JP2004271362A - 携帯時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】胴13に、胴内面13a及び胴外面13bに開口するパイプ取付け孔17と、この孔に開放すると共に胴内面及び胴外面に開放するピン受け溝19とを設ける。巻真パイプ21は、係合溝25を有して胴の内側に配置される内側端部22aと、竜頭31が取外し可能に螺合される雄ねじ部23aを有して胴の外側に配置される胴外側端部23と、パイプ21の外周面に開放して受け溝19と対向するピン受け溝24とを有する。パイプ21を胴の外側から孔17に出し入れ可能に遊挿する。パイプ21を回り止めする回り止めピン26を両受け溝19、24に渡って配置する。パイプ21を抜け止めするパイプストッパ27を係合溝25に取外し可能に係合する。これにより竜頭31及びパイプ21を単独に交換可能としている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、竜頭が不用意に回転されないように保持する構造を備えた携帯時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイバーズウォッチ等の携帯時計では、その携帯時に竜頭が不用意に回転されないように、ねじの噛合いを利用して竜頭をロックする構造(この構造を本明細書ではねじロック構造と称する。)が採用されている。
【0003】
ねじロック構造は、時計ムーブメントが内蔵された胴に巻真パイプを取付け、このパイプの胴外側端部の外周に形成された雄ねじ部に、胴外側端部に被嵌する竜頭主部の雌ねじ部を螺合する構造である。これにより、通常時には、竜頭主部を胴外側端部の外周にねじ込んで竜頭をロックできる。又、時計ムーブメントを操作する時には、雄ねじ部に対する竜頭主部のねじ込みを外してから、竜頭を引き動かして巻真パイプの内側に配置されている巻真を回転操作することができる。
【0004】
このようなねじロック構造を備えた従来の携帯時計では、一般に、胴に対して巻真パイプをろう付けすることにより、巻真パイプ取付け部の防水を図っている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この他に、竜頭が螺合される雄ねじ部とは別の雄ねじ部を巻真パイプの軸方向中間部に設けて、この別の雄ねじ部を胴のパイプ取付け孔にねじ込むとともに、このねじ込みに伴い胴と巻真パイプとの間に防水パッキンを挟み込んで、巻真パイプ取付け部の防水を図った携帯時計も知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−46181号公報(第1頁右欄第8行〜第2頁左欄第7行、第1図、第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ねじロック構造を備える携帯時計では、竜頭が繰返し回転操作されること等により、互いに螺合する竜頭の雌ねじ部と巻真パイプの雄ねじ部とが摩耗したり、削れたりして、ねじロックの機能が低下することがある。
【0008】
このような事態に至った場合、胴に巻真パイプがろう付けされている特許文献1の携帯時計では、巻真パイプの胴からの取外しを伴う竜頭回りの部品交換ができない。それにより、胴を含めた時計外装組立の交換を余儀なくされており、その改善が求められている。
【0009】
胴に巻真パイプをねじ込んだ時計では、原理的には巻真パイプを含めた竜頭周りの部品交換が可能であると考えられている。しかし、竜頭を巻真パイプに螺合させたり、この螺合を外したりするたびに、巻真パイプには回転力が作用するので、それに伴って胴に対する巻真パイプのねじ込みが緩んで、防水パッキンによる防水性が低下するおそれがある。
【0010】
この対策として、巻真パイプと胴との螺合部に接着剤を充填することが行われることがある。このように接着止めされる場合には、巻真パイプを胴から取外すことが困難となり、実際上は竜頭回りの部品交換ができなくなる。それにより、ねじロック機能が低下した場合に、胴を含めた時計外装組立の交換を余儀なくされており、その改善が求められている。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、ねじロック機能が低下した場合に竜頭周りの部品交換を可能とした携帯時計を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、胴に、胴内面及び胴外面に開口するパイプ取付け孔と、この取付け孔に開放するとともに胴内面及び胴外面の少なくとも一方に開放するピン受け溝とを設ける。巻真パイプを胴の外側からパイプ取付け孔に出し入れ可能に遊挿するとともに、この巻真パイプを、胴の内側に配置される係合溝付きの胴内側端部を有した挿入部と、竜頭が取外し可能に螺合する雄ねじ部を有して胴の外側に配置される胴外側端部と、挿入部の外周面に開放して前記ピン受け溝と対向する他のピン受け溝とを有した構成とする。更に、回り止めピンを胴及び巻真パイプの両ピン受け溝に渡って配置して巻真パイプを回り止めするともに、胴内側端部の係合溝にパイプストッパを取外し可能に係合して巻真パイプの抜け止めをしたことを特徴としている。
【0013】
本発明及び以下の各発明で、胴及び巻真パイプは金属例えばステンレス鋼等の材料で好適に作ることができるが、これに制約されず合成樹脂製とすることも可能である。本発明で、巻真パイプがパイプ取付け孔に「遊挿」されるとは、巻真パイプがパイプ取付け孔に非圧入状態に挿入されていて、この取付け孔に対する挿入部の胴外側からの出し入れを可能とする挿入状態を指している。この挿入状態で、巻真パイプとパイプ取付け孔との間に若干の隙間(遊び)を設けることは好ましいが、この隙間は実質的になくてもよい。本発明及び以下の各発明で、パイプストッパは、それ自体単独でストッパ部品として機能できるC形やE形の止め輪、環状のナット等を使用できる他、時計ムーブメントを支持するために胴内側(胴の内部空間)に配置される合成樹脂製等の内枠にU字状の溝を有した板部を一体に成形し、この板部をパイプストッパとして使用することも可能である。この場合、U字状の溝を巻真パイプの胴内側端部の係合溝に嵌めることによって、前記板部をパイプストッパとして機能させることが可能である。更に、パイプストッパの種類に応じて、胴内側端部の係合溝は環状の溝やねじ溝などで形成できる。
【0014】
本発明で、胴のパイプ取付け孔に遊挿された巻真パイプは、このパイプ及び胴の双方に引っ掛かっている回り止めピンで胴に対して回り止めされているとともに、胴内側に配置したパイプストッパで胴外側に抜け止めされている。すなわち、巻真パイプは固定されることなく胴に取付けられている。このため、メンテナンスにおいてパイプストッパを外した状態では、パイプ取付け孔に遊挿されている巻真パイプを胴外側に引抜くことができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記胴のピン受け溝が前記胴内面に開放されているとともに、前記巻真パイプのピン受け溝が前記挿入部の先端面に開放されているので、回り止めピンを、巻真パイプの胴外側端部に邪魔されることなく、胴内側から出し入れできる点で優れている。
【0016】
本発明の好ましい形態では、巻真パイプのピン受け溝の前記胴外側端部寄りの溝端と前記パイプストッパとで前記回り止めピンが軸方向に挟まれているので、回り止めピンを外れ止めし所定位置に保持するために、それ専用の部品を要しない点で優れている。
【0017】
又、前記課題を解決するために、本発明は、胴に、胴内面及び胴外面に開口する非円形のパイプ取付け孔を設ける。外周形状がパイプ取付け孔に対応した非円形に形成された巻真パイプを、胴の外側からパイプ取付け孔に出し入れ可能に遊挿するとともに、この巻真パイプを、胴の内側に配置される係合溝付きの胴内側端部を有した挿入部と、竜頭が取外し可能に螺合する雄ねじ部を有した胴外側端部とを備えた構成とする。更に、胴内側端部の係合溝にパイプストッパを取外し可能に係合して巻真パイプの抜け止めをしたことを特徴としている。
【0018】
本発明で、巻真パイプの外周面が非円形であるとは、巻真パイプの外周面に軸方向に延びる溝条や凸条が1以上形成された形状、或いは多角形であることを含んでいる。同様に、巻真パイプが遊挿されるパイプ取付け孔が非円形であるとは、パイプ取付け孔の内周面に軸方向に延びる凸条や溝条が1以上形成された形状、或いは多角形であることを含んでいる。
【0019】
本発明で、胴のパイプ取付け孔に遊挿された巻真パイプは、このパイプ及びパイプ取付け孔の双方が非円形であることにより、胴に対して回り止めされているとともに、胴内側に配置したパイプストッパで胴外側に抜け止めされている。すなわち、巻真パイプは固定されることなく胴に取付けられている。このため、メンテナンスにおいてパイプストッパを外した状態では、パイプ取付け孔に遊挿されている巻真パイプを胴外側に引抜くことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0021】
図1中符号11は竜頭のねじロック構造を備える携帯時計としてのダイバーズウォッチを示しており、このウォッチ11は時計外装組立12内に図示しない時計ムーブメント等を収容している。時計ムーブメントは、小型電池やぜんまいを動力にしたもの、又は自動巻きのもの、若しくはクォーツ発振モジュールにより文字板上で時刻等をデジタル表示するデジタル時計対応のもの、或いはデジタル時計対応のものとそれ以外のものとを併用したもの等のいずれであってもよい。
【0022】
時計外装組立12は、環状をなす金属製の胴13の表面に、カバーガラス14を液密に装着するとともに、胴13の裏面に、金属等からなる裏蓋15(図2参照)を液密に装着して形成されている。カバーガラス14を通して文字板16などを透視可能であり、裏蓋15は取外し可能である。
【0023】
図2に示すように胴13には、この胴13を半径方向に貫通するパイプ取付け孔17が設けられている。パイプ取付け孔17の一端は、胴内側、つまり時計外装組立12の内部空間に臨んだ胴内面13aに開口され、パイプ取付け孔17の他端は、時計外装組立12の外部に臨んだ胴外面13bに開口されている。胴13の外側面13bは円形の凹部18を有している。この凹部18は、パイプ取付け孔17より大径で、この孔17の胴外側開口に連通し、かつ、この開口と同心的に設けられている。
【0024】
更に、胴13にはピン受け溝19がパイプ取付け孔17と平行に設けられている。ピン受け溝19は、パイプ取付け孔17に開放されているとともに、その一端及び他端を胴内面13a及び胴外面13bの凹部18に夫々開放して形成されている。
【0025】
図2及び図3中符号21は、金属製の巻真パイプを示している。このパイプ21は、パイプ取付け孔17を貫通して胴外側から出し入れ可能に胴13に取付けられている。
【0026】
詳しくは、巻真パイプ21は、パイプ取付け孔17に遊挿される挿入部22と、胴外側に配置される胴外側端部23と、挿入部22に形成されたピン受け溝24とを有している。
【0027】
挿入部22の外径はパイプ取付け孔17より僅かに小さい。これにより、パイプ取付け孔17と挿入部22との間に、パイプ取付け孔17に対する挿入部22の挿脱を可能とするための遊びつまり僅かな隙間(図示しない)が作られるようになっている。胴外側端部23から最も隔たった挿入部22の先端部は胴内側端部22aをなしている。巻真パイプ21が胴外側端部23で軸方向に位置決めされた際に、胴内側端部22aが胴13の内部空間(胴内側)に突出して配置される長さを、挿入部22は有している。
【0028】
胴外側端部23は、挿入部22の胴内側端部22aとは反対の端に一体に設けられている。胴外側端部23は、凹部18より大径であり、その外周面には雄ねじ部23aが形成されている。胴外側端部23の挿入部22寄りの面は、巻真パイプ21の軸線方向と直交していて、胴外面13bに接する当り面23bとして使用されるようになっている。
【0029】
挿入部22の胴内側端部22aの根元、すなわち、胴内側端部22aの胴13から胴内側に突出した部分の胴内面13a寄りの部分には、この端部22aの外周面に開放する例えば環状の係合溝25が形成されている。
【0030】
ピン受け溝24は、挿入部22の軸方向に沿って延びて設けられていて、この挿入部22の外周面に開放している。ピン受け溝24は係合溝25を横切っていて、胴内側に臨む挿入部22の先端面に開放されている。このピン受け溝24は、胴13のピン受け溝19に対応して作られたものであって、ピン受け溝19と向かい合って例えば円形の孔を作るようになっている。なお、図2中符号24aはピン受け溝24の胴外側端部23寄りの溝端を示している。
【0031】
パイプ取付け孔17に挿入された巻真パイプ21は回り止めピン26で胴13に対して回り止めされている。このピン26は、両ピン受け溝19、24が作った前記円形の孔に例えば胴内側から挿入されることによって、両ピン受け溝19、24にわたって配置され、胴13に対する巻真パイプ21の周方向の回転を阻止する回り止めストッパとして機能する。
【0032】
係合溝25にはE形止め輪等からなるパイプストッパ27が取外し可能に係合されている。パイプストッパ27は、胴内面13aに接して、パイプ取付け孔17に対する胴外側への巻真パイプ21の抜け止めとして機能している。パイプストッパ27は、胴外側端部23とともにパイプ取付け孔17の周りを胴13の内外から挟んで、胴13に巻真パイプ21を取付けている。更に、パイプストッパ27は、ピン受け溝24の溝端24aとの間に回り止めピン26を軸方向に挟んでいる。このようにパイプストッパ27とピン受け溝24の溝端24aとを利用して回り止めピン26を所定位置に外れ止めしているために、それ専用の部品を要しない。
【0033】
図2中符号28はゴム製の環状防水パッキンを示している。このパッキン28は、凹部18に嵌入し、この凹部18の奥面と胴外側端部23の当り面23bとの間に弾性変形した状態で挟まれていて、胴13と巻真パイプ21との間の防水を担っている。
【0034】
胴13への巻真パイプ21の取付けは次の手順で行われる。まず、凹部18に防水パッキン28を嵌入させた状態、又は、巻真パイプ21の挿入部22の外周に防水パッキン28を嵌合させた状態で、胴13と巻真パイプ21のピン受け溝19、24が互いに対向するように位置合わせしながら、胴外側から挿入部22をパイプ取付け孔17に挿通させる。挿入部22のパイプ取付け孔17への挿入は、胴外側端部23の当り面23bが胴外面13bに当たることにより規制される。これと同時に、胴内側端部22aの係合溝25が胴内面13aに対して適正に位置決めされる。以上の挿入に伴い、自由状態の防水パッキン28が圧縮されるとともに、挿入部22の胴内側端部22aが胴13の内側(胴13の内側空間)に突出する。
【0035】
次に、胴内側端部22aの先端面に開放しているピン受け溝24をガイドとして、この溝24と胴13のピン受け溝19とが作っている孔に、胴内側から回り止めピン26を挿入する。挿入された回り止めピン26はピン受け溝19、24の双方に引っ掛かる。このため、回り止めピン26を介して巻真パイプ21が胴13に対して回り止めされる。
【0036】
この後、パイプストッパ27を胴内面13aに沿わせながら胴内側端部22aの係合溝25に嵌め付ける。これにより、パイプストッパ27の抜け止め作用で、胴13に対して巻真パイプ21が胴外側に抜けないように保持される。
【0037】
以上の手順で胴13への巻真パイプ21の取付けが完了する。なお、胴内側から回り止めピン26を差し込むことに代えて、回り止めピン26を予めピン受け溝24を嵌めて保持した状態で、このピン26を挿入部22とともにパイプ取付け孔17及びピン受け溝19に胴外側から挿入した後に、胴内側で挿入部22にパイプストッパ27を取付けて、胴13への巻真パイプ21の取付けを行うこともできる。
【0038】
胴13に巻真パイプ21が取付けられた状態は図2に示されている。この状態では、防水パッキング28の弾性反発力で巻真パイプ21が胴外側に付勢されていて、胴外面13bに接している胴外側端部23と胴内面13aに接しているパイプストッパ27とが、パイプ取付け孔17の周りを胴13の内外から挟んでいる。このため、胴13に対して巻真パイプ21は軸方向にがたつきなく取付けられている。更に、胴13に対して巻真パイプ21は、既述のように回り止めピン26で回り止めされている。したがって、巻真パイプ21は、ろう付けや接着剤で固定されることなく胴13に取付けられている。
【0039】
このため、既述の組立と逆の手順でメンテナンスの際等に胴13から巻真パイプ21を取外すことが可能である。この取外しは、裏蓋15を取外した状態で、胴内側のパイプストッパ27を外して、パイプ取付け孔17に遊挿されている巻真パイプ21を胴外側に引抜くことで実施できる。
【0040】
図1中符号31で示す竜頭は、金属製であって、図2に示すように竜頭主部32と、この中央部から軸方向に一体に延びる竜頭筒部33とを有している。竜頭主部32には、竜頭筒部33の根元側部分を囲む環状の逃げ溝34が設けられているとともに、この溝34の内周面にねじロックのための雌ねじ部35が形成されている。逃げ溝34は、巻真パイプ21の胴外側端部23及び外装パイプ26が挿入される部分である。雌ねじ部35は、胴外側端部23の雄ねじ部23aに取外し可能に螺合される。この螺合により、このウォッチ11の携帯時に竜頭31が不用意に回転されないようにねじロックする機能が発揮される。
【0041】
竜頭筒部33は胴外側から巻真パイプ21に挿入されている。この筒部33の外周に形成された環状のパッキン取付け溝には、ゴム製の環状防水パッキン36が取付けられている。防水パッキン36は、巻真パイプ21の内周面と竜頭筒部33の外周面との間に圧縮状態に弾性変形して挟まれ、これらの間の防水を担っている。竜頭筒部33内には胴内側から時計ムーブメントの巻真37が挿入されているとともに、この巻真37をばね受け38を介して軸方向に付勢するコイルばね39が収容されている。時計ムーブメントは、雄ねじ部23aに対する雌ねじ部35のかみ合いを外した状態、言い換えれば、ねじロックが解除された状態で、竜頭31の回転操作に連動して回転される。これにより、時刻合わせ等が行われるようになっている。
【0042】
なお、竜頭31は、その竜頭筒部33を、これに巻真37が接続された状態で胴外側から巻真パイプ21内に挿入するとともに、竜頭主部32の雌ねじ部35を巻真パイプ21の雄ねじ部23aに螺合して締付けることで、取付けられる。竜頭31が雄ねじ部28に最も深くねじ込まれた状態で、竜頭主部32は、図2に示されるように胴13の外側面13bに当接して位置決めされ、胴外側端部23を覆い隠す。以上の手順の後に、巻真37と時計ムーブメントとの接続がなされる。
【0043】
この組立て完了状態では以下のように高圧防水機能を発揮しかつ維持できる。すなわち、巻真パイプ21と胴13との間の防水は、これらの間に圧縮状態に弾性変形された防水パッキン28により確保でき、巻真パイプ21とこの内側に挿入された竜頭筒部33との間の防水は、これらの間に圧縮状態に弾性変形して挟まれた防水パッキン36により確保できる。
【0044】
図2に示すダイバーズウォッチ11の組立状態では、竜頭31が巻真パイプ21の胴外側端部23が有する雄ねじ部23aにかみ合ってねじロックされているので、携帯中に不用意に竜頭31が回されて、時刻表示などが変化することを防止できる。時刻合わせ等を行う場合には、竜頭31を逆回転させて胴外側端部23に対する竜頭主部32の噛み合いを外して、竜頭31をコイルばね39のばね力に抗して引出した状態で行うことができる。
【0045】
竜頭31の操作に伴い、雄ねじ部28及びこれに螺合した雌ねじ部35の損傷や摩耗等により竜頭31のねじロック機能が低下した場合には、以下のように対処できる。
【0046】
すなわち、竜頭31を外した状態で、既述のようにパイプストッパ27を、巻真パイプ21の胴内側端部22aの係合溝25から取外すことにより、胴13に分離不能に固定されることなく遊挿されている巻真パイプ21を、軸方向に沿って胴外側に引出すことができる。
【0047】
このため、メンテナンスにおいて巻真パイプ21及び竜頭31の交換が必要な場合には、巻真パイプ21及び竜頭31を単独に交換可能である。これにより、修理の依頼者にとっては、胴13等を含めた時計外装組立12の交換を余儀なくされることなく、部品交換で対応することが可能となるので、費用負担を少なくできる。更に、巻真パイプ21の交換を伴うか否かに拘らず、メンテナンスにおいて胴外面13bをバフ研摩等により磨いて胴13をきれいにする場合に、巻真パイプ21等を容易に取外して、その胴外側端部23が磨き作業の邪魔にならない状態で行うことが可能である。このため、磨き作業がし易く、かつ、胴外面13bを確実に磨くことができる。
【0048】
又、組立てられた状態では、巻真パイプ21に取付けられたパイプストッパ27と巻真パイプ21の胴外側端部23とで、胴13のパイプ取付け孔17の周りが内外から挟まれている。このため、携帯時計11が落下した場合等に衝撃が加わっても、胴13に対して巻真パイプ21が軸方向にがたつくことを防止できる。
【0049】
更に、既述のように胴13への巻真パイプ21の取付けにおいては、巻真パイプ21をねじ込む必要がないので、巻真パイプ21に胴13への取付けに伴うストレスが掛かることが抑制される。このため、巻真パイプ21に必要とされる強度なども下げることができるに伴い、巻真パイプ21の材料や肉厚などの設計上の自由度を大きくすることが可能である。しかも、巻真パイプ21にピン受け溝19を作る加工は、ねじ部を作る加工に比較して容易であり、巻真パイプ21に対する雄ねじ部の加工、及びパイプ取付け孔17に対する雌ねじ部の加工が不要となるので、加工コストを低減することが可能である。
【0050】
なお、第1実施形態において、パイプ取付け孔17に開放する胴13のピン受け溝19は、胴内面13aに一端が開放し他端が閉じられた構成、或いは、胴外面13bに一端が開放し他端が閉じられた構成としてもよい。
【0051】
図4は本発明の第2実施形態を示している。第2実施形態は、基本的には第1実施形態と同じであるので、同じ部分については第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略し、以下、第1実施形態とは異なる部分について説明する。
【0052】
第2実施形態では、第1実施形態で採用した回り止めのためのピン受け溝及び回り止めピンに代えて、パイプ取付け孔17及びこれに遊挿される巻真パイプ21の挿入部22が、いずれも非円形に作られている。
【0053】
この非円形の一例として、パイプ取付け孔17には1以上の平面部、具体的にはパイプ取付け孔17に巻真パイプ21が挿入されていない状態で対向する一対の平面部17bが設けられている。そして、この孔構造に対応して、挿入部22の外周面にも一対の平面部22b(一方のみ図示)が設けられている。これらの平面部17b、22bは回り止め面として機能する。
【0054】
以上説明した点以外の構成は第1実施形態と同じである。そのため、この第2実施形態でも、第1実施形態と同じ作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、第2実施形態では、胴13に対して巻真パイプ21を回り止めするための部品が不要となるので、構成が簡単になるとともに、パイプ取付け孔17及び挿入部22に対して軸方向に延びる溝加工も必要としないので、コストを低減できる点で好ましい。
【0055】
本発明は前記両実施形態には制約されるものではなく、例えば高圧防水性能を要求されない通常の腕時計や懐中時計などの携帯時計にも適用可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、胴のパイプ取付け孔に固定することなく遊挿された巻真パイプを、回り止めピンで回り止めするとともに、パイプストッパで胴外側に抜け止めしたので、メンテナンスにおいてはパイプストッパを外して巻真パイプを胴外側に引抜くことが可能である。このため、竜頭操作に伴ってねじロック機能が低下した場合に、竜頭回りの部品交換、つまり、竜頭及びこれをねじロックする巻真パイプを単独に交換可能することが可能な携帯時計を提供できる。
【0057】
胴のピン受け溝が胴内面に開放されているとともに、巻真パイプのピン受け溝が巻真パイプの挿入部の先端面に開放されている発明によれば、回り止めピンを、巻真パイプの胴外側端部に邪魔されることなく、胴内側から出し入れすることが可能な携帯時計を提供できる。
【0058】
巻真パイプのピン受け溝の胴外側端部寄りの溝端とパイプストッパとで回り止めピンが軸方向に挟まれている発明によれば、回り止めピンを外れ止めし所定位置に保持するために、それ専用の部品を要しない携帯時計を提供できる。
【0059】
本発明によれば、胴のパイプ取付け孔とこれに固定することなく遊挿された巻真パイプの挿入部とを非円形として、巻真パイプを回り止めするとともに、巻真パイプを胴外側にパイプストッパで抜け止めしたので、メンテナンスにおいてはパイプストッパを外して巻真パイプを胴外側に引抜くことが可能である。このため、竜頭操作に伴ってねじロック機能が低下した場合に、竜頭回りの部品交換、つまり、竜頭及びこれをねじロックする巻真パイプを単独に交換可能することが可能な携帯時計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るダイバーズウォッチを示す正面図。
【図2】竜頭がねじロックされた状態で図1中F2−F2線に沿って示す断面図。
【図3】図1のダイバーズウォッチが備える胴と、巻真パイプと、回り止めピンと、パイプストッパとの関係を分解して示す斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るダイバーズウォッチが備える胴と、巻真パイプと、パイプストッパとの関係を分解して示す斜視図。
【符号の説明】
11・・・ダイバーズウォッチ(携帯時計)
12・・・時計外装組立
13・・・胴
13a・・・胴内面
13b・・・胴外面
17・・・パイプ取付け孔
19・・・胴のピン受け溝
21・・・巻真パイプ
22・・・巻真パイプの挿入部
22a・・・挿入部の胴内側端部
23・・・巻真パイプの胴外側端部
23a・・・胴外側端部の雄ねじ部
24・・・挿入部のピン受け溝
24a・・・ピン受け溝の溝端
25・・・胴内側端部の係合溝
26・・・回り止めピン
27・・・パイプストッパ
31・・・竜頭
35・・・竜頭の雌ねじ部
Claims (4)
- 胴内面及び胴外面に開口するパイプ取付け孔、及びこの取付け孔に開放するとともに前記胴内面及び胴外面の少なくとも一方に開放するピン受け溝が設けられた胴と、
前記胴の外側から前記パイプ取付け孔に出し入れ可能に遊挿されているとともに、前記胴の内側に配置される胴内側端部を有した挿入部、雄ねじ部を有した胴外側端部、及び前記挿入部の外周面に開放して前記ピン受け溝と対向する他のピン受け溝が設けられた巻真パイプと、
前記両ピン受け溝に渡って配置された回り止めピンと、
前記胴内側端部に設けられた係合溝に取外し可能に係合されて前記巻真パイプの抜け止めをするパイプストッパと、
前記雄ねじ部に取外し可能に螺合する雌ねじ部が形成された竜頭主部を有する竜頭と、
を具備している携帯時計。 - 前記胴のピン受け溝が前記胴内面に開放されているとともに、前記巻真パイプのピン受け溝が前記挿入部の先端面に開放されている、請求項1に記載の携帯時計。
- 前記巻真パイプのピン受け溝の前記胴外側端部寄りの溝端と前記パイプストッパとで前記回り止めピンが軸方向に挟まれている、請求項1又は2に記載の携帯時計。
- 胴内面及び胴外面に開口する非円形のパイプ取付け孔が設けられた胴と、
外周形状が前記パイプ取付け孔に対応した非円形をなしていて、前記胴の外側から前記パイプ取付け孔に出し入れ可能に遊挿されているとともに、前記胴の内側に配置される胴内側端部を有した挿入部、及び雄ねじ部を有した胴外側端部が設けられた巻真パイプと、
前記胴内側端部に設けられた係合溝に取外し可能に係合されて前記巻真パイプの抜け止めをするパイプストッパと、
前記雄ねじ部に取外し可能に螺合する雌ねじ部が形成された竜頭主部を有する竜頭と、
を具備している携帯時計。
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