JP2004270457A - 内燃機関のシリンダヘッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリンダ軸線上に点火プラグを取付けるプラグホールが設けられるとともに、上記シリンダ軸線を挟んで両側に吸気ポートと排気ポート35がそれぞれ設けられ、上記吸気ポートを開閉する吸気弁と上記排気ポートを開閉する排気弁を備えた内燃機関のシリンダヘッド22において、上記排気ポート35の出口の流路断面形状が水平方向に長い長円形であり、かつ上記プラグホールの水抜き孔42が上記排気ポート35の下方に設けられたことを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ポート出口の流路断面形状と点火プラグを取付けるプラグホールの水抜き孔の出口位置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンダ軸線上に点火プラグを取付けるプラグホールが設けられるとともに、上記軸線を挟んで両側に吸気ポートと排気ポートがそれぞれ設けられ、かつ上記排気ポートの出口の下方に上記プラグホールの水抜き孔の出口が開口する内燃機関のシリンダヘッドは、従来から開示されている(例えば、特許文献1あるいは特許文献2参照。)。
【0003】
図9はそのような従来の内燃機関のシリンダヘッドの一例を示す縦断面図、図10は図9のシリンダヘッドの排気ポート出口形状を示す図である。
【0004】
まず図9において、シリンダヘッド022のシリンダ軸線025上には、図示しない点火プラグを取付けるプラグホール041が設けられている。またこのプラグホール041を挟んで両側に吸気ポート034と排気ポート035がそれぞれ設けられている。033は燃焼室、036は吸気弁軸線、037は排気弁軸線である。また042はプラグホール041の水抜き孔である。これらを避けながら、シリンダヘッド022には冷却水通路043が設けられている。
【0005】
排気ポート035の出口流路断面形状は、図10に示されるようにほぼ円形である。そしてその排気ポート035出口の下方に前記プラグホール041の水抜き孔042出口が開口している。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−259641号公報(図3)
【特許文献2】
特開2002−213334号公報(図5)
【0007】
【解決しようとする課題】
前記従来の内燃機関のシリンダヘッド022においては、排気ポート035の出口流路断面形状がほぼ円形であり、その排気ポート035出口の下方にプラグホール041の水抜き孔042出口が開口しているので、水抜き孔042はどうしてもシリンダヘッド022中の低い位置に設けざるを得ない。したがって水抜き孔042の下方の冷却水通路043aを大きくすることができないから、冷却水を十分に流すことができず、シリンダヘッド022の冷却効率が悪かった。
【0008】
【課題を解決するための手段および効果】
前記従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、シリンダ軸線上に点火プラグを取付けるプラグホールが設けられるとともに、上記シリンダ軸線を挟んで両側に吸気ポートと排気ポートがそれぞれ設けられ、上記吸気ポートを開閉する吸気弁と上記排気ポートを開閉する排気弁を備えた内燃機関のシリンダヘッドにおいて、上記排気ポートの出口の流路断面形状が水平方向に長い長円形であり、かつ上記プラグホールの水抜き孔が上記排気ポートの下方に設けられたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項1記載の発明は上記のとおり構成されているので、点火プラグを取付けるプラグホールの水抜き孔出口をシリンダヘッドの高い位置に開口させることができる。したがって、従来のシリンダヘッドと比較して高い位置に水抜き孔を設けることができるから、水抜き孔の下方の冷却水通路を充分大きくでき、大量の冷却水を流すことができて、シリンダヘッドの冷却効率が向上する。
【0010】
次に請求項2記載の発明は、シリンダ軸線上に点火プラグを取付けるプラグホールが設けられるとともに、上記シリンダ軸線を挟んで両側に吸気ポートと排気ポートがそれぞれ設けられ、上記吸気ポートを開閉する吸気弁と上記排気ポートを開閉する排気弁を備えた内燃機関のシリンダヘッドにおいて、上記排気ポートの出口の流路断面形状が円形の下部を平坦にした形状であり、かつ上記プラグホールの水抜き孔が上記排気ポートの下方に設けられたことを特徴とするものである。
【0011】
したがって請求項2記載の発明においても、点火プラグを取付けるプラグホールの水抜き孔出口をシリンダヘッドの高い位置に開口させることができる。したがって、従来のシリンダヘッドと比較して高い位置に水抜き孔を設けることができるから、水抜き孔の下方の冷却水通路を充分大きくでき、大量の冷却水を流すことができて、シリンダヘッドの冷却効率が向上する。
【0012】
また請求項3記載の発明は、前記請求項1または請求項2記載の発明において、上記排気ポートの出口の下方に近接して、上記プラグホールの水抜き孔の出口が開口していることを特徴とするものである。このように請求項3記載の発明においては、排気ポートの出口の下方に近接してプラグホールの水抜き孔が開口しているので、従来のシリンダヘッドと比較して高い位置に水抜き孔を設けることができるから、水抜き孔の下方の冷却水通路を充分大きくでき、大量の冷却水を流すことができて、シリンダヘッドの冷却効率が向上する。
【0013】
更に請求項4記載の発明は、前記請求項1または請求項2記載の発明において、上記排気ポートの出口に設けられるガスケットの外周に外接する円の内部に、上記プラグホールの水抜き孔の出口が開口していることを特徴とするものである。したがって請求項4記載の発明においても、従来のシリンダヘッドと比較して高い位置に水抜き孔を設けることができるから、水抜き孔の下方の冷却水通路を充分大きくでき、大量の冷却水を流すことができて、シリンダヘッドの冷却効率が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例を適用した水冷式直列4気筒内燃機関が搭載された自動二輪車1の側面図であって、部分的に断面で示されている。この自動二輪車1のヘッドパイプ2に連なる車体フレーム3に、燃焼装置部4aと変速機部4bとを一体化した内燃機関4が懸架されている。車体フレーム3は複数の部材から構成されている。ヘッドパイプ2にはフロントフォーク7が回動可能に支持されていて、その上端には操縦用ハンドル8が装着され、また下端には前輪9が軸支されている。
【0015】
車体フレーム3の後部には、リヤフォーク10がその前端を枢支され、上下方向に揺動可能になっている。リヤフォーク10の中央下部に三角形リンク部材5がその一つの角部で枢支され、その三角形リンク部材5の他の角部に棒状リンク部材6が枢支され、その棒状リンク部材6の他端は車体フレーム3の下部に枢支されている。車体フレーム3と上記三角形リンク部材5の第3の角部との間には、リヤクッション11が介装されている。リヤフォーク10の後端には後輪12が軸支されている。この後輪12は内燃機関4の変速機部4bのカウンタ軸軸端に装着されている駆動スプロケットと後輪の軸に装着された従動スプロケット13とに巻掛けられたチェーン14によって駆動される。
【0016】
変速機部のカウンタ軸はクランク軸などと平行で、車体の左右方向に向けて配置されている。内燃機関4の前側に設けられている排気ポートに連なる排気管15は内燃機関の下部側方を回って車体後部に至り、排気消音器16に接続されている。車体フレーム3の上部には、燃料タンク17が装着され、その後方にシート18が装備されている。この内燃機関は水冷式であり、シリンダやオイルを冷却する過程で昇温した水は、ラジエータ19で冷却される。
【0017】
図2は上記水冷4気筒内燃機関4の縦断面図である。この内燃機関4は燃焼装置部4aと変速機部4bとが一体化されている。矢印fは前方を指している。内燃機関4の外殻は、下部クランクケース20、上部クランクケース21、シリンダヘッド22、シリンダヘッドカバー23および最下部のオイルパン24から成っている。シリンダ25は上部クランクケース21と一体になっている。下部クランクケース20と上部クランクケース21との間の軸受に、クランク軸26および変速機のメイン軸27が回転可能に支持されている。メイン軸27の下方には変速機のカウンタ軸28が回転可能に支持され、メイン軸27の後方にはシフトドラム29が回動可能に支持されている。シリンダ25内にはピストン30が摺動可能に収容されている。そのピストン30とクランク軸26のクランクピン31との間はコンロッド32で接続されている。
【0018】
シリンダヘッド22の下部の、ピストン30の上面に対向する部分に燃焼室33が形成されている。この燃焼室33には吸気ポート34の出口端と排気ポート35の入口端が開口している。吸気ポート34の入口端には、図示していないが、吸気マニホールド、キャブレター、エアクリーナ等が接続されている。排気ポート35の出口端には、図1に示された排気管15、排気消音器16が接続されている。燃焼室33に臨んで、吸気ポート34と排気ポート35をそれぞれ開閉する吸気弁36と排気弁37が設けられている。シリンダヘッド22の上部とシリンダヘッドカバー23の内部に動弁機構38が設けられている。
【0019】
次に図3は上記内燃機関4のシリンダヘッド22を示す縦断面図、図4は上記シリンダヘッド22の排気ポート35出口形状を示す図(図3のIV−IV矢視図)である。
【0020】
このシリンダヘッド22のシリンダ軸線25a上には図示しない点火プラグを取付けるプラグホール41が設けられている。またこのプラグホール41を挟んで両側に吸気ポート34と排気ポート35がそれぞれ設けられている。33は燃焼室、36aは吸気弁軸線、37aは排気弁軸線である。また42はプラグホール41の水抜き孔である。これらを避けながら、シリンダヘッド22には冷却水通路43が設けられている。
【0021】
本実施例では排気ポート35の出口流路断面形状が、図4に示されるように、水平方向に長い長円形(小判形)になっている。この排気ポート出口を囲んで、同様に水平方向に長い長円形のガスケット47が取付けられる。そのガスケット47のすぐ下、すなわちガスケット47の外周に外接する外接円47aの内部に前記水抜き孔42の出口が開口している。これら全体を囲むように、突出縁45がシリンダヘッド22と一体に形成されている。また突出縁45の一部分は、各排気ポート出口につき2箇所で更に突出して、ボス46を形成し、このボス46にめねじ46aが設けられている。
【0022】
次に図5は上記排気ポート35の出口と排気管15との接続部に用いられるマウスカラーを示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視図、(c)は背面図、(d)は(c)のD−D矢視図である。このマウスカラー48は前記ガスケット47の形状・寸法に相応する長円形断面の筒状部48aと、その端部に形成されたフランジ部48bと、それら筒状部48aとフランジ部48bを補強する補強部48cとから成る。
【0023】
次に図6は、上記マウスカラー48と共働して前記排気ポート35の出口と排気管15との接続に用いられる排気管ジョイントを示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。この排気管ジョイント49は、長円形のリング状を呈し、内周49aは上記マウスカラー48の筒状部48aを囲むことができる寸法になっている。また前記ボス46のめねじ46aに相応する2箇所に、ボルト孔49bが設けられている。
【0024】
図7は、上記シリンダヘッド22に排気管15を接続した状態を示す縦断面図である。この図には、プラグホール41内に点火プラグ40も描かれている。排気管15の入口部断面は排気ポート35の出口部と同様に長円形を呈していて、この入口部にマウスカラー48の筒状部48aがあらかじめ嵌合され、溶接固定される。そして排気ポート35の出口部にガスケット47、マウスカラー48、排気管ジョイント49を、この順序で重ね合わせ、排気管ジョイント49のボルト孔49bにボルト50を挿入、ボス46のめねじ46a(図3、図4参照)にねじ込むことによって、排気管15がシリンダヘッド22の排気ポート35出口部に固定される。
【0025】
本実施例では、排気ポート35の出口流路断面形状が水平方向に長い長円形になっており、ガスケット47も同様に水平方向に長い長円形なので、そのすぐ下、すなわちガスケット47の外周に外接する外接円47aの内部にプラグホール41の水抜き孔42の出口を開口させることができる。したがって、従来のシリンダヘッドと比較して高い位置に水抜き孔42を設けることができる。その結果水抜き孔42の下方の冷却水通路43aを充分大きくできるから、大量の冷却水を流すことができ、シリンダヘッド22の冷却効率が向上する。
【0026】
次に図8は本発明の第2の実施例におけるシリンダヘッド52の排気ポート出口形状を示す図である。本実施例では、排気ポート65の出口流路断面形状が、円形の下部を平坦にした形状になっている。この排気ポート65出口を囲んで、同様に円形の下部を平坦にした形状のガスケット77が取付けられる。そのガスケット77のすぐ下、すなわちガスケット77の外周に外接する外接円77aの内部に、プラグホールの水抜き孔72の出口が開口している。これら全体を囲むように、前記第1の実施例と同様、突出縁75がシリンダヘッド52と一体に形成されており、まためねじ76aを設けるボス76も形成されている。
【0027】
上記シリンダヘッド52にも、前記第一実施例と同様、ガスケット77と図示しないマウスカラー、排気管ジョイント、ボルトを介して排気管が接続される。
【0028】
本実施例においても、従来のシリンダヘッドと比較して高い位置に水抜き孔72を設けることができ、したがって水抜き孔72の下方の冷却水通路を充分大きくできるからシリンダヘッド52の冷却効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を適用した内燃機関が搭載された自動二輪車の側面図であって、部分的に断面で示されている。
【図2】図2は上記内燃機関の縦断面図である。
【図3】図3は上記内燃機関のシリンダヘッドを示す縦断面図である。
【図4】図4は上記シリンダヘッドの排気ポート出口形状を示す図(図3のIV−IV矢視図)である。
【図5】図5は上記排気ポート出口と排気管との接続部に用いられるマウスカラーを示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視図、(c)は背面図、(d)は(c)のD−D矢視図である。
【図6】図6は同じく上記排気ポート出口と排気管との接続部に用いられる排気管ジョイントを示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。
【図7】図7は上記シリンダヘッドに排気管を接続した状態を示す縦断面図である。
【図8】図8は本発明の第2の実施例におけるシリンダヘッドの排気ポート出口形状を示す図である。
【図9】図9は従来の内燃機関のシリンダヘッドの一例を示す縦断面図である。
【図10】図10は図9のシリンダヘッドの排気ポート出口形状を示す図である。
【符号の説明】
1…自動二輪車、2…ヘッドパイプ、3…車体フレーム、4…内燃機関、4a…燃焼装置部、4b…変速機部、5…三角形リンク部材、6…棒状リンク部材、7…フロントフォーク、8…操縦用ハンドル、9…前輪、10…リヤフォーク、11…リヤクッション、12…後輪、13…従動スプロケット、14…チェーン、15…排気管、16…排気消音器、17…燃料タンク、18…シート、19…ラジエータ、20…下部クランクケース、21…上部クランクケース、22…シリンダヘッド、23…シリンダヘッドカバー、24…オイルパン、25…シリンダ、25a…シリンダ軸線、26…クランク軸、27…メイン軸、28…カウンタ軸、29…シフトドラム、30…ピストン、31…クランクピン、32…コンロッド、33…燃焼室、34…吸気ポート、35…排気ポート、36…吸気弁、36a…吸気弁軸線、37…排気弁、37a…排気弁軸線、38…動弁機構、40…点火プラグ、41…プラグホール、42…水抜き孔、43、43a…冷却水通路、45…突出縁、46…ボス、46a…めねじ、47…ガスケット、47a…外接円、48…マウスカラー、48a…筒状部、48b…フランジ部、48c…補強部、49…排気管ジョイント、49a…内周、49b…ボルト孔、50…ボルト、65…排気ポート、72…水抜き孔、76…ボス、76a…めねじ、77…ガスケット、77a…外接円。
Claims (4)
- シリンダ軸線上に点火プラグを取付けるプラグホールが設けられるとともに、上記シリンダ軸線を挟んで両側に吸気ポートと排気ポートがそれぞれ設けられ、上記吸気ポートを開閉する吸気弁と上記排気ポートを開閉する排気弁を備えた内燃機関のシリンダヘッドにおいて、
上記排気ポートの出口の流路断面形状が水平方向に長い長円形であり、かつ上記プラグホールの水抜き孔が上記排気ポートの下方に設けられたことを特徴とする内燃機関のシリンダヘッド。 - シリンダ軸線上に点火プラグを取付けるプラグホール41が設けられるとともに、上記シリンダ軸線を挟んで両側に吸気ポートと排気ポートがそれぞれ設けられ、上記吸気ポートを開閉する吸気弁と上記排気ポートを開閉する排気弁を備えた内燃機関のシリンダヘッドにおいて、
上記排気ポートの出口の流路断面形状が円形の下部を平坦にした形状であり、かつ上記プラグホールの水抜き孔が上記排気ポートの下方に設けられたことを特徴とする内燃機関のシリンダヘッド。 - 上記排気ポートの出口の下方に近接して、上記プラグホールの水抜き孔の出口が開口していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関のシリンダヘッド。
- 上記排気ポートの出口に設けられるガスケットの外周に外接する円の内部に、上記プラグホールの水抜き孔の出口が開口していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関のシリンダヘッド。
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