JP2004262985A - 油性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】油性インキ組成物が有機溶剤の揮発による固形分率の増加や、溶解している樹脂が水素結合などの弱い相互作用によって結合し構造粘性を形成することや、インキ組成物と接触する部分に金属を使用している筆記具やプリンタでは、電池作用による金属の腐食がインキ組成物の粘性や吐出性能に及ぼす悪影響を抑制しつつ、非吸収面に対して、密着性に優れる油性インキ組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも着色剤と、構造内に少なくとも塩化ビニル単位部分及び酢酸ビニル単位部分を含む共重合樹脂と、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂と、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及び/またはその誘導体とを含む油性インキ組成物を使用する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙はもとより、樹脂製のシート、布、不職布、樹脂板、表面コート紙、金属面、ガラス、皮革、陶器、木材、ゴム、塗装面、焼き付け塗装面等に印字、描画及び筆記が可能な油性インキ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来油性インキ組成物に、インキ組成物の記録面への定着性や流動性、顔料など固形物の分散性を得るために樹脂を配合したものが知られている。例えば、特開平11−335609号公報に記載の発明では、乳酸エステルを使用したインキに塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を溶解しており(特許文献1参照)、また、特開2000−327961公報に記載の発明には、アルコールや酢酸エステルを使用したインキに塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を溶解している(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−335609号公報
【特許文献2】
特開2000−327961公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような樹脂を溶解した油性インキ組成物では、経時的にインキ組成物の粘度が増加することがあった。例えば、有機溶剤の揮発による固形分率の増加や、溶解している樹脂が水素結合などの弱い相互作用によって結合し構造粘性を形成することや、顔料の経時的な凝集沈降などがその原因として考えられる。
【0005】
また、筆記具やプリンタなどの構造によって、ボールペンチップやインキジェットプリンタヘッドなど、インキ組成物と接触する部分に金属を使用しているものでは、電池作用による金属の腐食が発生することがあり、これがインキ組成物の粘性や筆記具やプリンタなどの吐出性能に悪影響を及ぼすことがあった。特に、インキジェットプリンタは、高熱により気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインキを吐出させる方式や、圧電素子(ピエゾ素子)に記録信号(電圧)を与えることによって、振動圧力を発生させ、インキを加圧してノズルからインキを吐出させる圧電加圧方式等のオンデマンド方式が知られているが、そのヘッド部分に電荷が発生することから、腐食作用が起こり易いものであった。
【0006】
また、インクジェットインキにおいては、樹脂板、金属面、ガラス、陶器、塗装面、焼き付け塗装面等の非吸収面に対する密着性においては、吐出性においてインキ粘度の制限があり、定着剤の使用量をあまり上げられなく、満足する密着性までには至っていないのが現状である。
【0007】
本発明は、油性インキ組成物が経時的に増粘し難く、筆記具やインキジェットプリンタに使用した際にも長期にわたって初期のインキ吐出性能を維持でき、更に非吸収面に対して密着性に優れる油性インキ組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、少なくとも着色剤と、構造内に少なくとも塩化ビニル単位部分及び酢酸ビニル単位部分を含む共重合樹脂と、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂と、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及び/またはその誘導体とを含む油性インキ組成物を要旨とするものである。
【0009】
以下、本発明について説明する。
着色剤としては、染料及び/または顔料が特に限定無く使用できる。
着色剤として染料を用いる場合は、従来公知の染料を使用することが出来、具体例として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199等の直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56等の酸性染料、C.I.フードイエロー3等の食用染料、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ローダミンF4G(C.I.45160)、ローダミン6GCP(C.I.45160)等の塩基性染料等が挙げられる。これらは、1種もしくは2種以上混合して用いることが出来、その使用量は、インキ組成物全量に対して2〜15重量%使用でき、好ましくは、5〜10重量%である。
【0010】
また、着色剤として有機顔料を用いる場合は、従来公知の有機顔料を使用することが出来、具体例として、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194、同202、同206、同207、同209、同216、同245、同254、同255、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、同61、同64、同71、同73、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同37、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 23、同25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同83、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同128、同139、同147、同151、同153、同166、同167、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36、C.I.PIGMENT BLACK 7等の有機顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は、インキ組成物全量に対して1〜10重量%使用でき、好ましくは2〜6重量%である。顔料の粒子径は、平均粒子径で0.02〜0.20μmが好ましい。
【0011】
また、着色剤として無機顔料を用いる場合は、従来公知の無機顔料を使用することが出来、具体例として、ファーネストブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。特に、酸化チタンは、隠蔽性を付与するものであり、ルチル型とアナターゼ型のいずれも使用可能であり、市販品の一例を挙げると、堺化学工業(株)製のタイトーンSR−1、同R−650、同R−3L、同R−7E、同R−5N、同A−110、同A−150、石原産業(株)製のタイペークR−580、同R−560、同R−930、同A−100、同A−220、同CR−58、チタン工業(株)製のクロノスKR−310、同KR−380、同KR380N、同KR−480、同KA−10、同KA−20、同KA−30、デュポンジャパンリミテッド製のタイピュアR−900、同R−931、テイカ(株)製のチタニックスJR−300、同JR−600A、同JR701、同JR−800、同JR−801、独国、バイエル社製のバイエルチタンR−FD−1、同R−FB−3、同R−D等が挙げられる。
これらの酸化チタンは、1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は、インキ組成物全量に対して5〜30重量%使用でき、好ましくは、10〜20重量%である。
酸化チタンの粒子径は、平均粒子径で0.3〜0.8μmであることが好ましい。測定方法は、遠心沈降型粒度分布測定装置やレーザー型粒度分布測定装置等があるが、今回は後者を採用した。
【0012】
以上の顔料の分散効率を上げるため、上記顔料を樹脂に担時させたものを使用しても良い。一例を挙げると、マイクロリスYellow3G−K、同Yellow4G−K、同Yellow3R−K、同ScarletR−K、同DPP Red B−K、同Magenta5B−K、同Violet B−K、同BlueA3R−K、同Blue4G−K、同GreenG−K、同BlackC−K、同WhiteR−K(塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂に担時させた顔料、チバスペシャルティ ケミカルズ(株)製)、IKイエロー、IKレッド、IKブルー、IKグリーン、IKブラック(塩化ビニル・酢酸ビニル樹脂に担時させた顔料、富士色素(株)製)等が挙げられる。特に、上記のような樹脂に担時させた顔料を用いる場合、インキ中の樹脂と同じものを用いることによってより分散を安定にさせることができる。
その他の顔料として、蛍光顔料、パール顔料、蓄光顔料、金属顔料、複合金属顔料、金属酸化物顔料等を使用しても良い。尚、上記染料、有機顔料、無機顔料、樹脂に担時させた願料は混合して使用することもできる。
【0013】
樹脂は、印字面、描画面の定着性や強度を向上及び分散剤及び分散安定剤として使用され、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及び/またはその誘導体に可溶なものを採用する。その具体例としては、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレン・アクリル樹脂、酢酸ビニル・アクリル樹脂、ウレタン・アクリル樹脂、シリコーン・アクリル樹脂、その他アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢ビ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、キシレン樹脂、ロジン変性キシレン樹脂、エステルガム、ケトン樹脂、ニトロセルロース、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ロジンのグリセリンエステル等が挙げられる。これらの樹脂は、1種又は2種以上混合して使用することができ、その使用量は、インキ組成物全量に対して1〜10重量%使用でき、好ましくは、1〜5重量%である。上記の樹脂の中でも好ましくは、構造内に少なくとも塩化ビニル単位部分及び酢酸ビニル単位部分を含む共重合樹脂で、具体例を挙げると、エスレックC(塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、積水化学工業(株)製)、エスレックA(塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合樹脂、積水化学工業(株)製)、エスレックM(塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸共重合樹脂、積水化学工業(株)製)、UCAR SolutionVinyl Resin VYHH(塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ダウ・ケミカル日本(株)製)、UCAR Solution Vinyl Resin VAGH(塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合樹脂、ダウ・ケミカル日本(株)製)、UCAR Solution VinylResin VMCH、(塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸共重合樹脂、ダウ・ケミカル日本(株)製)等が挙げられる。
【0014】
ガラス転移温度が30℃以下の樹脂は、皮膜が軟らかい特性を活かし、前記樹脂と併用することにより非吸収面に対する密着性を高めるために使用される。その具体例を挙げると、パラロイドC−10LV(熱可塑性アクリル樹脂、ガラス転移温度5℃)パラロイドF−10(熱可塑性アクリル樹脂、ガラス転移温度20℃)以上ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、サーモラックW−3282−3(熱可塑性アクリル樹脂、ガラス転移温度20℃)、サーモラックSU−28(ウレタン変性アクリル樹脂、ガラス転移温度0℃)、サーモラックT−360X(ウレタン変性アクリル樹脂、ガラス転移温度7℃)、サーモラックT−361(ウレタン変性アクリル樹脂、ガラス転移温度−16℃)、サーモラックU−245B(ウレタン変性アクリル樹脂、ガラス転移温度30℃)以上綜研化学株式会社製、ビニロールEX−1500(自己架橋型アクリル樹脂、ガラス転移温度25℃)ビニロールEX−7002(自己架橋型アクリル樹脂、ガラス転移温度25℃)ビニロールEX−1000(自己架橋型アクリル樹脂、ガラス転移温度10℃)以上昭和高分子株式会社製、ダイカラックS−5120(アクリル樹脂、ガラス転移温度10℃)以上大同化成工業株式会社製等が挙げられる。使用量は油性インキ全量に対して0.5〜2重量%が好ましい。
使用量が、多すぎると、密着性は向上するが、塗膜の表面にベタツキが発生してしまう。
【0015】
ここで、ガラス転移温度について簡単に説明すると、高分子物質を加熱した場合にガラス状のかたい状態からゴム状に変わる現象をガラス転移といい、そのガラス転移の起こる温度をガラス転移温度という。即ち、同じ種類の高分子物質でガラス転移温度が高いものは、ガラス転移温度が低いものに比べて皮膜がかたい。
【0016】
3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及び/またはその誘導体は、有機顔料及び酸化チタンの分散溶媒として使用される。インキジェットプリンタに使用されるに際しては、顔料沈降による目詰まりを抑え、且つ印字、描画面の乾燥性が良好で、染料及び/または顔料の分散安定性にも寄与しており、特に経時粘度変化が少ない。その使用量は、インキ組成物全量に対して、5〜95%重量%使用でき、好ましくは15〜70重量%である。また、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及び/またはその誘導体は、その他の有機溶剤1種又は2種以上と混合して使用でき、樹脂の溶解性の向上、印字、描画面の乾燥性向上、レベリング性の向上、インキの粘度、他の物性の調整等で、非極性有機溶剤や極性有機溶剤を併用しても良い。
【0017】
インキの導電率は、1μS/cm以下であることが好ましく、オンデマンド方式用とした場合は、吐出の際に圧電素子(ピエゾ素子)に電圧がかかり負荷がかかるため、インキの導電率が低い方が電圧素子に対して負荷が掛かりにくいため長期的な吐出安定性が良好となる。導電率が1μS/cmより大きくなると初期吐出は良くても長期的に吐出が安定しなくなり、数ヶ月後には吐出しなくなってしまう。インキの導電率を測定する測定器としては、
(株)堀場製作所製DS―7の導電率測定機を用いて確認した。
【0018】
インキの粘度は、6〜18mPa・sであることが好ましく、特にインキジェット記録用とした場合には、インキを飛翔させるノズルの内径がたいへん小さいために、インキの粘度が18mPa・sを越えると吐出が不安定になったり、吐出不能になることがある。逆にインキの粘度が6mPa・s未満になると吐出されたインキが飛び散ってしまい、印字面、描画面の鮮明さが欠けてしまう。特に、被印字面が非吸収面である場合には顕著であった。
【0019】
上記した成分の他に、従来使用されている各種添加剤を用いることができる。例えば、隠蔽力を向上させるためにシリカ粉、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどの体質顔料を併用しても良い。又、更に分散性を向上するために分散剤や沈降防止、粘度調整のために増粘剤、印字面、描画面の硬さを調整するために可塑剤、塗布性能を良好にならしめるためにフロー向上剤やレベリング剤を適宜添加することができる。
【0020】
本発明のインキ組成物は、上記各成分をダイノーミル、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー、ターボミキサー、ラボミキサー、ホモミキサー等の分散機を使用して分散混合することによって得られる。
【0021】
【作用】
3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及びその誘導体は、沸点が188℃と高く、また、導電率が低いことから溶解した樹脂同士の電気的な相互作用を誘導しにくいものと推察され、金属に対する電池作用をも起こしにくいものであるため、樹脂を溶解した油性インキ組成物の経時的な増粘や顔料の沈降などを抑制し、筆記具やインキジェットプリンタのインキ組成物の吐出を安定に保つことができる。
一方、非吸収面の密着性が何故優れるかは、ガラス転移温度の低い樹脂を併用することにより、メインの樹脂の接着性とガラス転移温度の低い樹脂の粘着性とが重なり合い、相乗的に塗膜の密着性が向上することができる。
【0022】
【実施例】
Figure 2004262985
上記各成分をホモミキサーで5時間、溶解・分散処理して、粘度9.5mPa・s(25℃)で導電率0.1μS/cmの赤色インキ組成物を得た。
【0023】
Figure 2004262985
上記各成分をホモミキサーで5時間、溶解・分散処理して粘度12.5mPa・s(25℃)で導電率0.3μS/cmの黄色インキ組成物を得た。
【0024】
Figure 2004262985
上記各成分をホモミキサーで5時間、溶解・分散処理して粘度12.3mPa・s(25℃)で導電率0.2μS/cmの青色インキ組成物を得た。
【0025】
Figure 2004262985
上記各成分をホモミキサーで5時間、溶解・分散処理して粘度13.9mPa・s(25℃)で導電率0.7μS/cmの黒色インキ組成物を得た。
【0026】
Figure 2004262985
予め乳酸ブチルを除いた溶剤にデンカブチラール2000Lを溶解し、更に分散剤を混ぜ、ボールミル72時間分散処理した後、乳酸ブチルを混ぜ、ボールミルで30分、分散処理し、粘度14.9mPa・s(25℃)で導電率0.8μS/cmの黒色インキ組成物を得た。
【0027】
Figure 2004262985
上記各成分をボールミルにて24時間分散処理して、粘度14.3mPa・s(25℃)で導電率0.4μS/cmの白色インキ組成物を得た。
【0028】
Figure 2004262985
上記各成分を実施例6と同様になして粘度13.3mPa・s(25℃)で導電率0.3μS/cmの白色インキ組成物を得た。
【0029】
Figure 2004262985
上記各成分を実施例6と同様になして粘度13.5mPa・s(25℃)で導電率0.5μS/cmの白色インキ組成物を得た。
【0030】
比較例1
実施例1において、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート93重量部の代わりに、乳酸ブチル83.5重量部とN−メチル−2ピロリドン10重量部を用いた他は、実施例1と同様になして、粘度13.5mPa・s(25℃)で導電率3.1μS/cmの赤色インキ組成物を得た。
【0031】
比較例2
実施例1において、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート93.5重量部の代わりに、プロピレングリコールモノメチルエーテル30重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート53.5重量部とN−メチル−2ピロリドン10重量部を用いた他は、実施例1と同様になして、粘度10.9mPa・s(25℃)で導電率4.2μS/cmの赤色インキ組成物を得た。
【0032】
比較例3
実施例2において、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテートの代わりに、乳酸ブチルを用いた他は、実施例2と同様になして、粘度19.1mPa・s(25℃)で導電率1.4μS/cmの黄色インキ組成物を得た。
【0033】
比較例4
実施例2において3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテートを除いてUCAR Solution Vinyl Resin VYHHを3重量部、3−メトキシ−3メチル−1−ブタノール53重量部に変更し、他は、実施例2と同様になして、粘度25.5mPa・s(25℃)で導電率1.9μS/cmの黄色インキ組成物を得た。
【0034】
比較例5
実施例6においてキョーワード700を除いて、UCAR SolutionVinyl Resin VYHHを2重量部に変更し、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテートを除いて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを58重量部、N−メチル−2ピロリドン5重量部に変更し、他は、実施例6と同様になして、粘度9.4mPa・s(25℃)で導電率1.2μS/cmの白色インキ組成物を得た。
【0035】
比較例6
実施例1において、サーモラックT−361(前述)の代わりにUCAR Solution Vinyl Resin VYHHを1重量部を用いた他は、実施例1と同様になして、粘度10.7mPa・s(25℃)で導電率0.2μS/cmの赤色インキ組成物を得た。
【0036】
比較例7
実施例1において、サーモラックT−361(前述)の代わりにサーモラックU−238(ウレタン変性アクリル樹脂、固形分50%、ガラス転移温度51℃、綜研化学株式会社製)を用いた他は、実施例1と同様になして、粘度9.3mPa・s(25℃)で導電率0.2μS/cmの赤色インキ組成物を得た。
【0037】
比較例8
実施例8において、サーモラックT−361(前述)の代わりにサーモラックST−10(熱可塑性アクリル樹脂、固形分50%、ガラス転移温度60℃、綜研化学株式会社製)を用いた他は、実施例1と同様になして、粘度14.3mPa・s(25℃)で導電率0.2μS/cmの赤色インキ組成物を得た。
【0038】
以上、実施例1〜8、比較例1〜8で得られた油性インキ組成物について、分散安定性試験、初期吐出安定性試験及び経時吐出安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0039】
分散安定性試験
各インキ組成物をバイアル瓶に高さ5cmまで入れ、キャップを締めて常温(20℃)で放置し、1ヶ月後にキャップをはずし、静かにバイアル瓶を傾けインキを流し出し、バイアル瓶を傾けた状態で30秒間放置後、元に戻しバイアルビンの底に沈降・堆積物があるか確認する。
【0040】
初期吐出安定性試験
インキジェットプリンタ(ADPICTO I、ぺんてる株式会社製、オンデマンドタイプ)で、有色インキ組成物は、白色樹脂(塩化ビニル)シートに、白色インキ組成物は、黒色樹脂(塩化ビニル)シートにアルファベット文字(A〜Z、1cm×1cmの大きさ)を500文字と縦2.5cm横180cmのベタ塗り描画し、目視で印字描画状態を観察した。
【0041】
経時吐出性安定性試験
インキジェットプリンタ(ADPICTO I、ぺんてる株式会社製、オンデマンドタイプ)で有色インキ組成物は、白色樹脂シート(塩化ビニル)に、白色インキ組成物は、黒色樹脂シート(塩化ビニル)に毎日アルファベット文字(A〜Z、1cm×1cm)を500文字と縦2.5cm横180cmのベタ描画し、30日後の印字描画物を目視で観察した。
【0042】
密着性試験
インキジェットプリンタ(ADPICTO I、ぺんてる株式会社製、オンデマンドタイプ)で熱硬化性メラミンアルッキッド樹脂で塗布硬化させた鉄板にアルファベット文字(A、3cm×3cm)を3文字ベタ描画し、3日後の塗料一般試験方法JISK 5400の8.5.3Xカットテープ法に準じて、描画面をカッターナイフで30度角度で交わりようにX状に切り込みを入れる。次に透明セロハン粘着テープを切り込み部に貼り付け、指で擦って付着させ、テープの端を持って、瞬間的に引き剥がし、描画物を目視で観察した。
【0043】
【表1】
Figure 2004262985
【0044】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の油性インキ組成物は、分散安定性に優れ、特に、オンデマンド方式のインキジェットプリンタに長い時間使用した時、顔料の凝集、沈降によるノズルの目詰まりがなく、また、経時的なインキの増粘がなく、経時吐出安定性に優れ、更には非吸収面に対して密着性に優れる油性インキ組成物である。

Claims (7)

  1. 少なくとも着色剤と、構造内に少なくとも塩化ビニル単位部分及び酢酸ビニル単位部分を含む共重合樹脂と、ガラス転移温度が30℃以下の樹脂と、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及び/またはその誘導体とを含む油性インキ組成物。
  2. 前記ガラス転移温度が30℃以下の樹脂がインキ全量に対して0.5〜2重量%である請求項1記載の油性インキ組成物。
  3. 前記着色剤が有機顔料を樹脂に担時させたものを含む請求項1または請求項2に記載の油性インキ組成物。
  4. 前記有機顔料を担時する樹脂が、前記3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート及び/またはその誘導体に可溶な樹脂である請求項3に記載の油性インキ組成物。
  5. 前記インキ組成物が、インキジェットプリンター用のインキである請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の油性インキ組成物。
  6. インキの導電率が1μS/cm以下である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の油性インキ組成物。
  7. 粘度が6〜18mPa・sである請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の油性インキ組成物。
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