JP4887584B2 - ポリウレタン樹脂製造の為の触媒組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質、硬質、半硬質、エラストマー等のポリウレタン樹脂製造用の触媒、並びにそれを用いたポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームの製造方法に関する。更に詳しくは、揮発性のアミンをほとんど排出しないポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームを製造するための触媒及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂はポリオールとポリイソシアネートとを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の存在下に反応させて製造される。従来このポリウレタン樹脂の製造に数多くの金属系化合物や第3級アミン化合物を触媒として用いることが知られている。これら触媒は単独で又は併用することにより工業的にも多用されている。
【0003】
これら触媒のうち、とりわけ第3級アミン化合物は、生産性、成形性に優れることよりポリウレタン樹脂製造用の第3級アミン触媒として広く用いられている。このような化合物としては、例えば、従来公知のトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N,N−ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0004】
金属系触媒は、生産性、成形性が悪化することより、ほとんどの場合第3級アミン触媒と併用されることが多く、単独での使用は少ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した第3級アミン触媒は、一般に不快な臭気があり、また高い揮発性を有する。このためフォーム製造工程で種々の問題を引き起こす。例えば、自動車内におけるポリウレタンフォーム製品から排出される揮発性アミンの臭気問題。また、近年ポリウレタンフォーム中の揮発性分が自動車の窓ガラスに被着し窓ガラスを曇らせ商品価値を落とす原因となっている、いわゆるフォギングと呼ばれる問題。その他、ポリウレタン製品から排出される揮発性アミンによる他の材料への汚染問題等である。
【0006】
これら揮発性の第3級アミン触媒に対し、この問題を解決する方法として分子内にウレイド基(例えばCONH2)を有するアミン触媒を使用する方法が提案されている(特開昭61−85431号公報参照)。同公報によれば、これらのウレイド基を有するアミン触媒は、この官能基を欠くアミン触媒に比べ、揮発性及び臭気の減少を伴うとされている。また、ウレイド基を有する触媒はポリイソシアネートと反応した形でポリウレタン樹脂骨格中に固定化されるため上記フォギング等の問題を回避できるとされている。しかしながら、ウレイド基を有するアミン触媒は、通常、低いか乃至は中程度の触媒活性であるためウレタン樹脂の生産性に劣る等の問題が生じる。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、揮発性及び臭気がほとんどないポリウレタン樹脂を、成形性、生産性良く得られる触媒及びそれを用いた製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ポリウレタン樹脂製造の際にアミン触媒として、3−アミノキヌクリジンの尿素付加物を用いると、揮発性及び臭気がほとんどないポリウレタン樹脂を、成形性、生産性良く得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記構造式(1)
【0010】
【化4】
で示される化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒、上記構造式(1)で示される化合物及び下記構造式(2)
【0011】
【化5】
で示される化合物を含むポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物、並びにそれらを用いたポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームの製造方法である。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明のポリウレタン樹脂製造用の触媒は、上記構造式(1)で示される化合物からなる。また、本発明のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物は、上記構造式(1)で示される化合物及び上記構造式(2)で示される化合物を含む。
【0014】
本発明の触媒組成物は、上記構造式(1)の化合物を50〜95重量%、及び上記構造式(2)の化合物を5〜50重量%を含有することが好ましい。上記構造式(1)の化合物が50重量%より小さい場合、触媒活性が低くポリウレタン樹脂の生産性が劣る問題が生じるおそれがある。
【0015】
上記構造式(1)で示される化合物及び上記構造式(2)で示される化合物は、例えば、尿素及び3−アミノキヌクリジンを適当なモル比で、加温し反応させることにより製造することができる。このため、本発明の触媒組成物は、20重量%までの未反応の尿素を含むことがあり得る。上記構造式(1)で示される化合物及び上記構造式(2)で示される化合物は個々にクロマトグラフィー、再結晶、昇華、蒸留等により単離することができる。
【0016】
本発明の触媒組成物をポリウレタン樹脂の製造に用いる際の使用量は、使用されるポリオ−ルを100重量部としたとき、通常0.01〜10重量部であるが、触媒量が多い場合、触媒がターミネーターとしてポリウレタン樹脂中に取り込まれる量が多いため、樹脂の物性(機能性)が低下するおそれがあり、好ましくは0.05〜5重量部である。
【0017】
本発明の触媒及び触媒組成物は揮発性及び臭気が極めて小さい。更にポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートと反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定化される。即ち、本発明の触媒を用いた場合、ポリウレタン製造の作業環境が改善され、更にはポリウレタン樹脂製品では前述した種々の問題、例えば揮発性アミンによる臭気、フォギング等の問題を防止することが可能となる。
【0018】
本発明の触媒を用いたポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の助剤の存在下で反応させポリウレタン樹脂製品を得る方法である。ポリウレタン樹脂製品としては、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォーム、更に発泡剤を用いないエラストマー製品等が挙げられる。本発明の触媒及び触媒組成物は、これらのうち、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォームに好ましく適用される。
【0019】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法に使用されるポリオールとしては、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、さらには含リンポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
【0020】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン等のアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等の、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料とし、これにエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドの付加反応により、例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985)Hanser Publishers社(ドイツ) p.42−53に記載の方法により製造することができる。
【0021】
ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年) 日刊工業新聞社 p.117に記載されているようなナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0022】
ポリマーポリオールとしては、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体例えばブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等をラジカル重合触媒の存在下に反応させた、重合体ポリオールが挙げられる。
【0023】
難燃ポリオールとしては例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる含リンポリオール、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られる含ハロゲンポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
【0024】
これらポリオールの分子量(Mw)は62〜15000のものが使用できる。
【0025】
軟質ポリウレタンフォームには、分子量(Mw)が1000〜15000のものが使用されるが、好ましくは分子量(Mw)が3000〜15000のポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールである。分子量が3000より小さい場合、物性(弾力性)などが劣る場合があり、3000以上のものが望ましい。さらに好ましくはポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを併用して用いる軟質ポリウレタンフォームである。ポリマーポリオールは樹脂の強度(硬度、弾性)を上げる効果があり、分子設計(硬度、弾性)が容易になる。
【0026】
また、硬質ポリウレタンフォームには、分子量(Mw)が62〜8000のものが使用されるが、好ましくは分子量(Mw)が62〜1500のポリエーテルポリオールである。硬質ポリウレタンフォーム用のポリオールとしては、官能基数が多く(4〜8)、低分子量のものが好まれる。
【0027】
本発明に使用されるポリイソシアネートは、公知のものであればよく、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート及びこれらの混合体が挙げられる。TDIとその誘導体としては、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物又はTDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。MDIとその誘導体としては、MDIとその重合体のポリフェニル−ポリメチレンジイソシアネートの混合体、及び/又は末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。これら有機ポリイソシアネートの内、経済的に安価であるため、TDIとMDIが好ましく使用される。
【0028】
これらポリイソシアネートとポリオールの使用比率としては、特に限定するものではないが、イソシアネートインデックス(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)で表すと、軟質フォーム、半硬質フォームの製造では一般に60〜130の範囲であり、硬質フォーム及びウレタンエラストマーの製造においては一般に60〜400の範囲である。
【0029】
本発明のポリウレタンの製造方法に使用される触媒は、前記した本発明の触媒及び触媒組成物であるが、それ以外にも本発明を逸脱しない範囲で他の触媒を併用して用いることができる。そのような他の触媒としては、例えば、従来公知の有機金属触媒や、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類等を挙げることができる。
【0030】
有機金属触媒としては、従来公知のものであればよく特に限定するものではないが、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0031】
第3級アミン類としては、従来公知のものであればよく特に限定するものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の第3級アミン化合物類が挙げられる。また、本発明以外の反応性基を持つ第3級アミン化合物も使用でき、例えば、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、3−キヌクリジノール等が挙げられる。
【0032】
第4級アンモニウム塩類としては、従来公知のものであればよく特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0033】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法に用いられる発泡剤は、水及び/又は低沸点有機化合物である。低沸点有機化合物としては、低沸点の炭化水素化合物やハロゲン化炭化水素化合物が例示される。このような炭化水素化合物としては、従来公知のメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等が使用できる。また、ハロゲン化炭化水素としては、従来公知のハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン類、フッ素化炭化水素化合物類(例えば、塩化メチレン、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC−356mfc等)が使用できる。これら発泡剤の使用においては、水と低沸点有機化合物をそれぞれ単独使用してもよいし、併用してもよいが、環境上、特に好ましい発泡剤は水である。その使用量は目的とする製品の密度により変わり得るが、ポリオール100重量部に対して、通常0.1重量部以上であり、好ましくは0.5〜10.0重量部である。
【0034】
本発明の方法において必要であれば、界面活性剤を用いることができる。本発明の方法において使用される界面活性剤としては、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤であり、その使用量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0035】
本発明の方法において、必要であれば架橋剤又は鎖延長剤を添加することができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、低分子量の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等)、低分子量のアミンポリオール(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)又はポリアミン(例えば、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等)を挙げることができる。本発明の方法においては、これらのうち、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0036】
本発明の方法においては、必要に応じて、着色剤、難燃剤、老化防止剤、連通化剤、その他公知の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は公知の形式と手順を逸脱しないならば通常使用される範囲で十分使用することができる。
【0037】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法にて製造される製品は種々の用途に使用できる。軟質フォームでは、例えば、クッションとしてのベッド、カーシート、マットレス等。半硬質フォームでは、例えば、自動車関連のインスツルメントパネル、ヘッドレスト、ハンドル等。硬質フォームでは、例えば、冷凍庫、冷蔵庫、断熱建材等。エラストマー製品では例えば、接着剤、床材、防水材等が挙げられる。
【0038】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
調製例 キヌクリジニル尿素組成物33.3%溶液の調製
3−アミノキヌクリジン2塩酸塩22.0gに30%カセイソーダ水溶液160.0gを加え室温で攪拌した。この溶液をベンゼン80.0gで2度抽出を行い上層を得て、これをエバポレートし得られた溶液17.6g(3−アミノキヌクリジン量14.4g)に尿素6.9gを加えた。これを160℃で8時間反応させ、反応後、揮発成分を除去し3−キヌクリジル尿素組成物を19.3g得た。これにジプロピレングリコール38.6g加え、キヌクリジニル尿素組成物33.3%溶液(QU33)を調製し、以下の発泡実験に用いた。表1にこの溶液の組成を示す。
【0040】
実施例1及び比較例1〜比較例4
本発明の触媒組成物及び比較例の触媒を用い軟質高弾性ポリウレタンフォームを製造した例を示す。触媒としては、実施例1では、調製例で得た3−キヌクリジニル尿素組成物33.3%溶液(QU33)を用い、比較例1〜比較例5では、それぞれ、トリエチレンジアミン33.3%(L33)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−尿素(尿素A)、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−尿素(尿素B)、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)を用いた。
【0041】
ポリオール、水、架橋剤、整泡剤を表3に示した原料配合比にて配合し、プレミックスAを調合した。プレミックスA 86.6gを300mlポリエチレンカップに取り、表2に示した本発明の触媒及び比較例の触媒を、各々の反応性が下記のゲルタイムで60秒となる量にて添加し、20℃に温度調整した。別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネート液(TM80)を、イソシアネートインデックス[イソシアネート基/OH基(モル比)×100)]が105となる量だけプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を50℃に温度調節した2lポリエチレンカップに移し、発泡中の反応性を測定した。次に、原料スケールをアップさせ同様な操作にて50℃に温度調節したモールド(内寸法、35×35×10cmのアルミ製)内にフォーム全密度が45kg/m3となるように混合液を入れ蓋をして発泡成形を行った。混合液を入れた時点から5分後にフォームを脱型した。成型フォームからフォームの全密度、コア密度及びフォームの臭気を測定し比較した。また触媒の臭気を測定した。その結果を表4に示した。なお、各測定項目の測定方法は以下のとおりである。
【0042】
<反応性の測定項目>
クリームタイム:発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定
ゲルタイム :反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定。
【0043】
<触媒の臭気>
触媒10gを20ml用サンプル瓶の中に入れ、10人のモニターにサンプルと鼻の距離を10cm開け、臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した
○:ほとんど臭い無し
△:臭気あり
×:強い臭気有り。
【0044】
<フォームコア密度>
モールド成型フォームの中心部を20×20×5cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を算出した。
<フォームの臭気>
フォームコア密度を測定したフォームから5×5×5cm寸法のフォームをカットしマヨネーズ瓶の中に入れ蓋をした後、10人のモニターにそのフォームの臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した
○:ほとんど臭い無し
△:微かに臭気あり
×:強い臭気有り。
【0045】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
実施例1は本発明の触媒を用いた例であるが、アミン触媒の臭気がほとんどない。加えて触媒活性が非常に高く、軟質で一般的に用いられるトリエチレンジアミン(比較例1)に近い活性である。
【0046】
これに対し、比較例1は分子内に反応性基を持たない3級アミン触媒の例であるが、アミン触媒の臭気がする。またフォームにアミン臭気がする。比較例2は分子内にウレイド基(CONH2)を持つアミン触媒の例であるが、アミン触媒の臭気はほとんどないが、触媒活性が低い。比較例3は分子内にウレア基(NHCONH)を持つアミン触媒の例であるが、アミン触媒の臭気がする。また触媒活性が低い。比較例4は分子内に1級アミノ基を持つアミン触媒の例であるが、不快なアミン触媒の臭気がする。
【0047】
実施例2及び比較例5〜比較例8
本発明の触媒及び比較例の触媒を用い硬質ポリウレタンフォームを製造した例を示す。触媒としては、実施例2では、調製例で得た3−キヌクリジニル尿素組成物33.3%溶液(QU33)を用い、比較例5〜比較例8では、それぞれ、トリエチレンジアミン33.3%(L33)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−尿素(尿素A)、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−尿素(尿素B)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)を用いた。
【0048】
ポリオール、水、架橋剤、整泡剤を表6に示した原料配合比にて配合し、プレミックスAを調合した。プレミックスA 48.6gを300mlポリエチレンカップに取り、表5に示した比較例の触媒を、各々の反応性が下記のゲルタイムで60秒となる量にて添加し20℃に温度調整した。別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネート液(MR−200)を、イソシアネートインデックス[イソシアネート基/OH基(モル比)×100)]が110となる量だけプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6500rpmで3秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を40℃に温度調節した2lポリエチレンカップに移し発泡中の反応性を測定した。このフォームからフォームのコア密度、フォームの外観及びフォームの臭気を測定し比較した。また触媒の臭気を測定した。その結果を表7に示した。各測定項目の測定方法は以下のとおりである。
【0049】
<反応性の測定項目>
クリームタイム :発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定
ゲルタイム :反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定
タックフリータイム:フォーム表面のべとつきがなくなった時間を測定
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定。
【0050】
<触媒の臭気>
触媒10gを20ml用サンプル瓶の中に入れ、10人のモニターにサンプルと鼻の距離を10cm開け、臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した
○:ほとんど臭い無し
△:臭気あり
×:強い臭気有り。
【0051】
<フォームコア密度>
モールド成型フォームの中心部を10×5×5cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を算出した。
【0052】
<フォームの外観>
発泡終了1時間後、出来上がったフォームを2lポリエチレンカップより取り外し、フォーム表面部のセル荒れを目視にて測定した
○:ほとんどセル荒れなし
△:僅かにセル荒れあり
×:全面にセル荒れあり。
【0053】
<フォームの臭気>
フォームコア密度を測定したフォームから5×5×5cm寸法のフォームをカットしマヨネーズ瓶の中に入れ蓋をした後、10人のモニターにそのフォームの臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した
○:ほとんど臭い無し
△:微かに臭気あり
×:強い臭気有り。
【0054】
【表5】
【表6】
【表7】
実施例2は本発明の触媒を用いた例であるが、アミン触媒の臭気がほとんどない。加えて触媒活性が非常に高く、高触媒活性を示すトリエチレンジアミン(比較例5)に近い活性である。
【0055】
これに対し、比較例5は分子内に反応性基を持たない3級アミン触媒の例であるが、アミン触媒の臭気がする。またフォームにアミン臭気がする。比較例6は分子内にウレイド基(CONH2)を持つアミン触媒の例であるが、アミン触媒の臭気はほとんどないが、触媒活性が低い。比較例7は分子内にウレア基(NHCONH)を持つアミン触媒の例であるが、アミン触媒の臭気がする。また触媒活性が低い。比較例8は分子内に1級アルコールを持つアミン触媒の例であるが、不快なアミン触媒の臭気がする。
【0056】
【発明の効果】
本発明の触媒は、ポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートとウレイド基並びにポリイソシアネートとウレア基とが反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定され、樹脂表面等に触媒が移行しないため、触媒の移行に起因する自動車インストルパネルのPVC変色、フォームからの揮発成分移行による窓ガラスの曇り現象防止に有効である。また触媒臭気がほとんどなく、生産されたフォームの臭いも低減されるため、発泡現場の環境改善に大いに寄与する。更には、汎用触媒であるトリエチレンジアミンと比較しても同等に近い触媒活性を持つため軟質、硬質、半硬質、エラストマー等のポリウレタン製造の際に極めて有効である。
Claims (3)
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