JP3788270B2 - 気固分離用ろ過助剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却場排ガス処理等の反応剤粉末を添加する処理方法において、バグフィルターによって気固分離を行う際に使用されるろ過助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼却炉等の燃焼排ガス中に反応剤として消石灰粉末を吹込み、バグフィルターで粉塵を除去すると同時にフィルター上に堆積する反応剤で排ガス中の酸性物質を除去する方法は公知であり、その際のフィルター目詰まり防止方法については多くの技術が開示されている。
【0003】
例えば、特公昭62−29088号公報には、バグフィルター表面上に微粉末ろ過助剤をプレコートする方法が開示されている。特公平3−26095号公報には、排ガスに消石灰粉末等の反応剤を添加した後、珪藻土とパーライトの混合物より成るろ過助剤を添加したガスを、ろ布表面上に微粉末ろ過助剤をプレコートしたバグフィルターに導き徐塵する方法が開示されている。また、特開平4−74506号公報には、反応剤と共に剥離助剤として汚泥焼却灰を添加する方法が開示されている。 これ等は、それなりの効果を示す方法であった。
【0004】
ところが近年、環境を巡る規制が厳しくなり、中でも毒性の高いダイオキシンの排出は特に厳しく規制されており、ダイオキシン生成に繋がる原因物質の一つである排ガス中の塩化水素をより完全に除去するために、低粒度の高反応型消石灰が反応剤として使用されるようになった。この方法で、ダイオキシン生成は確かに抑制されるものの、反応生成物によるフィルターの目詰まりが新たな問題として再浮上してきた。すなわち、低粒度の高反応型消石灰と従来型のろ過助剤との組合わせでは、フィルター目詰まりが激しいことから、払い落としの回数の増加が不可避であり、反応剤と排ガスの接触時間が短くなるために、反応剤が十分に反応しないまま払い落とされ、反応剤の必要量が数倍となる等、運転コストの上昇が新たな問題となって来たのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応剤として高反応型消石灰を使用する用途に適した新たな気固分離用ろ過助剤の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ある種の発泡パーライトが、良好なろ過助剤になることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、(1)パーライト原石微粉末を発泡させた発泡パーライトよりなる気固分離用ろ過助剤に関する。また、本発明の好ましい実施形態は、下記の通りである。
(2)上記発泡パーライトの平均粒径が20〜100μmである、上記(1)に記載の気固分離用ろ過助剤。
(3)上記発泡パーライトが、パーライト原石の乾燥、輸送、粉砕工程で発生するパーライト原石微粉末を回収し、それを焼成・発泡させたパーライトである、上記(1)または(2)に記載の気固分離用ろ過助剤。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、ろ過助剤として、パーライト原石微粉末を発泡させた発泡パーライト(以下、「未粉砕発泡パーライト」ということがある。)を使用することを特徴とする。パーライトは、従来、真珠岩、黒曜石等のガラス質火山岩原石粉砕物を軟化温度以上で加熱発泡させて製造されるが、その優れた軽量性と断熱性を利用し、断熱材、軽量骨材、軽量プラスターとして使用されている。また、例えば前記特公平3−26095号公報に記載されているように、ろ過助剤としての用途も知られていた。
【0008】
発泡処理で得られる発泡体の大きさは、当然、原石の粒度に依存することから、粉砕処理なしで100μm以下の粒径を有するものを製造するには、原石粒度を非常に細かくして置く必要が在る。しかし、原石粒度の微細粉への粉砕は生産性の低下に繋がることと、未粉砕品の特性を活かして使う用途が知られていなかったことから、市場に出回っているものは、粒径の大きな発泡体を粉砕・整粒処理したものである。
ろ過助剤として従来使用されているパーライトも、他の応用例同様粉砕品であり、後記するように、高反応型反応剤を対象とする場合には、ろ過助剤としての効果が不十分なものであった。
【0009】
本発明で使用するパーライトは、未粉砕発泡体であることから、従来使用されている粉砕品とは異なり、より球形に近いことを特徴とする。表面の凹凸も当然少ない。
この特質は、例えば焼却炉排ガス処理等に使用する反応剤の粒径が小さい時の気固分離において効果を発揮する。すなわち、ろ過助剤同士の凹凸部が絡み合い、間に反応剤微粒子が入り込み粉体充填密度が高くなり易い粉砕品とは異なり、空隙が確保され、結果として目詰まりが抑制されることになる。また、ろ布表面に予めプリコート層を形成させなくとも、堆積物の払い落としが容易となる効果も示す。
【0010】
パーライトの粒径は、高反応型の微粒消石灰用のろ過助剤として使用する本発明においては、平均粒径20〜100μmのものの使用が好ましく、中でも40〜50μmのものの使用が特に好ましい。
【0011】
粉砕・整粒することなく、未粉砕で、前記粒径を持つ発泡パーライトを得る便利な方法は、パーライト原石の乾燥、輸送、粉砕工程で発生する原石微粉末を回収し、900〜1200℃の温度で焼成・発泡させて製造する方法である。
該パーライト原石微粉末は、粒径20〜30μmの粒子であり、焼成・発泡により、粒径40〜50μmの、高反応型反応剤との組合わせ使用に適したろ過助剤を容易に与える。
【0012】
本発明のろ過助剤は、反応剤として高反応型消石灰の使用を対象にしたものであるが、当然、従来型の消石灰、炭酸カルシウム等の反応剤にも適用できる。
【0013】
本発明のろ過助剤は、反応剤に対し、内割で5〜30質量%で添加使用するのが好ましいが、更に好ましくは、10〜20質量%の配合割合で使用する。
ろ過助剤が少なすぎると、ろ布の目詰まり抑制効果発現が十分でなく、堆積物払い落としの間隔が短くなり、それに基づく様々な弊害が生起すことになる。一方、ろ過助剤量が多すぎると、確かにフィルター目詰まり抑制効果は大となるが、単味の使用では互いに差異の無いろ過助剤そのものの特性に近付きその効果は頭打ちになり、また、処理を要する捕集物量も増大する好ましくない結果を招く事になる。
【0014】
従来、ろ過助剤は、反応剤とは別のタンクから供給されていた。バグフィルターろ布表面上に、堆積層のろ布からの剥離を容易にする、ろ過助剤のみよりなるプレコート層を形成させる必要性が在ったからである。
本発明のろ過助剤も、同じように、反応剤と別のタンクから供給することが出来るが、好ましい使用形態は、反応剤である高反応型消石灰と混合して使用することである。タンクやホッパー等の、添加剤投入に必要な機器が一基で済む利点がある。
以下では、具体例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
【0015】
【実施例】
ここでは、ガス相として空気のみを使用して、フィルタ表面における反応剤堆積に依る圧力損失に対するろ過助剤の効果について調べた。ここで得られた結果は、バグフィルターを使用する一般の集塵機にも適用できる。
(1)使用材料
▲1▼ろ過助剤
・パーライト(未粉砕発泡品):
粒度20〜30μmのパーライト原石微粉末を、竪型焼成炉で焼成・発泡させて製造したものである。[平均粒径:40〜50μm、単位容積質量:0.16〜0.20kg/l]
・パーライト(粉砕発泡品)[商品名:ライトクリスタルMH−220(日本へルス工業(株)社製)、平均粒径:26μm、単位容積質量:0.17kg/l]
・珪藻土[商品名:ラジオライト「クリアエイドA」(昭和化学工業(株)社製)、平均粒径:13μm、単位容積質量:0.17kg/l]
▲2▼反応剤:高反応型消石灰[商品名:カルブリード(宇部マテリアルズ(株)社製)、BET比表面積:32〜37m/g、単位容積質量:0.40kg/l]
【0016】
(2)評価装置及び評価方法
ろ過助剤の評価は、図1に示す装置を用いて行なった。これは、ろ過助剤の性能評価に一般的に使用されている方法である。
反応器1はフィルター2を経て吸引ライン3に繋がっており、ライン3の吸引に伴い吸気ライン4から空気が、770ml/秒の体積速度で導入される。反応剤とろ過助剤の混合粉末は、粉塵濃度が5g/mとなるように粉体供給機5から反応器に導入され、導入空気に同伴し、径140mmの円形フィルター(材質:テファイアー)でろ過されフィルター上に堆積する。空気は、吸引ライン3から排出される。このガスの流れを順方向と呼ぶ。
【0017】
堆積による目詰まりの程度は、差圧計9により圧力損失として測定されるが、差圧計の読みが1000Paに達したら、粉体供給を停止すると共に吸引ラインを5に、吸気ラインを6に夫々切り替え、空気の流れを吸気ライン7→バルブ8→フィルター2→反応器2→集塵機10→ライン6と、フィルターに関しては順方向とは逆方向にガスを流し、フィルター上の堆積物を払い落とす逆洗浄を行う。次いで、再度ガス流を順方向とし、反応剤とろ過助剤混合粉を添加し、その後は、堆積→逆洗浄操作を繰り返し、圧損の経時変化の比較を行なった。
結果を図2に示す。
【0018】
対比として、従来用いられている粉砕パーライトおよび珪藻土を使用した場合を例示した。
ろ過助剤の添加効果である圧損の経時変化の抑制は、珪藻土、粉砕および未粉砕発泡パーライトの何れにおいても確認されるが、残留圧損値がある設定値になるに要する時間は、未粉砕発泡パーライト(図2中、○印)において大であり、未粉砕発泡パーライトをろ過助剤とする本発明の方法が格段に効果が高い事が分かる。
【0019】
【発明の効果】
未粉砕の発泡パーライトより成る本発明の気固分離用ろ過助剤は、高反応型反応剤使用時にも、フィルター上の堆積層における通気性を確保し、圧力損失が低減される事から、フィルター上の堆積物の払い落とし回数が低減されるが、この効果は種々の利点をもたらす。先ず、運転が容易になると共にフィルター寿命が向上する。また、反応剤と排ガスとの接触時間が長くなることにより反応剤の利用効率が上がり、これは、反応剤使用量及び捕集灰発生量の低減に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ろ過助剤の評価を行なう装置の該略図である。
【図2】フィルター上での圧力損失の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 反応器
2 フィルター
3 吸引ラインI
4 吸気ラインI
5 粉体供給機
6 吸引ラインII
7 吸気ラインII
8 ストップバルブ
9 差圧計
10 集塵機

Claims (3)

  1. パーライト原石微粉末を発泡させた発泡パーライトよりなる気固分離用ろ過助剤。
  2. 前記発泡パーライトの平均粒径が20〜100μmである、請求項1に記載の気固分離用ろ過助剤。
  3. 前記発泡パーライトが、パーライト原石の乾燥、輸送、粉砕工程で発生するパーライト原石微粉末を回収し、それを焼成・発泡させたパーライトである、請求項1または2に記載の気固分離用ろ過助剤。
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