JP2004281508A - 荷電ビーム描画データ作成方法と荷電ビーム描画方法及び荷電ビーム描画データ作成用プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】2枚の成形アパーチャを持つ描画装置を用い、全レイヤーにおいてCP方式により効果的にショット数の削減を行い、スループットの向上をはかる。
【解決手段】開口パターンが周期配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択照射することで、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法において、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる工程P11と、得られたパターン間の重なりを除去して融合させる工程P12と、得られたパターンを複数の長方形に分解する工程P13と、得られた各長方形データのうち所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度P11からP13の工程を施す工程P14〜17とを有し、P13及びP17の工程により得られた長方形データに基づいて、キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定する。
【選択図】 図8
【解決手段】開口パターンが周期配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択照射することで、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法において、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる工程P11と、得られたパターン間の重なりを除去して融合させる工程P12と、得られたパターンを複数の長方形に分解する工程P13と、得られた各長方形データのうち所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度P11からP13の工程を施す工程P14〜17とを有し、P13及びP17の工程により得られた長方形データに基づいて、キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターンを高精度且つ高スループットで描画するための技術に係わり、特にキャラクタアパーチャを用いて複数のパターンを一括露光する荷電ビーム描画方法及び荷電ビーム描画データ作成方法、更には荷電ビーム描画データを作成するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造において、電子ビーム(EB)リソグラフィは、光リソグラフィでは解像することができない微細なパターンの露光に使用されている。その中でもEB直接描画技術は、露光するパターン毎にマスクを用意する必要がなく、QTAT(Quick Turn Around Time)、低コストな微細パターンの露光方法として注目されている。
【0003】
この種の露光方法として、ナノメートルのオーダーまで細く絞ったEBをスキャンする方法、数μm□の大きさ以下の長方形や三角形など、微細な基本図形にパターンを分割して、各基本図形の形状のビームをショットしていく可変成形ビーム(VSB)方式、繰り返しショットするパターン形状の開口を利用したキャラクタ・プロジェクション(CP)方式、と開発されてきた。しかし、いずれもスループットが低く、研究や試作段階に適用されているのみである。
【0004】
特に、システムLSIやASIC、SoCなどのロジックデバイスでは、繰り返しの単位となるパターンの種類が多く、また、それぞれの繰り返し回数もそれほど多くない。このような繰り返し単位をCP方式のキャラクタとして採用し、キャラクタ・アパーチャマスクにその形状の開口を用意したとしても、描画中に任意に選択できるキャラクタ数に限りがあり、ショット数の削減効果は低い。
【0005】
一般に、ロジックデバイスは、基本論理単位であるスタンダード・セル(SC)の組み合わせにより電子回路を合成し、それらをチップ中に配置し、SC間の配線を施すことにより、その回路パターンを生成している。このようなロジックデバイスの回路パターンの設計上の特性を利用してキャラクタ種類数の削減を行い、CP方式によるEB直接描画のスループット向上方法が幾つか提案されている。
【0006】
(1) SCをキャラクタとして、また、設計の際に使用するSCの種類を削減して合成することにより、CP方式でのEB描画に必要なキャラクタ数を削減し、スループットを向上させる方法(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
(2) 3枚のアパーチャを用い、第1及び第2のアパーチャで成形した矩形ビームを第3のアパーチャに照射し、開口形状の一部分を転写することにより、任意の本数の配線パターン、或いは、任意の個数のコンタクトホールパターンを一括露光する方法(特許文献2参照)。
【0008】
(3) この描画方式を実現するためのキャラクタアパーチャ上を電子ビームで選択的に照射するための描画データの作成方法(特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−274071号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−274077号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2002−252158号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来、CP方式によるEB直接描画のスループット向上方法が幾つか提案されているが、次のような問題があった。SCをキャラクタとする電子ビーム描画方法においては、重なり部分が多重に描画されてしまい、レジストパターンの寸法が変動してしまう。また、3枚アパーチャによる配線及びコンタクトパターンの描画では、従来用いられてきた2枚アパーチャの装置に比べると、解像性や寸法精度の劣化要因が増え、これらの対策のために装置が複雑化し、コストが増大してしまう。
【0013】
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、2枚のビーム成形アパーチャを用いた従来とほぼ同一構成のEB描画装置を使用し、全レイヤーにおいてCP方式により効果的にショット数の削減を行い、スループットの向上をはかり得る荷電ビーム描画方法及びこれに用いる荷電ビーム描画データ作成方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法をコンピュータ制御の下に実行するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムを提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、SCをキャラクタとした荷電ビーム描画においても重なり部分の多重露光を防止することができ、レジストパターンの寸法変動を抑制し得る荷電ビーム描画方法及びこれに用いる荷電ビーム描画データ作成方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
【0017】
即ち本発明は、所定形状の開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる第1の工程と、第1の工程により得られたパターン間の重なりを除去して融合させる第2の工程と、第2の工程により得られたパターンを複数の長方形に分解する第3の工程と、第3の工程により得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度第1から第3の工程を施す第4の工程とを有し、第3の工程及び第4の工程により得られた各長方形データに基づいて、前記キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法をコンピュータ制御の下に実行するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムであって、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる第1の手順と、第1の手順により得られたパターン間の重なりを除去して融合させる第2の手順と、第2の手順により得られたパターンを複数の長方形に分解する第3の手順と、第3の手順により得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度第1から第3の手順を施す第4の手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、所定方向の配線用開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、設計パターンデータに含まれる配線パターンに相当する、少なくとも始点座標,終点座標,及び線幅により構成される直線データから、所定方向の直線の成分のみを抽出する第1の工程と、第1の工程により抽出された直線を所定の幅に変更する第2の工程と、第2の工程により幅が変更された直線パターン間の重なりを除去して融合する第3の工程と、第3の工程により融合して得られたパターンを複数の長方形に分解する第4の工程とを有し、第4の工程により分解して得られた各長方形データに基づいて、前記キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法をコンピュータ制御の下に実行するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムであって、設計パターンデータに含まれる配線パターンに相当する、少なくとも始点座標,終点座標,及び線幅により構成される直線データから、所定方向の直線の成分のみを抽出する第1の手順と、第1の手順により抽出された直線を所定の幅に変更する第2の手順と、第2の手順により幅が変更された直線パターン間の重なりを除去して融合する第3の手順と、第3の手順により融合して得られたパターンを複数の長方形に分解する第4の手順と、第4の手順により分解して得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより大きい長方形データを除去した後、残った長方形データに対して再度第2から第4の手順を施す第5の手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法により作成された長方形データを基に描画を行う荷電ビーム描画方法において、矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有する荷電ビーム描画装置を用い、前記長方形データに基づいて前記キャラクタアパーチャに対する前記矩形アパーチャの投影位置を決定し、且つ前記長方形データの配置位置から前記試料上への成形ビームの照射位置を決定することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、設計パターンデータ中で使用されているセルのパターンレイアウトをキャラクタ開口として使用し、キャラクタ開口を荷電ビームで選択的に照射することにより、セルパターンを一括して試料上に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、設計パターンデータからセルの配置情報を抽出する工程と、前記抽出されたセルが、前記キャラクタアパーチャ上にキャラクタ開口として用意されているか否かを判断する工程と、前記キャラクタ開口が用意されていると判断されたセルに対して、該セルとこれに隣接して配置されるパターンとの重なり領域を検出する工程と、前記隣接パターンとの重なり部分が検出されたセルに対して、前記抽出されたセルに対応するキャラクタ開口の、前記検出された重なり領域に対応する部分に荷電ビームが照射されないように、前記キャラクタアパーチャ上への荷電ビームの照射位置を決定する工程と、前記抽出したセルのビーム照射部分のパターン配置情報を、前記設計パターンデータから削除する工程と、前記各工程を前記設計パターンデータ中の全ての配置セルに対して繰り返す工程と、を含むことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法により決定されたビーム照射位置の情報を基に描画を行う荷電ビーム描画方法において、矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有する荷電ビーム描画装置を用い、前記抽出セル毎の前記キャラクタアパーチャ上への荷電ビームの照射位置に基づいて、前記キャラクタアパーチャに対する前記矩形アパーチャの投影位置を決定し、且つ前記抽出セルの配置情報から前記試料上への成形ビームの照射位置を決定することを特徴とする。
【0024】
(作用)
本発明によれば、従来の二枚のアパーチャマスクの組み合わせによりキャラクタビームを成形する荷電ビーム描画装置において、キャラクタアパーチャ上のキャラクタ開口を選択的に荷電ビームで照射し、所定方向に配列された配線パターン、或いは所定のピッチで配列されたコンタクトホールパターンの複数を、一括して描画することが可能となる。
【0025】
その描画データの作成方法も、設計パターンデータの辺の移動,融合処理,長方形分割処理など、簡単な機能で実現できる。さらに、配線パターンの場合は、配線パターンを直線パターンに変換し、幅の変更を行い、上記融合処理,長方形物処理を行うことにより、所定方向の配線パターンの成分のみについて、上記のような複数の配線パターンの一括描画を行うことが可能である。
【0026】
これらの方法により作成された長方形データは、従来の可変成形ビーム方式と同様、キャラクタ開口への荷電ビームの照射位置、及びそのキャラクタビームの試料上への照射位置を表している。
【0027】
従って、困難とされてきたロジックデバイスの配線層のパターン、即ち配線パターンやコンタクトホールパターンについて、少ないキャラクタ種類数でショット数を大幅に削減することが可能となり、スループットの向上を図ることができる。また、配線パターンの線幅やコンタクトホールパターンの大きさ、それらパターン間の距離などは、全てキャラクタ開口により規定されており、描画パターンの寸法精度の劣化を抑制することができる。
【0028】
また、上記のような荷電ビーム描画方法は、個々のスタンダード・セルのパターンレイアウトをキャラクタ開口としたときの、キャラクタの部分選択も可能とする。そのため、セルが重なって配置されているような回路パターンのレイアウトであっても、キャラクタ種類、電子ビームのショット数の増加を抑制し、パターンの二重露光を防止し、寸法精度の良い描画を行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施形態を説明するにあたり、まず本発明で使用する電子ビーム露光装置の構成と基本動作を説明する。
【0030】
図1は、2枚のアパーチャを用いた部分一括露光方式の電子ビーム露光装置の構成を説明するための概略図である。この図を用いて、キャラクタアパーチャ上に設けたデバイスパターン形状をした開口の一部にビームを照射し、開口形状の一部分を転写露光する電子ビーム露光装置の基本動作を説明する。
【0031】
電子銃101から放射された電子ビーム102は第1コンデンサーレンズ103及び第2コンデンサーレンズ105で電流密度及びケーラー照明条件が調整され、第1成形アパーチャ106を均一に照明する。この第1成形アパーチャ106は、矩形開口を有するものである。第1成形アパーチャ106の像は、第1投影レンズ107及び第2投影レンズ108により、第2成形アパーチャ(キャラクタアパーチャ)110上に結像される。第2成形アパーチャ110上には、基本パターン形状をした開口(これを以下、キャラクタ開口と呼ぶ)が複数個設けられており、描画データに定義された順番に従って、これらのキャラクタ開口が順次選択されてビームで照射される。
【0032】
キャラクタ開口の選択は、キャラクタ選択偏向系によってビームを偏向し、アパーチャ110上のビーム照射位置を制御することで行われる。このキャラクタ選択偏向系は、キャラクタ選択偏向器109とキャラクタ選択偏向アンプ120、更にキャラクタ選択偏向アンプ120に偏向データを送るパターンデータデコーダ123から構成されている。
【0033】
第2成形アパーチャ110を通過した電子ビーム102は、4段4極非対称結像レンズ系112により縮小され、試料114上に結像される。そして、電子ビーム102の試料面上の位置は対物主偏向器111及び対物副偏向器113により、試料114上に設定される。試料114上の電子ビーム102の位置は、位置データを送るパターンデータデコーダ123、対物主偏向器111及び対物副偏向器113に電圧を印加する対物偏向アンプ121で制御される。
【0034】
試料114は、ファラデーカップ116、重金属粒子マーク117を備えた電子ビーム測定用マーク台118と共に可動ステージ115上に設置されている。そして、可動ステージ115を移動することで、試料114,ファラデーカップ116,電子ビーム測定用マーク台118の何れかにビーム照射位置を選択することができるようになっている。
【0035】
試料114上の電子ビーム102の位置を移動する場合、試料114上の不必要な場所が露光されないように、電子ビーム102をブランキング偏向器104で電子ビーム102を偏向し、電子ビーム102をカットして試料面上に到達しないようにする。ブランキング偏向器104への偏向電圧の制御はブランキングアンプ119で制御される。これら全ての描画制御データは、パターンデータメモリ122に格納されている。
【0036】
次に、図1の電子ビーム露光装置を用いた描画データ作成方法及び描画方法について説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
ASICに代表されるロジックデバイスの配線パターンの特徴としては、以下のことがあげられる。
【0038】
・電源用配線等を除き、配線パターンの幅は一定である。
【0039】
・コンタクトホールパターンの大きさは同じである。
【0040】
・配線パターン及びコンタクトホールパターンは、一定間隔のグリッドに載っている。
【0041】
・レイヤー毎に、基本となる配線パターンの方向(Preferred Direction)が決められている。
【0042】
これらは、パターンのレイアウトの際に参照され、デザインルールにより規定されることが多い。但し、例外も存在するが、少数である。図2にその一例を示す。(a)は第1配線レイヤー、(b)は第2配線レイヤー、(c)は2レイヤーによる配線パターンを示している。
【0043】
図2(a)及び(b)に示すように、配線パターンの幅はWL と決まっており、これらは間隔WG のグリッド上にある。従って、同一レイヤーの配線パターンの間隔は、最小でWG −WL である。本実施形態例のデバイスでは、WG =WL ×2となっており、最も密な配線部分では、1:1のライン&スペースパターンとなる。
【0044】
また、図2(a)で示した配線パターンの一層分だけ上層のパターンは、図2(b)のように、(a)の配線パターンの方向とは90度回転した方向となっている。このように、レイヤー毎に、配線の基本的な方向があり、実際の配線パターンは、図2(c)のように、これら複数のレイヤーのパターン間を接続するコンタクトホールパターンが置かれることにより、配線される。この配置位置は、各レイヤーのグリッドの交点であり、その間隔は一定である。
【0045】
この性質を利用して、配線パターンの描画データ作成方法、及びその描画データによる配線パターンの描画方法は、図3に示すような工程からなる。
【0046】
P1工程:少なくとも一組の対向する辺を指定した量だけ外側に移動する。
【0047】
P2工程:移動工程により得られたパターン間の重なりを除去して融合する。
【0048】
P3工程;融合工程により得られたパターンを複数の長方形に分割する。
【0049】
P4工程;分割工程により得られた各長方形データに基づいて、キャラクタアパーチャ上の開口パターン及びビーム照射位置を決定する。
【0050】
なお、上記P3工程では、キャラクタ開口に照射できる最大のビームサイズを基に、パターンを複数の長方形に分割してもよい。
【0051】
上記方法について、図4(a)に示す配線パターンを例に、本実施形態での描画データ作成方法及び描画方法を示す。このパターンは、通常の可変成形ビーム(VSB)方式により、最大ビームサイズ以下の長方形に分割して描画を行うと、図4(b)に示すように、合計10ショットが必要である。なお、今回の最大ビームサイズは、図4(f)で示されている点線の大きさである。
【0052】
P1工程:図4(c)に示すように、設計パターンデータ中の配線パターンの各パターンは、配線方向に平行な辺、つまり他の配線パターンと対向する辺を、パターンの外側に移動させる。
【0053】
本実施形態では、図2と同様に、配線グリッドと配線パターンの幅の間にWG =WL ×2という関係があるため、各辺の移動量をWL/2(最小のパターン間距離の1/2と等価)とした。これにより、隣り合う配線グリッドに載っている配線パターンのそれぞれ移動した辺は、お互いに接することになる。
【0054】
P2工程:P1工程で辺を移動した各パターンは、隣り合う配線グリッドにパターンが存在すれば、お互いに接することになる。そこで、図4(d)に示すように、P1工程により得られたパターンの重なりを除去し、融合(マージ)する。融合して得られるパターンは、隣り合う配線グリッドにパターンが存在したことを意味し、図4(f)のような1:1のライン&スペース(1:1−L/S)パターンの一部で構成されていることになる。
【0055】
P3工程:図4(e)に示すように、P2工程により生成された多角形のパターンを、複数の長方形に分割する。なお、本実施形態では、図4(f)に示す最大ビームサイズ以下の長方形となるように、6つの長方形▲1▼〜▲6▼に分割されている。ここで生成した複数の長方形パターンは、図4(f)に示す1:1−L/S形状のキャラクタ開口に照射する電子ビームの大きさを示しており、このような形状のキャラクタ開口を用いると、図4(a)のパターンを合計で6ショットにより露光できることを意味している。
【0056】
P4工程:P3工程で生成した複数の長方形パターンデータを用い、前記6ショットのパターンを生成するために、図5に示すように、キャラクタアパーチャ上の1:1−L/S形状のキャラクタ開口に電子ビームを照射する。このキャラクタアパーチャへの電子ビームの照射位置は、P3工程で生成した各長方形パターン▲1▼〜▲6▼の幅と高さにより決定され、従来のVSB方式と同様である。また、試料上へのキャラクタ開口により成形されたビームの照射位置は、P3工程で生成した各長方形パターン▲1▼〜▲6▼の位置そのものである。
【0057】
上述の通り、本実施形態による描画データの作成方法により、1:1−L/S形状のキャラクタ開口に、電子ビームを部分的に照射することにより、複数の配線パターンを一括して描画するための描画データを作成することができる。これにより、従来のVSB方式の描画では10ショットを要したが、本実施形態の描画方法により6ショットにより描画することができる。
【0058】
本実施形態によれば、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させ、得られたパターン間の重なりを除去して融合し、得られた融合パターンを複数の長方形に分解するという、比較的簡単な工程により、キャラクタアパーチャ上の複数の配線パターンに対応する開口パターンの一部分を選択するための描画データを作成することができる。
【0059】
そして、この描画データを使用して電子ビーム描画を行うことにより、適切なキャラクタ開口によるビーム成形を行い、従来のVSB方式と比べて、少ないショット数により配線パターンの描画を行うことができる。そのため、配線パターンの描画スループットの向上を図ることが可能となる。
【0060】
さらに、従来のCP方式の電子ビーム描画では、効果的な配線パターン形状からは繰り返しを抽出することができず、多くの種類のキャラクタ開口を用意する必要があったが、本実施形態による方法では、任意の数及び長さの配線パターンの形状の電子ビームを発生させるために、1種類のキャラクタ開口だけしか必要としないため、限られた数のキャラクタ開口しか配置できないキャラクタアパーチャ上の占有率を大幅に低減することができる。そして、キャラクタアパーチャの空いたスペースに別のキャラクタ開口を割り当てることで、従来以上にCP方式で描画できるパターンを増やすことができる。その結果、描画に必要なショット数はさらに削減され、描画スループットがさらに改善される。
【0061】
また、本実施形態の方法は、コンタクト・ホールパターンにも有効であり、ほぼ同一のアルゴリズムにより、上記のような効果を得られる描画データを生成し、コンタクトホールパターンの描画をすることが可能となる。その描画データ生成手順を、図6に示した。図6(a)はコンタクトホールパターンの例、(b)は辺を外側に移動した状態、(c)はパターン間のマージを行った状態、(c)はパターンを長方形に分割した状態を示している。
【0062】
配線パターンの場合と異なるのは、図6(b)のP1工程における、パターンの外側に移動させる辺が全ての辺である点のみである。図6(a)のようなコンタクトホールパターンについては、コンタクトホールパターンの配置グリッド間隔WG とコンタクトホールパターンの一辺の長さWC との関係がWG =WC ×2であることから、図6(b)のP1工程での各辺の外側への移動量をWC /2としている。その後は配線パターンと同様に、図6(c)のP2工程によりP1工程で生成したパターンのマージ、図6(d)のP3工程によりP2工程で生成したパターンを複数の長方形に分割し、描画データを生成する。
【0063】
そして、図7(a)に示すようなようなキャラクタ開口へ、図7(b)(c)(d)のように長方形の電子ビームを照射することにより、3ショットにより描画を行うことができる。従来のVSB方式では、23ショットを要したのと比べると、大幅なショット数の削減を行うことができ、描画スループットを向上することが可能となる。
【0064】
さらに、本実施形態による描画方法では、キャラクタ開口により、配線パターンの幅、コンタクトホールパターンの大きさと形状、そして、それらの間隔が規定されており、描画パターンの寸法や、パターン間距離の変動を低減することができ、精度良く、配線パターン及びコンタクトホールパターンを描画することが可能である。
【0065】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で示した1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いた配線パターンの描画に加え、さらに異なる間隔で配置された配線パターンについても、同様な描画方法により描画するための描画データ生成方法、並びに電子ビーム描画方法を説明する。
【0066】
本実施形態の描画方法では、1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いて隣接する配線パターンを一括して描画すると共に、1:3−L/S形状のキャラクタ開口を用いて、配線のグリッド二つ分だけ離れた配線パターンをも一括して描画する。そのための、描画データ作成手順は、図8に示す通りである。また、配線パターンの描画ショットの例は図9に示す通りである。
【0067】
P11〜P13工程:第1の実施形態のP1〜P3工程と同様であり、少なくとも一組の対向する辺を指定した量だけ外側に移動し、移動して得られたパターン間の重なりを除去して融合し、融合して得られたパターンを複数の長方形に分割する。
【0068】
P14工程:図9(a)に示すように、前記図4(e)の1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いて描画を行うための描画データから、1:1−L/S形状のキャラクタ開口により複数の配線パターンを一括して描画できる長方形を取り除く。この場合、除去される長方形パターンは、高さがWG よりも大きい長方形である。
【0069】
P15工程:図9(b)に示すように、P14工程で残ったパターンの対向する辺を、さらにWL だけ外側に移動させる。
【0070】
P16工程:図9(c)に示すように、P15工程により得られたパターン間の重なりを除去して融合する。
【0071】
P17工程:図9(d)に示すように、P16工程により生成されたパターンを複数の長方形パターンに分割する。この工程で生成された長方形パターン▲4▼▲5▼が、図9(e)のような1:3−L/Sパターンをキャラクタ開口としてショットできるパターンを示しており、2ショットにより描画できる。
【0072】
ここで、P15〜P17工程は、P11〜P13工程(第1の実施形態ではP1〜P3)に相当している。従って本実施形態では、P14工程の後、P11〜P13工程を繰り返していることになる。
【0073】
P18工程:P17工程で生成した複数の長方形パターンに1:3−L/S形状のキャラクタ開口を割り当て、P14工程で取り除いた複数の長方形パターン▲1▼〜▲3▼には1:1−L/S形状のキャラクタ開口を割り当て、図10に示すように、キャラクタ開口に電子ビームを照射しながら、前記図4(a)の配線パターンを描画していく。
【0074】
本実施形態による描画データ作成方法により、隣接した配線パターンだけでなく、さらに離れて配置している配線パターンについても、例えば、1:3−L/S形状のキャラクタ開口を用いることにより、複数の配線パターンを一括して描画するための描画データを作成することができる。これにより、第1の実施形態の場合よりも更にショット数を少なく、1:1−L/S形状3ショットと1:3−L/S形状2ショットの、合計5ショットにより、同じ配線パターンを描画することができる。
【0075】
本実施形態によれば、複数のキャラクタ開口を用いて、効果的にショット数を削減することができるような、描画データを作成することができ、それにより、更にショット数を削減でき、スループットを向上させることが可能な、電子ビーム描画を行うことができる。
【0076】
本実施形態のP14工程で用いたような長方形パターンの除去も、簡単な図形演算により行うことができ、本実施形態による描画データ作成方法をさらに繰り返すことにより、例えば1:5−L/S形状のキャラクタ開口を用いて、配線グリッド三つ分だけ離れて配置されている配線パターンを一括して描画することが可能となる。即ち、複数のキャラクタ形状をそれぞれのショットに割り当て、さらにショット数の削減を行うことができる。
【0077】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1及び第2の実施形態で示した複数パターンの一括描画データ生成方法の別の例を説明する。
【0078】
本実施形態の描画データ生成手順は、図11に示す通りである。また、配線パターンの描画ショットの例は図12に示す通りである。図12(a)に示すような幅WL の配線パターンが、配線グリッドWG に載っている場合について、説明を行う。
【0079】
P21工程:図12(b)に示すように、図12(a)の配線パターンの設計パターンデータから、直線情報を抽出する。直線情報とは、配線パターンを直線、或いは線分として表すために必要な情報で、始点と終点及び線幅により構成される。
【0080】
通常、半導体デバイスの回路パターンの設計を行うCADなどの設計装置では、図形は多角形(ポリゴン)の頂点座標列か、直線としての上記情報、或いは長方形の場合の左下及び右上などの対角座標の何れかにより構成されている。つまり、これら全ての形式の図形データを、描画の対象とする配線パターンについては、上記直線情報に変換することとする。なお、設計パターンデータに上記の直線情報が含まれている場合は、これをそのまま用いればよい。
【0081】
P22工程:P21工程で直線情報に変換したパターンの幅を、配線グリッド間隔のWG としてポリゴン化、つまり肉付けを行う。ここで、線幅をWG としたのは、隣り合う配線グリッドの載っている配線パターンを検出し、1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いた一括描画の対象とするためである。従って、1:1−L/S形状のショットデータを取り除いた後であれば、例えば2WG の線幅とすることにより、配線グリッド二つ分だけ離れている配線パターンを抽出して、1:3−L/S形状のキャラクタ開口を利用して、一括描画を行うことができる。
【0082】
P23工程:P22工程で肉付けして生成されたパターンをマージし、一括して描画できるパターンを検出する。
【0083】
P24工程:P23工程で生成したパターンデータを長方形パターンに分割する。ここで生成した長方形パターンデータが、P22工程で線幅をWG としたときは1:1−L/S形状のキャラクタ開口、2WG としたときは1:3−L/S形状のキャラクタ開口、3WG としたときは1:5−L/S形状のキャラクタ開口、というように、それぞれ使用するキャラクタ開口に照射する電子ビームを示すものである。また、各長方形パターンの位置が、試料上に各キャラクタビームを照射する位置を示している。
【0084】
本実施形態による描画データ作成方法を用いても、第1及び第2の実施形態と同じパターンデータについては、本質的に同じ描画データが生成される。
【0085】
本実施形態に示した配線パターンの描画データ作成方法は、パターン中の図形データを直線情報に変換するという工程が追加されているため、工程数は、第1の実施形態の方法と比べると増えている。しかし、第1及び第2の実施形態での最も重要な工程ともいえるP1工程及びP15工程で行う、対向する辺の移動工程を、線幅の変更に置き換えることができる。
【0086】
第1及び第2の実施形態におけるパターンデータの処理として問題となる点は、どの辺を移動させるのかを的確に判断すべきことである。どのようなときに問題となるかというと、描画を行う配線パターンのレイヤーに、若干ではあるが配線の方向が異る配線パターンが混在する場合である。例えば、望ましい方向が水平方向である配線パターンのレイヤーに、短いが垂直方法の配線パターンが存在すると、その垂直方向の配線パターンについては、同じキャラクタ開口を使ってキャラクタビームを生成することが不可能である。従って、このような配線方向の異なるパターンを抽出し、別に処理を行う必要がある。
【0087】
このようなときに、配線パターンを直線(線分)情報で表しておくと、配線の方向を容易に検出でき、異なる方向の配線パターンを取り除くことができる。さらに、直角に折れ曲がった配線パターンからも、対象とする方向の成分のみを容易に取り出すことも可能である。従って、例外処理を行うことも考慮に入れたより一般的な図形処理を、確実に行うことが可能となる。
【0088】
さらに、P1工程及びP15工程のような辺の移動工程そのものも、線幅の変更のみで行えるため、アルゴリズムが容易になるという利点がある。
【0089】
(第4の実施形態)
本実施形態では、CP方式により、スタンダード・セル(SC)を一括して描画する場合に、例えば図13(a)のようなSC単体のレイアウトから、キャラクタ開口として、同図のような形状の開口を用意した場合の描画方法について述べる。
【0090】
通常、キャラクタ単位でのCPショットを行うため、例えば、図13(b)のように、チップ内に同一のSCが配置されている場合、そのままキャラクタを選択して描画を行うと、隣り合って配置されている部分のパターン([×])は、二重に描画されることになり、パターンの寸法精度が劣化してしまう。そのため、配線パターンと同様のキャラクタ開口への電子ビームの照射位置の制御を行うことが望ましい。つまり、図14に示したように、キャラクタ開口全体に電子ビームを照射するのではなく、予め重なって描画されてしまう部分については、キャラクタ開口への電子ビームの照射位置をずらすことにより、試料に転写されるキャラクタビームの大きさを調整する。
【0091】
図14のようなキャラクタビームのショットを行うための描画データを作成する方法は、図15に示す通りである。
【0092】
P31工程:パターンデータから、SCの配置情報を抽出する。ここで、SCの配置情報とは、パターンデータ中に配置されているセル名とセルの配置方向などである。ここでは、半導体デバイスの回路パターンの設計パターンデータには、セルの配置による階層構造が存在するものとする。また、SC以外の配置セルについても、キャラクタとしてCP方式で描画を行うものについては、SCと同様に取り扱う。
【0093】
P32工程:抽出したSCに対応するキャラクタ開口が用意されているかどうかを調べる。存在すれば、抽出したSCはキャラクタ開口を使用したCP方式で一括露光するものとする。
【0094】
P33工程:抽出したSC(以降、対象SCと呼ぶこととする)の周辺に配置されているパターンの情報を抽出する。ここで、パターンの情報とは、配置されているセル名,配置方向などである。
【0095】
P34工程:対象SC及びその周辺の抽出したパターンを展開する。つまり、パターンの図形情報に変換する。
【0096】
P35工程:展開したパターンのうち、対象SCに重なるパターンを検出する。
【0097】
P36工程:対象SCに重なるパターンの部分には、試料上に転写したときにキャラクタビームが照射されないように、対応するキャラクタ開口に電子ビームを照射しないよう、電子ビームのキャラクタアパーチャ上への照射位置を決定する。照射位置は、図14(b)のように、矩形ビームをずらして照射することにより調整する。
【0098】
P37工程:対象SCのビーム照射部分のパターンの情報を、パターンデータから削除する。
【0099】
P38工程:全てのパターンデータ中の配置SCについて調べていなければ、P31工程からP37工程までを繰り返す。全配置SCについて調べていれば、終了する。
【0100】
本実施形態の方法による描画データの作成方法は、SCが重なって配置されるような設計がなされたパターンデータであっても、SC単位のレイアウトをキャラクタ開口として採用し、SCの配置位置毎にキャラクタビームの大きさを調整することにより、キャラクタ種類及びショット数を増加させることがない。
【0101】
本実施形態の方法による描画データの作成方法、及びそれによる電子ビーム描画方法は、勿論、図13のような、SCが重なって配置されるような設計レイアウト・ツールを用いている場合にのみ適用されるものである。しかし、このようなレイアウト・ツールが多くあることは確かであり、SCが予め重なって配置されることを前提として設計されていることも多い。
【0102】
このような場合、SCの重なりを除去した部分のみをキャラクタとして採用した場合、一つのSC内でのショットの接続が生じて描画精度が低下し、それにより半導体デバイス製造の歩留まりの劣化を招く。また、他の場所に配置されている同じSCとはキャラクタ開口の形状を変えなければならないため、キャラクタ種類が増加し、そのためにCP方式でのショット数の削減効果が低減されてしまう。そして、分割して描画することによるショット数の増加など、好ましくない現象を引き起こす。
【0103】
それに対して本実施形態の方法では、SCの配置方向により、一種類のキャラクタ開口を用意するだけで、キャラクタ種類を増加させることなく、またショット数ももともとのSCの配置数に依存しており、増加することはなく、スループットを低減させることがない。また、P34工程でのパターンの展開処理は、対象SCとその周囲の隣接部分のみにとどめることができるため、データ変換時の計算量の増加を抑制することができる。
【0104】
さらに、描画データは、キャラクタアパーチャ上のキャラクタ開口をSC毎に割り当てること、キャラクタ開口へのビームの照射位置と、試料上へのキャラクタビームの照射位置の指定がなされておればよいため、第1〜第3の実施形態の配線パターン、及びコンタクトホールパターンの描画データと同じ形式でよいことが分かる。そのため、これらの描画パターンは区別する必要がなく、混在させて描画することも可能である。そのため、全てのレイヤーの回路パターンの形成について、常にショット数の削減、即ち描画スループットの向上、そして描画精度の向上をはかることができる。
【0105】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。本発明を実施するための電子ビーム描画装置としては、必ずしも矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有するものに限らず、3枚の成形アパーチャを有するものを用いることもできる。さらに、電子ビーム描画装置に限らず、イオンビーム描画装置に適用することも可能である。
【0106】
また、実施形態において記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM,DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで適用したり、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。本発明を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行するものであればよい。
【0107】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0108】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、2枚のビーム成形アパーチャを用いた従来とほぼ同一構成のEB描画装置を使用し、全レイヤーにおいてCP方式により効果的にショット数の削減を行い、スループットの向上をはかることができる。
【0109】
また、SCをキャラクタとした荷電ビーム描画においても、重なり部分の多重露光を防止することができ、レジストパターンの寸法変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム描画装置の基本構成とその動作を説明するための概略図。
【図2】配線パターンの規則性を説明するための概略図。
【図3】第1の実施形態に係わる電子ビーム描画データの作成手順を示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態の配線パターンにおける描画データ作成方法の例を示す図。
【図5】第1の実施形態の配線パターンに対する描画ショット(6ショット)の例を示す図。
【図6】コンタクトホールパターンの描画データ作成手順を説明するための図。
【図7】図6のコンタクトホールパターンの描画における、キャラクタ開口と矩形ビームの照射状態を説明する図。
【図8】第2の実施形態における配線パターンの描画データの作成手順を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態における配線パターンの描画データ生成方法の概略を示す図。
【図10】第2の実施形態における描画ショット(5ショット)の例を示す図。
【図11】第3の実施形態における配線パターンの描画データの作成手順を示すフローチャート。
【図12】第3の実施形態における配線パターンの描画データ生成方法の概略を示す図。
【図13】スタンダード・セルのレイアウトと配置の例を示す図。
【図14】第4の実施形態におけるスタンダード・セルの描画方法の概略を示す図。
【図15】第4の実施形態における描画データ作成手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
101…電子銃
102…電子ビーム
103…第1コンデンサーレンズ
104…ブランキング偏向器
105…第2コンデンサーレンズ
106…第1成形アパーチャ
107…第1投影レンズ
108…第2投影レンズ
109…キャラクタ選択偏向器
110…第2成形アパーチャ(キャラクタアパーチャ)
111…主偏向器
112…4段4極対称結像レンズ
113…副偏向器
114…試料
115…可動ステージ
116…ファラデーカップ
117…重金属マーク
118…マーク台
119…プランキングアンプ
120…キャラクタ選択偏向アンプ
121…対物偏向アンプ
122…パターンデータメモリ
123…パターンデータデコーダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細パターンを高精度且つ高スループットで描画するための技術に係わり、特にキャラクタアパーチャを用いて複数のパターンを一括露光する荷電ビーム描画方法及び荷電ビーム描画データ作成方法、更には荷電ビーム描画データを作成するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造において、電子ビーム(EB)リソグラフィは、光リソグラフィでは解像することができない微細なパターンの露光に使用されている。その中でもEB直接描画技術は、露光するパターン毎にマスクを用意する必要がなく、QTAT(Quick Turn Around Time)、低コストな微細パターンの露光方法として注目されている。
【0003】
この種の露光方法として、ナノメートルのオーダーまで細く絞ったEBをスキャンする方法、数μm□の大きさ以下の長方形や三角形など、微細な基本図形にパターンを分割して、各基本図形の形状のビームをショットしていく可変成形ビーム(VSB)方式、繰り返しショットするパターン形状の開口を利用したキャラクタ・プロジェクション(CP)方式、と開発されてきた。しかし、いずれもスループットが低く、研究や試作段階に適用されているのみである。
【0004】
特に、システムLSIやASIC、SoCなどのロジックデバイスでは、繰り返しの単位となるパターンの種類が多く、また、それぞれの繰り返し回数もそれほど多くない。このような繰り返し単位をCP方式のキャラクタとして採用し、キャラクタ・アパーチャマスクにその形状の開口を用意したとしても、描画中に任意に選択できるキャラクタ数に限りがあり、ショット数の削減効果は低い。
【0005】
一般に、ロジックデバイスは、基本論理単位であるスタンダード・セル(SC)の組み合わせにより電子回路を合成し、それらをチップ中に配置し、SC間の配線を施すことにより、その回路パターンを生成している。このようなロジックデバイスの回路パターンの設計上の特性を利用してキャラクタ種類数の削減を行い、CP方式によるEB直接描画のスループット向上方法が幾つか提案されている。
【0006】
(1) SCをキャラクタとして、また、設計の際に使用するSCの種類を削減して合成することにより、CP方式でのEB描画に必要なキャラクタ数を削減し、スループットを向上させる方法(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
(2) 3枚のアパーチャを用い、第1及び第2のアパーチャで成形した矩形ビームを第3のアパーチャに照射し、開口形状の一部分を転写することにより、任意の本数の配線パターン、或いは、任意の個数のコンタクトホールパターンを一括露光する方法(特許文献2参照)。
【0008】
(3) この描画方式を実現するためのキャラクタアパーチャ上を電子ビームで選択的に照射するための描画データの作成方法(特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−274071号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−274077号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2002−252158号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来、CP方式によるEB直接描画のスループット向上方法が幾つか提案されているが、次のような問題があった。SCをキャラクタとする電子ビーム描画方法においては、重なり部分が多重に描画されてしまい、レジストパターンの寸法が変動してしまう。また、3枚アパーチャによる配線及びコンタクトパターンの描画では、従来用いられてきた2枚アパーチャの装置に比べると、解像性や寸法精度の劣化要因が増え、これらの対策のために装置が複雑化し、コストが増大してしまう。
【0013】
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、2枚のビーム成形アパーチャを用いた従来とほぼ同一構成のEB描画装置を使用し、全レイヤーにおいてCP方式により効果的にショット数の削減を行い、スループットの向上をはかり得る荷電ビーム描画方法及びこれに用いる荷電ビーム描画データ作成方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法をコンピュータ制御の下に実行するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムを提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、SCをキャラクタとした荷電ビーム描画においても重なり部分の多重露光を防止することができ、レジストパターンの寸法変動を抑制し得る荷電ビーム描画方法及びこれに用いる荷電ビーム描画データ作成方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
【0017】
即ち本発明は、所定形状の開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる第1の工程と、第1の工程により得られたパターン間の重なりを除去して融合させる第2の工程と、第2の工程により得られたパターンを複数の長方形に分解する第3の工程と、第3の工程により得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度第1から第3の工程を施す第4の工程とを有し、第3の工程及び第4の工程により得られた各長方形データに基づいて、前記キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法をコンピュータ制御の下に実行するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムであって、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる第1の手順と、第1の手順により得られたパターン間の重なりを除去して融合させる第2の手順と、第2の手順により得られたパターンを複数の長方形に分解する第3の手順と、第3の手順により得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度第1から第3の手順を施す第4の手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、所定方向の配線用開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、設計パターンデータに含まれる配線パターンに相当する、少なくとも始点座標,終点座標,及び線幅により構成される直線データから、所定方向の直線の成分のみを抽出する第1の工程と、第1の工程により抽出された直線を所定の幅に変更する第2の工程と、第2の工程により幅が変更された直線パターン間の重なりを除去して融合する第3の工程と、第3の工程により融合して得られたパターンを複数の長方形に分解する第4の工程とを有し、第4の工程により分解して得られた各長方形データに基づいて、前記キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法をコンピュータ制御の下に実行するための荷電ビーム描画データ作成用プログラムであって、設計パターンデータに含まれる配線パターンに相当する、少なくとも始点座標,終点座標,及び線幅により構成される直線データから、所定方向の直線の成分のみを抽出する第1の手順と、第1の手順により抽出された直線を所定の幅に変更する第2の手順と、第2の手順により幅が変更された直線パターン間の重なりを除去して融合する第3の手順と、第3の手順により融合して得られたパターンを複数の長方形に分解する第4の手順と、第4の手順により分解して得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより大きい長方形データを除去した後、残った長方形データに対して再度第2から第4の手順を施す第5の手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法により作成された長方形データを基に描画を行う荷電ビーム描画方法において、矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有する荷電ビーム描画装置を用い、前記長方形データに基づいて前記キャラクタアパーチャに対する前記矩形アパーチャの投影位置を決定し、且つ前記長方形データの配置位置から前記試料上への成形ビームの照射位置を決定することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、設計パターンデータ中で使用されているセルのパターンレイアウトをキャラクタ開口として使用し、キャラクタ開口を荷電ビームで選択的に照射することにより、セルパターンを一括して試料上に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、設計パターンデータからセルの配置情報を抽出する工程と、前記抽出されたセルが、前記キャラクタアパーチャ上にキャラクタ開口として用意されているか否かを判断する工程と、前記キャラクタ開口が用意されていると判断されたセルに対して、該セルとこれに隣接して配置されるパターンとの重なり領域を検出する工程と、前記隣接パターンとの重なり部分が検出されたセルに対して、前記抽出されたセルに対応するキャラクタ開口の、前記検出された重なり領域に対応する部分に荷電ビームが照射されないように、前記キャラクタアパーチャ上への荷電ビームの照射位置を決定する工程と、前記抽出したセルのビーム照射部分のパターン配置情報を、前記設計パターンデータから削除する工程と、前記各工程を前記設計パターンデータ中の全ての配置セルに対して繰り返す工程と、を含むことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、上記の荷電ビーム描画データ作成方法により決定されたビーム照射位置の情報を基に描画を行う荷電ビーム描画方法において、矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有する荷電ビーム描画装置を用い、前記抽出セル毎の前記キャラクタアパーチャ上への荷電ビームの照射位置に基づいて、前記キャラクタアパーチャに対する前記矩形アパーチャの投影位置を決定し、且つ前記抽出セルの配置情報から前記試料上への成形ビームの照射位置を決定することを特徴とする。
【0024】
(作用)
本発明によれば、従来の二枚のアパーチャマスクの組み合わせによりキャラクタビームを成形する荷電ビーム描画装置において、キャラクタアパーチャ上のキャラクタ開口を選択的に荷電ビームで照射し、所定方向に配列された配線パターン、或いは所定のピッチで配列されたコンタクトホールパターンの複数を、一括して描画することが可能となる。
【0025】
その描画データの作成方法も、設計パターンデータの辺の移動,融合処理,長方形分割処理など、簡単な機能で実現できる。さらに、配線パターンの場合は、配線パターンを直線パターンに変換し、幅の変更を行い、上記融合処理,長方形物処理を行うことにより、所定方向の配線パターンの成分のみについて、上記のような複数の配線パターンの一括描画を行うことが可能である。
【0026】
これらの方法により作成された長方形データは、従来の可変成形ビーム方式と同様、キャラクタ開口への荷電ビームの照射位置、及びそのキャラクタビームの試料上への照射位置を表している。
【0027】
従って、困難とされてきたロジックデバイスの配線層のパターン、即ち配線パターンやコンタクトホールパターンについて、少ないキャラクタ種類数でショット数を大幅に削減することが可能となり、スループットの向上を図ることができる。また、配線パターンの線幅やコンタクトホールパターンの大きさ、それらパターン間の距離などは、全てキャラクタ開口により規定されており、描画パターンの寸法精度の劣化を抑制することができる。
【0028】
また、上記のような荷電ビーム描画方法は、個々のスタンダード・セルのパターンレイアウトをキャラクタ開口としたときの、キャラクタの部分選択も可能とする。そのため、セルが重なって配置されているような回路パターンのレイアウトであっても、キャラクタ種類、電子ビームのショット数の増加を抑制し、パターンの二重露光を防止し、寸法精度の良い描画を行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施形態を説明するにあたり、まず本発明で使用する電子ビーム露光装置の構成と基本動作を説明する。
【0030】
図1は、2枚のアパーチャを用いた部分一括露光方式の電子ビーム露光装置の構成を説明するための概略図である。この図を用いて、キャラクタアパーチャ上に設けたデバイスパターン形状をした開口の一部にビームを照射し、開口形状の一部分を転写露光する電子ビーム露光装置の基本動作を説明する。
【0031】
電子銃101から放射された電子ビーム102は第1コンデンサーレンズ103及び第2コンデンサーレンズ105で電流密度及びケーラー照明条件が調整され、第1成形アパーチャ106を均一に照明する。この第1成形アパーチャ106は、矩形開口を有するものである。第1成形アパーチャ106の像は、第1投影レンズ107及び第2投影レンズ108により、第2成形アパーチャ(キャラクタアパーチャ)110上に結像される。第2成形アパーチャ110上には、基本パターン形状をした開口(これを以下、キャラクタ開口と呼ぶ)が複数個設けられており、描画データに定義された順番に従って、これらのキャラクタ開口が順次選択されてビームで照射される。
【0032】
キャラクタ開口の選択は、キャラクタ選択偏向系によってビームを偏向し、アパーチャ110上のビーム照射位置を制御することで行われる。このキャラクタ選択偏向系は、キャラクタ選択偏向器109とキャラクタ選択偏向アンプ120、更にキャラクタ選択偏向アンプ120に偏向データを送るパターンデータデコーダ123から構成されている。
【0033】
第2成形アパーチャ110を通過した電子ビーム102は、4段4極非対称結像レンズ系112により縮小され、試料114上に結像される。そして、電子ビーム102の試料面上の位置は対物主偏向器111及び対物副偏向器113により、試料114上に設定される。試料114上の電子ビーム102の位置は、位置データを送るパターンデータデコーダ123、対物主偏向器111及び対物副偏向器113に電圧を印加する対物偏向アンプ121で制御される。
【0034】
試料114は、ファラデーカップ116、重金属粒子マーク117を備えた電子ビーム測定用マーク台118と共に可動ステージ115上に設置されている。そして、可動ステージ115を移動することで、試料114,ファラデーカップ116,電子ビーム測定用マーク台118の何れかにビーム照射位置を選択することができるようになっている。
【0035】
試料114上の電子ビーム102の位置を移動する場合、試料114上の不必要な場所が露光されないように、電子ビーム102をブランキング偏向器104で電子ビーム102を偏向し、電子ビーム102をカットして試料面上に到達しないようにする。ブランキング偏向器104への偏向電圧の制御はブランキングアンプ119で制御される。これら全ての描画制御データは、パターンデータメモリ122に格納されている。
【0036】
次に、図1の電子ビーム露光装置を用いた描画データ作成方法及び描画方法について説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
ASICに代表されるロジックデバイスの配線パターンの特徴としては、以下のことがあげられる。
【0038】
・電源用配線等を除き、配線パターンの幅は一定である。
【0039】
・コンタクトホールパターンの大きさは同じである。
【0040】
・配線パターン及びコンタクトホールパターンは、一定間隔のグリッドに載っている。
【0041】
・レイヤー毎に、基本となる配線パターンの方向(Preferred Direction)が決められている。
【0042】
これらは、パターンのレイアウトの際に参照され、デザインルールにより規定されることが多い。但し、例外も存在するが、少数である。図2にその一例を示す。(a)は第1配線レイヤー、(b)は第2配線レイヤー、(c)は2レイヤーによる配線パターンを示している。
【0043】
図2(a)及び(b)に示すように、配線パターンの幅はWL と決まっており、これらは間隔WG のグリッド上にある。従って、同一レイヤーの配線パターンの間隔は、最小でWG −WL である。本実施形態例のデバイスでは、WG =WL ×2となっており、最も密な配線部分では、1:1のライン&スペースパターンとなる。
【0044】
また、図2(a)で示した配線パターンの一層分だけ上層のパターンは、図2(b)のように、(a)の配線パターンの方向とは90度回転した方向となっている。このように、レイヤー毎に、配線の基本的な方向があり、実際の配線パターンは、図2(c)のように、これら複数のレイヤーのパターン間を接続するコンタクトホールパターンが置かれることにより、配線される。この配置位置は、各レイヤーのグリッドの交点であり、その間隔は一定である。
【0045】
この性質を利用して、配線パターンの描画データ作成方法、及びその描画データによる配線パターンの描画方法は、図3に示すような工程からなる。
【0046】
P1工程:少なくとも一組の対向する辺を指定した量だけ外側に移動する。
【0047】
P2工程:移動工程により得られたパターン間の重なりを除去して融合する。
【0048】
P3工程;融合工程により得られたパターンを複数の長方形に分割する。
【0049】
P4工程;分割工程により得られた各長方形データに基づいて、キャラクタアパーチャ上の開口パターン及びビーム照射位置を決定する。
【0050】
なお、上記P3工程では、キャラクタ開口に照射できる最大のビームサイズを基に、パターンを複数の長方形に分割してもよい。
【0051】
上記方法について、図4(a)に示す配線パターンを例に、本実施形態での描画データ作成方法及び描画方法を示す。このパターンは、通常の可変成形ビーム(VSB)方式により、最大ビームサイズ以下の長方形に分割して描画を行うと、図4(b)に示すように、合計10ショットが必要である。なお、今回の最大ビームサイズは、図4(f)で示されている点線の大きさである。
【0052】
P1工程:図4(c)に示すように、設計パターンデータ中の配線パターンの各パターンは、配線方向に平行な辺、つまり他の配線パターンと対向する辺を、パターンの外側に移動させる。
【0053】
本実施形態では、図2と同様に、配線グリッドと配線パターンの幅の間にWG =WL ×2という関係があるため、各辺の移動量をWL/2(最小のパターン間距離の1/2と等価)とした。これにより、隣り合う配線グリッドに載っている配線パターンのそれぞれ移動した辺は、お互いに接することになる。
【0054】
P2工程:P1工程で辺を移動した各パターンは、隣り合う配線グリッドにパターンが存在すれば、お互いに接することになる。そこで、図4(d)に示すように、P1工程により得られたパターンの重なりを除去し、融合(マージ)する。融合して得られるパターンは、隣り合う配線グリッドにパターンが存在したことを意味し、図4(f)のような1:1のライン&スペース(1:1−L/S)パターンの一部で構成されていることになる。
【0055】
P3工程:図4(e)に示すように、P2工程により生成された多角形のパターンを、複数の長方形に分割する。なお、本実施形態では、図4(f)に示す最大ビームサイズ以下の長方形となるように、6つの長方形▲1▼〜▲6▼に分割されている。ここで生成した複数の長方形パターンは、図4(f)に示す1:1−L/S形状のキャラクタ開口に照射する電子ビームの大きさを示しており、このような形状のキャラクタ開口を用いると、図4(a)のパターンを合計で6ショットにより露光できることを意味している。
【0056】
P4工程:P3工程で生成した複数の長方形パターンデータを用い、前記6ショットのパターンを生成するために、図5に示すように、キャラクタアパーチャ上の1:1−L/S形状のキャラクタ開口に電子ビームを照射する。このキャラクタアパーチャへの電子ビームの照射位置は、P3工程で生成した各長方形パターン▲1▼〜▲6▼の幅と高さにより決定され、従来のVSB方式と同様である。また、試料上へのキャラクタ開口により成形されたビームの照射位置は、P3工程で生成した各長方形パターン▲1▼〜▲6▼の位置そのものである。
【0057】
上述の通り、本実施形態による描画データの作成方法により、1:1−L/S形状のキャラクタ開口に、電子ビームを部分的に照射することにより、複数の配線パターンを一括して描画するための描画データを作成することができる。これにより、従来のVSB方式の描画では10ショットを要したが、本実施形態の描画方法により6ショットにより描画することができる。
【0058】
本実施形態によれば、設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させ、得られたパターン間の重なりを除去して融合し、得られた融合パターンを複数の長方形に分解するという、比較的簡単な工程により、キャラクタアパーチャ上の複数の配線パターンに対応する開口パターンの一部分を選択するための描画データを作成することができる。
【0059】
そして、この描画データを使用して電子ビーム描画を行うことにより、適切なキャラクタ開口によるビーム成形を行い、従来のVSB方式と比べて、少ないショット数により配線パターンの描画を行うことができる。そのため、配線パターンの描画スループットの向上を図ることが可能となる。
【0060】
さらに、従来のCP方式の電子ビーム描画では、効果的な配線パターン形状からは繰り返しを抽出することができず、多くの種類のキャラクタ開口を用意する必要があったが、本実施形態による方法では、任意の数及び長さの配線パターンの形状の電子ビームを発生させるために、1種類のキャラクタ開口だけしか必要としないため、限られた数のキャラクタ開口しか配置できないキャラクタアパーチャ上の占有率を大幅に低減することができる。そして、キャラクタアパーチャの空いたスペースに別のキャラクタ開口を割り当てることで、従来以上にCP方式で描画できるパターンを増やすことができる。その結果、描画に必要なショット数はさらに削減され、描画スループットがさらに改善される。
【0061】
また、本実施形態の方法は、コンタクト・ホールパターンにも有効であり、ほぼ同一のアルゴリズムにより、上記のような効果を得られる描画データを生成し、コンタクトホールパターンの描画をすることが可能となる。その描画データ生成手順を、図6に示した。図6(a)はコンタクトホールパターンの例、(b)は辺を外側に移動した状態、(c)はパターン間のマージを行った状態、(c)はパターンを長方形に分割した状態を示している。
【0062】
配線パターンの場合と異なるのは、図6(b)のP1工程における、パターンの外側に移動させる辺が全ての辺である点のみである。図6(a)のようなコンタクトホールパターンについては、コンタクトホールパターンの配置グリッド間隔WG とコンタクトホールパターンの一辺の長さWC との関係がWG =WC ×2であることから、図6(b)のP1工程での各辺の外側への移動量をWC /2としている。その後は配線パターンと同様に、図6(c)のP2工程によりP1工程で生成したパターンのマージ、図6(d)のP3工程によりP2工程で生成したパターンを複数の長方形に分割し、描画データを生成する。
【0063】
そして、図7(a)に示すようなようなキャラクタ開口へ、図7(b)(c)(d)のように長方形の電子ビームを照射することにより、3ショットにより描画を行うことができる。従来のVSB方式では、23ショットを要したのと比べると、大幅なショット数の削減を行うことができ、描画スループットを向上することが可能となる。
【0064】
さらに、本実施形態による描画方法では、キャラクタ開口により、配線パターンの幅、コンタクトホールパターンの大きさと形状、そして、それらの間隔が規定されており、描画パターンの寸法や、パターン間距離の変動を低減することができ、精度良く、配線パターン及びコンタクトホールパターンを描画することが可能である。
【0065】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で示した1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いた配線パターンの描画に加え、さらに異なる間隔で配置された配線パターンについても、同様な描画方法により描画するための描画データ生成方法、並びに電子ビーム描画方法を説明する。
【0066】
本実施形態の描画方法では、1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いて隣接する配線パターンを一括して描画すると共に、1:3−L/S形状のキャラクタ開口を用いて、配線のグリッド二つ分だけ離れた配線パターンをも一括して描画する。そのための、描画データ作成手順は、図8に示す通りである。また、配線パターンの描画ショットの例は図9に示す通りである。
【0067】
P11〜P13工程:第1の実施形態のP1〜P3工程と同様であり、少なくとも一組の対向する辺を指定した量だけ外側に移動し、移動して得られたパターン間の重なりを除去して融合し、融合して得られたパターンを複数の長方形に分割する。
【0068】
P14工程:図9(a)に示すように、前記図4(e)の1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いて描画を行うための描画データから、1:1−L/S形状のキャラクタ開口により複数の配線パターンを一括して描画できる長方形を取り除く。この場合、除去される長方形パターンは、高さがWG よりも大きい長方形である。
【0069】
P15工程:図9(b)に示すように、P14工程で残ったパターンの対向する辺を、さらにWL だけ外側に移動させる。
【0070】
P16工程:図9(c)に示すように、P15工程により得られたパターン間の重なりを除去して融合する。
【0071】
P17工程:図9(d)に示すように、P16工程により生成されたパターンを複数の長方形パターンに分割する。この工程で生成された長方形パターン▲4▼▲5▼が、図9(e)のような1:3−L/Sパターンをキャラクタ開口としてショットできるパターンを示しており、2ショットにより描画できる。
【0072】
ここで、P15〜P17工程は、P11〜P13工程(第1の実施形態ではP1〜P3)に相当している。従って本実施形態では、P14工程の後、P11〜P13工程を繰り返していることになる。
【0073】
P18工程:P17工程で生成した複数の長方形パターンに1:3−L/S形状のキャラクタ開口を割り当て、P14工程で取り除いた複数の長方形パターン▲1▼〜▲3▼には1:1−L/S形状のキャラクタ開口を割り当て、図10に示すように、キャラクタ開口に電子ビームを照射しながら、前記図4(a)の配線パターンを描画していく。
【0074】
本実施形態による描画データ作成方法により、隣接した配線パターンだけでなく、さらに離れて配置している配線パターンについても、例えば、1:3−L/S形状のキャラクタ開口を用いることにより、複数の配線パターンを一括して描画するための描画データを作成することができる。これにより、第1の実施形態の場合よりも更にショット数を少なく、1:1−L/S形状3ショットと1:3−L/S形状2ショットの、合計5ショットにより、同じ配線パターンを描画することができる。
【0075】
本実施形態によれば、複数のキャラクタ開口を用いて、効果的にショット数を削減することができるような、描画データを作成することができ、それにより、更にショット数を削減でき、スループットを向上させることが可能な、電子ビーム描画を行うことができる。
【0076】
本実施形態のP14工程で用いたような長方形パターンの除去も、簡単な図形演算により行うことができ、本実施形態による描画データ作成方法をさらに繰り返すことにより、例えば1:5−L/S形状のキャラクタ開口を用いて、配線グリッド三つ分だけ離れて配置されている配線パターンを一括して描画することが可能となる。即ち、複数のキャラクタ形状をそれぞれのショットに割り当て、さらにショット数の削減を行うことができる。
【0077】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1及び第2の実施形態で示した複数パターンの一括描画データ生成方法の別の例を説明する。
【0078】
本実施形態の描画データ生成手順は、図11に示す通りである。また、配線パターンの描画ショットの例は図12に示す通りである。図12(a)に示すような幅WL の配線パターンが、配線グリッドWG に載っている場合について、説明を行う。
【0079】
P21工程:図12(b)に示すように、図12(a)の配線パターンの設計パターンデータから、直線情報を抽出する。直線情報とは、配線パターンを直線、或いは線分として表すために必要な情報で、始点と終点及び線幅により構成される。
【0080】
通常、半導体デバイスの回路パターンの設計を行うCADなどの設計装置では、図形は多角形(ポリゴン)の頂点座標列か、直線としての上記情報、或いは長方形の場合の左下及び右上などの対角座標の何れかにより構成されている。つまり、これら全ての形式の図形データを、描画の対象とする配線パターンについては、上記直線情報に変換することとする。なお、設計パターンデータに上記の直線情報が含まれている場合は、これをそのまま用いればよい。
【0081】
P22工程:P21工程で直線情報に変換したパターンの幅を、配線グリッド間隔のWG としてポリゴン化、つまり肉付けを行う。ここで、線幅をWG としたのは、隣り合う配線グリッドの載っている配線パターンを検出し、1:1−L/S形状のキャラクタ開口を用いた一括描画の対象とするためである。従って、1:1−L/S形状のショットデータを取り除いた後であれば、例えば2WG の線幅とすることにより、配線グリッド二つ分だけ離れている配線パターンを抽出して、1:3−L/S形状のキャラクタ開口を利用して、一括描画を行うことができる。
【0082】
P23工程:P22工程で肉付けして生成されたパターンをマージし、一括して描画できるパターンを検出する。
【0083】
P24工程:P23工程で生成したパターンデータを長方形パターンに分割する。ここで生成した長方形パターンデータが、P22工程で線幅をWG としたときは1:1−L/S形状のキャラクタ開口、2WG としたときは1:3−L/S形状のキャラクタ開口、3WG としたときは1:5−L/S形状のキャラクタ開口、というように、それぞれ使用するキャラクタ開口に照射する電子ビームを示すものである。また、各長方形パターンの位置が、試料上に各キャラクタビームを照射する位置を示している。
【0084】
本実施形態による描画データ作成方法を用いても、第1及び第2の実施形態と同じパターンデータについては、本質的に同じ描画データが生成される。
【0085】
本実施形態に示した配線パターンの描画データ作成方法は、パターン中の図形データを直線情報に変換するという工程が追加されているため、工程数は、第1の実施形態の方法と比べると増えている。しかし、第1及び第2の実施形態での最も重要な工程ともいえるP1工程及びP15工程で行う、対向する辺の移動工程を、線幅の変更に置き換えることができる。
【0086】
第1及び第2の実施形態におけるパターンデータの処理として問題となる点は、どの辺を移動させるのかを的確に判断すべきことである。どのようなときに問題となるかというと、描画を行う配線パターンのレイヤーに、若干ではあるが配線の方向が異る配線パターンが混在する場合である。例えば、望ましい方向が水平方向である配線パターンのレイヤーに、短いが垂直方法の配線パターンが存在すると、その垂直方向の配線パターンについては、同じキャラクタ開口を使ってキャラクタビームを生成することが不可能である。従って、このような配線方向の異なるパターンを抽出し、別に処理を行う必要がある。
【0087】
このようなときに、配線パターンを直線(線分)情報で表しておくと、配線の方向を容易に検出でき、異なる方向の配線パターンを取り除くことができる。さらに、直角に折れ曲がった配線パターンからも、対象とする方向の成分のみを容易に取り出すことも可能である。従って、例外処理を行うことも考慮に入れたより一般的な図形処理を、確実に行うことが可能となる。
【0088】
さらに、P1工程及びP15工程のような辺の移動工程そのものも、線幅の変更のみで行えるため、アルゴリズムが容易になるという利点がある。
【0089】
(第4の実施形態)
本実施形態では、CP方式により、スタンダード・セル(SC)を一括して描画する場合に、例えば図13(a)のようなSC単体のレイアウトから、キャラクタ開口として、同図のような形状の開口を用意した場合の描画方法について述べる。
【0090】
通常、キャラクタ単位でのCPショットを行うため、例えば、図13(b)のように、チップ内に同一のSCが配置されている場合、そのままキャラクタを選択して描画を行うと、隣り合って配置されている部分のパターン([×])は、二重に描画されることになり、パターンの寸法精度が劣化してしまう。そのため、配線パターンと同様のキャラクタ開口への電子ビームの照射位置の制御を行うことが望ましい。つまり、図14に示したように、キャラクタ開口全体に電子ビームを照射するのではなく、予め重なって描画されてしまう部分については、キャラクタ開口への電子ビームの照射位置をずらすことにより、試料に転写されるキャラクタビームの大きさを調整する。
【0091】
図14のようなキャラクタビームのショットを行うための描画データを作成する方法は、図15に示す通りである。
【0092】
P31工程:パターンデータから、SCの配置情報を抽出する。ここで、SCの配置情報とは、パターンデータ中に配置されているセル名とセルの配置方向などである。ここでは、半導体デバイスの回路パターンの設計パターンデータには、セルの配置による階層構造が存在するものとする。また、SC以外の配置セルについても、キャラクタとしてCP方式で描画を行うものについては、SCと同様に取り扱う。
【0093】
P32工程:抽出したSCに対応するキャラクタ開口が用意されているかどうかを調べる。存在すれば、抽出したSCはキャラクタ開口を使用したCP方式で一括露光するものとする。
【0094】
P33工程:抽出したSC(以降、対象SCと呼ぶこととする)の周辺に配置されているパターンの情報を抽出する。ここで、パターンの情報とは、配置されているセル名,配置方向などである。
【0095】
P34工程:対象SC及びその周辺の抽出したパターンを展開する。つまり、パターンの図形情報に変換する。
【0096】
P35工程:展開したパターンのうち、対象SCに重なるパターンを検出する。
【0097】
P36工程:対象SCに重なるパターンの部分には、試料上に転写したときにキャラクタビームが照射されないように、対応するキャラクタ開口に電子ビームを照射しないよう、電子ビームのキャラクタアパーチャ上への照射位置を決定する。照射位置は、図14(b)のように、矩形ビームをずらして照射することにより調整する。
【0098】
P37工程:対象SCのビーム照射部分のパターンの情報を、パターンデータから削除する。
【0099】
P38工程:全てのパターンデータ中の配置SCについて調べていなければ、P31工程からP37工程までを繰り返す。全配置SCについて調べていれば、終了する。
【0100】
本実施形態の方法による描画データの作成方法は、SCが重なって配置されるような設計がなされたパターンデータであっても、SC単位のレイアウトをキャラクタ開口として採用し、SCの配置位置毎にキャラクタビームの大きさを調整することにより、キャラクタ種類及びショット数を増加させることがない。
【0101】
本実施形態の方法による描画データの作成方法、及びそれによる電子ビーム描画方法は、勿論、図13のような、SCが重なって配置されるような設計レイアウト・ツールを用いている場合にのみ適用されるものである。しかし、このようなレイアウト・ツールが多くあることは確かであり、SCが予め重なって配置されることを前提として設計されていることも多い。
【0102】
このような場合、SCの重なりを除去した部分のみをキャラクタとして採用した場合、一つのSC内でのショットの接続が生じて描画精度が低下し、それにより半導体デバイス製造の歩留まりの劣化を招く。また、他の場所に配置されている同じSCとはキャラクタ開口の形状を変えなければならないため、キャラクタ種類が増加し、そのためにCP方式でのショット数の削減効果が低減されてしまう。そして、分割して描画することによるショット数の増加など、好ましくない現象を引き起こす。
【0103】
それに対して本実施形態の方法では、SCの配置方向により、一種類のキャラクタ開口を用意するだけで、キャラクタ種類を増加させることなく、またショット数ももともとのSCの配置数に依存しており、増加することはなく、スループットを低減させることがない。また、P34工程でのパターンの展開処理は、対象SCとその周囲の隣接部分のみにとどめることができるため、データ変換時の計算量の増加を抑制することができる。
【0104】
さらに、描画データは、キャラクタアパーチャ上のキャラクタ開口をSC毎に割り当てること、キャラクタ開口へのビームの照射位置と、試料上へのキャラクタビームの照射位置の指定がなされておればよいため、第1〜第3の実施形態の配線パターン、及びコンタクトホールパターンの描画データと同じ形式でよいことが分かる。そのため、これらの描画パターンは区別する必要がなく、混在させて描画することも可能である。そのため、全てのレイヤーの回路パターンの形成について、常にショット数の削減、即ち描画スループットの向上、そして描画精度の向上をはかることができる。
【0105】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。本発明を実施するための電子ビーム描画装置としては、必ずしも矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有するものに限らず、3枚の成形アパーチャを有するものを用いることもできる。さらに、電子ビーム描画装置に限らず、イオンビーム描画装置に適用することも可能である。
【0106】
また、実施形態において記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM,DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで適用したり、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。本発明を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行するものであればよい。
【0107】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0108】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、2枚のビーム成形アパーチャを用いた従来とほぼ同一構成のEB描画装置を使用し、全レイヤーにおいてCP方式により効果的にショット数の削減を行い、スループットの向上をはかることができる。
【0109】
また、SCをキャラクタとした荷電ビーム描画においても、重なり部分の多重露光を防止することができ、レジストパターンの寸法変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム描画装置の基本構成とその動作を説明するための概略図。
【図2】配線パターンの規則性を説明するための概略図。
【図3】第1の実施形態に係わる電子ビーム描画データの作成手順を示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態の配線パターンにおける描画データ作成方法の例を示す図。
【図5】第1の実施形態の配線パターンに対する描画ショット(6ショット)の例を示す図。
【図6】コンタクトホールパターンの描画データ作成手順を説明するための図。
【図7】図6のコンタクトホールパターンの描画における、キャラクタ開口と矩形ビームの照射状態を説明する図。
【図8】第2の実施形態における配線パターンの描画データの作成手順を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態における配線パターンの描画データ生成方法の概略を示す図。
【図10】第2の実施形態における描画ショット(5ショット)の例を示す図。
【図11】第3の実施形態における配線パターンの描画データの作成手順を示すフローチャート。
【図12】第3の実施形態における配線パターンの描画データ生成方法の概略を示す図。
【図13】スタンダード・セルのレイアウトと配置の例を示す図。
【図14】第4の実施形態におけるスタンダード・セルの描画方法の概略を示す図。
【図15】第4の実施形態における描画データ作成手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
101…電子銃
102…電子ビーム
103…第1コンデンサーレンズ
104…ブランキング偏向器
105…第2コンデンサーレンズ
106…第1成形アパーチャ
107…第1投影レンズ
108…第2投影レンズ
109…キャラクタ選択偏向器
110…第2成形アパーチャ(キャラクタアパーチャ)
111…主偏向器
112…4段4極対称結像レンズ
113…副偏向器
114…試料
115…可動ステージ
116…ファラデーカップ
117…重金属マーク
118…マーク台
119…プランキングアンプ
120…キャラクタ選択偏向アンプ
121…対物偏向アンプ
122…パターンデータメモリ
123…パターンデータデコーダ
Claims (15)
- 所定形状の開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、
設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる第1の工程と、第1の工程により得られたパターン間の重なりを除去して融合させる第2の工程と、第2の工程により得られたパターンを複数の長方形に分解する第3の工程と、第3の工程により得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度第1から第3の工程を施す第4の工程とを有し、
第3の工程及び第4の工程により得られた各長方形データに基づいて、前記キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定することを特徴とする荷電ビーム描画データ作成方法。 - 第1の工程における各辺の移動量は、パターン配置の最小のスペース距離の2分の1の長さであることを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 前記開口パターンは、一方向と平行に配列された配線パターンであり、第1の工程では、前記設計パターンデータの前記一方向と垂直な方向に対向する一組の辺を、それぞれ指定の量だけ外側に移動させることを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 前記開口パターンはコンタクト・ホールパターンであり、第1の工程では、前記設計パターンデータの対向する各辺を、それぞれ指定の量だけ外側に移動させることを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 前記キャラクタアパーチャとして開口パターンの配列周期が異なる複数種が設けられ、第3の工程により得られた長方形データよりも第4の工程により得られた長方形データの方に対し、前記開口パターンの配列周期が長いキャラクタアパーチャが割り当てられることを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 所定方向の配線用開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、
設計パターンデータに含まれる配線パターンに相当する、少なくとも始点座標,終点座標,及び線幅により構成される直線データから、所定方向の直線の成分のみを抽出する第1の工程と、第1の工程により抽出された直線を所定の幅に変更する第2の工程と、第2の工程により幅が変更された直線パターン間の重なりを除去して融合する第3の工程と、第3の工程により融合して得られたパターンを複数の長方形に分解する第4の工程とを有し、
第4の工程により分解して得られた各長方形データに基づいて、前記キャラクタアパーチャ上のビーム照射位置を決定することを特徴とする荷電ビーム描画データ作成方法。 - 前記直線データは、前記設計パターンデータに含まれる配線パターンを、少なくとも始点座標,終点座標,及び線幅により構成される直線データに変換して得られることを特徴とする請求項6記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 第2の工程により変更する直線の幅を、前記設計パターンデータに含まれる配線パターンの最小の配置ピッチとしたことを特徴とする請求項6記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 第4の工程により分解して得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより大きい長方形データを除去した後、残った長方形データに対して再度第2から第4の工程を施すことを特徴とする請求項6記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 前記長方形データの除去工程を繰り返すたびに、除去された長方形データに対して、対応するスペース距離で開口パターンが周期的に配列された開口パターンを割り当てることを特徴とする請求項9記載の荷電ビーム描画データ作成方法。
- 矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有する荷電ビーム描画装置を用い、
請求項1〜10の何れかに記載の荷電ビーム描画データ作成方法により作成された長方形データに基づいて、前記キャラクタアパーチャに対する前記矩形アパーチャの投影位置を決定し、且つ前記長方形データの配置位置から前記試料上への成形ビームの照射位置を決定することを特徴とする荷電ビーム描画方法。 - 設計パターンデータ中で使用されているセルのパターンレイアウトをキャラクタアパーチャ上のパターン開口として使用し、キャラクタアパーチャを荷電ビームで選択的に照射することにより、セルパターンを一括して試料上に転写する荷電ビーム描画に用いる荷電ビーム描画データ作成方法であって、
設計パターンデータからセル及びその配置情報を抽出する工程と、前記抽出されたセルが、前記キャラクタアパーチャ上にパターン開口として用意されているか否かを判断する工程と、前記パターン開口が用意されていると判断されたセルに対して、該セルとこれに隣接して配置されるパターンとの重なり領域を検出する工程と、前記隣接パターンとの重なり部分が検出されたセルに対して、前記抽出されたセルに対応するパターン開口の、前記検出された重なり領域に対応する部分に荷電ビームが照射されないように、前記キャラクタアパーチャ上への荷電ビームの照射位置を決定する工程と、前記抽出されたセルのビーム照射部分のパターン配置情報を前記設計パターンデータから削除する工程と、前記各工程を前記設計パターンデータ中の全ての配置セルに対して繰り返す工程とを含むことを特徴とする荷電ビーム描画データ作成方法。 - 矩形アパーチャとキャラクタアパーチャの2枚の成形アパーチャを有する荷電ビーム描画装置を用い、
請求項12に記載の荷電ビーム描画データ作成方法により決定された、前記抽出セル毎の前記キャラクタアパーチャ上への荷電ビームの照射位置に基づいて、前記キャラクタアパーチャに対する前記矩形アパーチャの投影位置を決定し、且つ前記抽出セルの配置情報から前記試料上への成形ビームの照射位置を決定することを特徴とする荷電ビーム描画方法。 - 所定形状の開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画方法に用いられる荷電ビーム描画データを、コンピュータ制御の下に作成するためのプログラムであって、
設計パターンデータの少なくとも一組の対向する辺を指定の量だけ外側に移動させる第1の手順と、第1の手順により得られたパターン間の重なりを除去して融合させる第2の手順と、第2の手順により得られたパターンを複数の長方形に分解する第3の手順と、第3の手順により得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより小さい長方形データに対し、再度第1から第3の手順を施す第4の手順と、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータ読み取り可能な荷電ビーム描画データ作成用プログラム。 - 所定方向の配線用開口パターンが周期的に配列されたキャラクタアパーチャ上を、荷電ビームで選択的に照射することにより、開口パターンの複数個を試料上に同時に転写する荷電ビーム描画方法に用いられる荷電ビーム描画データを、コンピュータ制御の下に作成するためのプログラムであって、
設計パターンデータに含まれる配線パターンに相当する、少なくとも始点座標,終点座標,及び線幅により構成される直線データから、所定方向の直線の成分のみを抽出する第1の手順と、第1の手順により抽出された直線を所定の幅に変更する第2の手順と、第2の手順により幅が変更された直線パターン間の重なりを除去して融合する第3の手順と、第3の手順により融合して得られたパターンを複数の長方形に分解する第4の手順と、第4の手順により分解して得られた各長方形データのうち、所定の幅或いは高さより大きい長方形データを除去した後、残った長方形データに対して再度第2から第4の手順を施す第5の手順と、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータ読み取り可能な荷電ビーム描画データ作成用プログラム。
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JP2003067907A JP2004281508A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 荷電ビーム描画データ作成方法と荷電ビーム描画方法及び荷電ビーム描画データ作成用プログラム |
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2003
- 2003-03-13 JP JP2003067907A patent/JP2004281508A/ja active Pending
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