JP2004263969A - 熱分解ガス化溶融システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス化炉、溶融炉および両者を結ぶ熱分解ガス流路における耐火材の溶損、熱分解ガス流路の流路閉塞が解消でき、補助燃料の使用量を最小限に抑える熱分解ガス化溶融システムを提供する。
【解決手段】一般ごみや産業廃棄物等を熱分解ガス化炉3で熱分解し、その熱分解ガス化炉3で生成した熱分解ガス及びチャーを溶融炉6で燃焼し、高温場を得てチャー中の灰を溶融する熱分解ガス化溶融システムにおいて、前記熱分解ガス化炉3と溶融炉6を接続して前記熱分解ガス及びチャーが流通する熱分解ガス流路5に補助燃料f,gを供給する補助燃料供給系統を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般ごみや産業廃棄物などを熱分解ガス化炉で熱分解し、そのガス化炉で生成した熱分解ガス及びチャーを溶融炉で燃焼し、高温場を得てチャー中の灰を溶融する熱分解ガス化溶融システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般ごみや産業廃棄物などを処理する従来の熱分解ガス化溶融システムを図4とともに説明する。同図において1は供給ホッパ、2は給じん装置、3は流動床式ガス化炉、4は散気管、5は熱分解ガス流路、6は溶融炉、7は2次燃焼室、8は廃熱ボイラ、9は減温装置、10は集塵装置、11は煙突、aは流動化空気、bは燃焼用空気、cはスラグ、dは飛灰、eは補助燃料である。
【0003】
燃料であるごみや廃棄物を流動床式ガス化炉3へ供給し、空気不足の状態で熱分解ガス化させ、生成した熱分解ガス及び未燃カーボンと灰を主成分とするチャーを溶融炉6で燃焼させることで、高温場を得てチャー中の灰を溶融スラグ化するものである。この過程でごみや廃棄物は減容化され、ダイオキシン類は高温場で完全に分解されて無害化される。
【0004】
熱分解ガス化溶融システムでは、ごみの処理量が少ない場合やごみの燃焼カロリーが低い場合には、溶融炉6に補助燃料eと燃焼用空気bを供給して溶融炉6内を灰の溶融温度以上に維持する必要がある。大抵の場合、燃料費の安い灯油や重油などの液体燃料が用いられるが、溶融炉6からの放熱損失を低減するために溶融炉6の容積を小さくしていた。
【0005】
そのため液体燃料の蒸発および燃焼完了に必要な時間が十分にとれず、溶融炉6の出口部や後段の機器である2次燃料室7で後燃えする場合がある。従って投入した燃料eが溶融炉6内で効率良く燃焼できず、入熱の全てが熱に変換されないため溶融炉6へ過剰の燃料eを投入することになり、燃料費が高くなるという問題がある。
【0006】
さらに補助燃料eは一般ごみや産業廃棄物を熱分解して得られる熱分解ガスよりも数倍高いカロリーを有するため、溶融炉6内で火炎を形成すると局部的に温度が高い領域ができ、溶融炉6の耐火材が溶損するという問題がある。
【0007】
これらの問題は、下記特許文献1に開示されているように、ガス化炉側に補助燃料を供給することで解決される。しかし、ガス化炉内には局部的に酸素濃度の高い領域が存在するため、前述のようにガス化炉側へ補助燃料を供給した場合、酸素濃度の高い領域に供給された補助燃料が燃焼し、局所的に温度が高い領域が形成される。これにより、耐熱温度が溶融炉よりも低い耐火材を施工しているガス化炉では耐火材の溶損度合いが大きい。
【0008】
ガス化炉内で局部的に酸素濃度の高い領域とは、例えば給じん系統や砂循環系統からの洩れ込み空気が流入する領域や、2次空気を供給する形式の炉における2次空気が供給された領域を指す。
【0009】
また補助燃料eの投入場所によっては、流路の狭いガス化路出口部に高温領域が形成され、当該部位へ溶融した灰が付着して固化しクリンカを形成するから、流路を閉塞するなどの弊害を生じるので、ガス化炉への補助燃料の供給に対しては格段の配慮が必要である。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−236220号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように溶融炉に補助燃料を供給する場合には、効率的な温度上昇が図れず、補助燃料量の増加による燃料費のアップ、局部的な高温領域形成による耐火材の溶損の問題がある。一方、ガス化炉に補助燃料を供給する場合にも、局部的な高温領域形成による耐火材の溶損の問題がある。
【0012】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、ガス化炉、溶融炉および両者を結ぶ熱分解ガス流路における耐火材の溶損、熱分解ガス流路における流路の閉塞が解消でき、しかも補助燃料の使用量を最小限に抑えて、補助燃料費の低減が図れる熱分解ガス化溶融システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の第1の手段は、一般ごみや産業廃棄物等を熱分解ガス化炉で熱分解し、その熱分解ガス化炉で生成した熱分解ガス及びチャーを溶融炉で燃焼し、高温場を得てチャー中の灰を溶融する熱分解ガス化溶融システムにおいて、前記熱分解ガス化炉と溶融炉を接続して前記熱分解ガス及びチャーが流通する熱分解ガス流路に補助燃料を供給する補助燃料供給系統を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第2の手段は、前記熱分解ガス化溶融システムにおいて、前記熱分解ガス化炉の上部または出口部付近の低酸素濃度領域に補助燃料を供給する補助燃料供給系統を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第3の手段は、前記第1の手段または第2の手段において、前記補助燃料が灯油や重油などの液体燃料またはプロパンガスや天然ガスなどの気体燃料であることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第4の手段は、前記第3の手段において、前記熱分解ガス流路あるいは前記熱分解ガス化炉の上部または出口部付近を流通する熱分解ガスが灰の軟化温度を超える場合は液体燃料を供給し、前記熱分解ガスが灰の軟化温度以下の場合は気体燃料を供給することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第4の手段は、前記第3の手段または第4の手段において、前記液体燃料を微粒子化した状態で前記熱分解ガス流路あるいは前記熱分解ガス化炉の上部または出口部付近に供給することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず本発明を一般ごみ処理用の熱分解ガス化溶融システムに適用した第1の実施形態を図1と共に説明する。
【0019】
同図において1は供給ホッパ、2は給じん装置、3は流動床式ガス化炉、4は散気管、5は熱分解ガス流路、6は溶融炉、7は2次燃焼室、8は廃熱ボイラ、9は減温装置、10は集塵装置、11は煙突、12は温度測定装置、13は制御装置、aは流動化空気、bは燃焼用空気、cはスラグ、dは飛灰、fは液体燃料、gは気体燃料である。
【0020】
本システムは、流動床式ガス化炉3と旋回式溶融炉6を組み合わせたもので、溶融炉6の後段には排ガスの完全燃焼のため2次燃焼室7を設けている。さらに排ガスからの熱回収を目的とした廃熱ボイラ8、ダイオキシン類の再合成を抑制するための排ガス温度減温装置9、ダストの捕集装置である集塵装置10を備えている。
【0021】
ごみは給じん装置2により流動床式ガス化炉3へ供給され、ガス化炉3の底部に設置されている散気管4から供給される流動化空気aにより砂などの流動媒体とともに流動化する。この過程でごみは部分燃焼し、熱分解され熱分解ガス及び未燃カーボンと灰を主成分とするチャーを生成する。生成した熱分解ガス及びチャーは旋回式溶融炉6へ送られ、別途供給される燃焼用空気bと反応し燃焼する。溶融炉6内は灰の溶融温度以上に保たれており、チャー中の灰は溶融しスラグとなって回収される。
【0022】
本システムでは、低カロリーのごみを処理する際に溶融炉6の温度が灰の溶融温度を下回るため、ガス化炉3と溶融炉6を接続している熱分解ガス流路5に補助燃料を供給している。補助燃料として、液体燃料fである灯油あるいは重油と、気体燃料gであるプロパンガスあるいは天然ガスを別々の系統から供給される。
【0023】
熱分解ガス流路5を流れる熱分解ガスの温度は熱電対からなる温度測定装置12で計測され、計測信号が制御装置13に入力される。そして温度測定装置12で計測された熱分解ガスの温度が灰の軟化温度を超える場合は液体燃料f(灯油)を供給し、熱分解ガスの温度が灰の軟化温度以下の場合は気体燃料g(プロパンガス)を供給する。本システムでは、ごみ中の灰の軟化温度が約1000℃であったため、1000℃を境界として液体燃料f(灯油)と気体燃料g(プロパンガス)の供給制御を行なった。
【0024】
前述のようにごみはガス化炉3へ供給され、流動層内で水分が蒸発し、流動層表面および空塔部において熱分解され、ガスとチャーが生成する。ガス化炉3へ供給される空気は流動化空気aのみであるが、ガスの炉外への漏洩を防止するため炉内は負圧に保たれているから、給じん系統や流動媒体である砂循環系統などから大気がガス化炉3内へ洩れ込む。このためガス化炉3には局所的に酸素濃度の高い領域が形成され、熱分解ガスと酸素が反応することで高温領域を形成する。熱分解ガスよりもカロリーの高い液体燃料f(灯油)や気体燃料g(プロパンガス)をガス化炉3に投入すると、酸素と反応して温度がさらに上昇するため、ガス化炉3の耐火材が溶損する。
【0025】
この点本実施形態では、熱分解反応が完結して酸素濃度かほぼ零あるいは極めて低い酸素濃度となる、ガス化炉3と溶融炉6を接続する熱分解ガス流路5に補助燃料である液体燃料f(灯油)や気体燃料g(プロパンガス)を供給するため、ガス化炉3内に局部的な高温領域を形成することがなく、耐火材の溶損が回避できる。
【0026】
さらに熱分解ガス流路5においては、熱分解ガスの温度が低いとタールが生成し、逆に温度が高過ぎて灰の軟化温度以上になると灰が付着することで、流路が閉塞するという問題がある。流動床ガス化炉3では、層の流動化及びごみの熱分解を安定して行なうために、層の温度を600℃程度に制御している。層温度の制御は流動化空気aの流量や温度を調整することで行なうが、洩れ込み空気量は一定値で制御不可能なため、層温度が変化すれば、それに応じて熱分解ガス流路5における熱分解ガスの温度も変化する。
【0027】
ごみ供給量やごみ質が変動した場合に流動化空気量を増加させると、層温度が一時的に高くなり、それに応じて熱分解ガスの温度が上昇し、灰の軟化温度以上になる場合がある。
【0028】
このため本発明では、熱分解ガス流路における熱分解ガス温度に応じて気体燃料と液体燃料を使い分けることで温度コントロールが可能となり、熱分解ガス流路の閉塞を回避できる。すなわち、熱分解ガス温度が灰の軟化温度よりも低い場合には気体燃料を供給し、逆に熱分解ガス温度が灰の軟化温度よりも高い場合には液体燃料を供給する。これは、液体燃料を供給すると蒸発時に熱を吸収するので、熱分解ガスの温度を低減できるためである。本実施形態では、熱分解ガス流路の熱分解ガス温度が1000℃を超える場合には液体燃料である灯油を、それ以下の温度では気体燃料であるプロパンを供給する。そのため熱分解ガス流路が閉塞することなく長期間連続運転が可能であった。
【0029】
なお、熱分解ガス流路の長さが十分確保できない場合には、液体燃料を短時間で蒸発させる必要があるため、微粒子化装置を用いて粒子径を約100μm以下にして供給した方がよい。
【0030】
また、溶融炉へ燃焼空気を供給するラインに補助燃料を投入してみたが、空気温度が低いから液体燃料が蒸発せずに溶融炉に流入し、溶融炉出口部の温度が高くなった。従って、溶融炉へ流入する燃焼用空気供給ライン等の比較的温度が低い系統への燃料供給は好ましくない。また、気体燃料を燃焼用空気供給ラインへ供給した場合には、条件によって燃焼状態となり空気供給ラインの温度が異常に上昇したため、気体燃料の供給も好ましくない。
【0031】
本実施形態においては、いずれの補助燃料を用いても溶融炉への全入熱量を一定に維持できるため、溶融炉の温度を常に灰の溶融温度に保て、安定して溶融が可能である。なお、溶融炉の形式は旋回式に限定されない。なお、補助燃料として固体燃料である石炭等を投入した場合、石炭等の固体燃料はごみのチャーよりも固定炭素分が多いから、燃焼に必要な時間を要し、溶融炉の効果的な温度上昇はできなかった。
【0032】
本発明の第2実施形態を図2とともに説明する。本実施形態は、ガス化炉3の上部あるいは出口部付近に酸素濃度計14を配置し、酸素濃度が約2%以下の低酸素濃度であることを確認して、その低酸素濃度領域へ補助燃料を供給するものである。補助燃料供給量に対してガス化炉3上部あるいは出口部付近の酸素量が過小なため、若干発熱するが温度上昇はほとんどなく、従って耐火材の溶損は見られなかった。
【0033】
本発明の第3実施形態を図3とともに説明する。本実施形態は回転キルン式のガス化炉15と旋回式の溶融炉6を組み合わせた熱分解ガス化溶融炉に適用したものである。この実施形態の場合も同様に、ガス化炉15と溶融炉6を接続する熱分解ガス流路5に補助燃料である液体燃料fまたは気体燃料gを供給し、安定した運用が可能である。
【0034】
【発明の効果】
本発明は前述のような構成になっており、プラントの安定運用が可能になるとともに、ガス化炉、溶融炉及び両者を接続する熱分解ガス流路の耐火材の溶損が回避できる。また、熱分解ガス流路の閉塞が回避でき、補助燃料使用量を最小限に抑えられ、補助燃料費の低減が図れるなどの特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱分解ガス化溶融システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る熱分解ガス化溶融システムの概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る熱分解ガス化溶融システムの概略構成図である。
【図4】従来の熱分解ガス化溶融システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1:供給ホッパ、2:給じん装置、3:流動床式ガス化炉、4:散気管、5:熱分解ガス流路、6:溶融炉、7:2次燃焼室、8:廃熱ボイラ、9:減温装置、10:集塵装置、11:煙突、12:温度測定装置、13:制御装置、14:酸素濃度計、15:回転キルン式ガス化炉、a:流動化空気、b:燃焼用空気、c:スラグ、d:飛灰、f:液体燃料、g:気体燃料

Claims (5)

  1. 一般ごみや産業廃棄物等を熱分解ガス化炉で熱分解し、その熱分解ガス化炉で生成した熱分解ガス及びチャーを溶融炉で燃焼し、高温場を得てチャー中の灰を溶融する熱分解ガス化溶融システムにおいて、
    前記熱分解ガス化炉と溶融炉を接続して前記熱分解ガス及びチャーが流通する熱分解ガス流路に補助燃料を供給する補助燃料供給系統を設けたことを特徴とする熱分解ガス化溶融システム。
  2. 一般ごみや産業廃棄物等を熱分解ガス化炉で熱分解し、その熱分解ガス化炉で生成した熱分解ガス及びチャーを溶融炉で燃焼し、高温場を得てチャー中の灰を溶融する熱分解ガス化溶融システムにおいて、
    前記熱分解ガス化炉の上部または出口部付近の低酸素濃度領域に補助燃料を供給する補助燃料供給系統を設けたことを特徴とする熱分解ガス化溶融システム。
  3. 請求項1または請求項2記載の熱分解ガス化溶融システムにおいて、前記補助燃料が液体燃料または気体燃料であることを特徴とする熱分解ガス化溶融システム。
  4. 請求項3記載の熱分解ガス化溶融システムにおいて、前記熱分解ガス流路あるいは前記熱分解ガス化炉の上部または出口部付近を流通する熱分解ガスが灰の軟化温度を超える場合は液体燃料を供給し、前記熱分解ガスが灰の軟化温度以下の場合は気体燃料を供給することを特徴とする熱分解ガス化溶融システム。
  5. 請求項3または請求項4記載の熱分解ガス化溶融システムにおいて、前記液体燃料を微粒子化した状態で前記熱分解ガス流路あるいは前記熱分解ガス化炉の上部または出口部付近に供給することを特徴とする熱分解ガス化溶融システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010236733A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Hitachi Zosen Corp 廃棄物のガス化溶融方法およびガス化溶融設備

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