JP2004272190A - 感光性樹脂組成物、その製造方法及びスクリーン印刷版 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐溶剤性、耐水性及び印刷適性に優れた感光性樹脂組成物、その製造方法、及び該感光性樹脂組成物を用いたファインライン印刷性に優れたスクリーン印刷版を提供する。
【解決手段】部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、ジアゾ光架橋剤とを含有した組成とする。
硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合を10〜50重量%、光重合開始剤及び上記モノマーの割合を50〜90重量%の範囲とする。
使用する直前にジアゾ架橋剤水溶液を添加、混合する。
【選択図】 図2
【解決手段】部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、ジアゾ光架橋剤とを含有した組成とする。
硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合を10〜50重量%、光重合開始剤及び上記モノマーの割合を50〜90重量%の範囲とする。
使用する直前にジアゾ架橋剤水溶液を添加、混合する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、耐溶剤性、耐水性及び印刷適性に優れた感光性樹脂組成物、その製造方法、及び該感光性樹脂組成物を用いたスクリーン印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリーン印刷法は、アルミニウム枠や木枠にスクリーンメッシュを張り、これに水溶性の感光性樹脂組成物の被膜を形成し、紫外線照射によって光架橋させた後、水現像あるいはアルカリ現像することにより、スクリーンメッシュに所定のパターンの樹脂被膜を形成したスクリーン印刷版を用いて、スクリーンメッシュの樹脂被膜のないスクリーン部分からインクを押し出して印刷を行う方法である。
【0003】
このスクリーン印刷法は、印刷版の作製及び印刷が簡便であること、画像精度が高いこと、印刷される塗膜の厚みが厚いこと、被印刷体の種類が限定されにくいことなどの特徴を有していることから、種々の分野に広く利用され、ポスターや捺染の印刷から、プリント基板作製のソルダーレジストの印刷、銅厚膜回路のファインライン印刷、積層セラミックコンデンサなどの内部電極の印刷などの電子部品の製造工程に至るまで、その用途が拡大している。
【0004】
ところで、現在スクリーン印刷版の製造に用いられている樹脂組成物としては、水溶性高分子である部分けん化ポリビニルアルコールに対して光架橋剤としてジアゾ樹脂を加えた水溶液と酢酸ビニル重合体エマルジョンとの混合液や、部分けん化ポリビニルアルコールにスチルバゾリウム基を付加した光架橋性水溶性高分子水溶液と疎水性の酢酸ビニルの重合体エマルジョンとの混合液などが広く用いられている。
【0005】
しかし、プリント配線作製の際にスクリーン印刷が非常に多く使用されるようになるに従って、スクリーン印刷版に対する性能要求が高まり、優れた耐水性、耐溶剤性、高い精度及び優れた印刷適性を有するスクリーン印刷版が求められるようになり、上述の従来の樹脂組成物では、光架橋後の版膜の耐水性や耐溶剤性が不十分で、解像力不足や、印刷時の版離れ不良の問題点があり、ユーザーのきめ細かなニーズに対応することができないという問題点がある。
【0006】
そこで、このような問題を改良するため、従来の樹脂組成物にエチレン性不飽和基を持つ水溶性又は水難溶性の重合性不飽和化合物を光重合開始剤と共に乳化、混合した感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。そして、これらの樹脂組成物は、耐水性、耐溶剤性など優れた性能を有している。
【0007】
【特許文献1】
特公平4−19542号公報
【特許文献2】
特公平4−19543号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1において用いられているエチレン性不飽和基を持つ不飽和化合物では、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残る場合がある。すなわち、部分けん化酢酸ビニル重合体の水溶液中に、エチレン性不飽和基を有する化合物が乳化されているというだけの限定を行った樹脂組成物を用いた場合には、露光後の水現像時に十分に洗浄して除去することができない場合があり、残留する有機残渣の影響によって、ペーストのスクリーンメッシュ部の通過性(メッシュ通過性)が悪くなり、被印刷体へのペーストの印刷性に悪影響が生じるという問題点がある。
【0009】
このような有機残渣は、近年の電子部品回路形成用途のファインライン印刷に対する影響が顕著である。例えば、幅50μmの配線が幅50μmのスペースを挟んで複数配設されているような条件(50μmライン&スペース)で、スクリーン印刷により微細配線を形成しようとした場合、有機残渣の影響でスクリーンメッシュ部における導電性ペーストの通過性が悪くなり、「かすれ」や断線などの不具合が生じる。
また、これらのエチレン性不飽和基を有する不飽和化合物は、皮膚に対する刺激性の強いものが多く、現像液中に混入して排出されるため、作業性や環境保全の観点から好ましいものとはいえず、一部の実施にとどまっている。
【0010】
また、特許文献2の感光性樹脂組成物は、従来の樹脂組成物にエチレン性不飽和基を持つ水溶性又は水難溶性の重合性不飽和化合物を光重合開始剤と共に乳化、混合して、重合させるようにしているので有機残渣の影響はなくなるが、耐水性や、耐溶剤性は、モノマー不飽和化合物を使用した場合に比べて低下するという問題点がある。
【0011】
本願発明は、上述した従来技術の欠陥に鑑みて開発されたもので、耐水性や、耐溶剤性、さらには印刷適性に優れ、スクリーン印刷版の製造に用いた場合に、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留せず、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能な感光性樹脂組成物、その製造方法、及び該感光性樹脂組成物を用いて製造した高精度のファインライン印刷が可能なスクリーン印刷版を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明(請求項1)の感光性樹脂組成物は、
(a)けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、
(b)光重合開始剤と、
(c)6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、
(d)ジアゾ光架橋剤と
を含有することを特徴としている。
【0013】
本願発明の感光性樹脂組成物は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光活性なモノマー)と、ジアゾ光架橋剤とを含有しており、スクリーン印刷版の製造に用いた場合にも、スクリーンメッシュ部への有機残渣の発生を抑制、防止することが可能になる。
すなわち、本願請求項1の発明においては、カプロラクトン基を有するアクリル樹脂を使用しているので、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部への有機残渣の発生が抑制、防止されるため、スクリーンメッシュに所望のパターンを有する樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0014】
また、請求項2の感光性樹脂組成物は、前記部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、前記(b)の光重合開始剤を溶解させた前記(c)のモノマーが、液滴として分散した乳化状態で使用されるものであることを特徴としている。
【0015】
本願請求項2の感光性樹脂組成物は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、モノマーが液滴として分散した乳化状態で使用されることから、スクリーン印刷版の製造に用いた場合におけるスクリーンメッシュ部への有機残渣の発生をさらに確実に抑制、防止することが可能になる。すなわち、水溶液の部分けん化ポリビニルアルコールが保護コロイドとなり、モノマーが液滴として分散した乳化状態で使用されるため、感光性樹脂組成物を光硬化した際に未硬化部分が生じても、未硬化部分の水溶解性が向上し、現像時に除去しやすくなる。その結果、スクリーンメッシュ部の有機残渣の発生を防止できる。また、乳化状態で使用することにより、モノマーと空気との接触を確実に遮断することが可能になり、空気中の酸素と光重合開始剤との反応による、ラジカルの失活を防ぐことができる。
【0016】
なお、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーは、水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマーであり、これを部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と混合し、撹拌することにより、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、モノマーが液滴として分散した乳化状態(いわゆるO/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得ることが可能である。
【0017】
また、請求項3の感光性樹脂組成物は、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分と、前記(b)の光重合開始剤及び前記(c)のモノマーの総添加量に対して、前記感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中に、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分が10〜50重量%、前記(b)の光重合開始剤及び前記(c)のモノマーが50〜90重量%の範囲で含まれることを特徴としている。
【0018】
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分と、光重合開始剤及びモノマーの総添加量に対して、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合を10〜50重量%、光重合開始剤及び上記モノマーの割合を50〜90重量%の範囲とすることにより、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせることなく、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能になる。
【0019】
なお、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合が10重量%未満になると、均一なO/W型(水中油滴型)乳化組成物が得られなくなり、50重量%を超えると、スクリーン印刷版のパターン(樹脂被膜)の形成に用いた場合に、耐水性が不十分で、パターン(樹脂被膜)の膨潤による印刷用ペーストのにじみが発生することから、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合は10〜50重量%の範囲が好ましい。
また、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、光重合開始剤及び上記モノマーの割合が50重量%未満になると、スクリーン印刷版のパターン(樹脂被膜)の形成に用いた場合に、パターン(樹脂被膜)の膨潤による印刷用ペーストのにじみが発生し、又、光重合開始剤及び上記モノマーの割合が90重量%を超えると、均一なO/W型(水中油滴型)乳化組成物が得られなくなることから、光重合開始剤及び上記モノマーの割合は50〜90重量%の範囲が好ましい。
【0020】
また、請求項4の感光性樹脂組成物は、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解した前記(c)のモノマー溶液を混合・乳化して得られたエマルジョン粒子の平均粒径(d50)が2μm以下であり、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率が1.00以下であることを特徴としている。
【0021】
エマルジョン粒子の平均粒径(d50)を2μm以下、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にすることによって、さらなる精度が必要となる25μmライン&スペースというような高精度ファインライン画像形成を行うことが可能になる。
【0022】
また、請求項5の感光性樹脂組成物は、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版の製造に用いられる感光性樹脂組成物であって、前記樹脂被膜の形成に用いられるものであることを特徴としている。
【0023】
印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版の製造に本願発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留することを抑制、防止して、所望のパターンの樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0024】
また、本願発明(請求項6)のスクリーン印刷版は、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版であって、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の塗膜を、感光し、現像することにより形成された所定のパターンの樹脂被膜を備えていることを特徴としている。
【0025】
本願発明(請求項6)のスクリーン印刷版は、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を塗布して、感光し、現像することにより形成された所定のパターンの樹脂被膜を備えているので、本願発明のスクリーン印刷版を用いることにより、50μmライン&スペースというような高精度のファインライン印刷を行うことが可能になる。
【0026】
また、本願発明(請求項7)の感光性樹脂組成物の製造方法は、
(A)けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を用意する工程と、
(B)光重合開始剤が溶解した、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマー溶液を用意する工程と、
(C)ジアゾ光架橋剤水溶液を用意する工程と、
(D)前記(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、前記(B)の光重合開始剤が溶解したモノマー溶液を混合、乳化してエマルジョンを得る工程と、
(E)前記(D)で得られたエマルジョンと、前記(C)のジアゾ光架橋剤水溶液とを混合する工程と
を含むことを特徴としている。
【0027】
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解した、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーとの混合溶液と、を混合乳化させて得られるエマルジョンを得て、このエマルジョンにジアゾ光架橋剤水溶液を添加して混合することにより、本願発明の感光性樹脂組成物を確実に製造することが可能になる。
なお、ジアゾ光架橋剤は、あらかじめ部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液を作製する際に、部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液に溶解させておくことも可能ではあるが、その場合には、ジアゾ光架橋剤の保存安定性が低下するため、本願発明(請求項7)のように、使用する直前にジアゾ架橋剤水溶液を添加、混合することが好ましい。
【0028】
また、請求項8の感光性樹脂組成物の製造方法は、前記(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、前記(B)の光重合開始剤が溶解したモノマー溶液とを混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーのいずれかを使用することを特徴としている。
【0029】
本願発明の感光性乳化剤に使用する6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーは、多官能アクリルであり、かつ分子内にカプロラクトン基を有していることから、(B)光重合開始剤を溶解したこのモノマー材料と、(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液との乳化工程において、従来のアクリロイル基を有する多官能アクリルよりも比較的粘度が大きくなる。また、このため、エマルジョン中のエマルジョン粒子同士が凝集し、合一が生じやすくなる。そこで高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーを用いてエマルジョン粒子を乳化剤中に均一に分散させることによって、エマルジョン粒子の再凝集を防ぎ、さらにエマルジョン粒子の各粒子を小さくすることができる。また、エマルジョンの粒径の分布を均一に調整することが可能になり、再凝集及び合一といった変化を抑制することが可能になる。これにより、25μmライン&スペースというようなより高度の精度が必要な画像形成を行うことが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[本願発明の感光性樹脂組成物]
本願発明の感光性樹脂組成物は、けん化度が70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、ジアゾ光架橋剤とを含有している。
【0031】
すなわち、本願発明の感光性樹脂組成物は、例えば、水溶性光架橋剤を含有するけん化度が70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液と、光重合開始剤を溶解させた光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマーを混合して乳化させることにより得られる、水中油滴型(O/W型)エマルジョン状の組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)であり、このような、水中油滴型(O/W型)エマルジョン状の感光性樹脂組成物を使用することにより、露光、現像(水現像)処理後に、スクリーンメッシュに残留する感光性樹脂の残渣量を、単位面積あたり、1.0mg/cm2未満とすることが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能になる。
なお、従来より、部分けん化ポリ酢酸ビニル、光活性ビニルモノマー及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物は知られているが(特許文献1,特許文献2など)、これらの感光性樹脂組成物は、ビニルモノマーの選択、又は有機溶剤の使用により与えられる均質組成物であって、本願発明の感光性樹脂組成物のような乳化状態とすることが可能な組成物ではない。
また、本願発明では、特許文献2に記載されているように、あらかじめ乳化重合反応を行わせる必要がないため、製造に要する時間を短縮することが可能になり、コストの低減を図ることが可能になる。
【0032】
以下、本願発明の感光性樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。
本願発明の感光性樹脂組成物の水相は、けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール(通称:ポバール)の水溶液からなる。
本願発明の感光性樹脂組成物においては、部分けん化ポリビニルアルコールとして、けん化度が70〜95mol%の範囲のものを用いることが望ましい。これは、けん化度が70〜95mol%のものを用いることにより、水による現像を可能ならしめ、かつ光硬化後に耐溶剤性及び耐水性に優れた硬化物を得ることが可能になることによる。また同様の理由から、部分けん化ポリビニルアルコールの重合度は、300〜3000の範囲であることが好ましい。
なお、部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液は、安定なエマルジョン状の感光性樹脂組成物が得られる範囲内において、5〜30重量%の水溶液として使用することが可能である。
【0033】
また、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーの好ましい例としては、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート(DPCA)及びその誘導体などを挙げることができる。
このジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート(DPCA)は、水不溶性あるいは水難溶性で、部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液に乳化分散させることにより、エマルジョン状の感光性樹脂組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を確実に得ることができる。
【0034】
なお、分子内に1以上のカプロラクトン基を有することにより、感光性樹脂組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を塗布、感光、現像した後の、スクリーンパターンの水現像時にスクリーンメッシュに発生する有機残渣の発生を確実に抑制することが可能になる。
また、このカプロラクトン基は、アクリロイル基とペンタエリスリトール構造の中間に存在するため、光硬化後のアクリル硬度を低下させる機能及び光硬化膜に柔軟性を付与する機能を発揮させることも可能である。
また、これらの6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光活性な不飽和化合物モノマー)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、また、6以上のアクリロイル基を有するが、カプロラクトン基を有していないモノマーと組み合わせて用いることも可能である。
【0035】
また、硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコールに由来する固形分の割合は10〜50重量%、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光重合開始剤を含む)の割合は50〜90重量%の範囲とすることが好ましい。
【0036】
特に耐水性や耐溶剤性及び乳化の安定性を重視する場合においては、硬化膜中の部分けん化ポリビニルアルコールに由来する固形分の割合を15〜35重量%、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光重合開始剤を含む)の割合を65〜85重量%の範囲とすることが好ましい。この割合とした場合に、耐水性や耐溶剤性が向上するのは、水溶性の部分けん化ポリビニルアルコール含有量が減少する一方で、水不溶性又は水難溶性の不飽和化合物モノマーの含有量が多くなることによるものと考えられる。
【0037】
また、部分けん化ポリビニルアルコールの含有量は、本願発明の感光性樹脂組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)において乳化安定剤として作用するために、その添加割合が少ない場合には、乳化安定性が低下する。したがって、かかる見地からも、部分けん化ポリビニルアルコールの含有量は10重量%以上とすることが必要である。
【0038】
さらに、本願発明の感光性樹脂組成物においては、例えば上記の6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマー(光活性な不飽和化合物モノマー)に溶解する方法により、光重合開始剤、あるいは光重合開始剤と光重合増感剤を添加して使用することが可能である。
光重合開始剤としては、DPCAなどの6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーに光重合を起こさせてモノマーを硬化させるために使用されるものであることから、該モノマーとの相溶性がよく、該モノマーに均一に溶解されるものが好ましい。好ましい光重合開始剤としては、例えば直接開裂型のベンゾインアルキルエーテルや、水素引抜型のチオキサントン系のように、露光時の紫外線照射によって、ラジカルを発生しやすい物質で、一般的なものが挙げられる。これらの光重合開始剤の添加量は、DPCAなどの6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーあるいは複数種類のモノマーの混合物100重量部に対して 0.1〜5重量部の範囲で使用することが望ましい。
【0039】
また、光架橋剤は、部分けん化ポリビニルアルコールと光架橋反応を起こして硬化させるために使用されるものであることから、けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と相溶性がよく、該水溶液に均一に混合されるものが好ましい。このような光架橋剤としては、例えば、ジアゾ樹脂が好ましく使用される。
また、光架橋剤は、部分けん化ポリビニルアルコール100重量部に対して、5〜20重量部の範囲で用いることが好ましい。光架橋剤が5重量部未満になると硬化膜の耐水性が低下し、水現像時に膨潤してしまうという問題点があり、また、光架橋剤が20重量部を超えると保存安定性が低下し、保存温度などにもよるが、ジアゾ樹脂が分離してゲル化したような状態になり、安定して使用することができなくなる。
【0040】
本願発明の感光性樹脂は、基本的には上記の成分からなるが、この種の感光性組成物に通常含まれる添加剤を任意に添加することができる。たとえば、乳化安定剤、版への塗布性をよくするために添加される有機溶剤、部分けん化ポリビニルアルコールの溶解時に発生する泡を抑制する消泡剤、スクリーンパターンの着色のために使用される顔料及び染料などを添加することが可能である。
【0041】
[本願発明の感光性樹脂組成物の製造方法]
次に、本願発明の感光性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本願発明の感光性樹脂組成物は、通常、以下に説明するような方法により容易かつ確実に製造することができる。
【0042】
(1)まず、部分けん化ポリビニルアルコールの粉末を所望の濃度となるように純水に溶解して水溶液とする。このとき、部分けん化ポリビニルアルコールの粉末が完全に溶解するように、25℃以下の水を用い、この水を撹拌しながら、部分けん化ポリビニルアルコールの粉末を少しずつ投入し、十分に水中に分散させた後、徐々に水温を上げ、最終的に95℃で2時間保持して完全に溶解させる。 (2)次に、光重合開始剤、及び光重合増感剤の粉末を、撹拌しながら6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマー(DPCAなど)に添加して、完全に溶解させて光重合開始剤と、光重合増感剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーの混合溶液を得る。
(3)それから、(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、(2)の光重合開始剤及び光重合増感剤を溶解させた混合溶液とを混合し、撹拌機で高速で撹拌することにより、乳化状態の組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を作製する。
(4)そして、このO/W型(水中油滴型)乳化組成物に、少量の水に溶解したジアゾ光架橋剤(ジアゾ化合物溶液)及び着色剤を添加し、均一に混合する。これにより本願発明の感光性樹脂組成物を得る。
このときジアゾ光架橋剤は、あらかじめ部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液を作製する時点で、溶解させておくことも可能であるが、その場合には、ジアゾ架橋剤の保存安定性が低下するため、前述のように使用する直前にジアゾ架橋剤水溶液を混合することが好ましい。
【0043】
さらに、本願発明の感光性樹脂組成物においては、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解したモノマー溶液を混合・乳化して得られたエマルジョン粒子の平均粒径(d50)を2μm以下にするとともに、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にすることが好ましい。
エマルジョンの平均粒径を2μm以下、分布比率を1.00以下と規定したのは、この条件を満たす場合に、25μmのファインラインの解像が可能になることが確認できたことによる。また、硬化膜の平滑性が向上することから、スクリーン印刷時のにじみの防止など印刷性を向上させる効果も期待することができる。
なお、エマルジョン平均粒径が2μmを超えると、露光時にマスク下よりはみ出したエマルジョンの一端が紫外線に暴露され、マスク下のエマルジョンに硬化が生じ、エマルジョンの凝集や合一が起こって、アクリルモノマーのラジカル連鎖反応が進行するために、膜の硬化が生じてしまい好ましくない。
さらに、実際のエマルジョンには粒度分布が存在するため、上述のように、平均粒径を規定するとともに、特に粗大な粒子を含まないように粒径分布を均一にそろえる、すなわち、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にすることが望ましい。また、エマルジョンの粒径を均一にそろえることによって、界面張力が一定となるために、粒子の再凝集や合一が起こりにくくなる。
このような乳化状態を実現するためには、本願発明(請求項8)のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解したモノマー溶液とを混合し、高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーのいずれかを用いて乳化することが好ましい。
【0044】
[本願発明のスクリーン印刷版の製造]
そして、上述のようにして得られた本願発明の感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を製造するにあたっては、例えば、以下に説明するような方法により、容易に、50μmライン&スペース、あるいは25μmファインラインというような高精度のファインライン印刷が可能なスクリーン印刷版を製造することができる。
【0045】
(1)用途に応じてアルミニウムなどの金属版、スクリーンメッシュ、PETフィルムなどの基材上に、塗布、乾燥する。
(2)それから、乾燥させた塗膜に、波長;λが300〜400nmの範囲の紫外線を、照射エネルギー量;Eが100〜5,000mj/cm2となるような条件で照射して、照射部分を硬化させる。
(3)次に、紫外線の非照射部分を、噴霧水などにより現像して除去する。
これにより、版としての所定のパターンの画像(樹脂被膜)が形成されスクリーン印刷版が得られる。
【0046】
本願発明の感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を製造するにあたっては、感光性樹脂組成物を直接にスクリーンメッシュに塗布する直接法の他に、例えば、PETフィルムなどの剥離性フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥してフィルムを作製し、このフィルムを、水又は本願発明の感光性樹脂組成物を塗布しておいたスクリーンメッシュに転写して貼り付ける方法(直間法)を用いることも可能である。
【0047】
【実施例】
以下、本願発明の実施例を示して、その特徴とするところをさらに具体的にする。
【0048】
[実施例1]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度500、けん化度95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)450g(PVA:アクリルの固形分比率=25:75(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、実施例1の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0049】
<スクリーン印刷版の作製>
次に、この実施例1の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を用いて、以下の方法により、スクリーン印刷版を作製した。
(1)実施例1の感光性樹脂組成物を、ステンレス(SUS304)製の#400のスクリーンメッシュに、バケットを用いて塗布した。
感光性樹脂組成物を塗布するにあたっては、スキージ面側に1回塗布、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥して成膜した。そして、この操作を3回繰り返して、スクリーンメッシュの厚み(40μm)に加えて、10μm厚の感光性樹脂組成物の塗膜を形成した。
(2)そして、この感光性樹脂組成物の塗膜に、プリント配線用の50μmライン&スペースのテストパターンフィルムを真空密着処理し、4kWの超高圧水銀灯で1mの距離から120s(秒)間の露光処理を行った。
(3)それから、露光後のスクリーン版を25℃の水に3min間浸漬して未露光部の大部分を溶出させ、さらに25℃の水を6kg/cm2の水圧のスプレーガンにより30cmの距離から噴射して画線部に残存する感光性樹脂を除去した。
(4)次に、40℃の温風で15min間乾燥して、図1に示すように、50μmプリント配線用の細線パターン(幅50μmの樹脂被膜が形成された部分1aと、幅50μmの樹脂被膜が形成されていない部分1bから形成される細線印刷用のパターン)1を有するスクリーン印刷版2を作製した。
【0050】
<スクリーン印刷版の評価>
それから、このスクリーン印刷版のスクリーンメッシュ部を電子顕微鏡(日立製作所製FE−SEM;S−4000)を用いて観察したところ、図2に示すように、スクリーンメッシュ部3に有機残渣の付着は認められなかった。
【0051】
また、この感光性樹脂組成物をSUS304のステンレス板(ニラコ製)5cm×5cmの正方形の評価板に厚みが10μmとなるように塗布して、40℃で乾燥し、前述と同様の方法で水現像し、乾燥後に有機残渣付着量を測定した結果、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
【0052】
そして、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μmの配線パターンを断線なく印刷することが可能できた。
なお、この実施例1の感光性樹脂組成物に使用したDPCAの皮膚刺激性を表すP.I.I値は0.1と低く、作業者及び環境に対しても安全な材料であることが確認されている。
【0053】
[実施例2]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度3000、けん化度70mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)250gと、光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)250gの合計500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のDPHA・DPCA溶液(アクリル樹脂溶液)300g(PVA:DPHA以外のアクリルの固形分比率=50:50(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0054】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
実施例2の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められず、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
【0055】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
また、この感光性に使用したDPHA及びDPCAの皮膚刺激性を表すP.I.I値は0.54(DPHA)、及び0.1(DPCA)と低く、作業者及び環境に対しても安全な材料であることが確認されている。
【0056】
[実施例3]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)1000gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン10gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル10gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液600gと、上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)810g(PVA:アクリルの固形分比率=10:90(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0057】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
実施例3の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められず、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
【0058】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を導電成分として含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、50μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
【0059】
[比較例1]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液225g(PVA:アクリルの固形分比率=40:60(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例1の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0060】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例1の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、図3に示すように、スクリーンメッシュ部3に有機残渣4の付着が認められた。また、有機残渣量は2.9mg/cm2であった。
【0061】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、印刷10ショット目程度でも50μmラインに「かすれ」が発生し、20ショット目では導電性ペーストの詰まりが発生して50μmラインに断線が発生した。
【0062】
この比較例1の結果より、アクリル種として、カプロラクトン基を有しないモノマー(DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート))を用いた場合には、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留し、好ましくないことがわかる。
【0063】
[比較例2]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な3つのアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液450g(PVA:アクリルの固形分比率=25:75(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例2の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0064】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例2の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着が認められた。また、有機残渣量は1.2mg/cm2であった。
【0065】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、印刷20ショット目程度でも50μmラインに「かすれ」が発生し、100ショット目では導電性ペーストの詰まりが発生して50μmラインに断線が発生した。
なお、この感光性に使用したPETAの皮膚刺激性を表すP.I.I値は3.4と大きく、作業者及び環境に対しても影響が大きく、好ましくないものである。
【0066】
この比較例2の結果より、アクリル種として、3つのアクリロイル基を有し、カプロラクトン基を有しないモノマー(PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート))を用いた場合には、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留し、好ましくないことがわかる。
【0067】
[比較例3]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度99mol%の完全けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な3以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の完全けん化ポリビニルアルコール水溶液800gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液180g(PVA:アクリルの固形分比率=40:60(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させ乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例3の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0068】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例3の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製しようとしたが、感光性樹脂組成物を塗布、感光した後の水現像の工程で、感光性樹脂組成物(の塗膜)を十分に現像することができず、良好な画像形成を行うことができなかった。
【0069】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度が95mol%を超えると水現像の工程で、感光性樹脂組成物(の塗膜)を十分に現像することができず好ましくないことがわかる。
【0070】
[比較例4]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度65mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な3以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液800gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液180g(PVA:アクリルの固形分比率=40:60(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例4の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0071】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例4の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製しようとしたが、感光性樹脂組成物の粘度が低すぎて、必要な塗膜厚みの樹脂被膜(パターン)を形成することが困難であった。
【0072】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度が70mol%未満の場合の場合、感光性樹脂組成物の粘度が低すぎて、必要な厚みの樹脂被膜を形成することができず好ましくないことがわかる。
【0073】
[比較例5]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液100g(PVA:アクリルの固形分比率=60:40(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例5の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0074】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例5の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められず、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
しかし、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷したところ、印刷100ショット目付近で、パターン(樹脂被膜)の膨潤による導電性ペーストのにじみが発生した。
【0075】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の、PVAとアクリルの合計量に対する割合が50重量%を超える(すなわち、この比較例5では、PVA:アクリルの固形分比率=60:40(重量比))場合、すなわち、アクリルに由来する固形分の割合が50重量%未満の場合には、耐溶剤性及び耐水性が不十分になり、耐用性が低下することがわかる。
【0076】
[比較例6]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)次に、上記(1)のポリビニルアルコール水溶液300gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液855g(PVA:アクリルの固形分比率=5:95(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持させたが、高粘度になりすぎ、均一な乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)が得られなかった。
【0077】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の、PVAとアクリルの合計量に対する割合が10重量%未満(この比較例6では、PVA:アクリルの固形分比率=5:95(重量比))の場合、すなわち、アクリルに由来する固形分の割合が90重量%を超える場合には、均一な乳化組成物が得られないことがわかる。
【0078】
[実施例4]
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、モノマー溶液を混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高圧ホモジナイザーを使用した実施例(感光性樹脂組成物の組成は実施例1と同じ)について説明する。
【0079】
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度500、けん化度95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)450g(PVA:アクリルの固形比率=25:75(重量比))を、高圧ホモジナイザー;マイクロフルイダイザー(Microfluidcs社製)を使用して圧力150MPa、流速350ml/min、乳化処理時間5、10、15、30及び60min、冷却水温度10℃で乳化させることにより、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
また、比較のため、(4)の工程において、高圧ホモジナイザーに代えて、スリーワンモーター(Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持した以外は実施例4と同様の方法により感光性乳化組成物を作製した。
【0080】
<感光性樹脂組成物の評価>
レーザー回折式粒度分布計:マイクロトラック(日機装)を使用して、得られた感光性樹脂組成物の粒度分布の測定を行った。平均粒径(d50)及び(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率は、以下の表1に示す結果となった。
【0081】
<スクリーン印刷版の作製>
次に、この実施例4の感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法により、スクリーン印刷版を作製した。
(1)実施例4の感光性樹脂組成物を、ステンレス(SUS304)製の#400のスクリーンメッシュに、バケットを用いて塗布した。
感光性樹脂組成物を塗布するにあたっては、スキージ面側に1回塗布、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥して成膜した。そして、この操作を3回繰り返して、スクリーンメッシュの厚み(40μm)に加えて、10μm厚の感光性樹脂組成物の塗膜を形成した。
(2)そして、この感光性樹脂組成物の塗膜に、プリント配線用の50μm及び25μmライン&スペースのテストパターンフィルムを真空密着処理し、4kWの超高圧水銀灯で1mの距離から120s(秒)間の露光処理を行った。
(3)それから、露光後のスクリーン版を25℃の水に3min間浸漬して未露光部の大部分を溶出させ、さらに25℃の水を6kg/cm2の水圧のスプレーガンにより30cmの距離から噴射して画線部に残存する感光性樹脂を除去した。
(4)次に、40℃の温風で15min間乾燥して、50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版を作製した。
【0082】
<スクリーン印刷版の評価>
上述の方法で作成した50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版のスクリーンメッシュ部を電子顕微鏡(日立製作所製FE−SEM;S−4000)を用いて観察したところ、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められなかった。
また、有機残渣量も実施例1と同様に、0.0mg/cm2であった。
そして、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μm及び25μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
【0083】
なお、図4は、25μmのプリント配線用の細線パターン(幅25μmの樹脂被膜が形成された部分5aと、幅25μmの樹脂被膜が形成されていない部分5bから形成される細線印刷用のパターン)5を有するスクリーン印刷版6を示す。
さらに、表1に分散条件(平均粒径及び分布比率)と解像性についての評価結果を示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1より、実施例1の条件に、さらにエマルジョン平均粒径(d50):2μm以下、(d90−d10)/d50で示される分布比率:1.00以下の条件を付加したものは、実施例1では解像しなかった25μmの極細線印刷用のパターンの解像が可能であることが分かる。
【0086】
[実施例5]
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、モノマー溶液を混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高速ホモミキサーを使用した実施例(感光性樹脂組成物の組成は実施例3と同じ)について説明する。
【0087】
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)1000gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン10gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル10gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液600gと、上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)810g(PVA:アクリルの固形分比率=10:90(重量比))を、高速ホモミキサー;T.K Homo Mixer“2M−03”(特殊機化製)を使用してパドル回転数10,000rpm、乳化処理時間5、10、15、30及び60min、冷却水温度10℃で乳化させ、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
また、比較のため、(4)の工程において、高速ホモミキサーに代えて、スリーワンモーター(Heidon製)で高速回転(500rpm)で60min保持した以外は実施例5と同様の方法により感光性乳化組成物を作製した。
【0088】
<感光性樹脂組成物の評価>
マイクロトラック粒度分布計を使用して、得られた感光性樹脂組成物の粒度分布の測定を行った。平均粒径(d50)及び(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率は、以下の表2に示す結果となった。
【0089】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
実施例5の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例4の場合と同様の方法で50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版を作製した。
上述の方法で作成した50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版のスクリーンメッシュ部を電子顕微鏡(日立製作所製FE−SEM;S−4000)を用いて観察したところ、実施例4と同様に、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められなかった。
また、有機残渣量も実施例4と同様に、0.0mg/cm2であった。
そして、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μm及び25μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
表2に分散条件(平均粒径及び分布比率)と解像性についての評価結果を示す。
【0090】
【表2】
【0091】
表2より、実施例3の条件に、さらにエマルジョン平均粒径(d50):2μm以下、(d90−d10)/d50で示される分布比率:1.00以下の条件を付加したものは、実施例3では解像しなかった25μmの極細線印刷用のパターンの解像が可能であることが分かる。
【0092】
なお、本願発明は、上記実施形態及び実施例1〜5に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0093】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)の感光性樹脂組成物は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、ジアゾ光架橋剤とを含有しているので、スクリーン印刷版の製造に用いた場合に、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせないようにすることが可能になる。
すなわち、本願請求項1の発明においては、カプロラクトン基を有するアクリル樹脂を使用しているので、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部への有機残渣の発生が抑制、防止されるため、スクリーンメッシュに所望のパターンを有する樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことができるようになる。
したがって、作業者及び環境に対して優しく、高精度のファインラインの画像形成が可能で、しかも、水現像可能な感光性樹脂組成物を提供することが可能になる。
【0094】
また、請求項2の感光性樹脂組成物のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、モノマーが液滴として分散した乳化状態で使用することにより、感光性樹脂組成物をスクリーン印刷版の製造に用いた場合におけるスクリーンメッシュ部への有機残渣の発生をさらに確実に抑制、防止することが可能になる。
【0095】
また、請求項3の感光性樹脂組成物のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分と、光重合開始剤及びモノマーの総添加量に対して、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合を10〜50重量%、光重合開始剤及び上記モノマーの割合を50〜90重量%の範囲とすることにより、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせることなく、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0096】
また、請求項4の感光性樹脂組成物のように、エマルジョン粒子の平均粒径(d50)を2μm以下、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にした場合、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせることなく、例えば、50μmライン&スペース、さらには25μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0097】
また、請求項5の感光性樹脂組成物のように、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版の製造に本願発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留することを抑制、防止して、所望のパターンの樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能になる。
【0098】
また、本願発明(請求項6)のスクリーン印刷版は、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を塗布して、感光し、現像することにより形成された所定のパターンを有する樹脂被膜を備えており、本願発明のスクリーン印刷版を用いることにより、50μmライン&スペースというような高精度のファインライン印刷を行うことが可能になる。その結果、電子部品の小型化、高機能化の要求に答えることが可能になる。
【0099】
また、本願発明(請求項7)の感光性樹脂組成物の製造方法は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解した、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーとの混合溶液と、を混合乳化させて得られるエマルジョンを得て、このエマルジョンにジアゾ光架橋剤水溶液を添加して混合するようにしているので、本願発明の感光性樹脂組成物を確実に製造することが可能になる。
【0100】
また、請求項8の感光性樹脂組成物の製造方法のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解したモノマー溶液とを混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーを使用することによって、特に25μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例にかかるスクリーン印刷版を示す顕微鏡写真である。
【図2】有機残渣の発生していない本願発明の一実施例(実施例1)にかかるスクリーン印刷版の要部を示すSEM像である。
【図3】有機残渣の発生している比較例(比較例1)のスクリーン印刷版の要部を示すSEM像である。
【図4】本願発明の実施例4において作製した25μm極細線解像スクリーン印刷版を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 50μmプリント配線用の細線パターン
1a 幅50μmの樹脂被膜が形成された部分
1b 幅50μmの樹脂被膜が形成されていない部分
2 スクリーン印刷版
3 スクリーンメッシュ部
4 有機残渣
5 25μmプリント配線用の細線パターン
5a 幅25μmの樹脂被膜が形成された部分
5b 幅25μmの樹脂被膜が形成されていない部分
6 スクリーン印刷版
7 スクリーンメッシュ部
【発明の属する技術分野】
本願発明は、耐溶剤性、耐水性及び印刷適性に優れた感光性樹脂組成物、その製造方法、及び該感光性樹脂組成物を用いたスクリーン印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリーン印刷法は、アルミニウム枠や木枠にスクリーンメッシュを張り、これに水溶性の感光性樹脂組成物の被膜を形成し、紫外線照射によって光架橋させた後、水現像あるいはアルカリ現像することにより、スクリーンメッシュに所定のパターンの樹脂被膜を形成したスクリーン印刷版を用いて、スクリーンメッシュの樹脂被膜のないスクリーン部分からインクを押し出して印刷を行う方法である。
【0003】
このスクリーン印刷法は、印刷版の作製及び印刷が簡便であること、画像精度が高いこと、印刷される塗膜の厚みが厚いこと、被印刷体の種類が限定されにくいことなどの特徴を有していることから、種々の分野に広く利用され、ポスターや捺染の印刷から、プリント基板作製のソルダーレジストの印刷、銅厚膜回路のファインライン印刷、積層セラミックコンデンサなどの内部電極の印刷などの電子部品の製造工程に至るまで、その用途が拡大している。
【0004】
ところで、現在スクリーン印刷版の製造に用いられている樹脂組成物としては、水溶性高分子である部分けん化ポリビニルアルコールに対して光架橋剤としてジアゾ樹脂を加えた水溶液と酢酸ビニル重合体エマルジョンとの混合液や、部分けん化ポリビニルアルコールにスチルバゾリウム基を付加した光架橋性水溶性高分子水溶液と疎水性の酢酸ビニルの重合体エマルジョンとの混合液などが広く用いられている。
【0005】
しかし、プリント配線作製の際にスクリーン印刷が非常に多く使用されるようになるに従って、スクリーン印刷版に対する性能要求が高まり、優れた耐水性、耐溶剤性、高い精度及び優れた印刷適性を有するスクリーン印刷版が求められるようになり、上述の従来の樹脂組成物では、光架橋後の版膜の耐水性や耐溶剤性が不十分で、解像力不足や、印刷時の版離れ不良の問題点があり、ユーザーのきめ細かなニーズに対応することができないという問題点がある。
【0006】
そこで、このような問題を改良するため、従来の樹脂組成物にエチレン性不飽和基を持つ水溶性又は水難溶性の重合性不飽和化合物を光重合開始剤と共に乳化、混合した感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。そして、これらの樹脂組成物は、耐水性、耐溶剤性など優れた性能を有している。
【0007】
【特許文献1】
特公平4−19542号公報
【特許文献2】
特公平4−19543号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1において用いられているエチレン性不飽和基を持つ不飽和化合物では、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残る場合がある。すなわち、部分けん化酢酸ビニル重合体の水溶液中に、エチレン性不飽和基を有する化合物が乳化されているというだけの限定を行った樹脂組成物を用いた場合には、露光後の水現像時に十分に洗浄して除去することができない場合があり、残留する有機残渣の影響によって、ペーストのスクリーンメッシュ部の通過性(メッシュ通過性)が悪くなり、被印刷体へのペーストの印刷性に悪影響が生じるという問題点がある。
【0009】
このような有機残渣は、近年の電子部品回路形成用途のファインライン印刷に対する影響が顕著である。例えば、幅50μmの配線が幅50μmのスペースを挟んで複数配設されているような条件(50μmライン&スペース)で、スクリーン印刷により微細配線を形成しようとした場合、有機残渣の影響でスクリーンメッシュ部における導電性ペーストの通過性が悪くなり、「かすれ」や断線などの不具合が生じる。
また、これらのエチレン性不飽和基を有する不飽和化合物は、皮膚に対する刺激性の強いものが多く、現像液中に混入して排出されるため、作業性や環境保全の観点から好ましいものとはいえず、一部の実施にとどまっている。
【0010】
また、特許文献2の感光性樹脂組成物は、従来の樹脂組成物にエチレン性不飽和基を持つ水溶性又は水難溶性の重合性不飽和化合物を光重合開始剤と共に乳化、混合して、重合させるようにしているので有機残渣の影響はなくなるが、耐水性や、耐溶剤性は、モノマー不飽和化合物を使用した場合に比べて低下するという問題点がある。
【0011】
本願発明は、上述した従来技術の欠陥に鑑みて開発されたもので、耐水性や、耐溶剤性、さらには印刷適性に優れ、スクリーン印刷版の製造に用いた場合に、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留せず、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能な感光性樹脂組成物、その製造方法、及び該感光性樹脂組成物を用いて製造した高精度のファインライン印刷が可能なスクリーン印刷版を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明(請求項1)の感光性樹脂組成物は、
(a)けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、
(b)光重合開始剤と、
(c)6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、
(d)ジアゾ光架橋剤と
を含有することを特徴としている。
【0013】
本願発明の感光性樹脂組成物は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光活性なモノマー)と、ジアゾ光架橋剤とを含有しており、スクリーン印刷版の製造に用いた場合にも、スクリーンメッシュ部への有機残渣の発生を抑制、防止することが可能になる。
すなわち、本願請求項1の発明においては、カプロラクトン基を有するアクリル樹脂を使用しているので、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部への有機残渣の発生が抑制、防止されるため、スクリーンメッシュに所望のパターンを有する樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0014】
また、請求項2の感光性樹脂組成物は、前記部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、前記(b)の光重合開始剤を溶解させた前記(c)のモノマーが、液滴として分散した乳化状態で使用されるものであることを特徴としている。
【0015】
本願請求項2の感光性樹脂組成物は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、モノマーが液滴として分散した乳化状態で使用されることから、スクリーン印刷版の製造に用いた場合におけるスクリーンメッシュ部への有機残渣の発生をさらに確実に抑制、防止することが可能になる。すなわち、水溶液の部分けん化ポリビニルアルコールが保護コロイドとなり、モノマーが液滴として分散した乳化状態で使用されるため、感光性樹脂組成物を光硬化した際に未硬化部分が生じても、未硬化部分の水溶解性が向上し、現像時に除去しやすくなる。その結果、スクリーンメッシュ部の有機残渣の発生を防止できる。また、乳化状態で使用することにより、モノマーと空気との接触を確実に遮断することが可能になり、空気中の酸素と光重合開始剤との反応による、ラジカルの失活を防ぐことができる。
【0016】
なお、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーは、水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマーであり、これを部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と混合し、撹拌することにより、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、モノマーが液滴として分散した乳化状態(いわゆるO/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得ることが可能である。
【0017】
また、請求項3の感光性樹脂組成物は、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分と、前記(b)の光重合開始剤及び前記(c)のモノマーの総添加量に対して、前記感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中に、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分が10〜50重量%、前記(b)の光重合開始剤及び前記(c)のモノマーが50〜90重量%の範囲で含まれることを特徴としている。
【0018】
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分と、光重合開始剤及びモノマーの総添加量に対して、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合を10〜50重量%、光重合開始剤及び上記モノマーの割合を50〜90重量%の範囲とすることにより、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせることなく、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能になる。
【0019】
なお、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合が10重量%未満になると、均一なO/W型(水中油滴型)乳化組成物が得られなくなり、50重量%を超えると、スクリーン印刷版のパターン(樹脂被膜)の形成に用いた場合に、耐水性が不十分で、パターン(樹脂被膜)の膨潤による印刷用ペーストのにじみが発生することから、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合は10〜50重量%の範囲が好ましい。
また、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、光重合開始剤及び上記モノマーの割合が50重量%未満になると、スクリーン印刷版のパターン(樹脂被膜)の形成に用いた場合に、パターン(樹脂被膜)の膨潤による印刷用ペーストのにじみが発生し、又、光重合開始剤及び上記モノマーの割合が90重量%を超えると、均一なO/W型(水中油滴型)乳化組成物が得られなくなることから、光重合開始剤及び上記モノマーの割合は50〜90重量%の範囲が好ましい。
【0020】
また、請求項4の感光性樹脂組成物は、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解した前記(c)のモノマー溶液を混合・乳化して得られたエマルジョン粒子の平均粒径(d50)が2μm以下であり、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率が1.00以下であることを特徴としている。
【0021】
エマルジョン粒子の平均粒径(d50)を2μm以下、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にすることによって、さらなる精度が必要となる25μmライン&スペースというような高精度ファインライン画像形成を行うことが可能になる。
【0022】
また、請求項5の感光性樹脂組成物は、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版の製造に用いられる感光性樹脂組成物であって、前記樹脂被膜の形成に用いられるものであることを特徴としている。
【0023】
印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版の製造に本願発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留することを抑制、防止して、所望のパターンの樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0024】
また、本願発明(請求項6)のスクリーン印刷版は、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版であって、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の塗膜を、感光し、現像することにより形成された所定のパターンの樹脂被膜を備えていることを特徴としている。
【0025】
本願発明(請求項6)のスクリーン印刷版は、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を塗布して、感光し、現像することにより形成された所定のパターンの樹脂被膜を備えているので、本願発明のスクリーン印刷版を用いることにより、50μmライン&スペースというような高精度のファインライン印刷を行うことが可能になる。
【0026】
また、本願発明(請求項7)の感光性樹脂組成物の製造方法は、
(A)けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を用意する工程と、
(B)光重合開始剤が溶解した、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマー溶液を用意する工程と、
(C)ジアゾ光架橋剤水溶液を用意する工程と、
(D)前記(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、前記(B)の光重合開始剤が溶解したモノマー溶液を混合、乳化してエマルジョンを得る工程と、
(E)前記(D)で得られたエマルジョンと、前記(C)のジアゾ光架橋剤水溶液とを混合する工程と
を含むことを特徴としている。
【0027】
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解した、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーとの混合溶液と、を混合乳化させて得られるエマルジョンを得て、このエマルジョンにジアゾ光架橋剤水溶液を添加して混合することにより、本願発明の感光性樹脂組成物を確実に製造することが可能になる。
なお、ジアゾ光架橋剤は、あらかじめ部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液を作製する際に、部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液に溶解させておくことも可能ではあるが、その場合には、ジアゾ光架橋剤の保存安定性が低下するため、本願発明(請求項7)のように、使用する直前にジアゾ架橋剤水溶液を添加、混合することが好ましい。
【0028】
また、請求項8の感光性樹脂組成物の製造方法は、前記(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、前記(B)の光重合開始剤が溶解したモノマー溶液とを混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーのいずれかを使用することを特徴としている。
【0029】
本願発明の感光性乳化剤に使用する6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーは、多官能アクリルであり、かつ分子内にカプロラクトン基を有していることから、(B)光重合開始剤を溶解したこのモノマー材料と、(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液との乳化工程において、従来のアクリロイル基を有する多官能アクリルよりも比較的粘度が大きくなる。また、このため、エマルジョン中のエマルジョン粒子同士が凝集し、合一が生じやすくなる。そこで高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーを用いてエマルジョン粒子を乳化剤中に均一に分散させることによって、エマルジョン粒子の再凝集を防ぎ、さらにエマルジョン粒子の各粒子を小さくすることができる。また、エマルジョンの粒径の分布を均一に調整することが可能になり、再凝集及び合一といった変化を抑制することが可能になる。これにより、25μmライン&スペースというようなより高度の精度が必要な画像形成を行うことが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[本願発明の感光性樹脂組成物]
本願発明の感光性樹脂組成物は、けん化度が70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、ジアゾ光架橋剤とを含有している。
【0031】
すなわち、本願発明の感光性樹脂組成物は、例えば、水溶性光架橋剤を含有するけん化度が70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液と、光重合開始剤を溶解させた光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマーを混合して乳化させることにより得られる、水中油滴型(O/W型)エマルジョン状の組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)であり、このような、水中油滴型(O/W型)エマルジョン状の感光性樹脂組成物を使用することにより、露光、現像(水現像)処理後に、スクリーンメッシュに残留する感光性樹脂の残渣量を、単位面積あたり、1.0mg/cm2未満とすることが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能になる。
なお、従来より、部分けん化ポリ酢酸ビニル、光活性ビニルモノマー及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物は知られているが(特許文献1,特許文献2など)、これらの感光性樹脂組成物は、ビニルモノマーの選択、又は有機溶剤の使用により与えられる均質組成物であって、本願発明の感光性樹脂組成物のような乳化状態とすることが可能な組成物ではない。
また、本願発明では、特許文献2に記載されているように、あらかじめ乳化重合反応を行わせる必要がないため、製造に要する時間を短縮することが可能になり、コストの低減を図ることが可能になる。
【0032】
以下、本願発明の感光性樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。
本願発明の感光性樹脂組成物の水相は、けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール(通称:ポバール)の水溶液からなる。
本願発明の感光性樹脂組成物においては、部分けん化ポリビニルアルコールとして、けん化度が70〜95mol%の範囲のものを用いることが望ましい。これは、けん化度が70〜95mol%のものを用いることにより、水による現像を可能ならしめ、かつ光硬化後に耐溶剤性及び耐水性に優れた硬化物を得ることが可能になることによる。また同様の理由から、部分けん化ポリビニルアルコールの重合度は、300〜3000の範囲であることが好ましい。
なお、部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液は、安定なエマルジョン状の感光性樹脂組成物が得られる範囲内において、5〜30重量%の水溶液として使用することが可能である。
【0033】
また、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーの好ましい例としては、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート(DPCA)及びその誘導体などを挙げることができる。
このジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート(DPCA)は、水不溶性あるいは水難溶性で、部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液に乳化分散させることにより、エマルジョン状の感光性樹脂組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を確実に得ることができる。
【0034】
なお、分子内に1以上のカプロラクトン基を有することにより、感光性樹脂組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を塗布、感光、現像した後の、スクリーンパターンの水現像時にスクリーンメッシュに発生する有機残渣の発生を確実に抑制することが可能になる。
また、このカプロラクトン基は、アクリロイル基とペンタエリスリトール構造の中間に存在するため、光硬化後のアクリル硬度を低下させる機能及び光硬化膜に柔軟性を付与する機能を発揮させることも可能である。
また、これらの6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光活性な不飽和化合物モノマー)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、また、6以上のアクリロイル基を有するが、カプロラクトン基を有していないモノマーと組み合わせて用いることも可能である。
【0035】
また、硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコールに由来する固形分の割合は10〜50重量%、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光重合開始剤を含む)の割合は50〜90重量%の範囲とすることが好ましい。
【0036】
特に耐水性や耐溶剤性及び乳化の安定性を重視する場合においては、硬化膜中の部分けん化ポリビニルアルコールに由来する固形分の割合を15〜35重量%、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマー(光重合開始剤を含む)の割合を65〜85重量%の範囲とすることが好ましい。この割合とした場合に、耐水性や耐溶剤性が向上するのは、水溶性の部分けん化ポリビニルアルコール含有量が減少する一方で、水不溶性又は水難溶性の不飽和化合物モノマーの含有量が多くなることによるものと考えられる。
【0037】
また、部分けん化ポリビニルアルコールの含有量は、本願発明の感光性樹脂組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)において乳化安定剤として作用するために、その添加割合が少ない場合には、乳化安定性が低下する。したがって、かかる見地からも、部分けん化ポリビニルアルコールの含有量は10重量%以上とすることが必要である。
【0038】
さらに、本願発明の感光性樹脂組成物においては、例えば上記の6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマー(光活性な不飽和化合物モノマー)に溶解する方法により、光重合開始剤、あるいは光重合開始剤と光重合増感剤を添加して使用することが可能である。
光重合開始剤としては、DPCAなどの6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーに光重合を起こさせてモノマーを硬化させるために使用されるものであることから、該モノマーとの相溶性がよく、該モノマーに均一に溶解されるものが好ましい。好ましい光重合開始剤としては、例えば直接開裂型のベンゾインアルキルエーテルや、水素引抜型のチオキサントン系のように、露光時の紫外線照射によって、ラジカルを発生しやすい物質で、一般的なものが挙げられる。これらの光重合開始剤の添加量は、DPCAなどの6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーあるいは複数種類のモノマーの混合物100重量部に対して 0.1〜5重量部の範囲で使用することが望ましい。
【0039】
また、光架橋剤は、部分けん化ポリビニルアルコールと光架橋反応を起こして硬化させるために使用されるものであることから、けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と相溶性がよく、該水溶液に均一に混合されるものが好ましい。このような光架橋剤としては、例えば、ジアゾ樹脂が好ましく使用される。
また、光架橋剤は、部分けん化ポリビニルアルコール100重量部に対して、5〜20重量部の範囲で用いることが好ましい。光架橋剤が5重量部未満になると硬化膜の耐水性が低下し、水現像時に膨潤してしまうという問題点があり、また、光架橋剤が20重量部を超えると保存安定性が低下し、保存温度などにもよるが、ジアゾ樹脂が分離してゲル化したような状態になり、安定して使用することができなくなる。
【0040】
本願発明の感光性樹脂は、基本的には上記の成分からなるが、この種の感光性組成物に通常含まれる添加剤を任意に添加することができる。たとえば、乳化安定剤、版への塗布性をよくするために添加される有機溶剤、部分けん化ポリビニルアルコールの溶解時に発生する泡を抑制する消泡剤、スクリーンパターンの着色のために使用される顔料及び染料などを添加することが可能である。
【0041】
[本願発明の感光性樹脂組成物の製造方法]
次に、本願発明の感光性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本願発明の感光性樹脂組成物は、通常、以下に説明するような方法により容易かつ確実に製造することができる。
【0042】
(1)まず、部分けん化ポリビニルアルコールの粉末を所望の濃度となるように純水に溶解して水溶液とする。このとき、部分けん化ポリビニルアルコールの粉末が完全に溶解するように、25℃以下の水を用い、この水を撹拌しながら、部分けん化ポリビニルアルコールの粉末を少しずつ投入し、十分に水中に分散させた後、徐々に水温を上げ、最終的に95℃で2時間保持して完全に溶解させる。 (2)次に、光重合開始剤、及び光重合増感剤の粉末を、撹拌しながら6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマー(DPCAなど)に添加して、完全に溶解させて光重合開始剤と、光重合増感剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーの混合溶液を得る。
(3)それから、(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、(2)の光重合開始剤及び光重合増感剤を溶解させた混合溶液とを混合し、撹拌機で高速で撹拌することにより、乳化状態の組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を作製する。
(4)そして、このO/W型(水中油滴型)乳化組成物に、少量の水に溶解したジアゾ光架橋剤(ジアゾ化合物溶液)及び着色剤を添加し、均一に混合する。これにより本願発明の感光性樹脂組成物を得る。
このときジアゾ光架橋剤は、あらかじめ部分けん化ポリビニルアルコールの水溶液を作製する時点で、溶解させておくことも可能であるが、その場合には、ジアゾ架橋剤の保存安定性が低下するため、前述のように使用する直前にジアゾ架橋剤水溶液を混合することが好ましい。
【0043】
さらに、本願発明の感光性樹脂組成物においては、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解したモノマー溶液を混合・乳化して得られたエマルジョン粒子の平均粒径(d50)を2μm以下にするとともに、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にすることが好ましい。
エマルジョンの平均粒径を2μm以下、分布比率を1.00以下と規定したのは、この条件を満たす場合に、25μmのファインラインの解像が可能になることが確認できたことによる。また、硬化膜の平滑性が向上することから、スクリーン印刷時のにじみの防止など印刷性を向上させる効果も期待することができる。
なお、エマルジョン平均粒径が2μmを超えると、露光時にマスク下よりはみ出したエマルジョンの一端が紫外線に暴露され、マスク下のエマルジョンに硬化が生じ、エマルジョンの凝集や合一が起こって、アクリルモノマーのラジカル連鎖反応が進行するために、膜の硬化が生じてしまい好ましくない。
さらに、実際のエマルジョンには粒度分布が存在するため、上述のように、平均粒径を規定するとともに、特に粗大な粒子を含まないように粒径分布を均一にそろえる、すなわち、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にすることが望ましい。また、エマルジョンの粒径を均一にそろえることによって、界面張力が一定となるために、粒子の再凝集や合一が起こりにくくなる。
このような乳化状態を実現するためには、本願発明(請求項8)のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解したモノマー溶液とを混合し、高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーのいずれかを用いて乳化することが好ましい。
【0044】
[本願発明のスクリーン印刷版の製造]
そして、上述のようにして得られた本願発明の感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を製造するにあたっては、例えば、以下に説明するような方法により、容易に、50μmライン&スペース、あるいは25μmファインラインというような高精度のファインライン印刷が可能なスクリーン印刷版を製造することができる。
【0045】
(1)用途に応じてアルミニウムなどの金属版、スクリーンメッシュ、PETフィルムなどの基材上に、塗布、乾燥する。
(2)それから、乾燥させた塗膜に、波長;λが300〜400nmの範囲の紫外線を、照射エネルギー量;Eが100〜5,000mj/cm2となるような条件で照射して、照射部分を硬化させる。
(3)次に、紫外線の非照射部分を、噴霧水などにより現像して除去する。
これにより、版としての所定のパターンの画像(樹脂被膜)が形成されスクリーン印刷版が得られる。
【0046】
本願発明の感光性樹脂組成物を用いてスクリーン印刷版を製造するにあたっては、感光性樹脂組成物を直接にスクリーンメッシュに塗布する直接法の他に、例えば、PETフィルムなどの剥離性フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥してフィルムを作製し、このフィルムを、水又は本願発明の感光性樹脂組成物を塗布しておいたスクリーンメッシュに転写して貼り付ける方法(直間法)を用いることも可能である。
【0047】
【実施例】
以下、本願発明の実施例を示して、その特徴とするところをさらに具体的にする。
【0048】
[実施例1]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度500、けん化度95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)450g(PVA:アクリルの固形分比率=25:75(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、実施例1の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0049】
<スクリーン印刷版の作製>
次に、この実施例1の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を用いて、以下の方法により、スクリーン印刷版を作製した。
(1)実施例1の感光性樹脂組成物を、ステンレス(SUS304)製の#400のスクリーンメッシュに、バケットを用いて塗布した。
感光性樹脂組成物を塗布するにあたっては、スキージ面側に1回塗布、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥して成膜した。そして、この操作を3回繰り返して、スクリーンメッシュの厚み(40μm)に加えて、10μm厚の感光性樹脂組成物の塗膜を形成した。
(2)そして、この感光性樹脂組成物の塗膜に、プリント配線用の50μmライン&スペースのテストパターンフィルムを真空密着処理し、4kWの超高圧水銀灯で1mの距離から120s(秒)間の露光処理を行った。
(3)それから、露光後のスクリーン版を25℃の水に3min間浸漬して未露光部の大部分を溶出させ、さらに25℃の水を6kg/cm2の水圧のスプレーガンにより30cmの距離から噴射して画線部に残存する感光性樹脂を除去した。
(4)次に、40℃の温風で15min間乾燥して、図1に示すように、50μmプリント配線用の細線パターン(幅50μmの樹脂被膜が形成された部分1aと、幅50μmの樹脂被膜が形成されていない部分1bから形成される細線印刷用のパターン)1を有するスクリーン印刷版2を作製した。
【0050】
<スクリーン印刷版の評価>
それから、このスクリーン印刷版のスクリーンメッシュ部を電子顕微鏡(日立製作所製FE−SEM;S−4000)を用いて観察したところ、図2に示すように、スクリーンメッシュ部3に有機残渣の付着は認められなかった。
【0051】
また、この感光性樹脂組成物をSUS304のステンレス板(ニラコ製)5cm×5cmの正方形の評価板に厚みが10μmとなるように塗布して、40℃で乾燥し、前述と同様の方法で水現像し、乾燥後に有機残渣付着量を測定した結果、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
【0052】
そして、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μmの配線パターンを断線なく印刷することが可能できた。
なお、この実施例1の感光性樹脂組成物に使用したDPCAの皮膚刺激性を表すP.I.I値は0.1と低く、作業者及び環境に対しても安全な材料であることが確認されている。
【0053】
[実施例2]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度3000、けん化度70mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)250gと、光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)250gの合計500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のDPHA・DPCA溶液(アクリル樹脂溶液)300g(PVA:DPHA以外のアクリルの固形分比率=50:50(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0054】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
実施例2の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められず、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
【0055】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
また、この感光性に使用したDPHA及びDPCAの皮膚刺激性を表すP.I.I値は0.54(DPHA)、及び0.1(DPCA)と低く、作業者及び環境に対しても安全な材料であることが確認されている。
【0056】
[実施例3]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)1000gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン10gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル10gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液600gと、上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)810g(PVA:アクリルの固形分比率=10:90(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0057】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
実施例3の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められず、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
【0058】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を導電成分として含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、50μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
【0059】
[比較例1]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液225g(PVA:アクリルの固形分比率=40:60(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例1の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0060】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例1の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、図3に示すように、スクリーンメッシュ部3に有機残渣4の付着が認められた。また、有機残渣量は2.9mg/cm2であった。
【0061】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、印刷10ショット目程度でも50μmラインに「かすれ」が発生し、20ショット目では導電性ペーストの詰まりが発生して50μmラインに断線が発生した。
【0062】
この比較例1の結果より、アクリル種として、カプロラクトン基を有しないモノマー(DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート))を用いた場合には、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留し、好ましくないことがわかる。
【0063】
[比較例2]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な3つのアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液450g(PVA:アクリルの固形分比率=25:75(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例2の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0064】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例2の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着が認められた。また、有機残渣量は1.2mg/cm2であった。
【0065】
また、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、印刷20ショット目程度でも50μmラインに「かすれ」が発生し、100ショット目では導電性ペーストの詰まりが発生して50μmラインに断線が発生した。
なお、この感光性に使用したPETAの皮膚刺激性を表すP.I.I値は3.4と大きく、作業者及び環境に対しても影響が大きく、好ましくないものである。
【0066】
この比較例2の結果より、アクリル種として、3つのアクリロイル基を有し、カプロラクトン基を有しないモノマー(PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート))を用いた場合には、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留し、好ましくないことがわかる。
【0067】
[比較例3]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度99mol%の完全けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な3以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の完全けん化ポリビニルアルコール水溶液800gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液180g(PVA:アクリルの固形分比率=40:60(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させ乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例3の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0068】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例3の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製しようとしたが、感光性樹脂組成物を塗布、感光した後の水現像の工程で、感光性樹脂組成物(の塗膜)を十分に現像することができず、良好な画像形成を行うことができなかった。
【0069】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度が95mol%を超えると水現像の工程で、感光性樹脂組成物(の塗膜)を十分に現像することができず好ましくないことがわかる。
【0070】
[比較例4]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度65mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な3以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液800gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液180g(PVA:アクリルの固形分比率=40:60(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例4の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0071】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例4の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製しようとしたが、感光性樹脂組成物の粘度が低すぎて、必要な塗膜厚みの樹脂被膜(パターン)を形成することが困難であった。
【0072】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度が70mol%未満の場合の場合、感光性樹脂組成物の粘度が低すぎて、必要な厚みの樹脂被膜を形成することができず好ましくないことがわかる。
【0073】
[比較例5]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液100g(PVA:アクリルの固形分比率=60:40(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持して乳化させることにより、乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、比較例5の感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
【0074】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
比較例5の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例1の場合と同様の方法でスクリーン印刷版を作製した。
そして、得られたスクリーン印刷版について、上記実施例1の場合と同様の方法で、有機残渣の付着状態や付着量、印刷性などについて評価を行った。
その結果、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められず、有機残渣量は0.0mg/cm2であった。
しかし、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷したところ、印刷100ショット目付近で、パターン(樹脂被膜)の膨潤による導電性ペーストのにじみが発生した。
【0075】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の、PVAとアクリルの合計量に対する割合が50重量%を超える(すなわち、この比較例5では、PVA:アクリルの固形分比率=60:40(重量比))場合、すなわち、アクリルに由来する固形分の割合が50重量%未満の場合には、耐溶剤性及び耐水性が不十分になり、耐用性が低下することがわかる。
【0076】
[比較例6]
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1500、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)次に、上記(1)のポリビニルアルコール水溶液300gと、上記(2)のアクリル樹脂溶液855g(PVA:アクリルの固形分比率=5:95(重量比))を、プロペラ式の撹拌機(スリーワンモーター:Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持させたが、高粘度になりすぎ、均一な乳化組成物(O/W型(水中油滴型)乳化組成物)が得られなかった。
【0077】
この結果より、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の、PVAとアクリルの合計量に対する割合が10重量%未満(この比較例6では、PVA:アクリルの固形分比率=5:95(重量比))の場合、すなわち、アクリルに由来する固形分の割合が90重量%を超える場合には、均一な乳化組成物が得られないことがわかる。
【0078】
[実施例4]
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、モノマー溶液を混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高圧ホモジナイザーを使用した実施例(感光性樹脂組成物の組成は実施例1と同じ)について説明する。
【0079】
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度500、けん化度95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは水難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)500gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン5gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル5gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液1000gと上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)450g(PVA:アクリルの固形比率=25:75(重量比))を、高圧ホモジナイザー;マイクロフルイダイザー(Microfluidcs社製)を使用して圧力150MPa、流速350ml/min、乳化処理時間5、10、15、30及び60min、冷却水温度10℃で乳化させることにより、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
また、比較のため、(4)の工程において、高圧ホモジナイザーに代えて、スリーワンモーター(Heidon製)を用い、高速回転(500rpm)で60min保持した以外は実施例4と同様の方法により感光性乳化組成物を作製した。
【0080】
<感光性樹脂組成物の評価>
レーザー回折式粒度分布計:マイクロトラック(日機装)を使用して、得られた感光性樹脂組成物の粒度分布の測定を行った。平均粒径(d50)及び(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率は、以下の表1に示す結果となった。
【0081】
<スクリーン印刷版の作製>
次に、この実施例4の感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法により、スクリーン印刷版を作製した。
(1)実施例4の感光性樹脂組成物を、ステンレス(SUS304)製の#400のスクリーンメッシュに、バケットを用いて塗布した。
感光性樹脂組成物を塗布するにあたっては、スキージ面側に1回塗布、プリント面側に3回塗布し、40℃で乾燥して成膜した。そして、この操作を3回繰り返して、スクリーンメッシュの厚み(40μm)に加えて、10μm厚の感光性樹脂組成物の塗膜を形成した。
(2)そして、この感光性樹脂組成物の塗膜に、プリント配線用の50μm及び25μmライン&スペースのテストパターンフィルムを真空密着処理し、4kWの超高圧水銀灯で1mの距離から120s(秒)間の露光処理を行った。
(3)それから、露光後のスクリーン版を25℃の水に3min間浸漬して未露光部の大部分を溶出させ、さらに25℃の水を6kg/cm2の水圧のスプレーガンにより30cmの距離から噴射して画線部に残存する感光性樹脂を除去した。
(4)次に、40℃の温風で15min間乾燥して、50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版を作製した。
【0082】
<スクリーン印刷版の評価>
上述の方法で作成した50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版のスクリーンメッシュ部を電子顕微鏡(日立製作所製FE−SEM;S−4000)を用いて観察したところ、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められなかった。
また、有機残渣量も実施例1と同様に、0.0mg/cm2であった。
そして、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μm及び25μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
【0083】
なお、図4は、25μmのプリント配線用の細線パターン(幅25μmの樹脂被膜が形成された部分5aと、幅25μmの樹脂被膜が形成されていない部分5bから形成される細線印刷用のパターン)5を有するスクリーン印刷版6を示す。
さらに、表1に分散条件(平均粒径及び分布比率)と解像性についての評価結果を示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1より、実施例1の条件に、さらにエマルジョン平均粒径(d50):2μm以下、(d90−d10)/d50で示される分布比率:1.00以下の条件を付加したものは、実施例1では解像しなかった25μmの極細線印刷用のパターンの解像が可能であることが分かる。
【0086】
[実施例5]
部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、モノマー溶液を混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高速ホモミキサーを使用した実施例(感光性樹脂組成物の組成は実施例3と同じ)について説明する。
【0087】
<感光性樹脂組成物の作製>
(1)重合度1700、けん化度88mol%の部分けん化ポリビニルアルコール150gを純水850gに完全に溶解して、15重量%ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
(2)また、光活性な6以上のアクリロイル基及びカプロラクトン基を有する水不溶性あるいは難溶性の化合物モノマー;DPCA(ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加アクリレート)1000gに対して、2,4−ジエチルチオキサントン10gと、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル10gとを完全に溶解した。
(3)また、ポリビニルアルコールの固形分の10重量%に相当する量のジアゾ樹脂粉末を純水に溶解して、濃度が10重量%のジアゾ樹脂水溶液を作製した。
(4)次に、上記(1)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液600gと、上記(2)のDPCA溶液(アクリル樹脂溶液)810g(PVA:アクリルの固形分比率=10:90(重量比))を、高速ホモミキサー;T.K Homo Mixer“2M−03”(特殊機化製)を使用してパドル回転数10,000rpm、乳化処理時間5、10、15、30及び60min、冷却水温度10℃で乳化させ、O/W型(水中油滴型)乳化組成物を得た。
(5)それから、上記(3)のジアゾ樹脂水溶液と、赤色染料(オリヱント化学:WaterRed−1)を、上記(4)のO/W型(水中油滴型)乳化組成物に添加して、感光性樹脂組成物(感光性乳剤)を得た。
また、比較のため、(4)の工程において、高速ホモミキサーに代えて、スリーワンモーター(Heidon製)で高速回転(500rpm)で60min保持した以外は実施例5と同様の方法により感光性乳化組成物を作製した。
【0088】
<感光性樹脂組成物の評価>
マイクロトラック粒度分布計を使用して、得られた感光性樹脂組成物の粒度分布の測定を行った。平均粒径(d50)及び(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率は、以下の表2に示す結果となった。
【0089】
<スクリーン印刷版の作製及び評価>
実施例5の感光性樹脂組成物を用いて、上記実施例4の場合と同様の方法で50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版を作製した。
上述の方法で作成した50μm及び25μmのプリント配線用の細線パターンを有するスクリーン印刷版のスクリーンメッシュ部を電子顕微鏡(日立製作所製FE−SEM;S−4000)を用いて観察したところ、実施例4と同様に、スクリーンメッシュ部に有機残渣の付着は認められなかった。
また、有機残渣量も実施例4と同様に、0.0mg/cm2であった。
そして、このスクリーン印刷版を用いて、粒径1μmの銅粉末を含有する導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷した。その結果、10,000枚の印刷を行った後においても、幅50μm及び25μmの配線パターンを断線なく印刷することができた。
表2に分散条件(平均粒径及び分布比率)と解像性についての評価結果を示す。
【0090】
【表2】
【0091】
表2より、実施例3の条件に、さらにエマルジョン平均粒径(d50):2μm以下、(d90−d10)/d50で示される分布比率:1.00以下の条件を付加したものは、実施例3では解像しなかった25μmの極細線印刷用のパターンの解像が可能であることが分かる。
【0092】
なお、本願発明は、上記実施形態及び実施例1〜5に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0093】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)の感光性樹脂組成物は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤と、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、ジアゾ光架橋剤とを含有しているので、スクリーン印刷版の製造に用いた場合に、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせないようにすることが可能になる。
すなわち、本願請求項1の発明においては、カプロラクトン基を有するアクリル樹脂を使用しているので、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部への有機残渣の発生が抑制、防止されるため、スクリーンメッシュに所望のパターンを有する樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことができるようになる。
したがって、作業者及び環境に対して優しく、高精度のファインラインの画像形成が可能で、しかも、水現像可能な感光性樹脂組成物を提供することが可能になる。
【0094】
また、請求項2の感光性樹脂組成物のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、モノマーが液滴として分散した乳化状態で使用することにより、感光性樹脂組成物をスクリーン印刷版の製造に用いた場合におけるスクリーンメッシュ部への有機残渣の発生をさらに確実に抑制、防止することが可能になる。
【0095】
また、請求項3の感光性樹脂組成物のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分と、光重合開始剤及びモノマーの総添加量に対して、感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中における、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分の割合を10〜50重量%、光重合開始剤及び上記モノマーの割合を50〜90重量%の範囲とすることにより、スクリーン印刷版の製造に用いた場合において、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせることなく、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0096】
また、請求項4の感光性樹脂組成物のように、エマルジョン粒子の平均粒径(d50)を2μm以下、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率を1.00以下にした場合、スクリーンメッシュ部に有機残渣を生じさせることなく、例えば、50μmライン&スペース、さらには25μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【0097】
また、請求項5の感光性樹脂組成物のように、印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版の製造に本願発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、スクリーンメッシュ部に有機残渣が残留することを抑制、防止して、所望のパターンの樹脂被膜を確実に形成することが可能になり、例えば、50μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成が可能になる。
【0098】
また、本願発明(請求項6)のスクリーン印刷版は、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を塗布して、感光し、現像することにより形成された所定のパターンを有する樹脂被膜を備えており、本願発明のスクリーン印刷版を用いることにより、50μmライン&スペースというような高精度のファインライン印刷を行うことが可能になる。その結果、電子部品の小型化、高機能化の要求に答えることが可能になる。
【0099】
また、本願発明(請求項7)の感光性樹脂組成物の製造方法は、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解した、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマーとの混合溶液と、を混合乳化させて得られるエマルジョンを得て、このエマルジョンにジアゾ光架橋剤水溶液を添加して混合するようにしているので、本願発明の感光性樹脂組成物を確実に製造することが可能になる。
【0100】
また、請求項8の感光性樹脂組成物の製造方法のように、部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解したモノマー溶液とを混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーを使用することによって、特に25μmライン&スペースというような高精度のファインラインの画像形成を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例にかかるスクリーン印刷版を示す顕微鏡写真である。
【図2】有機残渣の発生していない本願発明の一実施例(実施例1)にかかるスクリーン印刷版の要部を示すSEM像である。
【図3】有機残渣の発生している比較例(比較例1)のスクリーン印刷版の要部を示すSEM像である。
【図4】本願発明の実施例4において作製した25μm極細線解像スクリーン印刷版を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 50μmプリント配線用の細線パターン
1a 幅50μmの樹脂被膜が形成された部分
1b 幅50μmの樹脂被膜が形成されていない部分
2 スクリーン印刷版
3 スクリーンメッシュ部
4 有機残渣
5 25μmプリント配線用の細線パターン
5a 幅25μmの樹脂被膜が形成された部分
5b 幅25μmの樹脂被膜が形成されていない部分
6 スクリーン印刷版
7 スクリーンメッシュ部
Claims (8)
- (a)けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、
(b)光重合開始剤と、
(c)6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基を有するモノマーと、
(d)ジアゾ光架橋剤と
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。 - 前記部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中に、前記(b)の光重合開始剤を溶解させた前記(c)のモノマーが、液滴として分散した乳化状態で使用されるものであることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分と、前記(b)の光重合開始剤及び前記(c)のモノマーの総添加量に対して、前記感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜中に、前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液中の固形分が10〜50重量%、前記(b)の光重合開始剤及び前記(c)のモノマーが50〜90重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(a)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、光重合開始剤が溶解した前記(c)のモノマー溶液を混合・乳化して得られたエマルジョン粒子の平均粒径(d50)が2μm以下であり、(d90−d10)/d50で示されるエマルジョン粒径の分布比率が1.00以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版の製造に用いられる感光性樹脂組成物であって、前記樹脂被膜の形成に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 印刷用ペーストを通過させない所定のパターンを有する樹脂被膜を備えたスクリーン印刷版であって、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の塗膜を、感光し、現像することにより形成された所定のパターンの樹脂被膜を備えていることを特徴とするスクリーン印刷版。
- (A)けん化度70〜95mol%の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液を用意する工程と、
(B)光重合開始剤が溶解した、6以上のアクリロイル基及び1以上のカプロラクトン基とを有するモノマー溶液を用意する工程と、
(C)ジアゾ光架橋剤水溶液を用意する工程と、
(D)前記(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、前記(B)の光重合開始剤が溶解したモノマー溶液を混合、乳化してエマルジョンを得る工程と、
(E)前記(D)で得られたエマルジョンと、前記(C)のジアゾ光架橋剤水溶液とを混合する工程と
を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物の製造方法。 - 前記(A)の部分けん化ポリビニルアルコール水溶液と、前記(B)の光重合開始剤が溶解したモノマー溶液を混合し、乳化してエマルジョンを得る工程において、高圧ホモジナイザー又は高速ホモミキサーのいずれかを使用することを特徴とする請求項7に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
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JP2010066613A (ja) * | 2008-09-12 | 2010-03-25 | It Corporation:Kk | スクリーン印刷用製版及びその製造方法 |
KR20150039076A (ko) | 2013-10-01 | 2015-04-09 | 제이에스알 가부시끼가이샤 | 하드 코팅 필름의 제조 방법 |
-
2003
- 2003-06-23 JP JP2003178020A patent/JP2004272190A/ja not_active Withdrawn
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