JP2004262897A - 4級アンモニウム系常温溶融塩及び製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4級アンモニウム系常温溶融塩及びその製造法に関する。本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質、電解液や、有機合成用の溶媒として有用である。
溶媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
常温溶融塩はイオン性液体とも呼ばれ、室温付近で液状を呈し広い温度範囲で蒸気圧が低く、また結晶性の塩に比較して有機溶媒等他物質との相溶性が高く、さらに、イオンのみで構成され高いイオン伝導性を示すことから、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質、電解液や、有機合成用溶媒として展開が図られている。
【0003】
常温溶融塩のカチオン成分に関しては、これまで1−エチル−3−メチルイミダゾリウムをはじめとするイミダゾリウム系カチオン、又は1−ブチルピリジニウムをはじめとするピリジニウム系カチオンが主に検討され(例えば、特許文献1参照)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(例えば、特許文献2参照)等種々のアニオンを組合せた常温溶融塩が多数合成されている。
【0004】
一方、イミダゾリウム系、ピリジニウム系以外の4級アンモニウム系カチオンに関しては、テトラアルキル4級アンモニウム(例えば、特許文献1参照)、アルコキシアルキル基(ただし、アルキル基は炭素数1〜4)を含む4級アンモニウム(例えば、特許文献3参照)等が報告されているが、その報告例はイミダゾリウム系、ピリジニウム系に比較して著しく少ないものとなっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−307121号公報
【特許文献2】
特開平8−259543号公報
【特許文献3】
国際公開第02/076924号パンフレット
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
イミダゾリウム系又はピリジニウム系のような環状アミジニウム化合物は、適切なアニオン種との組合わせにより、比較的容易に常温溶融塩とすることができ、また、高い電気伝導率を示すという特徴があるものの、耐電圧が低いという欠点がある。例えば、リチウム二次電池の電解質とした場合には、イミダゾリウム塩は、リチウムよりも貴な電位で分解してしまい安定性に劣る、また、電気二重層キャパシタの電解質とした場合には、電位窓が狭くなり十分な作動電圧が得られない、といった問題がある。さらに、イミダゾリウム系、ピリジニウム系カチオンは合成が煩雑であり、高価となるといった点が問題となっている。
【0007】
また、電気二重層キャパシタ等の電解質としてテトラエチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム化合物が多く用いられているが、電気化学デバイスとして好適な性能を示すプロピレンカーボネート等有機溶媒への溶解性が十分であるとは言えず、特に低温時に結晶が析出しやすいため、その添加量には制限がある。
【0008】
さらに、有機合成用溶媒に関しては、低揮発性で難燃性の溶媒の開発が望まれている。
【0009】
本発明は上記の問題に対して鑑みられたものであり、その目的は、室温で液状を呈し、かつ二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質、電解液や、有機合成用の溶媒として有用な4級アンモニウム系常温溶融塩を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記したような課題に対し鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)
【0011】
【化3】
(式中、R1及びR2は各々独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、R3〜R5は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xは−O−、−NR6−、又は−S−を表し、これらの原子団を複数種含んでいても良い。R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、nは1〜3の整数であり、Aはアニオンを表す。)
で示される化合物が、室温で液状を呈し、かつ高いイオン電導性と高い電解液用有機溶媒への溶解性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち本発明は、
▲1▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩、
▲2▼ 融点が50℃以下である上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩、
▲3▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩において、アニオンAが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸及びトリフルオロ酢酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩、
▲4▼ 下記一般式(2)
【0013】
【化4】
(式中、R1及びR2は各々独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、R3、びR4は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。Xは−O−、−NR6−、又は−S−を表し、これらの原子団を複数含んでいても良い。R6は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、nは1〜3の整数である。)
で示される3級アミン化合物にジアルキルカーボネートを反応させ4級アルキルカーボネート塩とし、その後、対応するアニオンに変換することを特徴とする上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩の製造法、
▲5▼ 交換するアニオンが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸及びトリフルオロ酢酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩の製造法、
▲6▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩からなる電気化学デバイス用電解質塩、
▲7▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩からなる電気化学デバイス用電解液、並びに
▲8▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩と有機溶媒を含有してなる電気化学デバイス用電解液、
である。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、上記一般式(1)で示される化合物である。上記一般式(1)中、R1及びR2は各々独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。R3〜R5は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル基等が挙げられる。Xは−O−、−NR6−、又は−S−を表し、これらの原子団を複数種含んでいても良い。R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。
【0016】
本発明の上記一般式(1)に示される化合物に適用される4級アンモニウムカチオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}メチルジエチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリエチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}メチルジエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}メチルジエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}メチルジエチルアンモニウム等が好適なものとして挙げられる。このような4級アンモニウムカチオンを適用することにより、広範な対アニオンとの組合せにおいて、50℃以下の低温領域で溶融塩とすることが可能となる。
【0017】
本発明の上記一般式(1)で示される化合物に適用されるアニオンAとしては、特に限定するものではないが、上記した4級アンモニウムカチオンと組合せて融点が低くなるようなアニオンが好適に用いられる。例えば、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート等の無機フッ素系アニオン、RSO3 −(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示されるアルカンスルホネートアニオン、(RSO2)2N−(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示されるアルカンスルホニルイミドアニオン、(RSO2)3C−(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示されるアルカンスルホニルカルボアニオン、RCOO−(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示される有機カルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸、トリフルオロ酢酸が好適なものとして挙げられる。
【0018】
本発明の上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩の製造法については、特に制限はなく、各種の方法を用いることができる。例えば、上記一般式(2)で示される1−ジアルキルアミノ−6−ヘキサノール等の3級アミン化合物をアルキル4級塩化し、その後、アニオン交換することによって容易に製造することができる。
【0019】
上記一般式(2)で示される化合物としては、例えば、以下のような3級アミンが挙げられる。
【0020】
【化5】
本発明の方法において、アルキル4級塩化に際しては、4級化剤として、ハロゲン化アルキルを使用する方法や、硫酸アルキルエステル、カルボン酸アルキルエステル、ジアルキルカーボネートを使用する方法を採ることができる。
【0021】
ジアルキルカーボネートを4級化剤として用いた場合には、まず上記一般式(2)で示される化合物を4級アルキルカーボネート塩化し、その後、前記したアニオンに交換することにより、上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩が得られる。
【0022】
本発明の方法において、上記一般式(2)で示される3級アミンとジアルキルカーボネートとの反応は、3級アミンに対して0.1〜10倍モル量、より好ましくは1〜3倍モル量のジアルキルカーボネートを、無溶媒、又はメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等の有機溶媒の存在下、80〜150℃の温度で、常圧下、又はオートクレーブを用いた加圧下、1〜100時間反応させることにより行うことができる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が挙げられる。
【0023】
こうして得られた4級アルキルカーボネート塩は容易に他のアニオンに交換することができ、例えば、テトラフルオロボレート塩への変換は、室温下、等モル量のテトラフルオロホウ酸と4級メチルカーボネート塩を水溶液又は有機溶媒中で混合することにより直ちに進行し、その際炭酸ガスの発生が見られる。ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、有機カルボン酸への変換も同様にして行うことができる。
【0024】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、高いイオン電導性を示すことから、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスにおいて、電解質塩として使用することができる。
【0025】
また、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、高いイオン電導性を示すとともに室温領域において液状を示すことから、単独で又は有機溶媒に溶解した状態で、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスにおいて、電解液として用いることができる。
【0026】
電解液を構成する有機溶媒としては、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩を溶解することができ、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの作動差動電圧範囲で安定なものであれば、特に限定するものではないが、一般的には、電解質を良く溶解し、誘電率が高く、低粘度であり、さらには高沸点の溶媒が好適である。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、スルホラン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても良いし、また2種以上混合して使用しても良い。
【0027】
電解液として使用する際の、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩の濃度については特に限定はないが、性能面から好ましくは0.1mol/l以上、より好ましくは0.5mol/l以上として使用する。
【0028】
本発明の電解液においては、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩以外の電解質を併用してもよい。このような電解質としては、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスに使用できるものであれば、特に限定するものではないが、リチウム二次電池の電解液として使用する際には、例えば、リチウムテトラフルオロボレート等のリチウム塩を添加することが好ましい。
【0029】
本発明の電解液においては、さらに分解抑制剤等を添加してもよい。
【0030】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は極性が高く、有機系化合物、高分子化合物等多数の物質を溶解することから、有機合成用の反応溶媒、抽出、分離溶媒として有用である。適用反応としては、例えば、オレフィンの重合・二量化、芳香族のアルキル化、メタセシス反応、カルボニル化反応、ヘック反応、ヒドロホルミル化反応等が挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
実施例1 {(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(下記化合物)の合成
【0033】
【化6】
攪拌機、冷却管、温度計を附した200mlフラスコに、2−(2’,2’−ジメチルアミノエトキシ)エタノール26.6g(0.20mol)、ジメチルカーボネート27.3g(0.30mol)、及び、n−プロパノール25mlを仕込み、還流条件下で25時間反応を行った。なおその間、反応液の温度は90から97℃まで徐々に上昇した。その後、未反応のジメチルカーボネート、n−プロパノールを留去、さらに、ジエチルエーテル中で洗浄操作を行い不純物を除去、真空乾燥を行い、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート43.5gを得た。
【0034】
次いで、得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート30.0gを水100gに溶解し、攪拌下、42%テトラフルオロホウ酸を混合溶液のpHが4付近になるまで少量ずつ加えた。この場合の42%テトラフルオロホウ酸の添加量は26.6gとなった。この後、混合液から水を留去、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート31.6gを得た。なお、生成物の確認は1H−NMRにより行った(図1参照)。
【0035】
実施例2 {(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・トリフルオロメタンスルホネート(下記化合物)の合成
【0036】
【化7】
実施例1の方法で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート30.0gを水50gに溶解し、攪拌下、20%の水溶液にしたトリフルオロメタンスルホン酸を、混合溶液のpHが4付近になるまで少量ずつ加えた。実施例1と同様の操作により、室温(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・トリフルオロメタンスルホネート37.5gを得た。
【0037】
実施例3 {(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(下記化合物)の合成
【0038】
【化8】
実施例1の方法で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート10.0gを水30gに溶解し、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド12.9gの30%水溶液(43.0g)を滴下した。滴下終了後、水相と目的物(有機相)の2相に分離、有機相を水洗、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の[{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド13.2gを得た。
【0039】
実施例4 {(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(下記化合物)の合成
【0040】
【化9】
2−(2’,2’−ジメチルアミノエトキシ)メトキシエタンを29.4g(0.20mol)用いた以外は実施例1と同様に行い、{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート塩43.4gを得た。その後、該メチルカーボネート塩30.0gを用い、実施例1と同様に塩交換を行い、室温(25℃)で液状の{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート30.9gを得た。
【0041】
実施例5 {(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホン)イミド(下記化合物)の合成
【0042】
【化10】
実施例4の方法で得られた{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート10.0gを水30gに溶解し、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド12.1gの30%水溶液(40.3g)を滴下した。滴下終了後、水相と目的物(有機相)の2相に分離、有機相を水洗、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド15.4gを得た。
【0043】
実施例6 {(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(下記化合物)の合成
【0044】
【化11】
N−メチル{2−(2’,2’−ジメチルアミノ)エトキシエチル}エタノールアミン30.4g(0.16mol)、ジメチルカーボネートg(0.16mol)を用いた以外は実施例1と同様の操作により、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート21.6gを得、その内20.0gを用い、実施例1と同様に塩交換を行い、室温で(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート21.1gを得た。
【0045】
実施例7 {(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(下記化合物)の合成
【0046】
【化12】
実施例1と同様の装置を用い、N−メチル(2,2−ジメチルアミノエチル)エタノールアミン29.2g(0.20mol)、ジメチルカーボネート18.1g(0.20mol)、n−プロパノール25mlを仕込み、還流条件下、8時間反応を行った。その後、未反応のジメチルカーボネート、n−プロパノールを留去、さらに、ジエチルエーテルによる洗浄、真空乾燥を行い、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート36.3gを得た。
【0047】
次いで、得られた該メチルカーボネート塩10.0gを水50gに溶解し、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド12.0gの10%水溶液(120g)を滴下し、析出する塩をろ過、水洗、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド62.9gを得た。
【0048】
実施例8〜実施例10 電気伝導率の評価
実施例1で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート、実施例3で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、及び実施例5で得られた{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホン)イミドの20℃における電気伝導率を測定した。その結果を表1に示す。
【0049】
実施例11〜実施例15
溶媒にプロピレンカーボネートを用いた場合の、実施例で得られた化合物の電気伝導率の測定結果を表1に示す。
【0050】
比較例1、比較例2
溶媒にプロピレンカーボネートを用いた場合のテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレートの電気伝導率の測定結果を表1にあわせて示す。
【0051】
表1から明らかなように、テトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレートはプロピレンカーボネートに対する溶解性が低く1.5mol/lの濃度では塩が析出し、電導率は測定できなかった。
【0052】
【表1】
【発明の効果】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、上記したように室温付近で液状を呈し、高いイオン電導性と高い電解液用有機溶媒への溶解性を示すことから、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイス、さらには有機合成用の溶媒に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレートの1H−NMRスペクトルである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、4級アンモニウム系常温溶融塩及びその製造法に関する。本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質、電解液や、有機合成用の溶媒として有用である。
溶媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
常温溶融塩はイオン性液体とも呼ばれ、室温付近で液状を呈し広い温度範囲で蒸気圧が低く、また結晶性の塩に比較して有機溶媒等他物質との相溶性が高く、さらに、イオンのみで構成され高いイオン伝導性を示すことから、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質、電解液や、有機合成用溶媒として展開が図られている。
【0003】
常温溶融塩のカチオン成分に関しては、これまで1−エチル−3−メチルイミダゾリウムをはじめとするイミダゾリウム系カチオン、又は1−ブチルピリジニウムをはじめとするピリジニウム系カチオンが主に検討され(例えば、特許文献1参照)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(例えば、特許文献2参照)等種々のアニオンを組合せた常温溶融塩が多数合成されている。
【0004】
一方、イミダゾリウム系、ピリジニウム系以外の4級アンモニウム系カチオンに関しては、テトラアルキル4級アンモニウム(例えば、特許文献1参照)、アルコキシアルキル基(ただし、アルキル基は炭素数1〜4)を含む4級アンモニウム(例えば、特許文献3参照)等が報告されているが、その報告例はイミダゾリウム系、ピリジニウム系に比較して著しく少ないものとなっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−307121号公報
【特許文献2】
特開平8−259543号公報
【特許文献3】
国際公開第02/076924号パンフレット
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
イミダゾリウム系又はピリジニウム系のような環状アミジニウム化合物は、適切なアニオン種との組合わせにより、比較的容易に常温溶融塩とすることができ、また、高い電気伝導率を示すという特徴があるものの、耐電圧が低いという欠点がある。例えば、リチウム二次電池の電解質とした場合には、イミダゾリウム塩は、リチウムよりも貴な電位で分解してしまい安定性に劣る、また、電気二重層キャパシタの電解質とした場合には、電位窓が狭くなり十分な作動電圧が得られない、といった問題がある。さらに、イミダゾリウム系、ピリジニウム系カチオンは合成が煩雑であり、高価となるといった点が問題となっている。
【0007】
また、電気二重層キャパシタ等の電解質としてテトラエチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム化合物が多く用いられているが、電気化学デバイスとして好適な性能を示すプロピレンカーボネート等有機溶媒への溶解性が十分であるとは言えず、特に低温時に結晶が析出しやすいため、その添加量には制限がある。
【0008】
さらに、有機合成用溶媒に関しては、低揮発性で難燃性の溶媒の開発が望まれている。
【0009】
本発明は上記の問題に対して鑑みられたものであり、その目的は、室温で液状を呈し、かつ二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質、電解液や、有機合成用の溶媒として有用な4級アンモニウム系常温溶融塩を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記したような課題に対し鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)
【0011】
【化3】
(式中、R1及びR2は各々独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、R3〜R5は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xは−O−、−NR6−、又は−S−を表し、これらの原子団を複数種含んでいても良い。R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、nは1〜3の整数であり、Aはアニオンを表す。)
で示される化合物が、室温で液状を呈し、かつ高いイオン電導性と高い電解液用有機溶媒への溶解性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち本発明は、
▲1▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩、
▲2▼ 融点が50℃以下である上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩、
▲3▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩において、アニオンAが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸及びトリフルオロ酢酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩、
▲4▼ 下記一般式(2)
【0013】
【化4】
(式中、R1及びR2は各々独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、R3、びR4は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。Xは−O−、−NR6−、又は−S−を表し、これらの原子団を複数含んでいても良い。R6は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、nは1〜3の整数である。)
で示される3級アミン化合物にジアルキルカーボネートを反応させ4級アルキルカーボネート塩とし、その後、対応するアニオンに変換することを特徴とする上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩の製造法、
▲5▼ 交換するアニオンが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸及びトリフルオロ酢酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩の製造法、
▲6▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩からなる電気化学デバイス用電解質塩、
▲7▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩からなる電気化学デバイス用電解液、並びに
▲8▼ 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩と有機溶媒を含有してなる電気化学デバイス用電解液、
である。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、上記一般式(1)で示される化合物である。上記一般式(1)中、R1及びR2は各々独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。R3〜R5は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル基等が挙げられる。Xは−O−、−NR6−、又は−S−を表し、これらの原子団を複数種含んでいても良い。R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。
【0016】
本発明の上記一般式(1)に示される化合物に適用される4級アンモニウムカチオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}メチルジエチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリエチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−メトキシエトキシ)エチル}メチルジエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}メチルジエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}ジメチルエチルアンモニウム、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}メチルジエチルアンモニウム等が好適なものとして挙げられる。このような4級アンモニウムカチオンを適用することにより、広範な対アニオンとの組合せにおいて、50℃以下の低温領域で溶融塩とすることが可能となる。
【0017】
本発明の上記一般式(1)で示される化合物に適用されるアニオンAとしては、特に限定するものではないが、上記した4級アンモニウムカチオンと組合せて融点が低くなるようなアニオンが好適に用いられる。例えば、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート等の無機フッ素系アニオン、RSO3 −(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示されるアルカンスルホネートアニオン、(RSO2)2N−(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示されるアルカンスルホニルイミドアニオン、(RSO2)3C−(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示されるアルカンスルホニルカルボアニオン、RCOO−(式中、Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を表す)で示される有機カルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸、トリフルオロ酢酸が好適なものとして挙げられる。
【0018】
本発明の上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩の製造法については、特に制限はなく、各種の方法を用いることができる。例えば、上記一般式(2)で示される1−ジアルキルアミノ−6−ヘキサノール等の3級アミン化合物をアルキル4級塩化し、その後、アニオン交換することによって容易に製造することができる。
【0019】
上記一般式(2)で示される化合物としては、例えば、以下のような3級アミンが挙げられる。
【0020】
【化5】
本発明の方法において、アルキル4級塩化に際しては、4級化剤として、ハロゲン化アルキルを使用する方法や、硫酸アルキルエステル、カルボン酸アルキルエステル、ジアルキルカーボネートを使用する方法を採ることができる。
【0021】
ジアルキルカーボネートを4級化剤として用いた場合には、まず上記一般式(2)で示される化合物を4級アルキルカーボネート塩化し、その後、前記したアニオンに交換することにより、上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩が得られる。
【0022】
本発明の方法において、上記一般式(2)で示される3級アミンとジアルキルカーボネートとの反応は、3級アミンに対して0.1〜10倍モル量、より好ましくは1〜3倍モル量のジアルキルカーボネートを、無溶媒、又はメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等の有機溶媒の存在下、80〜150℃の温度で、常圧下、又はオートクレーブを用いた加圧下、1〜100時間反応させることにより行うことができる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が挙げられる。
【0023】
こうして得られた4級アルキルカーボネート塩は容易に他のアニオンに交換することができ、例えば、テトラフルオロボレート塩への変換は、室温下、等モル量のテトラフルオロホウ酸と4級メチルカーボネート塩を水溶液又は有機溶媒中で混合することにより直ちに進行し、その際炭酸ガスの発生が見られる。ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、有機カルボン酸への変換も同様にして行うことができる。
【0024】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、高いイオン電導性を示すことから、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスにおいて、電解質塩として使用することができる。
【0025】
また、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、高いイオン電導性を示すとともに室温領域において液状を示すことから、単独で又は有機溶媒に溶解した状態で、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスにおいて、電解液として用いることができる。
【0026】
電解液を構成する有機溶媒としては、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩を溶解することができ、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスの作動差動電圧範囲で安定なものであれば、特に限定するものではないが、一般的には、電解質を良く溶解し、誘電率が高く、低粘度であり、さらには高沸点の溶媒が好適である。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、スルホラン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても良いし、また2種以上混合して使用しても良い。
【0027】
電解液として使用する際の、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩の濃度については特に限定はないが、性能面から好ましくは0.1mol/l以上、より好ましくは0.5mol/l以上として使用する。
【0028】
本発明の電解液においては、本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩以外の電解質を併用してもよい。このような電解質としては、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスに使用できるものであれば、特に限定するものではないが、リチウム二次電池の電解液として使用する際には、例えば、リチウムテトラフルオロボレート等のリチウム塩を添加することが好ましい。
【0029】
本発明の電解液においては、さらに分解抑制剤等を添加してもよい。
【0030】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は極性が高く、有機系化合物、高分子化合物等多数の物質を溶解することから、有機合成用の反応溶媒、抽出、分離溶媒として有用である。適用反応としては、例えば、オレフィンの重合・二量化、芳香族のアルキル化、メタセシス反応、カルボニル化反応、ヘック反応、ヒドロホルミル化反応等が挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
実施例1 {(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(下記化合物)の合成
【0033】
【化6】
攪拌機、冷却管、温度計を附した200mlフラスコに、2−(2’,2’−ジメチルアミノエトキシ)エタノール26.6g(0.20mol)、ジメチルカーボネート27.3g(0.30mol)、及び、n−プロパノール25mlを仕込み、還流条件下で25時間反応を行った。なおその間、反応液の温度は90から97℃まで徐々に上昇した。その後、未反応のジメチルカーボネート、n−プロパノールを留去、さらに、ジエチルエーテル中で洗浄操作を行い不純物を除去、真空乾燥を行い、{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート43.5gを得た。
【0034】
次いで、得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート30.0gを水100gに溶解し、攪拌下、42%テトラフルオロホウ酸を混合溶液のpHが4付近になるまで少量ずつ加えた。この場合の42%テトラフルオロホウ酸の添加量は26.6gとなった。この後、混合液から水を留去、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート31.6gを得た。なお、生成物の確認は1H−NMRにより行った(図1参照)。
【0035】
実施例2 {(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・トリフルオロメタンスルホネート(下記化合物)の合成
【0036】
【化7】
実施例1の方法で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート30.0gを水50gに溶解し、攪拌下、20%の水溶液にしたトリフルオロメタンスルホン酸を、混合溶液のpHが4付近になるまで少量ずつ加えた。実施例1と同様の操作により、室温(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・トリフルオロメタンスルホネート37.5gを得た。
【0037】
実施例3 {(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(下記化合物)の合成
【0038】
【化8】
実施例1の方法で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート10.0gを水30gに溶解し、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド12.9gの30%水溶液(43.0g)を滴下した。滴下終了後、水相と目的物(有機相)の2相に分離、有機相を水洗、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の[{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド13.2gを得た。
【0039】
実施例4 {(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(下記化合物)の合成
【0040】
【化9】
2−(2’,2’−ジメチルアミノエトキシ)メトキシエタンを29.4g(0.20mol)用いた以外は実施例1と同様に行い、{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート塩43.4gを得た。その後、該メチルカーボネート塩30.0gを用い、実施例1と同様に塩交換を行い、室温(25℃)で液状の{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート30.9gを得た。
【0041】
実施例5 {(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホン)イミド(下記化合物)の合成
【0042】
【化10】
実施例4の方法で得られた{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート10.0gを水30gに溶解し、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド12.1gの30%水溶液(40.3g)を滴下した。滴下終了後、水相と目的物(有機相)の2相に分離、有機相を水洗、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド15.4gを得た。
【0043】
実施例6 {(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(下記化合物)の合成
【0044】
【化11】
N−メチル{2−(2’,2’−ジメチルアミノ)エトキシエチル}エタノールアミン30.4g(0.16mol)、ジメチルカーボネートg(0.16mol)を用いた以外は実施例1と同様の操作により、{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート21.6gを得、その内20.0gを用い、実施例1と同様に塩交換を行い、室温で(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノエトキシエチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート21.1gを得た。
【0045】
実施例7 {(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(下記化合物)の合成
【0046】
【化12】
実施例1と同様の装置を用い、N−メチル(2,2−ジメチルアミノエチル)エタノールアミン29.2g(0.20mol)、ジメチルカーボネート18.1g(0.20mol)、n−プロパノール25mlを仕込み、還流条件下、8時間反応を行った。その後、未反応のジメチルカーボネート、n−プロパノールを留去、さらに、ジエチルエーテルによる洗浄、真空乾燥を行い、{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム・メチルカーボネート36.3gを得た。
【0047】
次いで、得られた該メチルカーボネート塩10.0gを水50gに溶解し、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド12.0gの10%水溶液(120g)を滴下し、析出する塩をろ過、水洗、真空乾燥を行い、室温(25℃)で液状の{(2−ヒドロキシエチルメチルアミノエチル)}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド62.9gを得た。
【0048】
実施例8〜実施例10 電気伝導率の評価
実施例1で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート、実施例3で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、及び実施例5で得られた{(2−メトキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホン)イミドの20℃における電気伝導率を測定した。その結果を表1に示す。
【0049】
実施例11〜実施例15
溶媒にプロピレンカーボネートを用いた場合の、実施例で得られた化合物の電気伝導率の測定結果を表1に示す。
【0050】
比較例1、比較例2
溶媒にプロピレンカーボネートを用いた場合のテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレートの電気伝導率の測定結果を表1にあわせて示す。
【0051】
表1から明らかなように、テトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレートはプロピレンカーボネートに対する溶解性が低く1.5mol/lの濃度では塩が析出し、電導率は測定できなかった。
【0052】
【表1】
【発明の効果】
本発明の4級アンモニウム系常温溶融塩は、上記したように室温付近で液状を呈し、高いイオン電導性と高い電解液用有機溶媒への溶解性を示すことから、二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイス、さらには有機合成用の溶媒に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた{(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}トリメチルアンモニウム・テトラフルオロボレートの1H−NMRスペクトルである。
Claims (8)
- 融点が50℃以下である請求項1記載の4級アンモニウム系常温溶融塩。
- 上記一般式(1)で示される4級アンモニウム系常温溶融塩において、アニオンAが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸及びトリフルオロ酢酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の4級アンモニウム系常温溶融塩。
- 交換するアニオンが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、酢酸及びトリフルオロ酢酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の製造法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の4級アンモニウム系常温溶融塩からなる電気化学デバイス用電解質塩。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の4級アンモニウム系常温溶融塩からなる電気化学デバイス用電解液。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の4級アンモニウム系常温溶融塩と有機溶媒を含有してなる電気化学デバイス用電解液。
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