JP2004279620A - 光集積回路 - Google Patents

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Kenji Suzuki
健二 鈴木
Katsunori Yanashima
克典 簗嶋
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Abstract

【課題】光送信及び光受信の双方を同時に出来き、しかも光回路の小型化に最適な光集積回路を提供する。
【解決手段】本光集積回路10は、第1のフォトダイオードアレイ14と第1の面発光半導体レーザアレイ16とを有し、基板12の一方の領域上に配置された第1の2次元アレイ17と、第2のフォトダイオードアレイ18と第2の面発光半導体レーザアレイ20とを有し、基板12の他方の領域上に配置された第2の2次元アレイ21と、第1の2次元アレイ17と第2の2次元アレイ21とを光接続する3次元フレキシブル光配線22とを備えている。3次元フレキシブル光配線22は、第1の面発光半導体レーザアレイ16と第2のフォトダイオードアレイ18とを接続し、かつ第2の面発光半導体レーザアレイ20と第1のフォトダイオードアレイ14とを接続する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光半導体レーザ素子及びフォトダイオード等の光素子を基板上に集積した光集積回路に関し、更に詳細には、双方向同時通信が可能な構成を有し、作製容易で小型化が可能な、光インタコネクション分野に最適な光集積回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在のインタコネクションでは、システムを構成する素子同士、素子と部品、或いは部品同士、例えばトランジスタとトランジスタとを接続する配線には、主として電気配線が使用されている。一方、次世代光インタコネクションでは、大容量かつ高速通信が必要とされているので、電気配線では高周波応答に限界があって、システムの高速化に制約がある。そこで、次世代光インタコネクションでは、電気配線に代わり光配線が注目されている。
【0003】
ところで、光信号を送受信する光回路には、送信装置の光源として設けられ、レーザ光を信号光として出射する半導体レーザ素子、レーザ光を信号光として受光するフォトダイオード、半導体レーザ素子とフォトダイオードとを光接続する光導波路が必要である。
そして、光回路を微細化し、集積化するには、半導体レーザ素子、フォトダイオード等の光素子、及び光素子を接続する光導波路を集積した光集積回路が必要である。
光集積回路を実現するためには、半導体レーザ素子、フォトダイオード等の光素子の間の光接続を行う光導波路の開発が重要な解決すべき課題である。
【0004】
そこで、特開平05−88028号公報(以下、第1の従来例と言う)は、光ファイバにより半導体レーザ素子とフォトダイオードとを接続する方法を提案している。また、特開平11−38270号公報(以下、第2の従来例と言う)は、基板に対して垂直に発光する面発光半導体レーザ素子と光導波路とを光結合する方法として、光導波路端面に45度ミラーを設け、45度ミラーを介して、半導体レーザ素子等の光機能素子と光ファイバとを光接続する方法を提案している。
【0005】
また、特開2001−188146号公報(以下、第3の従来例と言う)は、フレキシブル光配線と面発光半導体レーザ素子とを物理的に直接接着することで光結合する方法を開示している。前掲公報によれば、図7に示すように、面型光素子アレイ109と、複数本の光導波路201から構成される光導波路アレイ203とを、フレキシブル光導波路アレイ202を利用して結合した構造が、提案されている。
フレキシブル光導波路アレイ202と面型光素子アレイ109とは、フレキシブル光導波路アレイ202のコアが露出している端面を、面型光素子アレイ109の発光部に、直接突き当てて接着することで光学的に結合している。フレキシブル光導波路アレイ202の面型光素子アレイ109との結合端面は、研磨により鏡面仕上げが施されている。図7中、101及び108は 基板及び光素子の基板である。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−88028号公報(図1)
【特許文献2】
特開平11−38270号公報(図1)
【特許文献3】
特開2001−188146号公報(図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第一の従来例に従って多数本の光ファイバと多数個の光デバイスを精度良く実装しようとすると、製造工程が複雑になり、しかも時間を要するので、結果として製造コストも増大するという問題があった。
第二の従来例では、光導波路と面発光半導体レーザ素子とが物理的に接着されていないので、衝撃や振動がある動作環境では、物理的結合性、従って光結合効率が変動し、信頼性を維持することが難しいという問題があった。
【0008】
第三の従来例では、フレキシブル光配線を介して面発光レーザアレイ及びフォトダイオードアレイの一方と他方とを結合する方法であるから、基板上には、送信アレイか受信アレイの一方のみを設けることしかできない。つまり、一方通行の光伝送であって、送信と受信の双方を同時に行うことができない。
今後の小型で集積化された光集積回路は、光送信及び光受信の双方を同時に行うことが要求される。
【0009】
そこで、本発明の目的は、光送信及び光受信の双方を同時に出来き、しかも光回路の小型化に最適な光集積回路を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るフレキシブル光配線は、基板の一方の領域に設けられ、複数個(以下、第1の素子個数と言う)の光素子を一次元アレイ状に配置した第1の光素子アレイと、第1の光素子に隣接して基板上に設けられ、複数個(以下、第2の素子個数と言う)の光素子を一次元アレイ状に配置した第2の光素子アレイとからなる第1の2次元アレイと、
第2の光素子アレイに離隔、対向して基板の他方の領域に設けられ、第2の素子個数の光素子を一次元アレイ状に配置した第3の光素子アレイと、第3の光素子アレイに隣接して基板上に設けられ、第1の素子個数の光素子を一次元アレイ状に配置した第4の光素子アレイとからなる第2の2次元アレイと、
複数本のコアと、コアを取り巻くクラッドとからなる光導波路を2段積層した構造の3次元フレキシブル光配線と
を備え、第1の光素子アレイの光素子と第4の光素子アレイの光素子、及び第2の光素子アレイの光素子と第3の光素子アレイの光素子とが、それぞれ、3次元フレキシブル光配線の各段の光導波路によって光接続されていることを特徴としている。
【0011】
本発明で、第1から第4の光素子アレイを構成する光素子の種類、構成には、制約はなく、例えば面発光半導体レーザ素子、フォトダイオード、光増幅器等である。
つまり、第1の光素子アレイ、第2の光素子アレイ、第3の光素子アレイ、及び第4の光素子アレイが、それぞれ、面発光半導体レーザアレイ、フォトダイオードアレイ、面発光半導体レーザアレイ、及びフォトダイオードアレイでもよく、また、第1の光素子アレイ、第2の光素子アレイ、第3の光素子アレイ、及び第4の光素子アレイが、それぞれ、フォトダイオードアレイ、面発光半導体レーザアレイ、フォトダイオードアレイ、及び面発光半導体レーザアレイであっても良い。
【0012】
第1の2次元アレイ及び第2の2次元アレイのアレイ本数が、それぞれ、2本である必要はなく、3本以上でも良い。
つまり、本発明に係る光集積回路は、第1の基板上に設けられ、相互に隣接して配置された複数本(以下、所定本数と言う)の1次元光素子アレイからなる第1の2次元アレイと、
第2の基板上に第1の2次元アレイに対向して設けられ、相互に隣接して配置された所定本数の一次元光素子アレイからなる第2の2次元アレイと、
複数本のコアと、コアを取り巻くクラッドとからなる光導波路を上記所定本数と同じ数の段数だけ積層した構造の3次元フレキシブル光配線と
を備え、第1の2次元アレイの1次元光素子アレイと第2の2次元アレイの1次元光素子アレイとは、対応するアレイ同士が各段の光導波路によってそれぞれ光接続されていることを特徴としている。
【0013】
また、第1及び第2の2次元アレイでは、面発光半導体レーザアレイと、フォトダイオードアレイとが交互に設けられていても良い。更に、第1の基板及び第2の基板とが共通基板で形成されていても良い。
1次元光素子アレイでは、光素子が等間隔で配置されている必要はない。例えば、面発光半導体レーザアレイであれば、面発光半導体レーザ素子の相互の間隔が同じである必要はなく、異なっていても良い。更に、1次元光素子アレイの間で、光素子の間隔が異なっていてもよい。例えば面発光半導体レーザアレイの間で、面発光半導体レーザ素子の間隔が異なっていても良い。これは、フォトダイオードアレイにも適用できる。
【0014】
本発明で、第1の素子個数が第2の素子個数と同じである必要はなく、異なっていてもよい。
また、光素子アレイを構成する光素子、例えば一の面発光半導体レーザアレイを構成する面発光半導体レーザ素子が他の面発光半導体レーザアレイを構成する面発光半導体レーザ素子と構成が異なっていても良い。これは、フォトダイオードアレイについても同様である。
【0015】
好適には、3次元フレキシブル光配線中の光信号の減衰を抑制するために、3次元フレキシブル光配線が曲率半径30mm以上の曲がり経路で配線されていることが好ましい。
また、具体的には、3次元フレキシブル光配線がポリマー系樹脂等で形成された高分子光導波路で構成されている。これにより、曲がり経路の配線が容易になる。これにより、曲がり経路の配線が容易になる。
【0016】
更に好適には、光素子が面発光半導体レーザ素子又はフォトダイオードであるときには、3次元フレキシブル光配線は、第1及び第2の半導体レーザ素子の出射面、並びに第1及び第2のフォトダイオードの受光面に3次元フレキシブル光配線の端面を突き合わせ、接着することにより、第1及び第2の半導体レーザ素子並びに第1及び第2のフォトダイオードに光接合されている。
これにより作製が容易になり、光結合効率が高い大容量伝送を可能とする光配線を有する光集積回路を低コストで実現することができる。
【0017】
本発明に係る光集積回路では、光配線が三次元光導波路で構成されているので、光配線を高密度で設けることができる。これにより、微細なLSI等の光素子を基板上に集積し、集積した光素子を光配線で光接続した光集積回路を低コストで実現できる。
また、本発明に係る光集積回路では、光素子として面発光半導体レーザアレイとフォトダイオードアレイとをそれぞれ独立して送受信部に設けることにより、光送受信の両方向同時伝送を行うことができる。
【0018】
本発明に係る光集積回路に設ける3次元フレキシブル光配線を形成する際には、ガラス基板又はシリコン基板上にポリイミドを形成した基板上に、スピンコート法等の成膜方法により、ポリマー系樹脂層からなるコア及びクラッドを設け、フォトリソグラフィ処理によりコアのパターニングを行って基板上に二次元光導波路を形成する。
次いで、二次元光導波路を積層化して三次元光導波路を形成した後に、任意の面を光導波路の長手方向に垂直に端面を形成することにより実現できる。
3次元フレキシブル光配線を構成する高分子光導波路は、スピンコート法で形成できるので作製容易であり、フォトリソグラフィ処理でコアのパターニングが容易である。また、端面はダイシング装置によるダイシングにより容易に形成することができる
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照して、実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
実施形態例
本実施形態例は本発明に係る光集積回路の実施形態の一例であって、図1は本実施形態例の光集積回路の構成を示す斜視図、図2は第1及び第2の2次元アレイの平面図、及び図3は3次元フレキシブル光配線の断面図である。
本実施形態例の光集積回路10は、図1に示すように、基板12の一方の領域上に、第1の光素子アレイとして設けられた第1のフォトダイオードアレイ14と、第2の光素子アレイとして設けられた第1の面発光半導体レーザアレイ16とを有する第1の2次元アレイ17を備えている。
また、光集積回路10は、第1の2次元アレイ17から離隔した基板12の他方の領域上に、第2の光素子アレイとして設けられた第2のフォトダイオードアレイ18と、第2の面発光半導体レーザアレイ20とを有する第2の2次元アレイ21を備え、3次元フレキシブル光配線22により第1の2次元アレイ17と第2の2次元アレイ21とを光接続している。
【0020】
第1の2次元アレイ17では、第1のフォトダイオードアレイ14が、図2に示すように、複数個、本実施形態例では6個のフォトダイオード24を所定間隔Gで1次元アレイ状に配列した構造として形成されている。また、第1の面発光半導体レーザアレイ16は、6個の面発光半導体レーザ素子26を所定間隔Gで1次元アレイ状に配列した構造として形成され、第1のフォトダイオードアレイ14の一方の側縁(図1では右側)に隣接している。
第1のフォトダイオードアレイ14のフォトダイオード24と、第1の面発光半導体レーザアレイ16の面発光半導体レーザ素子26との間隔はSである。
【0021】
第2の2次元アレイ21は、第1の2次元アレイ17から距離Lだけ離隔して並列配置されている。第2の2次元アレイ21では、第2のフォトダイオードアレイ18が、6個のフォトダイオード28を所定間隔Gで1次元アレイ状に配列した構造として形成され、第1のフォトダイオードアレイ14とは反対側に(図1では右側)第1の面発光半導体レーザアレイ16から離隔して配置されている。
第2の面発光半導体レーザアレイ20は、6個の面発光半導体レーザ素子30を所定間隔G1次元アレイ状に配列した構造として形成され、第2のフォトダイオードアレイ18の第1の面発光半導体レーザアレイ16とは反対側の側縁(図1では右側)に隣接している。
また、第2のフォトダイオードアレイ18のフォトダイオード28と、第2の面発光半導体レーザアレイ20の面発光半導体レーザ素子30との間隔は、第1の2次元アレイ17のフォトダイオード24と面発光半導体レーザ素子26との間隔と同じSである。
【0022】
換言すれば、第1のフォトダイオードアレイ14のフォトダイオード24、第1の面発光半導体レーザアレイ16の面発光半導体レーザ素子26、第2のフォトダイオードアレイ18のフォトダイオード28、及び第2の面発光半導体レーザアレイ20の面発光半導体レーザ素子30は、各アレイに直交する方向に所定間隔Gで平行に延在する直線上に配置されている。
【0023】
3次元フレキシブル光配線22は、第1の面発光半導体レーザアレイ16と第2のフォトダイオードアレイ18とを接続し、かつ第2の面発光半導体レーザアレイ20と第1のフォトダイオードアレイ14とを接続する。
3次元フレキシブル光配線22は、図1及び図3に示すように、内側平面型光導波路32と、内側平面導波路32上に積層して設けられている外側平面型光導波路34との2層構造の3次元フレキシブル光導波路であって、30mm以上の曲率半径の円弧状の配線経路で延在している。
内側平面型光導波路32は相互に平行に所定間隔Gで配列させた6本のコア36を有し、外側平面型光導波路34はクラッド40を介して内側平面型光導波路32の各コア36上に相互に平行に所定間隔Gで配列させた6本のコア38を有する。コア36とコア38との間隔は面発光半導体レーザ素子とフォトダイオードとの間隔Sに等しい。
【0024】
つまり、光配線22は、規則的な3次元配列で延在するコア36、38と、コア36、38に沿ってコア36、38の周りに設けられたクラッド40を備えた構造として構成されている。
更に詳しく説明すると、内側平面型光導波路32は、第1クラッド層42と、第一クラッド層42上に延在する柱状のコア36と、第1クラッド層42及びコア36上に成膜されている第2クラッド層44とから構成され、外側平面型光導波路34は、第2クラッド層44上に延在する柱状のコア38と、第2クラッド層44及びコア38上に成膜されている第3クラッド層46とから構成されている。
つまり、クラッド40は、第1クラッド層42、第2クラッド層44、及び第3クラッド層46で構成されている。
【0025】
コア36、38は、屈折率がクラッド40より0.1〜2.0%程度大きい高分子有機化合物で形成された、断面10〜100μm角の柱状体であって、本実施形態例では、三次元光導波路が長手方向に直交する光入出力端面で見て、各6本のコア36、コア38が縦方向に等間隔Sで、かつ横方向に等間隔Gで配置されている。また、クラッド40もコア36、38より屈折率が小さい高分子有機化合物で形成されている。
光導波路を形成するための高分子有機化合物の例として、例えば、オキセタン樹脂(ソニーケミカル製)、フッ素化ポリイミド(NTTアドバンステクノロジー製、日立化成工業製)、グラシア(ポリシラン)(日本ペイント製)などがある。
【0026】
内側平面型光導波路32の各コア36は、第1の面発光半導体レーザアレイ16を構成する各面発光半導体レーザ素子26と、第2のフォトダイオードアレイ18を構成する各フォトダイオード28とをそれぞれの配列順序で順次に光接続する。
また、外側平面型光導波路34の各コア38は、第2の面発光半導体レーザアレイ20を構成する各面発光半導体レーザ素子30と、第1のフォトダイオードアレイ14を構成する各フォトダイオード24とをそれぞれの配列順序で順次に光接続する。
内側平面型光導波路32の各コア36及び外側平面型光導波路34の各コア38の接続端部は、接続する面発光半導体レーザ素子26、30の発光部、及びフォトダイオード24、28の受光部に物理的に直接エポキシ系接着剤等により接着することにより光結合されている。
【0027】
本実施形態例の光集積回路10では、各面発光半導体レーザ素子26、30から出射されたレーザ光は、3次元フレキシブル光配線22のコア36、38の内部を全反射して伝搬し、それぞれ、対応するフォトダイオード24、28に入射して受光される。
【0028】
本実施形態例では、第1及び第2の面発光半導体レーザアレイ16、20の面発光半導体レーザ素子26、30の数を6個としているが、これに限られることはなく、任意である。
また、第1の面発光半導体レーザアレイ16の面発光半導体レーザ素子26の数と、第2の面発光半導体レーザアレイ20の面発光半導体レーザ素子30の数とが相互に異なっていても良い。その場合には、第1及び第2のフォトダイオードアレイ14、18のフォトダイオード24、28の数は、それぞれ、第1の面発光半導体レーザアレイ16の面発光半導体レーザ素子26の数、及び第2の面発光半導体レーザアレイ20の面発光半導体レーザ素子30の数に等しい数である。
【0029】
本実施形態例は本発明に係る光配線の製造方法の実施形態の一例であって、図4(a)から(d)、図5(e)から(g)、及び図6(h)から(j)は、それぞれ、3次元フレキシブル光配線を製造する際の各工程の断面図である。
本実施形態例では、3次元光導波路からなる光配線の材料としてオキセタン樹脂を用いる。
【0030】
オキセタン樹脂を用いて光導波路を形成する方法は、特開2000−356720号公報に詳述されている。前掲公報を参照して、オキセタン樹脂を簡単に説明すると、オキセタン樹脂は、オキセタン環を有するオキセタン化合物と、オキシラン環を有するオキシラン化合物と、連鎖反応によりオキセタン化合物の重合を開始させるカチオン重合開始剤とを含み、紫外線等のエネルギービームを照射することにより硬化する樹脂成分であって、例えばソニーケミカル(株)から販売されている。
【0031】
オキセタン化合物として、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(室温で液体)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンとジ[4−(1−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)]ベンジルエーテルとの混合物(以下、キシレンジオキセタンともいう。)(室温で液体)、フェノールノボラックオキセタン(室温で固体)、オキセタニルシルセスキオキセタン(室温で液体)等が挙げられる。
【0032】
オキシラン化合物として、例えばリモネンジオキサイド、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物(混合比約1:1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、カチオン重合開始剤は、例えば4−4′ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(旭電化社製)である。
【0033】
オキセタン化合物の屈折率(25℃、ナトリウムD線)は、オキセタン化合物の種類によって異なり、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルで1.4544、またフェノールノボラックオキセタンで1.57程度である。
また、オキシラン化合物の屈折率(25℃、D線)は、例えばリモネンジオキサイドで1.4656、またビスフェノールA型エポキシ樹脂で1.5683である。
【0034】
オキセタン樹脂は、オキセタン化合物及びオキシラン化合物の種類並びに配合比を調整することにより、屈折率を調節することができる。
例えば、光導波路のコア部を形成するためには、クラッド部との屈折率の差が安定して得られるように、屈折率が1.5未満のものを10〜30重量%含み、屈折率が1.5以上のものを40〜60重量%含み、残部がオキシラン化合物であるオキセタン樹脂を使用する。また、クラッド部を形成するためには、屈折率が1.5未満のオキセタン化合物を40重量%よりも多く含み、残部がオキシラン化合物であって、屈折率が1.5以上のオキセタン化合物を含まないオキセタン樹脂を使用する。
【0035】
具体的には、例えば、キシレンジオキセタン10重量部、フェノールノボラックオキセタン20重量部、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物20重量部、およびビスフェノールA型エポキシ樹脂20重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路コア形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0036】
また、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル22重量部、オキセタニルシルセスキオキセタン13重量部、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂35重量部、および二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路クラッド形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0037】
本実施形態例では、ガラス基板、又はシリコン基板上にポリイミド層を形成した3次元光導波路作製用の複合基板を用いる。まず、図4(a)に示すように、次いで、クラッド層を形成するために、屈折率1.56のオキセタン樹脂を複合基板48のポリイミド層上に塗布してスピンコート法により均一な膜厚のオキセタン樹脂層を成膜し、続いて紫外線を照射して硬化させ、第一クラッド層42を形成する。
次に、図4(b)に示すように、第一クラッド層48上に、屈折率1.58のオキセタン樹脂を塗布して、スピンコート法により均一な膜厚のコア形成層50を成膜する。
【0038】
続いて、図4(c)に示すように、フォトリソグラフィ処理によりコアパターンを有するマスク52をコア形成層50上に形成し、図4(d)に示すように、コア形成層50に対してマスク上から紫外線を照射する。紫外線が照射されたコア層50の領域は硬化し、紫外線が照射されなかったコア形成層50の領域は硬化しない。
次に、硬化していないコア形成層50の領域をアセトンで除去し、図5(e)に示すように、柱状体のコア36を第1のクラッド層42上に形成する。
【0039】
更に、図5(f)に示すように、コア36上に屈折率1.56のオキセタン樹脂をスピンコート法により塗布、成膜し、紫外線を照射して第2クラッド層44を形成する。これにより、内側平面型光導波路32を複合基板48上に形成することができる。
以下、内側平面型光導波路32上に、上述の手順と同様にして、図5(g)に示すように、コア形成層54を成膜し、マスク56を形成し、続いて紫外線を照射する。
【0040】
コア形成層54の非硬化領域をアセトンで除去して、図6(h)に示すように、第二層目のコア38を形成する。
続いて、図6(i)に示すように、第3クラッド層46を成膜する。これにより、外側平面型光導波路34を内側平面型光導波路32上に形成することができる。
【0041】
次いで、複合基板48、内側平面型光導波路32、及び外側平面型光導波路34の積層構造をダイシング装置により切削し、光導波路の長手方向に垂直な端面を形成する。また、光配線の角度を変換する傾斜光学反射端面をダイシング装置(ディスコ製)によるダイシングにより形成することもできる。
最後に、複合基板48を剥離することにより、3次元フレキシブル光配線22を形成することができる。
ガラス基板、又はシリコン基板上にポリイミドを形成した複合基板48上にオキセタン樹脂層を成膜することにより、オキセタン樹脂層が基板に化学的にも物理的にも接着されないので、オキセタン樹脂層からなるクラッド40を容易に剥離することができる。
【0042】
3次元フレキシブル光配線22を第1及び第2の面発光半導体レーザ素子26、30、並びに第1のフォトダイオード24、28に光結合する際には、エポキシ樹脂系の接着剤を使って3次元フレキシブル光配線22の各コア36及び38並びにクラッド42、44、46を出射面及び受光面に接着することにより、光結合効率良く結合することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、光集積回路の光配線が三次元光導波路で構成されているので、光配線を高密度で設けることができる。これにより、微細なLSI、面発光半導体レーザ素子、フォトダイオード等の光素子を基板上に集積し、集積した光素子を光配線で光接続した光集積回路を低コストで実現できる。
また、面発光半導体レーザアレイとフォトダイオードアレイとをそれぞれ独立して第1及び第2の2次元アレイからなる両端末に設けることにより、光送受信の両方向同時伝送を行うことができる。
本発明に係る光集積回路を適用することにより、インタコネクションを光化することができ、ボトルネックになっている電気配線の高速伝達の限界を打破することができる。
また、3次元フレキシブル光配線の端面を直接物理的に面発光半導体レーザ素子及びフォトダイオードに結合させることにより、高い光結合効率で、実装精度良く面発光半導体レーザ素子とフォトダイオードとを集積することができ、パッシブアライメントを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例の光集積回路の構成を示す斜視図である。
【図2】第1及び第2の2次元アレイの構成を示す平面図である。
【図3】3次元フレキシブル光配線の構成を示す断面図である。
【図4】図4(a)から(d)は、それぞれ、3次元フレキシブル光配線を製造する際の各工程の断面図である。
【図5】図5(e)から(g)は、それぞれ、図4(d)に続いて、3次元フレキシブル光配線を製造する際の各工程の断面図である。
【図6】図6(h)から(j)は、それぞれ、図5(g)に続いて、3次元フレキシブル光配線を製造する際の各工程の断面図である。
【図7】特開2001−188146号公報に掲載された従来の光配線である。
【符号の説明】
10……実施形態例の光集積回路、12……基板、14……第1のフォトダイオードアレイ、16……第1の面発光半導体レーザアレイ、17……第1の2次元アレイ、18……第2のフォトダイオードアレイ、20……第2の面発光半導体レーザアレイ、21……第2の2次元アレイ、22……3次元フレキシブル光配線、24……フォトダイオード、26……面発光半導体レーザ素子、28……フォトダイオード、30……面発光半導体レーザ素子、32……内側平面型光導波路、34……外側平面型光導波路、36、38……コア、40……クラッド、42……第1クラッド層、44……第2クラッド層、46……第3クラッド層、48……複合基板、50……コア形成層、52……マスク、54……コア形成層、56……マスク。

Claims (12)

  1. 基板の一方の領域に設けられ、複数個(以下、第1の素子個数と言う)の光素子を一次元アレイ状に配置した第1の光素子アレイと、第1の光素子に隣接して基板上に設けられ、複数個(以下、第2の素子個数と言う)の光素子を一次元アレイ状に配置した第2の光素子アレイとからなる第1の2次元アレイと、
    第2の光素子アレイに離隔、対向して基板の他方の領域に設けられ、第2の素子個数の光素子を一次元アレイ状に配置した第3の光素子アレイと、第3の光素子アレイに隣接して基板上に設けられ、第1の素子個数の光素子を一次元アレイ状に配置した第4の光素子アレイとからなる第2の2次元アレイと、
    複数本のコアと、コアを取り巻くクラッドとからなる光導波路を2段積層した構造の3次元フレキシブル光配線と
    を備え、第1の光素子アレイの光素子と第4の光素子アレイの光素子、及び第2の光素子アレイの光素子と第3の光素子アレイの光素子とが、それぞれ、3次元フレキシブル光配線の各段の光導波路によって光接続されていることを特徴とする光集積回路。
  2. 第1の光素子アレイ、第2の光素子アレイ、第3の光素子アレイ、及び第4の光素子アレイが、それぞれ、面発光半導体レーザアレイ、フォトダイオードアレイ、面発光半導体レーザアレイ、及びフォトダイオードアレイであることを特徴とする請求項1に記載の光集積回路。
  3. 第1の光素子アレイ、第2の光素子アレイ、第3の光素子アレイ、及び第4の光素子アレイが、それぞれ、フォトダイオードアレイ、面発光半導体レーザアレイ、フォトダイオードアレイ、及び面発光半導体レーザアレイであることを特徴とする請求項1に記載の光集積回路。
  4. 3次元フレキシブル光配線が曲率半径30mm以上の曲がり経路で配線されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光集積回路。
  5. 3次元フレキシブル光配線が高分子光導波路で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光集積回路。
  6. 光素子が面発光半導体レーザ素子又はフォトダイオードであって、3次元フレキシブル光配線は、光素子の出射面又は受光面に3次元フレキシブル光配線の端面を突き合わせ、接着することにより、光素子に光接合されていることを特徴とする請求項5に記載の光集積回路。
  7. 第1の基板上に設けられ、相互に隣接して配置された複数本(以下、所定本数と言う)の1次元光素子アレイからなる第1の2次元アレイと、
    第2の基板上に第1の2次元アレイに対向して設けられ、相互に隣接して配置された所定本数の一次元光素子アレイからなる第2の2次元アレイと、
    複数本のコアと、コアを取り巻くクラッドとからなる光導波路を上記所定本数と同じ数の段数だけ積層した構造の3次元フレキシブル光配線と
    を備え、第1の2次元アレイの1次元光素子アレイと第2の2次元アレイの1次元光素子アレイとは、対応するアレイ同士が各段の光導波路によってそれぞれ光接続されていることを特徴とする光集積回路。
  8. 第1及び第2の2次元アレイでは、面発光半導体レーザアレイと、フォトダイオードアレイとが交互に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の光集積回路。
  9. 第1の基板及び第2の基板とが共通基板で形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の光集積回路。
  10. 3次元フレキシブル光配線が曲率半径30mm以上の曲がり経路で配線されていることを特徴とする請求項7から9のうちのいずれか1項に記載の光集積回路。
  11. 3次元フレキシブル光配線が高分子光導波路で構成されていることを特徴とする請求項10に記載の光集積回路。
  12. 光素子が面発光半導体レーザ素子又はフォトダイオードであって、3次元フレキシブル光配線は、光素子の出射面又は受光面に3次元フレキシブル光配線の端面を突き合わせ、接着することにより、光素子に光接合されていることを特徴とする請求項11に記載の光集積回路。
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