JP2004268734A - 自動2輪車用排気装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】排気管12の周りを前側遮熱部材50,51,後側遮熱部材52で覆い、内側に排気管冷却風通路53を形成し、燃料タンク9を貫通する上部ダクト20の下端を前側遮熱部材50の上から内側の排気管冷却風通路53へ接続し、サイドカウルの左右に設けた開口から側部ダクト55を介して左右より排気管冷却風通路53へ接続し、走行風により排気管12を直接冷却する。同時に遮熱部材も冷却する。
【選択図】図8
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車用排気装置に係り、特にシート下方のリヤカウル内へ配管した排気管に対する冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
リヤカウル内へ配管すると、排気管によりリヤカウルが加熱するおそれがあるので、排気管の周囲を遮熱部材で囲い、この遮熱部材とリヤカウルの間に走行風を導いてリヤカウルの排気管による加熱を防ぐ構造が示されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2771213号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のように、リヤカウルと遮熱部材の間へ走行風を導く場合、排気管により加熱された遮熱部材を走行風により冷却するから、排気管に対する冷却が間接的になるため、冷却効率が悪い。そこで排気管に対する効率的な冷却構造が望まれる。また、車体のスペースをうまく使って、導入路を形成することも望まれる。さらに冷却した後の走行風を効率的に排風することも望まれる。本願発明はこれらの要請を実現するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る請求項1は、エンジンから後方へ延出する排気管をシート下方に設けられたリヤカウル内に前後方向へ配設するとともに、排気管を遮熱部材で覆った自動2輪車用排気装置において、前記遮熱部材の内側へ走行風を導入して排気管を直接冷却することを特徴とする。
【0006】
請求項2は上記請求項1において、前記走行風の導入路が、ヘッドパイプ前方より走行風を取り込みエンジンの上方を通って車体上方から遮熱部材の内側へ開口する上部ダクトを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3は上記請求項1において、車体前部を覆うフロントカウルを備え、前記上部ダクトはフロントカウルに設けられ車体前方へ向いた開口へ接続することを特徴とする。
【0008】
請求項4は上記請求項2または3において、前記上部ダクトの後部側が、燃料タンクの後部を上方から下方へ貫通することを特徴とする。
【0009】
請求項5は上記請求項1において、前記走行風の導入路が、車体前方へ向いて車体側方に開口する導入口から走行風を取り込み、前記遮熱部材の内側へ向かって開口する側部ダクトを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項6は上記請求項5において、車体側方を覆うサイドカウルを備え、前記側部ダクトはサイドカウルに設けられた車体前方へ向く開口へ接続することを特徴とする。
【0011】
請求項7は上記請求項1において、前記排気管冷却用側部ダクトは、リヤカウルの後部内側へ開口するとともに、車体フレームの後部から後方へ延出するステップブラケットの開口を通って遮熱部材へ至ることを特徴とする。
【0012】
請求項8は上記請求項1において、リヤカウルの後部に後方へ向かって開口する排風口を設けるとともに、前記遮熱部材の後端開口をこの排風口に臨ませたことを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】
請求項1によれば、走行風を遮熱部材の内側へ導入したので直接排気管を冷却できる。このとき、遮熱部材と排気管の間に形成される限られた狭い空間内へ走行風を通して遮熱部材と排気管の両方を冷却するから、冷却効率を向上できる。
【0014】
請求項2によれば、導入路をヘッドパイプ前方の車体前面からエンジン上方を通る上部ダクトとしたので、排気管冷却用ダクトの配管が容易になる。
【0015】
請求項3によれば、上部ダクトはフロントカウルに設けられた開口から走行風を取り込むため、風圧が高い比較的大量の走行風を遮熱部材内側へ導入できるから冷却効率が高くなる。
【0016】
請求項4によれば、上部ダクトの後部側を、燃料タンクの後部に対して上方から下方へ貫通させて遮熱部材へ接続させたので、燃料タンクを利用して容易に配管スペースを設けることができる。
【0017】
請求項5によれば、走行風の導入路として側部ダクトを設け、車体前方へ向いて車体側方に開口する導入口から走行風を導入したので、車体の側部から比較的大量の走行風を遮熱部材内側へ導入できる。
【0018】
請求項6によれば、サイドカウルに設けられた車体前方へ向く開口へ側部ダクトを接続したので、側部ダクトの導入口を車体側部へ容易に設けることができる。しかも比較的遮熱部材へ近い位置に設けることもできる。
【0019】
請求項7によれば、リヤカウルの後部に排風口を設けたので、遮熱部材の前部へ導入された走行風は排気管及び遮熱部材を冷却しつつ後方へ流れて排風口から車体外部へ排出される。このとき、遮熱部材の後端開口が排風口に臨んでいるので、遮熱部材とリヤカウルの間を通って排風口から流出する走行風の流れにより、遮熱部材内側の走行風が効率的に吸い出され、遮熱部材内の走行風の流れを効率化するので、冷却効率が向上する。
【0020】
請求項8によれば、側部ダクトをフロントカウルの後部内側に設けたので、風圧の高いフロントカウルの前面から取り込まれてフロントカウル内を後方へ流れる走行風を取り込むことができる。また、側部ダクトの後部側を車体フレームに取付けられているステップブラケットの開口部を通して車体内側の遮熱部材へ接続させるので、ステップブラケットの開口を利用して側部ダクトを配管でき、特別な開口を車体フレームに設けなくても済み、配管が容易である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は全体の側面図、図2は車体フレーム及びエンジン等の内部構造を見せた側面図、図3は図2の要部を拡大した図、図4は排気管の配管を示す斜視図、図5は遮熱部材の平面図、図6は遮熱部材の側面図、図7は排気管の平面図、図8は遮熱部材前部の横断面図(図4の8−8線相当断面図)、図9は遮熱部材後部の横断面図(図4の9−9線相当断面図)、図10はフロントカウルの正面図、図11は燃料タンクの側面図、図13は側部ダクトの正面図、図12は燃料タンクの底面図、図11はリヤカウル後部の排風口を示す斜視図、図14はリヤカウルを斜め後方から示す図、図15はリヤカウルを後方から示す図、図16は側部ダクトの別形態を示す要部側面図である。
【0022】
これらの図において、この実施例に係る自動2輪車は、前輪1と後輪2間に4サイクル並列4気筒式のエンジン3を配置した、スポーツ系の大排気量バイクである。前輪1は前輪車軸4でフロントフォーク5の下端へ支持され、フロントフォーク5の上部はヘッドパイプ6へ回動自在に連結され、ハンドル7により操向自在となっている。ヘッドパイプ6は車体フレーム8の前端に設けられ、車体フレーム8の上には燃料タンク9が支持され、下方にはエンジン3が支持される。また、燃料タンク9の後方には、車体フレーム8の後部から斜め上がりに後方へ延びるリヤカウル10が設けられ、その上にシート11が取付けられている。
【0023】
リヤカウル10内には前後方向へ延びる排気管12及びその後端に接続するマフラー13が配管されている。車体フレーム8の後部に形成されたピボットフレーム14にはピボット点15においてリヤスイングアーム16の前端が揺動自在に支持される。リヤスイングアーム16の後端は後輪車軸17により後輪2を回転自在に支持する。
【0024】
車体前部はフロントカウル18により覆われ、フロントカウル18はヘッドパイプ6等の車体前部前方を覆っている。フロントカウル18の後ろ側左右はサイドカウル18aに連続している。サイドカウル18aはフロントカウル18に連続してその後方におけるエンジン3やピボットフレーム14等の車体前部両側方を覆う部分である。但し、フロントカウル18と独立して別体で形成することもできる。19は吸気ダクトであり、車体の左右へ一対で設けられている。20は一本だけで設けられる排気管冷却用の上部ダクトであり、フロントカウル18の前面上部から走行風を取り込み、燃料タンク9の上を通ってその後部を上から下へ貫通し、リヤカウル10内へ開口することにより、排気管12を冷却する。21は走行風取入口であり、リヤカウル10の前部側面左右に設けられる。
【0025】
図2及び図3に示すように、車体フレーム8はエンジン3の上方を斜め下がりに前後方向へ通るメインフレーム22とその後端部に接続して下方へ延びるピボットフレーム14を備える。また、メインフレーム22の後端部には側面視略3角形状をなすタンクフレーム23がメインフレーム22から上方へ凸に設けられ、その上に燃料タンク9の後部が支持されるようになっている。
【0026】
メインフレーム22及びタンクフレーム23は金属製の角パイプ部材からなる。ピボットフレーム14は金属製の鋳造板状部材である。これらはそれぞれ左右一対で設けられ、タンクフレーム23は上部パイプ23aが後端で左右と連結し、メインフレーム22及びピボットフレーム14の左右間はクロスパイプ14a,14b(図3)等で連結されている。
【0027】
メインフレーム22の左右前部間でかつヘッドパイプ6の後方部分には吸気ボックス24が燃料タンク9の前部底面側へ上方へ凹入して形成された凹部25内へ収容された状態で配置されている。吸気ボックス24は左右の吸気ダクト19と連通し、かつ内部に設けられている電子燃料噴射装置26に対して走行風圧をかけて吸気するようになっている。
【0028】
電子燃料噴射装置26が接続する吸気ポート27は、後傾するシリンダ28の前面斜面から略直上へ延出し、ダウンドラフト形式の吸気を行うようになっている。シリンダ28は並列4気筒であって、車幅方向へ4コ並んでいる。電子燃料噴射装置26及び吸気ポート27はそれぞれのシリンダ28毎に設けられる。電子燃料噴射装置26には燃料タンク9の底面下方から燃料タンク9内に設けられた燃料ポンプ29によって燃料が供給される。
【0029】
シリンダ28はその軸線Cが図示の側面視で後方へ斜め上がりとなった、いわゆる後傾状態であり、その軸線Cの下方延長上にクランク軸30が位置する。クランク軸30の位置はクランクケース31の前端部近傍にあり、シリンダ28の下端部よりも前方となり、かつそのクランク軸30を通る垂直線上に吸気ボックス24が位置する。またクランクケース31の前端部と吸気ボックス24の前端部はほぼ同じ前後方向位置にあり、吸気ボックス24はほぼ最前方位置に配置されている。
【0030】
シリンダ28の前方には冷却系部品であるラジエータ32が後方斜め下がりにメインフレーム22のヘッドパイプ6近傍から吊り下げ支持され、その下端はシリンダ28の下端部近傍となるクランクケース31の前端上部へ支持されている。ラジエータ32とシリンダ28の間には側面視で略V字状をなす空間33が形成され、この空間33の上方に吸気ボックス24が位置し、吸気ポート27はこの空間33内をシリンダ28の前面から上方へ延び、電子燃料噴射装置26に接続している。
【0031】
シリンダ28の後面に設けられた排気ポート34には排気管12の前端が接続される。ここからリヤカウル10内を後方へ斜め上がりに延出している。排気管12の前部は各シリンダ毎に4本であり、途中で2本に集合し、さらにその後方で1本に集合し、後端部で再び左右2本に分離して、左右一対のマフラー13でそれぞれ接続する4−2−1−2集合形式になっている。左右の各マフラー13の後端部はリヤカウル10の後端部に設けられた開口より後方へ突出している。
【0032】
空間33下方のエンジン後部には出力スプロケット35が設けられ、チェーン36を介して後輪スプロケット37(図2)を駆動するようになっている。エンジン3はクランクケース31の前側上端部でメインフレーム22の下部から下方へ延出するステー22aと取付けられ、クランクケース31の後方下部から延出するステー38でピボットフレーム14の下端と連結点39で取付けられている。
【0033】
リヤスイングアーム16は側面視略台形状をなす比較的長いものであり、金属材料の鋳造等により製造される。その前部は左右2股上の腕部40をなし、ここでピボット点15によりピボットフレーム14の上下方向略中央かつ前端部へ揺動自在に連結される。この左右の腕部40間にリヤクッション41が前傾して上下方向に配置され、その上端部はリヤスイングアーム16の上部に設けたブラケットによって支持されている。
【0034】
リヤクッション41の下部は左右のピボットフレーム14の各下部間を連結するクロスパイプ14bから後方へ延びるステー43へ軸着された略三角形状の第1リンク44及びこれと連結するアーム状の第2リンク45を介してリヤスイングアーム16へ連結されている。
【0035】
符号46は略3角形状をなしてリヤスイングアーム16の前部左右両側を覆うように後方へ延びるステップブラケットであり、その前端部は上下2点46a,46bでピボットフレーム14の後端上下へ結合されている。また、後端部にはステップ46cが取付けられている。さらにステップブラケット46の上部にはステー47が上方へ突出形成され、ここにタンクフレーム23における下辺23b側の下端部及びリヤカウル10の前端下部がそれぞれ取付けられている。符号48はバッテリーであり、ピボットフレーム14の下端部に吊り下げ支持され、車体重心の低重心化及びマスの集中を図っている。
【0036】
排気管12は、前部が側面視略への字状に屈曲してタンクフレーム23の内側を通り、後部は略直線状になっている。図7に示すように、前部12aは排気ポート34から4−2集合部までの部分であり、後部12bは4−2集合部より後方側部分である。
【0037】
前部12a部分は前側遮熱部材50,51(図6)で上下から覆われ、後部12bの長さ方向大部分は上方から後側遮熱部材52(図6)で覆われている。図8及び図9に示すように、これら遮熱部材は、排気管12を囲んでリヤカウル10の内側の空間を内外に区画し、遮熱部材の内側空間を排気管冷却風通路53とし、遮熱部材がこの排気管冷却風通路53と排気管12を外側空間54と隔てている(図8)。
【0038】
外側空間54の前部は、リヤカウル10の前端左右側面に形成されている走行風取入口21と接続し、走行風取入口21から取り込まれた走行風が外側空間54内をリヤカウル10の後端方向へ流れるようになっている(図3)。
【0039】
また、図8に示すように、外側空間54の前部内には、上方から第1ダクトである上部ダクト20の後端部が下方へ向かって通り、前側遮熱部材50の上面へ接続して内側の排気管冷却風通路53内へ向けて開口している。左右からは排気管冷却用の側部ダクト55の後端部が入り込んでいる。側部ダクト55の後端部は外側空間54内にて前側遮熱部材50,51の側面へ接続し、排気管冷却風通路53内へ向けて開口している。側部ダクト55の前端はサイドカウル18aの各後部に車体前方へ向いて開口するように形成された開口56に接続する(図3)。
【0040】
図1に示すように、リヤカウル10の後部左右には排風口57が後方へ向かって開口し、排気管12に沿ってこれを冷却しつつ後方へ流れた走行風が排風口57から車体外後方へ排出される(図4、14)。排風口57の位置は、側面視で排気管12の後部にほぼ重なり、かつ後側遮熱部材52の後端部近傍に位置する。
【0041】
図5及び図6に示すように、前側遮熱部材50,後側遮熱部材52はそれぞれ適宜素材の金属板をプレス成形等によって形成され、排気管12の対応する部分横幅よりも若干広い幅で覆うようになっており、後側遮熱部材52は中央取付部52b及び前端左右の前側取付部52aにより排気管12の上面側へ取付けられる。
【0042】
前側遮熱部材50は後端部に設けられた後側取付部50aを前側取付部52aへ重ねて共締めにより前側遮熱部材50と後側遮熱部材52が連結される。図6・図7に示すように、前側遮熱部材50は下向きに開放された略コ字状断面をなし、下部前後に下方突部50b,50cをそれぞれ左右に設けてある。
【0043】
前側遮熱部材51は排気管前部12aを挟んで前側遮熱部材50と上下向かい合わせになるよう、上向きに開放された略コ字状断面をなし、その上部前後に取付部51b,51cがそれぞれ左右に形成されている。
【0044】
前側遮熱部材50と前側遮熱部材51を向かい合わせにし、下方突部50b,下方突部50cを取付部51b,取付部51cの各外側へ重ね、側方からネジ止め(図示省略)することにより、前側遮熱部材50と前側遮熱部材51が一体化される。図8に示すように、前側遮熱部材50と前側遮熱部材51は矩形の空間をなし、この中に前部12aが収容され、前部12aの周囲に排気管冷却風通路53を形成する。
【0045】
リヤカウル10は樹脂等の適宜材料からなり、下側を開放された略コ字状断面をなし、その内側で前側遮熱部材50及び前側遮熱部材51の外側に外側空間54を形成する。
【0046】
図9に示すように、後側遮熱部材52は下方へ開放された略コ字状断面をなし、排気管後部12bの上側を覆い、内側空間が下方に開放された排気管冷却風通路53をなす。後側遮熱部材52部分では、下方側において、排気管冷却風通路53と外側空間54が連通する。
【0047】
図10に示すように、サイドカウルを含むフロントカウル18は樹脂等の適宜材料よりなり、上部60と下部61へ上下分割され、かつ上部60の前面上端にはスリリーン62が取付けられている。フロントカウル18の前面のうち、上部60と下部61からなる部分の中央にはラジエタ用の大きな導入口63が形成され、その下方に導入口63より小さな下部導入口64が形成されている。
【0048】
上部60の前面部上端左右には、片側(図では車体左側)にヘッドライト用開口65が設けられ、反対側(図では車体右側)に開口66が前方へ向かって開放されている。
【0049】
開口66は上部ダクト20の前端部が接続し、上部ダクトに対する走行風の取入口をなす。開口66を風圧の高い前面中央側へ設けるため、ヘッドライト用開口65を片側一ヶ所とし、ヘッドライト65a(図1)を左右非対称の車体片側のみに設けている。
【0050】
上部ダクト20は開口66から車体右側を通って後方へ延びて燃料タンク9の上面右側へ至る。図11及び燃料タンク9の底面図である図12に示すように、燃料タンク9内には上部ダクト後部67が設けられている。上部ダクト後部67の前端68は燃料タンク9の前側上面右側から上方へ突出している。後部69は燃料タンク9の後部中央を上から下へ貫通し、燃料タンク9の底部に形成された下方へ向かって拡径するテーパー面をなす凹部70にて下方へ向かって開口している。
【0051】
この凹部70には、下方からリヤカウル10を上方へ貫通するジョイント部材71の上部が接続し、その下部は前側遮熱部材50の上面へ密接し、その上面に形成された開口50d(図5)より排気管冷却風通路53と連通する。したがって、開口66で取り込まれた走行風は上部ダクト20を通り、さらに燃料タンク9の上並びにその後部を貫通して排気管冷却風通路53へ導入される。
【0052】
なお、開口50dは各排気管12に対応して設けられ、流入風量の均一化を図るため、外側のものを大きく開口させ、内側のものをこれよりも小さめに開口させてある。
【0053】
図13は、車体左右に配設される排気管冷却用の側部ダクト55を示し、前端が斜めに開口してサイドカウル18aの開口56部内側へ接続し、開口部周囲の突起55aで図示省略のビス止め等で取付けられるとともに、側面視でほぼ排気管の前部の前半側と重なるように後方へ延び(図3参照)、その後端部は図7に示すように左右側方から前側遮熱部材50及び前側遮熱部材51の前部側面へ接続し、排気管冷却風通路53へ連通している。したがって、サイドカウル18aの左右側面各後部の開口56から取り込まれた走行風は側部ダクト55を通って、左右から排気管冷却風通路53内へ入ることになる。
【0054】
図14に示すように、リヤカウル10の後端部は後方へ凸の側面視略3角形状をなし、その左右両側面に排風口57が形成されている。図14及び図15に示すように、この排風口57に臨んで後側遮熱部材52の後端部72が位置する。後端部72は側面視で排風口57よりも前方に位置し(図4)、排風口57の前方側で排気管冷却風通路53と外側空間54を流れてきた走行風が合流するようになっている。
【0055】
符号73は平坦なリヤカウル10の後端面であり、ここにマフラー13が突出する開口74が左右一対形成されている。符号75はテールランプ,76はウインカであり、後端面73の下方に取付けられている。
【0056】
次に、本実施例の作用を説明する。図8に示すように、走行風のうち、フロントカウル18の前面における開口66で取り込まれたものは、1本の上部ダクト20を通して上方から排気管冷却風通路53内へ入り、サイドカウル18aの側面左右の開口56で取り込まれたものは側部ダクト55から排気管冷却風通路53の左右へ入る。このA,B合計3経路(図8参照)から取り込まれることにより走行風は十分量を排気管冷却風通路53へ導入できる。
【0057】
排気管冷却風通路53内へ入った走行風は図4の矢示Cにように排気管12を冷却しながら後方へ流れ、後側遮熱部材52の後端部72にて排気管冷却風通路53を出て外側空間54と合流し、排風口57から車体外後方へ排出される。
【0058】
このとき、走行風取入口21から外側空間54内を図4の矢示Dのように後方へ流れた走行風及びリヤカウル10の下部開放から図4の矢示Eのようにリヤカウル10の下方を流れた走行風も、排風口57から車体後方へ流出し、比較的強い気流をなしている。
【0059】
このため、外側空間54の排風口57から流出する気流により排気管冷却風通路53の走行風を後端部72から積極的に後方へ吸い出す効果が生じ、このため排気管冷却風通路53内における走行風の流れがスムーズになり冷却効果を向上する。
【0060】
また、排気管冷却風通路53内の走行風が直接排気管12を冷却し、かつ各遮熱部材を冷却し、比較的限定された狭い空間である排気管冷却風通路53内にて冷却する。前側遮熱部材50,51及び後側遮熱部材52の表面積よりは排気管12の表面積の方が小さいので、同じ冷却風量ならば、これらの遮熱部材の外側から冷却するよりは、これらの内側でより小さな表面積の接排気管12を集中して冷却することになるため、冷却効果が向上する。
【0061】
このため、遮熱部材はあまり高温にならず、しかも遮熱部材の外側である外側空間54にも走行風を導入して流すため、リヤカウル10を適度な表面温度に維持することが容易になる。また、サイドカウル18aの側面に設けた走行風取入口21からも、リヤカウル10と各遮熱部材間の外側空間54内へ効率よく走行風を導入できる。
【0062】
また、導入路を1本の上部ダクト20と2本の側部ダクト55からなる3経路としたので、比較的部品配設スペースを確保しにくいエンジン上方からの空気導入を1本だけにすることができ、配設を容易にする。しかも風圧及び風量が大きなフロントカウル18の前面から取り込むことができ、かつ燃料タンク9を利用してスムーズな気流の導入路を形成することができる。
【0063】
そのうえ、サイドパネル18aの左右後部の各内側に側部ダクト55を設けたので、サイドパネル18a内側の空間を利用して側部ダクト55を配設できるから、走行風の導入量を大量に確保できる。しかも、車体の左右両側に設けるのでそれだけ導入量を多くすることができる。また、サイドパネル18aに設けた開口56を車体前方に向けているから、より効率よく大量で風圧の高い走行風を取り込むことができる。、
【0064】
図16は側部ダクトに関する別形態を示し、この形態では左右一対の側部ダクト80は各前端部81が下部61の後端上部左右内側に形成され、その中間部はステップブラケット46の側面に形成された間隙48を外側から内側へ通って、図8に仮想線で示すように後端部82が前側遮熱部材51の前端下部へ接続し、ここから排気管冷却風通路53へ連通している。
【0065】
なお、サイドカウル18aの側面で側部ダクト80の前端部81が位置する部分には開口は形成されず、前端部81は下部導入口64等から取り込まれて下部61の内側を後方へ流れる走行風を取り込むようになっている。
この場合は、サイドカウル18aに前端部81のための特別な開口を形成しなくても済むとともに、比較的風圧の高い下部導入口64等の前面からの走行風を導入できる。
【0066】
しかも、ステップブラケット46の間隙48を利用して前側遮熱部材51側へ配管できるので、側部ダクト80を容易に設けることができ、リヤカウル10の側面等に余分な開口を形成することもない。
【0067】
なお、上部ダクトは必ずしも燃料タンク9内を貫通させる必要はなく、燃料タンク9の表面や底面に沿って配管させる等任意にできる。また、側部ダクトもサイドカウル18aの側面に開口せず、排気管冷却風通路53と接続する専用のダクトをサイドカウル18a以外の車体側面にて直接開口させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る自動2輪車の全体側面図
【図2】車体フレーム及びエンジン等の内部構造を見せた側面図
【図3】図2の要部を拡大した図
【図4】排気管の配管を示す斜視図
【図5】遮熱部材の平面図
【図6】遮熱部材の側面図
【図7】排気管の平面図
【図8】図4の8−8線相当概略断面図
【図9】図4の9−9線相当概略断面図
【図10】フロントカウルの正面図
【図11】燃料タンクの側面図
【図12】燃料タンクの底面図
【図13】側部ダクトの正面図
【図14】リヤカウルを斜め後方から示す斜視図
【図15】リヤカウル及びその近傍部を後方から示す図
【図16】側部ダクトに関する別形態を示す図
【符号の説明】9:燃料タンク、10:リヤカウル、12:排気管、13:マフラー、18:フロントカウル、18a:サイドカウル、20:上部ダクト、21:走行風取入口、46:ステップブラケット、48:間隙、50:前側遮熱部材、51:前側遮熱部材、52:後側遮熱部材、53:排気管冷却風通路、55:側部ダクト、56:開口、57:排風口、66:開口、80:側部ダクト
Claims (8)
- エンジンから後方へ延出する排気管をシート下方に設けられたリヤカウル内に前後方向へ配設するとともに、排気管を遮熱部材で覆った自動2輪車用排気装置において、
前記遮熱部材の内側へ走行風を導入して排気管を直接冷却することを特徴とする自動2輪車用排気装置。 - 前記走行風の導入路は、ヘッドパイプ前方より走行風を取り込みエンジンの上方を通って車体上方から遮熱部材の内側へ開口する上部ダクトを備えることを特徴とする請求項1の自動2輪車用排気装置。
- 車体前部を覆うフロントカウルを備え、前記上部ダクトはフロントカウルに設けられ車体前方へ向いた開口へ接続することを特徴とする請求項1の自動2輪車用排気装置。
- 前記上部ダクトの後部側が、燃料タンクの後部を上方から下方へ貫通することを特徴とする請求項2又は3の自動2輪車用排気装置。
- 前記走行風の導入路は、車体前方へ向いて車体側方に開口する導入口から走行風を取り込み、前記遮熱部材の内側へ向かって開口する側部ダクトを備えることを特徴とする請求項1の自動2輪車用排気装置。
- 車体側方を覆うサイドカウルを備え、前記側部ダクトはサイドカウルに設けられた車体前方へ向く開口へ接続することを特徴とする請求項5の自動2輪車用排気装置。
- 前記側部ダクトは、フロントカウルの後部内側へ開口するとともに、車体フレームの後部から後方へ延出するステップブラケットの開口を通って遮熱部材へ至ることを特徴とする請求項1の自動2輪車用排気装置。
- リヤカウルの後部に後方へ向かって開口する排風口を設けるとともに、前記遮熱部材の後端開口をこの排風口に臨ませたことを特徴とする請求項1の自動2輪車用排気装置。
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