JP2004277630A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】圧縮永久歪性に優れ、柔軟性の良好な熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)〜(E)を動的熱処理してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)の動的熱処理量が10〜30重量%、成分(B)の動的熱処理量が30〜70重量%、成分(C)の動的熱処理量が20〜50重量%であり(成分(A)〜(C)の合計量を100重量%とする。)、成分(D)の動的熱処理量が0.001〜5重量部、成分(E)の動的熱処理量が0.01〜5重量部である(成分(A)〜(C)の合計量を100重量部とする。)熱可塑性エラストマー組成物。
(A)オレフィン系樹脂
(B)下記要件▲1▼および▲2▼を充足する共重合体ゴム
▲1▼エチレン単位とα−オレフィン単位と5−ビニル−2−ノルボルネン単位とを含有すること。
▲2▼分子量分布が2〜5であること
(C)鉱物油
(D)有機過酸化物
(E)架橋助剤
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。更に詳しくは、圧縮永久歪性に優れ、柔軟性の良好な熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、通常の熱可塑性樹脂の成形機により加工ができ、リサイクルが可能であること、更に柔軟なことから、コンソールボックスやインストルメントパネル表皮などの自動車内装部品、ウインドモールなどの自動車外装部品をはじめ各種部品に用いられている。例えば、自動車内装部品の表皮シート用として、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムとポリプロピレン樹脂とを動的熱処理したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−136205号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱可塑性エラストマー組成物は、圧縮永久歪みが大きくなることがあり、圧縮永久歪性において十分満足のいくものではなかった。
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、圧縮永久歪性に優れ、柔軟性の良好な熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記成分(A)〜(E)を動的熱処理してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)の動的熱処理量が10〜30重量%であり、成分(B)の動的熱処理量が30〜70重量%であり、成分(C)の動的熱処理量が20〜50重量%であり(但し、成分(A)〜(C)の合計量を100重量%とする。)、成分(D)の動的熱処理量が0.001〜5重量部であり、成分(E)の動的熱処理量が0.01〜5重量部である(但し、成分(A)〜(C)の合計量を100重量部とする。)熱可塑性エラストマー組成物にかかるものである。
(A)オレフィン系樹脂
(B)下記要件▲1▼および▲2▼を充足する共重合体ゴム
▲1▼エチレンから誘導される単量体単位と、α−オレフィンから誘導される単量体単位と、5−ビニル−2−ノルボルネンから誘導される単量体単位とを含有すること。
▲2▼重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2〜5であること
(C)鉱物油
(D)有機過酸化物
(E)架橋助剤
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)のオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素原子数2〜10のオレフィン1種または2種以上から誘導される単量体単位を含有する重合体であって、好ましくは、JIS K−6253のA硬度が98を超える重合体である。
【0007】
成分(A)のオレフィン系樹脂としては、たとえば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体があげられ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用される。また、これらは公知の方法で製造することができる。
【0008】
成分(A)のオレフィン系樹脂としては、耐熱性を高める観点から、好ましくは、プロピレンから誘導される単量体単位(プロピレン単位)の含有量が80重量%以上の重合体であり、より好ましくは、プロピレン単位の含有量が90重量%以上の重合体であり、更に好ましくは、プロピレン単位の含有量が95重量%以上の重合体である。
【0009】
成分(A)のオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、加工性を高める観点から、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.5〜50g/10分である。なお、MFRは、JIS K−6758に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定される。
【0010】
本発明の成分(B)の共重合体ゴムは、エチレンから誘導される単量体単位(エチレン単位)と、α−オレフィンから誘導される単量体単位(α−オレフィン単位)と、5−ビニル−2−ノルボルネンから誘導される単量体単位(5−ビニル−2−ノルボルネン単位)とを含有する共重合体であって(要件▲1▼)、無定型ランダムな弾性共重合体である。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどがあげられ、好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンである。これらα−オレフィンは、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0011】
成分(B)の共重合体ゴムは、他の単量体から誘導される単量体単位を含有していてもよく、他の単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの炭素原子数4〜8の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエン;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸などがあげられる。
【0012】
成分(B)の共重合体ゴムのエチレン単位とα−オレフィン単位の含有量としては、機械的強度を高める観点から、好ましくは、エチレン単位含有量は45重量%以上であり、α−オレフィン単位含有量は55重量%以下であり、より好ましくは、エチレン単位含有量は60量%以上であり、α−オレフィン単位含有量は40重量%以下である。また、柔軟性を高める観点から、好ましくは、エチレン単位含有量は90重量%以下であり、α−オレフィン単位含有量は10重量%以上であり、より好ましくは、エチレン単位含有量は80重量%以下であり、α−オレフィン単位含有量は20重量%以上である。ただし、エチレン単位含有量とα−オレフィン単位含有量の合計量を100重量%とし、各単量体単位の含有量は、赤外線吸収スペクトル分析により求められる。
【0013】
成分(B)の共重合体ゴムのヨウ素価は、好ましくは5〜40である
【0014】
成分(B)のエチレン−α−オレフィン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、2〜5であり、好ましくは2〜4である。(要件▲2▼)
【0015】
成分(B)の共重合体ゴムの100℃のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、好ましくは10〜350であり、より好ましくは30〜300である。該ムーニー粘度が小さすぎると機械的強度に劣ることがあり、一方、該ムーニー粘度が大きすぎると加工性が低下することがある。なお、ムーニー粘度は、ASTM D−927−57Tに従って、100℃で測定される。
【0016】
成分(B)の共重合体ゴムは、公知の方法で製造することができる。
【0017】
本発明の成分(C)の鉱物油としては、アロマ系鉱物油、ナフテン系鉱物油、パラフィン系鉱物油などの石油の高沸点留分(平均分子量が300〜1500、流動点が0℃以下)をあげることができる。これらのなかでも、パラフィン系鉱物油が好ましい。
【0018】
成分(C)の鉱物油は、成分(B)の伸展油として配合してもよい。この場合、成分(B)には油展ゴムが用いられ、該油展ゴムの伸展油の含有量は、通常、共重合体ゴム100重量部あたり通常20〜200重量部である。
【0019】
成分(B)の共重合体ゴムに鉱物油を配合する方法としては、公知の方法が用いられる。例えば、ロール、バンバリーミキサーなどの混練装置を用い、共重合体ゴムと鉱物油を機械的に混練する方法、共重合体ゴム溶液に所定量の鉱物油を添加し、その後、スチームストリッピング等の方法により脱溶媒して得る方法などがある。
【0020】
成分(D)の有機過酸化物としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルシクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン、ジクミルパーオキサイドなどがあげられる。
【0021】
成分(E)の架橋助剤としては、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン等のパーオキサイド架橋助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能のビニルモノマーがあげられる。なかでもトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
【0022】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が得られる動的熱処理とは、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)および成分(E)を溶融混練することをいう。動的熱処理に用いられる溶融混練装置としては、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサーなど、従来公知のものを使用しうる。これらのなかでは、非開放型の装置を用いるのが好ましい。また、動的熱処理温度は、通常150〜250℃であり、動的熱処理時間は、通常1〜30分間である。また、動的熱処理の溶融混練は、混練する全成分を一括して溶融混練してもよいし、一部の成分を混練した後に選択しなかった成分を加え溶融混練してもよく、溶融混練は1回または2回以上行ってもよい。架橋の均一性の観点から、好ましくは、混練する全成分を一括して溶融混練する方法がよい。
【0023】
成分(A)〜(C)の動的熱処理量としては、成分(A)〜(C)の合計の動的熱処理量を100重量%として、成分(A)の動的熱処理量が10〜30重量%であり、成分(B)の動的熱処理量が30〜70重量%であり、成分(C)の動的熱処理量が20〜50重量%である。成分(A)の動的熱処理量が少なすぎると、加工性が低下することがあり、成分(A)の動的熱処理量が多すぎると、柔軟性、耐永久歪み性が低下することがある。成分(B)の動的熱処理量が少なすぎると、柔軟性、耐永久歪み性が低下することがあり、成分(B)の動的熱処理量が多すぎると、加工性が低下することがある。成分(C)の動的熱処理量が少なすぎると、加工性、柔軟性、耐永久歪み性が低下することがあり、成分(C)の動的熱処理量が多すぎると、外観が低下することがある。
【0024】
成分(D)の動的熱処理量は、成分(A)〜(C)の合計の動的熱処理量を100重量部として、通常0.001〜5重量部であり、成分(E)の動的熱処理量は、成分(A)〜(C)の合計量を100重量部として、通常0.01〜5重量部である。
【0025】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常の熱可塑性樹脂で使用されている装置を用いて、押出成形、カレンダー成形、射出成形により種々の成形品に成形される。
【0026】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐変色性にも優れ、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックス、天井材シート、ハンドルパッド、モール、ウェザストリップ等の自動車内外装装部品;各種工業部品;各種建築材料など、種々の用途に用いられる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって説明する。
[物性評価方法]
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K−7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定を行った。
(2)ムーニー粘度(ML1+4100℃)
ASTM D−927−57Tに従い測定を行った。
(3)エチレン単位含有量、プロピレン単位含有量
赤外線吸収スペクトル分析により求めた。
(4)ヨウ素価
赤外線吸収スペクトル分析により求めた。
(5)分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフにより下記の条件で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
測定装置:Waters社製 150C−PLUS型
カラム :東ソー株式会社製 TSK−GEL GMHHR−H(S)2本使用
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.1重量%)
流量 :1ml/分
測定温度:140℃
溶媒 :オルトジクロルベンゼン
標準物質:標準ポリスチレン
【0028】
(6)硬度
JIS K−6253に従いA硬度を測定した。
(7)引張試験
JIS K−6251に従い、JIS3号ダンベル、引張速度200mm/分の条件で、引張破断強度および引張破断伸びを求めた。
(3)圧縮永久歪
JIS K−6262に従い、70℃、22時間、25%圧縮の条件で測定を行った。
【0029】
実施例1
(エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムの製造)攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを118.0kg/h、エチレンを3.87kg/h、プロピレンを11.22kg/h、5−ビニル−2−ノルボルネンを0.268kg/h、水素を6.2リットル/h、オキシ三塩化バナジウムを0.0026kg/h、エチルアルミニウムセスキクロライドを0.02078kg/hの割合で連続的に供給し、48℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と100重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムを得た(以下、共重合体ゴム▲1▼と称する。)。共重合体ゴム▲1▼の分子量分布は3.9であった。
【0030】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
プロピレン系樹脂(住友化学工業(株)製 ノーブレンD101、MFR(230℃、21.18N)=0.4g/10分)20重量部、共重合体ゴム▲1▼80重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.2重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.2重量部、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.2重量部、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物0.2重量部をバンバリーミキサーにより溶融混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーでペレットにした。このペレット100重量部に対して架橋剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.32重量部をタンブラーミキサーにより10分間均一混合し、2軸押出機を用いて200±10℃で押出して動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。次に、この熱可塑性エラストマー組成物をシリンダー温度220℃、金型温度50℃で射出成形することにより150mm×90mm×2mm厚の試験片を作成し、得られた試験片の物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0031】
実施例2
(エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを117.7kg/h、エチレンを3.96kg/h、プロピレンを11.5kg/h、5−ビニル−2−ノルボルネンを0.14kg/h、水素を4.7リットル/h、オキシ三塩化バナジウムを0.00233kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライドを0.01889kg/hの割合で連続的に供給し、48℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と100重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムを得た(以下、共重合体ゴム▲2▼と称する。)。共重合体ゴム▲2▼の分子量分布は3.7であった。
【0032】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
共重合体ゴム▲1▼に代えて共重合体ゴム▲2▼を用いる以外は、実施例1の熱可塑性エラストマー組成物の製造と同様に行った。結果を表1に示す。
【0033】
実施例3
(エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムの製造)
攪拌器付の容量100リットルのオートクレーブに、ヘキサンを118kg/h、エチレンを3.87kg/h、プロピレンを11.22kg/h、5−ビニル−2−ノルボルネンを0.134kg/h、エチリデン−2−ノルボルネンを0.134kg/h、水素を5リットル/h、オキシ三塩化バナジウムを0.0026kg/h及びエチルアルミニウムセスキクロライドを0.02078kg/hの割合で連続的に供給し、48℃の温度で重合反応を行った。反応液はドラムに連続的に抜出し、溶液中の共重合体ゴム100重量部に対し0.5重量部の重合停止剤と100重量部の鉱物油系軟化剤(出光興産製PW−380)を添加した後、スチームストリッピングにより油展共重合体ゴムを析出、乾燥させ、油展エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムを得た(以下、共重合体ゴム▲3▼と称する。)。共重合体ゴム▲3▼の分子量分布は3.3であった。
【0034】
(熱可塑性エラストマー組成物の製造)
共重合体ゴム▲1▼に代えて共重合体ゴム▲3▼を用いる以外は、実施例1の熱可塑性エラストマー組成物の製造と同様に行った。結果を表1に示す。
【0035】
比較例1
共重合体ゴム▲1▼に代えて油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(住友化学工業(株)製エスプレン670F:エチレン単位/プロピレン単位(重量比)=72/28、ヨウ素価=12、ML1+4100℃=53、油展量=100PHR)、以下共重合体ゴム▲4▼)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004277630
【0037】
実施例4
プロピレン系樹脂20重量部に代えてプロピレン系樹脂25重量部と、共重合体ゴム▲1▼80重量部に代えて共重合体ゴム▲1▼75重量部とする以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0038】
実施例5
トリメチロールプロパントリメタクリレート0.2重量部に代えてN,N’−m−フェニレンビスマレイミド0.4重量部とした以外は、実施例4と同様に行った。結果を表2に示す。
【0039】
比較例2
共重合体ゴム▲1▼に代えて共重合体ゴム▲4▼とする以外は、実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 2004277630
【0041】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、圧縮永久歪性に優れ、柔軟性の良好な熱可塑性エラストマー組成物を提供することができた。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、加工性、外観にも優れる。

Claims (2)

  1. 下記成分(A)〜(E)を動的熱処理してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、成分(A)の動的熱処理量が10〜30重量%であり、成分(B)の動的熱処理量が30〜70重量%であり、成分(C)の動的熱処理量が20〜50重量%であり(但し、成分(A)〜(C)の合計量を100重量%とする。)、成分(D)の動的熱処理量が0.001〜5重量部であり、成分(E)の動的熱処理量が0.01〜5重量部である(但し、成分(A)〜(C)の合計量を100重量部とする。)熱可塑性エラストマー組成物。
    (A)オレフィン系樹脂
    (B)下記要件▲1▼および▲2▼を充足する共重合体ゴム
    ▲1▼エチレンから誘導される単量体単位と、α−オレフィンから誘導される単量体単位と、5−ビニル−2−ノルボルネンから誘導される単量体単位とを含有すること。
    ▲2▼重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2〜5であること
    (C)鉱物油
    (D)有機過酸化物
    (E)架橋助剤
  2. 成分(E)がトリメチロールプロパントリメタクリレートである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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