JP2004277227A - 窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法および窒化アルミニウムセラミックス部材 - Google Patents
窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法および窒化アルミニウムセラミックス部材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】窒化アルミニウムセラミックス部材について、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせたり、パーティクルを付着させることを抑制し、しかも、窒化アルミニウムセラミックス自体を腐食させることなく、表面を清浄化させることができる洗浄方法、および、この清浄方法により洗浄された、表面が清浄な窒化アルミニウムセラミックス部材を提供する。
【解決手段】水分含有量10重量%以下の非イオン系界面活性剤を主成分とし、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄と、塩酸を主成分とする酸洗浄液を用いた酸洗浄とを行うことを特徴とする洗浄方法により、窒化アルミニウムセラミックス部材を洗浄する。
【選択図】 なし
【解決手段】水分含有量10重量%以下の非イオン系界面活性剤を主成分とし、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄と、塩酸を主成分とする酸洗浄液を用いた酸洗浄とを行うことを特徴とする洗浄方法により、窒化アルミニウムセラミックス部材を洗浄する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法および窒化アルミニウムセラミックス部材に関し、より詳細には、半導体ウエハの加熱処理等が行われる半導体製造装置に好適に用いられる窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法および該方法により表面が清浄化された窒化アルミニウムセラミックス部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム(AlN)セラミックスは、アルミニウムと窒素との化合物で、非酸化物系セラミックスの一種であり、熱伝導性、絶縁性に優れ、熱膨張率が小さく、溶融金属やハロゲン等に対する耐食性に優れている等の多くの特性を有するため、従来から、サセプタ、ヒータ、静電チャック等の半導体製造装置用の部材に多く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、クリーニングガスやプロセスガスとして用いられるCF4やNF3、ClF3等のハロゲン系腐食性ガスに対する窒化アルミニウムの優れた耐食性を利用して、窒化アルミニウム焼結体を基材とする耐食性部材が、半導体製造装置において、ハロゲン系腐食性ガスに曝露される環境で使用されることが開示されている。
また、同様の観点から、特許文献2には、300℃以上のハロゲン系腐食性ガスに曝露される環境で使用される耐食性部材として、耐熱性材料からなる基材に、厚さ10μm以上の結晶質窒化アルミニウム膜を被覆した耐食性部材が開示されている。
【0004】
ところで、近年、半導体回路の微細化がますます進み、枚葉式CVD装置におけるウエハの加熱も、従来のタングステン等の金属配線の形成のみに止まらず、銅配線のシード形成や拡散バリア膜の形成、高誘電率を有する薄膜のアニーリング等、新たな回路構成材料の成膜を目的として行われるようになってきた。それに伴い、半導体製造装置において使用される窒化アルミニウムセラミックス部材も、ますます高温環境に曝されるようになってきた。
【0005】
このように、部材の使用温度の高温化が進むにつれて、窒化アルミニウムセラミックス部材には、耐食性のみならず、表面の清浄度が高いことが求められるようになり、特に、ウエハの高温加熱処理に用いられ、ウエハに直接接触する窒化アルミニウムセラミックス部材は、ウエハとの接触面から汚染を生じさせないことが要求される。
すなわち、高温加熱される過程において、窒化アルミニウムセラミックス部材の表面汚染物質が、該部材と接触する被処理ウエハの接触面に曇りを生じさせる場合があり、特に、部材の表面に付着したハロゲン系化合物や炭化水素化合物は、該ウエハの接触面を侵し、後工程の洗浄では除去することができない曇りを発生させることが課題となっていた。
【0006】
このような課題に対しては、従来は、部材を交換した際に、ダミーウエハを工程中に挿入して装置を長時間稼動させ、汚染の原因を除去する方法や、該部材と接触するウエハの接触面に、予めポリシリコン膜等の保護膜を形成しておくことにより、上記汚染の影響を低減させる等の対策が採られていた。
しかしながら、これらの方法は、装置の稼動効率を低下させたり、ウエハの加工コストが高くなるという課題を有するものであった。
【0007】
したがって、このような半導体製造装置において用いられるセラミックス部材であって、表面の清浄度が高いものを得るためには、該部材を洗浄等により表面を清浄化させることが通常行われている。
例えば、特許文献3には、高い清浄度が要求されるセラミックス部材の製造方法として、セラミックスの変質による被膜を実質的に形成しない雰囲気下において、1000〜1600℃で加熱処理することにより、付着微細粒子が消失し、加工において生成したマイクロクラックが修復されることが開示されている。
また、特許文献4には、静電チャックの洗浄方法として、酸素の存在する雰囲気において、静電チャックの吸着面に紫外線を照射することにより、該吸着面の付着物を除去する方法が開示されている。
さらにまた、特許文献5には、リン酸塩水溶液を用いて窒化アルミニウム焼結体を洗浄することが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−251365号公報
【特許文献2】
特開平6−163428号公報
【特許文献3】
特開平9−328376号公報
【特許文献4】
特開平10−189699号公報
【特許文献5】
特開平11−310463号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載された方法によっては、部材表面に付着するパーティクルは減少するが、残留した有機物が熱分解し、炭化膜として表面に残留してしまう。
また、特許文献4に記載された方法によっては、油分や炭化膜はある程度除去できるものの、セラミックス表面に存在する気孔内部までは紫外線の効果が及ばず、炭素の残留を完全に除去することは困難であった。しかも、酸洗浄を行わないため、部材を研削加工する際に、加工工具や研削加工液に由来して付着した金属不純物を完全に除去することができないという課題も有していた。
さらに、特許文献5に記載された方法では、パーティクルの原因となる窒化アルミニウム粒子を溶解除去することができ、電子顕微鏡により計測される残留パーティクル数を減少させることはできるが、薬液や研削加工液に由来する金属不純物、研削加工の際に定盤に固定するために用いたワックス等が残留するため、ウエハ加熱用部材として使用する際、該部材と接触するウエハの接触面に曇りが発生してしまう。
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、窒化アルミニウムセラミックス部材について、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせたり、パーティクルを付着させることを抑制し、しかも、窒化アルミニウムセラミックス自体を腐食させることなく、表面を清浄化させることができる窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法、および、この清浄方法により洗浄された、表面が清浄な窒化アルミニウムセラミックス部材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法は、水分含有量10重量%以下の非イオン系界面活性剤を主成分とし、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄と、塩酸を主成分とする酸洗浄液を用いた酸洗浄とを行うことを特徴とする。
これにより、窒化アルミニウムセラミックス自体を腐食させることなく、表面が清浄な部材を得ることができ、半導体製造装置用部材として使用した際、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りが生じたり、パーティクルが付着することを抑制することができる。
【0012】
前記界面活性剤溶液洗浄は、前記洗浄溶液を用いた超音波洗浄により行うことが好ましい。
超音波洗浄により、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができる。
【0013】
また、前記酸洗浄は、塩酸と過酸化水素との混合溶液または濃塩酸を酸洗浄液として用いた超音波洗浄により行うことが好ましい。
このような酸洗浄液を用いて、超音波洗浄を行うことにより、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができる。
【0014】
また、本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材は、上記洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材であって、該部材の表面からの深さが50nm以内の表層部において、X線光電子分光法により検出される不純物は、炭素が15atom%以下、ハロゲン元素が合計0.1atom%以下、焼結助剤成分である金属元素が合計1atom%以下であり、かつ、それ以外に検出される元素は、アルミニウム、窒素、酸素のみであることを特徴とするものである。
該部材を半導体製造装置用部材として用いた場合、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせないようにする観点等から、表面に存在する不純物量を制限したものであり、このような部材は、上記洗浄方法により容易に得られる。
【0015】
前記X線光電子分光法は、分析面積が1.6mm2以上、結合エネルギーが0eV以上1100eV以下の範囲において測定されることが好ましい。
分析信頼度の観点から、X線光電子分光法の測定条件を規定したものである。
【0016】
また、前記窒化アルミニウムセラミックス部材の表面には、電子顕微鏡で、1000倍以上5000倍以下の倍率で、付着パーティクルが観察されないことが好ましい。
該部材表面が高清浄であることを担保するためである。
【0017】
また、本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材は、半導体製造装置用部材であることが好ましく、特に、サセプタ、ヒータまたは静電チャックであることが好ましい。
該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせたり、パーティクルを付着させることが抑制されるため、ウエハと直接接触する部材に好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法は、水分含有量10重量%以下の非イオン系界面活性剤を主成分とし、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄と、塩酸を主成分とする酸洗浄液を用いた酸洗浄とを組み合わせることに特徴を有するものである。
これにより、窒化アルミニウムセラミックス自体を腐食させることなく、部材表面の汚染物質を低減させることができるため、表面が清浄な窒化アルミニウムセラミックス部材を提供することができる。
【0019】
窒化アルミニウムは、酸化されやすい性質を有しており、水と徐々に反応して水酸化アルミニウムを生成する。高温では、さらに、酸化アルミニウムにまで酸化が進行する。このため、洗浄の際、高温水や水蒸気との接触を避ける必要がある。
また、窒化アルミニウムは、硝酸や硫酸等の酸化性を有する酸とも反応するため、これらの酸に接触させた場合にも、酸化が進行し、酸化アルミニウムや水酸化アルミニウム等の副生成物のパーティクルを発生させる。
また、窒化アルミニウムは、通常、その焼結の際、助剤としてイットリア(Y2O3)等の希土類化合物が配合され、焼結体中においては、反応して、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)等の化合物に転換されて存在している。このため、洗浄にフッ酸を用いた場合、このYAG等の粒界液相成分が腐食され、窒化アルミニウム粒子の剥落が生じ、パーティクルを発生させる。
したがって、本発明は、酸洗浄に用いる洗浄溶液を、塩酸を主成分として処方することによって、上記弊害を回避したものである。
【0020】
前記酸洗浄は、塩酸と過酸化水素との混合溶液または濃塩酸を酸洗浄液として用いた超音波洗浄により行うことが、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができるためより好ましい。
【0021】
また、窒化アルミニウムセラミックス部材を研削加工する際、定盤への固定に使用されるワックスが残留し、このワックスがハロゲンのカウンター成分として作用し、表面汚染を引き起こす。
すなわち、完全に除去することができずに残留したワックスが、次の洗浄工程において、塩酸と接触することにより一部化学反応を生じ、C−Cl結合を持った有機塩素化合物に転換する。
【0022】
ワックスの除去(脱脂)には、トリクロロエチレンやケトン類による脱脂洗浄が有効であることは知られているが、近年の環境保全に対する意識が高まっており、環境に対する負荷の低減化の観点から、これらの有機溶媒の大量使用は好ましくない。
また、工業的にしばしば用いられる脱脂手段として、トリエタノールアミン等の有機アミンを含む水溶液に、被処理部材を浸して加熱する方法があるが、上述したとおり、窒化アルミニウムは、加熱時に上記水溶液中の水分と反応してパーティクルを発生する。
【0023】
したがって、本発明に係る洗浄方法は、有害なトリクロロエチレン等を用いず、しかも、水分含有量を極力低減させ、非イオン界面活性剤を主成分として、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄を行うことにより、部材表面に残留する有機化合物を除去するものである。
【0024】
前記洗浄溶液の水分含有量は、10重量%以下とする。
水分含有量が10重量%を超える場合は、超音波洗浄を長時間行うことにより、上述したように、該含有水分による窒化アルミニウムの酸化が進行し、アルミニウム水酸化物やアルミニウム酸化物のパーティクルが発生してしまう。
【0025】
前記界面活性剤溶液洗浄に用いられる洗浄溶液は、BOD5(5日間での生物学的酸素要求量)が1×105mg/l以上、CODMn(過マンガン酸カリウム法による化学的酸素要求量)が2×105mg/l以上であることが好ましい。
このような洗浄溶液が、窒化アルミニウムセラミックス部材の表面に残留する有機化合物を除去するために好適である。
【0026】
前記洗浄溶液に含まれる非イオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、トリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコール系の非イオン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、そのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール部分エステル系の非イオン系界面活性剤、テトロニック、プルロニック型等のエステル・エーテル混合系の非イオン系界面活性剤等が挙げられ、これらのうちの1種または混合して用いることができる。
【0027】
また、前記洗浄溶液に含まれるアルコール類としては、例えば、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられ、これらのうち1種または混合して用いることができる。
【0028】
また、前記洗浄溶液に含まれるアミン類としては、例えば、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン等の各種アミン類が挙げられ、これらのうち1種または混合して用いることができる。
【0029】
上記界面活性剤溶液洗浄は、前記洗浄溶液に浸漬させたり、該洗浄溶液を噴射させたりすることにより行うことができるが、該洗浄溶液中を用いた超音波洗浄により行うことが、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができるため好ましい。
【0030】
上記のような本発明に係る清浄方法の具体的な工程例を、以下に説明する。
まず、所定の窒化アルミニウムセラミックス部材を、BOD5が1×105mg/l以上、CODMnが2×105mg/l以上、水分含有量10重量%以下である非イオン系界面活性剤を主成分とした洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行う。
次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した溶液または濃塩酸を酸洗浄液として、浸漬または超音波洗浄を行う。
そして、この界面活性剤溶液洗浄および酸洗浄を行った部材を、純水によりリンスした後、メタノール等により付着水を置換し、40℃程度で比較的低温で乾燥させる。
【0031】
上記洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材は、該部材の表面からの深さが50nm以内の表層部において、X線光電子分光法(XPS)により検出される不純物のうち、炭素は15atom%以下である。
前記炭素が15atom%を超える場合には、該部材をウエハ等の加熱用ヒータとして用いた場合、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせてしまう。
【0032】
また、XPSにより検出されるF、Cl等のハロゲン元素が、合計0.1atom%以下であることが好ましい。
ハロゲンは、少量であってもシリコンウエハに対して大きな腐食作用を有するため、残留したハロゲン元素が0.1atom%を超える場合、ハロゲンは、窒化アルミニウムセラミックス部材が加熱される際、該部材の表面に残留する有機ハロゲン化合物から徐々に分解蒸発し、接触しているウエハ等を腐食させて、曇りを生じさせる。
【0033】
また、XPSにより検出される上記以外の元素については、通常、窒化アルミニウムセラミックスに、0.1〜7重量%程度添加されるイットリア(Y2O3)等の焼結助剤成分であるY等の希土類やアルカリ土類金属等の金属元素が合計1atom%以下であることが好ましい。また、それ以外に検出される元素は、窒化アルミニウムセラミックスの主成分元素であるAl、N、Oのみであることが好ましい。
焼結助剤成分およびセラミックス主成分は、高温による焼結過程を経て、安定した化合物として、セラミックスを構成する。このため、部材が使用される温度範囲においては、該部材に起因する汚染不純物の熱拡散によって、接触するウエハ等を汚染することはほとんどなく、集積回路の電気特性に影響を及ぼすことはない。
しかしながら、焼結助剤成分の金属元素が1atom%を超えて検出されたり、部材の加工や検査工程等において、他の金属元素が付着し、これらの金属元素がXPSで検出される場合には、ウエハ上に形成される集積回路の電気特性を劣化させるおそれがある。
【0034】
上記XPSによる部材の表面分析は、分析面積1.6mm2以上、測定する結合エネルギーが0eV以上1100eV以下の範囲において測定されることが、分析信頼度の観点から好ましい。
【0035】
また、本発明に係る洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材の表面は、より高清浄であるためには、電子顕微鏡で、1000〜5000倍の倍率で、該表面に付着パーティクルが観察されないことが好ましい。
【0036】
本発明に係る洗浄方法により清浄された窒化アルミニウムセラミックス部材は、一般に、窒化アルミニウムセラミックスにより構成される部材であれば、特に限定されない。例えば、セラミックス基板やヒートシンク等、一般の精密電子機器用部材であってもよいが、半導体製造装置用部材、特に、熱酸化炉、熱拡散炉等の半導体ウエハ熱処理装置用部材、CVDやPVD等の気相薄膜成長装置用部材等であることが好ましい。
その中でも、ウエハと直接接触する部材であり、表面が清浄であることが要求されるサセプタ、ヒータ、静電チャック等に好適である。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
窒化アルミニウムセラミックスを用いて、試料Aとして、シリコンウエハの加熱処理用サセプタ(直径210mm、厚さ4mm)を作製した。試料Aには、ウエハを移載するためのリフトピンが作動できるように、所定の箇所に直径10mmの穴を開けた。
また、前記窒化アルミニウムセラミックスを用いて、試料B(縦10mm×横10mm×厚さ2mm)も作製した。
前記試料AおよびBの加工の際は、融点65℃のパラフィン系ワックスを用いて、炭素定盤にワークを固定し、ダイヤモンド研削工具を用いて形状加工を行った。
【0038】
加工後の試料の洗浄は、下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、BOD5が2×106mg/l、CODMnが6×105mg/l、水分含有量が10重量%である非イオン界面活性剤を主成分とする洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した酸洗浄液に浸漬して、酸洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
【0039】
次に、図1に示したようなCVD装置の真空チャンバ1内のヒータ5上に、サセプタ6として洗浄した試料Aを載せ、その上に直径8インチのシリコンウエハ7を載置して、クランプ8で固定した。
前記ウエハ7は、自動移載機(図示せず)により、自動移載用ゲート弁2から、一定時間のCVD成膜処理後、順次新しいウエハ7と交換されるようにプログラム設定した。
成膜工程においては、ヒータ5によりウエハを650℃に加熱して、真空排気管4により、真空チャンバ1内を400torrに減圧し、反応ガスとしてTEOS(テトラエトキシシラン)とO3を反応ガス導入管3から、真空チャンバ1内に導入して、ウエハ上にシリコン酸化膜を成膜させた。
上記CVD成膜処理を、25枚のウエハについて行い、ウエハ裏面の曇りを目視で観察し、曇りが観察される枚数を評価した。
また、試料Bについて、表面のXPS測定を行った。この測定は、分析面積1.6mm2以上、測定結合エネルギー0〜1100eVの範囲で、12分以上スキャンすることにより行った。
さらに、試料Bの表面を電子顕微鏡で、倍率5000倍で、付着パーティクルの有無を観察した。図2に、この電子顕微鏡写真を示す。
上記ウエハ裏面の曇りが観察されるウエハ枚数の評価、XPS測定による表面原子組成および付着パーティクルの有無の評価結果を表1にまとめて示す。
【0040】
表1に示したように、非イオン系界面活性剤を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄および酸洗浄を行った窒化アルミニウムセラミックス部材を、CVD成膜装置におけるシリコンウエハのサセプタとして用いた場合は、裏面に曇りを生じるウエハは最初の2枚のみであり、CVD成膜工程におけるウエハ裏面の曇りの発生が抑制されることが認められた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、Cは15atom%以下であり、また、焼結助剤成分であるY以外の不純物元素は検出されなかった。
さらに、図2に示した電子顕微鏡写真から、付着パーティクルも存在していないことが確認され、該窒化アルミニウムセラミックス部材は、表面が清浄であることが認められた。
【0041】
[実施例2]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、BOD5が2×106mg/l、CODMnが6×105mg/l、水分含有量10重量%である非イオン界面活性剤を主成分とする洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼次に、濃塩酸に浸漬して、超音波洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
【0042】
表1に示したように、非イオン系界面活性剤を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄および酸洗浄液による超音波洗浄を行った窒化アルミニウムセラミックス部材も、実施例1と同様に、裏面に曇りを生じるウエハは最初の2枚のみであり、CVD成膜工程におけるウエハ裏面の曇りの発生が抑制されることが認められた。
また、部材表面は、XPS測定の結果、Cは15atom%以下であり、また、焼結助剤成分であるY以外の不純物元素は検出されず、かつ、付着パーティクルも存在せず、清浄であることが認められた。
【0043】
[比較例1]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、中性洗剤の5%水溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した酸洗浄液に浸漬して、酸洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
【0044】
表1に示したように、中性洗剤を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄および酸洗浄を行った場合は、CVD成膜工程において、25枚のすべてのウエハ裏面に曇りを生じた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、不純物元素として、C、Clが多量に検出された。
【0045】
[比較例2]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、トリエタノールアミンの5%水溶液を用いて、煮沸洗浄を行った。
▲2▼次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した酸洗浄液に浸漬して、酸洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
また、図3に、洗浄した試料Bの表面の電子顕微鏡写真を示す。
【0046】
表1に示したように、トリエタノールアミン水溶液による洗浄および酸洗浄を行った場合は、CVD成膜工程において、18枚目までのウエハ裏面に曇りを生じた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、不純物元素として、C、Clが多量に検出され、また、図3に示した電子顕微鏡写真から、付着パーティクルが存在することが明瞭に認められる。
【0047】
[比較例3]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、トリオキシアルキレンエーテル、ヘキサノール、ジブチルアミンおよび水からなる非イオン系界面活性剤を主成分とした洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼そして、酸洗浄を行わずに、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
【0048】
表1に示したように、非イオン系界面活性剤洗浄液を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄のみ行い、酸洗浄を行わなかった場合は、CVD成膜工程において、10枚目までのウエハ裏面に曇りを生じた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、不純物元素として、C、Clの他、S、Znも1atom%以上検出され、また、付着パーティクルも生じていた。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法によれば、窒化アルミニウム自体を腐食させることなく、窒化アルミニウムセラミックス部材の表面を高度に清浄化することができる。
したがって、本発明に係る洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材は、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせたり、パーティクルを付着させることが抑制されるため、半導体製造装置用部材、特に、熱酸化炉、熱拡散炉等の半導体ウエハ熱処理装置用部材、CVDやPVD等の気相薄膜成長装置用部材等として好適に用いることができる。
これにより、集積回路製造工程における歩留を向上させ、かつ、金属不純物による集積回路の電気特性の劣化の防止を図ることができ、製品に対する信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において用いたCVD成膜装置の概略断面図である。
【図2】実施例1における洗浄後の窒化アルミニウムセラミックス部材表面の電子顕微鏡写真である。
【図3】比較例2における洗浄後の窒化アルミニウムセラミックス部材表面の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ
2 自動移載用ゲート弁
3 反応ガス導入管
4 真空排気管
5 ヒータ
6 サセプタ(試料A)
7 シリコンウエハ
8 クランプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法および窒化アルミニウムセラミックス部材に関し、より詳細には、半導体ウエハの加熱処理等が行われる半導体製造装置に好適に用いられる窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法および該方法により表面が清浄化された窒化アルミニウムセラミックス部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム(AlN)セラミックスは、アルミニウムと窒素との化合物で、非酸化物系セラミックスの一種であり、熱伝導性、絶縁性に優れ、熱膨張率が小さく、溶融金属やハロゲン等に対する耐食性に優れている等の多くの特性を有するため、従来から、サセプタ、ヒータ、静電チャック等の半導体製造装置用の部材に多く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、クリーニングガスやプロセスガスとして用いられるCF4やNF3、ClF3等のハロゲン系腐食性ガスに対する窒化アルミニウムの優れた耐食性を利用して、窒化アルミニウム焼結体を基材とする耐食性部材が、半導体製造装置において、ハロゲン系腐食性ガスに曝露される環境で使用されることが開示されている。
また、同様の観点から、特許文献2には、300℃以上のハロゲン系腐食性ガスに曝露される環境で使用される耐食性部材として、耐熱性材料からなる基材に、厚さ10μm以上の結晶質窒化アルミニウム膜を被覆した耐食性部材が開示されている。
【0004】
ところで、近年、半導体回路の微細化がますます進み、枚葉式CVD装置におけるウエハの加熱も、従来のタングステン等の金属配線の形成のみに止まらず、銅配線のシード形成や拡散バリア膜の形成、高誘電率を有する薄膜のアニーリング等、新たな回路構成材料の成膜を目的として行われるようになってきた。それに伴い、半導体製造装置において使用される窒化アルミニウムセラミックス部材も、ますます高温環境に曝されるようになってきた。
【0005】
このように、部材の使用温度の高温化が進むにつれて、窒化アルミニウムセラミックス部材には、耐食性のみならず、表面の清浄度が高いことが求められるようになり、特に、ウエハの高温加熱処理に用いられ、ウエハに直接接触する窒化アルミニウムセラミックス部材は、ウエハとの接触面から汚染を生じさせないことが要求される。
すなわち、高温加熱される過程において、窒化アルミニウムセラミックス部材の表面汚染物質が、該部材と接触する被処理ウエハの接触面に曇りを生じさせる場合があり、特に、部材の表面に付着したハロゲン系化合物や炭化水素化合物は、該ウエハの接触面を侵し、後工程の洗浄では除去することができない曇りを発生させることが課題となっていた。
【0006】
このような課題に対しては、従来は、部材を交換した際に、ダミーウエハを工程中に挿入して装置を長時間稼動させ、汚染の原因を除去する方法や、該部材と接触するウエハの接触面に、予めポリシリコン膜等の保護膜を形成しておくことにより、上記汚染の影響を低減させる等の対策が採られていた。
しかしながら、これらの方法は、装置の稼動効率を低下させたり、ウエハの加工コストが高くなるという課題を有するものであった。
【0007】
したがって、このような半導体製造装置において用いられるセラミックス部材であって、表面の清浄度が高いものを得るためには、該部材を洗浄等により表面を清浄化させることが通常行われている。
例えば、特許文献3には、高い清浄度が要求されるセラミックス部材の製造方法として、セラミックスの変質による被膜を実質的に形成しない雰囲気下において、1000〜1600℃で加熱処理することにより、付着微細粒子が消失し、加工において生成したマイクロクラックが修復されることが開示されている。
また、特許文献4には、静電チャックの洗浄方法として、酸素の存在する雰囲気において、静電チャックの吸着面に紫外線を照射することにより、該吸着面の付着物を除去する方法が開示されている。
さらにまた、特許文献5には、リン酸塩水溶液を用いて窒化アルミニウム焼結体を洗浄することが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−251365号公報
【特許文献2】
特開平6−163428号公報
【特許文献3】
特開平9−328376号公報
【特許文献4】
特開平10−189699号公報
【特許文献5】
特開平11−310463号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載された方法によっては、部材表面に付着するパーティクルは減少するが、残留した有機物が熱分解し、炭化膜として表面に残留してしまう。
また、特許文献4に記載された方法によっては、油分や炭化膜はある程度除去できるものの、セラミックス表面に存在する気孔内部までは紫外線の効果が及ばず、炭素の残留を完全に除去することは困難であった。しかも、酸洗浄を行わないため、部材を研削加工する際に、加工工具や研削加工液に由来して付着した金属不純物を完全に除去することができないという課題も有していた。
さらに、特許文献5に記載された方法では、パーティクルの原因となる窒化アルミニウム粒子を溶解除去することができ、電子顕微鏡により計測される残留パーティクル数を減少させることはできるが、薬液や研削加工液に由来する金属不純物、研削加工の際に定盤に固定するために用いたワックス等が残留するため、ウエハ加熱用部材として使用する際、該部材と接触するウエハの接触面に曇りが発生してしまう。
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、窒化アルミニウムセラミックス部材について、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせたり、パーティクルを付着させることを抑制し、しかも、窒化アルミニウムセラミックス自体を腐食させることなく、表面を清浄化させることができる窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法、および、この清浄方法により洗浄された、表面が清浄な窒化アルミニウムセラミックス部材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法は、水分含有量10重量%以下の非イオン系界面活性剤を主成分とし、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄と、塩酸を主成分とする酸洗浄液を用いた酸洗浄とを行うことを特徴とする。
これにより、窒化アルミニウムセラミックス自体を腐食させることなく、表面が清浄な部材を得ることができ、半導体製造装置用部材として使用した際、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りが生じたり、パーティクルが付着することを抑制することができる。
【0012】
前記界面活性剤溶液洗浄は、前記洗浄溶液を用いた超音波洗浄により行うことが好ましい。
超音波洗浄により、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができる。
【0013】
また、前記酸洗浄は、塩酸と過酸化水素との混合溶液または濃塩酸を酸洗浄液として用いた超音波洗浄により行うことが好ましい。
このような酸洗浄液を用いて、超音波洗浄を行うことにより、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができる。
【0014】
また、本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材は、上記洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材であって、該部材の表面からの深さが50nm以内の表層部において、X線光電子分光法により検出される不純物は、炭素が15atom%以下、ハロゲン元素が合計0.1atom%以下、焼結助剤成分である金属元素が合計1atom%以下であり、かつ、それ以外に検出される元素は、アルミニウム、窒素、酸素のみであることを特徴とするものである。
該部材を半導体製造装置用部材として用いた場合、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせないようにする観点等から、表面に存在する不純物量を制限したものであり、このような部材は、上記洗浄方法により容易に得られる。
【0015】
前記X線光電子分光法は、分析面積が1.6mm2以上、結合エネルギーが0eV以上1100eV以下の範囲において測定されることが好ましい。
分析信頼度の観点から、X線光電子分光法の測定条件を規定したものである。
【0016】
また、前記窒化アルミニウムセラミックス部材の表面には、電子顕微鏡で、1000倍以上5000倍以下の倍率で、付着パーティクルが観察されないことが好ましい。
該部材表面が高清浄であることを担保するためである。
【0017】
また、本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材は、半導体製造装置用部材であることが好ましく、特に、サセプタ、ヒータまたは静電チャックであることが好ましい。
該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせたり、パーティクルを付着させることが抑制されるため、ウエハと直接接触する部材に好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法は、水分含有量10重量%以下の非イオン系界面活性剤を主成分とし、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄と、塩酸を主成分とする酸洗浄液を用いた酸洗浄とを組み合わせることに特徴を有するものである。
これにより、窒化アルミニウムセラミックス自体を腐食させることなく、部材表面の汚染物質を低減させることができるため、表面が清浄な窒化アルミニウムセラミックス部材を提供することができる。
【0019】
窒化アルミニウムは、酸化されやすい性質を有しており、水と徐々に反応して水酸化アルミニウムを生成する。高温では、さらに、酸化アルミニウムにまで酸化が進行する。このため、洗浄の際、高温水や水蒸気との接触を避ける必要がある。
また、窒化アルミニウムは、硝酸や硫酸等の酸化性を有する酸とも反応するため、これらの酸に接触させた場合にも、酸化が進行し、酸化アルミニウムや水酸化アルミニウム等の副生成物のパーティクルを発生させる。
また、窒化アルミニウムは、通常、その焼結の際、助剤としてイットリア(Y2O3)等の希土類化合物が配合され、焼結体中においては、反応して、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)等の化合物に転換されて存在している。このため、洗浄にフッ酸を用いた場合、このYAG等の粒界液相成分が腐食され、窒化アルミニウム粒子の剥落が生じ、パーティクルを発生させる。
したがって、本発明は、酸洗浄に用いる洗浄溶液を、塩酸を主成分として処方することによって、上記弊害を回避したものである。
【0020】
前記酸洗浄は、塩酸と過酸化水素との混合溶液または濃塩酸を酸洗浄液として用いた超音波洗浄により行うことが、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができるためより好ましい。
【0021】
また、窒化アルミニウムセラミックス部材を研削加工する際、定盤への固定に使用されるワックスが残留し、このワックスがハロゲンのカウンター成分として作用し、表面汚染を引き起こす。
すなわち、完全に除去することができずに残留したワックスが、次の洗浄工程において、塩酸と接触することにより一部化学反応を生じ、C−Cl結合を持った有機塩素化合物に転換する。
【0022】
ワックスの除去(脱脂)には、トリクロロエチレンやケトン類による脱脂洗浄が有効であることは知られているが、近年の環境保全に対する意識が高まっており、環境に対する負荷の低減化の観点から、これらの有機溶媒の大量使用は好ましくない。
また、工業的にしばしば用いられる脱脂手段として、トリエタノールアミン等の有機アミンを含む水溶液に、被処理部材を浸して加熱する方法があるが、上述したとおり、窒化アルミニウムは、加熱時に上記水溶液中の水分と反応してパーティクルを発生する。
【0023】
したがって、本発明に係る洗浄方法は、有害なトリクロロエチレン等を用いず、しかも、水分含有量を極力低減させ、非イオン界面活性剤を主成分として、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄を行うことにより、部材表面に残留する有機化合物を除去するものである。
【0024】
前記洗浄溶液の水分含有量は、10重量%以下とする。
水分含有量が10重量%を超える場合は、超音波洗浄を長時間行うことにより、上述したように、該含有水分による窒化アルミニウムの酸化が進行し、アルミニウム水酸化物やアルミニウム酸化物のパーティクルが発生してしまう。
【0025】
前記界面活性剤溶液洗浄に用いられる洗浄溶液は、BOD5(5日間での生物学的酸素要求量)が1×105mg/l以上、CODMn(過マンガン酸カリウム法による化学的酸素要求量)が2×105mg/l以上であることが好ましい。
このような洗浄溶液が、窒化アルミニウムセラミックス部材の表面に残留する有機化合物を除去するために好適である。
【0026】
前記洗浄溶液に含まれる非イオン系界面活性剤としては、具体的には、例えば、トリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコール系の非イオン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、そのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール部分エステル系の非イオン系界面活性剤、テトロニック、プルロニック型等のエステル・エーテル混合系の非イオン系界面活性剤等が挙げられ、これらのうちの1種または混合して用いることができる。
【0027】
また、前記洗浄溶液に含まれるアルコール類としては、例えば、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられ、これらのうち1種または混合して用いることができる。
【0028】
また、前記洗浄溶液に含まれるアミン類としては、例えば、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン等の各種アミン類が挙げられ、これらのうち1種または混合して用いることができる。
【0029】
上記界面活性剤溶液洗浄は、前記洗浄溶液に浸漬させたり、該洗浄溶液を噴射させたりすることにより行うことができるが、該洗浄溶液中を用いた超音波洗浄により行うことが、窒化アルミニウムセラミックス部材の細孔内部まで効率よく洗浄することができるため好ましい。
【0030】
上記のような本発明に係る清浄方法の具体的な工程例を、以下に説明する。
まず、所定の窒化アルミニウムセラミックス部材を、BOD5が1×105mg/l以上、CODMnが2×105mg/l以上、水分含有量10重量%以下である非イオン系界面活性剤を主成分とした洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行う。
次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した溶液または濃塩酸を酸洗浄液として、浸漬または超音波洗浄を行う。
そして、この界面活性剤溶液洗浄および酸洗浄を行った部材を、純水によりリンスした後、メタノール等により付着水を置換し、40℃程度で比較的低温で乾燥させる。
【0031】
上記洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材は、該部材の表面からの深さが50nm以内の表層部において、X線光電子分光法(XPS)により検出される不純物のうち、炭素は15atom%以下である。
前記炭素が15atom%を超える場合には、該部材をウエハ等の加熱用ヒータとして用いた場合、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせてしまう。
【0032】
また、XPSにより検出されるF、Cl等のハロゲン元素が、合計0.1atom%以下であることが好ましい。
ハロゲンは、少量であってもシリコンウエハに対して大きな腐食作用を有するため、残留したハロゲン元素が0.1atom%を超える場合、ハロゲンは、窒化アルミニウムセラミックス部材が加熱される際、該部材の表面に残留する有機ハロゲン化合物から徐々に分解蒸発し、接触しているウエハ等を腐食させて、曇りを生じさせる。
【0033】
また、XPSにより検出される上記以外の元素については、通常、窒化アルミニウムセラミックスに、0.1〜7重量%程度添加されるイットリア(Y2O3)等の焼結助剤成分であるY等の希土類やアルカリ土類金属等の金属元素が合計1atom%以下であることが好ましい。また、それ以外に検出される元素は、窒化アルミニウムセラミックスの主成分元素であるAl、N、Oのみであることが好ましい。
焼結助剤成分およびセラミックス主成分は、高温による焼結過程を経て、安定した化合物として、セラミックスを構成する。このため、部材が使用される温度範囲においては、該部材に起因する汚染不純物の熱拡散によって、接触するウエハ等を汚染することはほとんどなく、集積回路の電気特性に影響を及ぼすことはない。
しかしながら、焼結助剤成分の金属元素が1atom%を超えて検出されたり、部材の加工や検査工程等において、他の金属元素が付着し、これらの金属元素がXPSで検出される場合には、ウエハ上に形成される集積回路の電気特性を劣化させるおそれがある。
【0034】
上記XPSによる部材の表面分析は、分析面積1.6mm2以上、測定する結合エネルギーが0eV以上1100eV以下の範囲において測定されることが、分析信頼度の観点から好ましい。
【0035】
また、本発明に係る洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材の表面は、より高清浄であるためには、電子顕微鏡で、1000〜5000倍の倍率で、該表面に付着パーティクルが観察されないことが好ましい。
【0036】
本発明に係る洗浄方法により清浄された窒化アルミニウムセラミックス部材は、一般に、窒化アルミニウムセラミックスにより構成される部材であれば、特に限定されない。例えば、セラミックス基板やヒートシンク等、一般の精密電子機器用部材であってもよいが、半導体製造装置用部材、特に、熱酸化炉、熱拡散炉等の半導体ウエハ熱処理装置用部材、CVDやPVD等の気相薄膜成長装置用部材等であることが好ましい。
その中でも、ウエハと直接接触する部材であり、表面が清浄であることが要求されるサセプタ、ヒータ、静電チャック等に好適である。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
窒化アルミニウムセラミックスを用いて、試料Aとして、シリコンウエハの加熱処理用サセプタ(直径210mm、厚さ4mm)を作製した。試料Aには、ウエハを移載するためのリフトピンが作動できるように、所定の箇所に直径10mmの穴を開けた。
また、前記窒化アルミニウムセラミックスを用いて、試料B(縦10mm×横10mm×厚さ2mm)も作製した。
前記試料AおよびBの加工の際は、融点65℃のパラフィン系ワックスを用いて、炭素定盤にワークを固定し、ダイヤモンド研削工具を用いて形状加工を行った。
【0038】
加工後の試料の洗浄は、下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、BOD5が2×106mg/l、CODMnが6×105mg/l、水分含有量が10重量%である非イオン界面活性剤を主成分とする洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した酸洗浄液に浸漬して、酸洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
【0039】
次に、図1に示したようなCVD装置の真空チャンバ1内のヒータ5上に、サセプタ6として洗浄した試料Aを載せ、その上に直径8インチのシリコンウエハ7を載置して、クランプ8で固定した。
前記ウエハ7は、自動移載機(図示せず)により、自動移載用ゲート弁2から、一定時間のCVD成膜処理後、順次新しいウエハ7と交換されるようにプログラム設定した。
成膜工程においては、ヒータ5によりウエハを650℃に加熱して、真空排気管4により、真空チャンバ1内を400torrに減圧し、反応ガスとしてTEOS(テトラエトキシシラン)とO3を反応ガス導入管3から、真空チャンバ1内に導入して、ウエハ上にシリコン酸化膜を成膜させた。
上記CVD成膜処理を、25枚のウエハについて行い、ウエハ裏面の曇りを目視で観察し、曇りが観察される枚数を評価した。
また、試料Bについて、表面のXPS測定を行った。この測定は、分析面積1.6mm2以上、測定結合エネルギー0〜1100eVの範囲で、12分以上スキャンすることにより行った。
さらに、試料Bの表面を電子顕微鏡で、倍率5000倍で、付着パーティクルの有無を観察した。図2に、この電子顕微鏡写真を示す。
上記ウエハ裏面の曇りが観察されるウエハ枚数の評価、XPS測定による表面原子組成および付着パーティクルの有無の評価結果を表1にまとめて示す。
【0040】
表1に示したように、非イオン系界面活性剤を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄および酸洗浄を行った窒化アルミニウムセラミックス部材を、CVD成膜装置におけるシリコンウエハのサセプタとして用いた場合は、裏面に曇りを生じるウエハは最初の2枚のみであり、CVD成膜工程におけるウエハ裏面の曇りの発生が抑制されることが認められた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、Cは15atom%以下であり、また、焼結助剤成分であるY以外の不純物元素は検出されなかった。
さらに、図2に示した電子顕微鏡写真から、付着パーティクルも存在していないことが確認され、該窒化アルミニウムセラミックス部材は、表面が清浄であることが認められた。
【0041】
[実施例2]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、BOD5が2×106mg/l、CODMnが6×105mg/l、水分含有量10重量%である非イオン界面活性剤を主成分とする洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼次に、濃塩酸に浸漬して、超音波洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
【0042】
表1に示したように、非イオン系界面活性剤を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄および酸洗浄液による超音波洗浄を行った窒化アルミニウムセラミックス部材も、実施例1と同様に、裏面に曇りを生じるウエハは最初の2枚のみであり、CVD成膜工程におけるウエハ裏面の曇りの発生が抑制されることが認められた。
また、部材表面は、XPS測定の結果、Cは15atom%以下であり、また、焼結助剤成分であるY以外の不純物元素は検出されず、かつ、付着パーティクルも存在せず、清浄であることが認められた。
【0043】
[比較例1]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、中性洗剤の5%水溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した酸洗浄液に浸漬して、酸洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
【0044】
表1に示したように、中性洗剤を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄および酸洗浄を行った場合は、CVD成膜工程において、25枚のすべてのウエハ裏面に曇りを生じた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、不純物元素として、C、Clが多量に検出された。
【0045】
[比較例2]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、トリエタノールアミンの5%水溶液を用いて、煮沸洗浄を行った。
▲2▼次に、塩酸と過酸化水素水とを2:1(容量比)に配合した酸洗浄液に浸漬して、酸洗浄を行った。
▲3▼そして、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
また、図3に、洗浄した試料Bの表面の電子顕微鏡写真を示す。
【0046】
表1に示したように、トリエタノールアミン水溶液による洗浄および酸洗浄を行った場合は、CVD成膜工程において、18枚目までのウエハ裏面に曇りを生じた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、不純物元素として、C、Clが多量に検出され、また、図3に示した電子顕微鏡写真から、付着パーティクルが存在することが明瞭に認められる。
【0047】
[比較例3]
実施例1と同様に、2種類の試料AおよびBを作製し、試料の洗浄を下記▲1▼〜▲3▼の工程により行った。
▲1▼まず、トリオキシアルキレンエーテル、ヘキサノール、ジブチルアミンおよび水からなる非イオン系界面活性剤を主成分とした洗浄溶液を用いて、超音波洗浄を行った。
▲2▼そして、酸洗浄を行わずに、純水によりリンスした後、メタノールにより付着水を置換し、40℃で乾燥した。
次に、洗浄した試料Aについて、実施例1と同様にして、CVD成膜工程を行い、ウエハの裏面の曇りを観察した。
また、洗浄した試料Bについても、実施例1と同様にして、XPS測定および付着パーティクルの有無の評価を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
【0048】
表1に示したように、非イオン系界面活性剤洗浄液を主成分とする界面活性剤洗浄液による洗浄のみ行い、酸洗浄を行わなかった場合は、CVD成膜工程において、10枚目までのウエハ裏面に曇りを生じた。
また、部材表面には、XPS測定の結果、不純物元素として、C、Clの他、S、Znも1atom%以上検出され、また、付着パーティクルも生じていた。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法によれば、窒化アルミニウム自体を腐食させることなく、窒化アルミニウムセラミックス部材の表面を高度に清浄化することができる。
したがって、本発明に係る洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材は、該部材と接触するウエハ等の接触面に曇りを生じさせたり、パーティクルを付着させることが抑制されるため、半導体製造装置用部材、特に、熱酸化炉、熱拡散炉等の半導体ウエハ熱処理装置用部材、CVDやPVD等の気相薄膜成長装置用部材等として好適に用いることができる。
これにより、集積回路製造工程における歩留を向上させ、かつ、金属不純物による集積回路の電気特性の劣化の防止を図ることができ、製品に対する信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において用いたCVD成膜装置の概略断面図である。
【図2】実施例1における洗浄後の窒化アルミニウムセラミックス部材表面の電子顕微鏡写真である。
【図3】比較例2における洗浄後の窒化アルミニウムセラミックス部材表面の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ
2 自動移載用ゲート弁
3 反応ガス導入管
4 真空排気管
5 ヒータ
6 サセプタ(試料A)
7 シリコンウエハ
8 クランプ
Claims (8)
- 水分含有量10重量%以下の非イオン系界面活性剤を主成分とし、これにアルコール類およびアミン類を配合した洗浄溶液を用いた界面活性剤溶液洗浄と、塩酸を主成分とする酸洗浄液を用いた酸洗浄とを行うことを特徴とする窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法。
- 前記界面活性剤溶液洗浄は、前記洗浄溶液を用いた超音波洗浄により行うことを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法。
- 前記酸洗浄は、塩酸と過酸化水素との混合溶液または濃塩酸を酸洗浄液として用いた超音波洗浄により行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の窒化アルミニウムセラミックス部材の洗浄方法。
- 前記請求項1から請求項3までのいずれかに記載の洗浄方法により洗浄された窒化アルミニウムセラミックス部材であって、
該部材の表面からの深さが50nm以内の表層部において、X線光電子分光法により検出される不純物は、炭素が15atom%以下、ハロゲン元素が合計0.1atom%以下、焼結助剤成分である金属元素が合計1atom%以下であり、かつ、それ以外に検出される元素は、アルミニウム、窒素、酸素のみであることを特徴とする窒化アルミニウムセラミックス部材。 - 前記X線光電子分光法は、分析面積が1.6mm2以上、結合エネルギーが0eV以上1100eV以下の範囲において測定されることを特徴とする請求項4記載の窒化アルミニウムセラミックス部材。
- 前記窒化アルミニウムセラミックス部材の表面には、電子顕微鏡で、1000倍以上5000倍以下の倍率で、付着パーティクルが観察されないことを特徴とする請求項4または請求項5記載の窒化アルミニウムセラミックス部材。
- 前記窒化アルミニウムセラミックス部材は、半導体製造装置用部材であることを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれかに記載の窒化アルミニウムセラミックス部材。
- 前記半導体製造装置用部材は、サセプタ、ヒータまたは静電チャックであることを特徴とする請求項7記載の窒化アルミニウムセラミックス部材。
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- 2003-03-17 JP JP2003071564A patent/JP2004277227A/ja active Pending
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