JP2004264535A - 回り止め機構、及びそれを備えたフィルターアダプタ、レンズフィルター、レンズユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズ鏡筒から容易に取り外すことができるフィルターアダプタ、及びレンズフィルターを提供する。
【解決手段】本発明は、レンズ鏡筒に取付可能な第1環状部材(2)と、この第1環状部材に対して回転可能に連結された、レンズフィルターを取付可能な第2環状部材(4)と、を有するフィルターアダプタ(1)において、第2環状部材を第1環状部材に対して360゜よりも大きい回転角回転させると、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が阻止されるように構成されたことを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、レンズ鏡筒に取付可能な第1環状部材(2)と、この第1環状部材に対して回転可能に連結された、レンズフィルターを取付可能な第2環状部材(4)と、を有するフィルターアダプタ(1)において、第2環状部材を第1環状部材に対して360゜よりも大きい回転角回転させると、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が阻止されるように構成されたことを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回り止め機構、及びそれを備えたフィルターアダプタ、レンズフィルター、レンズユニット、に係わる。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の撮像レンズに取付ける偏光フィルターやクロスフィルター等のレンズフィルターは、レンズ鏡筒に螺合させることによってレンズに取付け、撮影時にフィルターを所望の方向に回転させて使用する。このようなレンズフィルターは、一般に、レンズ鏡筒に螺合させるようになった第1の環状部材と、この第1の環状部材に回転可能に連結され、フィルターグラスが取付けられた第2の環状部材とを有する。また、第1の環状部材と第2の環状部材との間の相対的な回転には回り止めがなく、第2の環状部材は第1の環状部材に対して何回転でも回転させることができる。
【0003】
一方、特許文献1には、フィルタ操作機構付カメラ及びレンズが記載されている。このフィルタ操作機構によれば、レンズにレンズフードを付けた状態においても、レンズ鏡筒の先端に取付けたレンズフィルタを回転させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−343678号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような回転式のレンズフィルターをレンズ鏡筒に取付ける場合、レンズフィルターをレンズ鏡筒にしっかりと螺合させなければ、フィルターを回転させる際にレンズフィルターがレンズ鏡筒から脱落するという事故のもとになる。しかしながら、レンズフィルターをレンズ鏡筒に螺合させる力が強すぎると、フィルターを使用し終わった後でレンズフィルターがレンズ鏡筒から外せなくなるという故障の原因となる。実際、このような故障によって、カメラや交換レンズがカメラメーカーや販売店に持ち込まれることも多い。特に、レンズフィルターは一般に薄型の円盤状であり、レンズフィルターをレンズ鏡筒から外すためには、レンズフィルターを構成する2つの環状部材のうちのレンズ鏡筒に螺合されている方の環状部材に回転力を加えなければならないので、非常に力を加えにくいという問題がある。
【0006】
このような問題は、レンズフィルターを構成する2つの環状部材の間の相対的な回転を制限する機構を設けることによって解決することができる。即ち、2つの環状部材の間の相対的な回転が阻止されれば、2つの環状部材の両方に力を加えることができるからである。しかしながら、単純に、2つの環状部材の円周上に回転を阻止するための突起等を設けたとすると、2つの環状部材の間の相対的な回転は360゜以下に制限されてしまうので、レンズフィルターの操作性が悪くなるという問題がある。
【0007】
また、一般に、回転式のレンズフィルターは、レンズ鏡筒にレンズフードを装着すると、レンズフードが邪魔になってフィルターを回転操作することができないという問題がある。
【0008】
従って、本発明は、レンズ鏡筒から容易に取り外すことができるフィルターアダプタ、及びレンズフィルターを提供することを目的としている。
また、本発明は、取付けたフィルターを回転させることができ、フィルターを容易に取り外すことができるレンズユニットを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、360゜よりも大きな角度回転させることができる、回り止め機構を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、レンズ鏡筒に取付可能な第1環状部材と、この第1環状部材に対して回転可能に連結された、レンズフィルターを取付可能な第2環状部材と、を有するフィルターアダプタにおいて、第2環状部材を第1環状部材に対して360゜よりも大きい回転角で回転させると、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が阻止されるように構成されたことを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明のフィルターアダプタにおいては、第1環状部材をレンズ鏡筒に取付け、レンズフィルターを第2環状部材に取付ける。この状態で、第2環状部材を第1環状部材に対して回転させることによって、レンズフィルターをレンズ鏡筒に対して回転させる。
【0011】
このように構成された本発明のフィルターアダプタによれば、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が阻止されるので、フィルターアダプタに取付けたレンズフィルター、及び、レンズ鏡筒に取付けたフィルターアダプタを容易に取り外すことができる。また、第2環状部材を第1環状部材に対して360゜よりも大きい回転角回転させることができるので、レンズフィルターを回転させる操作性が損なわれることがない。
【0012】
また、本発明のフィルターアダプタは、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか一方に取付けるようになった、円周上に係合突起を備えた第1環状部材と、第1環状部材に対して回転可能に連結され、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか他方に取付けるようになった第2環状部材と、第2環状部材の円周上に支持され、第1位置と第2位置との間で移動可能な少なくとも1つの移動係合部材と、を有し、移動係合部材が第1位置にあり、係合突起を第1の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起と移動係合部材が係合して第1環状部材に対する第2環状部材の回転が阻止され、移動係合部材が第2位置にあり、係合突起を第1の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起の通過が許容され、移動係合部材は第1位置に移動され、移動係合部材が第2位置にあり、係合突起を第2の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起と移動係合部材が係合して第1環状部材に対する第2環状部材の回転が阻止され、移動係合部材が第1位置にあり、係合突起を第2の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起の通過が許容され、移動係合部材は第2位置に移動されることを特徴としている。
【0013】
このように構成された本発明においては、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか一方に取付けるようになった第2環状部材は第1位置及び第2位置をとることができる移動係合部材を支持しており、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか他方に取付けるようになった第1環状部材は係合突起を有している。係合突起及び移動係合部材は、夫々、第1環状部材、第2環状部材の円周上に配置されているので、第1環状部材と第2環状部材が相対的に回転すると、移動係合部材と係合突起が円周上で対峙する。移動係合部材が第1位置にあり、係合突起が第1の方向に移動しながら移動係合部材と出会うと、係合突起の移動は移動係合部材によって阻止される。移動係合部材が第2位置にあり、係合突起が第1の方向に移動しながら移動係合部材と出会った場合には、係合突起は移動係合部材を通過することができ、また、この際、移動係合部材が第1位置に移動される。従って、移動係合部材を通過した係合突起がさらに第1の方向に移動して再び移動係合部材に出会うと、今度は、移動係合部材が第1位置にあるので、係合突起の移動は阻止される。結局、第2環状部材は第1環状部材に対して第1の方向に360゜よりも大きい角度回転した後、回転が阻止される。同様に、第2環状部材は第1環状部材に対して、第2の方向にも360゜よりも大きい角度回転した後、回転が阻止される。
【0014】
さらに、移動係合部材を、第2環状部材の円周上に設けられた支軸を中心に回動可能に支持し、第1位置は、移動係合部材の回動可能範囲の一方の終点であり、第2位置は、移動係合部材の回動可能範囲の他方の終点であるのが良い。
【0015】
このように構成された本発明においては、移動係合部材は、支軸を中心に回動することによって第1位置及び第2位置をとり、第2環状部材の所定方向の回転を、阻止したり、許容したりする。
【0016】
また、移動係合部材は、第1位置又は第2位置から偶発的に移動することがないように、移動止め機構を有しているのが良い。
このように構成された本発明においては、フィルターアダプタの作動をより確実にすることができる。
【0017】
さらに、第1環状部材又は第2環状部材のうちの、レンズフィルターを取付ける方の環状部材に、レンズフードを取付けるフード取付け部を形成することができる。
【0018】
このように構成された本発明においては、バヨネット式等の、回転させることによって取付けるレンズフードを容易に取付け、取り外しすることができる。また、この構成は、レンズフード収納時に、レンズフードをレンズ鏡筒に向けて取付けたときに特に有用である。
【0019】
また、上述した本発明のフィルターアダプタをフィルターと一体に構成して、レンズフィルターを構成することができる。さらに、本発明のフィルターアダプタをレンズ鏡筒と一体に構成して、フィルター回転機構が付いたレンズユニットを構成することもできる。また、本発明のフィルターアダプタの機構を、任意の機器の回り止め機構として利用することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるフィルターアダプタを説明する。図1は本発明の実施形態によるフィルターアダプタの全断面を示し、図2は図1のII−II断面を示し、図3は図2のIII−III断面を示し、図4は図2のIV−IV断面を示す。
【0021】
図1乃至4に示すように、本実施形態のフィルターアダプタ1は、レンズ鏡筒(図示せず)に取付けることができるようになった第1環状部材2と、この第1環状部材2に回転可能に連結された第2環状部材4と、を有する。本実施形態においては、第2環状部材4は、フィルターを取付けるようになった外リング部材6と、第1環状部材2の内側に嵌まり込む内リング部材8から構成されている。
【0022】
また、内リング部材8には、第1環状部材2と第2環状部材4とを連結するための3枚のプレート10が、夫々2本のビス12によって固定されている。さらに、内リング部材8の円周上には、内リング部材8の中心軸線と平行な方向に延びる支軸16と、支軸16によって回動可能に支持されたプレート状の移動係合部材14が取付けられている。また、内リング部材8の円周上には、移動係合部材14を適所に位置決めするために支軸16の両側に配置されたボール18、及びボールを移動係合部材14に押付けるスプリング20が組み込まれている。
【0023】
図4に示すように、第1環状部材2の端部の外周には、レンズ鏡筒(図示せず)と螺合させるための雄ネジ2aが形成されている。さらに、第1環状部材2の内周には、3枚のプレート10を受け入れるための円周方向の溝2bが形成されている。また内リング部材8には、プレート10を通すための円周方向スリット8aが、内リング部材8の円周上の3箇所に、等間隔に形成されている。第1環状部材2を内リング部材8の外側に被せた後、プレート10が円周方向スリット8aを通って溝2bに受け入れられるようにプレート10を位置決めし、ビス12によって内リング部材8に固定する。これにより、第1環状部材2と内リング部材8が回転可能に連結される。外リング部材6が、内リング部材8の外側に被せられ、外リング部材6と内リング部材8が3本のビス(図示せず)によって固定される。適用によっては、外リング部材6と内リング部材8を一体に成形しても良い。また、外リング部材6の端部の外周には、レンズフードを着脱可能に取付けるためのフード取付け部であるバヨネット用の突起6aが円周方向に形成されている。また、外リング部材6の端部の内周には、レンズフィルタを螺合させるための雌ネジ6bが形成されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、内リング部材8には、プレート状の移動係合部材14を中に配置するためのスリット8bが形成されている。移動係合部材14は、概ね長方形のプレート状であり、その中央には支軸16を受け入れるための穴が設けられ、その両端部14a、14bは内リング部材8の半径方向外方に向って張り出している。また、移動係合部材14は、スリット8bの中で、支軸16を中心に回動することができるように支持されている。移動係合部材14は、移動係合部材14の一方の端部14aが外リング部材6に当接する第1位置から、移動係合部材14の他方の端部14bが外リング部材6に当接する第2位置まで、支軸16を中心に回動することができる。内リング部材8の支軸16の両側には、スリット8bと連通するように、内リング部材8の中心軸線と平行な方向の丸穴8cが夫々形成されている(図3に1つだけ図示)。各丸穴8cの中には、ボール18及びスプリング20が配置され、ボール18はスプリング20によって移動係合部材14に押付けられている。移動係合部材14の両端の部分には、ボール18を受け入れるための穴14c、14dが夫々形成されている。穴14dは、移動係合部材14が第1位置にあるとき、ボール18が落ち込むように位置決めされ、穴14cは、移動係合部材14が第2位置にあるとき、ボール18が落ち込むように位置決めされている。ボール18、スプリング20及び穴14c、14dは、移動係合部材14の移動止め機構を構成する。この移動止め機構により、第1位置又は第2位置にある移動係合部材14が偶発的に移動してしまうのを防止する。
【0025】
図2に示すように、第1環状部材2の円周上には、第1位置又は第2位置にある移動係合部材14と係合する係合突起22が、第1環状部材の中心軸線と平行な方向に延びるように形成されている。係合突起22及び移動係合部材14の形状は、移動係合部材14が第1位置にあり、第1環状部材2と第2環状部材4が相対的に回転して、係合突起22が第1の方向に移動係合部材14に近づいたとき、即ち、端部14aの側から移動係合部材14に近づいたとき、係合突起22と端部14aが係合して第1環状部材2と第2環状部材4の回転を阻止するような形状にされている。また、係合突起22及び移動係合部材14の形状は、移動係合部材14が第1位置にあり、係合突起22が第2の方向に移動係合部材14に近づいたとき、即ち、端部14bの側から移動係合部材14に近づいたとき、係合突起22が移動係合部材14を押して第2位置に移動させながら、移動係合部材14を通過することができるような形状にされている。さらに、移動係合部材14が第2位置にある場合にも同様に作用するように、係合突起22及び移動係合部材14の形状は左右対称になっている。
【0026】
次に、図5を参照して、本発明の実施形態によるフィルターアダプタ1の作用を説明する。
まず、第1環状部材2に形成された雄ネジ2aをレンズ鏡筒(図示せず)に螺合させることによって、本実施形態のフィルターアダプタ1をレンズ鏡筒に取付ける。次いで、第2環状部材4の外リング部材6に形成された雌ネジ6bに、偏光フィルター等のレンズフィルター(図示せず)を螺合させる。さらに、必要に応じて、外リング部材6のバヨネット用の突起6aにレンズフード(図示せず)を取付ける。
【0027】
次に、第2環状部材4又は取付けたレンズフード(図示せず)に回転力を加えることによって、必要に応じて第1環状部材2と第2環状部材4を相対的に回転させ、レンズフィルターを回転させる。ここで、図5に示すように、例えば、移動係合部材14が実線で示す第1位置にあり、第1環状部材2と第2環状部材4を相対的に回転させて、係合突起22を図中の矢印Aの方向に移動させた場合について説明する。移動係合部材14の第1位置では、移動係合部材14に押付けられている一方のボール18が移動係合部材14に設けられた穴14dに落ち込み、他方のボール18は移動係合部材14に設けられたもう一つの穴14cの外に位置している。
【0028】
この状態から、係合突起22を矢印Aの方向に移動させたとすると、係合突起22がほぼ1周移動して破線で示す22’の位置に来るまでは、係合突起22を当然、移動させることができる。さらに、移動係合部材14は実線で示す第1位置にあるので、係合突起22は、破線で示す22’’の位置まで移動させることができる。係合突起22をさらに矢印Aの方向に移動させると、係合突起22が移動係合部材14を押して、移動係合部材14を回動させ、移動係合部材14を破線で示す第2位置に移動させる。このとき、移動係合部材14の穴14dに落とし込まれていたボール18は穴14dの外に出て、一方、穴14cの外に位置していた方のボール18は穴14cの中に落ち込む。移動係合部材14が破線で示す第2位置に移動したので、係合突起22はさらに矢印Aの方向に移動することができる。係合突起22が、さらに矢印Aの方向にほぼ1周移動して、係合突起22が22’の位置まで移動すると、今度は、移動係合部材14は破線で示す第2位置にあるので、係合突起22は移動係合部材14によって移動を阻止される。このため、これ以上、矢印Aの方向に第1環状部材2と第2環状部材4を相対的に回転させることはできない。結局、係合突起22は、初期位置から矢印Aの方向に約2周移動することができ、これにより、第1環状部材2と第2環状部材4は初期位置から相対的に約2回転した位置で回転を阻止される。
【0029】
同様に、移動係合部材14が破線で示す第2位置にあり、係合突起22が22’の位置にある状態から、矢印Bの方向に係合突起22を移動させた場合には、係合突起22は、約2周移動した後、第1位置にある移動係合部材14によって移動を阻止される。
【0030】
最後に、装着したレンズフィルター(図示せず)をフィルターアダプタ1から取り外すときは、フィルターアダプタ1の第2環状部材4と螺合しているレンズフィルターに、単に回転力を加えるだけで良い。即ち、レンズフィルターを回転させ始めたときは、フィルターアダプタ1の第2環状部材4はレンズフィルターと共に回転してしまうが、第2環状部材4が所定の位置まで回転されると、第2環状部材4の第1環状部材2に対する回転が阻止され、レンズフィルターに加えられている回転力がレンズフィルターとフィルターアダプタ1との螺合を緩める力として利用されるようになり、レンズフィルターをフィルターアダプタ1から容易に取り外すことができる。同様に、フィルターアダプタ1を、フィルターアダプタ1の第1環状部材2と螺合しているレンズ鏡筒(図示せず)から取り外す場合も、フィルターアダプタ1の第2環状部材4、又は第2環状部材4に取付けられているレンズフード(図示せず)に単に回転力を加えるだけで良い。
【0031】
本発明の実施形態のフィルターアダプタによれば、レンズフィルターを360゜よりも大きい角度回転させることができるので、フィルターの操作性が良い。
また、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が所定位置で阻止されるので、螺合されているレンズフィルターを容易に取り外すことができる。さらに、本発明の実施形態のフィルターアダプタによれば、第2環状部材の回転が阻止されるので、レンズフードの収納時にレンズフードをレンズ鏡筒の方に向けて取付け、フィルターアダプタがレンズフードによってほぼ完全に覆われてしまう場合にも、レンズフードをフィルターアダプタに容易に着脱することができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述したフィルターアダプタと、偏光フィルター等、回転させることが必要なフィルターを一体にして、レンズフィルターを構成することができる。あるいは、上述したフィルターアダプタとレンズ鏡筒を一体にしてフィルタ回転機構を有するレンズユニットを構成することもできる。さらに、上述したフィルターアダプタの機構を、レンズユニットのズームリング、フォーカスリング等、任意の機器の回り止め機構として応用することができる。
【0033】
また、上述した実施形態においては、レンズフィルターが取付けられた方の環状部材に移動係合部材が取付けられ、レンズ鏡筒に取付けられる方の環状部材に係合突起が形成されていたが、移動係合部材と係合突起の関係を逆にすることもできる。さらに、上述した実施形態においては、係合突起は、移動係合部材に対して環状部材の半径方向外側に位置しているが、係合突起が移動係合部材よりも半径方向内側に位置するような構成をとることもできる。
【0034】
さらに、上述した実施形態においては、移動係合部材は環状部材の円周上に1つだけ配置されているが、移動係合部材を環状部材の円周上に複数配置することもできる。図6を参照して、このように構成された、本発明の実施形態によるフィルターアダプタの変形例を説明する。図6に示す変形例においては、2つの移動係合部材14、14’が、第2環状部材4の円周上に夫々配置されている点が上述した実施形態とは異なる。まず、2つの移動係合部材14、14’が、図6の実線に示す第1位置にある状態において、矢印Cの方向に係合突起22を移動させると、係合突起22は、1回転移動して元の位置に戻ることができる。係合突起22が1回転移動して元の位置に戻った状態では、2つの移動係合部材14、14’は、夫々破線で示す第2位置に移動している。この状態から、さらに矢印Cの方向に係合突起22を移動させると、係合突起22は、破線で示す22’の位置で移動係合部材14’によって回転が阻止される。従って、係合突起22を、初期位置から1回転させた後、図6の22’の位置まで移動させることができる。図6に示す変形例によれば、2つの環状部材の相対的な回転可能範囲を、2つの移動係合部材14、14’の配置により任意に設定することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、レンズ鏡筒から容易に取り外すことができるフィルターアダプタ、及びレンズフィルターを得ることができる。
また、本発明によれば、取付けたフィルターを回転させることができ、容易に取り外すことができるレンズユニットを得ることができる。
さらに、本発明によれば、360゜よりも大きい角度回転させることができる、回り止め機構を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるフィルターアダプタの全断面図である。
【図2】図1に示すフィルターアダプタのII−II断面図を示す。
【図3】図2に示すフィルターアダプタのIII−III断面図を示す。
【図4】図2に示すフィルターアダプタのIV−IV断面図を示す。
【図5】本発明の実施形態によるフィルターアダプタの作用を示す図である。
【図6】本発明の実施形態によるフィルターアダプタの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 本発明の実施形態によるフィルターアダプタ
2 第1環状部材
4 第2環状部材
6 外リング部材
8 内リング部材
10 プレート
12 ビス
14 移動係合部材
16 支軸
18 ボール
20 スプリング
22 係合突起
【発明の属する技術分野】
本発明は、回り止め機構、及びそれを備えたフィルターアダプタ、レンズフィルター、レンズユニット、に係わる。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の撮像レンズに取付ける偏光フィルターやクロスフィルター等のレンズフィルターは、レンズ鏡筒に螺合させることによってレンズに取付け、撮影時にフィルターを所望の方向に回転させて使用する。このようなレンズフィルターは、一般に、レンズ鏡筒に螺合させるようになった第1の環状部材と、この第1の環状部材に回転可能に連結され、フィルターグラスが取付けられた第2の環状部材とを有する。また、第1の環状部材と第2の環状部材との間の相対的な回転には回り止めがなく、第2の環状部材は第1の環状部材に対して何回転でも回転させることができる。
【0003】
一方、特許文献1には、フィルタ操作機構付カメラ及びレンズが記載されている。このフィルタ操作機構によれば、レンズにレンズフードを付けた状態においても、レンズ鏡筒の先端に取付けたレンズフィルタを回転させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−343678号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような回転式のレンズフィルターをレンズ鏡筒に取付ける場合、レンズフィルターをレンズ鏡筒にしっかりと螺合させなければ、フィルターを回転させる際にレンズフィルターがレンズ鏡筒から脱落するという事故のもとになる。しかしながら、レンズフィルターをレンズ鏡筒に螺合させる力が強すぎると、フィルターを使用し終わった後でレンズフィルターがレンズ鏡筒から外せなくなるという故障の原因となる。実際、このような故障によって、カメラや交換レンズがカメラメーカーや販売店に持ち込まれることも多い。特に、レンズフィルターは一般に薄型の円盤状であり、レンズフィルターをレンズ鏡筒から外すためには、レンズフィルターを構成する2つの環状部材のうちのレンズ鏡筒に螺合されている方の環状部材に回転力を加えなければならないので、非常に力を加えにくいという問題がある。
【0006】
このような問題は、レンズフィルターを構成する2つの環状部材の間の相対的な回転を制限する機構を設けることによって解決することができる。即ち、2つの環状部材の間の相対的な回転が阻止されれば、2つの環状部材の両方に力を加えることができるからである。しかしながら、単純に、2つの環状部材の円周上に回転を阻止するための突起等を設けたとすると、2つの環状部材の間の相対的な回転は360゜以下に制限されてしまうので、レンズフィルターの操作性が悪くなるという問題がある。
【0007】
また、一般に、回転式のレンズフィルターは、レンズ鏡筒にレンズフードを装着すると、レンズフードが邪魔になってフィルターを回転操作することができないという問題がある。
【0008】
従って、本発明は、レンズ鏡筒から容易に取り外すことができるフィルターアダプタ、及びレンズフィルターを提供することを目的としている。
また、本発明は、取付けたフィルターを回転させることができ、フィルターを容易に取り外すことができるレンズユニットを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、360゜よりも大きな角度回転させることができる、回り止め機構を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、レンズ鏡筒に取付可能な第1環状部材と、この第1環状部材に対して回転可能に連結された、レンズフィルターを取付可能な第2環状部材と、を有するフィルターアダプタにおいて、第2環状部材を第1環状部材に対して360゜よりも大きい回転角で回転させると、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が阻止されるように構成されたことを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明のフィルターアダプタにおいては、第1環状部材をレンズ鏡筒に取付け、レンズフィルターを第2環状部材に取付ける。この状態で、第2環状部材を第1環状部材に対して回転させることによって、レンズフィルターをレンズ鏡筒に対して回転させる。
【0011】
このように構成された本発明のフィルターアダプタによれば、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が阻止されるので、フィルターアダプタに取付けたレンズフィルター、及び、レンズ鏡筒に取付けたフィルターアダプタを容易に取り外すことができる。また、第2環状部材を第1環状部材に対して360゜よりも大きい回転角回転させることができるので、レンズフィルターを回転させる操作性が損なわれることがない。
【0012】
また、本発明のフィルターアダプタは、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか一方に取付けるようになった、円周上に係合突起を備えた第1環状部材と、第1環状部材に対して回転可能に連結され、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか他方に取付けるようになった第2環状部材と、第2環状部材の円周上に支持され、第1位置と第2位置との間で移動可能な少なくとも1つの移動係合部材と、を有し、移動係合部材が第1位置にあり、係合突起を第1の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起と移動係合部材が係合して第1環状部材に対する第2環状部材の回転が阻止され、移動係合部材が第2位置にあり、係合突起を第1の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起の通過が許容され、移動係合部材は第1位置に移動され、移動係合部材が第2位置にあり、係合突起を第2の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起と移動係合部材が係合して第1環状部材に対する第2環状部材の回転が阻止され、移動係合部材が第1位置にあり、係合突起を第2の方向に、移動係合部材を通過させようとする場合には、係合突起の通過が許容され、移動係合部材は第2位置に移動されることを特徴としている。
【0013】
このように構成された本発明においては、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか一方に取付けるようになった第2環状部材は第1位置及び第2位置をとることができる移動係合部材を支持しており、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか他方に取付けるようになった第1環状部材は係合突起を有している。係合突起及び移動係合部材は、夫々、第1環状部材、第2環状部材の円周上に配置されているので、第1環状部材と第2環状部材が相対的に回転すると、移動係合部材と係合突起が円周上で対峙する。移動係合部材が第1位置にあり、係合突起が第1の方向に移動しながら移動係合部材と出会うと、係合突起の移動は移動係合部材によって阻止される。移動係合部材が第2位置にあり、係合突起が第1の方向に移動しながら移動係合部材と出会った場合には、係合突起は移動係合部材を通過することができ、また、この際、移動係合部材が第1位置に移動される。従って、移動係合部材を通過した係合突起がさらに第1の方向に移動して再び移動係合部材に出会うと、今度は、移動係合部材が第1位置にあるので、係合突起の移動は阻止される。結局、第2環状部材は第1環状部材に対して第1の方向に360゜よりも大きい角度回転した後、回転が阻止される。同様に、第2環状部材は第1環状部材に対して、第2の方向にも360゜よりも大きい角度回転した後、回転が阻止される。
【0014】
さらに、移動係合部材を、第2環状部材の円周上に設けられた支軸を中心に回動可能に支持し、第1位置は、移動係合部材の回動可能範囲の一方の終点であり、第2位置は、移動係合部材の回動可能範囲の他方の終点であるのが良い。
【0015】
このように構成された本発明においては、移動係合部材は、支軸を中心に回動することによって第1位置及び第2位置をとり、第2環状部材の所定方向の回転を、阻止したり、許容したりする。
【0016】
また、移動係合部材は、第1位置又は第2位置から偶発的に移動することがないように、移動止め機構を有しているのが良い。
このように構成された本発明においては、フィルターアダプタの作動をより確実にすることができる。
【0017】
さらに、第1環状部材又は第2環状部材のうちの、レンズフィルターを取付ける方の環状部材に、レンズフードを取付けるフード取付け部を形成することができる。
【0018】
このように構成された本発明においては、バヨネット式等の、回転させることによって取付けるレンズフードを容易に取付け、取り外しすることができる。また、この構成は、レンズフード収納時に、レンズフードをレンズ鏡筒に向けて取付けたときに特に有用である。
【0019】
また、上述した本発明のフィルターアダプタをフィルターと一体に構成して、レンズフィルターを構成することができる。さらに、本発明のフィルターアダプタをレンズ鏡筒と一体に構成して、フィルター回転機構が付いたレンズユニットを構成することもできる。また、本発明のフィルターアダプタの機構を、任意の機器の回り止め機構として利用することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるフィルターアダプタを説明する。図1は本発明の実施形態によるフィルターアダプタの全断面を示し、図2は図1のII−II断面を示し、図3は図2のIII−III断面を示し、図4は図2のIV−IV断面を示す。
【0021】
図1乃至4に示すように、本実施形態のフィルターアダプタ1は、レンズ鏡筒(図示せず)に取付けることができるようになった第1環状部材2と、この第1環状部材2に回転可能に連結された第2環状部材4と、を有する。本実施形態においては、第2環状部材4は、フィルターを取付けるようになった外リング部材6と、第1環状部材2の内側に嵌まり込む内リング部材8から構成されている。
【0022】
また、内リング部材8には、第1環状部材2と第2環状部材4とを連結するための3枚のプレート10が、夫々2本のビス12によって固定されている。さらに、内リング部材8の円周上には、内リング部材8の中心軸線と平行な方向に延びる支軸16と、支軸16によって回動可能に支持されたプレート状の移動係合部材14が取付けられている。また、内リング部材8の円周上には、移動係合部材14を適所に位置決めするために支軸16の両側に配置されたボール18、及びボールを移動係合部材14に押付けるスプリング20が組み込まれている。
【0023】
図4に示すように、第1環状部材2の端部の外周には、レンズ鏡筒(図示せず)と螺合させるための雄ネジ2aが形成されている。さらに、第1環状部材2の内周には、3枚のプレート10を受け入れるための円周方向の溝2bが形成されている。また内リング部材8には、プレート10を通すための円周方向スリット8aが、内リング部材8の円周上の3箇所に、等間隔に形成されている。第1環状部材2を内リング部材8の外側に被せた後、プレート10が円周方向スリット8aを通って溝2bに受け入れられるようにプレート10を位置決めし、ビス12によって内リング部材8に固定する。これにより、第1環状部材2と内リング部材8が回転可能に連結される。外リング部材6が、内リング部材8の外側に被せられ、外リング部材6と内リング部材8が3本のビス(図示せず)によって固定される。適用によっては、外リング部材6と内リング部材8を一体に成形しても良い。また、外リング部材6の端部の外周には、レンズフードを着脱可能に取付けるためのフード取付け部であるバヨネット用の突起6aが円周方向に形成されている。また、外リング部材6の端部の内周には、レンズフィルタを螺合させるための雌ネジ6bが形成されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、内リング部材8には、プレート状の移動係合部材14を中に配置するためのスリット8bが形成されている。移動係合部材14は、概ね長方形のプレート状であり、その中央には支軸16を受け入れるための穴が設けられ、その両端部14a、14bは内リング部材8の半径方向外方に向って張り出している。また、移動係合部材14は、スリット8bの中で、支軸16を中心に回動することができるように支持されている。移動係合部材14は、移動係合部材14の一方の端部14aが外リング部材6に当接する第1位置から、移動係合部材14の他方の端部14bが外リング部材6に当接する第2位置まで、支軸16を中心に回動することができる。内リング部材8の支軸16の両側には、スリット8bと連通するように、内リング部材8の中心軸線と平行な方向の丸穴8cが夫々形成されている(図3に1つだけ図示)。各丸穴8cの中には、ボール18及びスプリング20が配置され、ボール18はスプリング20によって移動係合部材14に押付けられている。移動係合部材14の両端の部分には、ボール18を受け入れるための穴14c、14dが夫々形成されている。穴14dは、移動係合部材14が第1位置にあるとき、ボール18が落ち込むように位置決めされ、穴14cは、移動係合部材14が第2位置にあるとき、ボール18が落ち込むように位置決めされている。ボール18、スプリング20及び穴14c、14dは、移動係合部材14の移動止め機構を構成する。この移動止め機構により、第1位置又は第2位置にある移動係合部材14が偶発的に移動してしまうのを防止する。
【0025】
図2に示すように、第1環状部材2の円周上には、第1位置又は第2位置にある移動係合部材14と係合する係合突起22が、第1環状部材の中心軸線と平行な方向に延びるように形成されている。係合突起22及び移動係合部材14の形状は、移動係合部材14が第1位置にあり、第1環状部材2と第2環状部材4が相対的に回転して、係合突起22が第1の方向に移動係合部材14に近づいたとき、即ち、端部14aの側から移動係合部材14に近づいたとき、係合突起22と端部14aが係合して第1環状部材2と第2環状部材4の回転を阻止するような形状にされている。また、係合突起22及び移動係合部材14の形状は、移動係合部材14が第1位置にあり、係合突起22が第2の方向に移動係合部材14に近づいたとき、即ち、端部14bの側から移動係合部材14に近づいたとき、係合突起22が移動係合部材14を押して第2位置に移動させながら、移動係合部材14を通過することができるような形状にされている。さらに、移動係合部材14が第2位置にある場合にも同様に作用するように、係合突起22及び移動係合部材14の形状は左右対称になっている。
【0026】
次に、図5を参照して、本発明の実施形態によるフィルターアダプタ1の作用を説明する。
まず、第1環状部材2に形成された雄ネジ2aをレンズ鏡筒(図示せず)に螺合させることによって、本実施形態のフィルターアダプタ1をレンズ鏡筒に取付ける。次いで、第2環状部材4の外リング部材6に形成された雌ネジ6bに、偏光フィルター等のレンズフィルター(図示せず)を螺合させる。さらに、必要に応じて、外リング部材6のバヨネット用の突起6aにレンズフード(図示せず)を取付ける。
【0027】
次に、第2環状部材4又は取付けたレンズフード(図示せず)に回転力を加えることによって、必要に応じて第1環状部材2と第2環状部材4を相対的に回転させ、レンズフィルターを回転させる。ここで、図5に示すように、例えば、移動係合部材14が実線で示す第1位置にあり、第1環状部材2と第2環状部材4を相対的に回転させて、係合突起22を図中の矢印Aの方向に移動させた場合について説明する。移動係合部材14の第1位置では、移動係合部材14に押付けられている一方のボール18が移動係合部材14に設けられた穴14dに落ち込み、他方のボール18は移動係合部材14に設けられたもう一つの穴14cの外に位置している。
【0028】
この状態から、係合突起22を矢印Aの方向に移動させたとすると、係合突起22がほぼ1周移動して破線で示す22’の位置に来るまでは、係合突起22を当然、移動させることができる。さらに、移動係合部材14は実線で示す第1位置にあるので、係合突起22は、破線で示す22’’の位置まで移動させることができる。係合突起22をさらに矢印Aの方向に移動させると、係合突起22が移動係合部材14を押して、移動係合部材14を回動させ、移動係合部材14を破線で示す第2位置に移動させる。このとき、移動係合部材14の穴14dに落とし込まれていたボール18は穴14dの外に出て、一方、穴14cの外に位置していた方のボール18は穴14cの中に落ち込む。移動係合部材14が破線で示す第2位置に移動したので、係合突起22はさらに矢印Aの方向に移動することができる。係合突起22が、さらに矢印Aの方向にほぼ1周移動して、係合突起22が22’の位置まで移動すると、今度は、移動係合部材14は破線で示す第2位置にあるので、係合突起22は移動係合部材14によって移動を阻止される。このため、これ以上、矢印Aの方向に第1環状部材2と第2環状部材4を相対的に回転させることはできない。結局、係合突起22は、初期位置から矢印Aの方向に約2周移動することができ、これにより、第1環状部材2と第2環状部材4は初期位置から相対的に約2回転した位置で回転を阻止される。
【0029】
同様に、移動係合部材14が破線で示す第2位置にあり、係合突起22が22’の位置にある状態から、矢印Bの方向に係合突起22を移動させた場合には、係合突起22は、約2周移動した後、第1位置にある移動係合部材14によって移動を阻止される。
【0030】
最後に、装着したレンズフィルター(図示せず)をフィルターアダプタ1から取り外すときは、フィルターアダプタ1の第2環状部材4と螺合しているレンズフィルターに、単に回転力を加えるだけで良い。即ち、レンズフィルターを回転させ始めたときは、フィルターアダプタ1の第2環状部材4はレンズフィルターと共に回転してしまうが、第2環状部材4が所定の位置まで回転されると、第2環状部材4の第1環状部材2に対する回転が阻止され、レンズフィルターに加えられている回転力がレンズフィルターとフィルターアダプタ1との螺合を緩める力として利用されるようになり、レンズフィルターをフィルターアダプタ1から容易に取り外すことができる。同様に、フィルターアダプタ1を、フィルターアダプタ1の第1環状部材2と螺合しているレンズ鏡筒(図示せず)から取り外す場合も、フィルターアダプタ1の第2環状部材4、又は第2環状部材4に取付けられているレンズフード(図示せず)に単に回転力を加えるだけで良い。
【0031】
本発明の実施形態のフィルターアダプタによれば、レンズフィルターを360゜よりも大きい角度回転させることができるので、フィルターの操作性が良い。
また、第2環状部材の第1環状部材に対する回転が所定位置で阻止されるので、螺合されているレンズフィルターを容易に取り外すことができる。さらに、本発明の実施形態のフィルターアダプタによれば、第2環状部材の回転が阻止されるので、レンズフードの収納時にレンズフードをレンズ鏡筒の方に向けて取付け、フィルターアダプタがレンズフードによってほぼ完全に覆われてしまう場合にも、レンズフードをフィルターアダプタに容易に着脱することができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述したフィルターアダプタと、偏光フィルター等、回転させることが必要なフィルターを一体にして、レンズフィルターを構成することができる。あるいは、上述したフィルターアダプタとレンズ鏡筒を一体にしてフィルタ回転機構を有するレンズユニットを構成することもできる。さらに、上述したフィルターアダプタの機構を、レンズユニットのズームリング、フォーカスリング等、任意の機器の回り止め機構として応用することができる。
【0033】
また、上述した実施形態においては、レンズフィルターが取付けられた方の環状部材に移動係合部材が取付けられ、レンズ鏡筒に取付けられる方の環状部材に係合突起が形成されていたが、移動係合部材と係合突起の関係を逆にすることもできる。さらに、上述した実施形態においては、係合突起は、移動係合部材に対して環状部材の半径方向外側に位置しているが、係合突起が移動係合部材よりも半径方向内側に位置するような構成をとることもできる。
【0034】
さらに、上述した実施形態においては、移動係合部材は環状部材の円周上に1つだけ配置されているが、移動係合部材を環状部材の円周上に複数配置することもできる。図6を参照して、このように構成された、本発明の実施形態によるフィルターアダプタの変形例を説明する。図6に示す変形例においては、2つの移動係合部材14、14’が、第2環状部材4の円周上に夫々配置されている点が上述した実施形態とは異なる。まず、2つの移動係合部材14、14’が、図6の実線に示す第1位置にある状態において、矢印Cの方向に係合突起22を移動させると、係合突起22は、1回転移動して元の位置に戻ることができる。係合突起22が1回転移動して元の位置に戻った状態では、2つの移動係合部材14、14’は、夫々破線で示す第2位置に移動している。この状態から、さらに矢印Cの方向に係合突起22を移動させると、係合突起22は、破線で示す22’の位置で移動係合部材14’によって回転が阻止される。従って、係合突起22を、初期位置から1回転させた後、図6の22’の位置まで移動させることができる。図6に示す変形例によれば、2つの環状部材の相対的な回転可能範囲を、2つの移動係合部材14、14’の配置により任意に設定することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、レンズ鏡筒から容易に取り外すことができるフィルターアダプタ、及びレンズフィルターを得ることができる。
また、本発明によれば、取付けたフィルターを回転させることができ、容易に取り外すことができるレンズユニットを得ることができる。
さらに、本発明によれば、360゜よりも大きい角度回転させることができる、回り止め機構を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるフィルターアダプタの全断面図である。
【図2】図1に示すフィルターアダプタのII−II断面図を示す。
【図3】図2に示すフィルターアダプタのIII−III断面図を示す。
【図4】図2に示すフィルターアダプタのIV−IV断面図を示す。
【図5】本発明の実施形態によるフィルターアダプタの作用を示す図である。
【図6】本発明の実施形態によるフィルターアダプタの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 本発明の実施形態によるフィルターアダプタ
2 第1環状部材
4 第2環状部材
6 外リング部材
8 内リング部材
10 プレート
12 ビス
14 移動係合部材
16 支軸
18 ボール
20 スプリング
22 係合突起
Claims (8)
- レンズ鏡筒に取付可能な第1環状部材と、
この第1環状部材に対して回転可能に連結された、レンズフィルターを取付可能な第2環状部材と、を有するフィルターアダプタにおいて、
前記第2環状部材を前記第1環状部材に対して360゜よりも大きい回転角で回転させると、前記第2環状部材の前記第1環状部材に対する回転が阻止されるように構成されたことを特徴とするフィルターアダプタ。 - レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか一方に取付けるようになった、円周上に係合突起を備えた第1環状部材と、
前記第1環状部材に対して回転可能に連結され、レンズ鏡筒又はレンズフィルターの何れか他方に取付けるようになった第2環状部材と、
前記第2環状部材の円周上に支持され、第1位置と第2位置との間で移動可能な少なくとも1つの移動係合部材と、を有し、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を前記第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第1位置に移動され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を前記第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第2位置に移動されることを特徴とするフィルターアダプタ。 - 前記移動係合部材が、前記第2環状部材の円周上に設けられた支軸を中心に回動可能に支持され、前記第1位置は、前記移動係合部材の回動可能範囲の一方の終点であり、前記第2位置は、前記移動係合部材の回動可能範囲の他方の終点であることを特徴とする請求項2記載のフィルターアダプタ。
- 前記移動係合部材が、前記第1位置又は前記第2位置から偶発的に移動することがないように、移動止め機構を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のフィルターアダプタ。
- 前記第1環状部材又は前記第2環状部材のうちの、レンズフィルターを取付ける方の環状部材に、レンズフードを取付けるフード取付け部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のフィルターアダプタ。
- レンズ鏡筒に取付けるようになった第1環状部材と、
前記第1環状部材に対して回転可能に連結され、フィルターが取付けられた第2環状部材と、
前記第1環状部材又は前記第2環状部材の何れか一方の円周上に、第1位置と第2位置との間で移動可能に支持された少なくとも1つの移動係合部材と、
前記第1環状部材又は前記第2環状部材の何れか他方の円周上に設けられた係合突起と、を有し、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を前記第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第1位置に移動され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を前記第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第2位置に移動されることを特徴とするレンズフィルター。 - レンズ鏡筒と、
このレンズ鏡筒に対して回転可能に連結され、フィルターを取付けることができるようになった環状部材と、
前記レンズ鏡筒又は前記環状部材の何れか一方の円周上に、第1位置と第2位置との間で移動可能に支持された少なくとも1つの移動係合部材と、
前記レンズ鏡筒又は前記環状部材の何れか他方の円周上に設けられた係合突起と、を有し、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を前記第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第1位置に移動され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を前記第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第2位置に移動されることを特徴とするレンズユニット。 - 第1環状部材と、
前記第1環状部材に対して回転可能に連結された第2環状部材と、
前記第1環状部材又は前記第2環状部材の何れか一方の円周上に、第1位置と第2位置との間で移動可能に支持された少なくとも1つの移動係合部材と、
前記第1環状部材又は前記第2環状部材の何れか他方の円周上に設けられた係合突起と、を有し、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を前記第1の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第1位置に移動され、
前記移動係合部材が前記第2位置にあり、前記係合突起を第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起と前記移動係合部材が係合して前記第1環状部材に対する前記第2環状部材の回転が阻止され、
前記移動係合部材が前記第1位置にあり、前記係合突起を前記第2の方向に、前記移動係合部材を通過させようとする場合には、前記係合突起の通過が許容され、前記移動係合部材は前記第2位置に移動されることを特徴とする回り止め機構。
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- 2003-02-28 JP JP2003054220A patent/JP2004264535A/ja active Pending
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