JP2004267997A - 酸性ガスを含む排ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、フィルター目詰まりが抑制されていることから払い落としの回数が低減され運転効率が向上しているだけでなく、反応剤の利用効率が向上していることからコスト的にも改善された方法の提供を課題とする。
【解決手段】無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤と未粉砕発泡パーライトをバグフィルターに吹き込む方法が、上記課題を解決する方法となることを見出し、本発明を完成した。
本発明の好ましい実施形態は、無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤が、消石灰粉末、生石灰、炭酸カルシウム粉末から選ばれる1種または2種以上であること、反応剤と未粉砕の発泡パーライトとを混合物の形態でバグフィルターに吹き込むことである。
【選択図】 なし
【解決手段】無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤と未粉砕発泡パーライトをバグフィルターに吹き込む方法が、上記課題を解決する方法となることを見出し、本発明を完成した。
本発明の好ましい実施形態は、無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤が、消石灰粉末、生石灰、炭酸カルシウム粉末から選ばれる1種または2種以上であること、反応剤と未粉砕の発泡パーライトとを混合物の形態でバグフィルターに吹き込むことである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却炉等で発生する燃焼排ガスに含まれる、塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガス成分を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼却炉等の燃焼排ガス中に、中和剤として働く消石灰等の無機アルカリ性物質粉末を反応剤として吹込み、バグフィルターで粉塵を除去すると同時にフィルター上に堆積する反応剤で排ガス中の酸性物質を中和除去する方法は公知であり、その際のフィルター目詰まり防止方法についても多くの技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、バグフィルター表面上に微粉末ろ過助剤をプレコートする方法が開示されている。特許文献2には、排ガスに消石灰等の反応剤を添加した後、珪藻土とパーライトの混合物より成る反応助剤を添加したガスを、ろ布表面上に微粉末ろ過助剤をプレコートしたバグフィルターに導き除塵する方法が開示されている。また、特許文献3には、反応剤と共に剥離助剤として汚泥焼却灰を添加する方法が開示されている。これ等は、それなりの効果を示す方法であった。
【0003】しかし、フィルター目詰まりを防ぐために行なわれるフィルター上堆積物の払い落とし回数は更に低減されるのが好ましいことから、この面での改善が要求されていた。一方、近年、環境を巡る規制が厳しくなり、中でも毒性の高いダイオキシンの排出は特に厳しく規制されており、ダイオキシン生成に繋がる原因物質の一つである排ガス中の塩化水素をより完全に除去するために、低粒度の高反応型消石灰が反応剤として使用されるようになったが、この方法では、ダイオキシン生成は確かに抑制されるものの、反応生成物によるフィルターの目詰まりが新たな問題として浮上してきた。すなわち、低粒度の高反応型消石灰と従来型のろ過助剤との組合わせでは、フィルター目詰まりが激しいことから、払い落としの回数の増加が不可避であり、反応剤と排ガスの接触時間が短くなるために操作が煩雑になるのに加え、反応剤が十分に反応しないまま払い落とされる事になり、反応剤の必要量が数倍となる等、運転コストの上昇が新たに問題となって来たのである。
【0004】
【特許文献1】
特公昭62−29088号公報(1〜2ページ)
【特許文献2】
特公平3−26095公報(2〜3ページ)
【特許文献3】
特開平4−74506号公報(1〜4ページ)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点の解決された、焼却炉排ガス等の、酸性ガスを含む排ガス処理方法の提供を目的とする。具体的には、フィルター目詰まりが抑制されていることから払い落としの回数が低減され運転効率が向上しているだけでなく、反応剤の利用効率が向上していることからコスト的にも改善された方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ある種の発泡パーライトが、良好な反応助剤になることを見出し、これと反応剤との組合せ使用が、上記課題を解決した、焼却炉排ガス処理方法になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤と未粉砕発泡パーライトをバグフィルターに吹き込むことを特徴とする、排ガス中の酸性ガスの処理方法に関する。
また、本発明の好ましい実施形態は、下記の通りである。
(1)無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤が、消石灰粉末、生石灰、炭酸カルシウム粉末から選ばれる1種または2種以上であること。
(2)反応剤と未粉砕の発泡パーライトとを混合物の形態でバグフィルターに吹き込むこと。
(3)反応剤に対する未粉砕の発泡パーライトの配合量が、内割で2〜30質量%であること。
(4)未粉砕パーライトの平均粒径が20〜100μmであること。
(5)パーライトが、パーライト原石の乾燥、輸送、粉砕工程で発生するパーライト原石微粉末を回収し、それを焼成・発泡させて製造したものであること。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、焼却炉等の燃焼排ガスに含まれる塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガス成分を除去する方法に関するものであり、消石灰粉末等の反応剤と組合わせて使用するろ過助剤として、発泡後に粉砕を加えていないパーライトを使用することを特徴とする。
パーライトは、従来、真珠岩、黒曜石等のガラス質火山岩原石粉砕物を、それらの軟化温度以上で過熱発泡させて製造されるが、その優れた軽量性と断熱性を利用し、断熱材、軽量骨材、軽量プラスター等として使用されている。また、例えば前記特許文献2に記載されているように、ろ過助剤としての用途も知られていたものである。
【0008】発泡処理で得られる発泡体の大きさは、当然、原石の粒度に依存することから、粉砕処理なしで100μm以下の粒径を有するものを製造するには、原石粒度を非常に細かくしておく必要がある。しかし、原石の微細粉への粉砕は生産性の低下に繋がることと、発泡後未粉砕品の特性を活かして使う用途が知られていなかったことから、市場に出回っているものは、粒径が大きな発泡体を粉砕・製粒処理したものである。
上記した、ろ過助剤として従来使用されているパーライトも、他の応用例同様粉砕品であり、後述するように、特に高反応型反応剤を対象とする場合には、ろ過助剤としての効果が不十分なものであった。
【0009】本発明で使用するパーライトは、未粉砕発泡体であることから、従来使用されている粉砕品とは異なり、より球形に近いことを特徴とする。表面の凹凸も当然少ない。
この特質は、例えば焼却炉排ガス処理等に使用する反応剤の粒径が小さい時の気固分離において効果を発揮する。すなわち、ろ過助剤同士の凹凸部が絡み合い、間に反応剤微粒子が入り込み粉体充填密度が高くなり易い粉砕品とは異なり、空隙が確保され、結果として目詰まりが抑制されることになる。また、ろ布表面に予めプリコート層を形成させなくとも、堆積物の払い落としが容易となる効果も示す。
【0010】パーライトをろ過助剤として使用する本発明においては、その粒径は、平均粒径で20〜100μmのものの使用が好ましく、中でも40〜50μmのものの使用が特に好ましい。
【0011】本発明の未粉砕パーライトは、無機アルカリ性物質粉末よりなる公知の各種反応剤と組合わせての使用が可能であるが、反応性、入手の容易さ、コスト面から消石灰粉末、生石灰粉末及び炭酸カルシウム粉末等の石灰系反応剤から選ばれる1種又は2種以上との組合わせ使用が好ましく、特に、反応性に優れるがフィルター目詰まりが問題であった高反応型消石灰と組合わせて使用した場合に大きな効果を発揮する。尚、本発明で言う高反応型消石灰とは、JIS等による明確な規定は無いが、従来から一般に使用されている特号消石灰粉末よりも酸性ガスに対する反応性を高めた消石灰粉末であり、特号の一般的な品質はBET比表面積が12〜15m2/g、平均粒子径が7μm前後であるのに対し、高反応型は平均粒子径3〜5μm程度に微粒化し、BET比表面積を30m2/g以上に高めたものである。
【0012】本発明の排ガス処理方法では、前記ろ過助剤を、反応剤に対し内割で2〜30質量%で添加使用するのが好ましいが、5〜20質量%の配合割合で使用するのはさらに好ましい。
ろ過助剤が少なすぎると、ろ布の目詰り抑制効果発現が十分でなく、堆積物払い落としの間隔が短くなり、それに基づく様々な弊害が生起することになる。一方、ろ過助剤量が多すぎると、フィルター目詰まり抑制効果は大となるが、単味の使用では互いに差異の無いろ過助剤そのものの特性に近付きその効果は頭打ちになり、また、処理を要するフィルター上捕集物量も増大する好ましくない結果を招く事になる。
【0013】従来、ろ過助剤は、反応剤とは別のタンクから、処理対象である排ガス流に供給されていた。堆積層のろ布からの剥離を容易にするため、バグフィルターろ布表面上に、ろ過助剤のみよりなるプレコート層を形成させる必要性があったからである。
本発明の排ガス処理方法でも、同じように、ろ過助剤と反応剤とを別のタンクから供給することも出来るが、ろ布の目詰りが抑制された反応助剤を用いる本発明において好ましい実施形態は、反応剤と混合して使用することである。タンクやホッパー等の、ろ過助剤および反応剤の投入に必要な機器が一基で済む利点がある。
以下では、具体例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0014】
【実施例】ここでは、実焼却炉において、未粉砕発泡パーライトと反応剤との組合わせる本発明の排ガスの処理方法の効果を、従来使用されているろ過助剤と反応剤との組合わせによる排ガス処理方法と対比させて検討した。
(1)使用材料
▲1▼ろ過助剤
・パーライト(未粉砕発泡品):粒度20〜30μmのパーライト原石微粉末を、竪型焼成炉で焼成・発泡させて製造したものである。[平均粒径:40〜50μm、単位容積質量:0.16〜0.20kg/l]
パーライト(粉砕品):今回試験を行なった焼却施設において従来から使用されているもので、焼成・発泡したパーライトを粉砕・整粒したものである。[平均粒径:26μm、単位容積質量:0.17kg/l]
▲2▼反応剤:高反応型消石灰[商品名:ヒシカールスーパー(菱光石灰工業(株)社製)]
【0015】
(2)試験焼却施設
排ガス処理方法の評価は、図1に示す設備フローの焼却設備において行った。試験した焼却施設の仕様は次である。
・炉の形式:バッチ燃焼式ストーカ炉
・炉能力:60トン/16時間
・ごみ焼却量設定:3.3トン/時間
・反応剤供給量:排ガス中の塩化水素濃度に連動した自動制御
・バグフィルター逆洗制御:バグフィルターの差圧による自動制御。ON−OFFの閾値は150mmH2Oに設定した。
【0016】
(3)試験方法
反応剤に対するろ過助剤の割合は、未粉砕発泡パーライトにおいては5質量%、粉砕パーライトにおいては従来からの条件に合せて10質量%とした。
試験期間中は、バグフィルター前後段で連続的に塩化水素濃度を測定し、排ガス処理による塩化水素の除去率を求めた。塩化水素濃度の測定は、塩素イオン電極法により行った。結果を表1に示す。
また、バグフィルター差圧については連続的に測定し、反応剤の累積使用量及びバグフィルターの逆洗回数についても記録を行なった。
結果を表1に示す。
なお、表1の測定結果は、各条件で2週間の運転を行い、その期間の平均値を示したものである。
【0017】
【表1】
【0018】
未粉砕発泡パーライトをろ過助剤に使用した本発明の方法では、粉砕パーライトを使用した従来法に比して、反応剤供給量が低減されているにも関わらず、排ガス中からの塩化水素除去率の向上が認められ、更に、バグフィルターの逆洗回数は1/2以下に低減されている。
【0019】
【発明の効果】未粉砕発泡パーライトを反応助剤として使用する本発明の排ガス処理方法は、フィルター上の堆積層の通気性を確保し、圧力損失が低減される事から、フィルター上の堆積物の払い落とし回数が低減され、運転が容易になり、また、反応剤と排ガス中の酸性ガスとの接触時間が長くなることにより、反応剤の反応性が向上し、反応剤使用量の低減や、捕集灰発生量の低減効果と共に、フィルター寿命が向上する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応助材の評価を行なう装置の概略図である。
【符号の説明】
1.ごみ投入口
2.焼却炉
3.熱交換器
4.反応剤タンク
5.ろ過助剤タンク
6.バグフィルター
7.煙突
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却炉等で発生する燃焼排ガスに含まれる、塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガス成分を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼却炉等の燃焼排ガス中に、中和剤として働く消石灰等の無機アルカリ性物質粉末を反応剤として吹込み、バグフィルターで粉塵を除去すると同時にフィルター上に堆積する反応剤で排ガス中の酸性物質を中和除去する方法は公知であり、その際のフィルター目詰まり防止方法についても多くの技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、バグフィルター表面上に微粉末ろ過助剤をプレコートする方法が開示されている。特許文献2には、排ガスに消石灰等の反応剤を添加した後、珪藻土とパーライトの混合物より成る反応助剤を添加したガスを、ろ布表面上に微粉末ろ過助剤をプレコートしたバグフィルターに導き除塵する方法が開示されている。また、特許文献3には、反応剤と共に剥離助剤として汚泥焼却灰を添加する方法が開示されている。これ等は、それなりの効果を示す方法であった。
【0003】しかし、フィルター目詰まりを防ぐために行なわれるフィルター上堆積物の払い落とし回数は更に低減されるのが好ましいことから、この面での改善が要求されていた。一方、近年、環境を巡る規制が厳しくなり、中でも毒性の高いダイオキシンの排出は特に厳しく規制されており、ダイオキシン生成に繋がる原因物質の一つである排ガス中の塩化水素をより完全に除去するために、低粒度の高反応型消石灰が反応剤として使用されるようになったが、この方法では、ダイオキシン生成は確かに抑制されるものの、反応生成物によるフィルターの目詰まりが新たな問題として浮上してきた。すなわち、低粒度の高反応型消石灰と従来型のろ過助剤との組合わせでは、フィルター目詰まりが激しいことから、払い落としの回数の増加が不可避であり、反応剤と排ガスの接触時間が短くなるために操作が煩雑になるのに加え、反応剤が十分に反応しないまま払い落とされる事になり、反応剤の必要量が数倍となる等、運転コストの上昇が新たに問題となって来たのである。
【0004】
【特許文献1】
特公昭62−29088号公報(1〜2ページ)
【特許文献2】
特公平3−26095公報(2〜3ページ)
【特許文献3】
特開平4−74506号公報(1〜4ページ)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点の解決された、焼却炉排ガス等の、酸性ガスを含む排ガス処理方法の提供を目的とする。具体的には、フィルター目詰まりが抑制されていることから払い落としの回数が低減され運転効率が向上しているだけでなく、反応剤の利用効率が向上していることからコスト的にも改善された方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ある種の発泡パーライトが、良好な反応助剤になることを見出し、これと反応剤との組合せ使用が、上記課題を解決した、焼却炉排ガス処理方法になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤と未粉砕発泡パーライトをバグフィルターに吹き込むことを特徴とする、排ガス中の酸性ガスの処理方法に関する。
また、本発明の好ましい実施形態は、下記の通りである。
(1)無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤が、消石灰粉末、生石灰、炭酸カルシウム粉末から選ばれる1種または2種以上であること。
(2)反応剤と未粉砕の発泡パーライトとを混合物の形態でバグフィルターに吹き込むこと。
(3)反応剤に対する未粉砕の発泡パーライトの配合量が、内割で2〜30質量%であること。
(4)未粉砕パーライトの平均粒径が20〜100μmであること。
(5)パーライトが、パーライト原石の乾燥、輸送、粉砕工程で発生するパーライト原石微粉末を回収し、それを焼成・発泡させて製造したものであること。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、焼却炉等の燃焼排ガスに含まれる塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガス成分を除去する方法に関するものであり、消石灰粉末等の反応剤と組合わせて使用するろ過助剤として、発泡後に粉砕を加えていないパーライトを使用することを特徴とする。
パーライトは、従来、真珠岩、黒曜石等のガラス質火山岩原石粉砕物を、それらの軟化温度以上で過熱発泡させて製造されるが、その優れた軽量性と断熱性を利用し、断熱材、軽量骨材、軽量プラスター等として使用されている。また、例えば前記特許文献2に記載されているように、ろ過助剤としての用途も知られていたものである。
【0008】発泡処理で得られる発泡体の大きさは、当然、原石の粒度に依存することから、粉砕処理なしで100μm以下の粒径を有するものを製造するには、原石粒度を非常に細かくしておく必要がある。しかし、原石の微細粉への粉砕は生産性の低下に繋がることと、発泡後未粉砕品の特性を活かして使う用途が知られていなかったことから、市場に出回っているものは、粒径が大きな発泡体を粉砕・製粒処理したものである。
上記した、ろ過助剤として従来使用されているパーライトも、他の応用例同様粉砕品であり、後述するように、特に高反応型反応剤を対象とする場合には、ろ過助剤としての効果が不十分なものであった。
【0009】本発明で使用するパーライトは、未粉砕発泡体であることから、従来使用されている粉砕品とは異なり、より球形に近いことを特徴とする。表面の凹凸も当然少ない。
この特質は、例えば焼却炉排ガス処理等に使用する反応剤の粒径が小さい時の気固分離において効果を発揮する。すなわち、ろ過助剤同士の凹凸部が絡み合い、間に反応剤微粒子が入り込み粉体充填密度が高くなり易い粉砕品とは異なり、空隙が確保され、結果として目詰まりが抑制されることになる。また、ろ布表面に予めプリコート層を形成させなくとも、堆積物の払い落としが容易となる効果も示す。
【0010】パーライトをろ過助剤として使用する本発明においては、その粒径は、平均粒径で20〜100μmのものの使用が好ましく、中でも40〜50μmのものの使用が特に好ましい。
【0011】本発明の未粉砕パーライトは、無機アルカリ性物質粉末よりなる公知の各種反応剤と組合わせての使用が可能であるが、反応性、入手の容易さ、コスト面から消石灰粉末、生石灰粉末及び炭酸カルシウム粉末等の石灰系反応剤から選ばれる1種又は2種以上との組合わせ使用が好ましく、特に、反応性に優れるがフィルター目詰まりが問題であった高反応型消石灰と組合わせて使用した場合に大きな効果を発揮する。尚、本発明で言う高反応型消石灰とは、JIS等による明確な規定は無いが、従来から一般に使用されている特号消石灰粉末よりも酸性ガスに対する反応性を高めた消石灰粉末であり、特号の一般的な品質はBET比表面積が12〜15m2/g、平均粒子径が7μm前後であるのに対し、高反応型は平均粒子径3〜5μm程度に微粒化し、BET比表面積を30m2/g以上に高めたものである。
【0012】本発明の排ガス処理方法では、前記ろ過助剤を、反応剤に対し内割で2〜30質量%で添加使用するのが好ましいが、5〜20質量%の配合割合で使用するのはさらに好ましい。
ろ過助剤が少なすぎると、ろ布の目詰り抑制効果発現が十分でなく、堆積物払い落としの間隔が短くなり、それに基づく様々な弊害が生起することになる。一方、ろ過助剤量が多すぎると、フィルター目詰まり抑制効果は大となるが、単味の使用では互いに差異の無いろ過助剤そのものの特性に近付きその効果は頭打ちになり、また、処理を要するフィルター上捕集物量も増大する好ましくない結果を招く事になる。
【0013】従来、ろ過助剤は、反応剤とは別のタンクから、処理対象である排ガス流に供給されていた。堆積層のろ布からの剥離を容易にするため、バグフィルターろ布表面上に、ろ過助剤のみよりなるプレコート層を形成させる必要性があったからである。
本発明の排ガス処理方法でも、同じように、ろ過助剤と反応剤とを別のタンクから供給することも出来るが、ろ布の目詰りが抑制された反応助剤を用いる本発明において好ましい実施形態は、反応剤と混合して使用することである。タンクやホッパー等の、ろ過助剤および反応剤の投入に必要な機器が一基で済む利点がある。
以下では、具体例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0014】
【実施例】ここでは、実焼却炉において、未粉砕発泡パーライトと反応剤との組合わせる本発明の排ガスの処理方法の効果を、従来使用されているろ過助剤と反応剤との組合わせによる排ガス処理方法と対比させて検討した。
(1)使用材料
▲1▼ろ過助剤
・パーライト(未粉砕発泡品):粒度20〜30μmのパーライト原石微粉末を、竪型焼成炉で焼成・発泡させて製造したものである。[平均粒径:40〜50μm、単位容積質量:0.16〜0.20kg/l]
パーライト(粉砕品):今回試験を行なった焼却施設において従来から使用されているもので、焼成・発泡したパーライトを粉砕・整粒したものである。[平均粒径:26μm、単位容積質量:0.17kg/l]
▲2▼反応剤:高反応型消石灰[商品名:ヒシカールスーパー(菱光石灰工業(株)社製)]
【0015】
(2)試験焼却施設
排ガス処理方法の評価は、図1に示す設備フローの焼却設備において行った。試験した焼却施設の仕様は次である。
・炉の形式:バッチ燃焼式ストーカ炉
・炉能力:60トン/16時間
・ごみ焼却量設定:3.3トン/時間
・反応剤供給量:排ガス中の塩化水素濃度に連動した自動制御
・バグフィルター逆洗制御:バグフィルターの差圧による自動制御。ON−OFFの閾値は150mmH2Oに設定した。
【0016】
(3)試験方法
反応剤に対するろ過助剤の割合は、未粉砕発泡パーライトにおいては5質量%、粉砕パーライトにおいては従来からの条件に合せて10質量%とした。
試験期間中は、バグフィルター前後段で連続的に塩化水素濃度を測定し、排ガス処理による塩化水素の除去率を求めた。塩化水素濃度の測定は、塩素イオン電極法により行った。結果を表1に示す。
また、バグフィルター差圧については連続的に測定し、反応剤の累積使用量及びバグフィルターの逆洗回数についても記録を行なった。
結果を表1に示す。
なお、表1の測定結果は、各条件で2週間の運転を行い、その期間の平均値を示したものである。
【0017】
【表1】
【0018】
未粉砕発泡パーライトをろ過助剤に使用した本発明の方法では、粉砕パーライトを使用した従来法に比して、反応剤供給量が低減されているにも関わらず、排ガス中からの塩化水素除去率の向上が認められ、更に、バグフィルターの逆洗回数は1/2以下に低減されている。
【0019】
【発明の効果】未粉砕発泡パーライトを反応助剤として使用する本発明の排ガス処理方法は、フィルター上の堆積層の通気性を確保し、圧力損失が低減される事から、フィルター上の堆積物の払い落とし回数が低減され、運転が容易になり、また、反応剤と排ガス中の酸性ガスとの接触時間が長くなることにより、反応剤の反応性が向上し、反応剤使用量の低減や、捕集灰発生量の低減効果と共に、フィルター寿命が向上する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応助材の評価を行なう装置の概略図である。
【符号の説明】
1.ごみ投入口
2.焼却炉
3.熱交換器
4.反応剤タンク
5.ろ過助剤タンク
6.バグフィルター
7.煙突
Claims (6)
- 無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤と、未粉砕の発泡パーライトをバグフィルターに吹き込むことを特徴とする、酸性ガスを含む排ガスの処理方法。
- 無機アルカリ性物質粉末よりなる反応剤が、消石灰粉末、生石灰粉末および炭酸カルシウム粉末から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の、酸性ガスを含む排ガスの処理方法。
- 反応剤と未粉砕の発泡パーライトとを混合物の形態でバグフィルターに吹き込むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の、酸性ガスを含む排ガスの処理方法。
- 反応剤に対する未粉砕の発泡パーライトの配合量が、内割で2〜30質量%であることを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の、酸性ガスを含む排ガスの処理方法。
- 未粉砕の発泡パーライトの平均粒径が、20〜100μmであることを特徴とする、請求項1ないし4の何れかに記載の、酸性ガスを含む排ガスの処理方法。
- 未粉砕の発泡パーライトが、パーライト原石の乾燥、輸送、粉砕工程で発生するパーライト原石微粉末を回収し、それを焼成・発泡させて製造したパーライトであることを特徴とする、請求項1または5の何れかに記載の、酸性ガスを含む排ガスの処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003066260A JP2004267997A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | 酸性ガスを含む排ガスの処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003066260A JP2004267997A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | 酸性ガスを含む排ガスの処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004267997A true JP2004267997A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33127032
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003066260A Pending JP2004267997A (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | 酸性ガスを含む排ガスの処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004267997A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006347781A (ja) * | 2005-06-13 | 2006-12-28 | Ube Ind Ltd | 有機塩素化合物生成の抑制方法及びセメントの製造方法 |
JP2019042682A (ja) * | 2017-09-04 | 2019-03-22 | 株式会社プランテック | 排ガス処理方法、ならびに排ガス処理装置 |
-
2003
- 2003-03-12 JP JP2003066260A patent/JP2004267997A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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