JP4030840B2 - 自動変速機のレンジ切換え装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的に駆動制御されるアクチュエータによって自動変速機のレンジ切換えを行うレンジ切換え装置に関し、詳しくは、各レンジの制御目標位置を学習する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電気的に駆動制御されるアクチュエータと、ディテント機構で各レンジに対応する位置に位置決めされるレンジ切換バルブとの間の動力伝達経路に所定の遊び量が設けられる構成であって、レンジ毎の前記レンジ切換バルブの目標位置に基づいて前記アクチュエータを制御する自動変速機のレンジ切換え装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、レンジ切換バルブの位置を検出するセンサの検出出力のずれを補償すべく、各レンジの制御目標位置を学習する構成が知られており、例えば特許文献2に開示される装置では、特定のレンジと認識される範囲内で、位置検出値が安定したときに、そのときの検出位置を前記特定のレンジにおける目標位置として学習していた。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−280083号公報
【特許文献2】
特開平07−081448号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記目標位置の学習は、当該レンジを経験して初めて可能であるため、切換えられる機会の少ないレンジでは学習が進行せず、レンジ切換えの制御性能がレンジ間で大きくばらつくという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、レンジ切換えの頻度に大きく影響されることなく、全レンジでの学習進行速度を向上させることができる自動変速機のレンジ切換え装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、ディテント機構で位置決めされたときのレンジ切換バルブの検出位置に基づいて当該レンジにおける目標位置を学習する一方、該学習結果に基づいて他のレンジでの目標位置を推定学習する構成とした。
【0007】
上記構成によると、あるレンジに切換えられ、ディテント機構によりレンジ切換バルブが位置決めされると、そのときの位置検出結果から、当該レンジにおける目標位置を学習するが、同時に、そのときのレンジとは異なる他のレンジにおける目標位置を、前記学習結果から推定して学習させる。
従って、切換えられたレンジだけではなく、その他のレンジについても同時に目標位置の学習を行わせることができ、レンジ切換えの制御性能がレンジ間で大きくばらつくことを回避できる。
【0008】
請求項2記載の発明では、レンジ切換バルブの位置を検出するセンサの組み付け位置の調整が行われる特定レンジでの基準位置と、特定レンジ以外のレンジに位置決めされたときの検出位置との相関に基づいて、他のレンジにおける目標位置を推定学習する構成した。
上記構成によると、位置検出を行うセンサを組み付けるときに、特定レンジでの検出値を一定に揃えるように調整されるから、例えば前記特定レンジをNレンジとして、Pレンジでのディテント機構による位置決め状態で目標位置を学習したとすると、Nレンジでの基準位置及びPレンジでの学習結果から、センサの出力特性がおおよそ推定され、該推定結果からP,Nレンジ以外のレンジ(R,Dレンジ等)における真の目標位置を推定する。
【0009】
従って、位置調整が行われる特定レンジ以外の1つのレンジで目標位置の学習を行うことで、残る他のレンジでの目標位置を推定学習させることができる。
請求項3記載の発明では、前記他のレンジにおいて、前記ディテント機構で位置決めされたときの検出位置に基づき学習した結果を優先的に用いる構成とした。
【0010】
上記構成によると、例えばRレンジに切換えられたときに、Rレンジでの目標位置を学習すると、その後Pレンジに切換えられて目標位置が学習されても、該Pレンジでの学習結果からRレンジの目標位置を更新させず、Rレンジに切換えられたときに学習した結果をそのまま用いるようにする。
従って、実際に当該レンジに切換えられたときに学習した信頼性の高い学習結果が、別のレンジでの結果から推定される比較的信頼性の低い目標位置に置き換えられてしまうことを回避できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態における自動変速機のレンジ切換え装置のシステム構成図である。
この図1において、車両に搭載される自動変速機1には、後述するレンジ切換バルブ6を駆動するためのモータ2(アクチュエータ)が取り付けられる。
【0012】
前記モータ2の出力軸には減速歯車機構3が設けられ、該減速歯車機構3を介してレンジ切換シャフト4を回転駆動するよう構成される。
尚、前記減速歯車機構3の最終段とレンジ切換シャフト4との連結部には、回転方向に所定の遊び量が設けられている。
前記レンジ切換シャフト4には、該レンジ切換シャフト4を複数のレンジそれぞれに対応する角度に位置決めするためのディテント機構5が取り付けられる。
【0013】
前記ディテント機構5は、図2に示すように、レンジ切換シャフト4に固定されて一体に回転するディテントレバー5A、ディテントレバー5Aの周縁に各レンジに対応して形成される凹部に係合するローラを支持すると共に、該ローラを前記凹部に向けて押圧付勢するディテントスプリング5Bから構成される。
そして、前記ディテント機構5は、上記構成によってレンジ切換シャフト4を、Pレンジ(パーキングレンジ),Rレンジ(リバースレンジ),Nレンジ(ニュートラルレンジ),Dレンジ(ドライブレンジ),2レンジ,1レンジのいずれかに対応する角度に位置決めする。
【0014】
前記レンジ切換シャフト4の回転運動は、ディテントレバー5Aとレンジ切換バルブ6との係合によって、レンジ切換バルブ6の軸方向運動に変換され、レンジ切換バルブ6がバルブボディ7内で軸方向に変位することで、油圧ポートの開閉が切り換えられ、各シフトレンジに応じてライン圧を配送する。
前記ディテントレバー5Aに一端が取り付けられるロッド8の他端には、カム9が取り付けられ、揺動可能に支持されたパーキングポール10が前記カム9との摺接によって揺動駆動され、Pレンジ位置においては、パーキングポール10の爪10aがパーキングギヤ11の凹部11aに噛み合って、パーキングギヤ11が固定されるようになっている。
【0015】
また、前記レンジ切換シャフト4には、該レンジ切換シャフト4の角度を連続的に検出するポテンショメータ21が備えられる一方、自動変速機1が各レンジのいずれに切り換えられているかを検出するインヒビタスイッチ22が設けられる。
尚、前記ポテンショメータ21は、Nレンジにおけるセンサ出力が基準値に一致するように、取り付け時に調整される。
【0016】
また、運転者によって操作されるレンジセレクトスイッチ23が設けられている。
前記ポテンショメータ21,インヒビタスイッチ22及びレンジセレクトスイッチ23からの信号は、A/Tコントロールユニット(A/T C/U)24に入力される。
【0017】
そして、前記A/Tコントロールユニット24は、レンジセレクトスイッチ23に対応するレンジ切換シャフト4の目標角度(レンジ切換バルブ6の目標位置に相当)を設定し、前記ポテンショメータ21で検出される実際の角度が前記目標角度に一致するように、前記モータ2の駆動信号(電源供給を高周波でON・OFFするデューティ駆動信号)をフィードバック制御する。
【0018】
上記のA/Tコントロールユニット24によるモータ2の電気的な駆動制御によって、レンジ切換シャフト4が回転することで、自動変速機1のレンジが運転者の要求するレンジに切換えられる。
また、前記A/Tコントロールユニット24は、ポテンショメータ21による検出角度のずれを補償すべく、前記レンジ毎の目標角度(目標位置)を学習する機能を有しており、係る学習制御を、図3のフローチャートに従って説明する。
【0019】
尚、前記ポテンショメータ21は、前述のように、Nレンジにおけるセンサ出力が基準値に一致するように、取り付け時に調整されるので、目標角度の学習はNレンジ以外の各レンジで行われる。
図3のフローチャートにおいて、ステップS1では、前記ディテント機構5による位置決めが行われている状態で、前記ポテンショメータ21で検出されたレンジ切換シャフト4の角度を、谷位置角度として求める。
【0020】
前記谷位置角度とは、前記ディテント機構5において、ディテントレバー5Aの周縁に形成される凹部の谷にローラが位置して、レンジ切換シャフト4が特定のレンジに対応して位置決めされている状態での角度を示す。
前記谷位置角度を求める方法としては、特開平07−081448号公報に開示されるように、特定のレンジと認識される範囲内で、角度検出値の変化が微小になったときに、そのときの検出角度を前記特定のレンジにおける谷位置角度とする方法がある。
【0021】
また、前記ディテント機構5による引き込み動作を、検出角度から求められる角速度及び/又は角加速度から判断し、例えば角速度及び/又は角加速度がピーク値を示したときのレンジ切換シャフト4の角度を基準に、谷位置角度を求めるようにしても良い。
図4のフローチャートは、角速度がピーク値を示す角度に基づき谷位置角度を求める処理を示す。
【0022】
図4のフローチャートにおいて、ステップS11では、ポテンショメータ21で検出されたレンジ切換シャフト4の角度を読み込む。
ステップS12では、前記ステップS11で読み込んだ角度が、レンジ毎に予め設定される基準目標角度を含む各レンジの基準角度範囲(学習角度範囲)のいずれかに含まれるか否かを判別する。
【0023】
基準角度範囲内であるときには、ステップS13へ進み、前記ポテンショメータ21で検出されたレンジ切換シャフト4の角度を微分して、角速度を算出する。
次のステップS14では、ステップS13で算出される角速度にデジタルローパスフィルタ処理(LPF)を施す。
【0024】
ステップS15では、前記ローパスフィルタ処理後の角速度がピーク値を示したときのポテンショメータ21による検出角度を求める。
例えば、ポテンショメータ21の検出角度が、P→D切換え方向で減少変化するものとすると、このときの角速度は、マイナスの値として算出されるので、P→D切換え方向では、ステップS15で角速度のマイナスのピーク値を求め、ピーク値を示したときのポテンショメータ21による検出角度を参照する。
【0025】
一方、D→P切換え方向ではポテンショメータ21の検出角度が増大変化するから、ステップS15でプラスのピーク値を求め、ピーク値を示したときのポテンショメータ21による検出角度を参照する。
レンジ切換え時に、ディテント機構5の引き込み動作が開始されると、角速度の絶対値が急激に増大してピーク値を示すことになり、この角速度がピーク値を示すタイミングは、角速度にローパスフィルタ処理を施したことで、実際のピーク位置よりも遅れた角度位置として検出される。
【0026】
しかし、ローパスフィルタ処理(LPF)後の角速度がピーク値を示す角度と、ディテント機構5の谷位置とのずれ角は一定であるから、前記LPF後の角速度がピーク値を示す角度からディテント機構5の谷位置角度を推定することが可能である。
そこで、ステップS16では、LPF後の角速度がピーク値を示した角度と、予め記憶された補正角度とに基づいて、当該レンジにおける谷位置角度を求める。
【0027】
尚、角加速度がピーク値を示す角度から谷位置角度を検出させることも可能で、この場合も、角加速度にローパスフィルタ処理を施し、該ローパスフィルタ処理が施された角加速度に基づいてピーク発生タイミングを検出することで、谷位置角度を求めることができる。
また、ローパスフィルタ処理が施された角速度と、ローパスフィルタ処理が施された角加速度との積算値が、ピーク値を示す角度から、ディテント機構5の谷位置角度を求めることが可能である。
【0028】
更に、角速度,角加速度,角速度×角加速度が、判定値を横切る2点での角度をそれぞれ求め、これら角度の中央値をピーク発生角度として算出し、該中央値から谷位置角度を求めるようにしても良い。
谷位置角度をステップS1で検出すると、ステップS2では、前回までの当該レンジにおける目標角度を読み出し、ステップS3では、ステップS1で検出した谷位置角度と前回までの目標角度との偏差を演算する。
【0029】
偏差=谷位置角度−前回までの目標角度
ステップS4では、次回の目標角度の演算に用いる行き過ぎ量を、前記偏差に基づいて演算する。
前記行き過ぎ量は、前記偏差の符号に応じて設定される値であり、前記偏差の符号がプラスであればプラスの角度に、前記偏差の符号がマイナスであればマイナスの角度に設定される。
【0030】
また、前記行き過ぎ量は、偏差が0であれば0で、偏差が0でないときの絶対値が一定になるように予め設定される。
前記行き過ぎ量の絶対値は、ポテンショメータ21の出力をA/D変換して読み込むときのA/D変換誤差以上に設定され、A/D変換誤差があっても、前記偏差の符号が次回学習時に反転するようにしてある。
【0031】
本実施形態では、前記行き過ぎ量の絶対値を、角度検出の最小単位角とする。
ステップS5では、当該レンジに対応する次回の目標角度を、前記前回までの目標角度,偏差,行き過ぎ量に基づいて、以下のようにして算出する。
次回の目標角度=前回までの目標角度+偏差+行き過ぎ量
ここで、前回までの目標角度+偏差=谷位置角度であり、前記行き過ぎ量は、偏差がプラスであればプラスの値に、マイナスであればマイナスの値に設定されるから、次回の目標角度は、今回の谷位置検出角度を行き過ぎ量だけ行き過ぎる値として設定される。
【0032】
然も、角度検出値がA/D変換誤差により検出毎にばらついても、前記偏差の符号が次回学習時に反転するような値に行き過ぎ量が設定されるから、角度検出のばらつきがあっても、目標角度が学習毎に増減を繰り返す収束状態に速やかに移行させることができる。
ステップS6では、今回谷位置角度を検出して目標角度の学習を行ったレンジ以外のレンジ(Nレンジを除く)における目標角度を、今回の学習結果に基づいて推定学習する処理を行う。
【0033】
レンジ切換シャフト4の角度を検出するポテンショメータ21は、前述のように、Nレンジにおけるセンサ出力が基準値に一致するように、取り付け時に調整されるので、レンジ切換シャフト4の角度とポテンショメータ21の出力との相関は、Nレンジでの出力を固定として、図5に示すように、ポテンショメータ21毎にばらつく。
【0034】
即ち、レンジ切換シャフト4の角度とポテンショメータ21の出力との相関を示すS字状のカーブがNレンジでの位置を中心に回転した特性に、ポテンショメータ21の出力特性が個々にばらつく。
従って、例えばPレンジに切換えられてPレンジで目標角度を学習した場合には、学習更新後のPレンジでの目標角度と固定であるNレンジでの目標角度との相関から、他のレンジ(R,Dレンジ等)の真の目標角度を略推定することができる。
【0035】
図6のフローチャートは、前記ステップS6の処理内容を詳細に示すものであり、ステップS21では、前記ステップS5における目標角度の学習を経験していないレンジ(Nレンジを除く)があるか否かを判別する。
Nレンジを除く全てのレンジで、ステップS5の学習を経験している場合には、本ルーチンをそのまま終了させる。
【0036】
ディテント機構5により位置決めされたときの検出角度に基づく目標角度の学習は、あるレンジでの学習結果を他のレンジに反映させる学習よりも信頼性が高く、ステップS5での学習結果をステップS6で更新させるのは好ましくない。
そこで、ステップS5の学習を経験したレンジについては、ステップS6での処理の対象外として、ステップS5での学習結果を、ステップS6の推定学習よりも優先させて用いるようにする。
【0037】
一方、ステップS21で、Nレンジを除くレンジでステップS5の学習を経験していないレンジ(以下、谷位置未学習レンジという)があると判断されたときには、ステップS22へ進む。
ステップS22では、予めポテンショメータ21の出力特性がばらついたときの複数のばらつきパターン毎(A,B,C,・・・)に各レンジでの検出角度を記憶したマップを参照することで、谷位置未学習レンジでの目標角度を求める。
【0038】
例えば、今回の学習されたレンジがPレンジで、学習後の目標角度が、フローチャート中の図に示すAの特性上の値であったとすると、同じ特性A上で谷位置未学習レンジに対応する角度を、それぞれのレンジにおける新たな目標角度として学習させる。
尚、複数の特性のいずれにも合致しない学習結果であった場合には、補間演算によって谷位置未学習レンジでの目標角度を演算させる。
【0039】
ステップS22で、谷位置未学習レンジの目標角度を求めると、ステップS23では、ステップS22で求めた目標角度(推定学習値)を当該レンジにおける新たな目標角度として更新記憶させる。
図7のフローチャートは、ステップS6の処理内容の第2実施形態を示すものであり、ステップS31で谷位置未学習レンジがあると判断されると、ステップS32へ進む。
【0040】
ステップS32では、今回ステップS5で学習された目標角度と、該目標角度の基準値との偏差を演算する。
前記目標角度の基準値とは、ポテンショメータ21の基準出力特性上で各レンジに対応する検出角度である。
次のステップS33では、前記ステップS32で求めた偏差を他のレンジでの偏差に変換するための係数を設定する。
【0041】
前記変換係数は、ステップS5で学習を行ったレンジと、推定学習を行わせるレンジとの組み合わせ毎に設定され、例えば、今回学習を行ったレンジがPレンジであり、推定学習を行うレンジがRレンジであったとすると、係数aを変換係数とする。
そして、ステップS34では、ステップS32で求めた偏差にステップS33で求めた変換係数を乗算して、推定学習を行うレンジでの基準目標角度と真の目標角度との偏差を推定し、これを基準目標角度に加算することで、目標角度の推定学習値を算出する。
【0042】
推定学習値=偏差×変換係数+基準目標角度
即ち、例えばPレンジにおける基準目標角度と学習値との偏差と、Rレンジにおける基準目標角度と学習値との偏差とは、ポテンショメータ21が取り付け時にNレンジを基準に調整されるから常に一定の比率であると見なして、谷位置未学習レンジの目標角度を推定させるものである。
【0043】
ステップS35では、ステップS34で求めた目標角度(推定学習値)を当該レンジにおける新たな目標角度として更新記憶させる。
上記のステップS6における推定学習が行われたレンジに切換えられたときには、谷位置角度の検出結果に基づく学習が行われ、目標角度が更新学習される。
上記構成によると、Nレンジ以外のレンジで谷位置角度の検出結果に基づく目標角度の学習が行われると、学習を行ったレンジ以外の未学習レンジも同時に目標角度が推定学習されるので、各レンジ毎の個別学習の完了を待つことなく、全レンジについて真の谷位置付近を目標としたレンジ切換え制御を行わせることができるようになる。
【0044】
尚、上記では、Nレンジと谷位置角度に基づく学習が行われたレンジとを基準に、ポテンショメータ21の出力特性を推定させる構成としたが、谷位置角度に基づく学習が行われた2つのレンジでの学習後目標角度に基づいて、ポテンショメータ21の出力特性を推定させ、該推定結果から谷位置未学習レンジでの目標角度を求めるようにしても良い。
【0045】
また、目標角度の学習を、各レンジでレンジ切換え方向毎に個別に行わせるようにしても良い。
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機のレンジ切換え装置において、位置検出の特性パターンを予め複数を記憶し、前記ディテント機構で位置決めされたレンジで学習された目標位置と前記複数の特性パターン上の検出位置とから、そのときの特性パターンを推定し、該推定された特性パターン上から、他のレンジにおける目標位置を求めることを特徴とする自動変速機のレンジ切換え装置。
【0046】
上記構成によると、前記ディテント機構で位置決めされたレンジで学習された目標位置が、予め記憶された複数の特性パターンのうちのどのパターン上の値であるかを判断することで、実際の特性パターンを特定し、該特定したパターン上の値として他のレンジにおける目標位置を求める。
従って、位置検出のばらつきパターンが想定される場合に、他のレンジにおける目標位置を高い精度で推定することができる。
(ロ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機のレンジ切換え装置において、位置検出の基準特性パターンを予め記憶し、前記ディテント機構で位置決めされたレンジで学習された目標位置と前記基準特性パターン上での検出位置との偏差を求め、該偏差を他のレンジにおける偏差に変換して、該変換された偏差に基づいて他のレンジにおける基準特性パターン上の検出位置を補正して、他のレンジにおける目標位置を求めることを特徴とする自動変速機のレンジ切換え装置。
【0047】
上記構成によると、基準特性パターンからのずれ量が、実際にディテント機構で位置決めされたレンジで学習されると、前記ずれ量から他のレンジにおけるずれ量を推定し、該推定結果に基づいて基準特性パターン上の検出位置(基準目標位置)を補正して、目標位置を推定する。
従って、簡易に他のレンジにおける目標位置を推定学習させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機のレンジ切換え装置を示すシステム構成図。
【図2】レンジ切換シャフトの駆動機構を示す斜視図。
【図3】目標角度の学習制御を示すフローチャート。
【図4】谷位置検出を示すフローチャート。
【図5】ポテンショメータの特性ばらつきを示す線図。
【図6】他レンジにおける推定学習の第1実施形態を示すフローチャート。
【図7】他レンジにおける推定学習の第2実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…自動変速機、2…モータ(アクチュエータ)、3…減速機構、4…レンジ切換シャフト、5…ディテント機構、6…レンジ切換バルブ、21…ポテンショメータ、22…インヒビタースイッチ、23…レンジセレクトスイッチ、24…A/Tコントロールユニット
Claims (3)
- 電気的に駆動制御されるアクチュエータと、ディテント機構で各レンジに対応する位置に位置決めされるレンジ切換バルブとの間の動力伝達経路に所定の遊び量が設けられ、
前記レンジ切換バルブの検出位置とレンジ毎の目標位置とに基づいて前記アクチュエータを制御する自動変速機のレンジ切換え装置において、
前記ディテント機構で位置決めされたときの前記レンジ切換バルブの検出位置に基づいて当該レンジにおける前記目標位置を学習する一方、
該学習結果に基づいて他のレンジでの目標位置を推定学習することを特徴とする自動変速機のレンジ切換え装置。 - 前記レンジ切換バルブの位置を検出するセンサの組み付け位置の調整が行われる特定レンジでの基準位置と、前記特定レンジ以外のレンジに位置決めされたときの検出位置との相関に基づいて、他のレンジにおける目標位置を推定学習することを特徴とする請求項1記載の自動変速機のレンジ切換え装置。
- 前記他のレンジにおいて、前記ディテント機構で位置決めされたときの検出位置に基づき学習した結果を優先的に用いることを特徴とする請求項1又は2記載の自動変速機のレンジ切換え装置。
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