JP2004269864A - エチレン系重合体及び成形体への応用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.01〜1.20mol%含むエチレン系重合体であって、クロス分別(CFC)において、下記の(1)または(2)のいずれか一つ以上を満たすエチレン系重合体。
(1) 73〜76℃で溶出する成分の重量平均分子量(Mw)が4,000を超えない。
(2)下記の関係式(Eq-1)を満たす。
【数1】
(Eq-1中、Sxは70〜85℃で溶出する成分に基づく全ピークの面積合計値であり、Stotalは0〜145℃で溶出する成分に基づく全ピークの面積合計値である。)
【選択図】なし
Description
(1) 73〜76℃で溶出する成分の重量平均分子量(Mw)が4,000を超えない。
(2)下記の関係式(Eq-1)を満たす。
本発明に係わるエチレン系重合体(E)は、上記要件に加えて、下記(1’)〜(7’)の要件を全て満たすことが好ましい。
(1’) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.02〜1.00mol%含む。
(2’) 密度(d)が945〜970kg/m3の範囲にある。
(3’) 135℃、デカリン中で測定した極限粘度([η])が1.6〜4.0(dl/g)の範囲にある。
(4’) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5 〜70の範囲にある。
(5’) クロス分別(CFC)において、分子量が100,000未満で最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜11℃の範囲にある。
(6’) [(T2−1)〜T2](℃)で溶出した画分のGPC曲線の中で、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の分子量が200,000〜800,000の範囲にある。
(7’) 95〜96℃で溶出する成分のGPC曲線のうち分子量が100,000以下の領域において最も強いピークの頂点の分子量が28,000を超えない。
(1’’’) GPC曲線を2つの対数正規分布曲線に分離した時に、各々の曲線の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜3.5、高分子量側に分離された曲線の重量平均分子量(Mw2)が200,000〜800,000であり、
(2’’’) 押出ストランドの表面粗さから求められる平滑度係数Rが20μmを越えない。
(1B) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.02〜0.20mol%含む。
(2B) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5 〜30の範囲にある。
(3B) クロス分別(CFC)において分子量が100,000未満で最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜5℃の範囲にある。
(1B’)ASTM-D-790に準拠して、23℃で測定した曲げ弾性率が1,500〜1,800MPaの範囲にある。
(2B’)ASTM-D-1693に準拠して測定した50℃における耐環境応力破壊性ESCR(hr)が10時間以上で非破壊である。
(1B’’)動的粘弾性装置を用いて測定した190℃、角周波数100 rad/secにおけるtanδ(=損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’)が0.7〜0.9である。
(1P) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.10〜1.00mol%含む。
(2P) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が11 〜70の範囲にある。
(1P’) JIS K-6744に準拠し、80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が13MPa〜17MPa、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が12〜16MPaである。
本発明に係わるエチレン系重合体(E)は、炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.01〜1.20mol%含むエチレン系重合体であり、通常はエチレンの単独重合体とエチレン/炭素原子数6〜10のα-オレフィンとの共重合体からなる。
(1) 73〜76℃で溶出する成分の重量平均分子量(Mw)が4,000を超えない。
(2)下記関係式(Eq-1)を満たす。
このようなエチレン系重合体(E)は、成形体に応用した場合、疲労特性などの長期物性などに優れる。以下、要件(1)および(2)について具体的に説明する。
本発明に係わるエチレン系重合体(E)は、クロス分別(CFC)において、73〜76℃で溶出する成分の、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が4,000を超えない。より具体的に述べるならば、分子量が108以下の領域において検出されるGPCピークについての重量平均分子量(Mw)が4,000を超えない。重量平均分子量(Mw)の好ましい範囲は2,000〜4,000であり、更に好ましくは2,500〜3,500の範囲にある。このようなエチレン系重合体は、α-オレフィンが共重合した高分子量成分を含有量が少ないこと、または比較的分子量が低くかつ短鎖分岐を有するような成分を含有しないことを意味し、その場合成形体としての疲労強度などの長期物性に優れる。特開平11-106432号公報記載のエチレン・α-オレフィン共重合体は組成分布が広いために該範囲を満たさず、WO01/25328号公報記載のエチレン系重合体は比較的分子量が小さい成分にもα-オレフィンが共重合したことによる短鎖分岐が存在するために該範囲を満たさない。従来のチーグラー触媒やクロム触媒などからなるエチレン系重合体も組成分布が広いので該範囲を満たさない。
本発明に係わるエチレン系重合体(E)は、クロス分別CFCにおいて、70〜85℃で溶出する成分に基づく全ピークの面積合計値をSx、0〜145℃で溶出する成分に基づく全ピークの面積合計値をStotalとした場合、下記式(Eq-1)で示される関係を満たす。
(1’) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.02〜1.00mol%含む。(2’) 密度(d)が945〜970kg/m3の範囲にある。
(3’) 135℃、デカリン中で測定した極限粘度([η])が1.6〜4.0(dl/g)の範囲にある。
(4’) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5 〜70の範囲にある。
(5’) クロス分別(CFC)においてピーク頂点の分子量が100,000未満で最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜11℃の範囲にある。
(6’) クロス分別(CFC)において[(T2−1)〜T2](℃)で溶出した画分のGPC曲線の中で、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の分子量が200,000〜800,000の範囲にある。
(7’) クロス分別(CFC)において95〜96℃で溶出する成分のGPC曲線のうち分子量が100,000以下の領域において最も強いピークの頂点の分子量が28,000を超えない。
以下、要件(1’)〜(7’)について順次具体的に説明する。
本発明に係わるエチレン系重合体(E’)は、炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を通常0.02〜1.00mol%含む。エチレン系重合体(E’)が、エチレン単独重合体を含まない場合、即ちエチレンと炭素原子数6〜10のα-オレフィンとの共重合体のみである場合は、エチレンから導かれる構成単位は、通常99〜99.98 mol%、好ましくは99.5〜99.98 mol%、より好ましくは99.6〜99.98 mol%の割合で存在し、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は通常0.02〜1 mol%、好ましくは0.02〜0.5 mol%、より好ましくは0.02〜0.4 mol%の割合で存在することが好ましい。また、エチレン系重合体(E’)はエチレン単独重合体を含有していることがあり、その場合エチレン・α-オレフィン共重合体部分のエチレンから導かれる構成単位は、通常95〜99.96 mol%、好ましくは97.5〜99.96 mol%、より好ましくは98〜99.96 mol%の割合で存在し、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は0.04〜5 mol%、好ましくは0.04〜2.5 mol%、より好ましくは0.04〜2.0 mol%の割合で存在することが好ましい。なお、エチレン単独重合体を含む場合であっても全重合体に占める、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は、通常0.02〜1 mol%、好ましくは0.02〜0.5 mol%、より好ましくは0.02〜0.4 mol%である。α-オレフィンの炭素数が5個以下の場合、α−オレフィンが結晶中にとり込まれる確率が高くなり(Polymer,Vol.31,1999頁,1990年参照)、その結果強度が弱くなるので好ましくない。α-オレフィンの炭素数が10個を超えると、流動の活性化エネルギーが大きくなって、成形時の粘度変化が大きく好ましくない。また、α-オレフィンの炭素数が10個を超えると、側鎖(エチレンと共重合したα-オレフィンに起因する分岐)が結晶化する場合があり、そうすると非晶部が弱くなるので、好ましくない。
本発明に係わるエチレン系重合体(E’)の密度(d)は945〜970kg/m3、好ましくは947〜969 kg/m3、より好ましくは950〜969 kg/m3、135℃デカリン中で測定した極限粘度([η])が1.6 〜4.0dl/g、好ましくは1.7〜3.8 dl/g、より好ましくは1.8〜3.7 dl/gの範囲にある。密度および極限粘度がこれら範囲にあるエチレン系重合体は、硬さと成形性のバランスに優れる。例えば重合器への水素、エチレン、α-オレフィンの供給量比、エチレン単独重合体とエチレン・α-オレフィン共重合体との重合量比などを変更することで、上記の数値範囲内で値を増減させることが出来る。具体的には溶媒をヘキサンとした実施例3のスラリー重合において、系内を均一になるように攪拌しながら重合を行うと、密度が953 kg/m3、[η]が3.10 dl/gとなり、第二重合槽に供給するエチレンを6.0kg/hr、水素を0.45N-リットル/hr、1-ヘキセンを300g/hrとすると密度が944 kg/m3、[η]が3.6 dl/gとなり、第一重合槽に供給するエチレンを7.0 kg/hr、水素は125N-リットル/hr、第二重合槽に供給するエチレンを3.0 kg/hr、水素を0.07N-リットル/hr、1-ヘキセンを30g/hrとすると密度が968 kg/m3、[η]が2.10 dl/gとなる。
本発明に係わるエチレン系重合体(E’)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が通常5〜70、好ましくは5〜50の範囲にある。後述する触媒系を用い、後述する多段重合を実施する際に、各成分の分子量および重合量比を制御することで、この範囲にあるエチレン系重合体を製造出来る。
本発明に係わるエチレン系重合体の、クロス分別(CFC)装置を用いた昇温溶出分別において、分子量が100,000未満で、最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で、最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜11℃の範囲にあり、好ましくは0〜10℃の範囲にあり、より好ましくは0〜9℃の範囲にある。なお、本発明に係わるCFC分析において「ピーク」とは、例えば第2図について説明すれば、溶質の分布(クロマトグラム)、即ち山の形状全体のことを示し、「最も強い(あるいは、最もピーク強度が強い)」とは山の高さが最も高いということであり、「ピークの頂点」とは、微分値がゼロ(すなわち山の頂点)になる点のことを言う。なお、山の頂点が存在しない場合には、微分値がゼロに最も近い点(すなわちショルダー)部分を指す。
本発明に係わるエチレン系重合体(E’)のクロス分別(CFC)において、上記T2(℃)で溶出した画分のGPC曲線のうち、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の分子量が200,000〜800,000の範囲にある。なお、T2(℃)で溶出した画分とは、〔(T2−1)〜T2〕(℃)で溶出した成分のことをさす。このようなエチレン系重合体は、疲労特性などの長期物性と成形性のバランスなどに優れる。後述するような触媒系を用い、後述するような重合条件を設定することで、この範囲にあるエチレン系重合体を製造出来る。共重合体を製造するような重合環境に供給するα-オレフィン量、水素量、エチレン量などを増減させることでT2(℃)で溶出した画分のGPC曲線のうち、最も分子量が高いピークの頂点の分子量を特定範囲で増減させることが出来る。具体的に述べると、実施例3に記載の条件で重合すると、クロス分別(CFC)装置を用いた昇温溶出分別において上記〔(T2−1)〜T2〕 (℃)で溶出した画分のGPC曲線のうち、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の分子量が493,000となる。第二重合器に供給する1-ヘキセン量を130g/hrから200g/hrに、エチレン4.0kg/hrを6.0kg/hrに、水素0.2N-リットル/hrを0.45N-リットル/hrに変更すると、クロス分別(CFC)装置を用いた昇温溶出分別において上記〔(T2−1)〜T2〕(℃)で溶出した画分のGPC曲線のうち、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の分子量は361,000となり、第二重合器に供給する水素0.2N-リットル/hrを0.1N-リットル/hrに変更するとクロス分別(CFC)装置を用いた昇温溶出分別において上記〔(T2−1)〜T2〕(℃)で溶出した画分のGPC曲線のうち、最も分子量が高いピークの頂点の分子量は680,000となる。従来知られているメタロセン触媒では、分子量分布が狭く、かつこのように分子量が高いエチレン系共重合体は得られなかった。
本発明に係わるエチレン系重合体の、クロス分別(CFC)において95〜96℃で溶出する成分のGPC曲線のうち、最も強いピークの頂点の分子量が28,000を超えない。通常は15,000〜27,000の範囲にある。このようなエチレン系重合体は分子量が低くかつ短鎖分岐を有するような成分を含有しないことを意味し、その場合疲労強度などの長期物性に優れる。
(1’’’) GPC曲線を2つの対数正規分布曲線に分離した時に、各々の曲線の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜3.5の範囲にあり、高分子量側に分離された曲線の重量平均分子量(Mw2)が200,000〜800,000にある。
(2’’’) 押出ストランドの表面粗さから求められる平滑度係数Rが20μmを越えない。
以下、要件(1’’’)および(2’’’)について具体的に説明する。
本発明に係わるエチレン系重合体(E’’’)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量曲線(GPC曲線)を2つの対数正規分布曲線に分離した時に、各々の曲線の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、通常1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.2の範囲にある。後述するような触媒系を用いて、後述するような多段重合を実施し、その際に選択する触媒化合物の種類や、多段重合する際の段数、および各成分の分子量を制御することで、この範囲にあるエチレン系重合体を製造出来る。気相で重合するとMw/Mnを大きく、一方スラリー相で重合すると除熱やモノマー拡散がより均一になるためにMw/Mnを小さくすることが可能である。さらに、触媒成分を担体に担持せずに用いると、均一系に近づくためにMw/Mnは小さくなる。特開平11-106432号公報に記載の担持型幾何拘束型シングルサイト触媒(CGC/Borate)を用いてスラリー重合した場合や、EP1201711A1号公報に記載のシリカに担持したエチレン・ビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドとメチルアルモキサンからなる触媒系を用いてスラリー重合した場合には、単段重合のMw/Mnが4以上となり、本願請求範囲を満たさない。なお、本願実施例1に記載の触媒を用いて80℃スラリー単段重合して得られるエチレン系重合体のMw/Mnは2.3程度である。
本発明に係わるエチレン系重合体(E’’’)は、押出ストランドの表面粗さから求められる平滑度係数Rが20μmを越えない、好ましくは15μmを越えない。気相重合法やスラリー重合法のように、重合により得られるエチレン系重合体が粒子状である場合では、溶融混練などの後処理を施しても重合粒子が完全には混じり合って分散せずに粘度が異なる部分がまだらに残ることがある。その場合、溶融樹脂をチューブまたはストランド状に押し出すと、表面に肌荒れが生じる。その場合には製品を成形した場合にも同様の肌荒れが生じる。その程度は表面粗さ測定から求める平滑度係数Rによって求められる。通常、気相重合法やスラリー重合法で製造されるエチレン系重合体粒子の大きさは数十μm〜2mm程度であり、重合粒子の形状履歴が残っていると、押出物表面に肌荒れが発生してRが20μmよりも大きくなり、例えば後述のような重合方法を選択すると、Rが20μmを越えない、通常は15μmを越えないエチレン系重合体を製造出来る。Rが20μmを越えなければ、0〜20μmでの変動はフィルム成形時の異物混入やダイスの傷、測定誤差などの本質とは関係のないところで生じうる。よって、Rは20μmを越えないことに意味がある。Rの値が20μmを越えるようなエチレン系重合体は、例えば実施例3で得られたエチレン系重合体パウダーを東洋精機社製ラボプラストミル(バッチ式異方向回転2軸混練機)を用いて190℃、25 rpm、15分など非常に長い時間溶融混練すればRが20μmを下回るエチレン系重合体を得ることが出来る。混練する時間の長さを更に長くすることでRをより小さくすることは可能である。ただし、分解や架橋に伴う構造変化を伴う場合がある。また、Rの値が20μmを越えるようなエチレン系重合体を、例えばパラキシレンのような良溶媒500mlに対して5g程度の割合で溶解させた後氷冷した5倍量程度のアセトンなどの貧溶媒中に10ml/分程度の速度で析出させた後、乾燥させてから溶融混練すると、Rの値が10μm以下のエチレン系重合体を得ることが出来る。Rが上記の値を越えない重合体は、重合粒子の履歴が無く均質であるため機械的強度が特に優れ、流動も均質となるので成形体の表面が平滑で外観に優れる。本願実施例1に示すように、バッチ式で2段重合を実施した場合には、長時間の溶融混練を施さなくてもRが20μmを越えない。更に、実施例3で得られるエチレン系重合体のうち、第一重合器からエチレン単独重合体を抜き出し、別途第二重合器の条件で単段スラリー重合により得られるエチレン系重合体とを溶融混練することでも、Rが20μmを超えないエチレン系重合体が得られる場合がある。
本発明に係わるエチレン系重合体(E)、好ましくは(E’)、更に好ましくは(E’’)、特に好ましくは(E’’’)の中で、ブロー成形体に好適に使用されるエチレン系重合体(EB)は、炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位濃度、Mw/Mn値およびクロス分別(CFC)における(T1−T2)値が、各々以下(1B)、(2B)および(3B)のように限定されていると好ましい。
(1B) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.02〜0.20mol%含む。
(2B) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5 〜30の範囲にある。
(3B) クロス分別(CFC)においてピーク頂点の分子量が100,000未満で最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜5℃の範囲にある。
以下、要件(1B)および要件(3B)についてのみ補足説明をする。
本発明に係わる、ブロー成形体に好適に使用されるエチレン系重合体(EB)は、炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を通常0.02〜0.2mol%含む。本発明のエチレン系重合体(EB)が、エチレン単独重合体を含まない場合、即ちエチレンと炭素原子数6〜10のα-オレフィンとの共重合体のみである場合は、エチレンから導かれる構成単位は、通常99.80〜99.98 mol%の割合で存在し、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は通常0.02〜0.20 mol%の割合で存在することが好ましい。また、エチレン系重合体(EB)はエチレン単独重合体を含有していることがあり、その場合エチレン・α-オレフィン共重合体部分のエチレンから導かれる構成単位は、通常99.00〜99.96 mol%、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は0.04〜1.00 mol%の割合で存在することが好ましい。なお、エチレン単独重合体を含む場合であっても全重合体に占める、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は、通常0.02〜0.20 mol%である。
本発明に関わる、ブロー成形体に好適に使用されるエチレン系重合体(EB)は、クロス分別(CFC)装置を用いた昇温溶出分別において、分子量が100,000未満で、最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で、最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜5℃の範囲にあり、好ましくは0〜4℃の範囲にあり、より好ましくは0〜3℃の範囲にある。ここで、最も強いピークの頂点とは、微分値がゼロ(すなわち山の頂点)、山の頂点が存在しない場合には、微分値がゼロに最も近い点(すなわちショルダー)部分を指す。このようなエチレン系重合体は、剛性が高く、かつ耐環境応力破壊性などに優れる。後述するような触媒系を用い、後述するような重合条件を設定することで、この範囲にあるエチレン系重合体を製造出来る。α-オレフィンの共重合量を特定範囲で増減させることで、(T1−T2)をこの範囲内で増減させることが出来る。具体的には溶媒をヘキサンとした実施例14に記載の条件で重合すると、クロス分別(CFC)装置を用いた昇温溶出分別において分子量が異なる2つのピークが存在し、溶出成分の分子量が100,000よりも低く、最もピーク強度が強いピークの温度(T1)と、溶出成分の分子量が100,000以上で、最もピーク強度が強いピークの温度(T2)との温度差が(T1−T2)(℃)が1℃となる。第二重合器に供給する1-ヘキセン量を50g/hrから130g/hrに変更することで、(T1−T2)(℃)が5℃とすることができる。
(1B’) ASTM-D-790に準拠して、23℃で測定した曲げ弾性率が1,500〜1,800MPaの範囲にある。
(2B’) ASTM-D-1693に準拠して測定した50℃における耐環境応力破壊性ESCR(hr)が10時間以上で非破壊である。
(1B’’) 動的粘弾性装置を用いて測定した190℃、角周波数100 rad/secにおけるtanδ(=損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’)が0.7〜0.9である。
以下要件(1B’)、(2B’)および(1B’’)について詳説する。
本発明に係わるエチレン系重合体(EB’)は、23℃で測定した曲げ弾性率が1,500〜1,800MPaの範囲にあり、50℃における耐環境応力破壊性ESCR(hr)が10時間以上で非破壊、好ましくは50時間以上で非破壊である。曲げ弾性率とESCRがこの範囲にあるエチレン系重合体は硬くて強いために、従来よりも成形品を薄くして使うことが出来る。後述するような触媒系を用い、後述するうな多段重合を実施する際に、重合器への水素、エチレン、α-オレフィンの供給量比などを変更して各成分の分子量および重合量比を制御することで、[η]がこの範囲にあるエチレン系重合体を製造出来る。具体的には、溶媒をヘキサンとした実施例14に記載の条件で重合したものを東洋精機社製ラボプラストミル(装置バッチ容積=60cm3)で190℃設定、50rpm,10分混練すると、曲げ弾性率が1,650MPa、ESCRが600時間で非破壊となり、第二重合槽に供給する1-ヘキセンを50g/hrから30g/hrに変更し、第二重合槽へ供給するエチレン量を4.0kg/hrから3.0kg/hrへ下げると、曲げ弾性率が1,780MPa、ESCRが233時間で50%破壊となりとなり、第二重合槽に供給する1-ヘキセンを50g/hrから65g/hrに変更すると、曲げ弾性率が1,520MPa、ESCRが600時間で非破壊となる。
本発明に係わる、上記エチレン系重合体(EB’)は、動的粘弾性装置を用いて測定した190℃、角周波数100 rad/secにおけるtanδ(損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’)が0.7〜0.9であることが好ましい。tanδがこの範囲にあると、ブロー成形したときのピンチ融着性に優れる。低分子量エチレン重合体の分子量を大きく、高分子量エチレン・α-オレフィン共重合体の分子量を小さくするほど、tanδが大きくなる傾向にある。なお、ピンチ融着性とは、押出機から押し出された筒状の溶融樹脂を金型ではさんで融着させる際の、融着部に樹脂が盛り上がって良くくっ付いていることを示す。tanδが大きいほど粘性が強いことを意味し、その場合に樹脂が盛り上がりやすいと考えられる。
本発明に係わるエチレン系重合体(E)、好ましくは(E’)、更に好ましくは(E’’)、特に好ましくは(E’’’)の中で、パイプ用途に好適に使用されるエチレン系重合体は、炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位濃度およびMw/Mn値が、各々以下(1P)および(2P)のように限定されていることが好ましい。このように限定されたエチレン系重合体のことを以下の説明ではエチレン系重合体(EP)と呼ぶ場合がある。
(1P) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.10〜1.00mol%含む。
(2P) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が11 〜70の範囲にある。
以下、要件(1P)および要件(2P)について説明をする。
本発明に係わる、パイプに好適に使用されるエチレン系重合体(EP)は、炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を通常0.10〜1.00mol%含む。本発明のエチレン系重合体(EP)が、エチレン単独重合体を含まない場合、即ちエチレンと炭素原子数6〜10のα-オレフィンとの共重合体のみである場合は、エチレンから導かれる構成単位は、通常99.00〜99.90 mol%の割合で存在し、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は通常0.10〜1.00 mol%の割合で存在することが好ましい。また、エチレン系重合体(EP)はエチレン単独重合体を含有していることがあり、その場合エチレン・α-オレフィン共重合体部分のエチレンから導かれる構成単位は、通常95.00〜99.80 mol%、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は0.20〜5.00 mol%の割合で存在することが好ましい。なお、エチレン単独重合体を含む場合であっても全重合体に占める、α-オレフィンから導かれる繰り返し単位は、通常0.10〜1.00 mol%である。
本発明に係るエチレン系重合体(EP)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が通常11〜70、好ましくは11〜50の範囲にある。後述するような触媒系を用い、後述するような多段重合を実施する際に、各成分の分子量および重合量比を制御することで、この範囲にあるエチレン系重合体を製造出来る。例えば、各成分の分子量差を広げるとMw/Mnは大きくなる。Mw/Mnが上記の範囲にある重合体は、機械的強度と成形性とのバランスに優れる。具体的には、溶媒をヘキサンとした実施例1に記載の条件で重合すると、Mw/Mnは14.8となる。ここで、第一重合槽に供給するエチレンを5.0kg/hrから7.0kg/hr、水素を57N-リットル/hrから125N-リットル/hrに変更すると、第一重合槽で生成するエチレン重合体の分子量が小さくなることでMw/Mnは18程度に、一方、第二重合槽に供給するエチレンを4.0kg/hrから3.3kg/hr、水素を0.2N-リットル/hrから0.07N-リットル/hrに変更すると、第二重合槽で生成するエチレン系重合体の分子量が大きくなることでMw/Mnは22程度になる。また、第一重合槽に供給する水素を52N-リットル/hr、第二重合槽に供給するエチレンを6.0kg/hr、水素を0.45N-リットル/hr、1-ヘキセンを200g/hrとすると、Mw/Mnは12程度になる。
(1P’) JIS K-6744に準拠し、80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が13MPa〜17MPa、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が12〜16MPaである。
以下、要件(1P’)について詳説する。
本発明に係わるエチレン系重合体(EP’)は、試料にノッチを付けて80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が13MPa〜17MPa、好ましくは14MPa〜16MPaであり、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が12MPa〜17MPa、好ましくは13MPa〜16MPaの範囲にある。試料にノッチをつけて80℃で測定した引張疲労強度が該範囲にあるエチレン系重合体は破壊様式が脆性的である長期寿命特性に優れる。後述するような触媒系を用い、後述するような多段重合を実施する際に、各成分の分子量、エチレンと共重合するα-オレフィンの量、組成分布、重合量比、および相溶性を制御することで、この範囲にあるエチレン系重合体を製造出来る。例えば、特定のシングルサイト触媒を用い、請求項の範囲で[η]を大きくし、共重合するα-オレフィンとして炭素数6〜10のα-オレフィンを選択し、共重合体中のα-オレフィン量を0.1〜5.0 mol%の範囲で、組成分布が狭くなるような重合条件を選択することで、疲労強度を請求項の範囲内でより高くすることが出来る。具体的には、溶媒をヘキサンとした実施例3に記載の条件で重合し、実施例3に記載の条件で造粒すると、80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が13.7MPaであり、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が13.1MPaである。造粒をサーモプラスチック社製20mmφ単軸押出機(L/D=28、圧縮比=3)、230℃設定、100 rpm、フルフライトスクリュー、吐出量50g/minで実施した場合、80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が12.3MPaであり、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が11.3MPaとなり、請求範囲を満たさない。これは、重合粒子の相溶性が悪いためと推定している。また、重合の際、第二重合槽に供給するエチレンを3.3kg/hr、水素を0.07N−リットル/hrとし、実施例3に記載の条件で造粒すると、80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が13.9MPaであり、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が13.4MPaとなる。また、比較例1 のような重合条件を採用すると、80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が12.1MPaであり、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が11.2MPaとなり、請求範囲を満たさない。逆に実施例1と同じコモノマー量で、コモノマーを共重合する際の水素量を減量することで、樹脂の[η]を請求範囲の上限3.7dl/gに近づけるほど、破断に至る回数が10,000回及び100,000回の時の実応力が高くなる。また、同じ分子構造であっても、単段で重合した低分子量のエチレン単独重合体と単段で重合した高分子量のエチレン・α−オレフィン共重合体とを溶融ブレンドした場合には、10μmを超えるような連続した結晶構造が存在し、すなわち破壊しやすい低分子量エチレン単独重合体からなる10μmを超えるような連続した構造も有するために、ノッチを付けて80℃で測定する引張疲労強度が発現しない。さらに、分子構造として結晶部を弱くするような成分、即ち低分子量成分に短鎖分岐を含有していたり、高分子量成分に多すぎる短鎖分岐を含有していると、結晶と結晶とを結ぶ強いタイ分子が生成しにくくなることで非晶が弱くなったりするので、ノッチを付けた試料を80℃で測定する引張疲労強度が発現しない。なお、ここで言う10μmを超えるような連続した結晶構造が観察されないとは、190℃で溶融し、20℃で冷却した0.5mm厚プレスシートのミクロトーム切片を偏光顕微鏡で観察した際に、10μmを超えるような連続した結晶構造が観察されないことで、エチレン系重合体を神藤金属工業社製油圧式プレス成形機を用いて、190℃で融解させた後、10MPaの圧でシート形状とし、20℃に設定した冷却プレスで0.5mm厚のプレスシートを作成し、その後、ミクロトームなどを用いて0.5mm(プレスシートの厚み)×10〜20μm程度に切削し、その後、切削片にグリセリンを少量塗布してプレパラートに密着させて、その上からカバーガラスを乗せ、観察用試料とし、この試料をクロスニコルの偏光板の間にセットして75倍程度および150倍程度に拡大した光学顕微鏡で観察することでわかる。図29および図30に、視野の一部にのみ結晶構造が観察される場合で10μmを超える連続した結晶構造は存在しないとするものの例と、視野全体に結晶構造が観察される場合で10μmを超える連続した結晶構造が存在するとするものの例とを示す。なお、スケールバーは全長で0.5 mmである。図29が約75倍、図30が約150倍で観察した写真である。
本発明に係るエチレン系重合体は、例えば、
(A)シクロペンタジエニル基とフルオレニル基が第14族原子を含む共有結合架橋によって結合されている遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機金属化合物、
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3) 遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と、担体(C)から形成されるオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを単独重合させるかまたはエチレンと炭素原子数6〜10のα-オレフィンとを共重合させることによって得ることができる。さらに詳しく述べると、本願実施例で使用した各成分(A)、(B)、(C)は以下の通りである。
遷移金属化合物(A)は、以下に記載する一般式(1)および(2)で表される化合物である。
具体的には、R7〜R10は水素であり、Yは炭素であり、MはZrであり、jは2である。
本発明で必要に応じて用いられる(B-1)有機金属化合物として、具体的には下記のような周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物である。
本発明で必要に応じて用いられる(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
本発明の架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3) (以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US−5321106号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。このようなイオン化イオン性化合物(B-3)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。なお、後述する本願実施例において使用した(B)成分としては、今回上記に示した(B-1)および(B-2)の2つを用いている。
本発明で必要に応じて用いられる(C)微粒子状担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が1〜300μm、好ましくは3〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜800m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて80〜1000℃、好ましくは100〜800℃で焼成して使用される。なお、後述する本願実施例において用いた担体は、特にことわらない限り平均粒径が12μm、比表面積が800m2/gであり、細孔容積が1.0cm3/gである旭硝子株式会社製のSiO2を用いた。
本発明において、(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
本発明に係るエチレン系重合体は、上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、既述のようにエチレンを単独重合させるかまたはエチレンと炭素原子数6〜10のα-オレフィンとを共重合させることにより得られる。
(P1) 成分(A)と、(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物および(B-3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(B)(以下単に「成分(B)」という。)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(P2) 成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒を重合器に添加する方法。
(P3) 成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P4) 成分(A)を微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(P5) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒を、重合器に添加する方法。
(P6) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P7) 成分(B)を微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、および成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(P8) 成分(B)を微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、成分(A)、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P9) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒を、成分(B)と予め接触させた触媒成分を、重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P10) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒を、成分(B)と予め接触させた触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
つかを組み合わせて実施してもよい。
(1)エチレン系重合体粒子および所望により添加される他の成分を、押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
(2)エチレン系重合体および所望により添加される他の成分を適当な良溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去、しかる後に押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
★測定用試料の調製
粒子状のエチレン系重合体100重量部に対して、二次抗酸化剤としてのトリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートを0.1重量部、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピネートを0.1重量部、塩酸吸収剤としてのステアリン酸カルシウムを0.05重量部配合する。しかる後に東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度190℃で、エチレン系重合体仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間または50rpm、10分間溶融混練後、取り出し20℃設定の冷却プレスでシートとし、これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料とした。なお、通常の押出機を用いて造粒してもよい。ただし、連続2段重合して得られた粒子状のエチレン系重合体を造粒する際には、重合粒子を十分に均一化させるためにL/Dが長い2軸押出機を用いる等の工夫が必要である。
13C-NMRによりエチレン重合体の分子鎖中における1,000カーボン当たりのメチル分岐数を測定した。測定は日本電子(株)社製Lambda 500型核磁気共鳴装置(1H:500MHz)を用いた。積算回数1万〜3万回にて測定した。なお、化学シフト基準として主鎖メチレンのピーク(29.97ppm)を用いた。直径10mm市販のNMR測定石英ガラス管中に、サンプル250〜400mgと和光純薬工業(株)社製特級o-ジクロルベンゼン:ISOTEC社製ベンゼン-d6=5:1(体積比)の混合液2mlを入れ、120℃にて加熱、均一分散させた溶液についてNMR測定を行った。NMRスペクトルにおける各吸収の帰属は、化学の領域増刊141号 NMR−総説と実験ガイド[I]、132頁〜133頁に準じて行った。エチレン・α-オレフィン共重合体の組成は、通常10mmφの試料管中で250〜400mgの共重合体を2mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C-NMR スペクトルを、測定温度120℃、測定周波数125.7MHz、スペクトル幅250,000Hz 、パルス繰返し時間4.5秒、45°パルスの測定条件下で測定して決定される。
三菱油化社製CFC T-150A型を用い以下のようにして測定した。分離カラムはShodex AT-806MSが3本であり、溶離液はo-ジクロロベンゼンであり、試料濃度は0.1〜0.3wt/vol%であり、注入量は0.5mlであり、流速は1.0ml/minである。試料は145℃、2時間加熱後、0℃まで10℃/hrで降温、更に0℃で60min保持して試料をコーティングさせた。昇温溶出カラム容量は0.86ml、配管容量は0.06mlである。検出器はFOXBORO社製赤外分光器MIRAN 1A CVF型(CaF2セル)を用い、応答時間10秒の吸光度モードの設定で、3.42μm(2924cm-1)の赤外光を検知した。溶出温度は0℃〜145℃までを35〜55フラクションに分け、特に溶出ピーク付近では1℃きざみのフラクションに分けた。温度表示は全て整数であり、例えば90℃の溶出画分とは、89℃〜90℃で溶出した成分のことを示す。0℃でもコーティングされなかった成分および各温度で溶出したフラクションの分子量を測定し、汎用較正曲線を使用して、PE換算分子量を求めた。SEC温度は145℃であり、内標注入量は0.5mlであり、注入位置は3.0mlであり、データサンプリング時間は0.50秒である。なお、狭い温度範囲で溶出する成分が多すぎて、圧力異常が生じる場合には、試料濃度を0.1wt/vol%未満とする場合もある。データ処理は、装置付属の解析プログラム「CFCデータ処理(バージョン1.50)」で実施した。なお、クロス分別(CFC)それ自身は、測定条件を厳密に同一にすれば高い分析精度でもって結果を再現する分析法であると言われているが、測定を複数回行いその平均をとることがより好ましい。
ウォーターズ社製GPC-150Cを用い以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6-HT及びTSKgel GMH6-HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/minで移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500μlとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1,000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1,000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量計算は、ユニバーサル校正して、ポリエチレンに換算して求めた値である。
マイクロソフト社製エクセル(登録商標)97のビジュアル・ベーシックを用いてプログラムを作成した。分離する2つの曲線は対数正規分布として、収束計算により分子量分布曲線を分子量が異なる2つの曲線に分離した。分離した2つの曲線を再合成した曲線とGPCで実測した分子量曲線とを比較して、両者がほぼ一致するように初期値を変更しながら計算を実行する。計算はLog(分子量)を0.02間隔に分割して行う。実測した分子量曲線の面積と分離した2つの曲線を再合成した曲線の面積とが1になるように強度を規格化し、各分子量における実測の強度(高さ)と再合成した曲線の強度(高さ)との差の絶対値を実測の強度(高さ)で割った値が、分子量が10,000〜1,000,000の範囲で0.4以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下であり、2つに分離したピークの最大位置では0.2以下、好ましくは0.1以下となるまで曲線の分離計算を繰り返す。この際、低分子量側に分離されたピークのMw/Mnと高分子量側に分離されたピークのMw/Mnとの差が1.5以下となるようにする。計算例を図28に示した。
東洋精機社製毛細式流れ特性試験機キャピログラフ1Bを用い、樹脂温度200℃、50mm/min(3.6cm3/min)の速度で樹脂を押し出す。長さL=60mm、直径D=1mmのノズル、またはキャピラリーダイスの代わりにチューブ形状物を押し出すことが出来る円筒ダイス(外径4mmφ、スリット=1mm、長さ10mm)を取り付ける。重合物がペレット化されていても、気相またはスラリー相中で重合された重合粒子同士が十分に混ざり合っていないと、溶融押出物表面に肌荒れが生じる。 このようにして得られたストランドまたはチューブの外側を測定面として表面粗さを測定する。測定には東京精密社製サーフコム1400Dを用いた。測定長さ=10mm、測定速度=0.06mm/秒、サンプリング時間=0.01秒、サンプリングピッチ=0.6μm、測定針の材質はダイアモンド、測定針の先端=5μmφ、計算規格JIS B0601-1982で計算した十点平均粗さをRzとする。Rzは測定長さ10mmの平均線に対して、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値である。測定は場所を変えて3回行い、その平均値を分散係数Rとする。ここで、3回測定したRzについて標準偏差を求める。標準偏差の値が、3回測定したRzの平均値であるRの値の1/2よりも大きかった場合には再測定を行う。Rが20μmを越える場合には、重合粒子が十分には混ざり合っておらず、そのためにパイプやブローボトルのような厚い成形体を成形した場合にも流動不良を生じて表面肌が平滑でなかったり、重合粒子間に応力集中が発生して機械強度が十分に発現しなかったりする。一方、Rが20μm以下であれば、重合粒子の履歴は残っていないと言える。
エチレン系重合体を神藤金属工業社製油圧式プレス成形機を用いて、190℃で融解させた後、10MPaの圧でシート形状とし、20℃に設定した冷却プレスで0.5mm厚のプレスシートを作成した。その後、ミクロトームなどを用いて0.5mm(プレスシートの厚み)×10〜20μm程度に切削する。その後、切削片にグリセリンを少量塗布してプレパラートに密着させて、その上からカバーガラスを乗せ、観察用試料とした。この試料をクロスニコルの偏光板の間にセットして75倍程度および150倍程度に拡大した光学顕微鏡で観察した。図29および図30に、視野の一部にのみ結晶構造が観察される場合で10μmを超える連続した結晶構造は存在しないとするものの例と、視野全体に結晶構造が観察される場合で10μmを超える連続した結晶構造が存在するとするものの例とを示す。なお、スケールバーは全長で0.5mmである。
13C-NMRによりポリエチレン分子鎖中における1,0000カーボン当たりのメチル分岐数を測定した。測定は日本電子(株)社製EPC500型核磁気共鳴装置(1H;500MHz)を用いた。積算回数1万〜3万回にて測定した。なお、化学シフト基準として主鎖メチレンのピーク(29.97 ppm)を用いた。直径10mmの市販のNMR測定石英ガラス管中に、試料250〜400mgと和光純薬工業(株)社製特級o-ジクロロベンゼン:ISOTEC社製ベンゼン-d6=5:1(体積比)の混合液3mlを入れ、120℃にて加熱、均一分散させて測定した。NMRスペクトルにおける各吸収の帰属は、化学の領域増刊141号 NMR−総説と実験ガイド[I]、132頁〜133頁に準じて行った。1,000カーボン当たりのメチル分岐数は、5〜45ppmの範囲に現れる吸収の積分総和に対する、メチル分岐由来のメチル基の吸収(19.9ppm)の積分強度比より算出した。炭素数1,000個当たりのメチル分岐数が0.08個未満の場合には測定限界以下で検出されない。
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち造粒ペレット約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める(下式参照)。
190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で0.5mm厚のシートを成形し(スペーサー形状; 240×240×0.5mm厚の板に45×45×0.5mm、9個取り)、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で圧縮することで冷却して測定用試料を作成した。熱板は5mm厚のSUS板を用いた。このプレスシートを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
溶媒に140℃に制御されたデカンを用い、試料は0.5mm厚プレスシートから切り出すか、または造粒ペレットを用い、濃度を1mg/mlとする以外は、JIS K 6796に準じてゲル含量の測定を行い、ゲル分率が1wt%以下の場合、140℃デカンに対して可溶とする。
190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で2mm厚のシートを成形し(スペーサー形状; 240×240×2mm厚の板に80×80×2mm、4個取り)、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で圧縮することで冷却して測定用試料を作成した。熱板は5mm厚のSUS板を用いた。上記の80×80×2mm厚プレスシートより、13mm×38mmの試験片オーダーンベルにより打ち抜き、評価試料に供した。
スペシメン 38x13mm 厚さ2mm(HDPE)
ノッチ長さ 19mm、深さ 0.35mm
試験温度:50℃ 恒温水槽 50.0±0.5℃に制御できるもの
サンプルの保持:内寸11.75mm長さ165mmのスペシメンホルダーに専用の折り曲
げ冶具を用いてセットする
界面活性剤:ノニルフェニルポリオキシエチレンエタノール(AntaroxCO-630の商
品名で市販)を水で希釈して10%濃度で使用する。
評価法:F50破壊時間(50%破壊時間)を対数確率紙を用いて求める。
上記ESCR性測定用の80×80×2mm厚プレスシートから幅12.7mm、長さ63.5mmの試験片を打ち抜き、ASTM-D-790に準拠し、試験温度23℃、曲げ速度5.0mm/min、曲げスパン間距離32.0mmで測定した。
tanδの詳細は、例えば高分子刊行会、「講座・レオロジー」日本レオロジー学会編20〜23ページに記載されている。測定は、レオメトリックス社製レオメーターRS-II用い、貯蔵弾性率G’(Pa)と損失弾性率G’’(Pa)の角周波数(ω(rad/sec))分散を測定した。サンプルホルダーは25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みは約2mmとした。測定温度は190℃とし、0.04≦ω≦400の範囲でG’、G’’を測定した。測定点はω一桁当たり5点とした。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、2〜25%の範囲で適宜選択した。
上記のように作成したボトルをインストロン製万能試験機にてクロスヘッド速度20mm/minの条件で座屈強度を測定した。
上記のように作成したボトル中に花王製キッチンハイターを100cc充填した後、口部を樹脂でシールし、65℃のオーブン中に保持して破壊時間を観察し、対数確率紙を用いてF50破壊時間を求めた。
上記のようにブロー成形して得られたボトルの底部を金型の合わせ面と直角をなす方向に切った時、ボトル中心部の厚さをa、最も肉厚の部分の厚さをbとすると、ピンチ部肉厚比は(a/b)で表される。この値が大きいほどピンチ形状は良好である(図31参照)。
190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で2mm厚、および6mm厚のシートを成形し(スペーサー形状:240×240×2mm厚の板に80×80×2mm、4個取り、および200×200×6mm厚の板に30×60×6mm、4個取り)、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で圧縮することで冷却して、80℃引張疲労強度測定用の試料を作成した。30×60×6mm厚プレスシートより、タテ5〜6mm×ヨコ6mm×長さ60mmの角柱に切削し、実測定用の評価試料とした。
[固体触媒成分(α)の調製]
200℃で3時間乾燥したシリカ8.5kgを33リットルのトルエンで懸濁状にした後、メチルアルミノキサン溶液(Al=1.42モル/リットル)82.7リットルを30分かけて滴下した。次いで1.5時間かけて115℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法によって除去した。得られた固体触媒成分をトルエンで3回洗浄した後、トルエンで再懸濁化して固体触媒成分(α)を得た(全容積150リットル)。
充分に窒素置換した100mlの二つ口フラスコ中に、トルエン20mlに懸濁させた固体触媒成分(α)をアルミニウム換算で20.39mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(23℃)でジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドの濃度2mmol/リットルのトルエン溶液を45.2ml(0.09mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-デカン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を100mlのn-デカンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(β)を得た。
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn-ヘプタン500mlを入れ、濃度1mol/リットルのトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、合成例1で得た固体触媒成分(β)3.85ml(Zr原子として0.003mmol相当)を投入し、水素含量2.53 vol%のエチレン・水素混合ガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレン・水素混合ガスを添加し、70分間重合した。重合後、脱圧し、窒素置換を行いエチレン・水素混合ガスを除去した。
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn-ヘプタン500mlを入れ、濃度1mol/リットルのトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、合成例1で得た固体触媒成分(β)3.90ml(Zr原子として0.00304mmol相当)を投入し、水素含量2.53 vol%のエチレン・水素混合ガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレン・水素混合ガスを添加し、63分間重合した。重合後、脱圧し、窒素置換を行いエチレン・水素混合ガスを除去した。
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した反応器中に、トルエンに懸濁させた合成例1にて合成した固体触媒成分(α)をアルミニウム換算で19.60molを入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20〜25℃)でジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライド37.38mmol/リットル溶液を2リットル(74.76mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン40リットルを用いて洗浄を2回行い、得られた担持触媒をn-ヘキサンにリスラリーし25リットルの触媒懸濁液として、固体触媒成分(γ)を得た。
[固体触媒成分(γ)の予備重合による固体触媒成分(δ)の調製]
攪拌機つき反応器に窒素雰囲気下、精製n-ヘキサン15.8リットル、および上記固体触媒成分(γ)を投入した後、トリイソブチルアルミニウム5molを加え、攪拌しながら、固体成分1g当たり4時間で3gのポリエチレンを生成相当量のエチレンで予備重合を行った。重合温度は20〜25℃に保った。重合終了後、攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン35リットルを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒をn-ヘキサン20リットルにて触媒懸濁液として、固体触媒成分(δ)を得た。
[重合]
第1重合槽に、ヘキサンを50リットル/hr、合成例2で得た固体触媒成分(δ)をZr換算原子に換算して0.15mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを5.0kg/hr、水素を65N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧8.5kg/cm2G、平均滞留時間2.5hrという条件で重合を行った。 第1重合槽から連続的に抜出された内容物は、内圧0.2kg/cm2G、65℃に保たれたフラッシュドラムで未反応エチレンおよび水素が実質的に除去された。
比較例1で得た重合粒子100重量部に対して、実施例1で用いたのと同様の二次抗酸化剤、耐熱安定剤および塩酸吸収剤を同量部配合した。しかる後にプラボー社製2軸押出機BT-30(30mmφ、L/D=46、同方向回転、ニーデイングゾーン4カ所)を用い、設定温度240℃で、樹脂押出量22g/min、100rpmで造粒して測定用試料とした。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1〜3および表6に示す。偏光顕微鏡観察において、10μmを超える連続した結晶構造は存在していない。比較例1と比べると平滑度が高く、80℃引張疲労強度も若干高いが、実施例1と比較すると、80℃引張疲労強度が低い(図32参照)。
三井化学社製ハイゼックス7700M製品ペレットを測定用試料とした。コモノマーは1-ブテンである。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1〜3および表6に示す。100倍視野で観察した偏光顕微鏡観察において、10μmを超える連続した結晶構造は存在していない。図32に示したように、この試料は80℃引張疲労測定では実施例に比べて疲労強度が低いことが分かる。
特開2002-53615号公報記載の実施例1で使用している触媒を用いて、80℃スラリー重合により[η]=0.72dl/gのエチレン単独重合体および[η]=5.2dl/g、およびブテン-1含量=1.7mol%のエチレン・ブテン-1共重合体を得た。これらを49/51(重量比)の割合で混合し、130℃パラキシレンに10g/1000mlの濃度で溶解、3時間攪拌後1時間掛けて、20℃の3000mlのアセトンに析出させ、ガラスフィルターを用いて濾過、60℃で一昼夜真空乾燥後、ラボプラストミルを用いて溶融混練して、測定用試料とした。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1および表6に示す。
バセル社製HDPE(商品名 ホスタレン、銘柄名 CRP100)の製品ペレットを測定用試料とした。コモノマーは1-ブテン。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1〜3および表6に示す。CFC分別による等高線を図14に、低温側から眺めた3次元チャート(鳥瞰図)を図15に、高温側から眺めた3次元チャート(鳥瞰図)を図16に、ピーク温度(T2)(℃)における溶出成分のGPC曲線を図17に、73〜76(℃)で溶出する成分のGPC曲線を図18に、95〜96(℃)で溶出する成分のGPC曲線を図19に示す。なお、ここではT1=T2である。偏光顕微鏡観察において、10μmを超える連続した結晶構造は存在していない。図32に示したように、この試料の80℃引張疲労測定試験では実施例に比べて疲労強度が低いことが分かる。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例2で得た固体触媒成分(δ)をZr原子に換算して0.11mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを5.0kg/hr、水素を57N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧8.5kg/cm2G、平均滞留時間2.5hrという条件で重合を行った。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例2で得た固体触媒成分(δ)をZr原子に換算して0.11mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを7.0kg/hr、水素を125N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧8.5kg/cm2G、平均滞留時間2.5hrという条件で重合を行った。
三井化学社製ハイゼックス6200B製品ペレットを測定用試料とした。コモノマーは1-ブテンである。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1〜5に示す。偏光顕微鏡観察において、10μmを超える連続した結晶構造は存在していない。実施例4と比較すると、剛性とESCR性とのバランスに劣ることが分った。
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した反応器中に、トルエンに懸濁させた合成例1にて合成した固体触媒成分(α)をアルミニウム換算で9.50molを入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20〜25℃)でジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロライド3mmol/リットル溶液を12.6ミリリットル(0.038mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ペンタン50mlを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒を50mlのn-ペンタンにリスラリーし触媒懸濁液として、固体触媒成分(θ)を得た。
攪拌機つき反応器に窒素雰囲気下、上記固体触媒成分(θ)を投入した後、トリイソブチルアルミニウム1.92mmolを加え、攪拌しながら、固体成分1g当たり1時間で3gのポリエチレンを生成相当量のエチレンで予備重合を行った。重合温度は25℃に保った。重合終了後、攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ペンタン50ミリリットルを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒をn-ペンタン100ミリリットルにて触媒懸濁液として固体触媒成分(φ)を得た。
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn-ヘプタン500mlを入れ、濃度1mol/リットルのトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、合成例3で得た固体触媒成分(φ)6.50ml(Zr原子0.0018mmol相当)を投入し、水素含量2.50 vol%のエチレン・水素混合ガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレン・水素混合ガスを添加し、70.5分間重合した。重合後、脱圧し、窒素置換を行いエチレン・水素混合ガスを除去した。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例2で得た固体触媒成分(δ)をZr原子に換算して0.13mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを5.0kg/hr、水素を57N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧8.3kg/cm2G、平均滞留時間2.6hrという条件で重合を行った。 第1重合槽から連続的に抜出された内容物は、内圧0.35kg/cm2G、60℃に保たれたフラッシュドラムで未反応エチレンおよび水素が実質的に除去される。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例2で得た固体触媒成分(δ)をZr原子に換算して0.13mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを5.0kg/hr、水素を55N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧8.1kg/cm2G、平均滞留時間2.6hrという条件で重合を行った。
[固体触媒成分の調製]
合成例4に限り、シリカとして平均粒径が3μm、比表面積が800m2/gであり、細孔容積が1.0cm3/gである旭硝子株式会社製のSiO2を用いた。
充分に窒素置換した反応器中に、固体触媒成分(ε)をアルミニウム換算で9.58molを入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20〜25℃)でジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロライド12.42mmol/リットル溶液を2リットル(24.84mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン40リットルを用いて洗浄を2回行い、得られた担持触媒をn-ヘキサンにリスラリーし25リットルの触媒懸濁液として、固体触媒成分(κ)を得た。
攪拌機つき反応器に窒素雰囲気下、精製n-ヘキサン21.9リットル、および上記固体触媒成分(κ)を投入した後、トリイソブチルアルミニウム1.7molを加え、攪拌しながら、固体成分1g当たり2時間で3gのポリエチレンを生成相当量のエチレンで予備重合を行った。重合温度は20〜25℃に保った。重合終了後、攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン40リットルを用いて洗浄を3回行い、得られた担持触媒をn-ヘキサン20リットルにて触媒懸濁液として、固体触媒成分(λ)を得た。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例4で得た固体触媒成分(λ)をZr原子に換算して0.11mmol/hr、トリエチルアルミニウムを15mmol/hr、エチレンを7.0kg/hr、水素を105N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧7.9kg/cm2G、平均滞留時間2.5hrという条件で重合を行った。
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した反応器中に、トルエンに懸濁させた合成例1にて合成した固体触媒成分(α)をアルミニウム換算で19.60mollを入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20〜25℃)でジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロライド31.06mmol/リットル溶液を2リットル(62.12mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン40リットルを用いて洗浄を2回行い、得られた担持触媒をn-ヘキサンにリスラリーし25リットルの触媒懸濁液として、固体触媒成分(τ)を得た。
攪拌機つき反応器に窒素雰囲気下、精製n-ヘキサン15.8リットル、および上記固体触媒成分(τ)を投入した後、トリイソブチルアルミニウム5molを加え、攪拌しながら、固体成分1g当たり4時間で3gのポリエチレンを生成相当量のエチレンで予備重合を行った。重合温度は20〜25℃に保った。重合終了後、攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン35リットルを用いて洗浄を4回行い、得られた担持触媒をn-ヘキサン20リットルにて触媒懸濁液として、固体触媒成分(ω)を得た。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例5で得た固体触媒成分(ω)をZr原子に換算して0.14mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを7.0kg/hr、水素を120N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧7.9kg/cm2G、平均滞留時間2.6hrという条件で重合を行った。
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn-ヘプタン500mlを入れ、濃度1mol/リットルのトリイソブチルアルミニウム0.25ml(0.25mmol)、合成例1で得た固体触媒成分(β)4.87ml(Zr原子0.0038mmol相当)を投入し、水素含量2.50 vol%のエチレン・水素混合ガスで8.0kg/cm2Gに加圧し、80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレン・水素混合ガスを添加し、54.5分間重合した。重合後、脱圧し、窒素置換を行いエチレン・水素混合ガスを除去した。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例2で得た固体触媒成分(δ)をZr原子に換算して0.11mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを6.0kg/hr、水素を100N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧8.5kg/cm2G、平均滞留時間2.5hrという条件で重合を行った。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例5で得た固体触媒成分(ω)をZr原子に換算して0.08mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを7.0kg/hr、水素を52N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧7.3kg/cm2G、平均滞留時間2.6hrという条件で重合を行った。
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例5で得た固体触媒成分(ω)をZr原子に換算して0.13mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを5.0kg/hr、水素を67N-リットル/hrで連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧7.4kg/cm2G、平均滞留時間2.7hrという条件で重合を行った。
三井化学社製ハイゼックス3000B製品ペレットを用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1〜4に示す。実施例に比べて剛性に劣り、ESCR性もさほど良くない。
日本ポリエチレン社製ノバテックHD HB332R製品ペレットを用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1〜4に示す。実施例に比べて、剛性とESCR性に劣る。
実施例3で得た重合粒子100重量部に対して、実施例1で用いたのと同様の二次抗酸化剤、耐熱安定剤および塩酸吸収剤を同量部配合した。しかる後にサーモプラスチックス社製20mmφ単軸押出機を用い、比較例1と同様の設定温度、樹脂押出量および回転数の条件で造粒して測定用試料とした。偏光顕微鏡観察において、10μmを超える連続した結晶構造は存在していない。140℃デカンに可溶である。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。結果を表1〜3および表6に示す。実施例3に比べて平滑性が低く、図32に示した80℃引張疲労測定結果からは比較例に比べて疲労強度が低いことが分かる。なお、引張疲労測定後の試料の破断面はほとんど伸びずに破断した。
[固体触媒成分(β)の予備重合による固体触媒成分(π)の調製]
200mlの攪拌機つき三口ガラス反応器に窒素雰囲気下精製ヘキサン28ml、トリイソブチルアルミニウム2ml(2mmol)、および上記合成例1にて合成した固体触媒成分(β)(Zr原子0.03mmol相当)を投入した後、固体成分1g当たり1時間で3gのポリエチレンを生成相当量のエチレンで予備重合を行った。重合温度は20℃に保った。重合終了後、反応器を窒素で置換し、充分に窒素置換されたガラス製フィルターで窒素雰囲気下予備重合触媒をろ過し、精製ヘキサンで3回洗浄後、約100mlの精製デカンで懸濁して触媒瓶に全液移液して固体触媒成分(π)を得た。
[重合]
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn-ヘプタン100mlを入れ、濃度1mol/リットルのトリイソブチルアルミニウム0.5ml(0.5mmol)、合成例6で得た固体触媒成分(π) 3.5ml(Zr原子0.003mmol相当)、第一工業製薬(株)製エパン720(100mg)を、トルエン25mlとヘキサン25mlを加えて調整した2mg/ml溶液を1ml(第一工業製薬(株)製エパン720; 2mg相当)を投入し、水素で1.6kg/cm2Gに加圧し次いでエチレンで8.0kg/cm2Gに加圧して80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンを添加し、40分間重合した。重合後、脱圧し窒素置換を行い、エチレン、水素を除去した。
充分に窒素置換した1000mlのオートクレーブにn-ヘプタン500mlを入れ、濃度1mol/リットルのトリイソブチルアルミニウム0.5ml(0.5mmol)、合成例6で得た固体触媒成分(π) 5.0ml(Zr原子0.00214mmol相当)、比較例10で使用した第一工業製薬(株)製エパン720(100mg)を、トルエン25mlとヘキサン25mlを加えて調整した2mg/ml溶液を1ml(2mg相当)を投入し、水素で1.6kg/cm2Gに加圧し次いでエチレンで8.0kg/cm2Gに加圧して80℃で重合を開始した。重合中は8.0kg/cm2Gに保つようにエチレンを添加し、50分間重合した。重合後、脱圧し窒素置換を行い、エチレン、水素を除去した。
[担持触媒の調製]
グローブボックス内にて、1リットルの四つ口フラスコにジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.18g秤量した。フラスコをグローブボックスから取り出し、トルエン46mlとMAO/SiO2のトルエンスラリー140ml(固体量8.82g)を窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。得られたジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド/MAO/SiO2/トルエンスラリーはn-ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を450mlとし、固体触媒成分(σ)を調製した。なお、この操作は室温で行った。
内容量200リットルの攪拌機付きオートクレーブに、ヘプタン86.5リットル、トリイソブチルアルミニウム90mmol、前記で調製した固体触媒成分(σ) 9gを装入した。内温を80℃に保ち、エチレンと水素を装入し、内圧を0.6MPa/Gに保ち、重合を行った。装入したエチレン量は、13.7kgであった。
内容量200リットルの攪拌機付きオートクレーブに、ヘプタン86.5リットル、トリイソブチルアルミニウム90mmol、合成例7で調製した固体触媒成分(σ) 9gを装入した。内温を80℃に保ち、エチレンと水素を装入し、内圧を0.6MPa/Gに保ち、重合を行った。装入したエチレン量は、13.7kgであった。
Claims (13)
- 下記要件(1’)〜(7’)を同時に満たす請求項1に記載のエチレン系重合体。
(1’) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.02〜1.0mol%含む。(2’) 密度(d)が945〜970kg/m3の範囲にある。
(3’) 135℃、デカリン中で測定した極限粘度([η])が1.6〜4.1(dl/g)の範囲にある。
(4’) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5 〜70の範囲にある。
(5’) クロス分別(CFC)において分子量が100,000未満で最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜11℃の範囲にある。
(6’) クロス分別(CFC)において[(T2−1)〜T2](℃)で溶出した画分のGPC曲線の中で、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の分子量が200,000〜800,000の範囲にある。
(7’) クロス分別(CFC)において95〜96℃で溶出する成分のGPC曲線のうち分子量が100,000以下の領域において最も強いピークの頂点の分子量が28,000を超えない。 - 13C-NMRで測定したメチル分岐が炭素原子1000個当たり0.1個未満であることを特徴とする請求項2に記載のエチレン系重合体。
- (1’’’) GPC曲線を2つの対数正規分布曲線に分離した時に、各々の曲線の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜3.5、高分子量側に分離された曲線の重量平均分子量(Mw2)が200,000〜800,000であり、(2’’’) 押出ストランドの表面粗さから求められる平滑度係数Rが20μmを越えないことを特徴とする請求項3に記載のエチレン系重合体。
- 下記要件(1B)〜(3B)を同時に満たす、ブロー成形体に好適に用いられる請求項1から4のいずれかに記載のエチレン系重合体。
(1B) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.02〜0.20mol%含む。
(2B) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が 5 〜30の範囲にある。
(3B) クロス分別(CFC)においてピーク頂点の分子量が100,000未満で最も強いピークの頂点の溶出温度をT1(℃)、分子量が100,000以上で最も強いピークの頂点の溶出温度をT2(℃)とした場合、(T1−T2)(℃)が0〜5℃の範囲にある。 - (1B’) ASTM-D-790に準拠して、23℃で測定した曲げ弾性率が1,500〜1,800MPaの範囲にあり、(2B’) ASTM-D-1693に準拠して測定した50℃における耐環境応力破壊性ESCR(hr)が10時間以上で非破壊であることを特徴とするブロー成形体に好適に用いられる請求項5に記載のエチレン系重合体。
- 動的粘弾性装置を用いて測定した190℃、角周波数100 rad/secにおけるtanδ(=損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’)が0.7〜0.9である、請求項6に記載のブロー成形体に好適に用いられるエチレン系重合体。
- 下記要件(1P)を満たす、パイプに好適に用いられる請求項1から4のいずれかに記載のエチレン系重合体。
(1P) 炭素原子数6〜10のα-オレフィンから導かれる構成単位を0.10〜1.0 mol%含む。
(2P) GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が11 〜70の範囲にある。 - 下記要件(1P’)を満たすパイプに好適に用いられる請求の範囲第8項に記載のエチレン系重合体。
(1P’) JIS K-6744に準拠し、80℃で測定した引張疲労特性で破断に至る回数が10,000回のときの実応力が13MPa〜17MPa、破断に至る回数が100,000回のときの実応力が12〜16MPaである。 - 請求項6または7に記載のエチレン系重合体からなるブロー成形体。
- 成形体が、ガソリンタンク、工業薬品缶またはボトル容器であることを特徴とする請求項10に記載のブロー成形体。
- 請求項9に記載のエチレン系重合体からなるパイプ又はパイプ継ぎ手。
- 水道等の液体輸送用に用いられる請求項12に記載のパイプまたはパイプ継ぎ手。
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