JP2004270557A - 車両用エンジンの燃料ポンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車幅方向に延びるカムシャフトCiの端部に、車両後方側に傾斜して配置される高圧燃料ポンプ4を備えたものにおいて、高圧燃料ポンプ4の車両後方側には、当該高圧燃料ポンプ4の後端面よりも車両後方側に延びるガード部11が設けられ、ガード部11の後端面と高圧燃料ポンプ4の後端面との間におけるガード部には、高圧燃料ポンプ4に対する燃料供給用の配管若しくは燃料排出用の配管が接続される第1接続基部12、第2接続基部14が形成される。
従って、車両衝突時、高圧燃料ポンプ4の後端面よりも後方に延びるガード部11の後端が、後方に配置されるマスターシリンダMと衝突するため、第1接続基部12、第2接続基部14が直接とマスターシリンダM衝突することを防止できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンの燃料ポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筒内噴射式エンジン等、高い燃圧が必要なエンジンにおいては、高圧燃料ポンプが設けられており、通常、この高圧燃料ポンプは、エンジン上部に備えられるのカムシャフトによって駆動される。
【0003】
また、近年では、車両における安全性向上がより求められており、例えば、歩行者保護の観点からは、ボンネットとエンジンルーム内に配置されるエンジンとの間隙を確保してボンネットの変形代を確保して、歩行者がボンネットに衝突した際の衝撃吸収を図ることが望まれている。
【0004】
ところが、上述のように高圧燃料ポンプを備えた場合、エンジン上部のカムシャフトによって駆動されるため、エンジン上方側、つまり、ボンネットに近接されて高圧燃料ポンプが配置されるため、ボンネットとエンジンとの間隙を十分に確保することができない。
そこで、下記特許文献1に示すように、高圧燃料ポンプを車両後方側に傾斜させ、ボンネットラインとエンジンとの隙間を極力確保することが考えられる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−193591号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の先行技術のように、高圧燃料ポンプを車両後方側に傾斜させた場合、車両衝突時、高圧燃料ポンプがその高圧燃料ポンプ後方に配置された部品と衝突するおそれがある。
つまり、高圧燃料ポンプを車両後方側に傾斜させた場合、高圧燃料ポンプを鉛直方向に配置した場合に対して、高圧燃料ポンプの後端と、その後方に配置される部品、例えば、マスターシリンダとの距離が短くなるため、車両衝突時における許容可能(高圧燃料ポンプが後方に移動しても高圧燃料ポンプ後方に配置される部品に衝突しない)な相対移動代が短くなり、高圧燃料ポンプの保護上望ましくないものである。
特に、高圧燃料ポンプの後端面側に、高圧燃料ポンプに対する燃料供給用または燃料排出用の配管が接続される接続基部が形成されている場合、その接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部が、後方に配置された部品に衝突するおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような課題に勘案してなされたもので、その目的は、高圧燃料ポンプを車両後方側に傾斜させた場合において、高圧燃料ポンプの接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部の保護が可能な車両用エンジンの燃料ポンプ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にあってはその解決手法として次のようにしてある。すなわち、本発明の第1の構成において、車幅方向に延びるカムシャフトの端部に、車両後方側に傾斜して配置される高圧燃料ポンプを備えた車両用エンジンの燃料ポンプ装置において、
上記高圧燃料ポンプの車両後方側には、当該高圧燃料ポンプの後端面よりも車両後方側に延びるガード部が設けられ、
該ガード部には、当該ガード部の後端面と上記高圧燃料ポンプの後端面との間において、上記高圧燃料ポンプに対する燃料供給用若しくは燃料排出用の配管が接続される接続基部が立設されるよう構成してある。
本発明の第1の構成によれば、車両後方側に傾斜された高圧燃料ポンプの後端よりも更に車両後方側に延びるガード部が設けられ、そのガード部の後端面と高圧燃料ポンプの後端面との間に、高圧燃料ポンプに対する燃料供給用若しくは燃料排出用の配管が接続される接続基部が立設されるため、車両衝突時、高圧燃料ポンプの後端面よりも後方に延びるガード部の後端が、後方に配置される部品と衝突するため、配管の接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部が、直接部品と衝突することを防止でき、接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部の保護を図ることができる。
【0009】
本発明の第2の構成において、上記接続基部は、車両前方側に傾斜するよう構成してある。
本発明の第2の構成によれば、接続基部が車両前方側に傾斜されるため、接続基部と後方側に配置される部品との距離を長くすることができ、接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部と後方の部品との衝突可能性を更に低減することができる。
【0010】
本発明の第3の構成において、上記ガード部は、上記高圧燃料ポンプとは別体で、略平板状に構成されるとともに、上記高圧燃料ポンプの下面に取付けられるよう構成してある。
ここで、ガード部を設けた場合、ガード部の追加より重量が増加するという問題がある。
他方、高圧燃料ポンプの後方側に配置される部品との衝突は、車両のレイアウト等によってその影響度が異なるものであり、ガード部を設ける必要がない場合もある。
従って、ガード部を高圧燃料ポンプと一体に形成すると、ガードの必要の低い場合においても常にガード部が設けられることになり、不必要に車両重量を増加させるおそれがある。
本発明の第3の構成によれば、ガード部を高圧燃料ポンプとは別体に構成することにより、ガードが要求される場合のみガード部を追加することを可能にでき、また、ガード部が高圧燃料ポンプ下面側に取付けられるため、エンジン上方側からの配管作業性を確保することができる。
【0011】
本発明の第4の構成において、上記ガード部は、平面視で上記高圧燃料ポンプの幅よりも広く設定されており、上記接続基部は、上記高圧燃料ポンプの幅よりも外側に配置されるよう構成してある。
車両衝突時、その衝突度合が大きいと、ガード部までが変形し、高圧燃料ポンプの後端面と後方の部品の前面との間に、接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部が挟み込まれるおそれがある。
本発明の第4の構成によれば、接続基部が高圧燃料ポンプの幅よりも外側に配置されているため、衝突度合が大きく、仮に、ガード部までが変形して、高圧燃料ポンプと後端面と後方の部品の前面との隙間がなくなったとしても、接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部が挟み込まれることはない。
【0012】
本発明の第5の構成において、上記接続基部は、車幅方向に傾斜して配置されるよう構成してある。
本発明の第5の構成によれば、接続基部が車幅方向に傾斜されるため、接続基部が更に高圧燃料ポンプ本体から離れ、接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部が高圧燃料ポンプと後端面と後方の部品の前面との隙間に挟み込まれ難い状態にすることができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、高圧燃料ポンプを車両後方側に傾斜させた場合において、高圧燃料ポンプの接続基部や、その接続基部に接続される配管の接続部の保護を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はエンジンを側面から見た側面図(シリンダブロックは不図示)、図2はエンジンを上方から見た平面図(シリンダブロックは不図示)、図3は高圧燃料ポンプを下方側からみた平面図、図4は高圧燃料ポンプを右側側方(図1、図2右側)から見た側面図、図5は高圧燃料ポンプを上方側から見た平面図である。
尚、本実施形態では、横置きの4気筒直列型ガソリンエンジンに適用した例を示す。
【0015】
図1において、1はシリンダヘッド、2はシリンダヘッド1の上方に配置されるシリンダヘッドカバーである。
シリンダヘッド1、シリンダヘッドカバー2内には、車両前方側に、気筒配列方向に延びる吸気カムシャフトCiが配設されるとともに、車両後方側に、気筒配列方向に延びる排気カムシャフトCeが配設されている。
また、図2で示すように、吸気カムシャフトCiの右側端部には、高圧燃料ポンプ4が配設されている。
この高圧燃料ポンプ4は、図1にも示すように、車両後方側上方に傾斜して配置されている。
尚、図1中Bはボンネットライン、Dはダッシュパネル、Mはマスターシリンダ、矢印Fは車両前方を示している。
【0016】
また、高圧燃料ポンプ4は、上記吸気カムシャフトCi、排気カムシャフトCeの内、吸気カムシャフトCiによって駆動されるようになっている。
具体的には、吸気カムシャフトCiの右側端部(図2中右側)は、シリンダヘッドカバー2の右側面を超えて延設されている。
吸気カムシャフトCiの右側端部は、シリンダヘッド1、シリンダヘッドカバー2の吸気カムシャフトCiの右側端部周りにはカムハウジング5が設けられている。
このカムハウジング5は、締結ボルト6、6、6、6によりシリンダヘッド1及びシリンダヘッドカバー2に締結固定されている。
カムハウジング5には、車両後方側上方に傾斜して設けられた取付面5aを備えられており、この取付面5aと高圧燃料ポンプ4の取付面4aとが対峙されて締結ボルト7、7により締結固定される。
【0017】
そして、吸気カムシャフトCiの右端部には高圧燃料ポンプ駆動用のカム8が備えられ、このカム8がカムハウジング5内において、タペット9を介して高圧燃料ポンプ4のプランジャ10を往復動させることにより、高圧燃料ポンプ4内に高圧燃料が生成される。
【0018】
次に、ガード部材11について、説明する。
高圧燃料ポンプ4の下面には、高圧燃料ポンプ4とは別体として構成されたガード部材11が締結ボルト12、12、12により締結固定されている。
このガード部材11は、図3に示すように、高圧燃料ポンプ4下方において高圧燃料ポンプ4の幅よりも若干小さい幅に形成され、高圧燃料ポンプ4の下面と接続される高圧燃料ポンプ接続部11aと、高圧燃料ポンプ4よりも車両後方側において高圧燃料ポンプ4の幅よりもその幅が広く形成され、後述する配管が接続される配管接続部11bとから構成されている。
また、配管接続部11bは、図4に示すように、高圧燃料ポンプ4の軸線L1と直行する線L2に対して若干車両前方側に傾斜されて形成されている。
また、図5に示すように、高圧燃料ポンプ4の後端とガード部材11の後端との間Aで、配管接続部11bの両端側には、燃料タンク(不図示)からの燃料を高圧燃料ポンプ4に供給するための燃料供給管(不図示)が接続される第1接続基部12と、後述する燃料リターン管17が接続される第2接続基部14とが立設されている。
第1接続基部12、第2接続基部14は、図4に示すように、配管接続部11bと同様、高圧燃料ポンプ4の軸線L1と直行する線L2に対して若干車両前方側に傾斜されている。
また、図5に示すように、第1接続基部12は、高圧燃料ポンプ4本体よりも外方に位置するように外側に傾斜され、第2接続基部14は、高圧燃料ポンプ4本体よりも外側に配置されている。
【0019】
次に、高圧燃料ポンプ4を中心とする燃料の流れについて、説明する。
まず、高圧燃料ポンプ4の下面側からシリンダヘッド1底面よりも下方まで延びた後、シリンダヘッド1底面に略沿って車両前方側に配設される燃料分配管15の右側端部と接続され、高圧燃料ポンプ4からの高圧燃料を燃料分配管15に供給する金属製の燃料供給管16が設けられている。
また、燃料分配管15の右側端部(燃料供給管14の接続部より下側に位置)から車両後方側に若干延びた後、高圧燃料ポンプ4の上方側まで延び、高圧燃料ポンプ4上方を通った後第2接続基部14と接続され、余剰燃料を燃料分配管15から高圧燃料ポンプ4に戻すための燃料リターン管17が設けられている。
尚、この燃料リターン管17は、樹脂製のパイプとして構成されており、この燃料リターン管17の両端は、それぞれ樹脂製のカプラ部材18、19を介して燃料分配管15の右側端部、第2接続基部14に接続されている。
従って、高圧燃料ポンプ4からの高圧燃料は燃料供給管16、燃料分配管15を介して各気筒の燃料噴射弁(不図示)に供給される。また、燃料噴射弁に供給された燃料の内、余剰燃料は、燃料リターン管17を介して高圧燃料ポンプ4に戻される。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、車両後方側に傾斜された高圧燃料ポンプ4の後端よりも更に車両後方側に延びるガード部材11が設けられ、そのガード部材11の後端面と高圧燃料ポンプ4の後端面との間の配管接続部11a上に、第1接続基部12、第2接続基部14が立設されるため、車両衝突時、高圧燃料ポンプ4の後端面よりも後方に延びるガード部材11の後端が、後方に配置される部品、例えば、マスターシリンダMと衝突しても、第1接続基部12、第2接続基部14や、その接続基部12、14に接続される配管の接続部が直接マスターシリンダMと衝突することを防止でき、第1接続基部12、第2接続基部14や、その接続基部12、14に接続される配管の接続部の保護を図ることができる。特に、第2接続基部14に接続され、金属製に対して剛性の低い樹脂製のカプラ19の保護を図ることができるものである。
また、配管接続部11bが車両前方側に傾斜されるため、第1接続基部12、第2接続基部14と、後方側に配置されるマスターシリンダMとの距離を長くすることができ、第1接続基部12、第2接続基部14とマスターシリンダMとの衝突可能性を更に低減することができる。
また、ガード部材11を高圧燃料ポンプ4とは別体に構成することにより、ガードが要求される場合のみガード部材11を追加することを可能にでき、また、ガード部材11が高圧燃料ポンプ4下面側に取付けられるため、エンジン上方側からの配管作業性を確保することができる。
また、第1接続基部12、第2接続基部14が高圧燃料ポンプ4の幅よりも外側に配置されているため、衝突度合が大きく、仮に、ガード部材11までが変形して、高圧燃料ポンプ4と後端面と後方のマスターシリンダMの前面との隙間がなくなったとしても、第1接続基部12、第2接続基部14や、その接続基部12、14に接続される配管の接続部が挟み込まれることはない。
また、第2接続基部14が車幅方向に傾斜されるため、第2接続基部14が一層高圧燃料ポンプ4本体から離れ、第2接続基部14や、その接続基部12、14に接続される配管の接続部が高圧燃料ポンプ4の後端面とマスターシリンダMの前面との隙間に挟み込まれ難い状態にすることができる。
【0021】
尚、本実施形態では、ガード部材11を高圧燃料ポンプ4と別体構造として示したが、高圧燃料ポンプ4と一体に形成してもよい。
また、本実施形態では、第1接続基部12を高圧燃料ポンプ4よりも外側に配置する例を示したが、第2接続基部14も同様に高圧燃料ポンプ4よりも外側に配置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、燃料リターン管17を樹脂製のパイプとして構成する例を示したが、金属性のパイプから構成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、4気筒直列型エンジンに適用する例を示したが、気筒数が4気筒以外のエンジンや、ポート噴射型(吸気通路に燃料を噴射するタイプ)エンジン、ディーゼルエンジンにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンを側面から見た側面。
【図2】本発明の実施形態に係るエンジンを上方から見た平面図。
【図3】本発明の実施形態に係る高圧燃料ポンプを下方側からみた平面図。
【図4】本発明の実施形態に係る高圧燃料ポンプを右側側方から見た側面図。
【図5】本発明の実施形態に係る高圧燃料ポンプを上方側から見た平面図。
【符号の説明】
1:シリンダヘッド
2:シリンダヘッドカバー
4:高圧燃料ポンプ
5:ハウジング
11:ガード部材(ガード部)
11a:高圧燃料ポンプ接続部
11b:配管接続部
12:第1接続基部
14:第2接続基部
15:燃料分配管
16:燃料供給管
17:燃料リターン管
Ci:吸気カムシヤフト
Ce:排気カムシャフト
B:ボンネットライン
D:ダッシュパネル
M:マスターシリンダ
Claims (5)
- 車幅方向に延びるカムシャフトの端部に、車両後方側に傾斜して配置される高圧燃料ポンプを備えた車両用エンジンの燃料ポンプ装置において、
上記高圧燃料ポンプの車両後方側には、当該高圧燃料ポンプの後端面よりも車両後方側に延びるガード部が設けられ、
該ガード部には、当該ガード部の後端面と上記高圧燃料ポンプの後端面との間に、上記高圧燃料ポンプに対する燃料供給用若しくは燃料排出用の配管が接続される接続基部が立設されていることを特徴とする車両用エンジンの燃料ポンプ装置。 - 上記接続基部は、車両前方側に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の車両用エンジンの燃料ポンプ装置。
- 上記ガード部は、上記高圧燃料ポンプとは別体で、略平板状に構成されるとともに、上記高圧燃料ポンプの下面に取付けられることを特徴とする請求項1または2記載の車両用エンジンの燃料ポンプ装置。
- 上記ガード部は、平面視で上記高圧燃料ポンプの幅よりも広く設定されており、
上記接続基部は、上記高圧燃料ポンプの幅よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用エンジンの燃料ポンプ装置。 - 上記接続基部は、車幅方向に傾斜して配置されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用エンジンの燃料ポンプ装置。
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