JP2004259731A - 回路基板製作方法及び回路基板製作用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、熱可塑性樹脂を誘電体として用い、誘電体上下に配置されている銅箔を簡易に導体接続させる回路基板製作方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂1、上部銅箔2、下部銅箔3から構成される回路基板形成材料を加熱しながら、突起を持つ治具6を押し当てるとともに、治具6に超音波を与えることで、上部銅箔2と下部銅箔3の導体接続を実施する。簡易に導体接続が可能となるため、安価で大量生産向きの回路基板が製作できるとともに、マイクロ波やミリ波帯の高周波回路製作が容易となり、無線端末、無線基地局、レーダー装置を安価に製作することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】熱可塑性樹脂1、上部銅箔2、下部銅箔3から構成される回路基板形成材料を加熱しながら、突起を持つ治具6を押し当てるとともに、治具6に超音波を与えることで、上部銅箔2と下部銅箔3の導体接続を実施する。簡易に導体接続が可能となるため、安価で大量生産向きの回路基板が製作できるとともに、マイクロ波やミリ波帯の高周波回路製作が容易となり、無線端末、無線基地局、レーダー装置を安価に製作することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板製作方法及び回路基板製作用治具に関するものであり、特に、2層もしくは多層の配線間の接続を簡易にならしめる方法について提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラスエポキシ基板は、通信機器、コンピューターなどの電子機器用の基板として広く用いられているが、エポキシが熱硬化型の樹脂であることから再生が難しいため、近年の環境負荷配慮の観点から、再生が容易な熱可塑性樹脂のみを誘電体として用いる回路用基板材料の出現が望まれている。一例として、熱可塑性樹脂による2枚の基板素片を貼り合わせてフレキシブル配線板を形成したものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
液晶ポリマーは、熱可塑性の樹脂であり、ガラスクロスを用いなくても液晶ポリマーを誘電体としてその両面に銅箔を直接貼り合わせることが可能であることと、誘電損失がガラスエポキシ誘電体よりも小さいため高周波を扱う基板材料として有利であることから、回路基板への展開が期待されている材料である。
【0004】
両面銅貼りの液晶ポリマーは、すでに回路作成用材料として市販されているが、この両面銅貼り液晶ポリマーを回路基板として用いる場合、一般に図4を示す工程を経て、回路基板として加工される。
【0005】
図4において(a)は、両面銅貼りの液晶ポリマーの断面図を示しており、1は液晶ポリマー、2は液晶ポリマーの上層に貼り付けられた銅箔、3は液晶ポリマーの下層に貼り付けられた銅箔を示している。回路基板を製作するためには、この図4(a)の状態を出発として、加工が行われていく。
【0006】
図4(b)は上層の銅箔2と下層の銅箔3を電気的に接続するための前工程として、両面銅貼り液晶ポリマーにスルーホールと呼ばれる貫通孔を空ける工程を示しており、4はスルーホールを表している。
【0007】
スルーホールを形成する具体的な手法としては、ドリル加工を用いることが一般的である。ドリル加工は加工プログラムを実施することにより任意の場所に貫通孔を形成することができる。また、図示していないが、ドリル加工でスルーホールを形成した後、後工程のめっき膜形成を容易にさせるため、スルーホール加工面の洗浄、および薬液処理を行う工程も存在する。
【0008】
図4(c)は、スルーホール4内に銅めっきを行なうことで、上層の銅箔2と下層の銅箔3の電気的接続を銅5により果たす工程を示している。
【0009】
図4(c)の工程の後、上層の銅箔2および下層の銅箔3に対しレジストマスクを形成し、その後ウエットエッチングを行なうことで各銅箔に回路パターンを形成させることにより、回路基板を完成させることができる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−119145号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の回路製作方法は、工程数が多く、回路製作に時間がかかるという課題を有している。
【0012】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂、特に液晶ポリマーを誘電体とする両面銅貼り材料を、容易に回路基板に作製できる方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路基板製作方法は、熱可塑性樹脂を誘電体として用い、誘電体の両端に金属膜が形成されている回路形成用材料を加工する方法であって、回路形成材料を加熱するとともに、突起を有する構造体に超音波を加えながら、構造体の突起部を回路形成材料に対し押し当てて、誘電体の両端に形成されている金属膜の一部を接続させる構成を採る。このような構成によれば、回路形成用材料にスルーホールなどの貫通孔を形成させることなく、上下に配置された金属膜の電気的接続を簡易に果たすことが可能となる。
【0014】
また本発明の別の高周波回路製作方法は、熱可塑性樹脂を誘電体として用い、誘電体の両端と内部に金属膜が形成されている回路形成用材料を加工する方法であって、回路形成材料を加熱するとともに、突起を有する構造体に超音波を加えながら、構造体の突起部を回路形成材料に対し押し当てて、誘電体の一端に形成されている金属膜の一部と少なくとも1つの他の金属膜の一部とを接続させる構成をとる。このような構成によれば、多層構造の回路形成用材料にスルーホールなどの貫通孔を形成させることなく、上下に配置された金属膜の電気的接続を簡易に果たすことが可能となる。
【0015】
また本発明の回路基板製作方法は、誘電体の両端の金属膜が銅である構成をとる。このような構成によれば、銅が電気伝導度が良好な材料であることから、導体損の小さい回路基板を製作することが可能となる。
【0016】
また本発明の回路基板製作方法は、誘電体の材料が液晶ポリマーである構成をとる。このような構成によれば、液晶ポリマー自身の誘電損失が小さいことから、誘電体損を低減した回路基板を製作することが可能となる。
【0017】
また本発明の回路基板製作用治具は、構造体に形成されている突起が任意に複数個存在する構成をとる。このような構成によれば、一度に複数個の上下銅箔間の電気的接続を取ることが可能となる。
【0018】
また本発明の回路基板製作用治具は、治具を構成する構造体の材質がシリコンであり、その製作方法は、突起物をウエットエッチングを用いて加工する構成をとる。このような構成によれば、平坦度が保証されかつ安価に入手できる半導体製造用のシリコン基板を母材として使用できるため、安価な回路基板製作用治具を製作することが可能となる。
【0019】
また本発明の回路基板製作用治具は、治具を構成する構造体の材質がシリコンであり、その製作方法は、突起物をドライエッチングを用いて加工する構成をとる。このような構成によれば、シリコンの結晶方位の影響を受けない突起加工ができるため、突起形状を任意の形にすることが可能となる。
【0020】
また本発明の回路基板製作用治具は、治具を構成する構造体の材質がステンレス、タングステン、銅もしくは銅含有合金のいずれかの材料であり、その製作方法は、突起物をウエットエッチングにて加工する構成をとる。このような構成によれば、ステンレスまたはタングステンを母材とする場合は耐腐食性の面で有利であり、銅もしくは銅含有合金を母材として使用する場合は他の金属よりも硬度が低いことから加工時の回路基板母材へ損傷を防ぐことが可能となる。
【0021】
また本発明の回路基板製作用治具は、回路基板製作用治具に、耐熱性を有するコーティング膜、たとえばベンゾシクロブテンやポリイミドがコーティングされる構成をとる。このような構成によれば、回路基板製作用治具の酸化防止が行なえるとともに、ベンゾシクロブテンやポリイミドが銅箔と結合しにくい物質であることから、銅箔に加圧した後の分離が容易になる。
【0022】
また本発明の回路基板製作用治具は、回路基板製作用治具に、耐磨耗性を有するコーティング膜、たとえば窒化チタン(TiN)または炭化チタン(TiC)を主成分とする膜がコーティングされる構成をとる。このような構成によれば、回路基板製作用治具の耐磨耗性を向上させることが可能となる。
【0023】
本発明の無線端末装置、基地局装置、無線計測装置、レーダー装置は、上記回路基板製作方法を用いて作製した回路基板、あるいは、上記回路基板製作用治具を用いて作製した回路基板、を備えた構成をとる。
【0024】
これらの構成によれば、安価で、信頼性の高い、通信端末装置、基地局装置、無線計測装置及びレーダー装置を製造することが出来る。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0026】
(実施の形態1)
近年、環境配慮の観点において、熱硬化性樹脂が再生、再利用の難しい材料であるのに対し、熱可塑性樹脂は再生、再利用が可能な材料であることから、生産物の環境負荷を低減させるために熱可塑性樹脂の利用が高まっている。
【0027】
回路基板の材料としても、従来は熱硬化性樹脂であるエポキシの利用が一般的な回路製作方法であったが、環境負荷への配慮から、液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂を使った回路基板製作方法の出現が望まれている。
【0028】
また、誘電体に貼り合わせる金属素材として、銅箔を選択すると、銅(Cu)が塩化銅、塩化鉄などを用いて容易に回収可能であることから、環境配慮の点で有効となる。
【0029】
また液晶ポリマーを回路基板の誘電体として利用する回路基板は、特にマイクロ波帯、ミリ波帯などの高周波領域において誘電損失がエポキシなどの熱硬化性樹脂よりも小さいため、高周波帯での回路基板として有望であるとともに、他の熱可塑性材料、たとえばポリイミドや4フッ化エチレン樹脂が非粘着性を有し導体となる銅箔との貼り合わせが接着剤等を用いないと困難なことに対し、液晶ポリマーは接着剤等を用いなくても直接銅箔との貼り合わせが可能であるため、回路基板として製作上、工数低減などの利点が多い。
【0030】
すでに液晶ポリマーを誘電体として、液晶ポリマーの両面に銅箔を貼り合わせた回路基板作製材料は市販されているが、本発明は、回路基板製作材料である両面銅貼り液晶ポリマーを使用して、液晶ポリマーの熱可塑性を利用し、安価に回路基板を製作する方法を提供することを目的としている。
【0031】
樹脂の特性を鑑みたとき、熱硬化性とは、材料中に含まれる重合体が加熱により硬化する性質を有する機能を指すもので、エポキシなどの熱硬化性樹脂は、加熱することにより硬化する特徴を持つのに対し、熱可塑性とは、加熱すると塑性変形しやすくなり冷却すると可逆的に硬化する性質を有する機能を指し、液晶ポリマーは熱可塑性樹脂であるため、加熱すると塑性変形を起こしやすい材料特性を持っている。本発明は、液晶ポリマーが熱可塑性の樹脂であることに着目して回路基板の製作方法を提供するものである。
【0032】
図1は、本発明の一実施の形態であり、液晶ポリマーの熱可塑性という特性に着目した回路基板製作方法の工程を示すものである。
【0033】
図1(a)において、1は液晶ポリマー、2は液晶ポリマー1の上面に貼り合わされた銅箔、3は液晶ポリマー1の下面に貼り合わされた銅箔を示しており、液晶ポリマー1、銅箔2および銅箔3により回路基板形成材料が構成されている。また6は後工程で銅箔2および液晶ポリマーを加圧する治具を示している。
【0034】
なお、この工程および後工程において、液晶ポリマー1、銅箔2および銅箔3より構成される回路基板形成材料と治具6は任意の温度(おおむね100〜300℃)に加熱されているものとする。
【0035】
図1(b)は、液晶ポリマー1、銅箔2および銅箔3より構成される回路基板形成材料に対し、治具6を加圧することによって、液晶ポリマー1および銅箔2が塑性変形を起こしている状態を示している。熱可塑性樹脂である液晶ポリマー1は加熱により、塑性変形を起こしやすい状態になっており、また、銅箔2は延性に富む材料であることから、治具6の加圧により両者とも塑性変形を起こす。図1(b)中の7は、治具6の加圧により押し流される液晶ポリマーの状態を表している。
【0036】
図1(c)は、液晶ポリマー1を押し流した後、銅箔2と銅箔3を接合させる工程を示している。銅箔の接合のため、治具6には超音波が印加され、治具6より銅箔2と銅箔3間に超音波エネルギーが伝達されることにより、接合が実施される。図1(c)の8は、超音波の印加状態を表している。
【0037】
図1(d)は、治具6を取り除き、銅箔2と銅箔3の電気的接続が取れた状態を表している。この工程の後、各銅箔に対しレジストのパターンニング、ウエットエッチングを実施することで各銅箔に回路パターンを形成することにより、回路基板を完成させることができる。
【0038】
図1に示す本発明の回路基板製作工程を、実際に本発明者が実施し、以下を確認している。
【0039】
液晶ポリマー 125μm厚、上下の各銅箔18μmで構成される銅箔貼り合わせ液晶ポリマーの回路基板形成材料に対し、 150℃に加熱した後に、ワイヤーボンディング装置を使って、ワイヤーボンディング装置(ウエストボンド社製 型番:7700C )のキャピラリー(セラミック製、先端径 100μm、ワイヤーなしの状態)を加熱かつ超音波(64kHz )を加えながら回路基板形成材料に加圧したところ、良好に上下間の銅箔が接合された。
【0040】
上記実験は、手動のワイヤーボンディング装置を用いて行なったものであるが、上記実験の応用として、任意の加圧場所を設定できる自動型のワイヤーボンディング装置を用いれば、回路基板形成材料の任意の個所での導体接続が可能となる。
【0041】
また、図2に示すような金属が多層(図2では3層)構造となった回路基板形成材料も、図1で説明した方法と同様に、導体接続が可能である。
【0042】
図2(a)において、1、2、3、6は図1で説明した部材であり、9は液晶ポリマー1の中間に埋め込まれた銅箔を表している。
【0043】
図1と図2の違いは、銅箔9の存在の有無である。この銅箔9は一般の回路基板において、内挿配線となるものである。図2においては、図2で示される箇所において銅箔9と銅箔1、および銅箔9と銅箔3の導体接続は実施してはならない箇所で、かつ銅箔2および銅箔3のみの導体接続を実施したい箇所とする。
【0044】
図2(b)は図1(c)と同様な工程であり、銅箔2と銅箔3を接続させている工程を示している。
【0045】
図2(c)は図1(d)と同様な工程であり、接合が完了した工程を表している。
【0046】
図2に示した工程を用いれば、銅箔が複数多層化されている回路基板形成材料に対しても、銅箔間の導体接続が実施可能となる。
【0047】
なお、上記形態においては、内挿配線である銅箔9が基板の上下面の導体である銅箔2や銅箔3と接続しない場合を示したが、銅箔2と銅箔9、或いは、銅箔2と銅箔9と銅箔3を接続することも可能である。
【0048】
(実施の形態2)
(実施の形態1)では、回路形成材料に対し、図1の6もしくは図2の6で示した単形状突起の治具を加圧させることにより2層間の導体接続を図ったが、複数個の突起が存在する回路基板製作用治具を用いれば、一度に大量の銅箔間接続が可能である。
【0049】
図3は、本発明の一実施の形態を示している。図3において10は複数個の突起をもつ回路基板製作用治具を示しており、11は治具10に形成された突起を表している。図3の治具10には、突起物1が規則的に並んであるように描かれているが、突起物11の配置は、実際には必要な場所に配置することとなる。治具10を用いて、図1で説明したような工程で回路基板製作を行なえば、一度に大量の銅箔間接続が可能となり、安価に回路基板を大量生産することが可能となる。
【0050】
複数の突起物を持つ本発明の回路基板製作用治具の製作方法としては、治具の材質としてシリコン、特に半導体製造用のシリコン基板を選定すると、材料の平坦度、平行度が保証されており、精度の高い回路基板製作用治具が製作できるばかりでなく、シリコン基板は大量に生産および販売されているため、機械的精度(平坦度、平行度)が高いにもかかわらず、安価に入手でき、治具製作のための材料コストを削減することができる。
【0051】
なお複数の突起の加工は、シリコン基板にレジストパターンを形成した後、ウエットエッチングを施すことにより、短時間のうちに、大量に回路基板製作用治具を作製することが可能となる。
【0052】
また、シリコンに対するウエットエッチングは、シリコンの結晶方位のエッチングレートの差を利用した加工方法であり、突起物の形状がシリコンの結晶方位の影響を受けた形状(たとえば円柱状の突起が形成出来ない等)となるが、シリコン基板にレジストパターンを形成した後、シリコン基板にドライエッチングを実施すれば、突起物は任意の形状に加工することが可能である。
【0053】
また、ドライエッチングの手法として、誘導結合型のプラズマ源を用いて加工すると、一般のドライエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)よりもプラズマ密度が高いため、ウエットエッチングに匹敵するシリコン基板の加工速度(2〜20μm/min)を得ることができる。
【0054】
なお、本発明の別の形態として、複数の突起物を持つ回路基板製作用治具の材質として、ステンレス、タングステン、銅もしくは銅含有合金などの金属材料を選定することもできる。これらの材料は、ウエットエッチングにより、シリコンのように結晶方位に左右されることなく、任意の形状の突起物が形成可能である。
【0055】
ステンレスまたはタングステンを治具の材質とする場合は、ステンレスやタングステンが耐腐食性の高い材料であることから、腐食しにくい回路基板製作用治具ができる。銅もしくは銅含有合金を治具の材質とする場合は、これらの材料の硬度が他の金属よりも低いことから、回路基板形成材料に対する加工ダメージを低減させることができるとともに、これらの材料の熱伝導率が他の材料と比べて高いため、回路基板形成材料の加工時に、効率的に回路基板形成材料に熱を加えることが可能となり、加工精度の高い回路基板を製作することが可能となる。
【0056】
また、上記のように製作した回路基板製作用治具に対して、コーティングを施すと、さらに別の機能が付加され、高機能な回路基板製作用治具を製作することが可能となる。
【0057】
たとえば、ベンゾシクロブテンやポリイミドのように耐熱性を有するコーティング膜を形成すれば、回路基板製作用治具の耐熱性を高めることができる。また、ベンゾシクロブテンやポリイミドは非粘着性を有する材料であることから、図1(d)で示した工程において、回路基板製作用治具の突起を回路基板形成材料から分離させるときに、回路基板形成材料からスムーズに分離させることが可能となる。
【0058】
また、窒化チタン(TiN)または炭化チタン(TiC)を主成分とする膜を回路基板製作用治具に対してコーティングすれば、これらの材料が耐磨耗性を有する材料であるため、回路基板製作用治具の耐磨耗性を向上させることが可能となる。
【0059】
(実施の形態3)
(実施の形態1)および(実施の形態2)で記載した回路基板製作方法および回路基板製作用治具を用いて製作した回路基板は、安価で量産性に優れた回路の製造が可能となる。
【0060】
また本発明により製作する回路基板は、無線端末装置、基地局装置、無線計測装置およびレーダー装置等への適用が可能であり、高機能でかつ大量生産に適した装置を製造することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、誘電損失が小さくリサイクル性の高い熱可塑性樹脂を用いた安価な回路基板が製作可能となるという有利な効果が得られる。
【0062】
また、このような特徴を有する回路基板を用いることにより、安価でリサイクル性が高い、高周波回路やその回路を用いた通信端末装置、基地局装置、無線計測装置、レーダー装置を製作することが可能となり、広く社会にこれらの装置を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回路基板の製作方法を示す工程図
【図2】本発明の一実施の形態に係る回路基板の製作方法を示す工程図
【図3】本発明の一実施の形態に係る回路基板製作用治具を示す斜視図
【図4】従来の回路基板の製作方法を示す工程図
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂(液晶ポリマー)
2 上部銅箔
3 下部銅箔
4 スルーホール
5 めっきにより形成された銅
6 治具
7 樹脂の流動を示す記号
8 超音波印加を示す記号
9 内挿された銅箔
10 多数の突起を持つ治具
11 突起
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板製作方法及び回路基板製作用治具に関するものであり、特に、2層もしくは多層の配線間の接続を簡易にならしめる方法について提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラスエポキシ基板は、通信機器、コンピューターなどの電子機器用の基板として広く用いられているが、エポキシが熱硬化型の樹脂であることから再生が難しいため、近年の環境負荷配慮の観点から、再生が容易な熱可塑性樹脂のみを誘電体として用いる回路用基板材料の出現が望まれている。一例として、熱可塑性樹脂による2枚の基板素片を貼り合わせてフレキシブル配線板を形成したものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
液晶ポリマーは、熱可塑性の樹脂であり、ガラスクロスを用いなくても液晶ポリマーを誘電体としてその両面に銅箔を直接貼り合わせることが可能であることと、誘電損失がガラスエポキシ誘電体よりも小さいため高周波を扱う基板材料として有利であることから、回路基板への展開が期待されている材料である。
【0004】
両面銅貼りの液晶ポリマーは、すでに回路作成用材料として市販されているが、この両面銅貼り液晶ポリマーを回路基板として用いる場合、一般に図4を示す工程を経て、回路基板として加工される。
【0005】
図4において(a)は、両面銅貼りの液晶ポリマーの断面図を示しており、1は液晶ポリマー、2は液晶ポリマーの上層に貼り付けられた銅箔、3は液晶ポリマーの下層に貼り付けられた銅箔を示している。回路基板を製作するためには、この図4(a)の状態を出発として、加工が行われていく。
【0006】
図4(b)は上層の銅箔2と下層の銅箔3を電気的に接続するための前工程として、両面銅貼り液晶ポリマーにスルーホールと呼ばれる貫通孔を空ける工程を示しており、4はスルーホールを表している。
【0007】
スルーホールを形成する具体的な手法としては、ドリル加工を用いることが一般的である。ドリル加工は加工プログラムを実施することにより任意の場所に貫通孔を形成することができる。また、図示していないが、ドリル加工でスルーホールを形成した後、後工程のめっき膜形成を容易にさせるため、スルーホール加工面の洗浄、および薬液処理を行う工程も存在する。
【0008】
図4(c)は、スルーホール4内に銅めっきを行なうことで、上層の銅箔2と下層の銅箔3の電気的接続を銅5により果たす工程を示している。
【0009】
図4(c)の工程の後、上層の銅箔2および下層の銅箔3に対しレジストマスクを形成し、その後ウエットエッチングを行なうことで各銅箔に回路パターンを形成させることにより、回路基板を完成させることができる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−119145号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の回路製作方法は、工程数が多く、回路製作に時間がかかるという課題を有している。
【0012】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂、特に液晶ポリマーを誘電体とする両面銅貼り材料を、容易に回路基板に作製できる方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路基板製作方法は、熱可塑性樹脂を誘電体として用い、誘電体の両端に金属膜が形成されている回路形成用材料を加工する方法であって、回路形成材料を加熱するとともに、突起を有する構造体に超音波を加えながら、構造体の突起部を回路形成材料に対し押し当てて、誘電体の両端に形成されている金属膜の一部を接続させる構成を採る。このような構成によれば、回路形成用材料にスルーホールなどの貫通孔を形成させることなく、上下に配置された金属膜の電気的接続を簡易に果たすことが可能となる。
【0014】
また本発明の別の高周波回路製作方法は、熱可塑性樹脂を誘電体として用い、誘電体の両端と内部に金属膜が形成されている回路形成用材料を加工する方法であって、回路形成材料を加熱するとともに、突起を有する構造体に超音波を加えながら、構造体の突起部を回路形成材料に対し押し当てて、誘電体の一端に形成されている金属膜の一部と少なくとも1つの他の金属膜の一部とを接続させる構成をとる。このような構成によれば、多層構造の回路形成用材料にスルーホールなどの貫通孔を形成させることなく、上下に配置された金属膜の電気的接続を簡易に果たすことが可能となる。
【0015】
また本発明の回路基板製作方法は、誘電体の両端の金属膜が銅である構成をとる。このような構成によれば、銅が電気伝導度が良好な材料であることから、導体損の小さい回路基板を製作することが可能となる。
【0016】
また本発明の回路基板製作方法は、誘電体の材料が液晶ポリマーである構成をとる。このような構成によれば、液晶ポリマー自身の誘電損失が小さいことから、誘電体損を低減した回路基板を製作することが可能となる。
【0017】
また本発明の回路基板製作用治具は、構造体に形成されている突起が任意に複数個存在する構成をとる。このような構成によれば、一度に複数個の上下銅箔間の電気的接続を取ることが可能となる。
【0018】
また本発明の回路基板製作用治具は、治具を構成する構造体の材質がシリコンであり、その製作方法は、突起物をウエットエッチングを用いて加工する構成をとる。このような構成によれば、平坦度が保証されかつ安価に入手できる半導体製造用のシリコン基板を母材として使用できるため、安価な回路基板製作用治具を製作することが可能となる。
【0019】
また本発明の回路基板製作用治具は、治具を構成する構造体の材質がシリコンであり、その製作方法は、突起物をドライエッチングを用いて加工する構成をとる。このような構成によれば、シリコンの結晶方位の影響を受けない突起加工ができるため、突起形状を任意の形にすることが可能となる。
【0020】
また本発明の回路基板製作用治具は、治具を構成する構造体の材質がステンレス、タングステン、銅もしくは銅含有合金のいずれかの材料であり、その製作方法は、突起物をウエットエッチングにて加工する構成をとる。このような構成によれば、ステンレスまたはタングステンを母材とする場合は耐腐食性の面で有利であり、銅もしくは銅含有合金を母材として使用する場合は他の金属よりも硬度が低いことから加工時の回路基板母材へ損傷を防ぐことが可能となる。
【0021】
また本発明の回路基板製作用治具は、回路基板製作用治具に、耐熱性を有するコーティング膜、たとえばベンゾシクロブテンやポリイミドがコーティングされる構成をとる。このような構成によれば、回路基板製作用治具の酸化防止が行なえるとともに、ベンゾシクロブテンやポリイミドが銅箔と結合しにくい物質であることから、銅箔に加圧した後の分離が容易になる。
【0022】
また本発明の回路基板製作用治具は、回路基板製作用治具に、耐磨耗性を有するコーティング膜、たとえば窒化チタン(TiN)または炭化チタン(TiC)を主成分とする膜がコーティングされる構成をとる。このような構成によれば、回路基板製作用治具の耐磨耗性を向上させることが可能となる。
【0023】
本発明の無線端末装置、基地局装置、無線計測装置、レーダー装置は、上記回路基板製作方法を用いて作製した回路基板、あるいは、上記回路基板製作用治具を用いて作製した回路基板、を備えた構成をとる。
【0024】
これらの構成によれば、安価で、信頼性の高い、通信端末装置、基地局装置、無線計測装置及びレーダー装置を製造することが出来る。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0026】
(実施の形態1)
近年、環境配慮の観点において、熱硬化性樹脂が再生、再利用の難しい材料であるのに対し、熱可塑性樹脂は再生、再利用が可能な材料であることから、生産物の環境負荷を低減させるために熱可塑性樹脂の利用が高まっている。
【0027】
回路基板の材料としても、従来は熱硬化性樹脂であるエポキシの利用が一般的な回路製作方法であったが、環境負荷への配慮から、液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂を使った回路基板製作方法の出現が望まれている。
【0028】
また、誘電体に貼り合わせる金属素材として、銅箔を選択すると、銅(Cu)が塩化銅、塩化鉄などを用いて容易に回収可能であることから、環境配慮の点で有効となる。
【0029】
また液晶ポリマーを回路基板の誘電体として利用する回路基板は、特にマイクロ波帯、ミリ波帯などの高周波領域において誘電損失がエポキシなどの熱硬化性樹脂よりも小さいため、高周波帯での回路基板として有望であるとともに、他の熱可塑性材料、たとえばポリイミドや4フッ化エチレン樹脂が非粘着性を有し導体となる銅箔との貼り合わせが接着剤等を用いないと困難なことに対し、液晶ポリマーは接着剤等を用いなくても直接銅箔との貼り合わせが可能であるため、回路基板として製作上、工数低減などの利点が多い。
【0030】
すでに液晶ポリマーを誘電体として、液晶ポリマーの両面に銅箔を貼り合わせた回路基板作製材料は市販されているが、本発明は、回路基板製作材料である両面銅貼り液晶ポリマーを使用して、液晶ポリマーの熱可塑性を利用し、安価に回路基板を製作する方法を提供することを目的としている。
【0031】
樹脂の特性を鑑みたとき、熱硬化性とは、材料中に含まれる重合体が加熱により硬化する性質を有する機能を指すもので、エポキシなどの熱硬化性樹脂は、加熱することにより硬化する特徴を持つのに対し、熱可塑性とは、加熱すると塑性変形しやすくなり冷却すると可逆的に硬化する性質を有する機能を指し、液晶ポリマーは熱可塑性樹脂であるため、加熱すると塑性変形を起こしやすい材料特性を持っている。本発明は、液晶ポリマーが熱可塑性の樹脂であることに着目して回路基板の製作方法を提供するものである。
【0032】
図1は、本発明の一実施の形態であり、液晶ポリマーの熱可塑性という特性に着目した回路基板製作方法の工程を示すものである。
【0033】
図1(a)において、1は液晶ポリマー、2は液晶ポリマー1の上面に貼り合わされた銅箔、3は液晶ポリマー1の下面に貼り合わされた銅箔を示しており、液晶ポリマー1、銅箔2および銅箔3により回路基板形成材料が構成されている。また6は後工程で銅箔2および液晶ポリマーを加圧する治具を示している。
【0034】
なお、この工程および後工程において、液晶ポリマー1、銅箔2および銅箔3より構成される回路基板形成材料と治具6は任意の温度(おおむね100〜300℃)に加熱されているものとする。
【0035】
図1(b)は、液晶ポリマー1、銅箔2および銅箔3より構成される回路基板形成材料に対し、治具6を加圧することによって、液晶ポリマー1および銅箔2が塑性変形を起こしている状態を示している。熱可塑性樹脂である液晶ポリマー1は加熱により、塑性変形を起こしやすい状態になっており、また、銅箔2は延性に富む材料であることから、治具6の加圧により両者とも塑性変形を起こす。図1(b)中の7は、治具6の加圧により押し流される液晶ポリマーの状態を表している。
【0036】
図1(c)は、液晶ポリマー1を押し流した後、銅箔2と銅箔3を接合させる工程を示している。銅箔の接合のため、治具6には超音波が印加され、治具6より銅箔2と銅箔3間に超音波エネルギーが伝達されることにより、接合が実施される。図1(c)の8は、超音波の印加状態を表している。
【0037】
図1(d)は、治具6を取り除き、銅箔2と銅箔3の電気的接続が取れた状態を表している。この工程の後、各銅箔に対しレジストのパターンニング、ウエットエッチングを実施することで各銅箔に回路パターンを形成することにより、回路基板を完成させることができる。
【0038】
図1に示す本発明の回路基板製作工程を、実際に本発明者が実施し、以下を確認している。
【0039】
液晶ポリマー 125μm厚、上下の各銅箔18μmで構成される銅箔貼り合わせ液晶ポリマーの回路基板形成材料に対し、 150℃に加熱した後に、ワイヤーボンディング装置を使って、ワイヤーボンディング装置(ウエストボンド社製 型番:7700C )のキャピラリー(セラミック製、先端径 100μm、ワイヤーなしの状態)を加熱かつ超音波(64kHz )を加えながら回路基板形成材料に加圧したところ、良好に上下間の銅箔が接合された。
【0040】
上記実験は、手動のワイヤーボンディング装置を用いて行なったものであるが、上記実験の応用として、任意の加圧場所を設定できる自動型のワイヤーボンディング装置を用いれば、回路基板形成材料の任意の個所での導体接続が可能となる。
【0041】
また、図2に示すような金属が多層(図2では3層)構造となった回路基板形成材料も、図1で説明した方法と同様に、導体接続が可能である。
【0042】
図2(a)において、1、2、3、6は図1で説明した部材であり、9は液晶ポリマー1の中間に埋め込まれた銅箔を表している。
【0043】
図1と図2の違いは、銅箔9の存在の有無である。この銅箔9は一般の回路基板において、内挿配線となるものである。図2においては、図2で示される箇所において銅箔9と銅箔1、および銅箔9と銅箔3の導体接続は実施してはならない箇所で、かつ銅箔2および銅箔3のみの導体接続を実施したい箇所とする。
【0044】
図2(b)は図1(c)と同様な工程であり、銅箔2と銅箔3を接続させている工程を示している。
【0045】
図2(c)は図1(d)と同様な工程であり、接合が完了した工程を表している。
【0046】
図2に示した工程を用いれば、銅箔が複数多層化されている回路基板形成材料に対しても、銅箔間の導体接続が実施可能となる。
【0047】
なお、上記形態においては、内挿配線である銅箔9が基板の上下面の導体である銅箔2や銅箔3と接続しない場合を示したが、銅箔2と銅箔9、或いは、銅箔2と銅箔9と銅箔3を接続することも可能である。
【0048】
(実施の形態2)
(実施の形態1)では、回路形成材料に対し、図1の6もしくは図2の6で示した単形状突起の治具を加圧させることにより2層間の導体接続を図ったが、複数個の突起が存在する回路基板製作用治具を用いれば、一度に大量の銅箔間接続が可能である。
【0049】
図3は、本発明の一実施の形態を示している。図3において10は複数個の突起をもつ回路基板製作用治具を示しており、11は治具10に形成された突起を表している。図3の治具10には、突起物1が規則的に並んであるように描かれているが、突起物11の配置は、実際には必要な場所に配置することとなる。治具10を用いて、図1で説明したような工程で回路基板製作を行なえば、一度に大量の銅箔間接続が可能となり、安価に回路基板を大量生産することが可能となる。
【0050】
複数の突起物を持つ本発明の回路基板製作用治具の製作方法としては、治具の材質としてシリコン、特に半導体製造用のシリコン基板を選定すると、材料の平坦度、平行度が保証されており、精度の高い回路基板製作用治具が製作できるばかりでなく、シリコン基板は大量に生産および販売されているため、機械的精度(平坦度、平行度)が高いにもかかわらず、安価に入手でき、治具製作のための材料コストを削減することができる。
【0051】
なお複数の突起の加工は、シリコン基板にレジストパターンを形成した後、ウエットエッチングを施すことにより、短時間のうちに、大量に回路基板製作用治具を作製することが可能となる。
【0052】
また、シリコンに対するウエットエッチングは、シリコンの結晶方位のエッチングレートの差を利用した加工方法であり、突起物の形状がシリコンの結晶方位の影響を受けた形状(たとえば円柱状の突起が形成出来ない等)となるが、シリコン基板にレジストパターンを形成した後、シリコン基板にドライエッチングを実施すれば、突起物は任意の形状に加工することが可能である。
【0053】
また、ドライエッチングの手法として、誘導結合型のプラズマ源を用いて加工すると、一般のドライエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)よりもプラズマ密度が高いため、ウエットエッチングに匹敵するシリコン基板の加工速度(2〜20μm/min)を得ることができる。
【0054】
なお、本発明の別の形態として、複数の突起物を持つ回路基板製作用治具の材質として、ステンレス、タングステン、銅もしくは銅含有合金などの金属材料を選定することもできる。これらの材料は、ウエットエッチングにより、シリコンのように結晶方位に左右されることなく、任意の形状の突起物が形成可能である。
【0055】
ステンレスまたはタングステンを治具の材質とする場合は、ステンレスやタングステンが耐腐食性の高い材料であることから、腐食しにくい回路基板製作用治具ができる。銅もしくは銅含有合金を治具の材質とする場合は、これらの材料の硬度が他の金属よりも低いことから、回路基板形成材料に対する加工ダメージを低減させることができるとともに、これらの材料の熱伝導率が他の材料と比べて高いため、回路基板形成材料の加工時に、効率的に回路基板形成材料に熱を加えることが可能となり、加工精度の高い回路基板を製作することが可能となる。
【0056】
また、上記のように製作した回路基板製作用治具に対して、コーティングを施すと、さらに別の機能が付加され、高機能な回路基板製作用治具を製作することが可能となる。
【0057】
たとえば、ベンゾシクロブテンやポリイミドのように耐熱性を有するコーティング膜を形成すれば、回路基板製作用治具の耐熱性を高めることができる。また、ベンゾシクロブテンやポリイミドは非粘着性を有する材料であることから、図1(d)で示した工程において、回路基板製作用治具の突起を回路基板形成材料から分離させるときに、回路基板形成材料からスムーズに分離させることが可能となる。
【0058】
また、窒化チタン(TiN)または炭化チタン(TiC)を主成分とする膜を回路基板製作用治具に対してコーティングすれば、これらの材料が耐磨耗性を有する材料であるため、回路基板製作用治具の耐磨耗性を向上させることが可能となる。
【0059】
(実施の形態3)
(実施の形態1)および(実施の形態2)で記載した回路基板製作方法および回路基板製作用治具を用いて製作した回路基板は、安価で量産性に優れた回路の製造が可能となる。
【0060】
また本発明により製作する回路基板は、無線端末装置、基地局装置、無線計測装置およびレーダー装置等への適用が可能であり、高機能でかつ大量生産に適した装置を製造することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、誘電損失が小さくリサイクル性の高い熱可塑性樹脂を用いた安価な回路基板が製作可能となるという有利な効果が得られる。
【0062】
また、このような特徴を有する回路基板を用いることにより、安価でリサイクル性が高い、高周波回路やその回路を用いた通信端末装置、基地局装置、無線計測装置、レーダー装置を製作することが可能となり、広く社会にこれらの装置を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回路基板の製作方法を示す工程図
【図2】本発明の一実施の形態に係る回路基板の製作方法を示す工程図
【図3】本発明の一実施の形態に係る回路基板製作用治具を示す斜視図
【図4】従来の回路基板の製作方法を示す工程図
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂(液晶ポリマー)
2 上部銅箔
3 下部銅箔
4 スルーホール
5 めっきにより形成された銅
6 治具
7 樹脂の流動を示す記号
8 超音波印加を示す記号
9 内挿された銅箔
10 多数の突起を持つ治具
11 突起
Claims (22)
- 熱可塑性樹脂を用いた誘電体と、前記誘電体の両端に形成した金属膜と、を有する回路形成用材料を加工する回路基板製作方法であって、前記回路形成用材料を加熱する工程と、突起を有する構造体に超音波を加えながら、前記構造体の突起部を前記回路形成用材料に押し当てて加圧し、前記誘電体の両端に形成されている金属膜の一部分を接続させる工程と、を有することを特徴とする回路基板製作方法。
- 熱可塑性樹脂を用いた誘電体と、前記誘電体の両端及び内部に形成した金属膜と、を有する回路形成用材料を加工する回路基板製作方法であって、前記回路形成用材料を加熱する工程と、突起を有する構造体に超音波を加えながら、前記構造体の突起部を前記回路形成用材料に押し当てて加圧し、前記誘電体の一端に形成されている金属膜の一部分と少なくとも1つの他の金属膜の一部分とを接続させる工程と、を有することを特徴とする回路基板製作方法。
- 接続させる金属膜は、誘電体の両端に形成されている金属膜であることを特徴とする請求項2記載の回路基板製作方法。
- 接続させる金属膜が銅であることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の回路基板製作方法。
- 誘電体の材料が液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の回路基板製作方法。
- 請求項1から5のいずれか記載の回路基板製作方法を用いて作製した回路基板。
- 超音波を伝達する少なくとも1つの突起部を有する構造体を有する回路基板製作用治具であって、熱可塑性樹脂を用いた誘電体と前記誘電体の両端に形成した金属膜とを有し且つ加熱された回路形成用材料に対して、前記突起部に超音波を伝達しながら前記突起部を押し当てて加圧し、前記誘電体の両端に形成されている金属膜の一部を接続させることを特徴とする回路基板製作用治具。
- 超音波を伝達する少なくとも1つの突起部を有する構造体を有する回路基板製作用治具であって、熱可塑性樹脂を用いた誘電体と前記誘電体の両端及び内部に形成した金属膜とを有し且つ加熱された回路形成用材料に対して、前記突起部に超音波を伝達しながら前記突起部を押し当てて加圧し、前記誘電体の一端に形成されている金属膜の一部分と少なくとも1つの他の金属膜の一部とを接続させることを特徴とする回路基板製作用治具。
- 接続させる金属膜は、誘電体の両端に形成されている金属膜であることを特徴とする請求項8記載の回路基板製作用治具。
- 構造体の材料が、シリコンであることを特徴とする請求項7から9のいずれか記載の回路基板製作用治具。
- 構造体の材料が、ステンレス、タングステン、銅もしくは銅含有合金のいずれかであることを特徴とする請求項7から9のいずれか記載の回路基板製作用治具。
- 構造体は、コーティング膜が施されていることを特徴とする請求項7から11のいずれか記載の回路基板製作用治具。
- コーティング膜が、ベンゾシクロブテンまたはポリイミドであることを特徴とする請求項12記載の回路基板製作用治具。
- コーティング膜が、窒化チタン(TiN)または炭化チタン(TiC)を主成分とする膜であることを特徴とする請求項12記載の回路基板製作用治具。
- 請求項10記載の回路基板製作用治具における構造体の突起部を、ドライエッチングを用いて形成することを特徴とする回路基板製作用治具の製作方法。
- 請求項10または11記載の回路基板製作用治具における構造体の突起部を、ウエットエッチングを用いて形成することを特徴とする回路基板製作用治具の製作方法。
- 請求項15または16記載の回路基板製作用治具の製作方法を用いて作製した回路基板製作用治具。
- 請求項7から14、17のいずれか記載の回路基板製作用治具を用いて作製した回路基板。
- 請求項6または18記載の回路基板を備えたことを特徴とする無線端末装置。
- 請求項6または18記載の回路基板を備えたことを特徴とする基地局装置。
- 請求項6または18記載の回路基板を備えたことを特徴とする無線計測装置。
- 請求項6または18記載の回路基板を備えたことを特徴とするレーダー装置。
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JP2003045644A JP2004259731A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | 回路基板製作方法及び回路基板製作用治具 |
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JP2006092006A (ja) * | 2004-09-21 | 2006-04-06 | Hitachi Chem Co Ltd | 非接触通信機器及びその製造方法 |
JP2007110010A (ja) * | 2005-10-17 | 2007-04-26 | Shindo Denshi Kogyo Kk | フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント回路板、およびそれらの製造方法 |
JP2013251300A (ja) * | 2012-05-30 | 2013-12-12 | Adwelds:Kk | 層間接続装置および層間接続方法 |
WO2015125951A1 (ja) * | 2014-02-24 | 2015-08-27 | 株式会社村田製作所 | 多層基板の製造方法および多層基板 |
-
2003
- 2003-02-24 JP JP2003045644A patent/JP2004259731A/ja active Pending
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