を備えており、本体フレーム2には手操作用レバー(図示せず)が配設されている。
本体フレーム2は、好ましくはバック部22を介し、主車輪1の車軸11に回転可能に保持される。図1では、車軸11とバック部22とは連結冶具22a により回転可能に連結されているが、本発明では連結方法はとくに限定する必要はなく、図1に記載された方法に限定されるものではない。また、図1では、バック部22は、ベース部25と連結冶具22b により連結されているが、連結の要否を含めて図1に記載された方法に限定されるものではない。
【0018】
本発明の車椅子では、本体フレーム2の後端部に、後足車支持フレーム41の一端41a が、好ましくは車椅子の前後方向に回動自在に、軸支される。後足車支持フレーム41は、図1に示すように略中間部で屈曲したL字状にすることが好ましい。また、一端を軸支する支点(ピボット)64は、主車輪1の車軸11位置より後方でかつ上方の位置に配設される。これらにより、車椅子をリクライニングのために傾斜した際に後足車と主車輪との間の距離が傾斜角度に応じ長くなり、重心位置が後足車と主車輪との間に安定して存在し車椅子の転倒の恐れがなくなる。なお、後足車支持フレーム41の他端には後足車4が、水平面内で回転自在に取り付けられ、車椅子を傾斜した際に主車輪1とともに、後足車支持フレーム41を介し利用者を座位状態で支持した本体フレーム2を支持する。なお、後足車4は前輪3が接地する通常走行状態では、適正高さだけ走行面に対し浮いた状態に設置しておくことが好ましい。
【0019】
また、後足車支持フレーム41の中間部には、伸縮手段5の一端を軸支する支点(ピボット)654 が設けられ、伸縮手段5の一端5aを好ましくは車椅子の上下方向回動自在に軸支する。なお、支点(ピボット)654 の設置位置は、後足車支持フレーム41の中間部近傍の適正位置であればよく、とくに限定されない。
また、本発明では、本体フレーム2の下方部、好ましくは図1に示されるようにベース部25の後端25a に、支点655 を設け、伸縮手段5の他端5bを回動自在に軸支する。
【0020】
伸縮手段5は、両端をそれぞれ回動可能にされ、後足車支持フレーム41と、好ましくは本体フレーム2の下方部の、ベース部25の後端25a との間を連結し、略水平方向に伸縮自在とされる。なお、本発明における伸縮手段5の駆動方法は、ガス圧駆動、コイルスプリング駆動、電動駆動等がいずれも好適に適用できとくに限定されないが、なかでもガス圧駆動とすることが好ましい。また、伸縮手段5には、作動開始/終了や、伸縮量の調整を含め遠隔操作を可能とする操作端が付設され、利用者等が操作し易い箇所に配設されることはいうまでもない。また、伸縮手段5には、利用者の体圧分散のためにティルト角度を一定に所定時間以上維持する必要があり、所定の伸縮量を一定に維持できるロック機構を有することが好ましい。
【0021】
傾斜した状態の車椅子を図2に示す。
後足車支持フレーム41の中間部と本体フレーム2の下方部との間に両端をそれぞれ軸支されて連結された伸縮手段5が、略水平方向に伸びると、本体フレームが主車輪の車軸周りに傾斜して後足車4を接地させるとともに、支点64周りに後足車支持フレーム41が回動し後足車4の突き出しが多くなる。異なる角度で傾斜させた状態を比較して図3に示す。
【0022】
これにより、車軸11と後足車4との間隔(ホイールベース)が通常走行時のLより大きい、L’となる。これにより、傾斜角度が大きくなり重心位置が後方に移動しても、重心位置がホイールベース範囲を外れることがなく、車椅子の姿勢は安定し、後方に転倒する恐れは全くなくなり、45°以上の振り角(傾斜角度)を容易にしかも安全に実現できる。
【0023】
また、上記したような構造の本発明の車椅子では、前輪が接地時には、後足車の主車輪からの突き出しが抑えられ、車椅子を押す介助者の足に当たりにくく介助者の邪魔とならないうえ、車椅子長さの増加を抑制できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、複雑な部材構造とすることなく簡単な構造で、45°前後までの振り角(傾斜角度)を容易にしかも安全に実現でき、搭乗した重度障害者の体圧分散を容易にしかも安全に実現できる車椅子を、軽量でかつ安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、車椅子長さの増加を抑制でき、後足車が介助者の邪魔とならないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車椅子の一実施例を、通常走行状態で示す側面図である。
【図2】傾斜した状態における車椅子を示す側面図である。
【図3】異なる角度で傾斜させた状態の車椅子を比較して示す側面図である。
【符号の説明】
1 主車輪
2 本体フレーム
3 前輪
4 後足車
41 後足車支持フレーム
5 伸縮手段
5a 伸縮手段の一端
5b 伸縮手段の他端
11 車軸
21 バックレスト部
22 バック部
23 シートサイド部
24 フロント部
25 ベース部
26 アームレスト
211 プッシュハンドル
22a 連結冶具
64,654,655 支点
【発明の属する技術分野】
本発明は、車椅子に係り、とくに重度障害者用として、転倒を防止し、傾斜角を大きくできるティルト機能を有する車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
車椅子は、一般に、一対の主車輪と、その間に設けられた本体フレームと、一対の前輪とを備えて、障害者を座位姿勢で支持し、障害者自身または介助者の操作により障害者の移動を可能にしている。通常、本体フレームは、背もたれシートを装着するバックレスト部と、主車輪に連結するバック部と、座シートを装着するシートサイド部と、前輪に連結するフロント部と、本体フレームの剛性を高めるベース部と、を有している。なお、通常、バックレスト部の上部先端部には介助者の操作用としてプッシュハンドルが取り付けられている。また、前輪はベース部に取り付けられることもある。
【0003】
このような車椅子には、障害者が背を延ばしたり、あるいは体圧を分散させるために、リクライニング(ティルトともいう)機構を備えることが要望されている。
従来のリクライニング機構としては、バックレスト部をシートサイド部に対し傾倒可能に構成したものが用いられてきた。しかし、このような機構によりリクライニングすると、障害者が座位を変更する必要があり、とくに重度な障害者にとっては、困難な動作を強いられることとなる。このため、障害者が座位姿勢を変更することなく、リクライニングできる車椅子が熱望されている。
【0004】
このような要望に対し、例えば、特許文献1には、座面に対し背もたれの角度を維持したまま傾斜できる、リクライニング機構を有する車椅子が提案されている。特許文献1に記載された車椅子は、前輪と主車輪とを支持する車輪フレームを一対、障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして配置し、座席フレーム体を揺動可能に支持するように軸着し、さらに車輪フレームと座席フレーム体との間に、座席フレーム体の揺動時に座席フレーム体を支持して揺動可能なガイド手段を配設している。この車椅子によれば、障害者が座位姿勢を変更することなくリクライニングできるとしている。
【0005】
また、特許文献2には、市販されている汎用折り畳み車椅子に、車椅子チルト機能補助具を取り付け、チルト機能を備えた車椅子とする技術が提案されている。特許文献2に記載された車椅子チルト機能補助具は、大車輪(主車輪)間に着脱可能に装着される下車挟持部と、該下車挟持部の略中間部下方に装着される補助輪を具備した荷重支持部と、両ハンドル(プッシュハンドル)間に設けた上車挟持棒と、該荷重支持部と該上車挟持棒との間に設置される伸縮手段と、を備えており、新たにチルト式専用車椅子を購入することなく、汎用の車椅子を容易に傾斜させることができ、しかもその傾斜した状態をそのまま維持できるとしている。
【0006】
また、リクライニングを主目的としてはいないが、段差を乗り越えるために傾斜ないし揺動させることが可能な車椅子が種々提案されている。例えば、特許文献3には、主車輪と、該主車輪の軸受けパイプに回動自在に保持され前端部下方に前足車(前輪)が取り付けられた椅子フレームと、該主車輪の軸受けパイプから後方へ伸びて後端に後足車を備えた後足車フレームとを有し、該椅子フレームと該後足車フレームとの間に上下端で軸支された垂直方向の伸縮ロッドを備えるとともに、該伸縮ロッドには遠隔操作可能なロック機構が設けられた車椅子が提案されている。特許文献3に記載された車椅子では、利用者自身の重心移動と、伸縮ロッドのロック機構の解除・ロックを組み合わせて、椅子フレームを後傾させ、前輪を上方に浮かせ後足車で支持された状態を維持しつつ、車椅子を前進させ、段差を乗り越えることができるとしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−65752号公報
【特許文献2】
特開2002−159536 号公報
【特許文献3】
特開平8−38552号公報
【0008】
【発明の解決しようとする課題】
特許文献1に記載された車椅子は、確かに障害者が座位姿勢を変更することなくリクライニングできるが、しかし車椅子構造が複雑で、部品点数が多くなり高価となるうえ、故障しやすく、さらに車椅子の重量も増加して、介護者・介助者などへの経済的、体力的な負担が増大するという問題がある。また、特許文献1に記載された車椅子では、リクライニング角度を大きくするとともに、重心が主車輪の車軸取り付け位置より後方に移動した場合には、転倒する恐れがあるという問題もある。
【0009】
また、特許文献2に記載された車椅子チルト機能補助具を備えた車椅子は、簡単な構造でリクライニングすることができるが、特許文献1に記載された車椅子と同様に、リクライニング角度を大きくするとともに、重心が主車輪の車軸取り付け位置より後方に移動する場合があり、転倒する恐れがあるという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に記載された車椅子でも、座位姿勢を変更することなくリクライニングすることができるが、リクライニングを主目的としていないため、傾斜角度が小さく、利用者(障害者)の体圧分散という目的を十分には達成できないという問題がある。さらに、重心移動を大きくしすぎると、重心が後足車より後方に移動する場合があり、車椅子の安定性が低下し転倒する恐れがある。
【0011】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、座位姿勢を変更することなくリクライニングでき、しかも転倒の恐れがなく、利用者の体圧分散を安全にしかも安定して可能とする、とくに重度障害児(者)の利用に好適な、ティルト機能を有する、軽量で安価な車椅子を提案することを目的とする。また、本発明では、上記した目的を達成でき、しかも介助者の邪魔にならない構造の車椅子とすることも目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成できる車椅子のティルト機構について鋭意検討した。その結果、軽量でかつ安価な車椅子とするためには、複雑なティルト機構を付加することなく、車椅子全体をティルト可能な構造とすることがよいことに想到した。そして、本体フレームを主車輪の車軸に回転可能に保持し、さらに他端に後足車を取り付けた後足車支持フレームを、その一端を主車輪の車軸位置より後方に配置した支点に回動可能に設けるとともに、この後足車支持フレームと本体フレームとを回動可能にした伸縮手段で連結することにより、車椅子を一体としてティルトできることを思い付いた。
【0013】
本発明は、上記した知見に基づきさらに検討を加えて完成したものである。
すなわち、本発明は、主車輪と、該主車輪の車軸に保持され前端部下方に前輪を取り付けられた本体フレームと、を備えた車椅子であって、前記本体フレームが前記主車輪の車軸に回転可能に保持されるとともに、前記主車輪の車軸位置より後方上方で前記本体フレームの後端部に一端を回動可能に軸支され、他端に後足車を取り付けた後足車支持フレームと、該後足車支持フレームの中間部と前記本体フレームの下方部との間に両端をそれぞれ回動可能に軸支され略水平方向に伸縮する伸縮手段と、が配設されていることを特徴とするティルト機能を有する車椅子であり、また、本発明では、前記伸縮手段が、ガス圧駆動であることが好ましく、また、本発明では、前記伸縮手段が、ロック機構を有することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の車椅子の一実施例を、前輪が接地した水平状態で、図1に示す。
本発明の車椅子は、主車輪1と、本体フレーム2と、前輪3と、後足車4と、後足車4を支持する後足車支持フレーム41と、伸縮手段5とを備える。
左右1対の主車輪1の間には、本体フレーム2が設置される。本体フレーム2は、曲げ加工されたアルミニウム管等を連結して利用者に応じ各部位置を調整可能に構成することが好ましく、バックレスト部21と、バック部22と、シートサイド部23と、フロント部24と、ベース部25と、アームレスト部26とを、左右1対有し、利用者(障害者)を座位姿勢で支持する構造を有する。なお、本体フレーム2の構造は図1に示された構造に限定されないことはいうまでもない。
【0015】
バックレスト部21には、背もたれシートが装着され、さらにバックレスト部21の上部先端部には介助者の操作用としてプッシュハンドル211 が取り付けられることが好ましい。なお、左右のバックレスト部21間にはヘッドレスト(図示せず)を装着可能とすることが好ましい。
バック部22には、主車輪の車軸が連結され、利用者を含め本体フレーム2を支持する。シートサイド部23には、座シートが装着され、利用者を座位姿勢で支持する。フロント部24は、シートサイド部23と連結し下方に屈曲して前端部を形成する。フロント部24にはレッグサポート( 図示せず) を付設してもよいことはいうまでもない。ベース部25は、フロント部24あるいはさらにバック部22と連結し本体フレームの剛性を高める。ベース部25には前輪3が水平面内で回転可能に取り付けられることが好ましい。前輪3の取り付け位置はベース部25に限定されるものではなく、フロント部24に連結しても何ら問題はない。
【0016】
アームレスト部26は、利用者が座位姿勢で肘を掛ける肘かけであり、シートサイド部23あるいはバックレスト部21と連結して設けられることが好ましい。図1では、シートサイド部23とバックレスト部21の交点で連結されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本体フレーム2では、左側部材と右側部材との間に、公知の折畳機構あるいは固定機構(図示せず)を備えることはいうまでもない。
【0017】
また、本発明の車椅子にはいうまでもなく、主車輪の回転を停止させる停止装置(図示せず)を備えており、本体フレーム2には手操作用レバー(図示せず)が配設されている。
本体フレーム2は、好ましくはバック部22を介し、主車輪1の車軸11に回転可能に保持される。図1では、車軸11とバック部22とは連結冶具22a により回転可能に連結されているが、本発明では連結方法はとくに限定する必要はなく、図1に記載された方法に限定されるものではない。また、図1では、バック部22は、ベース部25と連結冶具22b により連結されているが、連結の要否を含めて図1に記載された方法に限定されるものではない。
【0018】
本発明の車椅子では、本体フレーム2の後端部に、後足車支持フレーム41の一端41a が、好ましくは車椅子の前後方向に回動自在に、軸支される。後足車支持フレーム41は、図1に示すように略中間部で屈曲したL字状にすることが好ましい。また、一端を軸支する支点(ピボット)64は、主車輪1の車軸11位置より後方でかつ上方の位置に配設される。これらにより、車椅子をリクライニングのために傾斜した際に後足車と主車輪との間の距離が傾斜角度に応じ長くなり、重心位置が後足車と主車輪との間に安定して存在し車椅子の転倒の恐れがなくなる。なお、後足車支持フレーム41の他端には後足車4が、水平面内で回転自在に取り付けられ、車椅子を傾斜した際に主車輪1とともに、後足車支持フレーム41を介し利用者を座位状態で支持した本体フレーム2を支持する。なお、後足車4は前輪3が接地する通常走行状態では、適正高さだけ走行面に対し浮いた状態に設置しておくことが好ましい。
【0019】
また、後足車支持フレーム41の中間部には、伸縮手段5の一端を軸支する支点(ピボット)654 が設けられ、伸縮手段5の一端5aを好ましくは車椅子の上下方向回動自在に軸支する。なお、支点(ピボット)654 の設置位置は、後足車支持フレーム41の中間部近傍の適正位置であればよく、とくに限定されない。
また、本発明では、本体フレーム2の下方部、好ましくは図1に示されるようにベース部25の後端25a に、支点655 を設け、伸縮手段5の他端5bを回動自在に軸支する。
【0020】
伸縮手段5は、両端をそれぞれ回動可能にされ、後足車支持フレーム41と、好ましくは本体フレーム2の下方部の、ベース部25の後端25a との間を連結し、略水平方向に伸縮自在とされる。なお、本発明における伸縮手段5の駆動方法は、ガス圧駆動、コイルスプリング駆動、電動駆動等がいずれも好適に適用できとくに限定されないが、なかでもガス圧駆動とすることが好ましい。また、伸縮手段5には、作動開始/終了や、伸縮量の調整を含め遠隔操作を可能とする操作端が付設され、利用者等が操作し易い箇所に配設されることはいうまでもない。また、伸縮手段5には、利用者の体圧分散のためにティルト角度を一定に所定時間以上維持する必要があり、所定の伸縮量を一定に維持できるロック機構を有することが好ましい。
【0021】
傾斜した状態の車椅子を図2に示す。
後足車支持フレーム41の中間部と本体フレーム2の下方部との間に両端をそれぞれ軸支されて連結された伸縮手段5が、略水平方向に伸びると、本体フレームが主車輪の車軸周りに傾斜して後足車4を接地させるとともに、支点64周りに後足車支持フレーム41が回動し後足車4の突き出しが多くなる。異なる角度で傾斜させた状態を比較して図3に示す。
【0022】
これにより、車軸11と後足車4との間隔(ホイールベース)が通常走行時のLより大きい、L’となる。これにより、傾斜角度が大きくなり重心位置が後方に移動しても、重心位置がホイールベース範囲を外れることがなく、車椅子の姿勢は安定し、後方に転倒する恐れは全くなくなり、45°以上の振り角(傾斜角度)を容易にしかも安全に実現できる。
【0023】
また、上記したような構造の本発明の車椅子では、前輪が接地時には、後足車の主車輪からの突き出しが抑えられ、車椅子を押す介助者の足に当たりにくく介助者の邪魔とならないうえ、車椅子長さの増加を抑制できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、複雑な部材構造とすることなく簡単な構造で、45°前後までの振り角(傾斜角度)を容易にしかも安全に実現でき、搭乗した重度障害者の体圧分散を容易にしかも安全に実現できる車椅子を、軽量でかつ安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、車椅子長さの増加を抑制でき、後足車が介助者の邪魔とならないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車椅子の一実施例を、通常走行状態で示す側面図である。
【図2】傾斜した状態における車椅子を示す側面図である。
【図3】異なる角度で傾斜させた状態の車椅子を比較して示す側面図である。
【符号の説明】
1 主車輪
2 本体フレーム
3 前輪
4 後足車
41 後足車支持フレーム
5 伸縮手段
5a 伸縮手段の一端
5b 伸縮手段の他端
11 車軸
21 バックレスト部
22 バック部
23 シートサイド部
24 フロント部
25 ベース部
26 アームレスト
211 プッシュハンドル
22a 連結冶具
64,654,655 支点
Claims (2)
- 主車輪と、該主車輪の車軸に保持され前端部下方に前輪を取り付けられた本体フレームと、を備えた車椅子であって、前記本体フレームが前記主車輪の車軸に回転可能に保持されるとともに、前記主車輪の車軸位置より後方上方で前記本体フレームの後端部に一端を回動可能に軸支され、他端に後足車を取り付けた後足車支持フレームと、該後足車支持フレームの中間部と前記本体フレームの下方部との間に両端をそれぞれ回動可能に軸支され略水平方向に伸縮する伸縮手段と、が配設されていることを特徴とするティルト機能を有する車椅子。
- 前記伸縮手段が、ロック機構を有することを特徴とする請求項1に記載の車椅子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003075201A JP2004283187A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 車椅子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003075201A JP2004283187A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 車椅子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004283187A true JP2004283187A (ja) | 2004-10-14 |
Family
ID=33290570
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003075201A Pending JP2004283187A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 車椅子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004283187A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006130033A (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-25 | Autech Japan Inc | 車椅子 |
JP2010088799A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Saitou Kobo:Kk | 車いす |
CH709690A1 (de) * | 2014-05-24 | 2015-11-30 | Ivo Schumacher | Kippschutz für Personenrollstühle. |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003075201A patent/JP2004283187A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006130033A (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-25 | Autech Japan Inc | 車椅子 |
JP4679879B2 (ja) * | 2004-11-05 | 2011-05-11 | 株式会社オーテックジャパン | 車椅子 |
JP2010088799A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Saitou Kobo:Kk | 車いす |
CH709690A1 (de) * | 2014-05-24 | 2015-11-30 | Ivo Schumacher | Kippschutz für Personenrollstühle. |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3504225B2 (ja) | 車いす | |
JPH05305112A (ja) | リクライニング式車いす | |
JP2004283187A (ja) | 車椅子 | |
JP4375504B2 (ja) | 移乗装置 | |
JP3680160B2 (ja) | 車椅子 | |
JP2004089340A (ja) | 車椅子の転倒防止機構 | |
JP3560924B2 (ja) | 多機能車椅子 | |
JP2001149413A (ja) | 車椅子 | |
JP4147569B2 (ja) | 車椅子 | |
JP3398811B2 (ja) | 車椅子 | |
JP2002078746A (ja) | リクライニング式車椅子 | |
JP4140934B2 (ja) | 車椅子 | |
JP3955984B2 (ja) | リクライニング車椅子 | |
JP6349352B2 (ja) | リクライニング式車いす | |
JP3072462B2 (ja) | 車椅子 | |
JPH10137298A (ja) | 車椅子 | |
JP7116485B2 (ja) | 車いす | |
JP2613566B2 (ja) | リクライニング式車いす | |
JP3884224B2 (ja) | 車椅子 | |
JP3207907B2 (ja) | 障害者用車椅子 | |
JP2004113486A (ja) | 六輪型車椅子 | |
JP3610531B2 (ja) | 車椅子 | |
JP2000024045A (ja) | 折り畳み式車椅子 | |
JP4201732B2 (ja) | 車椅子 | |
JP3147551U (ja) | 車椅子 |