JP2004279621A - 三次元光配線 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストが低く、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高める三次元光配線を提供する。
【解決手段】三次元光配線10は、第1層目のクラッド141、第1層目のクラッド141上に相互に平行に形成された複数本の第1層目のコア121、及び第1層目のコアを囲んで第1層目のクラッド141上に成膜された第2層目のクラッド142からなる第1の二次元光配線18と、
第1の二次元光配線18上に第1層目のコア121に直交し、かつ相互に平行に形成された複数本の第2層目のコア122、及び第2層目のコア122を囲んで第2層目のクラッド142上に成膜された第3層目のクラッド143からなる第2の二次元光配線20とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】三次元光配線10は、第1層目のクラッド141、第1層目のクラッド141上に相互に平行に形成された複数本の第1層目のコア121、及び第1層目のコアを囲んで第1層目のクラッド141上に成膜された第2層目のクラッド142からなる第1の二次元光配線18と、
第1の二次元光配線18上に第1層目のコア121に直交し、かつ相互に平行に形成された複数本の第2層目のコア122、及び第2層目のコア122を囲んで第2層目のクラッド142上に成膜された第3層目のクラッド143からなる第2の二次元光配線20とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元光配線に関し、更に詳細には、光インタコネクションの分野に用いられ、製造コストが低く、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高める三次元光配線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の到来と共に、大容量かつ高速の通信方式が必要とされている。一方、従来から情報伝達手段として用いられている電気配線は、システムの高速化に伴い高周波応答に限界が生じてくる。
そこで、大容量かつ高速の通信方式で用いられる次世代光インタコネクションでは、電気配線に代わり、光信号を伝達する光配線が脚光を浴びている。例えば、基板内に設けられたLSI間のインタコネクションを光化することで、電気配線の高速限界を打破できるものと考えられている。
【0003】
図7に、LSI間のインタコネクションを光化する光配線として、LSI間の接続に光配線を用いた光配線基板(構想)の一例を示す。
光配線基板50は、基板52上に形成された、複数個のLSI54、及び複数個の電子部品56を有し、LSI54の端子の間は光配線58によって相互に接続されている。このような光配線基板50により、極めて大きな通信速度を有する光配線基板を実現することが期待されている。
【0004】
ところで、光配線は個人の家庭でも普及しはじめているものの、光配線を家庭で普及させる際の最大の課題は、コストである。
従来から光配線に用いられている石英光導波路は性能が高いものの、コストが嵩むという難点があるために、低コストで作製容易なポリマー系光導波路が光配線材として着目されている。
【0005】
ここで、ポリマー系光導波路を光配線線材として用いた光配線の一例として、特開2000−235127号公報に開示の光電子集積回路を図8を参照して説明する。図8は、前掲公報に開示の光電子集積回路70の構成を示す断面図である。
前掲公報によると、光電子集積回路70は、発光素子72及び受光素子74を集積した光電融合回路基板76と、光電融合回路基板76上に、順次、形成された平坦化ポリマー層78と、光配線部80とを有する。光配線部80は、更に、光導波路82と光路変換部84とを有する。
光導波路82は、順次、積層されたポリマー下部クラッド層82A、ポリマーコア層82B、及びポリマー上部クラッド層82Cからなる。光路変換部84は、光導波路82の一部を所定の傾斜角で切除してなる傾斜面84Aと、傾斜面84上に形成された、光の反射率を高める高反射膜84Bとを有し、光を反射するミラーとして機能する。
【0006】
発光素子72及び受光素子74は、それぞれ光路変換部84の下方に設けられている。発光素子72から出射された光は、一方の光路変換部84に入射し、光導波路82の方向に反射される。また、光導波路82を伝搬する光は、他方の光路変換部84に入射し、受光素子74の方向に反射される。
光電子集積回路70を光配線基板50の光配線58として用いるには、各LSI54の対応する端子同士を光電子集積回路70を用いて接続し、光電子集積回路70の発光素子72及び受光素子74等の光素子の近傍にこれらの光素子を駆動させるドライバ装置などを設ける。
尚、特開2001−42150号公報、特開2002−6161号公報にも、同様の機能を有する光配線が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−235127号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光配線基板では配線をより高密度に集積することが重要である。しかし、前掲公報に開示の光電子集積回路70を光配線基板50の光配線58として用いる場合に、下記のような問題があった。図9は、前掲公報に開示の光電子集積回路を用いた光配線基板の問題点を説明するための平面図である。
光配線基板の設計段階において、対向するLSI間を交差するように配線したい場合がある。例えば同図に示すように、複数のLSIが上下左右の四方に配列し、対向するLSI間、つまりLSI64AとLSI64Cとの間、及びLSI64BとLSI64Dとの間をそれぞれ接続したい場合がある。
【0009】
この場合に、LSI64BとLSI64Dとを光配線66を用いて接続すれば、LSI64AとLSI64Cとの間の接続に、既設の光配線66を跨いで別の光配線を設けることは、2つの異なる光配線を積み重ねることになり、実装工程が複雑である。
従って、光配線をLSI64Bの左側、或いはLSI64Dの右側を経由させて接続させる必要がある。このため、基板62上で多くの表面積を必要とし、光配線基板の集積度を高めることが困難であるという問題があった。
【0010】
また、他の光配線66と交差することができないという制約があるため、LSIなどを基板62上に効率良く配置することが難しく、電子部品及び素子の配置の自由度が低いという問題があった。
更に、光電子集積回路70は、光導波路を一本しか備えていないので、LSIなど、小さいピッチで配列する多くの端子を有する素子同士の接続に用いることは、寸法上非常に困難であるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、製造コストが低く、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高める三次元光配線を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決するために、相互に平行に形成された複数本のコアを有する二次元光配線を2層積層し、第1層目の二次元光配線のコアに交差(若しくは直交)するように第2層目の二次元光配線のコアを設けることにより、前述の問題を解決することができるのではないかと考えた。
つまり、相互に平行に設けられた複数本のコアを有する第1層目の二次元光配線と、第1層目の二次元光配線上に形成され、第1層目の二次元光配線のコアに交差(若しくは直交)するように、相互に平行に設けられた複数本のコアを有する第2層目の二次元光配線とを備える三次元光配線により、光配線をLSIなどの狭ピッチの端子に対応させ、かつ図10に示すように、1つの三次元光配線67でLSI64AとLSI64Cとの間及びLSI64BとLSI64Dとの間を、複雑な実装工程にて2つの異なる光配線を積み重ねることなく、交差させてそれぞれ接続することができる。同図中符号68は、発光素子、受光素子等の光素子、及びこれらの光素子を駆動させるためのドライバ装置を示す。
そして、種々の実験により三次元光配線67が有効であることを確認し、本発明を発明するに至った。
【0013】
上記目的を達成するために、上述の知見に基づいて、本発明に係る三次元光配線は、第1のクラッド、第1のクラッド上に相互に平行に形成された複数本の第1のコア、及び第1のコアを囲んで第1のクラッド上に成膜された第2のクラッドからなる第1の二次元光配線と、
第1の二次元光配線の第2のクラッド上に第1のコアに交差し、かつ相互に平行に形成された複数本の第2のコア、及び第2のコアを囲んで第1の二次元光配線の第2のクラッド上に成膜された第3のクラッドからなる第2の二次元光配線とを備えていることを特徴としている。
【0014】
本発明では、相互に平行に形成された複数本の第1のコア、及び第1のコアに交差するように相互に平行に形成された複数本の第2のコアを有することにより、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に交差して接続することができる。従って、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高めることができる。
また、第1及び第2のコアがそれぞれ複数本で構成されているので、それぞれのコアを光信号の送信に、或いは光信号の受信に用いることにより、双方向の通信を行うことができる。
【0015】
本発明の好適な実施態様では、第2のコアが、第1のコアに直交する。これにより、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に直交して接続することができるので、良好な上記効果を得る。
本発明の好適な実施態様では、第1及び第2のコア、第1、第2、及び第3のクラッドが、それぞれ高分子有機化合物から構成されている。
これにより、容易に三次元光配線を作製できるので、製造コストを下げることができる。
【0016】
本発明の好適な実施態様では、複数本の第1のコアが、同一面上で5μm以上の間隔で延在する。これにより、コア同士のクロストークを抑制することができる。
本発明は、好適には、複数本の第1のコアが、同一面上で25μm以上の間隔で延在することにより、確実にクロストークを抑制することができる。
本発明の好適な実施態様では、複数本の第2のコアが、同一面上で5μm以上の間隔で延在する。これにより、上記同様の効果を得ることができる。
本発明は、好適には、複数本の第2のコアが、同一面上で25μm以上の間隔で延在することにより、確実にクロストークを抑制することができる。
【0017】
本発明の好適な実施態様では、複数本の第1のコアの配列と複数本の第2のコアの配列とが、5μm以上の間隔で相互に離間している。これにより、上記同様の効果が得られる。
本発明は、好適には、複数本の第1のコアの配列と複数本の第2のコアの配列とが、25μm以上の間隔で相互に離間していることにより、確実にクロストークを抑制することができる。
【0018】
本発明の好適な実施態様では、複数本の第1のコアの両端部が、同一面からなる第1の端面を形成し、
第1の端面が、第1のコアの延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面である。
これにより、面発光半導体レーザ素子などの発光素子、及びフォトダイオードなどの受光素子と三次元光配線との光結合が容易になる。
本発明の好適な実施態様では、複数本の第2のコアの両端部が、同一面からなる第2の端面を形成し、
第2の端面が、第2のコアの延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面である。上記同様の効果が得られる。
【0019】
本発明の好適な実施態様では、第1のコアが、第1の端面の近傍で第1の枝部と第2の枝部とにY字状に分岐して、第1の端面に到達するように形成されている。
これにより、1本のコアで光信号の送受信が可能となるので、全二重方式又は半二重方式の一芯双方向通信を得ることができる。
本発明の好適な実施態様では、第2のコアが、第2の端面の近傍で第1の枝部と第2の枝部とにY字状に分岐して、第2の端面に到達するように形成されている。上記同様の効果が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照して、実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
実施形態例1
本実施形態例は本発明に係る三次元光配線の実施形態の一例である。図1(a)は本実施形態例の三次元光配線の構成を示す平面図、図1(b)は図1(a)のI−I断面を示す断面図、図2(a)は図1(a)のII−II断面を示す断面図、図2(b)は図1(a)のIII−III断面を示す断面図である。
本実施形態例の三次元光配線10は、マルチモードの三次元光配線であって、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、平面形状が30mm×30mmの略正方形に形成され、基板16と、基板16上に設けられた第1の二次元光配線18と、第1の二次元光配線18上に設けられた第2の二次元光配線20とを有する。
【0021】
第1の二次元光配線18は、基板16上に成膜された第1層目のクラッド141と、クラッド141上に間隔GLで相互に平行に形成されたM(Mは任意の自然数)本の帯状の第1層目のコア121と、第1層目のコア121を囲んで第1層目のクラッド141上に成膜された第2層目のクラッド142とを有する。
第2の二次元光配線20は、第1の二次元光配線18上、即ち第2層目のクラッド142上に、第1層目のコア121に直交するように間隔GWで相互に平行に形成されたN(Nは任意の自然数)本の帯状の第2層目のコア122と、第2層目のコア122を囲んで第2層目のクラッド142上に成膜された第3層目のクラッド143とを有する。
第1層目のコア121及び第2層目のコア122の断面形状は、それぞれ、一辺が20μm〜100μmの長方形をなしている。
【0022】
コア121、122、及びクラッド141、142、143は、それぞれ同じ高分子有機化合物で形成され、コア12を構成する高分子有機化合物は、クラッド14を構成する高分子有機化合物の屈折率より0.2%から3.0%程度大きい屈折率を有する。従って、コア12が光導波路を構成し、コア12に入射されたレーザ光はコア12内をコア12とクラッド14との境界面で全反射して伝搬する。
本実施形態例では、コア12及びクラッド14は、それぞれ相互に屈折率が異なるオキセタン樹脂で形成されている。
【0023】
オキセタン樹脂を用いて光導波路を形成する方法は、特開2000−356720号公報に詳述されている。前掲公報を参照して、オキセタン樹脂を簡単に説明すると、オキセタン樹脂は、オキセタン環を有するオキセタン化合物と、オキシラン環を有するオキシラン化合物と、連鎖反応によりオキセタン化合物の重合を開始させるカチオン重合開始剤とを含み、紫外線等のエネルギービームを照射することにより硬化する樹脂成分であって、例えばソニーケミカル(株)から販売されている。
【0024】
オキセタン化合物として、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(室温で液体)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンとジ[4−(1−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)]ベンジルエーテルとの混合物(以下、キシレンジオキセタンともいう。)(室温で液体)、フェノールノボラックオキセタン(室温で固体)、オキセタニルシルセスキオキセタン(室温で液体)等が挙げられる。
【0025】
オキシラン化合物として、例えばリモネンジオキサイド、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物(混合比約1:1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、カチオン重合開始剤は、例えば4−4′ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(旭電化社製)である。
【0026】
オキセタン化合物の屈折率(25℃、ナトリウムD線)は、オキセタン化合物の種類によって異なり、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルで1.4544、またフェノールノボラックオキセタンで1.57程度である。
また、オキシラン化合物の屈折率(25℃、D線)は、例えばリモネンジオキサイドで1.4656、またビスフェノールA型エポキシ樹脂で1.5683である。
【0027】
オキセタン樹脂は、オキセタン化合物及びオキシラン化合物の種類並びに配合比を調整することにより、屈折率を調節することができる。
例えば、光導波路のコア部を形成するためには、クラッド部との屈折率の差が安定して得られるように、屈折率が1.5未満のものを10〜30重量%含み、屈折率が1.5以上のものを40〜60重量%含み、残部がオキシラン化合物であるオキセタン樹脂を使用する。また、クラッド部を形成するためには、屈折率が1.5未満のオキセタン化合物を40重量%よりも多く含み、残部がオキシラン化合物であって、屈折率が1.5以上のオキセタン化合物を含まないオキセタン樹脂を使用する。
【0028】
具体的には、例えば、キシレンジオキセタン10重量部、フェノールノボラックオキセタン20重量部、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物20重量部、およびビスフェノールA型エポキシ樹脂20重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路コア形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0029】
また、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル22重量部、オキセタニルシルセスキオキセタン13重量部、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂35重量部、および二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路クラッド形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0030】
図2(a)、(b)に戻り、三次元光配線10は、第1のコア121の両端で、第1の二次元光配線18及び第2の二次元光配線20が、第1のコア121の延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面22を有する。
また、第2のコア122の両端で、第1の二次元光配線18及び第2の二次元光配線20が、第2のコア122の延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面22を有する。
【0031】
本実施形態例の三次元光配線10を面発光半導体レーザ素子などの発光素子24又はフォトダイオードなどの受光素子26と光結合させるには、図2(a)、(b)に示すように、発光素子24又は受光素子26をコア12の傾斜端面22の直上に、光の出射面又は入射面を下側に向けて配置する。
この場合、発光素子24から傾斜端面22に対して45°の角度で入射した光は、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変え、光導波路であるコア12内を全反射により伝播する。
同様に、光導波路であるコア12内を全反射により伝播した光は、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変えて、受光素子26に出射する。
発光素子24は例えば、n型基板上に、順次、n型DBR(Distributed Bragg Reflector)ミラー、λ共振器、及びp型DBRミラーを形成した円筒型の面発光半導体レーザ素子であり、受光素子26は例えば、基板上に、順次形成されたn型半導体、i型半導体、及びp型半導体からなる円筒型のpin構造を有するフォトダイオードである。
【0032】
本実施形態例では、第1層目のコア121の本数M、及び第2層目のコア122の本数Nはいずれも12であり、それぞれのコアを光信号の送信又は受信に用いることにより、双方向の通信を行うことができる。
また、GL、GW、及び第1層目のコア121と第2層目のコア122との間隔GHはいずれも25μmに設定されている。
【0033】
本実施形態例の三次元光配線10によれば、第1層目のコア121と第2層目のコア122とが相互に直交するように設けられているため、光配線基板で、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に交差して接続することができる。従って、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高めることができる。
また、本実施形態例の三次元光配線10について実験を行ったところ、コア12間のクロストークは全く観測されず、GL、GW、及びGHが25μmに設定されていることにより、クロストークが確実に抑制されているものと評価できる。
本実施形態例の三次元光配線10によれば、コア12の延在方向に対して45°の傾斜を有する傾斜端面22を有するので、光素子の配置が容易であると共に、基板16を剥離することなく光素子と三次元光配線とを光結合させることができる。
【0034】
尚、コア12の両端に形成される端面はコア12の延在方向に対して45°の傾斜を有する傾斜端面22に限定されるものではなく、コア12に対して垂直な端面であってもよい。この場合、三次元光配線10の外部のコア12の延長線上に、発光素子24又は受光素子26を配置することにより、光信号の送受信を行うことができる。
本実施形態例では、三次元光配線10の平面形状を略正方形としたが、第1層目のコア121と第2層目のコア122とが相互に直交、或いは交差するように設けられていれば、長方形、平行四辺形及びその他の形状でも構わない。
【0035】
本実施形態例では、コア12及びクラッド14に、それぞれ相互に屈折率が異なるオキセタン樹脂を用いたが、コア12及びクラッド14に、それぞれ相互に屈折率が異なるフッ素化ポリイミド(NTTアドバンステクノロジ株式会社製、日立化成工業株式会社製)などを用いることもできる。
コア121、122及びクラッド141、142、143の幅、厚みなどは、伝送損失が小さくなるように適宜設定することができる。
【0036】
図3及び図4を参照して、本実施形態例の三次元光配線10の作製方法を説明する。この作製例は、相互に屈折率の異なる2種類のオキセタン樹脂を使った例である。図3(a)から(c)は、図1(a)のII−II断面に沿った断面を示し、図4(d)、(e)は、図1(a)のIII−III断面に沿った断面を示す。
【0037】
先ず、図3(a)に示すように、基板16上に屈折率の低いオキセタン樹脂を塗布してスピンコート法で成膜し、紫外線を照射して、オキセタン樹脂層を硬化させ、第1層目のクラッド141を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、第1層目のクラッド141上に、屈折率の高いオキセタン樹脂を塗布して、第1層目のコア121の膜厚に等しい膜厚の第1のコア形成層121aをスピンコート法で成膜する。
続いて、第1層目のコア121のパターンを透明な領域28aとして、その他の領域を不透明な領域28bとして有する第1のマスク28を介して、コア形成層121aに対して、照度10mW/cm2、照射量3分の紫外線照射を行う。紫外線照射により、コア形成層121a中で、領域28aの下部の紫外線照射領域のみが硬化して、第1層目のコア121となる。
【0038】
次いで、領域28bの下部の紫外線非照射領域の第1のコア形成層121a(非硬化層)をアセトンで除去する。続いて、図3(c)に示すように、第1層目のコア121を形成後、屈折率の低いオキセタン樹脂を塗布してスピンコート法で成膜し、紫外線を照射して硬化させ第2層目のクラッド142を形成する。
【0039】
次に、図4(d)に示すように、第2層目のクラッド142上に、屈折率の高いオキセタン樹脂を塗布して、第2層目のコア122の膜厚に等しい膜厚の第2のコア形成層122aをスピンコート法で成膜する。
続いて、第2層目のコア122のパターンを透明な領域30aとして、その他の領域を不透明な領域30bとして有する第2のマスク30を介して、第2のマスク30のパターンが第1層目のコア121に直交するように、照度250W、照射量3分の紫外線照射を行う。紫外線照射により、コア形成層122a中で、領域30aの下部の紫外線照射領域のみが硬化して、第2層目のコア122となる。
【0040】
次いで、領域30bの下部の紫外線非照射領域の第2のコア形成層122a(非硬化層)をアセトンで除去する。続いて、図4(e)に示すように、第2層目のコア122を形成後、屈折率の低いオキセタン樹脂を塗布してスピンコート法で成膜し、紫外線を照射して硬化させ第3層目のクラッド143を形成する。
最後に、端部を切削して、第1層目のコア121及び第2層目のコア122の両端に、それぞれコアに対して45°の傾斜を有する傾斜端面22(図2(a)、(b)参照)を形成することにより、本実施形態例の三次元光配線10を作製することができる。
【0041】
基板16として、ポリイミド基板、ガラス基板、石英基板、Si基板、GaAs基板、InP基板、及びSOI(Silicon on Insulator)基板などを使用することができる。なお、基板16はクラッド141から剥離しても構わない。
【0042】
本実施形態例では、コアを構成する高分子有機化合物に紫外線照射により硬化するオキセタン樹脂を用いたが、これに代えて、コアと同一面上に形成されるクラッドを構成する高分子有機化合物として紫外線照射により屈折率が低下する高分子有機化合物、例えばグラシア(ポリシラン)(日本ペイント株式会社製)などを用いることもできる。
高分子有機化合物にグラシアを用いる場合には、コア形成層としてグラシアを成膜し、マスクを介して紫外線を照射した後、ポストベークにより熱硬化させる。これにより、紫外線の非照射領域がコアとなり、紫外線の照射領域は屈折率が低下しクラッドとなる。従って、本実施形態例の三次元光配線の作製方法のように、紫外線非照射領域の未硬化層を除去する必要がない。
グラシアからなるコア及びクラッドの上下に設けられるクラッドには、例えばフッ素化ポリイミド(NTTアドバンステクノロジ株式会社製、日立化成工業株式会社製)などを用いることができる。
【0043】
本実施形態例の三次元光配線10の作製方法によれば、コア12及びクラッド14に、紫外線照射により硬化する高分子有機化合物、或いは紫外線照射により屈折率が変化する高分子有機化合物を用いることにより、所定形状のマスクパターンを介してコア形成層に紫外線を照射し、所望の配列及び形状を有するコアを形成することができる。
従って、容易に三次元光配線10を作製できるので、製造コストを下げることができる。
【0044】
実施形態例2
本実施形態例は、本発明に係る三次元光配線の実施形態の別の一例である。図5は本実施形態例に係る三次元光配線の構成を示す平面図、図6は図5の傾斜端面の近傍を拡大して示す平面図である。図5及び図6中で、実施形態例1の三次元光配線10と同様の構成を有する部分については、同じ符号を付した。
【0045】
本実施形態例の三次元光配線40は、マルチモードの三次元光配線であって、図5及び図6に示すように、第1層目のコア121及び第2層目のコア122が、それぞれ、帯状の光導波路本体42と、一端が傾斜端面22の近傍のY分岐部44で光導波路本体42に接続し、Y分岐部44で第1の光導波路枝46aと第2の光導波路枝46bとにY字状に分岐して、第1の光導波路枝46a及び第2の光導波路枝46bの他端が傾斜端面22に達するY分岐46とから構成されていることを除いては、実施形態例1の三次元光配線10と同様の構成を有する。
【0046】
三次元光配線40を面発光半導体レーザ素子などの発光素子24又はフォトダイオードなどの受光素子26と光結合させるには、発光素子24を第1の光導波路枝46aの傾斜端面22の直上に光の出射面を下側に向けて配置し、受光素子26を第2の光導波路枝46bの傾斜端面22の直上に光の入射面を下側に向けて配置する。
この場合、発光素子24から傾斜端面22に対して45°の角度で入射した光は、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変え、光導波路である第1の光導波路枝46a内を伝搬し、Y分岐部44を経て光導波路本体42により他端に伝搬される。
同様に、光導波路本体42内を他端から伝搬して来た光は、Y分岐部44を経て第2の光導波路枝46bを伝搬し、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変えて、受光素子26に出射する。
【0047】
本実施形態例の三次元光配線40によれば、実施形態例1の三次元光配線10の効果に加え、1本のコアで光信号の送受信を交互に行う半二重通信だけでなく、1本のコアで光信号の送受信を同時に行う全二重通信を行うこともできる。
尚、Y分岐46の長さやカーブなどの形状は、コンピュータシミュレーションにより、伝送損失が低くなるように設定することができる。
【0048】
本実施形態例の三次元光配線40の作製方法は、第1のマスク28上から紫外線を照射して第1層目のコア121を形成する際に、フォトリソグラフィ処理により、光導波路本体42及びY分岐46を有する第1層目のコア121の開口パターンを有する第1のマスク28を形成する。
【0049】
また、第2のマスク30上から紫外線を照射して第2層目のコア122を形成する際に、フォトリソグラフィ処理により、光導波路本体42及びY分岐46を有する第2層目のコア122の開口パターンを有する第2のマスク30を形成する。
上記を除いては、実施形態例1の三次元光配線10の作製方法と同様である。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、相互に平行に形成された複数本の第1のコア、及び第1のコアに交差するように相互に平行に形成された複数本の第2のコアを有することにより、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に交差して接続することができる。
従って、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高める三次元光配線を実現することができる。
また、第1及び第2のコアがそれぞれ複数本で構成されているので、それぞれのコアを光信号の送信に、或いは光信号の受信に用いることにより、双方向の通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、実施形態例1に係る三次元光配線の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のI−I断面を示す断面図である。
【図2】(a)は、図1(a)のII−II断面を示す断面図であり、(b)は、図1(a)のIII−III断面を示す断面図である。
【図3】(a)から(c)は、図1(a)のII−II断面に沿った、三次元光配線の各作製工程をそれぞれ示す断面図である。
【図4】(d)、(e)は、図1(a)のIII−III断面に沿った、三次元光配線の各作製工程をそれぞれ示す断面図である。
【図5】実施形態例2に係る三次元光配線の構成を示す平面図である。
【図6】図5の第2層目のコアの端面近傍を拡大して示す平面図である。
【図7】LSI間の接続に光配線を用いた光配線基板の一例を示す斜視図である。
【図8】特開2000−235127号公報に開示の光電子集積回路の構成を示す斜視図である。
【図9】特開2000−235127号公報に開示の光電子集積回路を用いた光配線基板の問題点を説明するための平面図である。
【図10】本発明の三次元光配線を用いた光配線基板の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
10……実施形態例1に係る三次元光配線、12……コア、12a……コア形成層、14……クラッド、16……基板、18……第1の二次元光配線、20……第2の二次元光配線、22……傾斜端面、24……発光素子、26……受光素子、28……第1のマスク、28a……透明な領域、28b……不透明な領域、30……第2のマスク、30a……透明な領域、30b……不透明な領域、40……実施形態例2に係る三次元光配線、42……光導波路本体、44……Y分岐部、46……Y分岐、46a……第1の光導波路枝、46b……第2の光導波路枝、50……光配線基板、52……基板、54……LSI、56……電子部品、58……光配線、62……基板、64A、64B、64C、64D……LSI、66……光配線(光電子集積回路)、67……三次元光配線、68……ドライバ装置、70……引用文献1に開示の光電子集積回路、72……発光素子、74……受光素子、76……光電融合回路基板、78……平坦化ポリマー層、80……光配線部、82……光導波路、82A……ポリマー下部クラッド層、82B……ポリマーコア層、82C……ポリマー上部クラッド層、84……光路変換部、84A……傾斜面、84B……高反射膜。
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元光配線に関し、更に詳細には、光インタコネクションの分野に用いられ、製造コストが低く、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高める三次元光配線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の到来と共に、大容量かつ高速の通信方式が必要とされている。一方、従来から情報伝達手段として用いられている電気配線は、システムの高速化に伴い高周波応答に限界が生じてくる。
そこで、大容量かつ高速の通信方式で用いられる次世代光インタコネクションでは、電気配線に代わり、光信号を伝達する光配線が脚光を浴びている。例えば、基板内に設けられたLSI間のインタコネクションを光化することで、電気配線の高速限界を打破できるものと考えられている。
【0003】
図7に、LSI間のインタコネクションを光化する光配線として、LSI間の接続に光配線を用いた光配線基板(構想)の一例を示す。
光配線基板50は、基板52上に形成された、複数個のLSI54、及び複数個の電子部品56を有し、LSI54の端子の間は光配線58によって相互に接続されている。このような光配線基板50により、極めて大きな通信速度を有する光配線基板を実現することが期待されている。
【0004】
ところで、光配線は個人の家庭でも普及しはじめているものの、光配線を家庭で普及させる際の最大の課題は、コストである。
従来から光配線に用いられている石英光導波路は性能が高いものの、コストが嵩むという難点があるために、低コストで作製容易なポリマー系光導波路が光配線材として着目されている。
【0005】
ここで、ポリマー系光導波路を光配線線材として用いた光配線の一例として、特開2000−235127号公報に開示の光電子集積回路を図8を参照して説明する。図8は、前掲公報に開示の光電子集積回路70の構成を示す断面図である。
前掲公報によると、光電子集積回路70は、発光素子72及び受光素子74を集積した光電融合回路基板76と、光電融合回路基板76上に、順次、形成された平坦化ポリマー層78と、光配線部80とを有する。光配線部80は、更に、光導波路82と光路変換部84とを有する。
光導波路82は、順次、積層されたポリマー下部クラッド層82A、ポリマーコア層82B、及びポリマー上部クラッド層82Cからなる。光路変換部84は、光導波路82の一部を所定の傾斜角で切除してなる傾斜面84Aと、傾斜面84上に形成された、光の反射率を高める高反射膜84Bとを有し、光を反射するミラーとして機能する。
【0006】
発光素子72及び受光素子74は、それぞれ光路変換部84の下方に設けられている。発光素子72から出射された光は、一方の光路変換部84に入射し、光導波路82の方向に反射される。また、光導波路82を伝搬する光は、他方の光路変換部84に入射し、受光素子74の方向に反射される。
光電子集積回路70を光配線基板50の光配線58として用いるには、各LSI54の対応する端子同士を光電子集積回路70を用いて接続し、光電子集積回路70の発光素子72及び受光素子74等の光素子の近傍にこれらの光素子を駆動させるドライバ装置などを設ける。
尚、特開2001−42150号公報、特開2002−6161号公報にも、同様の機能を有する光配線が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−235127号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光配線基板では配線をより高密度に集積することが重要である。しかし、前掲公報に開示の光電子集積回路70を光配線基板50の光配線58として用いる場合に、下記のような問題があった。図9は、前掲公報に開示の光電子集積回路を用いた光配線基板の問題点を説明するための平面図である。
光配線基板の設計段階において、対向するLSI間を交差するように配線したい場合がある。例えば同図に示すように、複数のLSIが上下左右の四方に配列し、対向するLSI間、つまりLSI64AとLSI64Cとの間、及びLSI64BとLSI64Dとの間をそれぞれ接続したい場合がある。
【0009】
この場合に、LSI64BとLSI64Dとを光配線66を用いて接続すれば、LSI64AとLSI64Cとの間の接続に、既設の光配線66を跨いで別の光配線を設けることは、2つの異なる光配線を積み重ねることになり、実装工程が複雑である。
従って、光配線をLSI64Bの左側、或いはLSI64Dの右側を経由させて接続させる必要がある。このため、基板62上で多くの表面積を必要とし、光配線基板の集積度を高めることが困難であるという問題があった。
【0010】
また、他の光配線66と交差することができないという制約があるため、LSIなどを基板62上に効率良く配置することが難しく、電子部品及び素子の配置の自由度が低いという問題があった。
更に、光電子集積回路70は、光導波路を一本しか備えていないので、LSIなど、小さいピッチで配列する多くの端子を有する素子同士の接続に用いることは、寸法上非常に困難であるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、製造コストが低く、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高める三次元光配線を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決するために、相互に平行に形成された複数本のコアを有する二次元光配線を2層積層し、第1層目の二次元光配線のコアに交差(若しくは直交)するように第2層目の二次元光配線のコアを設けることにより、前述の問題を解決することができるのではないかと考えた。
つまり、相互に平行に設けられた複数本のコアを有する第1層目の二次元光配線と、第1層目の二次元光配線上に形成され、第1層目の二次元光配線のコアに交差(若しくは直交)するように、相互に平行に設けられた複数本のコアを有する第2層目の二次元光配線とを備える三次元光配線により、光配線をLSIなどの狭ピッチの端子に対応させ、かつ図10に示すように、1つの三次元光配線67でLSI64AとLSI64Cとの間及びLSI64BとLSI64Dとの間を、複雑な実装工程にて2つの異なる光配線を積み重ねることなく、交差させてそれぞれ接続することができる。同図中符号68は、発光素子、受光素子等の光素子、及びこれらの光素子を駆動させるためのドライバ装置を示す。
そして、種々の実験により三次元光配線67が有効であることを確認し、本発明を発明するに至った。
【0013】
上記目的を達成するために、上述の知見に基づいて、本発明に係る三次元光配線は、第1のクラッド、第1のクラッド上に相互に平行に形成された複数本の第1のコア、及び第1のコアを囲んで第1のクラッド上に成膜された第2のクラッドからなる第1の二次元光配線と、
第1の二次元光配線の第2のクラッド上に第1のコアに交差し、かつ相互に平行に形成された複数本の第2のコア、及び第2のコアを囲んで第1の二次元光配線の第2のクラッド上に成膜された第3のクラッドからなる第2の二次元光配線とを備えていることを特徴としている。
【0014】
本発明では、相互に平行に形成された複数本の第1のコア、及び第1のコアに交差するように相互に平行に形成された複数本の第2のコアを有することにより、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に交差して接続することができる。従って、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高めることができる。
また、第1及び第2のコアがそれぞれ複数本で構成されているので、それぞれのコアを光信号の送信に、或いは光信号の受信に用いることにより、双方向の通信を行うことができる。
【0015】
本発明の好適な実施態様では、第2のコアが、第1のコアに直交する。これにより、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に直交して接続することができるので、良好な上記効果を得る。
本発明の好適な実施態様では、第1及び第2のコア、第1、第2、及び第3のクラッドが、それぞれ高分子有機化合物から構成されている。
これにより、容易に三次元光配線を作製できるので、製造コストを下げることができる。
【0016】
本発明の好適な実施態様では、複数本の第1のコアが、同一面上で5μm以上の間隔で延在する。これにより、コア同士のクロストークを抑制することができる。
本発明は、好適には、複数本の第1のコアが、同一面上で25μm以上の間隔で延在することにより、確実にクロストークを抑制することができる。
本発明の好適な実施態様では、複数本の第2のコアが、同一面上で5μm以上の間隔で延在する。これにより、上記同様の効果を得ることができる。
本発明は、好適には、複数本の第2のコアが、同一面上で25μm以上の間隔で延在することにより、確実にクロストークを抑制することができる。
【0017】
本発明の好適な実施態様では、複数本の第1のコアの配列と複数本の第2のコアの配列とが、5μm以上の間隔で相互に離間している。これにより、上記同様の効果が得られる。
本発明は、好適には、複数本の第1のコアの配列と複数本の第2のコアの配列とが、25μm以上の間隔で相互に離間していることにより、確実にクロストークを抑制することができる。
【0018】
本発明の好適な実施態様では、複数本の第1のコアの両端部が、同一面からなる第1の端面を形成し、
第1の端面が、第1のコアの延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面である。
これにより、面発光半導体レーザ素子などの発光素子、及びフォトダイオードなどの受光素子と三次元光配線との光結合が容易になる。
本発明の好適な実施態様では、複数本の第2のコアの両端部が、同一面からなる第2の端面を形成し、
第2の端面が、第2のコアの延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面である。上記同様の効果が得られる。
【0019】
本発明の好適な実施態様では、第1のコアが、第1の端面の近傍で第1の枝部と第2の枝部とにY字状に分岐して、第1の端面に到達するように形成されている。
これにより、1本のコアで光信号の送受信が可能となるので、全二重方式又は半二重方式の一芯双方向通信を得ることができる。
本発明の好適な実施態様では、第2のコアが、第2の端面の近傍で第1の枝部と第2の枝部とにY字状に分岐して、第2の端面に到達するように形成されている。上記同様の効果が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照して、実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
実施形態例1
本実施形態例は本発明に係る三次元光配線の実施形態の一例である。図1(a)は本実施形態例の三次元光配線の構成を示す平面図、図1(b)は図1(a)のI−I断面を示す断面図、図2(a)は図1(a)のII−II断面を示す断面図、図2(b)は図1(a)のIII−III断面を示す断面図である。
本実施形態例の三次元光配線10は、マルチモードの三次元光配線であって、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、平面形状が30mm×30mmの略正方形に形成され、基板16と、基板16上に設けられた第1の二次元光配線18と、第1の二次元光配線18上に設けられた第2の二次元光配線20とを有する。
【0021】
第1の二次元光配線18は、基板16上に成膜された第1層目のクラッド141と、クラッド141上に間隔GLで相互に平行に形成されたM(Mは任意の自然数)本の帯状の第1層目のコア121と、第1層目のコア121を囲んで第1層目のクラッド141上に成膜された第2層目のクラッド142とを有する。
第2の二次元光配線20は、第1の二次元光配線18上、即ち第2層目のクラッド142上に、第1層目のコア121に直交するように間隔GWで相互に平行に形成されたN(Nは任意の自然数)本の帯状の第2層目のコア122と、第2層目のコア122を囲んで第2層目のクラッド142上に成膜された第3層目のクラッド143とを有する。
第1層目のコア121及び第2層目のコア122の断面形状は、それぞれ、一辺が20μm〜100μmの長方形をなしている。
【0022】
コア121、122、及びクラッド141、142、143は、それぞれ同じ高分子有機化合物で形成され、コア12を構成する高分子有機化合物は、クラッド14を構成する高分子有機化合物の屈折率より0.2%から3.0%程度大きい屈折率を有する。従って、コア12が光導波路を構成し、コア12に入射されたレーザ光はコア12内をコア12とクラッド14との境界面で全反射して伝搬する。
本実施形態例では、コア12及びクラッド14は、それぞれ相互に屈折率が異なるオキセタン樹脂で形成されている。
【0023】
オキセタン樹脂を用いて光導波路を形成する方法は、特開2000−356720号公報に詳述されている。前掲公報を参照して、オキセタン樹脂を簡単に説明すると、オキセタン樹脂は、オキセタン環を有するオキセタン化合物と、オキシラン環を有するオキシラン化合物と、連鎖反応によりオキセタン化合物の重合を開始させるカチオン重合開始剤とを含み、紫外線等のエネルギービームを照射することにより硬化する樹脂成分であって、例えばソニーケミカル(株)から販売されている。
【0024】
オキセタン化合物として、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(室温で液体)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンとジ[4−(1−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)]ベンジルエーテルとの混合物(以下、キシレンジオキセタンともいう。)(室温で液体)、フェノールノボラックオキセタン(室温で固体)、オキセタニルシルセスキオキセタン(室温で液体)等が挙げられる。
【0025】
オキシラン化合物として、例えばリモネンジオキサイド、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物(混合比約1:1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、カチオン重合開始剤は、例えば4−4′ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(旭電化社製)である。
【0026】
オキセタン化合物の屈折率(25℃、ナトリウムD線)は、オキセタン化合物の種類によって異なり、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルで1.4544、またフェノールノボラックオキセタンで1.57程度である。
また、オキシラン化合物の屈折率(25℃、D線)は、例えばリモネンジオキサイドで1.4656、またビスフェノールA型エポキシ樹脂で1.5683である。
【0027】
オキセタン樹脂は、オキセタン化合物及びオキシラン化合物の種類並びに配合比を調整することにより、屈折率を調節することができる。
例えば、光導波路のコア部を形成するためには、クラッド部との屈折率の差が安定して得られるように、屈折率が1.5未満のものを10〜30重量%含み、屈折率が1.5以上のものを40〜60重量%含み、残部がオキシラン化合物であるオキセタン樹脂を使用する。また、クラッド部を形成するためには、屈折率が1.5未満のオキセタン化合物を40重量%よりも多く含み、残部がオキシラン化合物であって、屈折率が1.5以上のオキセタン化合物を含まないオキセタン樹脂を使用する。
【0028】
具体的には、例えば、キシレンジオキセタン10重量部、フェノールノボラックオキセタン20重量部、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物20重量部、およびビスフェノールA型エポキシ樹脂20重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路コア形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0029】
また、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル22重量部、オキセタニルシルセスキオキセタン13重量部、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂35重量部、および二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路クラッド形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0030】
図2(a)、(b)に戻り、三次元光配線10は、第1のコア121の両端で、第1の二次元光配線18及び第2の二次元光配線20が、第1のコア121の延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面22を有する。
また、第2のコア122の両端で、第1の二次元光配線18及び第2の二次元光配線20が、第2のコア122の延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面22を有する。
【0031】
本実施形態例の三次元光配線10を面発光半導体レーザ素子などの発光素子24又はフォトダイオードなどの受光素子26と光結合させるには、図2(a)、(b)に示すように、発光素子24又は受光素子26をコア12の傾斜端面22の直上に、光の出射面又は入射面を下側に向けて配置する。
この場合、発光素子24から傾斜端面22に対して45°の角度で入射した光は、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変え、光導波路であるコア12内を全反射により伝播する。
同様に、光導波路であるコア12内を全反射により伝播した光は、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変えて、受光素子26に出射する。
発光素子24は例えば、n型基板上に、順次、n型DBR(Distributed Bragg Reflector)ミラー、λ共振器、及びp型DBRミラーを形成した円筒型の面発光半導体レーザ素子であり、受光素子26は例えば、基板上に、順次形成されたn型半導体、i型半導体、及びp型半導体からなる円筒型のpin構造を有するフォトダイオードである。
【0032】
本実施形態例では、第1層目のコア121の本数M、及び第2層目のコア122の本数Nはいずれも12であり、それぞれのコアを光信号の送信又は受信に用いることにより、双方向の通信を行うことができる。
また、GL、GW、及び第1層目のコア121と第2層目のコア122との間隔GHはいずれも25μmに設定されている。
【0033】
本実施形態例の三次元光配線10によれば、第1層目のコア121と第2層目のコア122とが相互に直交するように設けられているため、光配線基板で、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に交差して接続することができる。従って、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高めることができる。
また、本実施形態例の三次元光配線10について実験を行ったところ、コア12間のクロストークは全く観測されず、GL、GW、及びGHが25μmに設定されていることにより、クロストークが確実に抑制されているものと評価できる。
本実施形態例の三次元光配線10によれば、コア12の延在方向に対して45°の傾斜を有する傾斜端面22を有するので、光素子の配置が容易であると共に、基板16を剥離することなく光素子と三次元光配線とを光結合させることができる。
【0034】
尚、コア12の両端に形成される端面はコア12の延在方向に対して45°の傾斜を有する傾斜端面22に限定されるものではなく、コア12に対して垂直な端面であってもよい。この場合、三次元光配線10の外部のコア12の延長線上に、発光素子24又は受光素子26を配置することにより、光信号の送受信を行うことができる。
本実施形態例では、三次元光配線10の平面形状を略正方形としたが、第1層目のコア121と第2層目のコア122とが相互に直交、或いは交差するように設けられていれば、長方形、平行四辺形及びその他の形状でも構わない。
【0035】
本実施形態例では、コア12及びクラッド14に、それぞれ相互に屈折率が異なるオキセタン樹脂を用いたが、コア12及びクラッド14に、それぞれ相互に屈折率が異なるフッ素化ポリイミド(NTTアドバンステクノロジ株式会社製、日立化成工業株式会社製)などを用いることもできる。
コア121、122及びクラッド141、142、143の幅、厚みなどは、伝送損失が小さくなるように適宜設定することができる。
【0036】
図3及び図4を参照して、本実施形態例の三次元光配線10の作製方法を説明する。この作製例は、相互に屈折率の異なる2種類のオキセタン樹脂を使った例である。図3(a)から(c)は、図1(a)のII−II断面に沿った断面を示し、図4(d)、(e)は、図1(a)のIII−III断面に沿った断面を示す。
【0037】
先ず、図3(a)に示すように、基板16上に屈折率の低いオキセタン樹脂を塗布してスピンコート法で成膜し、紫外線を照射して、オキセタン樹脂層を硬化させ、第1層目のクラッド141を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、第1層目のクラッド141上に、屈折率の高いオキセタン樹脂を塗布して、第1層目のコア121の膜厚に等しい膜厚の第1のコア形成層121aをスピンコート法で成膜する。
続いて、第1層目のコア121のパターンを透明な領域28aとして、その他の領域を不透明な領域28bとして有する第1のマスク28を介して、コア形成層121aに対して、照度10mW/cm2、照射量3分の紫外線照射を行う。紫外線照射により、コア形成層121a中で、領域28aの下部の紫外線照射領域のみが硬化して、第1層目のコア121となる。
【0038】
次いで、領域28bの下部の紫外線非照射領域の第1のコア形成層121a(非硬化層)をアセトンで除去する。続いて、図3(c)に示すように、第1層目のコア121を形成後、屈折率の低いオキセタン樹脂を塗布してスピンコート法で成膜し、紫外線を照射して硬化させ第2層目のクラッド142を形成する。
【0039】
次に、図4(d)に示すように、第2層目のクラッド142上に、屈折率の高いオキセタン樹脂を塗布して、第2層目のコア122の膜厚に等しい膜厚の第2のコア形成層122aをスピンコート法で成膜する。
続いて、第2層目のコア122のパターンを透明な領域30aとして、その他の領域を不透明な領域30bとして有する第2のマスク30を介して、第2のマスク30のパターンが第1層目のコア121に直交するように、照度250W、照射量3分の紫外線照射を行う。紫外線照射により、コア形成層122a中で、領域30aの下部の紫外線照射領域のみが硬化して、第2層目のコア122となる。
【0040】
次いで、領域30bの下部の紫外線非照射領域の第2のコア形成層122a(非硬化層)をアセトンで除去する。続いて、図4(e)に示すように、第2層目のコア122を形成後、屈折率の低いオキセタン樹脂を塗布してスピンコート法で成膜し、紫外線を照射して硬化させ第3層目のクラッド143を形成する。
最後に、端部を切削して、第1層目のコア121及び第2層目のコア122の両端に、それぞれコアに対して45°の傾斜を有する傾斜端面22(図2(a)、(b)参照)を形成することにより、本実施形態例の三次元光配線10を作製することができる。
【0041】
基板16として、ポリイミド基板、ガラス基板、石英基板、Si基板、GaAs基板、InP基板、及びSOI(Silicon on Insulator)基板などを使用することができる。なお、基板16はクラッド141から剥離しても構わない。
【0042】
本実施形態例では、コアを構成する高分子有機化合物に紫外線照射により硬化するオキセタン樹脂を用いたが、これに代えて、コアと同一面上に形成されるクラッドを構成する高分子有機化合物として紫外線照射により屈折率が低下する高分子有機化合物、例えばグラシア(ポリシラン)(日本ペイント株式会社製)などを用いることもできる。
高分子有機化合物にグラシアを用いる場合には、コア形成層としてグラシアを成膜し、マスクを介して紫外線を照射した後、ポストベークにより熱硬化させる。これにより、紫外線の非照射領域がコアとなり、紫外線の照射領域は屈折率が低下しクラッドとなる。従って、本実施形態例の三次元光配線の作製方法のように、紫外線非照射領域の未硬化層を除去する必要がない。
グラシアからなるコア及びクラッドの上下に設けられるクラッドには、例えばフッ素化ポリイミド(NTTアドバンステクノロジ株式会社製、日立化成工業株式会社製)などを用いることができる。
【0043】
本実施形態例の三次元光配線10の作製方法によれば、コア12及びクラッド14に、紫外線照射により硬化する高分子有機化合物、或いは紫外線照射により屈折率が変化する高分子有機化合物を用いることにより、所定形状のマスクパターンを介してコア形成層に紫外線を照射し、所望の配列及び形状を有するコアを形成することができる。
従って、容易に三次元光配線10を作製できるので、製造コストを下げることができる。
【0044】
実施形態例2
本実施形態例は、本発明に係る三次元光配線の実施形態の別の一例である。図5は本実施形態例に係る三次元光配線の構成を示す平面図、図6は図5の傾斜端面の近傍を拡大して示す平面図である。図5及び図6中で、実施形態例1の三次元光配線10と同様の構成を有する部分については、同じ符号を付した。
【0045】
本実施形態例の三次元光配線40は、マルチモードの三次元光配線であって、図5及び図6に示すように、第1層目のコア121及び第2層目のコア122が、それぞれ、帯状の光導波路本体42と、一端が傾斜端面22の近傍のY分岐部44で光導波路本体42に接続し、Y分岐部44で第1の光導波路枝46aと第2の光導波路枝46bとにY字状に分岐して、第1の光導波路枝46a及び第2の光導波路枝46bの他端が傾斜端面22に達するY分岐46とから構成されていることを除いては、実施形態例1の三次元光配線10と同様の構成を有する。
【0046】
三次元光配線40を面発光半導体レーザ素子などの発光素子24又はフォトダイオードなどの受光素子26と光結合させるには、発光素子24を第1の光導波路枝46aの傾斜端面22の直上に光の出射面を下側に向けて配置し、受光素子26を第2の光導波路枝46bの傾斜端面22の直上に光の入射面を下側に向けて配置する。
この場合、発光素子24から傾斜端面22に対して45°の角度で入射した光は、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変え、光導波路である第1の光導波路枝46a内を伝搬し、Y分岐部44を経て光導波路本体42により他端に伝搬される。
同様に、光導波路本体42内を他端から伝搬して来た光は、Y分岐部44を経て第2の光導波路枝46bを伝搬し、傾斜端面22で反射して光の進む方向を90°変えて、受光素子26に出射する。
【0047】
本実施形態例の三次元光配線40によれば、実施形態例1の三次元光配線10の効果に加え、1本のコアで光信号の送受信を交互に行う半二重通信だけでなく、1本のコアで光信号の送受信を同時に行う全二重通信を行うこともできる。
尚、Y分岐46の長さやカーブなどの形状は、コンピュータシミュレーションにより、伝送損失が低くなるように設定することができる。
【0048】
本実施形態例の三次元光配線40の作製方法は、第1のマスク28上から紫外線を照射して第1層目のコア121を形成する際に、フォトリソグラフィ処理により、光導波路本体42及びY分岐46を有する第1層目のコア121の開口パターンを有する第1のマスク28を形成する。
【0049】
また、第2のマスク30上から紫外線を照射して第2層目のコア122を形成する際に、フォトリソグラフィ処理により、光導波路本体42及びY分岐46を有する第2層目のコア122の開口パターンを有する第2のマスク30を形成する。
上記を除いては、実施形態例1の三次元光配線10の作製方法と同様である。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、相互に平行に形成された複数本の第1のコア、及び第1のコアに交差するように相互に平行に形成された複数本の第2のコアを有することにより、電子部品同士又はLSIなどの多端子の素子同士を相互に交差して接続することができる。
従って、光配線基板上の電子部品及び素子の配置の自由度を高め、かつ集積密度を高める三次元光配線を実現することができる。
また、第1及び第2のコアがそれぞれ複数本で構成されているので、それぞれのコアを光信号の送信に、或いは光信号の受信に用いることにより、双方向の通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、実施形態例1に係る三次元光配線の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のI−I断面を示す断面図である。
【図2】(a)は、図1(a)のII−II断面を示す断面図であり、(b)は、図1(a)のIII−III断面を示す断面図である。
【図3】(a)から(c)は、図1(a)のII−II断面に沿った、三次元光配線の各作製工程をそれぞれ示す断面図である。
【図4】(d)、(e)は、図1(a)のIII−III断面に沿った、三次元光配線の各作製工程をそれぞれ示す断面図である。
【図5】実施形態例2に係る三次元光配線の構成を示す平面図である。
【図6】図5の第2層目のコアの端面近傍を拡大して示す平面図である。
【図7】LSI間の接続に光配線を用いた光配線基板の一例を示す斜視図である。
【図8】特開2000−235127号公報に開示の光電子集積回路の構成を示す斜視図である。
【図9】特開2000−235127号公報に開示の光電子集積回路を用いた光配線基板の問題点を説明するための平面図である。
【図10】本発明の三次元光配線を用いた光配線基板の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
10……実施形態例1に係る三次元光配線、12……コア、12a……コア形成層、14……クラッド、16……基板、18……第1の二次元光配線、20……第2の二次元光配線、22……傾斜端面、24……発光素子、26……受光素子、28……第1のマスク、28a……透明な領域、28b……不透明な領域、30……第2のマスク、30a……透明な領域、30b……不透明な領域、40……実施形態例2に係る三次元光配線、42……光導波路本体、44……Y分岐部、46……Y分岐、46a……第1の光導波路枝、46b……第2の光導波路枝、50……光配線基板、52……基板、54……LSI、56……電子部品、58……光配線、62……基板、64A、64B、64C、64D……LSI、66……光配線(光電子集積回路)、67……三次元光配線、68……ドライバ装置、70……引用文献1に開示の光電子集積回路、72……発光素子、74……受光素子、76……光電融合回路基板、78……平坦化ポリマー層、80……光配線部、82……光導波路、82A……ポリマー下部クラッド層、82B……ポリマーコア層、82C……ポリマー上部クラッド層、84……光路変換部、84A……傾斜面、84B……高反射膜。
Claims (10)
- 第1のクラッド、前記第1のクラッド上に相互に平行に形成された複数本の第1のコア、及び前記第1のコアを囲んで前記第1のクラッド上に成膜された第2のクラッドからなる第1の二次元光配線と、
前記第1の二次元光配線の第2のクラッド上に前記第1のコアに交差し、かつ相互に平行に形成された複数本の第2のコア、及び前記第2のコアを囲んで前記第1の二次元光配線の第2のクラッド上に成膜された第3のクラッドからなる第2の二次元光配線とを備えていることを特徴とする三次元光配線。 - 前記第2のコアが、前記第1のコアに直交することを特徴とする請求項1に記載の三次元光配線。
- 前記第1及び第2のコア、前記第1、第2、及び第3のクラッドが、それぞれ高分子有機化合物から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元光配線。
- 前記複数本の第1のコアが、同一面上で5μm以上の間隔で延在することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の三次元光配線。
- 前記複数本の第2のコアが、同一面上で5μm以上の間隔で延在することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の三次元光配線。
- 前記複数本の第1のコアの配列と前記複数本の第2のコアの配列とが、5μm以上の間隔で相互に離間していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の三次元光配線。
- 前記複数本の第1のコアの両端部が、同一面からなる第1の端面を形成し、
前記第1の端面が、前記第1のコアの延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の三次元光配線。 - 前記複数本の第2のコアの両端部が、同一面からなる第2の端面を形成し、
前記第2の端面が、前記第2のコアの延在方向に対して45°に傾斜する傾斜端面であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の三次元光配線。 - 前記第1のコアが、前記第1の端面の近傍で第1の枝部と第2の枝部とにY字状に分岐して、前記第1の端面に到達するように形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の三次元光配線。
- 前記第2のコアが、前記第2の端面の近傍で第1の枝部と第2の枝部とにY字状に分岐して、前記第2の端面に到達するように形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の三次元光配線。
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JP2006171642A (ja) * | 2004-12-20 | 2006-06-29 | Sony Corp | 光導波シート、光電子装置およびそれらの製造方法 |
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-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003069187A patent/JP2004279621A/ja active Pending
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