JP2004276773A - 車両用液圧マスタシリンダのリザーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】液面検知装置の誤作動を防止し、かつリザーバ内への作動液の供給やエア抜き作業を円滑に行えるリザーバを提供する。
【解決手段】リザーバ上半体6とリザーバ下半体7とを連結してリザーバ本体4を形成し、リザーバ下半体7の両側部に、リザーバ上半体6側に突出する一対の弁体支持片7dを突設する。リザーバ上半体6の両側部に、両弁体支持片7dに対向する一対の突片6aを形成する。弁体支持片7dの上面に下側凹部7eを、突片6aの下面に上側凹部6bを対向形成し、対向する下側凹部7eと上側凹部6bとで軸受け部を形成する。板状弁体10に設けた回動軸10aを軸受け部に支持させ、リザーバ下半体7に、板状弁体10の下部10bに当接すし、板状弁体10の回動を規制する立ち上がり壁7fを立設する。板状弁体10によって作動液注入口側から液面検知装置側への作動液の流れを許容し、その反対の作動液の流れを阻止する。
【選択図】 図1
【解決手段】リザーバ上半体6とリザーバ下半体7とを連結してリザーバ本体4を形成し、リザーバ下半体7の両側部に、リザーバ上半体6側に突出する一対の弁体支持片7dを突設する。リザーバ上半体6の両側部に、両弁体支持片7dに対向する一対の突片6aを形成する。弁体支持片7dの上面に下側凹部7eを、突片6aの下面に上側凹部6bを対向形成し、対向する下側凹部7eと上側凹部6bとで軸受け部を形成する。板状弁体10に設けた回動軸10aを軸受け部に支持させ、リザーバ下半体7に、板状弁体10の下部10bに当接すし、板状弁体10の回動を規制する立ち上がり壁7fを立設する。板状弁体10によって作動液注入口側から液面検知装置側への作動液の流れを許容し、その反対の作動液の流れを阻止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキやクラッチを液圧で作動する液圧マスタシリンダの上部に設けられるリザーバの構造に係り、詳しくは、液面検知装置を備えた車両用液圧マスタシリンダのリザーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジン室内部は、収納部品が多く且つ多様化してレイアウトが複雑になっている。液圧マスタシリンダが取り付けられるダッシュパネルは、乗員室側へ後退し、エンジン室が拡大される反面、ダッシュパネルの上方には乗員室内のインストルメントパネルやフロントガラスが張り出してきていて、液圧マスタシリンダの取り付け位置や形状を大きく制約するものであった。特に、シリンダ本体の上部に位置するリザーバ本体は、高さを押さえた扁平な形状を余儀なくされる一方、作動液の収容量は確保しなくてはならないので、車体前後方向に長さを取ることによって容積の不足を補っている。
【0003】
また、上述のリザーバの貯液室に、作動液が規定の液量まで減少したことを運転者に報知する液面検知装置を備えたものがある。この液面検知装置は、貯液室に立設されるフロートガイドと、該フロートガイド内に形成されるフロート室の底部に埋設されるリードスイッチと、その上方で作動液の液面に浮くフロートとで構成され、液面の減少に伴って下降するフロートがリードスイッチに近接した際に、フロートのマグネットがリードスイッチを励磁し、警報機や警告灯を作動させるようにしている。このような構成にあっては、走行時に車体に制動力をかけると、慣性力によって車体の前部側が沈み込み、作動液が車体前部側へ流れるため、リザーバ内の作動液が規定量以上あるのにも拘わらず、フロート室の作動液が一時的に低下し、警報機や警告灯を作動することがあった。
【0004】
このため、フロートガイドとリザーバ本体の内周壁との間に邪魔板を設けて、作動液の流通路を絞ることによって、フロートガイド内の作動液が瞬間的に外部に流出するのを抑制したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−315203号公報参照(第1頁 図1,図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のものでは、作動液の流通路を絞ることによって、フロートガイド内の作動液が不用意にフロート室から流出することは抑制できるものの、作動液の流れが阻害されるため、作動液をリザーバ内に供給する際にはエア抜き作業に時間がかかり、作動液をスムーズにリザーバに供給することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、フロートガイド内の作動液が不用意にフロート室から流出することを抑制し、液面検知装置が誤作動するのを防止するとともに、リザーバ内への作動液の供給やエア抜き作業を円滑に行うことのできる車両用液圧マスタシリンダのリザーバを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明は、軸線を車体前後方向にして配設される液圧マスタシリンダのシリンダボディ上部に、車体前後方向に長く形成したリザーバ本体を配設し、該リザーバ本体内にフロートガイドを立設し、該フロートガイド内に形成されるフロート室に、リードスイッチ及びその上方で作動液の液面を浮動するフロートを備えた液面検知装置を設け、かつ、前記リザーバ本体の車体前部側に作動液注入口を設けた車両用液圧マスタシリンダのリザーバにおいて、前記リザーバ本体内の前記作動液注入口と前記液面検知装置との間に、作動液注入口側から液面検知装置側への作動液の流れを許容し、液面検知装置側から作動液注入口側への作動液の流れを阻止する板状弁体を設けたことを特徴とし、また、前記リザーバ本体は、リザーバ上半体とリザーバ下半体とを連結して形成され、前記リザーバ下半体の両側部に、リザーバ上半体側に突出する一対の弁体支持片を突設し、前記リザーバ上半体の両側部に、両弁体支持片に対向する一対の突片を形成し、前記弁体支持片の上面に下側凹部を、前記突片の下面に上側凹部をそれぞれ対向形成し、対向する下側凹部と上側凹部とで軸受け部を形成し、前記板状弁体の上部両端部に突設した回動軸を前記軸受け部に支持させて、前記板状弁体をリザーバ本体に回動可能に取り付け、前記リザーバ下半体に、前記板状弁体の下部が当接して該板状弁体の作動液注入口側への回動を阻止する壁板を立設してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一形態例を図面に基づいて詳しく説明する。本形態例では、自動車のブレーキ用液圧マスタシリンダを例示して説明している。
【0010】
乗員室とダッシュパネルによって仕切られる車体前部側のエンジン室には、ブレーキ用の液圧マスタシリンダ1が、ダッシュパネルに近接して設けられる。液圧マスタシリンダ1は、シリンダボディ2の内部で昇圧した作動液を二つのブレーキ系統に供給するタンデム型で、軸線を車体前後方向にして配設され、シリンダボディ2の上部には貯液室4a内に作動液を貯留するリザーバ3が一体に取り付けられている。
【0011】
上記リザーバ3は、合成樹脂で形成され、貯液室4aと作動液注入口4bとを備えたリザーバ本体4と、作動液注入口4bを覆うリザーバキャップ5とを備えている。リザーバ本体4は、リザーバ上半体6とリザーバ下半体7とを融着面8で熱融着して、その内部を上述の貯液室4aとしたもので、リザーバ下半体7の下面には第1ボス部7aと第2ボス部7bとが突設され、該ボス部7a,7bをシリンダボディ2に突設されたプライマリボス2aとセカンダリボス2bとにそれぞれ嵌合し、さらにこれらの間で重ね合わされる双方のフランジ2c,7cにねじを螺着することによってリザーバ本体4はシリンダボディ2に一体に連結されている。リザーバ本体4の車体後部側は、その上方に乗員室のインストルメントパネルが張り出していることから、高さを低く抑えた比較的扁平な形状であるのに対し、リザーバ本体4の車体前部側をインストルメントパネルの前方へ延長して立ち上がる形状としており、このようにリザーバ本体4を車体前後方向に長く形成することによって、車体後部側で制約された貯液室4aの容積を車体前部側で補うようにしている。
【0012】
リザーバ上半体6は、シリンダボディ2のセカンダリボス2bの車体前部側より略直角に上方に立ち上がり、車体前部側上面には、前記作動液注入口4bが設けられ、該作動液注入口4bにリザーバキャップ5が装着されている。リザーバ下半体7は、リザーバ上半体6と同様、セカンダリボス2bの車体前部側より略上方に立ち上がり、車体後部側下面に突出する前記第1ボス部7aと第2ボス部7bには、ユニオン孔がそれぞれ穿設されていて、貯液室4a内の作動液をユニオン孔より液圧マスタシリンダ1内のシリンダ孔へ供給するようにしている。
【0013】
リザーバ下半体7の第1ボス部7aと第2ボス部7bの中間位置には、作動液が規定の液量まで減少したことを運転者に報知する液面検知装置9が設けられている。また、リザーバ本体4の立ち上がり部分には、板状弁体10が設けられ、該板状弁体10によって、リザーバ本体4内が作動液注入口4bを備えた車体前部側と、液面検知装置9を備えた車体後部側とに仕切られている。
【0014】
液面検知装置9は、リザーバ下半体7に突設されるフロートガイド11と、該フロートガイド11の内部に形成されるフロート室12に配設されるフロート13と、リードスイッチ14とで構成されている。フロートガイド11は、スリット11aを切り込んだ筒体で、前記リザーバ下半体7とリザーバ上半体6との融着面8よりやや低い高さで形成され、作動液が貯液室4aとフロートガイド11の内部に形成されるフロート室12とを相互に流通できるようにしている。フロート室12内の底壁には、前記リードスイッチ14が埋設されている。リードスイッチ14の上方でフロート室12内の液面を浮動する短円筒状のフロート13には、合成樹脂等の軽量材が用いられ、その内部にリードスイッチ14の接点を開閉するマグネット13aが埋設されている。この液面検知装置9では、液面の減少に伴って、フロートガイド11にガイドされながら下降するフロート13がリードスイッチ14に近接した際に、フロート13に設けられたマグネット13aがリードスイッチ14を励磁し、警報機や警告灯(図示せず)を作動させて、作動液が規定量以下となったことを運転者に知らせるようにしている。
【0015】
前記板状弁体10は、リザーバ本体4の前記立ち上がり部分に、車体後部側に向けて回動可能に設けられるもので、液面検知装置9を備えた車体後部側への作動液の流れは許容し、車体前部側への作動液の流れは阻止するように形成されている。リザーバ本体4の立ち上がり部分を形成するリザーバ下半体7の両側部には、一対の弁体支持片7d,7dが前記融着面8を越えてリザーバ上半体6側に突設され、その先端面には、下側凹部7eがそれぞれ形成されている。また、リザーバ本体4の立ち上がり部分を形成するリザーバ上半体6には、前記一対の弁体支持片7d,7dに対向して垂下される突片6a,6aが設けられ、該突片6a,6aの下面には、前記弁体支持片7d,7dの下側凹部7e,7eに対向する上側凹部6b,6bが設けられている。
【0016】
前記板状弁体10は、上部両端部に回動軸10a,10aが突設され、該回動軸10a,10aを、前記弁体支持片7dと前記突片6aの対応する下側凹部7eと上側凹部6bで形成される一対の軸受け部にそれぞれ挿通させることにより、前記弁体支持片7dと前記突片6aとの間に板状弁体10が回動可能に取り付けられる。また、板状弁体10は、一方の弁体支持片7dから他方の弁体支持片7dまでの距離よりも僅かに小さい幅を有するとともに、下部10bが、前記リザーバ本体4の立ち上がり部分を形成するリザーバ下半体7の立ち上がり壁7f(本発明の壁板)よりも下方に突出する長さに形成されている。
【0017】
上述のように形成されたリザーバ本体4は、作動液注入口4bより作動液がエア抜きされながら、貯液室4a内に充填される。このとき、作動液注入口4bより流入される作動液は、板状弁体10を車体後部側へ回動させながらリザーバ本体4の車体前部側から車体後部側へ流れて充填され、一方、車体後部側のエアは、板状弁体10と弁体支持片7dやリザーバ上半体6の上面等の隙間を通って作動液注入口4bから排出される。
【0018】
また、車両走行時に制動力がかかると、慣性力によって車体の前部側が沈み込み、作動液が車体前部側へ流動しようとするが、この作動液の流れによって板状弁体10が車体前部側へ押され、該板状弁体10の下部10bがリザーバ下半体7の立ち上がり壁7fに押し付けられ、作動液の車体後部側から車体前部側への流れが阻止される。これにより、制動時等にフロート室12の作動液が一時的に車体前部側へ流動して液面が低下する虞がないので、液面検知装置9が誤作動を起こすことを防止でき、作動液が規定量以下となったことを知らせる警報機や警告灯が誤って作動することがない。
【0019】
尚、本発明は板状弁体は上述の形態例に限らず、液面検知装置と作動液注入口との間であればリザーバ本体内のどの位置に設けるものでも差し支えなく、取り付け位置は、リザーバ本体の形状に応じて適宜設定すればよく、板状弁体の下部に当接する壁板も、上述の形態例のようにリザーバ下半体の立ち上がり壁を壁板とするものに限らず、リザーバ本体の形状に応じて、リザーバ下半体の立ち上がり壁とは別体の壁板を立設するものでもよい。また、板状弁体の軸受け部も上述の形態例に限るものではなく、リザーバ上半体の上面にリング状の軸受け部を一体に形成するもの等、どのようなものでも差し支えない。さらに、本発明はクラッチ用の液圧マスタシリンダの上部に設けられるリザーバにも適用することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車両走行時に制動力がかかっても、板状弁体が、リザーバ本体内の液面検知装置側から作動液注入口側への作動液の流れを阻止するので、慣性力によってフロートガイド内の作動液が不用意にフロート室から流出することを抑制することができる。これにより、フロートガイド内のフロートが不用意に下がって液面検知装置を誤作動させることを防止できるので、作動液が規定量以下となったことを知らせる警報機や警告灯が誤って作動し、運転者に不快感や不安感を与えることがない。
【0021】
また、板状弁体が回動することによって、作動液がリザーバ本体の車体前部側から車体後部側へ流入することは許容するので、リザーバ内への作動液の供給やエア抜き作業を、円滑に短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態例を示すリザーバの要部断面正面図
【図2】図1のII−II断面図
【図3】本発明の一形態例を示す液圧マスタシリンダの要部断面正面図
【符号の説明】
1…マスタシリンダ、2…シリンダボディ、3…リザーバ、4…リザーバ本体、4a…貯液室、4b…作動液注入口、5…リザーバキャップ、6…リザーバ上半体、6a…突片、6b…上側凹部、7…リザーバ下半体、7d…弁体支持片、7e…下側凹部、7f…立ち上がり壁、9…液面検知装置、10…板状弁体、10a…回動軸、10b…下部、11…フロートガイド、12…フロート室、13…フロート、14…リードスイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキやクラッチを液圧で作動する液圧マスタシリンダの上部に設けられるリザーバの構造に係り、詳しくは、液面検知装置を備えた車両用液圧マスタシリンダのリザーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジン室内部は、収納部品が多く且つ多様化してレイアウトが複雑になっている。液圧マスタシリンダが取り付けられるダッシュパネルは、乗員室側へ後退し、エンジン室が拡大される反面、ダッシュパネルの上方には乗員室内のインストルメントパネルやフロントガラスが張り出してきていて、液圧マスタシリンダの取り付け位置や形状を大きく制約するものであった。特に、シリンダ本体の上部に位置するリザーバ本体は、高さを押さえた扁平な形状を余儀なくされる一方、作動液の収容量は確保しなくてはならないので、車体前後方向に長さを取ることによって容積の不足を補っている。
【0003】
また、上述のリザーバの貯液室に、作動液が規定の液量まで減少したことを運転者に報知する液面検知装置を備えたものがある。この液面検知装置は、貯液室に立設されるフロートガイドと、該フロートガイド内に形成されるフロート室の底部に埋設されるリードスイッチと、その上方で作動液の液面に浮くフロートとで構成され、液面の減少に伴って下降するフロートがリードスイッチに近接した際に、フロートのマグネットがリードスイッチを励磁し、警報機や警告灯を作動させるようにしている。このような構成にあっては、走行時に車体に制動力をかけると、慣性力によって車体の前部側が沈み込み、作動液が車体前部側へ流れるため、リザーバ内の作動液が規定量以上あるのにも拘わらず、フロート室の作動液が一時的に低下し、警報機や警告灯を作動することがあった。
【0004】
このため、フロートガイドとリザーバ本体の内周壁との間に邪魔板を設けて、作動液の流通路を絞ることによって、フロートガイド内の作動液が瞬間的に外部に流出するのを抑制したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−315203号公報参照(第1頁 図1,図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のものでは、作動液の流通路を絞ることによって、フロートガイド内の作動液が不用意にフロート室から流出することは抑制できるものの、作動液の流れが阻害されるため、作動液をリザーバ内に供給する際にはエア抜き作業に時間がかかり、作動液をスムーズにリザーバに供給することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、フロートガイド内の作動液が不用意にフロート室から流出することを抑制し、液面検知装置が誤作動するのを防止するとともに、リザーバ内への作動液の供給やエア抜き作業を円滑に行うことのできる車両用液圧マスタシリンダのリザーバを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明は、軸線を車体前後方向にして配設される液圧マスタシリンダのシリンダボディ上部に、車体前後方向に長く形成したリザーバ本体を配設し、該リザーバ本体内にフロートガイドを立設し、該フロートガイド内に形成されるフロート室に、リードスイッチ及びその上方で作動液の液面を浮動するフロートを備えた液面検知装置を設け、かつ、前記リザーバ本体の車体前部側に作動液注入口を設けた車両用液圧マスタシリンダのリザーバにおいて、前記リザーバ本体内の前記作動液注入口と前記液面検知装置との間に、作動液注入口側から液面検知装置側への作動液の流れを許容し、液面検知装置側から作動液注入口側への作動液の流れを阻止する板状弁体を設けたことを特徴とし、また、前記リザーバ本体は、リザーバ上半体とリザーバ下半体とを連結して形成され、前記リザーバ下半体の両側部に、リザーバ上半体側に突出する一対の弁体支持片を突設し、前記リザーバ上半体の両側部に、両弁体支持片に対向する一対の突片を形成し、前記弁体支持片の上面に下側凹部を、前記突片の下面に上側凹部をそれぞれ対向形成し、対向する下側凹部と上側凹部とで軸受け部を形成し、前記板状弁体の上部両端部に突設した回動軸を前記軸受け部に支持させて、前記板状弁体をリザーバ本体に回動可能に取り付け、前記リザーバ下半体に、前記板状弁体の下部が当接して該板状弁体の作動液注入口側への回動を阻止する壁板を立設してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一形態例を図面に基づいて詳しく説明する。本形態例では、自動車のブレーキ用液圧マスタシリンダを例示して説明している。
【0010】
乗員室とダッシュパネルによって仕切られる車体前部側のエンジン室には、ブレーキ用の液圧マスタシリンダ1が、ダッシュパネルに近接して設けられる。液圧マスタシリンダ1は、シリンダボディ2の内部で昇圧した作動液を二つのブレーキ系統に供給するタンデム型で、軸線を車体前後方向にして配設され、シリンダボディ2の上部には貯液室4a内に作動液を貯留するリザーバ3が一体に取り付けられている。
【0011】
上記リザーバ3は、合成樹脂で形成され、貯液室4aと作動液注入口4bとを備えたリザーバ本体4と、作動液注入口4bを覆うリザーバキャップ5とを備えている。リザーバ本体4は、リザーバ上半体6とリザーバ下半体7とを融着面8で熱融着して、その内部を上述の貯液室4aとしたもので、リザーバ下半体7の下面には第1ボス部7aと第2ボス部7bとが突設され、該ボス部7a,7bをシリンダボディ2に突設されたプライマリボス2aとセカンダリボス2bとにそれぞれ嵌合し、さらにこれらの間で重ね合わされる双方のフランジ2c,7cにねじを螺着することによってリザーバ本体4はシリンダボディ2に一体に連結されている。リザーバ本体4の車体後部側は、その上方に乗員室のインストルメントパネルが張り出していることから、高さを低く抑えた比較的扁平な形状であるのに対し、リザーバ本体4の車体前部側をインストルメントパネルの前方へ延長して立ち上がる形状としており、このようにリザーバ本体4を車体前後方向に長く形成することによって、車体後部側で制約された貯液室4aの容積を車体前部側で補うようにしている。
【0012】
リザーバ上半体6は、シリンダボディ2のセカンダリボス2bの車体前部側より略直角に上方に立ち上がり、車体前部側上面には、前記作動液注入口4bが設けられ、該作動液注入口4bにリザーバキャップ5が装着されている。リザーバ下半体7は、リザーバ上半体6と同様、セカンダリボス2bの車体前部側より略上方に立ち上がり、車体後部側下面に突出する前記第1ボス部7aと第2ボス部7bには、ユニオン孔がそれぞれ穿設されていて、貯液室4a内の作動液をユニオン孔より液圧マスタシリンダ1内のシリンダ孔へ供給するようにしている。
【0013】
リザーバ下半体7の第1ボス部7aと第2ボス部7bの中間位置には、作動液が規定の液量まで減少したことを運転者に報知する液面検知装置9が設けられている。また、リザーバ本体4の立ち上がり部分には、板状弁体10が設けられ、該板状弁体10によって、リザーバ本体4内が作動液注入口4bを備えた車体前部側と、液面検知装置9を備えた車体後部側とに仕切られている。
【0014】
液面検知装置9は、リザーバ下半体7に突設されるフロートガイド11と、該フロートガイド11の内部に形成されるフロート室12に配設されるフロート13と、リードスイッチ14とで構成されている。フロートガイド11は、スリット11aを切り込んだ筒体で、前記リザーバ下半体7とリザーバ上半体6との融着面8よりやや低い高さで形成され、作動液が貯液室4aとフロートガイド11の内部に形成されるフロート室12とを相互に流通できるようにしている。フロート室12内の底壁には、前記リードスイッチ14が埋設されている。リードスイッチ14の上方でフロート室12内の液面を浮動する短円筒状のフロート13には、合成樹脂等の軽量材が用いられ、その内部にリードスイッチ14の接点を開閉するマグネット13aが埋設されている。この液面検知装置9では、液面の減少に伴って、フロートガイド11にガイドされながら下降するフロート13がリードスイッチ14に近接した際に、フロート13に設けられたマグネット13aがリードスイッチ14を励磁し、警報機や警告灯(図示せず)を作動させて、作動液が規定量以下となったことを運転者に知らせるようにしている。
【0015】
前記板状弁体10は、リザーバ本体4の前記立ち上がり部分に、車体後部側に向けて回動可能に設けられるもので、液面検知装置9を備えた車体後部側への作動液の流れは許容し、車体前部側への作動液の流れは阻止するように形成されている。リザーバ本体4の立ち上がり部分を形成するリザーバ下半体7の両側部には、一対の弁体支持片7d,7dが前記融着面8を越えてリザーバ上半体6側に突設され、その先端面には、下側凹部7eがそれぞれ形成されている。また、リザーバ本体4の立ち上がり部分を形成するリザーバ上半体6には、前記一対の弁体支持片7d,7dに対向して垂下される突片6a,6aが設けられ、該突片6a,6aの下面には、前記弁体支持片7d,7dの下側凹部7e,7eに対向する上側凹部6b,6bが設けられている。
【0016】
前記板状弁体10は、上部両端部に回動軸10a,10aが突設され、該回動軸10a,10aを、前記弁体支持片7dと前記突片6aの対応する下側凹部7eと上側凹部6bで形成される一対の軸受け部にそれぞれ挿通させることにより、前記弁体支持片7dと前記突片6aとの間に板状弁体10が回動可能に取り付けられる。また、板状弁体10は、一方の弁体支持片7dから他方の弁体支持片7dまでの距離よりも僅かに小さい幅を有するとともに、下部10bが、前記リザーバ本体4の立ち上がり部分を形成するリザーバ下半体7の立ち上がり壁7f(本発明の壁板)よりも下方に突出する長さに形成されている。
【0017】
上述のように形成されたリザーバ本体4は、作動液注入口4bより作動液がエア抜きされながら、貯液室4a内に充填される。このとき、作動液注入口4bより流入される作動液は、板状弁体10を車体後部側へ回動させながらリザーバ本体4の車体前部側から車体後部側へ流れて充填され、一方、車体後部側のエアは、板状弁体10と弁体支持片7dやリザーバ上半体6の上面等の隙間を通って作動液注入口4bから排出される。
【0018】
また、車両走行時に制動力がかかると、慣性力によって車体の前部側が沈み込み、作動液が車体前部側へ流動しようとするが、この作動液の流れによって板状弁体10が車体前部側へ押され、該板状弁体10の下部10bがリザーバ下半体7の立ち上がり壁7fに押し付けられ、作動液の車体後部側から車体前部側への流れが阻止される。これにより、制動時等にフロート室12の作動液が一時的に車体前部側へ流動して液面が低下する虞がないので、液面検知装置9が誤作動を起こすことを防止でき、作動液が規定量以下となったことを知らせる警報機や警告灯が誤って作動することがない。
【0019】
尚、本発明は板状弁体は上述の形態例に限らず、液面検知装置と作動液注入口との間であればリザーバ本体内のどの位置に設けるものでも差し支えなく、取り付け位置は、リザーバ本体の形状に応じて適宜設定すればよく、板状弁体の下部に当接する壁板も、上述の形態例のようにリザーバ下半体の立ち上がり壁を壁板とするものに限らず、リザーバ本体の形状に応じて、リザーバ下半体の立ち上がり壁とは別体の壁板を立設するものでもよい。また、板状弁体の軸受け部も上述の形態例に限るものではなく、リザーバ上半体の上面にリング状の軸受け部を一体に形成するもの等、どのようなものでも差し支えない。さらに、本発明はクラッチ用の液圧マスタシリンダの上部に設けられるリザーバにも適用することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車両走行時に制動力がかかっても、板状弁体が、リザーバ本体内の液面検知装置側から作動液注入口側への作動液の流れを阻止するので、慣性力によってフロートガイド内の作動液が不用意にフロート室から流出することを抑制することができる。これにより、フロートガイド内のフロートが不用意に下がって液面検知装置を誤作動させることを防止できるので、作動液が規定量以下となったことを知らせる警報機や警告灯が誤って作動し、運転者に不快感や不安感を与えることがない。
【0021】
また、板状弁体が回動することによって、作動液がリザーバ本体の車体前部側から車体後部側へ流入することは許容するので、リザーバ内への作動液の供給やエア抜き作業を、円滑に短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態例を示すリザーバの要部断面正面図
【図2】図1のII−II断面図
【図3】本発明の一形態例を示す液圧マスタシリンダの要部断面正面図
【符号の説明】
1…マスタシリンダ、2…シリンダボディ、3…リザーバ、4…リザーバ本体、4a…貯液室、4b…作動液注入口、5…リザーバキャップ、6…リザーバ上半体、6a…突片、6b…上側凹部、7…リザーバ下半体、7d…弁体支持片、7e…下側凹部、7f…立ち上がり壁、9…液面検知装置、10…板状弁体、10a…回動軸、10b…下部、11…フロートガイド、12…フロート室、13…フロート、14…リードスイッチ
Claims (2)
- 軸線を車体前後方向にして配設される液圧マスタシリンダのシリンダボディ上部に、車体前後方向に長く形成したリザーバ本体を配設し、該リザーバ本体内にフロートガイドを立設し、該フロートガイド内に形成されるフロート室に、リードスイッチ及びその上方で作動液の液面を浮動するフロートを備えた液面検知装置を設け、かつ、前記リザーバ本体の車体前部側に作動液注入口を設けた車両用液圧マスタシリンダのリザーバにおいて、前記リザーバ本体内の前記作動液注入口と前記液面検知装置との間に、作動液注入口側から液面検知装置側への作動液の流れを許容し、液面検知装置側から作動液注入口側への作動液の流れを阻止する板状弁体を設けたことを特徴とする車両用液圧マスタシリンダのリザーバ。
- 前記リザーバ本体は、リザーバ上半体とリザーバ下半体とを連結して形成され、前記リザーバ下半体の両側部に、リザーバ上半体側に突出する一対の弁体支持片を突設し、前記リザーバ上半体の両側部に、両弁体支持片に対向する一対の突片を形成し、前記弁体支持片の上面に下側凹部を、前記突片の下面に上側凹部をそれぞれ対向形成し、対向する下側凹部と上側凹部とで軸受け部を形成し、前記板状弁体の上部両端部に突設した回動軸を前記軸受け部に支持させて、前記板状弁体をリザーバ本体に回動可能に取り付け、前記リザーバ下半体に、前記板状弁体の下部が当接して該板状弁体の作動液注入口側への回動を阻止する壁板を立設したことを特徴とする請求項1記載の車両用液圧マスタシリンダのリザーバ。
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2003
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