JP2004277150A - エレベータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適化させ、乗客に不快感を与えないようにする。
【解決手段】乗りかご2内に設けられた呼び入力装置、各ホールに設けられた各呼び入力装置、昇降路内の各部に配置された各センサなどの出力に基づき、巻上機などを制御させて、乗りかご2を運転させながら、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などに基づき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量を調整させて、乗りかご2内の気圧を最適な状態に保持させる。
【選択図】 図1
【解決手段】乗りかご2内に設けられた呼び入力装置、各ホールに設けられた各呼び入力装置、昇降路内の各部に配置された各センサなどの出力に基づき、巻上機などを制御させて、乗りかご2を運転させながら、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などに基づき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量を調整させて、乗りかご2内の気圧を最適な状態に保持させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗りかごの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適な状態にさせるエレベータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータシステムの超々高速、高階床化に伴い、乗りかご内における気圧の変化が無視できなくなり、乗りかごに乗っている乗客に耳つんなどの不快感を与え、乗り心地を悪化させることが多くなっている。
【0003】
特に、今後、期待される、速度1000m/分、昇降行程400m級の超々高速エレベータシステムでは、従来と違い、気圧制御などの新しい技術が必要になるものと思われる。
【0004】
そこで、このような問題を解決する方法として、乗りかごの昇降速度、昇降行程の高さなどによる気圧の変化に伴い、乗りかご内の気圧を自動的に制御させて、乗り心地を常時、一定に保ち、乗客に不快感を与えないようにする方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エレベータシステムの超々高速、高階床化に伴い、乗りかご内の気圧変化が大きくなり、エレベータの乗り心地に大きな影響を与えるようになってきていることから、乗りかご内の気圧を制御する装置を設けて、影響を軽減させる方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、このような気圧制御方法では、エレベータの運転状態(通常走行、保護動作後の救出運転、管制運転など)と、気圧制御装置の運転状態(制御、機器異常など)との関係を何ら、提案していないことから、どのようにしたら乗客に不快感を与えないようにすることができるか分からないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑み、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにすることができるエレベータシステムを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、前記乗りかご内の気圧を制御する複数の制御モードを持ち、前記乗りかごの運転状態に応じて、各制御モードのいずれかを選択する気圧制御切替部と、この気圧制御切替部の選択内容に基づき、ブロアを制御して、前記乗りかご内の気圧を制御するブロア制御部とを備えたことを特徴としている。
【0009】
これにより、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにする。
【0010】
また、請求項2では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記乗りかごに取り付けられた乗りかご内気圧センサによって、前記乗りかご内の気圧を測定させ、この測定結果に基づき、前記乗りかご内の気圧が異常になっているとき、これを検知して、前記乗りかごの速度を定格速度以下にさせる気圧制御状態監視部を備えたことを特徴としている。
【0011】
これにより、乗りかご内の気圧が異常になったとき、乗りかごの速度を定格速度以下にさせて、乗りかご内の気圧変化を小さくさせ、乗客に不快感を与えないようにする。
【0012】
また、請求項3では、請求項1、2のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記乗りかごが最上階付近と最下階付近との間を直通運転されているとき、制御モードとして、気圧制御モードを選択し、前記ブロア制御部は、前記気圧制御切替部で気圧制御モードが選択されているとき、ブロアの風量を制御し、前記乗りかご内の気圧を滑らかに変化させることを特徴としている。
【0013】
これにより、エレベータを超々高速化、高行程化させて、最上階付近と最下階付近との間で、乗りかごを直通運転させているとき、乗りかご内の気圧変化をなだらかにさせて、乗客に不快感を与えないようにする。
【0014】
また、請求項4では、請求項1、2、3のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記乗りかごの行程が短いとき、あるいは前記乗りかごが救出運転または管理運転されているとき、制御モードとして、換気制御モードを選択し、前記ブロア制御部は、前記気圧制御切替部で換気制御モードが選択されているとき、ブロアを制御し、前記乗りかご内の換気を行うことを特徴としている。
【0015】
これにより、エレベータを超々高速化、高行程化させているときでも、乗りかごの行程が短いとき、乗りかご内の気圧を一定に保持させて、乗客に不快感を与えないようにする。
【0016】
また、請求項5では、請求項1乃至4のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記気圧制御状態監視部によって、気圧制御機器の故障に起因する乗りかご内の気圧異常が検出されているとき、制御モードとして、ブロアによる直接換気制御モードを選択し、電源電圧をブロアに直接、供給させて、前記乗りかご内の換気を行わせることを特徴としている。
【0017】
これにより、気圧制御機器の故障に起因して、乗りかご内の気圧が異常になったとき、ブロアに直接、電源電圧を供給させて、乗りかご内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにする。
【0018】
さらに、請求項6では、請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記気圧制御状態監視部によって、気圧制御機器の故障に起因する乗りかご内の気圧異常が検出されているとき、制御モードとして、ブロアによる直接換気制御モードを選択し、電源電圧を各ブロアのいずれか1つ以上に直接、供給させて、前記乗りかご内の換気を行わせることを特徴としている。
【0019】
これにより、各ブロアのいずれかが故障している状態で、気圧制御機器の故障に起因し、乗りかご内の気圧が異常になったとき、正常に動作するブロアに直接、電源電圧を供給させて、乗りかご内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにする。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明によるエレベータシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【0021】
この図に示すエレベータシステム1は、建物内の昇降路内に昇降自在に配置される乗りかご2と、乗りかご2に設けられ、乗りかご2内の気圧を検出して気圧検出信号を出力する乗りかご内気圧センサ3と、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置、各ホールに設けられた各呼び入力装置、昇降路内の各部に配置された各センサなどの出力に基づき、巻上機などを制御して、乗りかご2の運転を制御するエレベータ制御装置4と、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号などに基づき、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などに応じた電圧値、周波数を持つ吸気用駆動電圧、排気用駆動電圧、吸気用コンタクト指示信号、排気用コンタクト指示信号などを生成する気圧制御装置5と、この気圧制御装置5から吸気用コンタクト指示信号が出力されているとき、商用電源電圧を通過させる吸気用コンタクタ6と、気圧制御装置5から排気用コンタクト指示信号が出力されているとき、商用電源電圧を通過させる排気用コンタクタ7とを備えている。
【0022】
さらに、エレベータシステム1は、気圧制御装置5から吸気用駆動電圧が出力されているとき、または吸気用コンタクタ6を介して商用電源電圧が供給されているとき、吸気用駆動電圧または商用電源電圧に応じた速度でモータを回転させて負圧または正圧を発生し、ダクト8によって連通させられた乗りかご2内の気圧を高くさせる吸気用ブロア9と、気圧制御装置5から排気用駆動電圧が出力されているとき、または排気用コンタクタ7を介して商用電源電圧が供給されているとき、排気用駆動電圧または商用電源電圧に応じた速度でモータを回転させて負圧または正圧を発生し、ダクト10によって連通させられた乗りかご2内の気圧を低くさせる排気用ブロア11とを備えている。
【0023】
気圧制御装置5は、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号などに基づき、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などを監視し、乗りかご2内の気圧が異常になっているとき、エレベータ制御装置4に定格速度指示などを出す気圧制御状態監視部12と、気圧制御状態監視部12の監視結果に基づき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量を制御して、図3に示す如く乗りかご2を超々高速、高行程で運転させるときに生じる気圧変化(実曲線)に対し、乗りかご2内の気圧変化を最適な状態(点線直線)にさせる気圧制御運転モード、乗りかご2の運転が異常になったとき、あるいは予め設定されている走行条件が満たされないとき、図4に示す如く風量制御を行わずに、一定の風量A、Bにて吸排気運転を行い、乗りかご2内の空気を換気させる換気運転モード、何らかの原因によって、吸気用ブロア9、または排気用ブロア11の風量を制御できなくなったとき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11を直接、運転させる、ブロアによる直接換気運転モードのいずれかを選択する気圧制御切替部13とを備えている。
【0024】
さらに、気圧制御装置5は、気圧制御切替部13によって気圧制御運転モード、または換気運転モードが選択されているとき、これら気圧制御運転モード、換気運転モードに応じた吸気用電圧値指示信号、吸気用周波数指示信号、排気用電圧値指示信号、排気用周波数指示信号などを生成するブロア制御部14と、ブロア制御部14から出力される吸気用電圧値指示信号、吸気用周波数指示信号、排気用電圧値指示信号、排気用周波数指示信号などに応じた電圧値、周波数を持つ吸気用駆動電圧、排気用駆動電圧を生成して、吸気用ブロア9、排気用ブロア11を駆動するインバータ部15と、気圧制御切替部13によって、ブロアによる直接換気運転モードが選択されいるとき、吸気用コンタクト指示信号、排気用コンタクト指示信号を生成して、吸気用コンタクタ9、排気用コンタクタ11を閉状態にさせ、吸気用ブロア9、排気用ブロア11を直接、運転させるブロア直接制御部16とを備えている。
【0025】
次に、図2に示すフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1の動作を説明する。
【0026】
まず、エレベータシステム1によって、乗りかご2の運転が開始されると、気圧制御装置5によって、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が運転されて、乗りかご2内が換気されるとともに(ステップS1、S2)、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号の内容、異常検出装置(図示は省略する)の検出内容などに基づき、乗りかご2が正常に運転されているかどうかがチェックされ、乗りかご2が正常に運転されているとき(ステップS3)、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号の内容がチェックされる(ステップS4)。
【0027】
そして、乗りかご2内の気圧状態が正常であるとき(ステップS4)、気圧制御装置5によって、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号に基づき、乗りかご2の運転モードがチェックされ、超々高速、高階床にされたエレベータシステム1において、最下階付近と最上階付近とをノンストップで運転を行う運転モード(例えば、シャトル運転モード)などのように、ロングランモードで運転されているとき(ステップS5)、気圧制御運転モードが選択されて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量が調整され、乗りかご2の昇降に伴い、図3の実線に示す如く乗りかご2周辺部分の気圧が変化しても、点線に示す如く乗りかご2が目的階に到達したときの乗りかご内気圧と、目的階の外気圧とが一致するように、かつ乗りかご2内の気圧がなだらかに変化するように、乗りかご2内の気圧が調整される(ステップS6)。
【0028】
この後、乗りかご2が目的階に到着すると(ステップS7)、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号の内容に基づき、気圧制御装置5によって、これが検知されて、気圧制御運転モードが停止させられる(ステップS8)。
【0029】
また、乗りかご2の行程がチェックされた時点で、予め設定されている行程より短いとき、例えば行き先階までの数階が所定階数以下であるとき、あるいは行き先階までの移動距離が数十m以下であるとき(ステップS5)、乗りかご2が走行しても、目的階に到達したときの乗りかご内気圧と、目的階の外気圧との差が小さいことから、気圧制御装置5によって、換気運転モードが選択されて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が駆動され、乗りかご2内の換気が行われる(ステップS9)。
【0030】
以下、乗りかご2の運転が行われる毎に、上述した乗りかご2の行程チェックが行われて、このチェック結果に基づき、気圧制御運転モードまたは換気運転モードのいずれかが選択され、乗りかご2内の気圧調整、または換気が行われる(ステップS1〜S9)。
【0031】
そして、このような乗りかご2内の気圧調整、または換気を行っているとき、乗りかご2内の気圧が異常になり、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号が異常な値になると(ステップS4)、気圧制御装置5の気圧制御状態監視部12によって、定格速度指示が生成されて、エレベータ制御装置4に供給され、乗りかご2の速度が定格速度以下まで下げられ、乗りかご2内の気圧変化が小さくされた状態で、乗りかご2の運転が継続される(ステップS10)。
【0032】
また、この動作と並行し、気圧制御装置5の気圧制御状態監視部12によって、気圧制御異常の原因がチェックされ、乗りかご内気圧センサ3の異常、インバータ部15の異常、マイコン暴走などに起因する気圧制御異常など、乗りかご2内の気圧制御を継続することが難しい故障が原因であるとき(ステップS11)、気圧制御切替部13によって、気圧制御停止指示が生成されて、ブロア制御部14、インバータ部15が停止状態にされ、気圧制御が停止させられる(ステップS12)。
【0033】
またこの際、気圧制御異常の原因がインバータ部15など、吸気用ブロア9、排気用ブロア11以外の機器故障が原因であれば(ステップS13)、気圧制御切替部13によって、ブロアによる直接換気運転モードが選択されて、気圧制御装置5のブロア直接制御部16から吸気用コンタクト指示信号、排気用コンタクト指示信号が出力され、吸気用コンタクタ9、排気用コンタクタ11が閉状態にされる。
【0034】
これにより、吸気用コンタクタ9、排気用コンタクタ11を介して、商用電源電圧が吸気用ブロア9、排気用ブロア11に供給されて、乗りかご2の換気が行われる(ステップS14)。
【0035】
また、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が両方とも破損して、乗りかご2内の換気を行うことができなければ(ステップS13)、気圧制御切替部13によって、気圧制御停止指示が生成されて、ブロア直接制御部16が停止状態にされ、気圧制御、換気運転が停止させられる(ステップS15)。
【0036】
また、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号の内容、異常検出装置(図示は省略する)の検出内容などに基づき、乗りかご2が正常に運転されているかどうかがチェックされたとき、巻上機などが故障して、乗りかご2を通常の速度で走行させることができなくなり、救出運転または管理運転が行われていれば(ステップS3)、気圧制御切替部13によって、換気運転モードが選択されて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が駆動され、乗りかご2内の換気が行われる(ステップS16)。
【0037】
そして、乗りかご2が最寄り階など、目的階に到着した後(ステップS17)、エレベータ制御装置4、異常検出装置によって、乗りかご2の運転が継続可能かどうかがチェックされ、乗りかご2を継続して運転させることができると判断されたとき、エレベータ制御装置4によって、乗りかご2の運転が再開される(ステップS18)。
【0038】
このように、この実施形態では、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置、各ホールに設けられた各呼び入力装置、昇降路内の各部に配置された各センサなどの出力に基づき、巻上機などを制御させて、乗りかご2を運転させながら、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などに基づき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量を調整させて、乗りかご2内の気圧を最適な状態に保持させるようにしているので、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご2内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0039】
また、この実施形態では、乗りかご内気圧センサ3によって、乗りかご2内の気圧を検出させ、乗りかご2内の気圧が異常になったとき、気圧制御装置5の気圧制御状態監視部12によって、これを検知させて、エレベータ制御装置4に定格速度指示を出させ、乗りかご2の速度を定格速度以下に下げさせるようにしているので、乗りかご2内の気圧が異常になったとき、乗りかご2の速度を定格速度以下にさせて、乗りかご2内の気圧変化を小さくさせ、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0040】
また、この実施形態では、乗りかご2が最下階付近と最上階付近との間をノンストップで運転される運転モード(例えば、シャトル運転モード)などのように、ロングランモードで運転されているとき、気圧制御装置5の気圧制御切替部13によって、気圧制御運転モードを選択させて、乗りかご2の昇降に伴い、乗りかご2周辺部分の気圧が変化しても、乗りかご2内の気圧がなだらかに変化するように、乗りかご2内の気圧を調整させるようにしているので、超々高速化、高行程化されたエレベータの乗りかご2がシャトル運転モードで運転されても、乗客に耳つん感などを与えないようにさせて、不快感を与えないようにすることができる。
【0041】
また、この実施形態では、乗りかご2の行程が短いとき、あるいは乗りかご2が救出運転または管理運転されているとき、気圧制御装置5の気圧制御切替部13によって、換気運転モードを選択させて、乗りかご2内を換気させるようにしているので、エレベータを超々高速化、高行程化させているときでも、乗りかご2の行程が短いとき、あるいは一定速度以下の速度で運転されているとき、乗りかご2内の気圧を一定に保持させて、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0042】
また、この実施形態では、乗りかご内気圧センサ3の異常、インバータ部15の異常、マイコン暴走などに起因する気圧制御異常など、乗りかご2内の気圧制御を継続することが難しい故障が原因で、乗りかご2内の気圧が異常になったとき、気圧制御装置5の気圧制御切替部13によって、ブロアによる直接換気運転モードを選択させて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11に商用電源電圧を直接、供給させて、乗りかご2内を換気させるようにしているので、乗りかご内気圧センサ3、ブロア制御部14、インバータ部15など、乗りかご2内の気圧を制御する気圧制御機器の故障に起因して、乗りかご2内の気圧を調整することができなくなっても、吸気用ブロア9、排気用ブロア11に直接、電源電圧を供給させて、乗りかご2内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0043】
また、上述した実施形態では、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の両方をインバータ制御、あるいは商用電源電圧を直接、供給させる直接、制御させるようにしているが、これら吸気用ブロア9、排気用ブロア11のいずれか一方、例えば排気用ブロア11のみが破損している場合には、吸気用ブロア9を吸気用、排気用として交互に使用させ、乗りかご2内の換気を行わせるようにしても良い。
【0044】
これにより、吸気用ブロア9、排気用ブロア11のいずれか一方が故障している状態で、気圧制御機器の故障に起因し、乗りかご2内の気圧が異常になっていても、正常に動作するブロアに直接、電源電圧を供給させて、乗りかご2内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエレベータシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すエレベータシステムの気圧制御運転モード例を示す模式図である。
【図4】図1に示すエレベータシステムの換気運転モード例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:エレベータシステム
2:乗りかご
3:乗りかご内気圧センサ
4:エレベータ制御装置
5:気圧制御装置
6:吸気用コンタクタ
7:排気用コンタクタ
8:ダクト
9:吸気用ブロア
10:ダクト
11:排気用ブロア
12:気圧制御状態監視部
13:気圧制御切替部
14:ブロア制御部
15:インバータ部
16:ブロア直接制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗りかごの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適な状態にさせるエレベータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータシステムの超々高速、高階床化に伴い、乗りかご内における気圧の変化が無視できなくなり、乗りかごに乗っている乗客に耳つんなどの不快感を与え、乗り心地を悪化させることが多くなっている。
【0003】
特に、今後、期待される、速度1000m/分、昇降行程400m級の超々高速エレベータシステムでは、従来と違い、気圧制御などの新しい技術が必要になるものと思われる。
【0004】
そこで、このような問題を解決する方法として、乗りかごの昇降速度、昇降行程の高さなどによる気圧の変化に伴い、乗りかご内の気圧を自動的に制御させて、乗り心地を常時、一定に保ち、乗客に不快感を与えないようにする方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エレベータシステムの超々高速、高階床化に伴い、乗りかご内の気圧変化が大きくなり、エレベータの乗り心地に大きな影響を与えるようになってきていることから、乗りかご内の気圧を制御する装置を設けて、影響を軽減させる方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、このような気圧制御方法では、エレベータの運転状態(通常走行、保護動作後の救出運転、管制運転など)と、気圧制御装置の運転状態(制御、機器異常など)との関係を何ら、提案していないことから、どのようにしたら乗客に不快感を与えないようにすることができるか分からないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑み、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにすることができるエレベータシステムを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、前記乗りかご内の気圧を制御する複数の制御モードを持ち、前記乗りかごの運転状態に応じて、各制御モードのいずれかを選択する気圧制御切替部と、この気圧制御切替部の選択内容に基づき、ブロアを制御して、前記乗りかご内の気圧を制御するブロア制御部とを備えたことを特徴としている。
【0009】
これにより、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにする。
【0010】
また、請求項2では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記乗りかごに取り付けられた乗りかご内気圧センサによって、前記乗りかご内の気圧を測定させ、この測定結果に基づき、前記乗りかご内の気圧が異常になっているとき、これを検知して、前記乗りかごの速度を定格速度以下にさせる気圧制御状態監視部を備えたことを特徴としている。
【0011】
これにより、乗りかご内の気圧が異常になったとき、乗りかごの速度を定格速度以下にさせて、乗りかご内の気圧変化を小さくさせ、乗客に不快感を与えないようにする。
【0012】
また、請求項3では、請求項1、2のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記乗りかごが最上階付近と最下階付近との間を直通運転されているとき、制御モードとして、気圧制御モードを選択し、前記ブロア制御部は、前記気圧制御切替部で気圧制御モードが選択されているとき、ブロアの風量を制御し、前記乗りかご内の気圧を滑らかに変化させることを特徴としている。
【0013】
これにより、エレベータを超々高速化、高行程化させて、最上階付近と最下階付近との間で、乗りかごを直通運転させているとき、乗りかご内の気圧変化をなだらかにさせて、乗客に不快感を与えないようにする。
【0014】
また、請求項4では、請求項1、2、3のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記乗りかごの行程が短いとき、あるいは前記乗りかごが救出運転または管理運転されているとき、制御モードとして、換気制御モードを選択し、前記ブロア制御部は、前記気圧制御切替部で換気制御モードが選択されているとき、ブロアを制御し、前記乗りかご内の換気を行うことを特徴としている。
【0015】
これにより、エレベータを超々高速化、高行程化させているときでも、乗りかごの行程が短いとき、乗りかご内の気圧を一定に保持させて、乗客に不快感を与えないようにする。
【0016】
また、請求項5では、請求項1乃至4のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記気圧制御状態監視部によって、気圧制御機器の故障に起因する乗りかご内の気圧異常が検出されているとき、制御モードとして、ブロアによる直接換気制御モードを選択し、電源電圧をブロアに直接、供給させて、前記乗りかご内の換気を行わせることを特徴としている。
【0017】
これにより、気圧制御機器の故障に起因して、乗りかご内の気圧が異常になったとき、ブロアに直接、電源電圧を供給させて、乗りかご内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにする。
【0018】
さらに、請求項6では、請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、前記気圧制御切替部は、前記気圧制御状態監視部によって、気圧制御機器の故障に起因する乗りかご内の気圧異常が検出されているとき、制御モードとして、ブロアによる直接換気制御モードを選択し、電源電圧を各ブロアのいずれか1つ以上に直接、供給させて、前記乗りかご内の換気を行わせることを特徴としている。
【0019】
これにより、各ブロアのいずれかが故障している状態で、気圧制御機器の故障に起因し、乗りかご内の気圧が異常になったとき、正常に動作するブロアに直接、電源電圧を供給させて、乗りかご内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにする。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明によるエレベータシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【0021】
この図に示すエレベータシステム1は、建物内の昇降路内に昇降自在に配置される乗りかご2と、乗りかご2に設けられ、乗りかご2内の気圧を検出して気圧検出信号を出力する乗りかご内気圧センサ3と、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置、各ホールに設けられた各呼び入力装置、昇降路内の各部に配置された各センサなどの出力に基づき、巻上機などを制御して、乗りかご2の運転を制御するエレベータ制御装置4と、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号などに基づき、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などに応じた電圧値、周波数を持つ吸気用駆動電圧、排気用駆動電圧、吸気用コンタクト指示信号、排気用コンタクト指示信号などを生成する気圧制御装置5と、この気圧制御装置5から吸気用コンタクト指示信号が出力されているとき、商用電源電圧を通過させる吸気用コンタクタ6と、気圧制御装置5から排気用コンタクト指示信号が出力されているとき、商用電源電圧を通過させる排気用コンタクタ7とを備えている。
【0022】
さらに、エレベータシステム1は、気圧制御装置5から吸気用駆動電圧が出力されているとき、または吸気用コンタクタ6を介して商用電源電圧が供給されているとき、吸気用駆動電圧または商用電源電圧に応じた速度でモータを回転させて負圧または正圧を発生し、ダクト8によって連通させられた乗りかご2内の気圧を高くさせる吸気用ブロア9と、気圧制御装置5から排気用駆動電圧が出力されているとき、または排気用コンタクタ7を介して商用電源電圧が供給されているとき、排気用駆動電圧または商用電源電圧に応じた速度でモータを回転させて負圧または正圧を発生し、ダクト10によって連通させられた乗りかご2内の気圧を低くさせる排気用ブロア11とを備えている。
【0023】
気圧制御装置5は、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号などに基づき、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などを監視し、乗りかご2内の気圧が異常になっているとき、エレベータ制御装置4に定格速度指示などを出す気圧制御状態監視部12と、気圧制御状態監視部12の監視結果に基づき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量を制御して、図3に示す如く乗りかご2を超々高速、高行程で運転させるときに生じる気圧変化(実曲線)に対し、乗りかご2内の気圧変化を最適な状態(点線直線)にさせる気圧制御運転モード、乗りかご2の運転が異常になったとき、あるいは予め設定されている走行条件が満たされないとき、図4に示す如く風量制御を行わずに、一定の風量A、Bにて吸排気運転を行い、乗りかご2内の空気を換気させる換気運転モード、何らかの原因によって、吸気用ブロア9、または排気用ブロア11の風量を制御できなくなったとき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11を直接、運転させる、ブロアによる直接換気運転モードのいずれかを選択する気圧制御切替部13とを備えている。
【0024】
さらに、気圧制御装置5は、気圧制御切替部13によって気圧制御運転モード、または換気運転モードが選択されているとき、これら気圧制御運転モード、換気運転モードに応じた吸気用電圧値指示信号、吸気用周波数指示信号、排気用電圧値指示信号、排気用周波数指示信号などを生成するブロア制御部14と、ブロア制御部14から出力される吸気用電圧値指示信号、吸気用周波数指示信号、排気用電圧値指示信号、排気用周波数指示信号などに応じた電圧値、周波数を持つ吸気用駆動電圧、排気用駆動電圧を生成して、吸気用ブロア9、排気用ブロア11を駆動するインバータ部15と、気圧制御切替部13によって、ブロアによる直接換気運転モードが選択されいるとき、吸気用コンタクト指示信号、排気用コンタクト指示信号を生成して、吸気用コンタクタ9、排気用コンタクタ11を閉状態にさせ、吸気用ブロア9、排気用ブロア11を直接、運転させるブロア直接制御部16とを備えている。
【0025】
次に、図2に示すフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1の動作を説明する。
【0026】
まず、エレベータシステム1によって、乗りかご2の運転が開始されると、気圧制御装置5によって、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が運転されて、乗りかご2内が換気されるとともに(ステップS1、S2)、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号の内容、異常検出装置(図示は省略する)の検出内容などに基づき、乗りかご2が正常に運転されているかどうかがチェックされ、乗りかご2が正常に運転されているとき(ステップS3)、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号の内容がチェックされる(ステップS4)。
【0027】
そして、乗りかご2内の気圧状態が正常であるとき(ステップS4)、気圧制御装置5によって、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号に基づき、乗りかご2の運転モードがチェックされ、超々高速、高階床にされたエレベータシステム1において、最下階付近と最上階付近とをノンストップで運転を行う運転モード(例えば、シャトル運転モード)などのように、ロングランモードで運転されているとき(ステップS5)、気圧制御運転モードが選択されて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量が調整され、乗りかご2の昇降に伴い、図3の実線に示す如く乗りかご2周辺部分の気圧が変化しても、点線に示す如く乗りかご2が目的階に到達したときの乗りかご内気圧と、目的階の外気圧とが一致するように、かつ乗りかご2内の気圧がなだらかに変化するように、乗りかご2内の気圧が調整される(ステップS6)。
【0028】
この後、乗りかご2が目的階に到着すると(ステップS7)、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号の内容に基づき、気圧制御装置5によって、これが検知されて、気圧制御運転モードが停止させられる(ステップS8)。
【0029】
また、乗りかご2の行程がチェックされた時点で、予め設定されている行程より短いとき、例えば行き先階までの数階が所定階数以下であるとき、あるいは行き先階までの移動距離が数十m以下であるとき(ステップS5)、乗りかご2が走行しても、目的階に到達したときの乗りかご内気圧と、目的階の外気圧との差が小さいことから、気圧制御装置5によって、換気運転モードが選択されて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が駆動され、乗りかご2内の換気が行われる(ステップS9)。
【0030】
以下、乗りかご2の運転が行われる毎に、上述した乗りかご2の行程チェックが行われて、このチェック結果に基づき、気圧制御運転モードまたは換気運転モードのいずれかが選択され、乗りかご2内の気圧調整、または換気が行われる(ステップS1〜S9)。
【0031】
そして、このような乗りかご2内の気圧調整、または換気を行っているとき、乗りかご2内の気圧が異常になり、乗りかご内気圧センサ3から出力される気圧検出信号が異常な値になると(ステップS4)、気圧制御装置5の気圧制御状態監視部12によって、定格速度指示が生成されて、エレベータ制御装置4に供給され、乗りかご2の速度が定格速度以下まで下げられ、乗りかご2内の気圧変化が小さくされた状態で、乗りかご2の運転が継続される(ステップS10)。
【0032】
また、この動作と並行し、気圧制御装置5の気圧制御状態監視部12によって、気圧制御異常の原因がチェックされ、乗りかご内気圧センサ3の異常、インバータ部15の異常、マイコン暴走などに起因する気圧制御異常など、乗りかご2内の気圧制御を継続することが難しい故障が原因であるとき(ステップS11)、気圧制御切替部13によって、気圧制御停止指示が生成されて、ブロア制御部14、インバータ部15が停止状態にされ、気圧制御が停止させられる(ステップS12)。
【0033】
またこの際、気圧制御異常の原因がインバータ部15など、吸気用ブロア9、排気用ブロア11以外の機器故障が原因であれば(ステップS13)、気圧制御切替部13によって、ブロアによる直接換気運転モードが選択されて、気圧制御装置5のブロア直接制御部16から吸気用コンタクト指示信号、排気用コンタクト指示信号が出力され、吸気用コンタクタ9、排気用コンタクタ11が閉状態にされる。
【0034】
これにより、吸気用コンタクタ9、排気用コンタクタ11を介して、商用電源電圧が吸気用ブロア9、排気用ブロア11に供給されて、乗りかご2の換気が行われる(ステップS14)。
【0035】
また、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が両方とも破損して、乗りかご2内の換気を行うことができなければ(ステップS13)、気圧制御切替部13によって、気圧制御停止指示が生成されて、ブロア直接制御部16が停止状態にされ、気圧制御、換気運転が停止させられる(ステップS15)。
【0036】
また、エレベータ制御装置4から出力される運転指示信号の内容、異常検出装置(図示は省略する)の検出内容などに基づき、乗りかご2が正常に運転されているかどうかがチェックされたとき、巻上機などが故障して、乗りかご2を通常の速度で走行させることができなくなり、救出運転または管理運転が行われていれば(ステップS3)、気圧制御切替部13によって、換気運転モードが選択されて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11が駆動され、乗りかご2内の換気が行われる(ステップS16)。
【0037】
そして、乗りかご2が最寄り階など、目的階に到着した後(ステップS17)、エレベータ制御装置4、異常検出装置によって、乗りかご2の運転が継続可能かどうかがチェックされ、乗りかご2を継続して運転させることができると判断されたとき、エレベータ制御装置4によって、乗りかご2の運転が再開される(ステップS18)。
【0038】
このように、この実施形態では、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置、各ホールに設けられた各呼び入力装置、昇降路内の各部に配置された各センサなどの出力に基づき、巻上機などを制御させて、乗りかご2を運転させながら、乗りかご2の運転状態、乗りかご2内の気圧状態などに基づき、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の風量を調整させて、乗りかご2内の気圧を最適な状態に保持させるようにしているので、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご2内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0039】
また、この実施形態では、乗りかご内気圧センサ3によって、乗りかご2内の気圧を検出させ、乗りかご2内の気圧が異常になったとき、気圧制御装置5の気圧制御状態監視部12によって、これを検知させて、エレベータ制御装置4に定格速度指示を出させ、乗りかご2の速度を定格速度以下に下げさせるようにしているので、乗りかご2内の気圧が異常になったとき、乗りかご2の速度を定格速度以下にさせて、乗りかご2内の気圧変化を小さくさせ、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0040】
また、この実施形態では、乗りかご2が最下階付近と最上階付近との間をノンストップで運転される運転モード(例えば、シャトル運転モード)などのように、ロングランモードで運転されているとき、気圧制御装置5の気圧制御切替部13によって、気圧制御運転モードを選択させて、乗りかご2の昇降に伴い、乗りかご2周辺部分の気圧が変化しても、乗りかご2内の気圧がなだらかに変化するように、乗りかご2内の気圧を調整させるようにしているので、超々高速化、高行程化されたエレベータの乗りかご2がシャトル運転モードで運転されても、乗客に耳つん感などを与えないようにさせて、不快感を与えないようにすることができる。
【0041】
また、この実施形態では、乗りかご2の行程が短いとき、あるいは乗りかご2が救出運転または管理運転されているとき、気圧制御装置5の気圧制御切替部13によって、換気運転モードを選択させて、乗りかご2内を換気させるようにしているので、エレベータを超々高速化、高行程化させているときでも、乗りかご2の行程が短いとき、あるいは一定速度以下の速度で運転されているとき、乗りかご2内の気圧を一定に保持させて、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0042】
また、この実施形態では、乗りかご内気圧センサ3の異常、インバータ部15の異常、マイコン暴走などに起因する気圧制御異常など、乗りかご2内の気圧制御を継続することが難しい故障が原因で、乗りかご2内の気圧が異常になったとき、気圧制御装置5の気圧制御切替部13によって、ブロアによる直接換気運転モードを選択させて、吸気用ブロア9、排気用ブロア11に商用電源電圧を直接、供給させて、乗りかご2内を換気させるようにしているので、乗りかご内気圧センサ3、ブロア制御部14、インバータ部15など、乗りかご2内の気圧を制御する気圧制御機器の故障に起因して、乗りかご2内の気圧を調整することができなくなっても、吸気用ブロア9、排気用ブロア11に直接、電源電圧を供給させて、乗りかご2内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0043】
また、上述した実施形態では、吸気用ブロア9、排気用ブロア11の両方をインバータ制御、あるいは商用電源電圧を直接、供給させる直接、制御させるようにしているが、これら吸気用ブロア9、排気用ブロア11のいずれか一方、例えば排気用ブロア11のみが破損している場合には、吸気用ブロア9を吸気用、排気用として交互に使用させ、乗りかご2内の換気を行わせるようにしても良い。
【0044】
これにより、吸気用ブロア9、排気用ブロア11のいずれか一方が故障している状態で、気圧制御機器の故障に起因し、乗りかご2内の気圧が異常になっていても、正常に動作するブロアに直接、電源電圧を供給させて、乗りかご2内の気圧を一定に保持させ、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エレベータを超々高速化、高行程化させたときでも、エレベータの運転状態に応じて、乗りかご内の気圧を最適化させて、乗客に不快感を与えないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエレベータシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すエレベータシステムの気圧制御運転モード例を示す模式図である。
【図4】図1に示すエレベータシステムの換気運転モード例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:エレベータシステム
2:乗りかご
3:乗りかご内気圧センサ
4:エレベータ制御装置
5:気圧制御装置
6:吸気用コンタクタ
7:排気用コンタクタ
8:ダクト
9:吸気用ブロア
10:ダクト
11:排気用ブロア
12:気圧制御状態監視部
13:気圧制御切替部
14:ブロア制御部
15:インバータ部
16:ブロア直接制御部
Claims (6)
- 前記乗りかご内の気圧を制御する複数の制御モードを持ち、前記乗りかごの運転状態に応じて、各制御モードのいずれかを選択する気圧制御切替部と、
この気圧制御切替部の選択内容に基づき、ブロアを制御して、前記乗りかご内の気圧を制御するブロア制御部と、
を備えたことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、
前記乗りかごに取り付けられた乗りかご内気圧センサによって、前記乗りかご内の気圧を測定させ、この測定結果に基づき、前記乗りかご内の気圧が異常になっているとき、これを検知して、前記乗りかごの速度を定格速度以下にさせる気圧制御状態監視部、
を備えたことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1、2のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、
前記気圧制御切替部は、前記乗りかごが最上階付近と最下階付近との間を直通運転されているとき、制御モードとして、気圧制御モードを選択し、
前記ブロア制御部は、前記気圧制御切替部で気圧制御モードが選択されているとき、ブロアの風量を制御し、前記乗りかご内の気圧を滑らかに変化させる、
ことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1、2、3のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、
前記気圧制御切替部は、前記乗りかごの行程が短いとき、あるいは前記乗りかごが救出運転または管理運転されているとき、制御モードとして、換気制御モードを選択し、
前記ブロア制御部は、前記気圧制御切替部で換気制御モードが選択されているとき、ブロアを制御し、前記乗りかご内の換気を行う、
ことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、
前記気圧制御切替部は、前記気圧制御状態監視部によって、気圧制御機器の故障に起因する乗りかご内の気圧異常が検出されているとき、制御モードとして、ブロアによる直接換気制御モードを選択し、電源電圧をブロアに直接、供給させて、前記乗りかご内の換気を行わせる、
ことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータシステムにおいて、
前記気圧制御切替部は、前記気圧制御状態監視部によって、気圧制御機器の故障に起因する乗りかご内の気圧異常が検出されているとき、制御モードとして、ブロアによる直接換気制御モードを選択し、電源電圧を各ブロアのいずれか1つ以上に直接、供給させて、前記乗りかご内の換気を行わせる、
ことを特徴とするエレベータシステム。
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