JP2004268689A - 車輌の衝突防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前方障害物の存否が判定され(S20)、自動制動による減速が必要であるか否かが判別され(S30)、減速が必要であると判定されたときには、相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき車輌の目標減速度Gxbtが演算され(S40)、運転者により制動操作が行われていないと判定されると(S50)、運転者により加速操作が行われていると判定されても(S60)、ワイパーがハイモードにて作動されている場合(S70)やフォグランプが点灯されている場合(S80)には、エンジン出力が低減された後(S90)、車輌の実減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう車輌が自動制動により減速される(S100)。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の衝突防止装置に係り、更に詳細には前方障害物に対する接近度に応じて車輌を減速させることにより車輌の衝突を防止する衝突防止装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の衝突防止装置の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、前方走行車輌に対する相対距離及び相対速度を検出し、前方走行車輌に対する接近度が高いときには自動制動により車輌を減速させて前方走行車輌に対し安全な車間距離を確保するよう構成された衝突防止装置が従来より知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−200950号公報
【発明が解決しようとする課題】
自動制動により車輌を減速させる上述の如き衝突防止装置に於いては、運転者に加速又は車速維持の意思がある場合にはその意思が尊重されるべきであるので、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていない状況に於いて前方走行車輌に対する接近度が高くなった場合に自動制動により車輌を減速させることが考えられる。
【0004】
しかし比較的激しい降雨や濃霧の如く車輌前方の視界が悪い状況に於いては、運転者が前方の車輌に気づかずにアクセルペダルを踏み込み続けている場合がある。かかる状況に於いても前方走行車輌に対する接近度が高くなった場合には自動制動により車輌を減速させることが好ましいが、上述の如き従来の衝突防止装置に於いては、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていない状況でなければ自動制動による車輌の減速が行われず、従って車輌の衝突防止を図る上で改善の余地がある
また上述の車輌前方の視界が悪い状況に於ける問題を解消しようとすると、車輌前方の視界が悪い状況をセンサにより検出しなければならないが、一般に車輌前方の視界が悪い状況を検出することは困難であり、また特別のセンサを装備すると衝突防止装置のコストアップや構造の複雑化が避けられない。
【0005】
本発明は、前方走行車輌の如き前方障害物に対する接近度に応じて車輌を減速させることにより車輌の衝突を防止する従来の衝突防止装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、降雨時等に於いて所謂ミリ波レーダーの如きセンサが前方障害物を検出する能力は運転者の視認による検出能力よりも高いことに着目し、車輌前方の視界が悪い状況に於いて前方障害物に対する接近度が高くなったときには運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていても自動制動による車輌の減速を行うことにより、従来に比して車輌の衝突防止効果を向上させることである。
【0006】
また本発明の詳細な課題は、車輌前方の視界が悪い状況を検出する特別のセンサを要することなく上述の主要な課題を達成し、これにより衝突防止装置のコストアップや構造の複雑化を回避することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち前方障害物に対する接近度を検出する手段と、アクセルペダルの踏み込み度合を検出する手段と、前記踏み込み度合がその基準値以下であり且つ前記接近度がその基準値以上であるときには車輌を減速させる制御手段とを有する車輌の衝突防止装置に於いて、車輌前方の視界状況を判定する視界状況判定手段を有し、前記制御手段は、前記視界状況判定手段により視界状況が所定のレベルよりも低いと判定されている場合には、前記踏み込み度合が前記基準値より高くても前記接近度が前記基準値以上であるときには車輌を減速させることを特徴とする車輌の衝突防止装置によって達成される。
【0008】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記視界状況判定手段は車輌前方の霧の状況を判定するよう構成される(請求項2の構成)。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前記視界状況判定手段はフォグランプがオン状態にある場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定するよう構成される(請求項3の構成)。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記視界状況判定手段は降雨の状況を判定するよう構成される(請求項4の構成)。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4の構成に於いて、前記視界状況判定手段はワイパの作動速度が基準値以上である場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定するよう構成される(請求項5の構成)。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の構成に於いて、前記制御手段はエンジンの出力を低下させることにより車輌を減速させるよう構成される(請求項6の構成)。
【0013】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の構成に於いて、前記制御手段は車輪に制動力を付与することにより車輌を減速させるよう構成される(請求項7の構成)。
【0014】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、視界状況判定手段により視界状況が所定のレベルよりも低いと判定されている場合には、アクセルペダルの踏み込み度合がその基準値より高くても前方障害物に対する接近度がその基準値以上であるときには車輌が減速されるので、比較的激しい降雨や濃霧の如く車輌前方の視界が悪い状況に於いて運転者が前方障害物に気づかずにアクセルペダルを踏み込み続けて前方障害物に対する接近度が高くなった場合にも、確実に車輌を減速させ、これにより前方障害物に対し安全な車間距離を確保することができる。
【0015】
また上記請求項2の構成によれば、視界状況判定手段により車輌前方の霧の状況が判定されるので、運転者が濃霧に起因して前方障害物を認識できない場合にも確実に車輌を減速させることができる。
【0016】
また上記請求項3の構成によれば、フォグランプがオン状態にある場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定されるので、車輌前方の霧の状況を検出する特別のセンサは不要であり、衝突防止装置のコストアップや構造の複雑化を確実に回避することができる。
【0017】
また上記請求項4の構成によれば、視界状況判定手段により車輌前方の降雨の状況が判定されるので、運転者が降雨に起因して前方障害物を認識できない場合にも確実に車輌を減速させることができる。
【0018】
また上記請求項5の構成によれば、ワイパの作動速度が基準値以上である場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定されるので、車輌前方の降雨の状況を検出する特別のセンサは不要であり、衝突防止装置のコストアップや構造の複雑化を確実に回避することができる。
【0019】
また上記請求項6の構成によれば、エンジンの出力を低下させることにより車輌が減速されるので、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていても車輌が加速することを確実に防止することができると共に、制動による減速も行われる場合にエンジンの出力が無駄に消費されたりエンジンの駆動力により制動による減速が阻害されることを確実に防止することができる。
【0020】
また上記請求項7の構成によれば、車輪に制動力を付与することにより車輌が減速されるので、車輌を効果的に減速させることができる。
【0021】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の構成に於いて、前方障害物に対する接近度を検出する手段は前方障害物に対する相対距離及び相対速度を検出するよう構成される(好ましい態様1)。
【0022】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、視界状況判定手段はフォグランプスイッチがオン状態にある場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定するよう構成される(好ましい態様2)。
【0023】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5の構成に於いて、ワイパは間欠モードと連続モードとを有し、視界状況判定手段はワイパが連続モードにて作動されている場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定するよう構成される(好ましい態様3)。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施の形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明による車輌の衝突防止装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【0026】
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ駆動輪である左右の後輪を示している。従動輪であり操舵輪でもある左右の前輪10FL及び10FRは図1には示されていないが運転者によるステアリングホイールの転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置によりタイロッドを介して操舵される。
【0027】
各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路22によりホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、24RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図には示されていないが、油圧回路22はリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ28により制御され、また必要に応じて後に詳細に説明する如く電子制御装置30により制御される。
【0028】
車輌12には例えばミリ波の如き電波を利用して先行車輌の如き前方障害物までの距離Lre及び前方障害物に対する自車の相対速度Vreを検出するレーダーセンサ32が設けられ、また車輌の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサ34が設けられている。図1には示されていないが、各ホイールシリンダ24FR〜24RLにはその圧力Pbi(i=fl、fr、rl、rr)を各車輪の制動圧として検出する圧力センサが設けられている。
【0029】
図示の如く、レーダーセンサ32により検出された前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する相対速度Vreを示す信号、前後加速度センサ34により検出された車輌の前後加速度Gxを示す信号、図1には示されていない圧力センサにより検出された各車輪の制動圧Pbiを示す信号は電子制御装置30に入力される。また電子制御装置30には圧力センサ36により検出されたマスタシリンダ圧力Pmを示す信号、アクセル開度センサ38により検出された図1には示されていないアクセルペダルの踏み込み量φを示す信号、ワイパースイッチ40よりワイパーの作動状況(間欠モード(ローモード)又は連続モード(ハイモード))を示す信号、フォグランプスイッチ42よりフォグランプが点灯されているか否かを示す信号も入力される。
【0030】
尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置30は例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータを含んでいる。
【0031】
電子制御装置30は、図2に示されたフローチャートに従い、レーダーセンサ34により自車前方の走行路線に先行車輌の如き前方障害物が存在するか否かを判定し、前方障害物が存在するときにはその前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する自車の相対速度Vreに基づき前方障害物に対する接近度を判定し、接近度が高く前方障害物に対し安全な相対距離及び相対速度を確保するために自動制動による減速の必要性があるか否かを判定し、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていない状況にて減速の必要性があると判定されたときには相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき車輌の目標減速度Gxbtを演算し、車輌の減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう車輌を自動制動により減速させる(通常モード)。
【0032】
また電子制御装置30は、減速の必要性があると判定した場合に於いて、ワイパーがハイモードにて作動されている場合又はフォグランプが点灯されている場合には、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれている状況であっても、上記の場合と同様、相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき車輌の目標減速度Gxbtを演算し、車輌の減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう車輌を自動制動により減速させる(悪視界モード)。
【0033】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける衝突防止減速制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0034】
まずステップ10に於いてはレーダーセンサ32により検出された前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する相対速度Vreを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては相対距離Lre等に基づき当技術分野に於いて公知の要領にて自車前方の走行路線に先行車輌の如き前方障害物が存在するか否かが判定され、否定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
【0035】
ステップ30に於いては相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき自動制動による減速が必要であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ40に於いて例えばαを正の係数として相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき下記の式1に従って車輌の目標減速度Gxbtが演算される。
Gxbt=α(Lre/Vre) …(1)
【0036】
この場合、自動制動による減速が必要であるか否かの判別も当技術分野に於いて公知の任意の態様にて行われてよく、例えば先行車輌に対する自車の相対速度Vreが大きいほど小さい基準値Loが演算され、先行車輌までの距離Lreが基準値Lo以下であるときに自動制動による減速が必要であると判定されてよい。
【0037】
ステップ50に於いてはマスタシリンダ圧力Pm若しくは図1には示されていないストップランプスイッチよりの信号に基づき運転者によりブレーキペダル26が踏み込まれ制動操作が行われているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、否定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
【0038】
ステップ60に於いてはアクセル開度φに基づき運転者により図1には示されていないアクセルペダルが踏み込まれているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ100へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
【0039】
ステップ70に於いてはワイパースイッチ40よりの信号に基づき図1には示されていないワイパーがハイモードにて作動されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ90へ進み、否定判別が行われたときにはステップ80へ進む。
【0040】
ステップ80に於いてはフォグランプスイッチ42よりの信号に基づき図1には示されていないフォグランプが点灯されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図2に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときには、ステップ90に於いてスロットルバルブ44を全閉にする指令信号がエンジン制御装置46へ出力される。
【0041】
ステップ100に於いては車輌の実減速度Gxb(=−Gx)が目標減速度Gxbtになるよう制動装置20の油圧回路22が制御されることにより各車輪に制動力が付与され車輌が自動制動により減速される。
【0042】
例えば目標減速度Gxbt及び実減速度Gxbに基づきβを正の一定の係数とする下記の式2に従って車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtが演算され、各車輪の係数Kiと車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtとの積として各車輪の目標増減制動圧ΔPbti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、下記の式3に従って各車輪の目標制動圧Pbti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、各車輪の制動圧Pbiが目標制動圧Pbtiになるよう制動装置20が制御される。
ΔPbt=β(Gxbt−Gxb) …(2)
Pbti=Pbi+ΔPbti …(3)
【0043】
かくして図示の実施形態によれば、ステップ20に於いて自車前方の走行路線に先行車輌の如き前方障害物が存在するか否かが判定され、ステップ30に於いて自動制動による減速が必要であるか否かの判別が行われ、自動制動による減速が必要であると判定されたときには、ステップ40に於いて相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき車輌の目標減速度Gxbtが演算され、ステップ50に於いて運転者により制動操作が行われていないと判定され、ステップ60に於いて運転者により加速操作が行われていないと判定されると、ステップ100に於いて車輌の実減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう車輌が自動制動により減速され(通常モード)、これにより先行車輌の如き前方障害物に対し安全走行に必要な相対距離及び相対速度が確保される。
【0044】
またステップ60に於いて運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていると判定されても、例えば降雨が激しくワイパーがハイモードにて作動されている場合にはステップ70に於いて肯定判別が行われ、また濃霧によりフォグランプが点灯されている場合にはステップ80に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ90に於いてスロットルバルブ44が全閉にされエンジンの出力が低減された後、ステップ100に於いて車輌の実減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう各車輪に制動力が付与され車輌が自動制動により減速され(悪視界モード)、これにより先行車輌の如き前方障害物に対し安全走行に必要な相対距離及び相対速度が確保される。
【0045】
従って図示の実施形態によれば、降雨や濃霧により運転者が視認により前方障害物を十分に認識できない状況に於いてアクセルペダルを踏み込んでいる場合にも、前方障害物に対する接近度が高くなり、前方障害物に対し安全走行に必要な相対距離及び相対速度が確保する必要が生じたときには、運転者によるアクセルペダルの踏み込みに拘らずエンジンの出力が自動的に低下されると共に自動制動によって車輌が減速されるので、降雨や濃霧により前方視界が悪いことに起因して運転者が前方障害物を十分に視認できない状況に於いても前方障害物に対し安全走行に必要な相対距離及び相対速度を確実に確保することができる。
【0046】
また図示の実施形態によれば、ワイパーがハイモードにて作動されている場合又はフォグランプが点灯されている場合に前方視界が所定のレベルよりも低いと判定され、前方視界自体が悪い状況を検出するセンサは不要であり、また運転者は前方視界自体が悪い状況に於いて安全運転の必要上ワイパースイッチやフォグランプスイッチを操作するだけで、衝突防止装置の作動モードを通常モードより悪視界モードへ自動的に切り替えることができ、従って特別なセンサやスイッチを装備することによるコストアップや構造の複雑化を確実に防止することができると共に、特別なスイッチの操作により衝突防止装置の作動モードが切り替えられる構成の場合に比して、運転者の負担を軽減することができる。
【0047】
特に図示の実施形態によれば、運転者により加速操作が行われていると判定されても、ワイパーがハイモードにて作動されている場合やフォグランプが点灯されている場合には、車輌の実減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう各車輪に制動力が付与され車輌が自動制動により減速されるだけでなく、スロットルバルブ44が全閉にされエンジンの出力が低減されるので、エンジンの出力が無駄に消費されたりエンジンの駆動力によって制動による減速が阻害されたりすることを確実に回避することができる。
【0048】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0049】
例えば上述の実施形態に於いては、ステップ70に於いてワイパーがハイモードにて作動されているか否かの判別が行われ、ステップ80に於いてフォグランプが点灯されているか否かの判別が行われるようになっているが、これらの何れかのステップが省略されてもよい。
【0050】
また上述の実施形態に於いては、ワイパーがハイモードにて作動されている場合若しくはフォグランプが点灯されている場合に、ステップ90に於いてスロットルバルブ44が全閉にされエンジンの出力が0に制御され、ステップ100に於いて車輌が自動制動により減速されるようになっているが、例えば前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する相対速度Vreに基づいて判定される前方障害物に対する接近度が第一の基準値よりも大きく第二の基準値以下であるときには、エンジンの出力が0に制御され、前方障害物に対する接近度が第二の基準値よりも大きくなったときに車輌が自動制動により減速されるよう修正されてもよい。
【0051】
また上述の実施形態に於いては、車輌の実際の減速度Gxbは前後加速度センサ34により検出される車輌の前後加速度Gxに基づいて求められるようになっているが、車輌の実際の減速度Gxbは車速センサにより検出される車速Vの微分値に基づいて求められてもよく、また図には示されていない車輪速度センサの検出値に基づいて演算されてもよい。
【0052】
また上述の実施形態に於いては、レーダーセンサ32により検出された前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する相対速度Vreに基づき自動制動による減速が必要であるか否かの判別が行われ、自動制動による減速が必要であると判定されたときには相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき前方障害物に対し安全な相対距離及び相対速度を確保するための車輌の目標減速度Gxbtが演算され、車輌の目標減速度Gxbtに基づき自動制動による減速が行われるようになっているが、前方障害物に対し安全な相対距離及び相対速度を確保するための自動制動による減速は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の態様にて行われてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌の衝突防止装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於ける衝突防止減速制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
20…制動装置
26…ブレーキペダル
30…電子制御装置
32…レーダーセンサ
34…前後加速度センサ
36…圧力センサ
38…アクセル開度センサ
40…ワイパースイッチ
42…ストップランプスイッチ
Claims (7)
- 前方障害物に対する接近度を検出する手段と、アクセルペダルの踏み込み度合を検出する手段と、前記踏み込み度合がその基準値以下であり且つ前記接近度がその基準値以上であるときには車輌を減速させる制御手段とを有する車輌の衝突防止装置に於いて、車輌前方の視界状況を判定する視界状況判定手段を有し、前記制御手段は、前記視界状況判定手段により視界状況が所定のレベルよりも低いと判定されている場合には、前記踏み込み度合が前記基準値より高くても前記接近度が前記基準値以上であるときには車輌を減速させることを特徴とする車輌の衝突防止装置。
- 前記視界状況判定手段は車輌前方の霧の状況を判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の衝突防止装置。
- 前記視界状況判定手段はフォグランプがオン状態にある場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定することを特徴とする請求項2に記載の車輌の衝突防止装置。
- 前記視界状況判定手段は降雨の状況を判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の衝突防止装置。
- 前記視界状況判定手段はワイパの作動速度が基準値以上である場合に視界状況が所定のレベルよりも低いと判定することを特徴とする請求項4に記載の車輌の衝突防止装置。
- 前記制御手段はエンジンの出力を低下させることにより車輌を減速させることを特徴とする請求項1乃至5に記載の車輌の衝突防止装置。
- 前記制御手段は車輪に制動力を付与することにより車輌を減速させることを特徴とする請求項1乃至6に記載の車輌の衝突防止装置。
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