JP2004278755A - 自動変速機のセレクトアシスト装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アシストトルク制御手段に、セレクトレバーが停止しているかどうかを判断するレバー停止判断部と、セレクトレバーが停止していると判断されたとき、位置センサから出力されるセレクトレバーの現在位置における実際の操作位置信号(入力値)と、インヒビタスイッチより求めたレンジ内での停止位置、すなわち、現在位置に対応する位置センサデータに設定された操作位置信号(設定値)とを比較し、入力値に対する設定値のずれ量を検出するずれ量検出部と、検出されたずれ量が第1のしきい値よりも大きいとき、入力値に基づいて位置センサデータを補正する位置センサデータ補正部と、を設けた。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、AT車のレンジ切り換え時において、運転者のセレクトレバー操作力を補助する自動変速機のセレクトアシスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動変速機のレンジセレクト装置としては、車室内の運転席付近にセレクトレバーを設け、このセレクトレバーの操作力をケーブルやロッドなどの操作力伝達手段を介して自動変速機のレンジ切り換え装置に伝達し、自動変速機のレンジ(P,R,N,Dなど)を切り換える構成のものが知られている。
【0003】
セレクトレバーの操作には、ケーブルやロッドのフリクション、ディテント機構においてディテントピンがカム山を乗り越える際に発生する抵抗等により、大きな操作力が必要となる。このため、セレクトレバーを十分な長さに設定し、その梃子力を利用することにより、乗員の操作力を大きな力に変換し、レンジセレクトを行うよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−323559号公報(1頁〜3頁,第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、十分な梃子力を得るために長いセレクトレバーが必要となり、車室内レイアウトの自由度が小さくなるという問題がある。また、設置場所にも制約が多く、運転席脇やステアリングコラム付近に限定されている。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、車室内のレイアウト自由度とセレクトレバーのデザイン性を高めることができ、しかも常に良好な操作特性が得られる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置では、自動変速機のレンジ切り換え装置と連結されたセレクトレバーへの入力トルクを検出する入力トルク検出手段と、前記セレクトレバーの操作位置に応じた操作位置信号を出力する位置センサと、前記セレクトレバーにより選択されたレンジ位置を検出するインヒビタスイッチと、運転者の操作力を補助するアシストトルクをセレクトレバーに出力するアシストアクチュエータと、前記操作位置信号に対応するセレクトレバーの操作位置が予め設定された位置センサデータを有し、入力トルクと操作位置信号と位置センサデータとに基づいてアシストトルクを制御するアシストトルク制御手段と、を備えた自動変速機のセレクトアシスト装置であって、前記アシストトルク制御手段に、セレクトレバーが停止しているかどうかを判断するレバー停止判断部と、セレクトレバーが停止していると判断されたとき、位置センサから出力されるセレクトレバーの現在位置における実際の操作位置信号(入力値)と、インヒビタスイッチより求めたレンジ内での停止位置、すなわち、現在位置に対応する位置センサデータに設定された操作位置信号(設定値)とを比較し、入力値に対する設定値のずれ量を検出するずれ量検出部と、検出されたずれ量が第1のしきい値よりも大きいとき、入力値に基づいて位置センサデータを補正する位置センサデータ補正部と、を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記レバー停止判断部は、入力トルクがゼロであるとき、セレクトレバーが停止していると判断することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記レバー停止判断部は、入力トルクがゼロである状態が予め設定された設定時間の間継続したとき、セレクトレバーが停止していると判断することを特徴とする。
なお、「設定時間」とは、レバー操作中に発生する入力トルクゼロの状態ではないと判別できる最小の時間をいう。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項2または請求項3に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記レバー停止判断部は、入力トルクがゼロであり、かつ、位置センサの最新取得値と前回取得値との差が所定範囲内にあるとき、セレクトレバーが停止していると判断することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記アシストトルク制御手段に、検出されたずれ量が第2のしきい値(>第1のしきい値)以上であるとき、位置センサの異常と判断する位置センサ異常判定部と、位置センサが異常であると判定されたとき、アシストアクチュエータにアシストトルクの出力を停止させるアシスト禁止部と、を設け、前記位置センサデータ補正部は、検出されたずれ量が第1のしきい値よりも大きく、かつ、第2のしきい値よりも小さいとき、位置センサデータを補正することを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、レンジセレクトにおいて、アシストアクチュエータによりアシストトルクが出力され、運転者のセレクトレバー操作力が補助される。従来の手動によるレンジセレクトでは、セレクトレバーの梃子力により自動変速機のマニュアルバルブと連結するマニュアルレバーを操作してレンジを切り換えている。
【0013】
これに対し、本発明では、アシストアクチュエータによりアシストトルクを加えることで、セレクトレバーを操作する必要モーメントは低減され、大きな梃子力を利用しなくとも運転者に負担をかけることなくセレクト操作が可能となる。よって、セレクトレバーの長さを短く設定できるので、車室内のレイアウト自由度とセレクトレバーのデザイン性を高めることができる。
【0014】
さらに、本発明では、アシストトルク制御手段は、入力トルクと操作位置信号と位置センサデータとに基づいて、アシストアクチュエータから出力されるアシストトルクを制御するため、セレクトレバーの操作位置に応じた自動変速機の機械的負荷力(例えば、ディテント機構、モータの慣性力等)を考慮し、操作感が良好となる操作力特性が得られるよう、アシストトルクをセレクトレバーの操作位置に応じて設定することができる。
【0015】
また、本発明では、アシストトルク制御手段は、レバー停止判断部により、セレクトレバーが停止していると判断されたとき、ずれ量検出部により、位置センサから出力されるセレクトレバーの現在位置における実際の操作位置信号(入力値)と、インヒビタスイッチより求めたレンジ内での停止位置、すなわち、現在位置に対応する位置センサデータに設定された操作位置信号(設定値)とを比較し、入力値に対する設定値のずれ量を検出する。
【0016】
ここで、経時変化などにより位置センサ(例えば、ポテンショメータ等)の接触抵抗増加、接触部のずれ等が発生し、位置センサから出力される実際の操作位置信号(入力値)と、現在位置に対応する位置センサデータに設定された操作位置信号(設定値)にずれが生じた場合、アシスト制御手段は誤ったセレクトレバーの位置情報に基づいてアシストアクチュエータを制御するため、アシスト不足やアシスト過大による引っ掛かり感、セレクトレバーが所定位置で停止しない、いわゆるオーバーランが発生するという問題がある。
【0017】
本発明では、インヒビタスイッチにより求めた各レンジ位置でのセレクトレバー停止位置が予め特定できる点に着目し、セレクトレバーが停止しているとき、入力値に対する設定値のずれ量が第1のしきい値よりも大きい場合に、入力値に基づいて位置センサデータの補正を行うようにしたため、補正が正確であり、位置センサの経時劣化等に拘わらず、常に適正なアシスト制御を行うことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明では、レバー停止判断部は、入力トルクがゼロであるとき、セレクトレバーが停止していると判断することにより、運転者がセレクトレバーに手を触れていないことを確実に判断できる。すなわち、運転者がセレクトレバーに手を乗せているだけでも位置センサの入力値は変化してしまい、その状態でズレ量を検出すると、誤った補正を行ってしまうが、入力トルクからレバー停止を判断することにより、セレクトレバーの停止を確実に検出できる。
【0019】
請求項3に記載の発明では、入力トルクゼロの状態が設定時間の間継続したとき、セレクトレバーが停止していると判断することにより、運転者がセレクトレバーに手を触れていない状態と、レバー操作途中で発生する入力トルクゼロの状態とを判別できる。よって、レバー停止判断の正確性が向上する。
【0020】
請求項4に記載の発明では、入力トルクがゼロであり、かつ、位置センサの最新取得値と前回取得値との差が所定範囲内にあるとき、セレクトレバーが停止していると判断することにより、運転者がセレクトレバーに手を触れていない状態と、レバー操作途中で発生する入力トルクゼロの状態とを判別できる。よって、レバー停止判断の正確性が向上する。
【0021】
請求項5に記載の発明では、検出されたずれ量が第2のしきい値(>第1のしきい値)以上である場合には、位置センサ異常判定部が位置センサの異常と判定し、アシスト禁止部によりアシストアクチュエータによるアシストを停止させることで、誤った入力値に基づいて位置センサデータの補正が行われ、誤ったアシスト制御が実行されるのを防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は本発明の自動変速機のセレクトアシスト装置を適用した自動変速装置の構成を示す側面図、図2は自動変速装置の背面図である。
【0023】
コントロール部1は運転者により操作されるセレクトレバー2を有し、例えば、運転席脇のセンタクラスタ3の上部に設置されている。セレクトレバー2は、下端の支点軸4を中心として車両の前後方向に操作するよう設定されている。このセレクトレバー2の長さは100mm程度に設定され、従来の一般的なセレクトレバーよりも250mm程度短く設計されている。
【0024】
セレクトレバー2の支点軸4には、この支点軸4と一体で上下方向に回動する制御レバー5の上端部が固定されている。また、支点軸4には、セクタギヤ6が固定され、このセクタギヤ6には、運転者の操作力を補助する電動モータ(アシストアクチュエータ)7が連結されている。
【0025】
制御レバー5の下端部には、前方の自動変速機8に設けられたディテント機構の制御アーム10の上端部と、ロッド状のリンケージ11とを介して連結されている。
【0026】
セレクトレバー2の支点軸4には、支点軸4への入力トルクを検出するトルクセンサ(入力トルク検出手段)12と、セレクトレバー2のストローク角度を検出する位置センサ13とが連結されている。
【0027】
トルクセンサ12は、支点軸4に設けられた一対の回転部12aと、その間のねじれトルクを検出する検出部12bとから構成されている。トルクセンサ12はセレクトレバー2の支点軸4に設けられているため、実際にセレクトレバー2に入力される運転者の操作力を検出することができる。トルクセンサ12の出力電圧は、入力トルク信号としてコントロールユニット(アシストトルク制御手段)14へ出力される。
【0028】
また、位置センサ13は、セレクトレバー2がPレンジ最端部に位置しているときを0度として、セレクトレバー2を操作したときのストローク角度を随時検出する。位置センサ13の出力電圧は、ストローク角度信号としてコントロールユニット14に出力される。
【0029】
図3に、位置センサ13の出力電圧とセレクトレバー2のストローク角度との対応関係を示す。図3において、縦軸は位置センサ13の出力電圧、横軸はセレクトレバー2のストローク角度であり、コントロールユニット14は、図3に示すような出力電圧とストローク角度との対応関係に基づいて、セレクトレバー2のストローク角度を認識する。この対応関係は、位置センサデータとしてコントロールユニット14内に記憶されている。
【0030】
コントロールユニット14は、検出されたセレクトレバー2のストローク角度と、予め設定された目標アシストトルクマップ(図4参照)とに基づいて、電動モータ7が出力するアシストトルクの目標値である目標アシストトルクを演算する。そして、実際の入力トルクに応じて目標アシストトルクを補正し、補正した目標アシストトルクに基づいて、電動モータ7の出力するアシストトルクの出力デューティ比をPWM(パルス幅変調)方式により制御する。
【0031】
図4は、P→Rレンジ方向における目標アシストトルクマップである。この目標アシストトルクマップには、セレクトレバー2のストローク角度に応じた目標アシストトルクTmotが設定されている。この目標アシストトルクTmotは、機械的負荷力Fmisによる軸トルクから理想操作力Ftによる軸トルクを減ずることにより求められる。すなわち、この目標アシストトルクTmotを目標値として電動モータ7のアシストトルクを制御することにより、セレクト時に良好な操作力となる運転者の理想操作力Ftによる軸トルクが得られる。
【0032】
機械的負荷力Fmisは、上述した自動変速機8のディテント機構で発生する負荷力に、リンケージ11の摩擦力、電動モータ7のイナーシャ等を合成したものであり、電動モータ7によるトルクアシストが無い状態でレンジ切り換えを行うには、この機械的負荷力Fmis以上の操作力が必要となる。
【0033】
なお、D→Nレンジ方向へのセレクト時には、機械的負荷力Fmisは上述したP→Rレンジ方向における機械的負荷力とは異なる特性となるため、その特性に応じて目標アシストトルクマップも別途設定する。よって、セレクトレバー2のアシスト制御においては、セレクトレバー2の操作方向を検出し、操作方向に応じた目標アシストトルクマップを用いてアシストトルクの制御を行う必要がある。
【0034】
セレクトレバー2の操作方向を検出する方法としては、トルクセンサ12の正負出力状態からの判定、位置センサ13の取得最新値と前回取得値との増減差分による判定、または、目標アシストトルクマップ上の各レンジ停止位置の中央値に対する位置センサ13の大小判定等で行うことができる。
【0035】
また、この目標アシストトルクマップは、セレクトレバー2の操作速度に応じて予め複数設定されている。セレクトレバー2の操作速度は、ストローク角度の変化率等から推定することができる。
【0036】
また、コントロールユニット14は、運転者がセレクトレバー2に手を触れておらず、セレクトレバー2への入力トルクがゼロのとき、位置センサ13の出力電圧(入力値)と、インヒビタスイッチ22より求めたレンジ内での停止位置、すなわち、現在位置に対応する位置センサデータ(図3)に記憶された出力電圧とセレクトレバー2のストローク角度に対応する出力電圧(設定値)とを比較してずれ量を検出し、ずれ量の程度により位置センサデータを補正する。
【0037】
次に、作用を説明する。
[位置センサデータ補正制御処理]
図5は、コントロールユニット14で実行される位置センサデータ補正制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理は、任意のレンジで実行することができる。
【0038】
ステップS11では、トルクセンサ13の出力電圧を読み込み、入力トルクがゼロである状態が予め設定された設定時間の間継続したかどうかを判断する(レバー停止判断部に相当)。入力トルクがゼロである状態が設定時間の間継続した場合にはステップS12へ進み、入力トルクがゼロである状態が設定時間の間継続していない場合には本制御を終了する。
【0039】
ステップS12では、インヒビタスイッチ22のレンジ信号により現在のレンジ位置を検出する。
【0040】
ステップS13では、位置センサ13の出力電圧を読み込む。
【0041】
ステップS14では、位置センサ13の最新取得値と前回取得値とを比較し、レバー位置が変化していないかどうかを判断する。レバー位置が変化していないと判断された場合にはステップS15へ進み、レバー位置が変化していると判断された場合には本制御を終了する。
【0042】
ステップS15では、検出したレンジ位置における位置センサ13の出力電圧(入力値)と、位置センサデータ(図3)に記憶された出力電圧とセレクトレバー2のストローク角度に対応する出力電圧(設定値)とを比較する。
【0043】
ステップS16では、入力値と設定値が一致しているかどうかを判断する。一致している場合には本制御を終了し、一致していない場合にはステップS17へ進む。
【0044】
ステップS17では、入力値に対する設定値のずれ量が所定範囲内であるかどうかを判断する。ずれ量が所定範囲内である場合にはステップS18へ進み、所定範囲よりも大きい場合にはステップS19へ進む(ステップS15〜ステップS17までがずれ量検出部に相当する)。
【0045】
ステップS18では、入力値に基づいて他のレンジ位置の設定値を推定し、位置センサデータを補正して本制御を終了する(位置センサデータ補正部に相当)。
【0046】
ステップS19では、位置センサ13の異常と判定し(位置センサ異常判定部に相当)、電動モータ7によるアシスト制御を中止して本制御を終了する(アシスト禁止部に相当)。
【0047】
(位置センサデータ補正制御処理の具体例)
次に、上述した位置センサデータ補正制御処理を、Rレンジ位置で実行するように設定した場合を図6に基づいて説明する。
【0048】
ステップS21では、トルクセンサ13の出力電圧を読み込み、入力トルクがゼロである状態が予め設定された設定時間の間継続したかどうかを判断する。入力トルクがゼロである状態が設定時間の間継続した場合にはステップS22へ進み、入力トルクがゼロである状態が設定時間の間継続していない場合には本制御を終了する。
【0049】
ステップS22では、インヒビタスイッチ22のレンジ信号により現在のレンジ位置がRレンジであるかどうかを検出する。Rレンジである場合にはステップ23へ進み、Rレンジ以外である場合には本制御を終了する。
【0050】
ステップS23では、位置センサ13の入力値VSENSを読み込む。
【0051】
ステップS24では、位置センサ13の最新取得値と前回取得値とを比較し、レバー位置が変化していないかどうかを判断する。レバー位置が変化していないと判断された場合にはステップS25へ進み、レバー位置が変化していると判断された場合には本制御を終了する。
【0052】
ステップS25では、入力値VSENSと、位置センサデータ(図3)に記憶された設定値VRとを比較する。入力値VSENSと設定値VRが異なる場合にはステップS26へ進み、入力値VSENSと設定値VRが一致している場合には本制御を終了する。
【0053】
ステップS26では、入力値VSENSと設定値VRが一致しているか、すなわち、|VSENS−VR|=0であるかどうかを判断する。0である場合には本制御を終了し、0以外である場合にはステップS27へ進む。ここで、|VSENS−VR|=0ではなく、あるしきい値(第1のしきい値に相当)以下を一致と判定してもよい。このしきい値としては、アシスト制御に影響を与えない程度のずれ量であればよい。
【0054】
ステップS27では、|VSENS−VR|がしきい値V0(第2のしきい値に相当)よりも小さいかどうかを判断する。|VSENS−VR|がしきい値V0よりも小さい場合にはステップS28へ進み、|VSENS−VR|がしきい値V0以上である場合にはステップS29へ進む。
【0055】
ステップS28では、Rレンジ位置でのずれ量(|VSENS−VR|)より他レンジ位置(P,N,Dレンジ位置)の設定値を推定して位置センサデータを補正する。図7に、位置センサデータの補正方法の一例を示す。この補正方法は、Rレンジ位置でのずれ量|VSENS−VR|だけ位置センサデータの直線をシフトすることにより、他レンジ位置の設定を補正し、新規位置センサデータとして記憶するものである。
【0056】
ステップS29では、位置センサ13の異常と判定し、電動モータ7によるアシスト制御を中止して本制御を終了する。
【0057】
次に、効果を説明する。
本実施の形態の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
【0058】
(1) 位置センサ13の入力値VSENSと、位置センサデータ(図3)に記憶された設定値VRのずれ量を検出し、検出されたずれ量|VSENS−VR|が0よりも大きく、かつ、しきい値V0よりも小さいとき、ずれ量|VSENS−VR|だけ位置センサデータの直線をシフトすることにより、他レンジ位置の設定を補正し、新規位置センサデータとして記憶することとしたため、常に適正なアシスト制御を行うことができる。
【0059】
(2) セレクトレバー2への入力トルクがゼロのとき、ずれ補正を行うこととしたため、インヒビタスイッチ22により求めた各レンジ位置でのセレクトレバー2の停止位置は予め特定できることから、正確なずれ補正を行うことができる。
【0060】
(3) 入力トルクがゼロの状態が予め設定された設定時間の間継続し、かつ、位置センサ13の最新取得値と前回取得値との差が所定範囲内であるとき、セレクトレバー2が停止していると判断するようにしたため、運転者がセレクトレバー2に手を触れていない状態と、レバー操作途中で発生する入力トルクゼロの状態(図4の機械的負荷力Fmisによる軸トルク参照)とを判別できる。よって、セレクトレバー2の停止を確実に判断でき、誤補正を防止できる。
【0061】
(4) 検出されたずれ量|VSENS−VR|がしきい値V0以上である場合には、位置センサ13の異常と判定し、電動モータ7によるアシストを停止させることで、誤ったアシストが実行されるのを防止できる。
【0062】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0063】
例えば、本実施の形態では、Rレンジ位置において位置センサデータ補正制御処理を実行し、Rレンジ位置における入力値と設定値のずれ量だけ位置センサデータの直線をシフトすることにより、他レンジ位置(P,N,Dレンジ位置)の設定を補正する例を示したが、次の図8〜図10に示すような方法を用いてもよい。
【0064】
図8は、全てのレンジ位置でずれ量を比較し、各点を折れ線で結び、その折れ線データを位置センサデータとして記憶する方法である。また、図9は、全てのレンジ位置でずれ量を比較し、線形近似法により得られた直線を位置センサデータとして記憶する方法であり、図10は、ある2つのレンジ位置でずれ量を比較し、その2点を通過する直線を位置センサデータとして記憶する方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機のセレクトアシスト装置を適用した自動変速装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の自動変速機のセレクトアシスト装置を適用した自動変速装置の構成を示す背面図である。
【図3】位置センサデータを示す図である。
【図4】P→Rレンジ方向における目標アシストトルクマップである。
【図5】コントロールユニットで実行される位置センサデータ補正制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】コントロールユニットで実行される位置センサデータ補正制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【図7】位置センサデータの補正方法の一例を示す図である。
【図8】位置センサデータの補正方法の一例を示す図である。
【図9】位置センサデータの補正方法の一例を示す図である。
【図10】位置センサデータの補正方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 コントロール部
2 セレクトレバー
3 センタクラスタ
4 支点軸
5 制御レバー
6 セクタギヤ
7 電動モータ
8 自動変速機
10 制御アーム
11 リンケージ
12 トルクセンサ
12a 回転部
12b 検出部
13 位置センサ
14 コントロールユニット
22 インヒビタスイッチ
Claims (5)
- 自動変速機のレンジ切り換え装置と連結されたセレクトレバーへの入力トルクを検出する入力トルク検出手段と、
前記セレクトレバーの操作位置に応じた操作位置信号を出力する位置センサと、
前記セレクトレバーにより選択されたレンジ位置を検出するインヒビタスイッチと、
運転者の操作力を補助するアシストトルクをセレクトレバーに出力するアシストアクチュエータと、
前記操作位置信号に対応するセレクトレバーの操作位置が予め設定された位置センサデータを有し、入力トルクと操作位置信号と位置センサデータとに基づいてアシストトルクを制御するアシストトルク制御手段と、
を備えた自動変速機のセレクトアシスト装置であって、
前記アシストトルク制御手段に、セレクトレバーが停止しているかどうかを判断するレバー停止判断部と、
セレクトレバーが停止していると判断されたとき、位置センサから出力されるセレクトレバーの現在位置における実際の操作位置信号(入力値)と、インヒビタスイッチより求めたレンジ内での停止位置、すなわち、現在位置に対応する位置センサデータに設定された操作位置信号(設定値)とを比較し、入力値に対する設定値のずれ量を検出するずれ量検出部と、
検出されたずれ量が第1のしきい値よりも大きいとき、入力値に基づいて位置センサデータを補正する位置センサデータ補正部と、
を設けたことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。 - 請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記レバー停止判断部は、入力トルクがゼロであるとき、セレクトレバーが停止していると判断することを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。 - 請求項2に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記レバー停止判断部は、入力トルクがゼロである状態が予め設定された設定時間の間継続したとき、セレクトレバーが停止していると判断することを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。 - 請求項2または請求項3に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記レバー停止判断部は、入力トルクがゼロであり、かつ、位置センサの最新取得値と前回取得値との差が所定範囲内にあるとき、セレクトレバーが停止していると判断することを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記アシストトルク制御手段に、検出されたずれ量が第2のしきい値(>第1のしきい値)以上であるとき、位置センサの異常と判断する位置センサ異常判定部と、
位置センサが異常であると判定されたとき、アシストアクチュエータにアシストトルクの出力を停止させるアシスト禁止部と、
を設け、
前記位置センサデータ補正部は、検出されたずれ量が第1のしきい値よりも大きく、かつ、第2のしきい値よりも小さいとき、位置センサデータを補正することを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
Priority Applications (4)
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