JP2004269666A - ポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物及びポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3−キヌクリジノール又は3−アミノキヌクリジンと、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン及び/又は2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノールを含有する触媒組成物であって、それらの混合比率が、20〜95/80〜5(重量%)の範囲である触媒組成物をポリウレタン樹脂の製造に使用する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質、硬質、半硬質、エラストマー等のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物及びその触媒組成物を用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。更に詳しくは、揮発性のアミン系触媒を殆ど排出しないまたフォーム物性の耐湿熱劣化性に優れるポリウレタン樹脂を製造するための触媒組成物及びそのポリウレタン樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂はポリオールと有機ポリイソシアネートとを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の存在下に反応させて製造される。従来このポリウレタン樹脂の製造に数多くの金属系化合物や第3級アミン化合物を触媒として用いることが知られている。これら触媒は単独又は併用することにより工業的にも多用されている。
【0003】
これらのうちでも第3級アミン化合物は、生産性、成形性に優れることよりポリウレタン樹脂製造用の第3級アミン触媒として特に広く用いられている。このような第3級アミン触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N,N−ジメチルエタノールアミン等の従来公知の化合物が挙げられる。
【0004】
一方、金属系触媒は。生産性、成形性が悪化することより殆どの場合第3級アミン触媒と併用されることが多く単独で使用されることは少ない。
【0005】
しかしながら、前記した従来公知の第3級アミン触媒は、ポリウレタン樹脂製品中にフリーの形で残留し、揮発性のアミンとして徐々に排出するため種々の問題を引き起こす。例えば、自動車内におけるポリウレタンフォーム製品から排出される揮発性アミンの臭気問題や、ポリウレタンフォーム中の揮発性成分が自動車の窓ガラスに付着して窓ガラスを曇らせ商品価値を落とす原因となっている、いわゆるフォギングと呼ばれる問題、その他、ポリウレタン製品から排出される揮発性アミンによる他の材料への汚染問題等である。
【0006】
この問題を解決する方法として、これら揮発性の第3級アミン触媒に替えて、分子内に有機ポリイソシアネートと反応しうる1級及び2級のアミノ基又はヒドロキシアルキル基を有するアミン触媒、さらには1級アミンの炭酸塩を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)。
【0007】
これらのアミン触媒は、有機ポリイソシアネートと反応した形でポリウレタン樹脂骨格中に固定化されるため上記問題が回避されるとしている。しかしながら、これらの反応性基を有するアミン触媒を用いたとしても、上記問題は十分には解決せず、さらに他の問題も引き起こしてしまう。
【0008】
すなわち、一般に反応性基を有するアミン触媒は、ポリウレタン生成過程において有機ポリイソシアネートと反応しポリウレタン樹脂中に固定化されるため触媒活性が徐々に低下する欠点がある。特に1級及び2級のアミノ基を有するアミン触媒は、ポリウレタン生成過程の初期から有機ポリイソシアネートと反応し始めポリウレタン樹脂中に固定化されるため触媒活性の低下が大きくなり、ポリウレタン樹脂の硬化が不十分となる結果生産性の低下を招く。これに対し、1級アミンの炭酸塩を触媒とする方法は炭酸塩のブロック効果により樹脂の硬化不足は改良されるが触媒使用量が多く必要となり、さらにポリウレタン樹脂中への固定化が不十分のためか揮発性アミンとして出てきやすい。また、これら反応性基を有するアミン触媒の中には一旦有機ポリイソシアネートと反応しポリウレタン樹脂骨格中に固定化されるものの、車内が高い温度になると結合の分解が起きフリーのアミン触媒として排出されるものもある。更にこれら反応性基を有するアミン触媒のもう一つの欠点は、製造されたポリウレタン製品の機械的物性が低下し易いことである。
【0009】
このため、触媒として、キヌクリジノール誘導体及び/又は3−キヌクリジノールのみを使用する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、キヌクリジノール誘導体及び/又は3−キヌクリジノールのみを触媒として用いた場合、得られるポリウレタン樹脂はフォームセルの独泡性が非常に強く、脱型後に収縮、変形を起こす等成形性が悪化し、また通気性やフォーム物性の耐湿熱劣化性が非常に悪くなってしまう問題を有する。
【0010】
また、触媒として、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N,N’−トリメチル−N”−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンアミン、N,N,N’,N”−テトラメチル−N”−(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン等の下記一般式(2)
【0011】
【化4】
で表される化合物を用いたウレタン樹脂の製造法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、上記一般式(2)で示される化合物のみを触媒として用いた場合、ウレタン樹脂の形成が不充分でありデフォーム現象を生じる問題がある。また上記一般式(2)で示される化合物をトリエチレンジアミン等の通常の用いられるアミン触媒と組み合わせて併用することによりフォームを形成することは可能であるが得られるフォームからのアミン成分の揮発性は高く、フォギング問題や他の材料への汚染が問題となってしまうばかりではなく、フォーム物性が悪化する問題がある。また上記一般式(2)で示される化合物をN,N−ジメチルアミノエタノールアミン等の反応性触媒と併用することによりフォームを形成することは可能であるが、得られるフォームの硬度は低く、フォーム物性は耐湿熱劣化性が非常に劣るものとなってしまう。
【0012】
さらに、触媒として、2−〔N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ〕エタノールや、2−〔N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ〕−1−メチル・エタノール等の下記一般式(3)
【0013】
【化5】
で示される化合物を触媒として用いたウレタン樹脂の製造法が提案されている(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、上記一般式(3)で示される化合物のみを触媒として用いた場合、ウレタン樹脂の形成が不充分でありデフォーム現象を生じる問題がある。また上記一般式(3)で示される化合物をトリエチレンジアミン等の通常のアミン触媒と併用しても、上記一般式(2)で示される化合物を使用した場合と同様の問題を生じ、上記一般式(3)で示される化合物をN,N−ジメチルアミノエタノールアミン等の反応性触媒と併用しても得られるウレタンフォーム物性が耐湿熱劣化性が非常に劣ることは、上記一般式(3)で示される化合物を使用した場合と同様である。
【0014】
また、アミン系以外の金属系触媒、例えば有機錫化合物は前記問題を起こさないが単独の使用では生産性、物性及び成形性が悪化し、更に錫による環境問題も取り沙汰されて来ている。
【0015】
【特許文献1】
特開昭59−191743号公報
【特許文献2】
特公昭61−31727号公報
【特許文献3】
特公昭57−14762号公報
【特許文献4】
特開平4−65416号公報
【特許文献5】
特開平6−80750号公報
【特許文献6】
特開平4−85317号公報
【特許文献7】
英国特許出願公開第2102410号明細書(1983)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、揮発性アミンがなく物性の低下、特に湿熱下のフォーム物性の低下も少ないポリウレタン樹脂を生産性、成形性良く得る製造方法とそれに使用される触媒組成物を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ポリウレタン樹脂製造の際にアミン触媒として、下記一般式(1)
【0018】
【化6】
(上記式中、R1及びR4は各々独立してヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、2’−ヒドロキシエチル基、ヒドロキシエチル基、2’−ヒドロキシプロピル基、3’−ヒドロキシプロピル基、水素原子又はアミノ基を表し、R2、R3及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。)
で表される、分子内にアミノ基又はヒドロキシアルキル基を1個以上有するキヌクリジン化合物と、下記一般式(2)
【0019】
【化7】
(上記式中、R1及びR4は各々独立してヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、2’−ヒドロキシエチル基、ヒドロキシエチル基、2’−ヒドロキシプロピル基、3’−ヒドロキシプロピル基、水素原子又はアミノ基を表し、R2、R3及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。)
及び/又は下記一般式(3)
【0020】
【化8】
(上記式中、R10、R11及びR12は各々独立して炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、R13は水素原子又はメチル基を表す。n及びqは各々独立して1〜3の整数を表す。)
で示される、分子内にヒドロキシアルキル基を一つ以上有する第3級アミン化合物を特定の混合比率で併用して用いると、揮発性アミンが非常に少なく、またポリウレタン樹脂が物性の低下、特に湿熱下のフォーム物性の低下が少なく、かつ成形性、生産性良く得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0021】
即ち、本発明は、
▲1▼ 上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有し、かつ上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物との混合比率が、触媒組成物中の上記一般式(1)で示される化合物と上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物との合計の重量を100(重量%)とした場合に、20〜95/80〜5(重量%)の範囲であるポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物、
▲2▼ 上記一般式(1)で示される化合物が、3−キヌクリジノール又は3−アミノキヌクリジンであることを特徴とする上記触媒組成物、
▲3▼ 上記一般式(2)で示される化合物が、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミンであることを特徴とする上記触媒組成物、
▲4▼ 上記一般式(3)で示される化合物が、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノールであることを特徴とする上記触媒組成物、
▲5▼ ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、アミン系触媒の存在下で反応させポリウレタン樹脂を製造する方法において、アミン系触媒として、上記の触媒組成物を用いることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法、
▲6▼ ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、アミン系触媒及び他の助剤の存在下で反応させポリウレタン樹脂を製造する方法において、アミン系触媒として上記の触媒組成物を用いることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法、
▲7▼ 他の助剤として、発泡剤を使用することを特徴とする上記ポリウレタン樹脂の製造方法、
▲8▼ 発泡剤として、水及び/又は低沸点有機化合物を用いることを特徴とする上記ポリウレタン樹脂の製造方法、並びに
▲9▼ ポリウレタン樹脂が軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とする上記ポリウレタン樹脂の製造方法、
である。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
本発明のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物は、上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有してなる。
【0024】
上記一般式(1)で示される化合物は、分子内にアミノ基又はヒドロキシアルキル基を1個以上有するキヌクリジン化合物であり、特に限定するものではないが、例えば、3−キヌクリジノール、3−ヒドロキシメチルキヌクリジン、3−(2’−ヒドロキシエチル)キヌクリジン、3−ヒドロキシエチルキヌクリジン、3−(2’−ヒドロキシプロピル)キヌクリジン、3−(3’−ヒドロキシプロピル)キヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、1−メチル−3−キヌクリジノール、1−メチル−3−ヒドロキシメチルキヌクリジン、1−メチル−3−(2’−ヒドロキシエチル)キヌクリジン、1−メチル−3−ヒドロキシエチルキヌクリジン、1−メチル−3−(2’−ヒドロキシプロピル)キヌクリジン、1−メチル−3−(3’−ヒドロキシプロピル)キヌクリジン、1−メチル−3−アミノキヌクリジン、4−メチル−3−キヌクリジノール、4−メチル−3−ヒドロキシメチルキヌクリジン、4−メチル−3−(2’−ヒドロキシエチル)キヌクリジン、4−メチル−3−ヒドロキシエチルキヌクリジン、4−メチル−3−(2’−ヒドロキシプロピル)キヌクリジン、4−メチル−3−(3’−ヒドロキシプロピル)キヌクリジン、4−メチル−3−アミノキヌクリジン等が挙げられる。これらのうち、触媒活性等の面から、3−キヌクリジノール、3−(2’−ヒドロキシプロピル)キヌクリジン、3−アミノキヌクリジンがより好ましい。
【0025】
上記一般式(2)で示される化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシブチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシペンチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシヘキシル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”’,N”’−ペンタメチルトリエチレンテトラアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”’,N”’−ペンタメチルトリエチレンテトラアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”’,N”’−ペンタメチルトリエチレンテトラアミン、N−(2−ヒドロキシブチル)−N,N’,N”,N”’,N”’−ペンタメチルトリエチレンテトラアミン、N−(2−ヒドロキシペンチル)−N,N’,N”,N”’,N”’−ペンタメチルトリエチレンテトラアミン、N−(2−ヒドロキシヘキシル)−N,N’,N”,N”’,N”’−ペンタメチルトリエチレンテトラアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”’,N””,N””−ヘキサメチルテトラエチレンペンタアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”’,N””,N””−ヘキサメチルテトラエチレンペンタアミン、N−(2−ヒドロキシブチル)−N,N’,N”,N”’,N””,N””−ヘキサメチルテトラエチレンペンタアミン、N−(2−ヒドロキシペンチル)−N,N’,N”,N”’,N””,N””−ヘキサメチルテトラエチレンペンタアミン、N−(2−ヒドロキシヘキシル)−N,N’,N”,N”’,N””,N””−ヘキサメチルテトラエチレンペンタアミン等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の面から、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミンが好ましい。
【0026】
上記一般式(3)で示されるアミン化合物としては、特に限定するのではないが、例えば、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノール、1−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−2−プロパノール、2−((2−(2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノール、1−((2−(2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−2−プロパノール等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の点から、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノール、1−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−2−プロパノールが好ましい。
【0027】
本発明の触媒組成物において、上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物との混合比率は、触媒組成物中の上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物との合計の重量を100(重量%)とした場合、20〜95/80〜5(重量%)の範囲であり、好ましくは30〜90/70〜10(重量%)の範囲、さらに好ましくは40〜80/60〜20(重量%)の範囲である。これ以外の混合比率である、例えば、上記一般式(1)で示される化合物の割合が95重量%以上ではフォームセルの独泡性が強くなり脱型後に収縮、変形を起こす等成形性も悪化するため、ポリウレタン樹脂の生産性が極端に悪化する。一方、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物の割合が80重量%以上ではフォームのキュア性が悪化し、デフォームを生じたりする等の問題を生じる。また得られるフォームの物性、特にフォームの耐湿熱劣化が大きくなり、要求される物性値を満足できない問題を生じる。
【0028】
即ち、上記一般式(1)で示される化合物、上記一般式(2)で示される化合物、又は上記一般式(3)で示される化合物を各々単独でポリウレタン樹脂の製造に用いても、また上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物とを併用しても本発明の混合比率の範囲で併用しなければ、生産性、成形性、フォーム物性、特にフォーム耐湿熱劣化が問題となり、本発明の効果は達成されない。上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物とを本発明の混合比率の範囲で併用することによりはじめて本発明の効果は達成されるのである。
【0029】
本発明の触媒組成物の成分である上記一般式(1)で示されるアミン化合物は、例えば、米国特許第2648667号明細書や米国特許第3464997号明細書等に記載された従来公知の方法にて製造できる。
【0030】
また、上記一般式(2)で示される化合物や上記一般式(3)で示される化合物は、該当するアミン類とアルキレンオキサイド類を反応させることにより得られる。
【0031】
本発明の触媒組成物を用いたポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、アミン系触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の他の助剤の存在下で反応させ、ポリウレタン樹脂製品を得る方法である。このようなポリウレタン樹脂製品としては、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォーム、更に発泡剤を用いないエラストマー製品等が挙げられる。これらの内、本発明の方法は、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォームに好ましく適用され、揮発性のアミン触媒が排出されやすい軟質ポリウレタンフォームに特に好ましく適用される。
【0032】
本発明の触媒組成物をポリウレタン樹脂の製造に用いる際の触媒使用量は、使用されるポリオ−ルを100重量部としたとき、通常0.01〜10重量部であるが、好ましくは0.05〜5重量部である。触媒を多く用いるとポリウレタン樹脂の生産性は向上するが揮発性アミンの量も多くなり好ましくない。
【0033】
本発明の触媒組成物は、ポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートと反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定化される。更に固定化された本発明の触媒は高温下に曝されても分解することが少ない。このため本発明の触媒組成物はポリウレタン樹脂中にフリーのアミンとして存在しにくく揮発性アミンとして出てくる割合が少ない。即ち、本発明の触媒組成物を用いたポリウレタン樹脂製品では前述した種々の問題、例えば揮発性アミンによる臭気、フォギング、他の材料への汚染等を防止することが可能となる。更に本発明の触媒をポリウレタン樹脂の製造に用いると、ポリウレタンフォーム製品等ではフォーム表面部のセル荒れ改良等の優れた成形性を示し、また樹脂の硬化も早くなり生産性も向上する。さらに、得られるウレタンフォームの製品の物性は他の反応性触媒を使用した場合と異なり、非常に良好であり、特に湿熱下条件での劣化が少ない特徴を有するのである。
【0034】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法に使用されるポリオールとしては、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、さらには含リンポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
【0035】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミンのようなアミン類、エタノールアミン及びジエタノールアミン等のようなアルカノールアミン類等のような少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料としてこれにエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドの付加反応により、例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版) p.42−53に記載の方法により製造することができる。
【0036】
ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸とグリコールの反応から得られるもの、更に、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社 p.117に記載されているようなナイロン製造時の廃物、TMP、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0037】
ポリマーポリオールとしては、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体例えばブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等をラジカル重合触媒の存在下に反応させた、重合体ポリオールが挙げられる。
【0038】
難燃ポリオールとしては、例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる含リンポリオール、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られる含ハロゲンポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
【0039】
これらポリオールの分子量は62〜15000のものが使用できる。軟質ポリウレタンフォームには、分子量1000〜15000のものが使用されるが、好ましくは分子量3000〜15000のポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールである。さらに好ましくはポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを併用して用いる軟質ポリウレタンフォームである。
【0040】
本発明に使用される有機ポリイソシアネートは、公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、及びこれらの混合体が挙げられる。TDIとその誘導体としては、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、又はTDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。MDIとその誘導体としては、MDIとその重合体のポリフェニル−ポリメチレンジイソシアネートの混合体、及び/又は末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。これら有機ポリイソシアネートのうち、TDIとMDIが好ましく使用され、軟質ポリウレタンフォームにはTDIとMDI及びその併用系が使用される。
【0041】
これら有機ポリイソシアネートとポリオールの使用比率としては、特に限定されるものではないが、イソシアネートインデックス(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)で表すと、一般に、軟質フォーム、半硬質フォームの製造では通常60〜130の範囲であり、硬質フォーム及びウレタンエラストマーの製造においては通常60〜400の範囲である。
【0042】
本発明のポリウレタンの製造方法に使用される触媒は、上記した本発明の触媒組成物であるが、それ以外にも本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の触媒を併用して用いることができる。このような他の触媒としては、例えば、従来公知の有機金属触媒、第3級アミン類や第4級アンモニウム塩類等を挙げることができる。
【0043】
有機金属触媒としては、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0044】
第3級アミン類としては、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の第3級アミン化合物類が挙げられる。
【0045】
また、本発明の触媒組成物以外の反応性基を持つ第3級アミン化合物も使用でき、例えば、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0046】
第4級アンモニウム塩類としては、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0047】
本発明の方法においては、発泡剤、発泡剤、界面活性剤、架橋剤又は鎖延長剤、着色剤、難燃剤、老化防止剤等の他の助剤を使用してポリウレタン樹脂を製造することができる。
【0048】
本発明の方法において、必要であれば発泡剤を使用することができる。本発明の方法において使用される発泡剤としては、水及び/又は低沸点有機化合物が例示される。本発明の方法において、低沸点有機化合物とは、炭化水素系化合物やハロゲン化炭化水素系化合物をいい、特に限定するものではないが、炭化水素系化合物としては、例えば、従来公知のメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等が挙げられ、ハロゲン化炭化水素系化合物としては、例えば、従来公知のハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン類、フッ素化炭化水素類が挙げられ、具体的には、塩化メチレン、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC−356mfc等が挙げられる。これら発泡剤の使用においては、水と低沸点有機化合物をそれぞれ単独使用してもよいし、併用してもよい。特に好ましい発泡剤は水である。その使用量は目的とするポリウレタン樹脂製品の密度により変わり得るため、特に限定するものではないが、通常ポリオール100重量部に対して0.1重量部以上であり、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0049】
本発明において、必要であれば界面活性剤を用いることができる。本発明において使用される界面活性剤としては、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤であり、その使用量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0050】
本発明において、必要であれば架橋剤又は鎖延長剤を添加することができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等の低分子量の多価アルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量のアミンポリオール、又はエチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等のポリアミンを挙げることができる。これらの内、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0051】
本発明の方法には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、老化防止剤その他公知の添加剤等を使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は公知の形式と手順を逸脱しないならば、通常使用される範囲で十分使用することができる。
【0052】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法にて製造されるポリウレタン樹脂製品は種々の用途に使用できる。軟質フォームでは、例えば、クッションとしてのベッド、カーシート、マットレス等、半硬質フォームでは、例えば、自動車関連のインスツルメントパネル、ヘッドレスト、ハンドル等、硬質フォームでは、例えば、冷凍庫、冷蔵庫、断熱建材等、エラストマー製品では、例えば、接着剤、床材、防水材等が挙げられる。
【0053】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
【実施例】
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例9
本発明の触媒組成物及び比較例の触媒を用い軟質高弾性ポリウレタンフォームを製造した例を示す。
【0055】
3−キヌクリジノールの33.3wt%DPG溶液(Cat−A)と、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’、N”、N”−テトラメチルジエチレントリアミン(Cat−B)及び2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノール(Cat−C)を表1に示した調合比にて混合し本発明の触媒組成物C−1〜C−4及び比較例5〜比較例8に用いた触媒組成物C−5〜C−8を調合した。
【0056】
【表1】
ポリオール、水、架橋剤、整泡剤を表2に示した原料配合比にてプレミックスAを調合した。
【0057】
【表2】
プレミックスA 99.3gを300mlポリエチレンカップに取り、更に本発明の触媒組成物C−1〜C−4及び比較例の触媒を各々反応性が下記のゲルタイムで60秒となる量を添加し20℃に温度調整した。別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネート液をイソシアネートインデックス{イソシアネート基/OH基(モル比)×100)}が98となる量だけプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を60℃に温度調節した2Lポリエチレンカップに移し発泡中の反応性を測定した。次に原料スケールをアップさせ同様な操作にて60℃に温度調節したモールド(内寸法、35×35×10cmのアルミ製)内にフォーム全密度が52Kg/m3となるように混合液を入れ蓋をして発泡成形を行った。混合液を入れた時点から5分後にフォームを脱型した。成型フォームからフォームの独泡性、フォームの脱型時硬度、フォームの湿熱劣化、フォームのWetSET、フォームの成形性、フォームの全密度、コア密度、アミン触媒揮発量及びフォームの臭気を測定し比較した。結果を表3、表4に示す。各測定項目の測定方法は以下のとおりである。
【0058】
・反応性の測定項目
クリームタイム:発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定
ゲルタイム:反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定。
【0059】
・フォームの独泡性:
混合液を入れた時点から5分後にフォームを脱型し、フォームを直ちに手で押して次のように評価した。なお、独泡性が強いとフォームに弾力性がなく手に受ける抵抗が大きくなる
◎:弾力性が大 ○:弾力性が中 △:弾力性が小 ×:弾力性なし。
【0060】
・フォームの脱型時硬度:
フォームの独泡性評価後直ちにテンシロンにて直径20cmの円盤を用いてフォームの65%圧縮硬度を10回連続して測定し、その2回目の硬度を脱型時硬度とした。なお、脱型時硬度が高いと早く脱型できフォーム生産性に寄与する。
【0061】
・フォームの湿熱劣化:
モールドにて成形した各フォームを23℃/50%RHの条件下で一日養生させた後、7×7×3cmのサイズになるようにカットしそれぞれ5つのサンプルを得た。得られたフォームサンプルについて、テンシロンにて直径20cmの円盤を用いてフォームの40%圧縮強度を4回連続して測定し、その4回目の硬度を実験開始時硬度とした。
【0062】
圧縮強度を測定したフォームをオーブンに投入し、90℃/100%RHの湿熱条件で200時間放置した。フォームを23℃/50%RHの条件下で16時間養生させた後、再びテンシロンにてフォームの40%圧縮強度を4回連続して測定し、その4回目の硬度を実験開始後硬度とした。
【0063】
(実験開始後硬度−実験開始時硬度)/実験開始時硬度の値(%)を算出し(5サンプルの平均値)、湿熱劣化性とした。なお、この値は0に近いほど湿熱条件下でのフォームの劣化がなく、良好なフォームと判断される。湿熱劣化性の値が大きな負の値になるほど、湿熱下でフォームが柔らかくなってフォームがへたっており湿熱劣化性が悪いと判断される。逆に湿熱劣化性の値が大きな負の値になるほど、湿熱下でフォームが硬化して弾力性が失われていることになりこれもまた湿熱劣化性が悪いと判断される。
【0064】
・フォームのWet SET:
ISO1856に従い、ウレタンフォームのWet CompressionSETを測定した。即ち、モールドにて成形した各フォームを23℃/50%RHの条件下で一日養生させた後、5×5×2.5cmのサイズになるようにカットしそれぞれ4つのサンプルを得た。各サンプルの厚みを測定し試験開始時厚みd0とした。アルミ板に各サンプルをセットし、50%圧縮をかけるようにアルミ板で挟み、オーブンに投入した。オーブン内の条件を70℃/50%RHとなるように調整し、22時間この条件下で試験を行った。試験終了後、圧縮を取り除き30分間フォームの回復を促した後、フォームの厚みd1を測定した。
【0065】
(d0−d1)/d0(%)を算出し、4サンプルの平均値を取り、Wet SETとした。なお、Wet SETの値が大きいほどフォームが回復せずへたっており、湿熱劣化が大きいと判断される。
【0066】
・フォームの成形性:
モールド成型フォームの表面部セル荒れを目視にて観察し成型性として次のように評価した
◎:セル荒れが全くなし ○:セル荒れが一部にある △:セル荒れが表面部の約半分程度ある ×:セル荒れが表面部の全面にある。
【0067】
・フォームコア密度:
モールド成型フォームの中心部を20×20×5cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を算出した。
【0068】
・アミン触媒揮発量:
フォーム中から揮発するアミン触媒量を凝縮させるDIN75201−Gの方法に準じて定量した。即ち、フォームコア密度を測定したフォームから5×5×1cm寸法のフォームを5枚カットし500ml平底セパラブルフラスコに入れアルミフォイルで蓋をした。次に空隙部に冷却水が流せるように改造したセパラブルフラスコの上蓋を500ml平底セパラブルフラスコにかぶせクランプで固定した。この容器を100℃のオイルバスに48時間浸した。48時間後アルミフォイルに付着したアミン触媒をメタノールで流し取りガスクロマトグラフィーにて定量した。定量値はフォーム1g当りのアミン触媒μgで表した。
【0069】
・フォームの臭気:
フォームコア密度を測定したフォームから5×5×5cm寸法のフォームをカットしマヨネーズ瓶の中に入れ蓋をした後、10人のモニターにそのフォームの臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した
◎ : 殆ど臭い無し、○ : 微かに臭気あり、△ : 臭気有り、× :
強い臭気有り。
【0070】
【表3】
【表4】
実施例1〜実施例4までで明らかなごとく、本発明の触媒組成物を用いたポリウレタンフォームは揮発性のアミン触媒が極めて低く、アミン触媒を排出していないためフォームに臭気が全くない。また、フォームの成形性が良く、更にフォームの脱型時硬度が高く短時間に金型からフォーム製品を取り出す事が出来、フォームの生産性に寄与する。さらにフォームの湿熱劣化及びWet SETは良好な値を示しており、反応性触媒で問題となる耐湿熱劣化性に優れていると言える。
【0071】
これに対し、比較例1〜比較例3では、揮発性のアミン触媒がフォーム中から多く排出されるためフォームに強い臭気がする。比較例1は分子内に反応性基を持たない3級アミン触媒の例であり、揮発性のアミン触媒がフォーム中から多く排出されている。比較例2及び比較例3は分子内にヒドロキシエチル基を持つアミン触媒の例であるが揮発性のアミン触媒がフォーム中から多く排出されている。さらにフォームの湿熱劣化及びWet SETが非常に悪い値を示しており耐湿熱劣化性が悪いことが理解される。
【0072】
比較例4〜比較例10は本発明の触媒組成物に用いられるアミン化合物の単独使用又は本発明の混合比率以外での使用例である。比較例4のキヌクリジン化合物を単独で使用した場合、独泡性が非常に強く、フォームの成形性に悪影響を及ぼす。またフォームの湿熱劣化及びWet SETが非常に悪い値を示しており耐湿熱劣化性が悪いことが理解される。
【0073】
また、比較例5、比較例6に示されるように、本発明の触媒であるCat−B又はCat−Cを併用しても、その使用量が本発明の混合比率よりも少ない場合は、キヌクリジン化合物を単独で使用した場合と結果はあまり変わらず、独泡性が非常に強いフォームを形成してしまい、またフォームの湿熱劣化及びWet SETが非常に悪い値を示しており耐湿熱劣化性が悪い。
【0074】
また、比較例7、比較例8から明らかなように、Cat−B又はCat−Cの使用比率が本発明の混合比率よりも高い場合、独泡性が解消されるもののフォームのキュア性は悪く、フォームの湿熱劣化及びWet SETが非常に悪い値を示しており耐湿熱劣化性が悪いことが理解される。
【0075】
さらに、比較例9、比較例10に示されるようにCat−B又はCat−Cを単独使用した場合、デフォーム現象を引き起こす問題があり、良好なウレタンフォームを形成することは非常に困難であることは明らかである。
【0076】
【発明の効果】
本発明の触媒組成物は、ポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートと反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定化される。更に固定化された本発明の触媒は高温下に曝されても分解することが少ない。このため本発明の触媒組成物はポリウレタン樹脂中にフリーのアミンとして存在しにくく、揮発性アミンが出てくる可能性が低い。即ち、本発明の触媒組成物を用いたポリウレタン樹脂製品では前述した種々の問題、例えば揮発性アミンによる臭気、フォギング、他の材料への汚染等を防止する事が可能となる。更に本発明の触媒をポリウレタン樹脂の製造に用いると、従来の反応性アミン触媒で大きな問題となるフォーム物性の低下、特に湿熱下でのフォーム物性がない良好なフォームを形成することが可能である。またポリウレタンフォーム製品等ではフォーム表面部のセル荒れ改良等の優れた成形性を示し、また樹脂の硬化も早くなり生産性も向上する。
Claims (9)
- 下記一般式(1)
で示される化合物と、下記一般式(2)
で示される化合物及び下記一般式(3)
で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有し、かつ上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物との混合比率が、触媒組成物中の上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(2)で示される化合物及び上記一般式(3)で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物との合計の重量を100(重量%)とした場合に、20〜95/80〜5(重量%)の範囲であるポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物。 - 一般式(1)で示される化合物が、3−キヌクリジノール又は3−アミノキヌクリジンであることを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
- 一般式(2)で示される化合物が、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の触媒組成物。
- 一般式(3)で示される化合物が、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)エタノールであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の触媒組成物。
- ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、アミン系触媒の存在下で反応させポリウレタン樹脂を製造する方法において、アミン系触媒として、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の触媒組成物を用いることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
- ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、アミン系触媒及び他の助剤の存在下で反応させポリウレタン樹脂を製造する方法において、アミン系触媒として、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の触媒組成物を用いることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
- 他の助剤として、発泡剤を使用することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
- 発泡剤として、水及び/又は低沸点有機化合物を用いることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
- ポリウレタン樹脂が軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の製造方法。
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