JP4779248B2 - ポリウレタン樹脂製造用の触媒及びポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質、硬質、半硬質、エラストマー等のポリウレタン樹脂製造用の触媒、並びにそれを用いたポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームの製造方法に関する。更に詳しくは、揮発性のアミンを殆ど排出しないポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームを製造するための触媒及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の存在下に反応させて製造される。従来このポリウレタン樹脂の製造に数多くの金属系化合物や第3級アミン化合物を触媒として用いることが知られている。これら触媒は単独もしくは併用することにより工業的にも多用されている。
【0003】
とりわけ第3級アミン化合物は生産性、成形性に優れることよりポリウレタン樹脂製造用の第3級アミン触媒として広く用いられている。例えば、従来公知のトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N,N−ジメチルエタノールアミン等の化合物である。
【0004】
金属系触媒は生産性、成形性が悪化することより、ほとんどの場合第3級アミン触媒と併用されることが多く単独での使用は少ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した第3級アミン触媒等はポリウレタン樹脂製品中にフリーの形で残留し、揮発性のアミンとして徐々に排出するため種々の問題を引き起こす。例えば、自動車内におけるポリウレタンフォーム製品から排出される揮発性アミンの臭気問題。また、近年ポリウレタンフォーム中の揮発性分が自動車の窓ガラスに被着し窓ガラスを曇らせ商品価値を落とす原因となっている、いわゆるフォギングと呼ばれる問題。その他、ポリウレタン製品から排出される揮発性アミンによる他の材料への汚染問題等である。
【0006】
これら揮発性の第3級アミン触媒に対し、この問題を解決する方法として分子内にポリイソシアネートと反応しうる1級及び2級のアミノ基あるいはヒドロキシアルキル基を有するアミン触媒を使用する方法が提案されている(例えば、特開昭46−4846号、特開昭59−191743号、特公昭61−31727号、特公昭57−14762号)。これらのアミン触媒は、ポリイソシアネートと反応した形でポリウレタン樹脂骨格中に固定化されるため上記問題を回避できるとしているが、これらの反応性基を有するアミン触媒を用いた場合、別の問題が生じる。すなわち、一般に反応性基を有するアミン触媒は、ポリウレタン樹脂中に固定化されるため触媒活性の低下が大きくなり、ポリウレタン樹脂の硬化が不十分となる結果、生産性の低下を招く。また、これら反応性基を有するアミン触媒の大半は反応が不完全でポリウレタン樹脂製品中にフリーの形で残留し、揮発性のアミンとして徐々に排出される。また、一旦ポリイソシアネートと反応しポリウレタン樹脂骨格中に固定化されるものの、車内が高い温度になると結合の分解が起きフリーのアミンとして排出されるものもある。また、アミン系以外の金属系触媒、例えば有機錫化合物は前記問題を起こさないが単独の使用では生産性、物性及び成形性が悪化し、更に錫による環境問題も取り沙汰されて来ている。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製品中から排出されるアミンがほとんどないポリウレタン樹脂を生産性、成形性良く得る製造方法とそれに使用される触媒を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ポリウレタン樹脂製造の際にアミン触媒として、分子内に1級アミノ基を含むキヌクリジン骨格を有するアミン化合物を用いると揮発性アミンがほとんど発生せず、また結合の分解もなく、更にはポリウレタン樹脂を成形性、生産性良く得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は下記構造式(1)で示されるアミン化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒、及び触媒としてそれを用いることを特徴とするポリウレタン樹脂又はポリウレタンフォームの製造方法である。
【0010】
【化2】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明のポリウレタン樹脂製造用の触媒は、前記構造式(1)で表される3−アミノキヌクリジンである。
【0012】
通常、本発明の触媒をポリウレタン樹脂の製造に用いる際の使用量は、使用されるポリオールを100重量部としたとき、0.01〜10重量部であるが好ましくは0.05〜5重量部である。触媒使用量を多く用いるとポリウレタン樹脂の生産性は向上するが揮発性アミンの量も多くなり好ましくない。
【0013】
本発明の触媒は、ポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートと反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定化される。更に固定化された本発明の触媒は高温下に曝されても分解することがない。このため本発明の触媒は、ポリウレタン樹脂中にフリーのアミンとして存在せず揮発性アミンが出てこない。即ち、本発明の触媒を用いたポリウレタン樹脂製品では前述した種々の問題、例えば揮発性アミンによる臭気、フォギング等を防止する事が可能となる。
【0014】
本発明の触媒を用いたポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールとポリイソシアネートとを、触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の存在下で反応させポリウレタン樹脂製品を得る方法である。製品としては、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォーム、更に発泡剤を用いないエラストマー製品等が挙げられる。これらの内、発泡剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム及び硬質ポリウレタンフォームに好ましく適用される。
【0015】
本発明にて製造されたポリウレタン樹脂は、揮発性のアミン触媒量がポリウレタン樹脂1g当り20μg以下である。揮発性のアミン触媒量とは、ポリウレタン樹脂をメタノール溶媒中65℃で48時間加熱した時にポリウレタン樹脂から発生するアミン触媒の総量を示す。
【0016】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法に使用されるポリオールとしては、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、さらには含リンポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用する事もできるし、適宜混合して併用する事もできる。
【0017】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミンのようなアミン類、エタノールアミン及びジエタノールアミン等のようなアルカノールアミン類等のような少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料としてこれにエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドの付加反応により、例えば、Gunter Oertel著、「Polyurethane Handbook」(1985年版) Hanser Publishers社(ドイツ)第42〜53頁に記載の方法により製造することができる。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸とグリコールの反応から得られるもの、更に、岩田敬治著、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、117頁に記載されているようなナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0019】
ポリマーポリオールとしては、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体例えばブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等をラジカル重合触媒の存在下に反応させた、重合体ポリオールが挙げられる。
【0020】
難燃ポリオールとしては例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる含リンポリオール、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られる含ハロゲンポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
【0021】
これらポリオールの分子量(Mw)は62〜15000のものが使用できる。軟質ポリウレタンフォームには、分子量(Mw)1000〜15000のものが使用されるが、好ましくは分子量(Mw)3000〜15000のポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールである。さらに好ましくはポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを併用して用いる軟質ポリウレタンフォームである。
【0022】
本発明に使用されるポリイソシアネートは、公知のものであればよく、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート及びこれらの混合体が挙げられる。TDIとその誘導体としては、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物又はTDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。MDIとその誘導体としては、MDIとその重合体のポリフェニル−ポリメチレンジイソシアネートの混合体、及び/又は末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。これらポリイソシアネートの内、TDIとMDIが好ましく使用される。
【0023】
これらポリイソシアネートとポリオールの使用比率としては、特に限定されるものではないがイソシアネートインデックス(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)で表すと、一般に軟質フォーム、半硬質フォームの製造では一般に60〜130の範囲であり、硬質フォーム及びウレタンエラストマーの製造においては一般に60〜400の範囲である。
【0024】
本発明のポリウレタンの製造方法に使用される触媒は、前記本発明の触媒であるがそれ以外にも本発明を逸脱しない範囲で他の触媒を併用して用いる事ができる。他の触媒としては、例えば従来公知の有機金属触媒、第3級アミン類や第4級アンモニウム塩類等を挙げることができる。
【0025】
有機金属触媒としては、例えばスタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0026】
第3級アミン類としては、従来公知のものであればよく、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の第3級アミン化合物類が挙げられる。また、本発明以外の反応性基を持つ第3級アミン化合物も使用でき、例えば、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、3−キヌクリジノール等が挙げられる。
【0027】
第4級アンモニウム塩類としては、従来公知のテトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0028】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法に用いられる発泡剤は、水と低沸点有機化合物である。低沸点有機化合物としては、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系の化合物である。炭化水素系としては、公知のメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等が使用できる。ハロゲン化炭化水素としては、公知のハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン類、フッ素化炭化水素類、例えば塩化メチレン、HCFC−141b、HFC−245fa、HFC−356mfc等が使用できる。これら発泡剤の使用においては、水と低沸点有機化合物をそれぞれ単独使用してもよいし、併用してもよい。特に好ましい発泡剤は水である。その使用量は目的とする製品の密度により変わり得るが、通常ポリオール100重量部に対して0.1重量部以上であり、好ましくは0.5〜10.0重量部である。
【0029】
本発明において必要であれば、界面活性剤を用いる事ができる。本発明において使用される界面活性剤としては、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤であり、その使用量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0030】
本発明において、必要であれば架橋剤もしくは鎖延長剤を添加することができる。架橋剤もしくは鎖延長剤としては、低分子量の多価アルコール例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等、低分子量のアミンポリオール例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等又はポリアミン例えば、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等を挙げることができる。これらの内、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0031】
その他本発明には必要に応じて、着色剤、難燃剤、老化防止剤その他公知の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は公知の形式と手順を逸脱しないならば通常使用される範囲で十分使用することができる。
【0032】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法にて製造される製品は種々の用途に使用できる。軟質フォームでは例えば、クッションとしてのベッド,カーシート,マットレス等が挙げられ、半硬質フォームでは例えば、自動車関連のインスツルメントパネル,ヘッドレスト,ハンドル等が挙げられ、硬質フォームでは例えば、冷凍庫,冷蔵庫,断熱建材等が挙げられる。エラストマー製品では例えば、接着剤,床材,防水材等が挙げられる。
【0033】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
<3−アミノキヌクリジン32.8%溶液の調整>
3−アミノキヌクリジン2塩酸塩5.5gに30%カセイソーダ水溶液40.0gを加え室温で攪拌した。この溶液をベンゼン30.0gで2度抽出を行い上層を得て、これをエバポレートし得られた溶液4.40gにジプロピレングリコール6.6gを加えた。このようにして得られた溶液をアミン価分析、ガスクロマトグラフィー分析を行い純度を分析したところ32.8%であった。
【0035】
実施例1及び比較例1〜比較例5
本発明の触媒及び比較例の触媒を用い軟質高弾性ポリウレタンフォームを製造した例を示す。用いた触媒は、実施例では3−アミノキヌクリジン32.8%(3−AQ)を用い、比較例ではトリエチレンジアミン33.3%(L33)、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン(PC17)、テトラメチルイミノ−ビス−プロピルアミン(BDMAPA)、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)を用いた。
【0036】
ポリオール、水、架橋剤、整泡剤を表1に示した原料配合比にてプレミックスAを調合した。プレミックスA 86.6gを300mlポリエチレンカップに取り、表2に示した本発明の触媒及び比較例の触媒を各々反応性が下記のゲルタイムで60秒となる量を添加し20℃に温度調整した。別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネート液(TM80)をイソシアネートインデックス{イソシアネート基/OH基(モル比)×100)}が105となる量だけプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を50℃に温度調節した2リットルのポリエチレンカップに移し発泡中の反応性を測定した。次に原料スケールをアップさせ同様な操作にて50℃に温度調節したモールド(内寸法、35×35×10cmのアルミ製)内にフォーム全密度が45kg/m3となるように混合液を入れ蓋をして発泡成形を行った。混合液を入れた時点から5分後にフォームを脱型した。成型フォームからフォームの成形性、キュアー性、フォームの全密度、コア密度、アミン触媒揮発量及びフォームの臭気を測定し比較し、その結果を表2に示した。各測定項目の測定方法は以下の通り。
<反応性の測定項目>
クリームタイム:発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定
ゲルタイム:反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定
<フォームの成形性>
モールド成型フォームの表面部セル荒れを目視にて観察し成型性として次のように評価した。
【0037】
○:セル荒れが一部にある
△:セル荒れが表面部の約半分程度ある
×:セル荒れが表面部の全面にある
<フォームのキュアー性>
脱型直後から30秒おきに約2kgの重りをフォーム上に5秒間乗せ、フォームについた窪みが残らなくなった時間を記録し(キュアー速度の測定)、キュアー性として次のように評価した。
【0038】
○:窪み消失時間が6分以内
△:窪み消失時間が6〜8分
×:窪み消失時間が8分以上
<フォームコア密度>
モールド成型フォームの中心部を20×20×5cmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を算出した。
<アミン触媒残存量>
フォーム中のアミン触媒量をメタノール溶媒で加熱し抽出し定量した。即ち、フォームコア密度を測定したフォームから1.5×1.5×5cm寸法のフォームをカットし、メタノールと共に20ml耐圧容器に入れ蓋をする。この容器を65℃のオーブンに48時間放置した。48時間後、容器の重量に変化がないことを確認した後に、アミン触媒をガスクロにて定量した。定量値はフォーム1g当りのアミン触媒μgで表した。
<フォームの臭気>
フォームコア密度を測定したフォームから5×5×5cm寸法のフォームをカットしマヨネーズ瓶の中に入れ蓋をした後、10人のモニターにそのフォームの臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した。
【0039】
○:殆ど臭い無し
△:微かに臭気あり
×:強い臭気有り
実施例1で明らかなごとく本発明の触媒を用いたポリウレタンフォームは揮発性のアミン触媒が20μg/g以下と殆どアミン触媒が残留していないためフォームにアミン臭気が全くない。加えて触媒活性が非常に高く、軟質で一般的に用いられるトリエチレンジアミン(比較例1)とほぼ同等の活性である。また、フォームの成形性、キュアー性が良く、フォームの生産性に寄与する。
【0040】
これに対し、比較例1は分子内に反応性基を持たない3級アミン触媒の例であるが、揮発性のアミン触媒がフォーム中に多く残留しているためフォームに強い臭気がする。比較例2は分子内にヒドロキシエチル基を持つアミン触媒の例であるが、揮発性のアミン触媒がフォーム中から多く排出されている。比較例3は分子内に反応性の2級アミノ基を持つアミン触媒の例であるが、揮発性のアミン触媒がフォーム中から多く排出されている。比較例4は分子内に1級アミノ基を持つアミン触媒の例であるが、実施例1と同様にポリウレタンフォームは揮発性のアミン触媒が20μg/g以下と殆どアミン触媒が残留していないためフォームにアミン臭気は全くない。しかしながら、フォームの成形性、キュアー性が悪いためフォームの生産性が劣る。
【0041】
【表1】
【表2】
【発明の効果】
本発明の触媒は、ポリウレタン樹脂原料であるポリイソシアネートと1級アミノ基とが反応し、ポリウレタン樹脂骨格中に固定され、樹脂表面等に触媒が移行しないため、触媒の移行に起因する自動車インストルパネルのPVC変色、フォームからの揮発成分移行による窓ガラスの曇り現象防止に有効である。また生産されたフォームの臭いも低減され、発泡現場の環境改善に大いに寄与する。更には、汎用触媒であるトリエチレンジアミンと比較しても同等の触媒活性、成形性、キュアー性を持つため軟質、硬質、半硬質、エラストマー等のポリウレタン製造の際に極めて有効である。
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