JP2004259580A - 表示装置の製造方法及び転写ローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】発光特性の劣化要因を軽減し、高精細な画素の効率的なパターニングにより表示装置を製造することである。
【解決手段】活性光線の照射により任意のパターンの親液領域202a及び撥液領域202bが形成された版200Rが円周上に形成された転写ローラ40Aが溶液プール42中で回転され、親液領域202aに光学材料層の溶液である有機EL層の有機化合物含有液60rが付着される。そして、透明基板12に対向して転写ローラ40Aを回転させることにより、透明基板12上の仕切り壁20により囲繞された囲繞領域19(R)に、付着された有機化合物含有液60rを転写して光学材料層としての有機EL層15(R)を形成して、表示装置を製造する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子が基板上に設けられた表示装置の製造方法及びその製造に用いる転写ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL(Electroluminescence:エレクトロルミネッセンス)素子はアノード、有機化合物からなる有機EL層、カソードの順に積層された積層構造を為しており、アノードとカソードの間に正バイアス電圧が印加されると有機EL層において発光する。このような複数の有機EL素子を赤、緑、青の何れかに発光させるサブピクセルとして基板上にマトリクス状に配列して画像表示を行う有機EL表示パネルが実現化されている。
【0003】
アクティブマトリクス駆動型有機EL表示パネルでは、アノード又はカソードのうちの一方の電極を全てのサブピクセルに共通する共通電極とすることができるが、少なくとも他方の電極及び有機EL層をサブピクセルごとにパターニングする必要がある。アノードやカソードをサブピクセルごとにパターニングする手法は従来の半導体装置製造技術を適用できる。つまり、PVD法又はCVD法等による成膜工程、フォトリソグラフィー法等によるマスク工程、エッチング法等による薄膜の形状加工工程を適宜行うことで、アノードやカソードをサブピクセルごとにパターニングすることができる。
【0004】
一方、インクジェット技術を応用することでサブピクセルごとに有機EL層をパターニングする技術が提案されている。例えば、赤、緑及び青の各色の有機発光層形成のため、有機発光層になる発光材料を液滴として画素ごとにノズルから吐出することで、画素ごとに有機発光層をパターニングする(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、特許文献1のようなインクジェット方式では、液状の発光材料が吐出口で乾きやすいために吐出口を塞いでしまい、発光材料の吐出量が不安定になり易いおそれがあった。そのため、画素内の有機EL層の膜厚が不均一となったり、画素欠陥が発生するおそれがあった。また、インクジェット方式は、スピンコートやロールコート等の方式と比べて、製造時間が長くなるというおそれがあった。このため、インクジェット方式よりも容易に、赤、緑及び青の各色の高分子発光層をパターニングする方式が模索されている。
【0006】
例えば、画素基板に発光層を形成した後、赤、緑及び青の各色の色素を含有する所定形状の光反応性樹脂層を、その発光層に密着させ加熱することにより、それぞれの色素を発光層に拡散させることで、赤、緑及び青の各色の高分子発光層をパターニングする方法が考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、開口部(微細孔)を設けたマスクを作成し、そのマスクに赤、緑及び青の各色の有機発光材料を一旦スクリーン印刷し、印刷された有機発光材料をマスクに設けられた開口部を介して基板上の各画素領域にさらに供給することにより、高精細な有機発光層のパターニングを行う方法が考えられている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
また、画素基板上に発光層を形成した後、赤、緑及び青の各色の染料層をそれぞれベースフィルム上に設け、このベースフィルムを発光層へ密着させサーマルヘッドにより加熱し、各色の染料を所望の画素上の発光層へ拡散させることにより、赤、緑及び青の各色の高分子発光層をパターニングする方法が考えられている(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−12377号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】
特開2002−15864号公報(第4−5頁、図3)
【特許文献3】
特開2001−185352号公報(第4−5頁、図2−図5)
【特許文献4】
特開2001−155859号公報(第6−9頁、図2−図13)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献2又は特許文献3のような有機EL層のパターニング方式では、画素基板に形成した発光層に、対向基板上の赤、緑及び青の各色の色素を拡散させるが、1画素内の色素の拡散の均一性や、加熱による色素の劣化等により十分な発光特性を得ることができないという問題があった。
【0011】
また、特許文献4のような有機EL層のパターニング方式では、微細な開口部を設けたマスク上を、スクリーン版を介してスキージを押し当ててインクを塗布するが、アクティブマトリクス駆動の表示装置のように高精細な画素をパターニングするには、微細な画素に合わせた開口部を有し、且つスキージの押力に耐えられる強度を持つマスクの作成は困難であるという問題があった。例えば、1200[ppi(pixel per inch)]のフルカラパネルを考えた場合、サブピクセル(画素)ピッチは70[μm]となり、マスクに70[μm]以下の径で貫通口を設けねばならず、このピッチでスクリーン印刷に絶えられる強度を持ったマスクを作ることは困難であった。
【0012】
本発明の課題は、発光特性の劣化要因を軽減し、高精細な画素の効率的なパターニングにより表示装置を製造することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1の電極と、第2の電極と、その第1及び第2の電極の間に設けられた光学材料層とを有する光学素子が基板に形成された表示装置の製造方法において、
濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを有する第1の濡れ性可変層(例えば、図3に示す濡れ性可変層202)が取り付けられた転写ローラを回転することにより前記第1の濡れ性可変層の前記所定領域に、前記光学材料層の光学材料を含有する溶液を付着する付着工程と、
前記第1の濡れ性可変層に前記溶液が付着された前記転写ローラ(例えば、図4(a)に示す転写ローラ40A)を回転して、前記付着された溶液を前記基板側に転写する転写工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項13に記載の発明は、転写ローラであって、活性光線の被照射の有無により、濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンが形成された濡れ性可変層(例えば、図3に示す濡れ性可変層202)を有する版を備え、
前記パターンが形成された濡れ性可変層を有する版は、円周上に取り付けられ、
前記濡れ性可変層は、前記形成されたパターンに基づいて、第1の電極及び第2の電極の間に光学材料層が設けられる表示装置の前記光学材料層となる光学材料を含有する溶液が付着されることが可能であることを特徴とする。
【0015】
請求項1又は13に記載の発明によれば、活性光線により任意のパターンが形成された第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層が取り付けられた転写ローラに付着された光学材料を含有する溶液が、その転写ローラの回転により、基板側の所定の位置に転写されることにより光学材料層を形成して表示装置を製造することができる。このため、活性光線により、第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層に任意の高精度且つ微細な濡れ性の異なるパターンを容易に形成することができ、その転写ローラの回転による溶液の転写により、そのパターンに基づいた微細且つ高精度な光学材料層を有する表示装置を短時間で効率的に製造することができる。また、そのパターンに基づいて均一な膜厚の光学材料層を形成するので、発光特性の劣化要因を軽減することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、第1の電極と、第2の電極と、その第1及び第2の電極の間に設けられた光学材料層とを有する光学素子が基板に形成された表示装置の製造方法において、
転写ローラ(例えば、図8に示す転写ローラ40C)に設けられた第1の濡れ性可変層(例えば、図8に示す濡れ性可変層202C)に活性光線を照射することにより、濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを形成する第1のパターン形成工程と、
前記光学材料層の光学材料を含有する溶液を前記転写ローラ上の第1の濡れ性可変層に付着する付着工程と、
前記第1の濡れ性可変層に付着された前記溶液を、前記転写ローラを回転して前記基板側に接触させることにより転写する転写工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項14に記載の発明は、転写ローラであって、活性光線の被照射の有無により、濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンが形成された濡れ性可変層(例えば、図3に示す濡れ性可変層202C)を円周上に備え、
前記濡れ性可変層は、前記形成されたパターンに基づいて、第1の電極及び第2の電極の間に光学材料層が設けられる表示装置の前記光学材料層となる光学材料を含有する溶液が付着されることが可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項2又は14に記載の発明によれば、活性光線により転写ローラの第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層に任意のパターンが形成され、光学材料を含有する溶液が第1の濡れ性可変層に付着され、その転写ローラの回転により、基板側に溶液を転写して光学材料層を形成して表示装置を製造することができる。このため、活性光線により第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層に任意の高精度且つ微細なパターンを容易に形成することができ、その転写ローラの回転による溶液の転写により、そのパターンに基づいた微細且つ極めて高精度な光学材料層を有する表示装置を短時間で効率的に製造することができる。また、そのパターンに基づいて均一な膜厚の光学材料層を形成するので、発光特性の劣化要因を軽減することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法において、
前記第1の濡れ性可変層は、光を透過する任意のパターンが形成された第1のフォトマスク基板を介して活性光線を照射することにより濡れ性が互いに異なる前記所定領域及び前記所定領域以外の領域のパターンが形成されることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、光を透過する任意のパターンが形成された第1のフォトマスク基板を用いて、活性光線により第1の濡れ性可変層に任意の微細且つ高精度なパターンを容易に形成することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の表示装置の製造方法において、
前記第1のフォトマスク基板は、光触媒を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、第1のフォトマスク基板には光触媒が含まれるので、光触媒に対する活性光線の通過により活性酸素種が発生し、その活性酸素種により第1の濡れ性可変層に任意の微細且つ高精度なパターンを容易に形成することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法において、
前記第1の濡れ性可変層は、光触媒を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の転写ローラにおいて、
前記濡れ性可変層は、光触媒を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項5又は15に記載の発明によれば、第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層には光触媒が含まれるので、光触媒に対する活性光線の通過により活性酸素種が発生し、その活性酸素種により第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層に任意の高精度且つ微細なパターンを容易に形成することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法において、
前記基板には第2の濡れ性可変層が形成され、
活性光線の照射により前記第2の濡れ性可変層に濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを形成する第2のパターン形成工程を含むことを特徴とする。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、基板に第2の濡れ性可変層が形成され、活性光線により第2の濡れ性可変層に任意のパターンが形成され、転写ローラの回転による溶液の転写が多少ずれていても、第2の濡れ性可変層に形成されたパターンに基づいた光学材料層を形成するので、より高精度な光学層を有する表示装置を製造することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の表示装置の製造方法において、
前記第2のパターン形成工程において、光を透過する任意のパターンが形成された第2のフォトマスク基板を用いて前記活性光線を前記第2の濡れ性可変層に照射することを特徴とする。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、任意のパターンが形成された第2のフォトマスク基板を用いて、活性光線により第2の濡れ性可変層に任意の微細且つ高精度なパターンを容易に形成することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の表示装置の製造方法において、
前記第2のフォトマスク基板は、光触媒を含むことを特徴とする。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、第2のフォトマスク基板には光触媒が含まれるので、光触媒に対する活性光線の通過により活性酸素種が発生し、その活性酸素種により第2の濡れ性可変層に任意の微細且つ高精度なパターンを容易に形成することができる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項6から8のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法において、
前記第2の濡れ性可変層は、光触媒を含むことを特徴とする。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、第2の濡れ性可変層には光触媒が含まれるので、光触媒に対する活性光線の通過により活性酸素種が発生し、その活性酸素種により第2の濡れ性可変層に任意の微細且つ高精度なパターンを容易に形成することができる。
【0034】
請求項10に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法において、
濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを前記基板側に直接形成する基板パターン形成工程を含むことを特徴とする。
【0035】
請求項10に記載の発明によれば、基板に任意のパターンを直接形成し、転写ローラの回転による溶液の転写が多少ずれていても、基板に直接形成されたパターンに基づいた光学材料層を形成するので、より高精度な光学層を有する表示装置を製造することができる。
【0036】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法において、
前記所定の領域は、少なくとも1つの前記第1の電極に対応する親液領域であり、前記所定領域以外の領域は撥液領域であることを特徴とする。
【0037】
請求項16に記載の発明は、請求項13から15のいずれか一項に記載の転写ローラにおいて、
前記所定の領域は、少なくとも1つの前記第1の電極に対応する親液領域であり、前記所定領域以外の領域は撥液領域であることを特徴とする。
【0038】
請求項11又は16に記載の発明によれば、少なくとも1つの第1の電極に対応する親液領域と、それ以外の撥液領域とのパターンに基づいて、微細且つ高精度な光学材料層を所定の第1の電極上に有する表示装置を短時間で効率的に製造することができる。
【0039】
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法において、
前記基板は、仕切り壁により前記第1の電極が囲繞された囲繞領域を有し、
前記転写工程において、前記第1の濡れ性可変層に前記溶液が付着された前記転写ローラを回転して、前記付着された溶液を前記基板側の前記囲繞領域に接触させることにより転写することを特徴とする。
【0040】
請求項12に記載の発明によれば、転写ローラの回転により、付着された溶液を基板側の仕切り壁に囲繞された囲繞領域に接触させることにより転写するので、転写された溶液が囲繞領域からあふれ出ることなく、より均一な膜厚の光学材料層を形成し、その光学材料層の発光特性の劣化要因をより軽減することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明に係る具体的な第1、第2及び第3の実施の形態について順に説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、『平面視して』とは、『透明基板12(後述)面に対して垂直な方向に見て』という意味である。
【0042】
〔第1の実施の形態〕
本発明に係る第1の実施の形態を図1〜図4を参照して説明する。先ず、図1及び図2を参照して、表示装置としての有機EL表示パネル10を説明する。図1は、有機EL表示パネル10の平面図である。図2は、図1の切断線S1−S2における有機EL表示パネル10の断面図である。
【0043】
有機EL表示パネル10は、赤、緑、青のサブピクセル(画素)が平面視してマトリクス状に配列されており、アクティブマトリクス駆動方式によりマトリクス表示を行うものである。即ち、有機EL表示パネル10では、一つのサブピクセルにつき、一つの有機EL素子11と、有機EL素子11を駆動するための一つの画素回路とから構成されており、周辺ドライバ(図示略)から信号線51及び走査線52を介して画素回路へ電流又は電圧信号が入力されると、画素回路は信号に従って有機EL素子11に流れる電流をオン・オフしたり、有機EL素子11の発光期間中に電流値を保持することで有機EL素子11の発光輝度を一定に保ったりする。画素回路は、一サブピクセルにつき、少なくとも一つ以上の薄膜トランジスタから構成され、適宜コンデンサ等も付加されることもあるが、本実施の形態では画素回路が二つのトランジスタ21,21から構成されている。また、連続して配列された赤、緑及び青の三つのサブピクセルが、一つの組となって、一つのピクセルとなる。
【0044】
有機EL表示パネル10は平板状の透明基板12を有しており、透明基板12の表面12a上には、横方向に延在した複数の走査線52,52,…が形成されている。走査線52,52,…は、平面視して、ほぼ等間隔となって互いに平行に配列されている。走査線52,52,…は、導電性を有しており、透明基板12の表面12a一面に成膜されたゲート絶縁膜23によって被膜されている。このゲート絶縁膜23上には、縦方向に延在した複数の信号線51,51,…が形成されており、平面視して信号線51,51,…は走査線52,52,…に対して直交している。信号線51,51,…も、平面視して、ほぼ等間隔となって互いに平行に配列されている。図中、透明基板12には信号線51、走査線52が延在しているが、それ以外の配線が延在されていてもよい。
【0045】
透明基板12の表面12aには、複数のトランジスタ21,21,…が形成されている。各トランジスタ21は、ゲート電極22、ゲート絶縁膜23、半導体膜24、不純物半導体膜25,26、ドレイン電極27、ソース電極28から構成されており、これらが積層されてなるMOS型電界効果トランジスタである。ゲート絶縁膜23は、透明基板12一面に成膜されており、全てのトランジスタ21,21,…について共通の層となっている。図中、トランジスタ21は、逆スタガ構造であるが、これに限らずコプラナ型等の構造でもよい。
【0046】
トランジスタ21,21、…は保護絶縁膜18によって被覆されている。平面視して、保護絶縁膜18が信号線51及び走査線52に沿って網目状に形成されることで、保護絶縁膜18によって囲繞された複数の囲繞領域19,19,…が透明基板12上にマトリクス状に配列されたように形成される。保護絶縁膜18は、酸化シリコン(SiO)及び窒化シリコン(SiN)といった無機珪素化物で形成されている。
【0047】
保護絶縁膜18に重なるようにして、仕切り壁20が保護絶縁膜18上に形成されており、仕切り壁20も保護絶縁膜18と同様に平面視して信号線51、走査線52に沿うように網目状に形成されている。仕切り壁20の幅は、透明基板12に近づくにつれて大きくなり、縦断面が図2に示すように略台形状になっている。仕切り壁20は、絶縁性を有しており、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂又はノボラック樹脂等の感光性樹脂といった有機化合物で形成されている。また、仕切り壁20の表面に撥液性を有した膜(例えば、フッ素樹脂膜)が形成されていても良いし、仕切り壁20の表層が撥液性を有するようにしても良い。ここで、撥液性とは、光学材料含有液としての有機化合物含有液と、その有機化合物含有液が塗布された塗布面との接触角が40°〜50°を越える表面の性質であって有機化合物含有液をはじきやすい性質をいう。有機化合物含有液とは、後述する有機EL層15を構成した光学材料としての有機化合物又はその前駆体を含有した液であり、有機EL層15を構成した有機化合物又はその前駆体が溶質として溶媒に溶けた溶液であっても良いし、有機EL層15を構成した有機化合物又はその前駆体が液体に分散した分散液であっても良い。仕切り壁20の撥液性については、本実施の形態の第1の変形例の「親液処理・撥液処理」の項で詳説する。
【0048】
次に、光学素子である有機EL素子11について説明する。有機EL素子11は、透明基板12側からアノード13、EL層15、カソード16の順に積層した積層構造となっている。アノード13は、可視光に対して透過性を有するとともに導電性を有する。アノード13は、比較的仕事関数の高いものである。アノード13は、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
【0049】
平面視して、アノード13は信号線51,51,…と走査線52,52,…に囲まれた各領域に配設されており、複数のアノード13、13,…が互いに間隔をあけて且つマトリクス状になってゲート絶縁膜23上に配列されている。
【0050】
また、平面視して、アノード13はそれぞれ囲繞領域19に対応して臨んでおり、囲繞領域19の面積はアノード13の面積より小さく、囲繞領域19は一部がアノード13内に配されており、アノード13の外周部は保護絶縁膜18及び仕切り壁20の一部に重なって被覆されている。ここではアノード13がトランジスタ21のソース電極28に接続されているが、カソードをアノード13のようにマトリクス状にして各ソース電極8に接続し、EL層15を介して上方にカソード16の代わりに共通電極としてアノード電極を配置させてもよく、画素回路の回路構成によっては他のトランジスタやコンデンサにアノード13が接続されていても良い。また、アノード13の表面に親液性を有した膜が形成されていても良いし、アノード13の表層が親液性を有するようにしても良い。ここで、親液性とは、有機化合物含有液と、その有機化合物含有液が塗布された塗布面との接触角が40°〜50°以下の表面の性質であって、有機化合物含有液をはじきにくい性質をいう。有機化合物含有液になじむ性質をいう。なお、アノード13の親液性については、本実施の形態の第1の変形例の「親液処理・撥液処理」の項で詳説する。
【0051】
それぞれのアノード13上には有機EL層15が成膜されている。平面視して、これら有機EL層15,15,…は、マトリクス状に配列されており、それぞれの囲繞領域19内に配設されている。
【0052】
各有機EL層15は、例えば、チオフェン系高分子、ポリフルオレン系高分子等の有機化合物である発光材料(蛍光体)で形成された光学材料層であって、アノード13から注入された正孔とカソード16から注入された電子を再結合させることで励起子を生成して、赤色、緑色、青色の何れか1つに発光する狭義の層を含む。このような有機EL層15は、サブピクセル毎に、例えば、赤色に発光する有機EL層15、緑色に発光する有機EL層15、青色に発光する有機EL層15のいずれかが設けられ、隣り合うサブピクセル同士が互いに異なる発光色の層となるように配列されており、これら三色の有機EL層15,15,15でそれぞれ構成されたサブピクセルによって一ピクセルの色調が定まる。なお、図面において赤色に発光する有機EL層15には括弧書きでRを付し、緑色に発光する有機EL層15には括弧書きでGを付し、青色に発光する有機EL層15には括弧書きでBを付し、それぞれの色に対応するアノード13及び囲繞領域19にもR、G、Bを括弧書きで付す。
【0053】
各有機EL層15には、電子輸送性の物質が適宜混合されていても良いし、正孔輸送性の物質が適宜混合されても良いし、電子輸送性の物質及び正孔輸送性の物質が適宜混合されていても良い。
【0054】
また、各有機EL層15は、アノード13側から順に正孔輸送層、狭義の発光層、電子輸送層となる三層構造であったり、アノード13側から順に正孔輸送層、電子輸送層を兼ねた狭義の発光層となる二層構造であったり、狭義の発光層からなる一層構造であったり、これらの層構造において適切な層間に電子或いは正孔の注入層が介在した積層構造であったりする。なお、正孔輸送層、狭義の発光層、電子輸送層も有機化合物からなる層であって、光学材料層である。
カソード16は、全ての有機EL層15,15,…と仕切り壁20を被覆するように透明基板12一面に連続して形成されており、それぞれの囲繞領域19内においてアノード13と対向している。カソード16は、少なくとも仕事関数の低い材料を含み、具体的にはマグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム若しくは希土類からなる単体又はこれらの単体を少なくとも一種を含む合金を有している。更に、カソード16が積層構造となっていても良く、例えば、上述のような低仕事関数材料で形成された膜上にアルミニウム、クロム等の高仕事関数で且つ低抵抗率の材料で被膜した積層構造でも良い。また、有機EL層15,15,…からの光を透明基板12を介して出射させる場合、カソード16は可視光に対して遮光性を有するのが望ましく、さらに、有機EL層15から発する可視光に対して高い反射性を有するのが望ましい。つまり、カソード16は可視光を反射する鏡面として作用することで光の利用効率を向上することができる。対して有機EL層15,15,…からの光をカソード16を介して出射させる場合、カソード16の有機EL層15,15,…と接する面に上述した低仕事関数の材料を可視光波長域よりも短い厚さに成膜してからさらにその上にITO等の透明電極層を積層させてもよい。
【0055】
以上のように、カソード16は、全てのサブピクセルについて連続して共通した層となっており、アノード13及び有機EL層15は、サブピクセルごとに電気的に絶縁されて形成されている。
【0056】
次に、有機EL表示パネル10の製造方法について説明する。
有機EL表示パネル10の製造方法は、以下のような工程からなる。
(ア)駆動基板製造工程:透明基板12上にトランジスタ21,21,…、アノード13,13,…及び仕切り壁20等を適宜形成する。
(イ)印刷工程:それぞれの色の版を用いて、色ごとに有機EL層15,15,…を形成する。つまり、赤色用の有機化合物含有液を赤用版に塗布し、赤用版に塗布された有機化合物含有液を透明基板12に転写することによって、赤色用のそれぞれのアノード13(R)上に赤色の有機EL層15(R)を成膜する。同様に、緑色の有機EL層15(G)、青色の有機EL層15(B)の成膜もそれぞれ緑用版、青用版を用いて順次行う。
(ウ)電極形成工程:カソード16を成膜する。
以下、これらの工程について詳説する。
【0057】
まず、(ア)駆動基板製造工程の前に下準備として「製版工程」を行う。製版工程は、赤、緑、青の色ごとに原版を準備する。そして、これら原版から、赤色の有機EL層15(R)をパターニングするための赤用版、緑色の有機EL層15(G)をパターニングするための緑用版、青色の有機EL層15(B)をパターニングするための青用版を製版する。
【0058】
図3を参照して、製版方法について説明する。図3は、赤用版200Rの製造工程を示した図である。まず、平板状の基材である基板201の表面201a上に濡れ性可変層202を成膜し、これが版の元となる原版となる。
濡れ性可変層202は、活性光線hνの被照射により濡れ性が変化する層である。活性光線hνとしては、光触媒を励起する紫外線とするが、これに限るものではなく、可視光線、赤外線等の光触媒を励起する光線でもよい。また、基板201は、可撓性を有することが望ましく、例えば、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリエステル等の材料からなる。このため、赤用版200Rは変形可能なフィルム状となる。
【0059】
濡れ性可変層202に用いることのできるバインダーは、好ましくは主骨格が前記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであり、例えば、(A)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、或いは(B)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0060】
前記(A)の場合、一般式R SiR 4−n(n=1〜3)で表される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解化合物が主体であることができる。前記一般式では、Rは例えばアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基またはエポキシ基であることができ、Rは例えばハロゲンやハロゲンを含む官能基、メトキシル基、エトキシル基、またはアセチル基であることができる。また、バインダーとして、特に好ましくはフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることができ、具体的には、フルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、また、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られているものを使用してもよい。フルオロアルキル基としては、例えば、次の一般式(1),(2)で表す官能基が挙げられる。
−(CH(CFCF …(1)
−(CH(CFCF(CF …(2)
一般式(1),(2)において、a,b,c,dはいずれも0以上の整数である。
【0061】
前記(B)の反応性シリコーンとしては、下記一般式(3)で表される骨格を持つ化合物を挙げることができる。
−(Si(R)(R)O)− …(3)
一般式(3)において、nは2以上の整数、R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であることができる。好ましくは全体の40モル%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルであることができる。また、RとRのうちの少なくとも一方がメチル基であるものは表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、好ましくはメチル基が60モル%以上であり、鎖末端または側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基などの反応性基を有する。
【0062】
また、前記のオルガノポリシロキサンとともにジメチルポリシロキサンのような架橋反応を起こさない安定なオルガノシリコン化合物をバインダーに混合してもよい。
【0063】
濡れ性可変層202の形成方法は、例えば塗布液を、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコートなどの方法により基材に塗布して形成することができる。塗布液に使用することができる溶剤としては、特に限定されないが、例えばエタノール、イソプロパノールといったアルコール系の有機溶剤を挙げることができる。
【0064】
濡れ性可変層202の形成方法の一例を詳述する。
基板201を純水で洗浄し、フルオロアルキル基を有したシラザン化合物を溶解した塗布液(以下、シラザン系溶液という。)を基板201の表面201a上にディップコート法により塗布する。シラザン系溶液の溶媒としては、フッ素系溶剤が挙げられる。
【0065】
ここで、「フルオロアルキル基を有したシラザン化合物」とは、Si−N−Si結合を有し、N又は/及びSiにフルオロアルキル基が結合したものであり、例えば次の一般式(1)で表すモノマー、オリゴマー又はポリマーが挙げられる。
RfSi(NH)3/2 …(4)
一般式(4)においてRfは、フルオロアルキル基である。
【0066】
シラザン化合物として、次の一般式(5)及び化学構造式(6)で表せるシラザンオリゴマー(KP−801M:信越化学工業株式会社製)を用いる。そして、上述のディップコート工程においては、このシラザンオリゴマーを溶質としてm−キシレンヘキサフロイド溶媒に溶かしたシラザン系溶液(濃度3%)をディップコート法により基板201に塗布する。
17Si(NH)3/2 …(5)
【化1】
Figure 2004259580
【0067】
次いで、基板201に窒素ガス及びアルゴンガスといった不活性ガスを吹き付けて、シラザン系溶液の溶媒を蒸発させることで、シラザン化合物が基板201の表面201aに堆積した状態となる。溶媒は加熱により蒸発させてもよい。
【0068】
次いで、基板201を10〜30分間放置すると、雰囲気中の水分によってシラザン化合物が加水分解して基板201の表面と結合するとともに重合して珪素と酸素からなる主鎖に対してフルオロアルキル基が結合した縮合物をバインダーとした濡れ性可変層202が基板201上に成膜される。濡れ性可変層202に含まれる縮合物は、次の一般式(7)で表される。
【化2】
Figure 2004259580
【0069】
一般式(7)において、Rfは上述したように撥液性を示すフルオロアルキル基であり、Xは基板201の原子又は基板201の表面に化学吸着した原子であり、シラザン化合物が一般式(5)で表されるシラザンオリゴマーの場合には、RfはC17となる。この濡れ性可変層202のバインダーが、フッ素を含む官能基を側鎖に含んだ縮合物であるから、有機化合物含有液に対して濡れ性が低く、撥液性を示す。
【0070】
そして、図3に示すように、フォトマスク基板203を用いて濡れ性可変層202に図示しない光源からの活性光線hνを部分的に照射することで、赤用版200Rが完成する。
ここで、フォトマスク基板203は活性光線hνを透過する平板状の透明基板204を有し、この透明基板204の表面204aに活性光線hνをほとんど透過しないマスク205が網目状に形成されており、マスク205が網目状となることによってマスク205間にマトリクス状に配列された複数の開口部205a,205a,…が形成されている。
また、光触媒膜206がマスク205全体を被覆するように透明基板204の表面204a一面に成膜されている。光触媒膜206の膜厚は、例えば約0.2[μm]である。光触媒膜206の光触媒材料としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)のような金属酸化物を挙げることができるが、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタンにおいては、アナターゼ型とルチル型のいずれも使用することができるが、アナターゼ型酸化チタンが励起波長が380nm以下であるからより好ましい。光触媒膜206のバインダーは活性光線hνによる耐性があれば特に限定されない。
【0071】
平面視した場合の開口部205a,205a,…の配列パターンは、赤色に発光する画素に対応する囲繞領域19(R),19(R),…の配列パターンと同様である。
【0072】
以上のようなフォトマスク基板203を濡れ性可変層202に対向させて、フォトマスク基板203を介して図示しない光源から活性光線hνを濡れ性可変層202に入射させる。フォトマスク基板203のマスク205では活性光線hνが遮蔽され、開口部205a,205a,…では活性光線hνが通過し、濡れ性可変層202に活性光線hνが入射する。活性光線hνの通過した開口部205aの光触媒膜206では、光触媒(例えば酸化チタン)に活性光線hνが入射されることで活性酸素種(例えば・OH)が生成され、活性酸素種がフォトマスク基板203と濡れ性可変層202との間の気相を拡散し、濡れ性可変層202に到達した活性酸素種が濡れ性可変層202の撥液性を示す官能基(例えばRf)を脱離させ、親液性を示す官能基(例えば−OH)に置換する。このため、活性光線hνの入射した親液性領域202aは、濡れ性が向上して親液性を示す。これにより、濡れ性可変層202には、濡れ性の相違によるパターンであって、マトリクス状に配列された複数の親液性領域202aと親液性領域202aの周囲に配置された撥液性領域202bからなるパターンが形成される。
【0073】
活性光線hνの入射した親液性領域202aは、濡れ性可変層202において赤色発光画素の囲繞領域19(R)に対応しており、活性光線hνの入射していない撥液性領域202bは、緑色発光画素の囲繞領域19(G)及び青色発光画素の囲繞領域19(B)並びに仕切り壁20に対応している。従って、平面視した場合の親液性領域202a,202a,…の配列パターンは、平面視した場合の囲繞領域19(R),19(R),…の配列パターンと同様である。
【0074】
緑用版200G(図示せず)、青用版200B(図示せず)を製版する場合にも赤用版200Rと同様に用いて原版に活性光線hνを部分的に照射することによって製版するが、緑用版200Gの場合にはフォトマスク基板を用いて緑色用の囲繞領域19(G),19(G),…に対応した領域のみにおいて濡れ性可変層202に活性光線hνを入射させ、青用版200Bの場合にはフォトマスク基板を用いて青色用の囲繞領域19(B),19(B),…に対応した領域のみにおいて濡れ性可変層202に活性光線hνを入射させる。従って、緑用版200Gにおいては、平面視した場合の親液性領域202a,202a,…の配列パターンは、平面視した場合の囲繞領域19(G),19(G),…の配列パターンと同様であり、青用版200Bにおいては、平面視した場合の親液性領域202a,202a,…の配列パターンは、平面視した場合の囲繞領域19(B),19(B),…の配列パターンと同様である。
【0075】
また、以上で説明した製版方法とは別の製版方法も存在する。その別の製版方法は、フォトマスク基板203に光触媒層206を形成することなく、濡れ性可変層202が光触媒を含有する構成となる。この場合、上記の濡れ性可変層202の形成方法において、シラザン系溶液に光触媒を分散させる。光触媒含有層中の光触媒の量は、5重量%〜60重量%であることが好ましく、20重量%〜40重量%であることがより好ましい。
【0076】
そのフォトマスク基板をその濡れ性可変層に対向させて、フォトマスク基板を介して活性光線hνを濡れ性可変層に入射させる。フォトマスク基板のマスク205では活性光線hνが遮蔽され、開口部205a,205a,…では活性光線hνが通過し、濡れ性可変層に活性光線hνが入射する。活性光線hνの入射した親液性領域202aでは、光触媒(例えば酸化チタン)に活性光線hνが入射されることで活性酸素種(例えば・OH)が生成され、この活性酸素種が撥液性を示す官能基(例えばRf)を脱離させ、親液性を示す官能基(例えば−OH)に置換する。このため、活性光線hνの入射した親液性領域202aは、濡れ性が向上して親液性を示す。これにより、濡れ性可変層には、濡れ性の相違によるパターンであって、マトリクス状に配列された複数の親液性領域202aと親液性領域210aの周囲に配置された撥液性領域202bとからなるパターンが形成される。
【0077】
また、この別の製版方法は、緑用版200G、青用版200Bを製版する際にも適用することができる。また、他の手順は、最初に説明した製版方法と同様である。また、最初に説明した製版方法において、濡れ性可変層202に光触媒を含ませる構成でもよい。
【0078】
「(ア)駆動基板製造工程」
図1及び図2に示すように、PVD法及びCVD法といった成膜工程、フォトリソグラフィー法といったマスク工程、エッチング法といった薄膜の形状加工工程を適宜行うことによって、行方向に配列するように複数の走査線52,52,…及びゲート電極22をパターニングしてから、透明基板12の表面12a一面に成膜されたゲート絶縁膜23に被膜する。次いで半導体膜24、不純物半導体膜25,26をそれぞれ成膜パターニングし、サブピクセルごとにアノード13を透明基板12の表面12a上にパターニング形成する。そして行方向と直交する列方向に配列するように複数の信号線51,51,…をパターニング形成するとともにドレイン電極27、ソース電極28をパターニングする。ここで、アノード13及びトランジスタ21をパターニング形成する際には、トランジスタ21のソース電極28とアノード13が接続されるように、レジストでマスクする。
【0079】
アノード13,13,…及びトランジスタ21,21,…の形成後、PVD法及びCVD法といった成膜工程、フォトリソグラフィー法といったマスク工程、エッチング法といった薄膜の形状加工工程を行うことによって、それぞれのアノード13を囲繞するように窒化シリコンや酸化シリコンからなる網目状の保護絶縁膜18を形成する。次いで、感光性樹脂からなる感光性樹脂膜を透明基板12の一面に成膜し、この感光性樹脂膜を部分的に露光した後に除去液を感光性樹脂膜に塗布することによって、感光性樹脂膜を網目状に形状加工する。
【0080】
これにより感光性樹脂からなる網目状の仕切り壁20が形成され、保護絶縁膜18及び仕切り壁20に囲繞された囲繞領域19,19,…が形成され、各囲繞領域19においてアノード13が露出している。なお、感光性樹脂膜を露光する際において、感光性樹脂膜がネガ型の場合には、保護絶縁膜18に重なった部分に光を照射し、逆に感光性樹脂膜がポジ型の場合には、保護絶縁膜18に囲繞された領域の部分に光を照射する。
【0081】
次いで、透明基板12の表面12a側を、即ちアノード13,13,…、保護絶縁膜18及び仕切り壁20の表面を洗浄する。洗浄としては、大気圧未満の減圧下における酸素プラズマ洗浄であっても良いし、紫外線/オゾン洗浄であっても良い。必要に応じて、各囲繞領域19内のアノード13の表面を親液処理するとともに、仕切り壁20の表面を撥液処理する。これについては本実施の形態の第1の変形例の「親液処理・撥液処理」の項において詳述する。なお、透明基板12の表面12aにアノード13,13,…、トランジスタ21,21,…、保護絶縁膜18及び仕切り壁20が形成されたものを、駆動基板という。
【0082】
「(イ)印刷工程」
図4を参照して、透明基板12への赤色用の有機化合物含有液60rの印刷方法を説明する。図4は、本実施の形態における有機EL表示パネル10の製造工程を示した図であり、(a)は赤用版200Rへの赤色用の有機化合物含有液60rの付着を示す図であり、(b)は有機EL表示パネル10への赤色用の有機化合物含有液60rの転写を示す図であり、(c)は(b)のX方向からの転写を示す図であり、(d)は赤色用の有機化合物含有液60rが印刷された有機EL表示パネル10を示す図である。
【0083】
図4(a)に示すように、先ず、変形可能な赤用版200Rをローラ41の円周面に貼り付けて転写ローラ40Aとする。そして、赤色用の有機化合物含有液60rが満たされた溶液プール42に赤用版200Rが浸されるように転写ローラ40Aを浸し、転写ローラ40Aをローラ41を軸41aを軸として矢印A方向に回転させつつ溶液プール42を矢印B方向に移動させて、赤用版200Rの円周面に赤色用の有機化合物含有液60rが浸される。赤色用の有機化合物含有液60rは、溶質としての発光材料を溶剤等で溶解した溶液であり、例えば、チオフェン系高分子、ポリフルオレン系高分子等の発光材料を、テトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン等の有機溶剤等で溶解した溶液である。
【0084】
濡れ性可変層202において活性光線hνの照射された親液性領域202a,202a,…が親液性であり且つ活性光線hνが照射されなかった撥液性領域202bが撥液性であるから、活性光線hνが照射された親液性領域202a,202a,…にのみに有機化合物含有液60rが液滴として付着する。つまり有機化合物含有液60rは、濡れ性可変層202上にマトリクス状に配列される。
【0085】
このとき、有機化合物含有液60rの表面張力を利用して、転写ローラ40Aを振動させて、撥液性領域202bに有機化合物含有液60rがわずかに残った場合、残査となる有機化合物含有液60rを赤用版200Rの外へはじいてもよい。また、転写ローラ40Aを傾けることで親液性領域202aの有機化合物含有液60rを残しながら撥液性領域202b上の有機化合物含有液60rを自重で滑り落としてもよい。さらには、転写ローラ40Aを傾けながら振動させることで撥液性領域202b上の不要の有機化合物含有液60rを外へはじくことができる。
【0086】
そして、図4(b),(c)に示すように、トランジスタ21,21,…、アノード13,13,…及び仕切り壁20等が形成された透明基板12の表面12aに印刷用ローラ40Aを対向させる。図4(b),(c)においては、透明基板12上に形成されたトランジスタ21,21,…、アノード13,13,…等は図示を省略されている。
【0087】
ここで、赤用のアノード13(R)と、有機化合物含有液60rの付着した親液性領域202aとをそれぞれ対向させるように、透明基板12と赤用版200R(転写ローラ40A)との位置合わせを行う。そして、赤用版200Rの面から突出している有機化合物含有液60rがアノード13(R)に接触することで、親液性領域202aに付着した有機化合物含有液60rを赤用のアノード13(R)に転写し、転写ローラ40Aを矢印方向に回転させつつ透明基板12を矢印Cの方向に移動させることで、それぞれの親液性領域202aに付着した有機化合物含有液60rを赤用のアノード13(R)に次々と転写する。アノード13がITOである場合、表面が平滑でない金属酸化物なので比較的有機化合物含有液60rになじみやすい。これにより、図4(d)に示すように、それぞれの囲繞領域19(R)内において赤色に発光する画素に対応するアノード13(R)上に赤色に発光する有機EL層15(R)が形成される。
【0088】
このとき、位置合わせが若干ずれていて、有機化合物含有液60rが仕切り壁20の側壁に接触しても、仕切り壁20の側壁から赤用のアノード13(R)上に滑り落ちるので、成膜された赤色の有機EL層15(R)の厚さが表示に影響ある程度にばらつくことはない。なお、仕切り壁20によって囲繞領域19(R),19(R),…が仕切られているため、囲繞領域19(R)に転写された有機化合物含有液60rが、異なる色の有機化合物含有液が成膜される隣りの囲繞領域19に漏れることが殆どない。
【0089】
次いで、赤色の場合と同様に、緑用版200Gの貼り付けられた転写ローラ40Aを用いて、転写ローラ40Aに有機化合物含有液60g(図示せず)を付着させ、転写ローラ40Aを回転させつつ透明基板12を移動させて、液滴である緑色用の有機化合物含有液60g(図示せず)をアノード13(G)に接触させることでアノード13(G),13(G),…に転写し、それぞれの囲繞領域19(G)内においてアノード13(G)上に緑色の有機EL層15(G)を形成する。
【0090】
次いで、赤色の場合と同様に、青用版200Bが貼り付けられた転写ローラ40Aを用いて、転写ローラ40Aの版200に有機化合物含有液60b(図示せず)を付着させ、転写ローラ40Aを回転させつつ透明基板12を移動させて、液滴である青色用の有機化合物含有液60b(図示せず)をアノード13(B)に接触させることでアノード13(B),13(B),…に転写し、それぞれの囲繞領域19(B)内においてアノード13(B)上に緑色の有機EL層15(B)を形成する。なお、成膜する順番は、赤色の有機EL層15(R)、緑色の有機EL層15(G)、青色の有機EL層15(B)の順でなくてもよく、また赤色の有機EL層15(R)、緑色の有機EL層15(G)、青色の有機EL層15(B)の順に配列していなくてもよい。
【0091】
「(ウ)電極形成工程」
図2に示すように、蒸着やスパッタのようなPVD法及びCVD法といった成膜方法によって、有機EL層15,15,…を被覆するようにしてカソード16を一面に成膜する。カソード16の成膜後、封止材でこれら有機EL素子11,11,…を封止する。
【0092】
以上のように製造された有機EL表示パネル10では、画素回路が信号線51及び走査線52を介して入力した信号に従って有機EL素子11に電流を流す。有機EL素子11では、アノード13から有機EL層15へ正孔が注入され且つカソード16から有機EL層15へ電子が注入されることで、電流が流れる。そして、有機EL層15において正孔及び電子が輸送されて、有機EL層15にて正孔及び電子が再結合することによって有機EL層15で発光する。アノード13,13,…及び透明基板12が透明であるため、有機EL層15で発した光は透明基板12の裏面12bから出射し、裏面12bが表示面となる。
【0093】
以上のように本実施の形態では、色ごとに版200R,200G,200Bを製版し、それぞれの版を用いて色ごとに有機EL層15,15,…を形成するので、赤の有機EL層15(R),15(R),…、緑の有機EL層15(G),15(G),…、青の有機EL層15(B),15(B),…をそれぞれまとめて形成することができる。つまり、(イ)印刷工程において転写を単に三回行うことによって透明基板12上の全ての有機EL層15,15,…を形成することができるから、短時間で効率的に有機EL表示パネル10を製造することができる。
【0094】
また、インクジェット方式のようにノズルを用いて有機EL層を形成するのではなく、版200R,200G,200Bを用いて転写によって有機EL層15,15,…をパターニングするため、有機EL層が成膜される画素数が多くなるほど高効率に成膜することができる。またインクジェット方式のような溶液の目詰まりがなく、色素拡散方式やサーマル方式のような色素の不均一及び加熱による色素の劣化等がなく、有機EL層15の厚みを均一にすることができるので、有機EL層15の発光特性の劣化要因を軽減することができる。更に、活性光線hνにより親液領域及び撥液領域のパターンを形成するので、インクジェット方式に比較しても有機EL層15を容易に高精細に配列して形成することができる。特に、本実施の形態によれば、従来のマスクに微細孔を設ける構成では不可能であったサブピクセルのピッチが70[μm]以下の微細な画素の有機EL表示パネルを作成することができる。
【0095】
〔第1の実施の形態の変形例〕
次に、図5〜図7を参照して、第1の実施の形態の第1及び第2の変形例を順に説明する。
【0096】
(第1の変形例)
「親液処理・撥液処理」
図5を参照して、第1の実施の形態の第1の変形例を説明する。図5は、本変形例における有機EL表示パネル10の製造工程を示した図である。第1の実施の形態では、透明基板12の表面12a(アノード13,13,…、保護絶縁膜18及び仕切り壁20)を酸素プラズマ洗浄を行う構成であったが、(イ)の印刷工程の前に、図5に示すように、透明基板12の表面12a側を純水で洗浄、乾燥後に、アノード13,13,…及び仕切り壁20全体を被覆するような濡れ性可変層14を透明基板12の表面12a側一面に形成しても良い。
【0097】
濡れ性可変層14は、版200の元となる原版材の濡れ性可変層202と同様である。また、濡れ性可変層14の形成方法も濡れ性可変層202と同様である。第1の実施の形態において説明した別の製版方法のように、塗布液に光触媒を分散させて濡れ性可変層14に光触媒を含める構成としてもよいが、濡れ性可変層14に濡れ性可変層14に光触媒が含有していない方が、アノード13に対する腐食を抑えることができたり、アノード13から有機EL層15への正孔注入性の低下を抑えることができたりするという効果をもたらす。
【0098】
(イ)の印刷工程の前では、濡れ性可変層14は、全体が撥液性となっており、有機化合物含有液をはじく撥液層になっている。(イ)の印刷工程では、版を用いてそれぞれの色の有機EL層15(R),15(G),15(B)を形成する前に、濡れ性可変層14をそれぞれの色のアノード13(R),13(G),13(B)に重なった領域において活性光線hνを照射する。なお、図5は、有機EL層15(R)を形成する囲繞領域19に対しての活性光線hνの照射を示す。最終的には、全ての囲繞領域19に対して活性光線hνを照射する。
【0099】
つまり、赤用版200Rで有機EL層15(R),15(R),…を形成する前に、例えば赤用版200Rを製版する際に用いたフォトマスク基板203を用いて赤色に発光する画素に対応する囲繞領域19(R),19(R),…に重なった領域にのみ活性光線hνを照射する。これにより、濡れ性可変層14は、赤用のアノード13(R),13(R),…に重なった領域内にて親液性の親液層14(R)となる。
【0100】
次いで、第1の実施の形態の(イ)の印刷工程で説明したように赤用版200Rが貼り付けられた転写ローラ40Aを用いて、転写ローラ40Aの赤用版200Rに有機化合物含有液60rを付着させ、転写ローラ40Aを回転させつつ透明基板12を移動させて、赤用のアノード13(R),13(R),…の表面に形成された親液層14(R)上に赤色の有機化合物含有液60rを転写して塗布する。囲繞領域19(R)に有機化合物含有液60rを転写する前に、囲繞領域19(R)内のみにおいて濡れ性可変層14が親液性の親液層14(R)に変質しているため、有機化合物含有液60rになじみ、仕切り壁20や他の色の囲繞領域19(G),19(B)の表面では、撥液性を示す濡れ性可変層14が成膜されているために、有機化合物含有液60rをはじくので赤色の囲繞領域19(R)のみに有機化合物含有液60rが溜まり、溶液中の溶媒が乾燥することで有機EL層15(R),15(R),…が形成される。なお、赤色に発光する有機EL材料は、有機化合物含有液60r溶液中でポリマとなるものでもよく、また溶液が成膜されてから重合するモノマやオリゴマでもよい。
【0101】
次いで、緑用版200Gを製版する際に用いたフォトマスク基板を用いて、濡れ性可変層14のうち緑用の囲繞領域19(G),19(G),…にのみ活性光線hνを照射して囲繞領域19(G),19(G),…内の濡れ性可変層14を親液層14(G)に変質させる。その後上記(イ)の印刷工程で説明したように緑用版200Gが貼り付けられた転写ローラ40Aを用いて、転写ローラ40Aの緑用版200Gに有機化合物含有液60gを付着させ、転写ローラ40Aを回転させつつ透明基板12を移動させて、緑用のアノード13(G),13(G),…の表面に形成された親液層14(G)上に緑色の有機化合物含有液60gを転写して塗布する。囲繞領域19(G)の表面は親液層14(G)のために溶液になじむが、仕切り壁20や他の色の囲繞領域19(B)の表面は、撥液性を示す濡れ性可変層14のままであるために、緑色の有機化合物含有液60gをはじくので緑色の囲繞領域19(G)のみに緑色の有機化合物含有液60gが溜まり、溶液中の溶媒が乾燥することで有機EL層15(G),15(G),…が形成される。なお、緑色に発光するEL材料は、有機化合物含有液60g溶液中でポリマとなるものでもよく、また溶液が成膜されてから重合するモノマやオリゴマでもよい。
【0102】
次いで、青用版200Bを製版する際に用いたフォトマスク基板を用いて、濡れ性可変層14のうち緑用の囲繞領域19(B),19(B),…にのみ活性光線hνを照射して囲繞領域19(B),19(B),…内の濡れ性可変層14を親液層14(B)に変質させる。その後上記(イ)の印刷工程で説明したように青用版200Bが貼り付けられた転写ローラ40Aを用いて、転写ローラ40Aの青用版200bに有機化合物含有液60bを付着させ、転写ローラ40Aを回転させつつ透明基板12を移動させて、青用のアノード13(B),13(B),…上に形成された親液層14(B)上に青色の有機化合物含有液60bを塗布する。囲繞領域19(B)の表面は親液層14(B)のために溶液になじむが、仕切り壁20の表面は、撥液性を示す濡れ性可変層14のままであるために、青色の有機化合物含有液60bをはじくので青色の囲繞領域19(B)のみに青色の有機化合物含有液60bが溜まり、溶液中の溶媒が乾燥することで有機EL層15(B),15(B),…が形成される。なお、青色に発光するEL材料は、有機化合物含有液60b溶液中でポリマとなるものでもよく、また溶液が成膜されてから重合するモノマやオリゴマでもよい。
【0103】
図5に示すように、光触媒膜206の形成されたフォトマスク基板203を図示して説明したが、濡れ性可変層14に光触媒が含有する構成でもよい。
【0104】
例えば上記一般式(5)で示されたようなフルオロアルキル基を有したシラザン化合物を加水分解・縮合させることで濡れ性可変層14を成膜した場合、珪素と酸素の主鎖がアノード13,13,…、保護絶縁膜18及び仕切り壁20の表面に沿った状態で形成され、濡れ性可変層14が非常に薄い。その上、親液層14(R)、親液層14(G)、親液層14(B)では、濡れ性可変層14の厚さ方向に並んだフルオロアルキル基が水酸基に置換されているから、各囲繞領域19内の親液層14(R)、親液層14(G)、親液層14(B)の厚さが0.0nmより厚く且つ1.0nm以下の厚さと更に薄くなる。つまり、親液層14(R)、親液層14(G)及び親液層14(B)は、光が照射されていない部分(撥液部)より薄い。従って、アノード13とEL層15との間に親液層14(R)、親液層14(G)、親液層14(B)のいずれかが介在しても親液層14(R)、親液層14(G)、親液層14(B)の絶縁性を無視することができ、アノード13から有機EL層15へ正孔が注入されることが阻害されない。
【0105】
なお、濡れ性可変層14を形成せずに、以下のようにしてアノード13,13,…の表面を親液性とし、仕切り壁20の表面を撥液性としても良い。即ち、上記(イ)の印刷工程の前に、仕切り壁20に向けてCFプラズマといったフッ化物プラズマを照射することで、仕切り壁20の表層でフッ素のラジカル種が反応し、仕切り壁20の表層にフッ化物(主にフッ素と炭素の化合物)が形成される。これにより、仕切り壁20の表面が撥液性となる。次いで、アノード13,13,…に向けてOプラズマを照射することによってアノード13,13,…の表層をアッシングすると、アノード13,13,…の表層の不純物が除去される。これにより、アノード13,13,…が親液性となる。その後、上述した(イ)の印刷工程を行う。
【0106】
(第2の変形例)
次に、図6及び図7を参照して、第1の実施の形態の第2の変形例を説明する。
図6は、有機EL表示パネル110の断面図である。図7は、濡れ性可変層141を有する有機EL表示パネル110の製造工程を示す図である。
【0107】
図6に示すように、有機EL表示パネル110において、第1の実施形態の場合と同様に、透明基板12上に信号線51,51,…及び走査線52,52,…をパターニング形成するとともに、サブピクセルごとにアノード13,13,…及びトランジスタ21,21,…を透明基板12の表面12a上にパターニング形成する。その後、トランジスタ21及び信号線51等の配線を覆うように保護絶縁膜18を形成する。ここで、第1の実施形態では仕切り壁20をパターニングしたが、本変形例では仕切り壁を形成しない。次いで、第1の実施形態の場合と同様に、アノード13,13,…及び保護絶縁膜18を被覆するように、透明基板12の表面12a側、全面に撥液効果を有する濡れ性可変層141を成膜する。濡れ性可変層141には、光触媒が含まれていないのが望ましい。
【0108】
次いで、図7に示すように、フォトマスク基板203を用いて、濡れ性可変層141を部分的に露光する。(イ)の印刷工程の前では、濡れ性可変層141は、全体が撥液性となっており、有機化合物含有液をはじく撥液層になっている。(イ)の印刷工程では、版を用いてそれぞれの色の有機EL層15(R),15(G),15(B)を形成する前に、濡れ性可変層141をそれぞれの色のアノード13(R),13(G),13(B)に重なった領域において活性光線hνを照射する。
【0109】
なお、図7は、有機EL層15(R)を形成するための濡れ性可変層141の部分に対しての活性光線hνの照射を示す。最終的には、有機EL層15(R),(G),(B)を形成するための濡れ性可変層141の全ての部分に対して活性光線hνを照射する。また、図7において、見易くするため、アノード13,13,…及びトランジスタ21,21,…、保護絶縁膜18等は図示を省略している。
【0110】
開口部205a,205a,…が囲繞領域19,19,…の配列パターンにそれぞれ対向するように透明基板204を透明基板12上に配置させた後に、透明基板204の上側から活性光線hνを照射すると、光触媒膜206の光触媒膜作用によりアノード13(R),13(G),13(B)上においてのみ(つまり、光の照射された部分においてのみ)、濡れ性可変層141の撥液性を示す感応基が脱離して親液性を示す官能基に置換され、親液層141a,141a,…になる。このとき、保護絶縁膜18の表面を覆う濡れ性可変層141は、マスク205により活性光線hνが遮光されるので親液層141aに変質することはなく、撥液層141bとなる。
【0111】
そして、第1の実施の形態と同様にして、赤用版200Rがローラ41に貼り付けられた転写ローラ40Aに赤色用の有機化合物含有液60rが付着される。そして、転写ローラ40Aを、濡れ性可変層141が形成された透明基板12に対向させ、有機化合物含有液60rが親液層141a(R)に接触するように位置合せされる。更に転写ローラ40Aを回転させつつ透明基板12を移動させて、親液層141a(R)に赤色用の有機化合物含有液60rが転写され、有機EL層15(R),15(R),…が形成される。
【0112】
次に、緑用版200Gを用いて、有機EL層15(G),15(G),…を形成する。つまり、緑用版200Gが貼り付けられた転写ローラ40Aに緑色用の有機化合物含有液60gを付着させる。その転写ローラ40Aを濡れ性可変層141が形成された透明基板12に対向させ、有機化合物含有液60gが親液層141a(G)に接触するように位置合せされる。更に転写ローラ40Aを回転させつつ透明基板12を移動させて、親液層141a(G)に緑色用の有機化合物含有液60gが転写され、有機EL層15(G),15(G),…が形成される。
【0113】
次に、青用版200Bを用いて、有機EL層15(B),15(B),…を形成する。つまり、青用版200Bが貼り付けられた転写ローラ40Aに青色用の有機化合物含有液60bを付着させる。その転写ローラ40Aを濡れ性可変層141が形成された透明基板12に対向させ、有機化合物含有液60bが親液層141a(B)に接触するように位置合せされる。更に転写ローラ40Aが回転させつつ透明基板12を移動させて、親液層141a(B)に青色用の有機化合物含有液60bが転写され、有機EL層15(B),15(B),…が形成される。
【0114】
青色用の有機化合物含有液60b,60b,…の転写は、141a(G),141a(G),…上に転写された緑色用の有機化合物含有液60g,60g,…が乾燥して有機EL層15(G),15(G),…になった後の方が歩留まりの点で好ましいが、量産性を優先するのであれば、乾燥が完了する前に転写してもよい。なお、成膜する順番は、赤色の有機EL層15(R)、緑色の有機EL層15(G)、青色の有機EL層15(B)の順でなくてもよく、また赤色の有機EL層15(R)、緑色の有機EL層15(G)、青色の有機EL層15(B)の順に配列していなくてもよい。
その後、蒸着やスパッタのようなPVD法及びCVD法といった成膜方法によって、有機EL層15(R),15(G),15(B),…を被覆するようにしてカソード16を一面に成膜する。カソード16の成膜後、図示しない封止材でこれら有機EL素子11,11,…を覆い封止する。
【0115】
本変形例においては、第1の実施形態の効果とともに、親液性と撥液性とからなるパターンを濡れ性可変層141に形成しているため、第1の実施の形態のように仕切り壁20を形成せずともサブピクセルごとに有機EL層15をパターニングすることができる。
【0116】
なお、版のパターニングに用いたフォトマスク基板203を、本変形例での濡れ性可変層141のパターニングにも用いることとしたが、それぞれ異なるフォトマスク基板を用いてもよい。
【0117】
〔第2の実施の形態〕
次に、図8及び図9を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図8中、(a)は、転写ローラ40Cの製造工程を示す図であり、(b)は(a)のY方向からの転写を示す図である。図9は、本実施の形態における有機EL表示パネル10の製造工程を示した図であり、(a)は転写ローラ40Cへの赤色用の有機化合物含有液60rの付着を示す図であり、(b)は有機EL表示パネル10への赤色用の有機化合物含有液60rの転写を示す図である。
【0118】
本実施の形態は、第1の実施の形態における版200が貼り付けられた転写ローラ40Aに代えて、濡れ性可変層202C(版210)がローラ41に直接形成された転写ローラ40Aを用いる構成である。よって、説明の重複を避けるため、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。また、第1の実施の形態と同じ構成部分には、同じ符号が付されている。
【0119】
本実施の形態においては、図1に示す有機EL表示パネル10を製造する。その製造工程の「(ア)駆動基板製造工程」「(ウ)電極形成工程」は第1の実施の形態と同様であるので、製版工程及び「(イ)印刷工程」について説明する。
【0120】
先ず、図8を参照して、製版方法について説明する。まず、ローラ41の表面に濡れ性可変層202cが直接円周面に製膜されている転写ローラ40Cを用意する。濡れ性可変層202Cが版の元となる原版(版210)となる。
【0121】
そして、図8(a),(b)に示すように、転写ローラ40Cのローラ41を軸41aを軸として矢印A方向に回転させてフォトマスク基板203Cを用いて濡れ性可変層202Cに活性光線hνを断続的に照射することで、赤用版210Rが完成する。
ここで、フォトマスク基板203Cは活性光線hνを透過する平板状の透明基板204を有し、この透明基板204の表面204aにマスク205Bが形成され、マスク205Bに1列に並んだ複数の開口部205bが形成されている。
また、光触媒膜206Cがマスク205B全体を被覆するように透明基板204の表面204a側に成膜されている。
【0122】
以上のようなフォトマスク基板203Cを、転写ローラ40Cの濡れ性可変層202Cに対向させて、フォトマスク基板203Cを介して活性光線hνを濡れ性可変層202Cに入射させる。フォトマスク基板203Cのマスク205Bでは活性光線hνが遮蔽され、開口部205bでは活性光線hνが通過し、濡れ性可変層202Cに活性光線hνが入射する。ここで活性光線hνの照射を断続的に繰り返すことで活性光線hνの通過した開口部205aの光触媒膜206Cにより親液性領域210aが図8(b)に示すようにマトリクス状に形成される。
【0123】
親液性領域210aが形成されると、活性光線hνの照射を止めて、転写ローラ40Cが矢印の方向に回転されて、次の所定の位置で再び活性光線hνの照射を行い、親液性領域210aの形成を行い、この手順を繰り返す。親液性領域210aを形成する濡れ性可変層202C上の位置は、透明基板12上の赤色に対する囲繞領域19(R)のピッチに基づいて決められる。このようにして、全体として、濡れ性可変層202Cには、マトリクス状に設けられた複数の親液性領域210aと親液性領域210aの周囲に配置された撥液性領域210bからなるパターンが形成される。このパターンが形成された濡れ性可変層202Cを赤用版210Rとする。
【0124】
親液性領域210aは、赤色発光画素の囲繞領域19(R)に対応している。撥液性領域210bは、緑色発光画素の囲繞領域19(G)及び青色発光画素の囲繞領域19(B)並びに仕切り壁20に対応している。従って、転写ローラ40Cを回転した場合の親液性領域210a,210a,…の配列パターンは、平面視した場合の囲繞領域19(R),19(R),…の配列パターンと同様である。
【0125】
緑用版210G(図示せず)を製版する場合にも赤用版200Rと同様に、フォトマスク基板203Cを用いて緑色用の囲繞領域19(G),19(G),…に対応した領域のみにおいて濡れ性可変層202Cに活性光線hνを入射させる。青用版210B(図示せず)を製版する場合にも赤用版200Rと同様に、フォトマスク基板203Cを用いて青色用の囲繞領域19(B),19(B),…に対応した領域のみにおいて濡れ性可変層202Cに活性光線hνを入射させる。
【0126】
次に、図9を参照して、透明基板12への赤色用の有機化合物含有液60rの印刷方法を説明する。図9(a)に示すように、赤色用の有機化合物含有液60rが満たされた溶液プール42に、赤用版210Rが浸されるように、赤用版210Rを有する転写ローラ40Cを浸し、転写ローラ40Cを矢印方向に回転させつつ透明基板12を移動させて、赤用版210Rの円周面に赤色用の有機化合物含有液60rが浸される。濡れ性可変層202Cにおいて活性光線hνの照射された親液性領域210a,210a,…が親液性であり且つ活性光線hνが照射されなかった撥液性領域210bが撥液性であるから、活性光線hνが照射された親液性領域210a,210a,…にのみに有機化合物含有液60rが液滴として付着する。
【0127】
そして、図9(b)に示すように、トランジスタ21,21,…、アノード13,13,…及び仕切り壁20等が形成された透明基板12の表面12aに印刷用ローラ40Aを対向させる。図9(b)においては、透明基板12上に形成されたトランジスタ21,21,…、アノード13,13,…等は図示を省略されている。
【0128】
ここで、赤用のアノード13(R)と、有機化合物含有液60rの付着した親液性領域210aとをそれぞれ対向させるように、透明基板12と赤用版210R(転写ローラ40C)との位置合わせを行う。そして、赤用版210Rの面から突出している有機化合物含有液60rがアノード13(R)に接触することで、親液性領域210aに付着した有機化合物含有液60rを赤用のアノード13(R)に転写し、転写ローラ40Cを矢印方向に回転させつつ透明基板12を移動させることで、それぞれの親液性領域210aに付着した有機化合物含有液60rを赤用のアノード13(R)に次々と転写する。これにより、図4(c)に示すように、それぞれの囲繞領域19(R)内において赤色に発光する画素に対応するアノード13(R)上に赤色に発光する有機EL層15(R)が形成される。
【0129】
このとき、位置合わせが若干ずれていて、有機化合物含有液60rが仕切り壁20の側壁に接触しても、仕切り壁20の側壁から赤用のアノード13(R)上に滑り落ちるので、成膜された赤色の有機EL層15(R)の厚さが表示に影響ある程度にばらつくことはない。なお、仕切り壁20によって囲繞領域19(R),19(R),…が仕切られているため、囲繞領域19(R)に転写された有機化合物含有液60rが、異なる色の有機化合物含有液が成膜される隣りの囲繞領域19に漏れることが殆どない。
【0130】
次いで、赤色の場合と同様に、緑用版210Gを有する転写ローラ40Cを用いて、転写ローラ40Cを回転させつつ透明基板12を移動させて、液滴である緑色用の有機化合物含有液60g(図示せず)をアノード13(G)に接触させることでアノード13(G),13(G),…に転写し、それぞれの囲繞領域19(G)内においてアノード13(G)上に緑色の有機EL層15(G)を形成する。
【0131】
次いで、赤色の場合と同様に、青用版210Bを有する転写ローラ40Cを用いて、転写ローラ40Cを回転させつつ透明基板12を移動させて、液滴である青色用の有機化合物含有液60b(図示せず)をアノード13(B)に接触させることでアノード13(B),13(B),…に転写し、それぞれの囲繞領域19(B)内においてアノード13(B)上に緑色の有機EL層15(B)を形成する。なお、成膜する順番は、赤色の有機EL層15(R)、緑色の有機EL層15(G)、青色の有機EL層15(B)の順でなくてもよく、また赤色の有機EL層15(R)、緑色の有機EL層15(G)、青色の有機EL層15(B)の順に配列していなくてもよい。
【0132】
以上、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な効果が得られるとともに、転写ローラ40Cに親液性領域210aと撥液性領域210bとを直接パターニングしているので、より高精度に有機化合物含有液を透明基板に転写することができる。なぜなら、第1の実施の形態のように、版200が貼り付けられた転写ローラ40Aの場合では、版200がテンションをかけられてローラ41に貼り付けられているため、版200に伸びが発生し、その伸びにより有機化合物含有液を透明基板に転写する精度がいくらか落ちるおそれがあるからである。
【0133】
また、本実施の形態においても、第1の実施の形態の第1の変形例で説明したように、濡れ性可変層が仕切り壁20を有する透明基板12に形成されて、活性光線hν照射により親液性領域及び撥液性領域をその濡れ性可変層に形成する構成でもよい。また、仕切り壁20を有する透明基板12に対するOプラズマ処理及びCFプラズマ処理により、親液性領域及び撥液性領域を透明基板12等に形成する構成でもよい。また、本実施の形態においても、第1の実施の形態の第2の変形例で説明したように、仕切り壁20による囲繞領域を透明基板12等に設けない構成でもよい。
【0134】
〔第2の実施の形態の変形例〕
次に、図10を参照して、第2の実施の形態の変形例を説明する。図10の(a)は、転写ローラ40Dの製造工程を示す図であり、(b)は(a)のZ方向からの転写を示す図である。本変形例は、第1の実施の形態で説明した、別の製版方法と同様にして、転写ローラの濡れ性可変層が光触媒材料を含むように製造し、フォトマスク基板には光触媒膜を形成しないものである。
【0135】
図10(a)、(b)に示すように、本変形例におけるフォトマスク203Dは、透明基板204の表面に複数の開口部205dが一列に配列されるようにマスク205Dが設けられている。
そして、転写ローラ40Dのローラ41の表面には、濡れ性可変層202Dが形成されている。
濡れ性可変層202Dに用いることのできるバインダーは、好ましくは主骨格が前記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであり、例えば、(A)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、或いは(B)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。濡れ性可変層202Dは、このバインダーに酸化チタン等の光触媒粒子が分散されている。光触媒は、第1の実施の形態でも述べたような他の光触媒を用いてもよい。
【0136】
そして、(イ)印刷工程において、そのフォトマスク基板203Dを転写ローラ40Dに対向させて、フォトマスク基板203Dを介して活性光線hνを濡れ性可変層202Dに開口部205dから入射させる。フォトマスク基板203Dのマスク205Dでは活性光線hνが遮蔽され、開口部205dでは活性光線hνが通過し、濡れ性可変層202Dの所定の箇所に活性光線hνが入射する。活性光線hνの入射した親液性領域220aでは、光触媒(例えば酸化チタン)に活性光線hνが入射されることで活性酸素種(例えば・OH)が生成され、この活性酸素種が撥液性を示す官能基(例えばRf)を脱離させ、親液性を示す官能基(例えば−OH)に置換する。このため、活性光線hνの入射した親液性領域220aは、濡れ性が向上して親液性を示す。開口部205dに応じた濡れ性可変層202Dの所定の箇所が親液性領域220aに変化したら、光源からの活性光線hνの照射が一旦停止され、転写ローラ40Dが軸41aを軸として矢印A方向に回転し、所定の箇所の撥液性領域202bがフォトマスク基板203Dの開口部205dに対向するように配置されると、転写ローラ40Dの回転が停止される。そして、上述のように光源からの活性光線hνの入射が繰り返される。これにより、濡れ性可変層202Dには、濡れ性の相違によるパターンであって、マトリクス状に配列された複数の親液性領域220aと親液性領域220aの周囲に位置する撥液性領域220bとからなるパターンが形成されて、赤用版220Rとなる。また、この製版方法は、上記所定の箇所の位置が異なることを除けば緑用版200G、青用版200Bを製版する際にも適用することができる。
【0137】
〔第3の実施の形態〕
次に、図11〜図14を参照して本発明に係る第3の実施の形態を説明する。図11は、ノズル基板31の構成を示す図であり、(a)はノズル基板31の平面図であり、(b)は(a)の切断線T1−T2における断面図であり、(c)は(a)の切断線U1−U2における断面図である。図12は、溶液吐出ヘッド30の構成を示す図であり、(a)は溶液吐出ヘッド40の平面図であり、(b)は(a)の切断線V1−V2における溶液吐出ヘッド40の断面図である。図13は、本実施の形態における有機EL表示パネル10の製造工程を示す図である。図14は、溶液のメニスカス状態を示す図であり、(a)は溶液に負圧がかけられたメニスカス状態を示す図であり、(b)は溶液に正圧がかけられたメニスカス状態を示す図である。
【0138】
本実施の形態は、図1に示す有機EL表示パネル10の製造において、有機EL層15の形成に溶液吐出ヘッド30を使用する構成であり、説明の重複を避けるため、第1の実施の形態と異なる部分を主として説明する。
【0139】
先ず、溶液吐出ヘッド30の構成を説明する。ここでは、赤色の有機EL層15(R)を透明基板12の所定のサブピクセルに形成するための溶液吐出ヘッド30を説明する。図11に示すように、溶液吐出ヘッド30の構成要素となるノズル基板31は、ガラスからなる基板部32と、基板部32に形成された溶液溜めとなる複数の溝部33と、各溝部33に溶液を供給するための貫通孔34とを有する。ノズル基板31の材料としては、ガラスに限るものではなく、シリコン等でもよい。溝部33及び貫通孔34は、未加工の基板部32にサンドブラスト加工、ウエットエッチング等の処理により形成される。
【0140】
図12に示すように、溶液吐出ヘッド30は、ノズル基板31と、溝部33を覆うような天板35とを有する。天板35には、各溝部33内の溶液を吐出するための円形の溶液吐出孔36が形成されている。天板35は、例えば感光性のドライフィルムである。そのドライフィルムがノズル基板31に貼り付けられた後にフォトリゾグラフィにより溶液吐出孔36が天板35に形成されてもよい。また、天板35は、ポリイミドフィルムでもよい。そのポリイミドフィルムがノズル基板31に貼り付けられた後に、そのポリイミドフィルムにアルミ等をスパッタリングした後、所望の溶液吐出孔36の形状にエッチング加工されたメタルマスクを設け、そのメタルマスクを用いてドライエッチングにより溶液吐出孔36が天板35に形成される構成でもよい。
【0141】
また、溶液吐出孔36の間隔は、有機EL表示パネル10の囲繞領域19(R)に対応するサブピクセルのピッチに合せて形成されている。そして、図13に示すように、溶液吐出ヘッド30に溶液を格納する溶液格納部37と、溶液のタンク(図示せず)から溶液を溶液格納部37に供給する溶液供給管38とが形成される。また、その溶液のタンクには、溶液の圧力を変化する圧力変化手段(図示せず)も設けられているものとする。また、溶液吐出ヘッド30は、赤色の有機化合物含有液60rを吐出するためのものの他に、緑色の有機化合物含有液60gを吐出するためのものと、青色の有機化合物含有液60bを吐出するためのものとが作成される。
【0142】
そして、(イ)印刷工程において、溶液として赤色の有機化合物含有液60rが、溶液のタンクから溶液供給管38を通じて溶液吐出ヘッド30に充填される。そして、アノード13、囲繞領域19、仕切り壁20等が形成された透明基板12と溶液吐出ヘッド30とが対向するように移動させ、溶液吐出ヘッド30の溶液吐出孔36と囲繞領域19(R)とが対向するように位置合せする。そして、圧力変化手段により適当な圧力が溶液吐出ヘッド30内の有機化合物含有液60rに印加され、溶液吐出ヘッド30内に充填された有機化合物含有液60rが溶液吐出孔36から囲繞領域19(R)に吐出され、囲繞領域19(R)に有機EL層15(R)が形成される。
【0143】
有機化合物含有液60rの吐出前及び吐出後には、図14(a)に示すように、圧力変化手段により有機化合物含有液60rに負圧を加えることにより、溶液吐出ヘッド30の溶液吐出孔36から有機化合物含有液60rが漏れないようなメニスカス状態にする。また、有機化合物含有液60rの吐出時には、図14(b)に示すように、圧力変化手段により有機化合物含有液60rに正圧を加えることにより、溶液吐出ヘッド30の溶液吐出孔36から有機化合物含有液60rが染み出て吐出されるようなメニスカス状態にする。
【0144】
囲繞領域19(G)に対する緑色発光画素の有機EL層15(G)の形成は、赤色発光画素の有機EL層15(R)の形成と同様に、緑用の溶液吐出ヘッド30から有機化合物含有液60gを囲繞領域19(G)に吐出させて行う。また、囲繞領域19(B)に対する青色発光画素の有機EL層15(B)の形成は、赤色発光画素の有機EL層15(R)の形成と同様に、青色発光画素の溶液吐出ヘッド40から有機化合物含有液60bを囲繞領域19(B)に吐出させて行う。
【0145】
また、本実施の形態においても、第1の実施の形態の第1の変形例で説明したように、濡れ性可変層が、仕切り壁20等を有する透明基板12に形成されて、活性光線hν照射により親液性領域及び撥液性領域をその濡れ性可変層に形成する構成でもよい。また、仕切り壁20を有する透明基板12に対するOプラズマ処理及びCFプラズマ処理により、親液性領域及び撥液性領域を透明基板12側に直接形成する構成でもよい。また、本実施の形態においても、第1の実施の形態の第2の変形例で説明したように、仕切り壁20による囲繞領域を透明基板12等に設けない構成でもよい。
【0146】
以上、本実施の形態によれば、溶液吐出ヘッド30内の溶液の圧力を変化してそのメニスカスをコントロールして有機化合物含有液を吐出して有機EL層15(R)を形成して有機EL表示パネルを製造する。このため、インクジェット方式と比べて、溶液吐出ヘッド30の機構が簡単で、溶液吐出孔の間隔及び個数を任意に設けることができる。また、有機EL表示パネルの製造工程が簡便で且つ一度に多くの画素の有機EL層を生成できることにより有機EL表示パネルの製造時間を短縮することができる。更に、画素ごとに均一な膜圧の有機EL層を形成できるので発光特性の劣化要因を少なくすることができる。
【0147】
〔第3の実施の形態の変形例〕
次に、図15を参照して、第3の実施の形態の変形例を説明する。図15は、溶液吐出ヘッド30Eの構成を示す図であり、(a)は溶液吐出ヘッド30Eの平面図であり、(b)は(a)の切断線W1−W2における溶液吐出ヘッド30Eの断面図である。
【0148】
本変形例は、第3の実施の形態の溶液吐出ヘッド30に代えて、溶液吐出孔の形状が異なる溶液吐出ヘッド30Eを用いるものである。図15に示すように、溶液吐出ヘッド30Eは、基板部32、溝部33及び貫通孔34を有するノズル基板31と、長尺なスリット状の溶液吐出孔36Eが複数形成された天板35Eとを有する。溶液吐出孔36Eの形状が長尺なスリット状であるので、1回の溶液の吐出量を多くすることができ、その吐出時間を短縮することができる。特に、サブピクセルが長細い形状の場合に、1つの溶液吐出孔36Eの長手方向の長さを、その長細いサブピクセルに対応させる構成にすれば、有機EL層の膜厚を均一にできるので好ましい。
【0149】
なお、本変形例の場合、サブピクセルが略矩形である場合には、透明基板12の仕切り壁20等の有機EL層15を形成しない部分にも溶液を吐出することになる。よって、第1の実施の形態の変形例で説明したような、溶液の吐出前に、透明基板12側で親液性領域及び撥液性領域を形成しておく構成が好ましい。つまり、囲繞領域19を親液性領域とし、それ以外の領域を撥液性領域とする。
【0150】
なお、本発明は上記各実施の形態及びその変形例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記各実施形態では、カソード16が全ての有機EL素子11,11,…について共通しているが、有機EL素子11の発光色ごとに共通のカソードを形成しても良い。このようにすることによって、カソード16が各発光色の有機EL層15毎に、印加される基準電圧値又は基準電流値を変えることができるので、例えば赤、緑、青に発光する有機EL層15のそれぞれの電流比視効率(cd/A)が互いに異なる場合であっても、所定の輝度階調で発光させるために、アノードが各色の電流比視効率に合わせて輝度階調電圧(又は輝度階調電流)を供給する必要がない。すなわち、アノードが所定の輝度で各色の有機EL層15を発光させる場合、発光色にしたがって輝度階調電圧(又は輝度階調電流)を変調させなくてよい。例えば、各色の有機EL層15を同一輝度階調で発光する際に、アノードは各色共通の同値の輝度階調電圧(又は輝度階調電流)を供給するだけで、各画素の輝度(cd/m)を等しくすることができ、色バランスを良好にすることができる。また、有機EL素子11ごとにカソードを形成しても良い。カソードを有機EL素子11ごとに形成した場合、アノードを全ての有機EL素子11,11,…に共通させてもよいが、サブピクセルごとの画素回路はカソードに接続されることになる。また、有機EL素子11を透明基板12から順にカソード、有機EL層、アノードの順にしても良い。また、各実施形態においてはトランジスタ21,21,…を設けたアクティブマトリクス有機EL表示パネルに本発明を適用したが、単純マトリクス駆動の表示パネルにも応用できる。
【0151】
また、第1及び第2の実施の形態並びにそれらの変形例において、サブピクセルのピッチが、赤、緑及び青の各色で同じ場合には、同一形状の転写ローラ40A,40C,40Dを用いて、各色の有機化合物含有液を転写する構成でもよい。更に、同一の転写ローラ40A,40C,40Dを用いて異なる各色の有機化合物含有液を転写する構成でもよい。
【0152】
また、第1及び第2の実施の形態並びにそれらの変形例においては、転写ローラ40A,40C,40Dを軸41aで軸を固定して回転させ、溶液プール42や透明基板12の方を移動させて、有機化合物含有液の付着及び転写を行う構成として説明したが、溶液プール42や透明基板12を固定して、転写ローラ40A,40C,40Dを回転させ且つ移動させて、有機化合物含有液の付着及び転写を行う構成としてもよい。
【0153】
また、上記各実施の形態及びその変形例では、有機EL層15が赤、緑及び青の各色の狭義の発光層一層からなる構成についての有機EL表示パネルの製造工程を代表的に説明したが、これに限るものではない。例えば、有機EL層が狭義の発光層に加えて正孔輸送層を含む場合、正孔輸送層の材料を溶媒に溶解して溶液とし、上記各実施の形態及びその変形例で説明した赤、緑及び青の各色の狭義の発光層の製造と同様に、その溶液を各サブピクセルに転写又は吐出して形成することができる。ただし、正孔輸送層には、赤、緑及び青の各色の色分けはないので、全てのサブピクセルに同一の溶液を転写又は吐出する構成が可能となる。この構成に対応して転写ローラ及び溶液吐出ヘッド等を構成する。
【0154】
正孔輸送層の材料を含む溶液は、例えば、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォネートの混合物のような有機材料を含む溶液でもよく、正孔輸送性の無機材料が分散された溶液でもよく、これらを混合したものでもよい。また、正孔輸送層の材料を含む溶液の溶媒には、水等が用いられる。
また上記各実施形態では、光触媒膜206、206Cがそれぞれマスク205、205B全面に設けられたが、開口部205a、205bにのみ設けられてもよい。
なお上記各実施形態では、親液層141a、親液性領域202a,210a,220aが各色マトリクス状に配列されたが、互いに同色に発光する複数の画素が列方向に並んで配列させてもよく、このために一つの囲繞領域19が同色に発光する複数の画素に併せて列方向に連続して形成されてもよい。この場合、各マスク205,205B,205Dの各開口部205a,205b,205dも列方向に連続して延びていてもよい。
【0155】
【発明の効果】
請求項1又は13に記載の発明によれば、活性光線により任意のパターンが形成された第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層が取り付けられた転写ローラに付着された光学材料を含有する溶液が、その転写ローラの回転により、基板側の所定の位置に転写されることにより光学材料層を形成して表示装置を製造することができる。このため、活性光線により、第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層に任意の高精度且つ微細な濡れ性の異なるパターンを容易に形成することができ、その転写ローラの回転による溶液の転写により、そのパターンに基づいた微細且つ高精度な光学材料層を有する表示装置を短時間で効率的に製造することができる。また、そのパターンに基づいて均一な膜厚の光学材料層を形成するので、発光特性の劣化要因を軽減することができる。
【0156】
請求項2又は14に記載の発明によれば、活性光線により転写ローラの第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層に任意のパターンが形成され、光学材料を含有する溶液が第1の濡れ性可変層に付着され、その転写ローラの回転により、基板側に溶液を転写して光学材料層を形成して表示装置を製造することができる。このため、活性光線により第1の濡れ性可変層又は濡れ性可変層に任意の高精度且つ微細なパターンを容易に形成することができ、その転写ローラの回転による溶液の転写により、そのパターンに基づいた微細且つ極めて高精度な光学材料層を有する表示装置を短時間で効率的に製造することができる。また、そのパターンに基づいて均一な膜厚の光学材料層を形成するので、発光特性の劣化要因を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL表示パネル10の平面図である。
【図2】図1の切断線S1−S2における有機EL表示パネル10の断面図である。
【図3】赤用版200Rの製造工程を示した図である。
【図4】本発明に係る第1の実施の形態における有機EL表示パネル10の製造工程を示した図であり、(a)は赤用版200Rへの赤色用の有機化合物含有液60rの付着を示す図であり、(b)は有機EL表示パネル10への赤色用の有機化合物含有液60rの転写を示す図であり、(c)は(b)のX方向からの転写を示す図であり、(d)は赤色用の有機化合物含有液60rが印刷された有機EL表示パネル10を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の第1の変形例における有機EL表示パネル10の製造工程を示した図である。
【図6】有機EL表示パネル110の断面図である。
【図7】濡れ性可変層141を有する有機EL表示パネル110の製造工程を示す図である。
【図8】(a)は転写ローラ40Cの製造工程を示す図であり、(b)は(a)のY方向からの転写を示す図である。
【図9】本発明に係る第2の実施の形態における有機EL表示パネル10の製造工程を示した図であり、(a)は転写ローラ40Cへの赤色用の有機化合物含有液60rの付着を示す図であり、(b)は有機EL表示パネル10への赤色用の有機化合物含有液60rの転写を示す図である。
【図10】(a)は、転写ローラ40Dの製造工程を示す図であり、(b)は(a)のZ方向からの転写を示す図である。
【図11】ノズル基板31の構成を示す図であり、(a)はノズル基板31の平面図であり、(b)は(a)の切断線T1−T2における断面図であり、(c)は(a)の切断線S1−S2における断面図である。
【図12】溶液吐出ヘッド30の構成を示す図であり、(a)は溶液吐出ヘッド30の平面図であり、(b)は(a)の切断線V1−V2における溶液吐出ヘッド30の断面図である。
【図13】本発明に係る第3の実施の形態における有機EL表示パネル10の製造工程を示す図である。
【図14】溶液のメニスカス状態を示す図であり、(a)は溶液に負圧がかけられたメニスカス状態を示す図であり、(b)は溶液に圧力がかけられたメニスカス状態を示す図である。
【図15】溶液吐出ヘッド30Eの構成を示す図であり、(a)は溶液吐出ヘッド30Eの平面図であり、(b)は(a)の切断線W1−W2における溶液吐出ヘッド30Eの断面図である。
【符号の説明】
10,110…有機EL表示パネル
12…透明基板
12a…表面
12b…裏面
13(R),13(G),13(B)…アノード
14,141…濡れ性可変層
141a(R)…親液性領域
141b…撥液性領域
15(R),15(G),15(B)…有機EL層
16…カソード
18…保護絶縁膜
19(R),19(G),19(B)…囲繞領域
20…仕切り壁
21…トランジスタ
22…ゲート電極
23…ゲート絶縁膜
24…半導体膜
25,26…不純物半導体膜
27…ドレイン電極
28…ソース電極
51…信号線
52…走査線
40A,40C,40D…転写ローラ
41…ローラ
42…溶液プール
60r…有機化合物含有液
200R,210R,220R…赤用版
201…基板
201a…表面
202,202C,202D…濡れ性可変層
202a,210a,220a…親液性領域
202b,210b,220b…撥液性領域
203,203C…フォトマスク基板
204…透明基板
204a…表面
205,205B,205D…マスク
205a,205b,205d…開口部
30,30E…溶液吐出ヘッド
31…ノズル基板
32…基板部
33…溝部
34…貫通孔
35,35E…天板
36,36E…溶液吐出孔
37…溶液格納部
38…溶液供給管

Claims (16)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、その第1及び第2の電極の間に設けられた光学材料層とを有する光学素子が基板に形成された表示装置の製造方法において、
    濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを有する第1の濡れ性可変層が取り付けられた転写ローラを回転することにより前記第1の濡れ性可変層の前記所定領域に、前記光学材料層の光学材料を含有する溶液を付着する付着工程と、
    前記第1の濡れ性可変層に前記溶液が付着された前記転写ローラを回転して、前記付着された溶液を前記基板側に転写する転写工程とを含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
  2. 第1の電極と、第2の電極と、その第1及び第2の電極の間に設けられた光学材料層とを有する光学素子が基板に形成された表示装置の製造方法において、
    転写ローラに設けられた第1の濡れ性可変層に活性光線を照射することにより、濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを形成する第1のパターン形成工程と、
    前記光学材料層の光学材料を含有する溶液を前記転写ローラ上の第1の濡れ性可変層に付着する付着工程と、
    前記第1の濡れ性可変層に付着された前記溶液を、前記転写ローラを回転して前記基板側に接触させることにより転写する転写工程とを含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
  3. 前記第1の濡れ性可変層は、光を透過する任意のパターンが形成された第1のフォトマスク基板を介して活性光線を照射することにより濡れ性が互いに異なる前記所定領域及び前記所定領域以外の領域のパターンが形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
  4. 前記第1のフォトマスク基板は、光触媒を含むことを特徴とする請求項3に記載の表示装置の製造方法。
  5. 前記第1の濡れ性可変層は、光触媒を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
  6. 前記基板には第2の濡れ性可変層が形成され、
    活性光線の照射により前記第2の濡れ性可変層に濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを形成する第2のパターン形成工程を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
  7. 前記第2のパターン形成工程において、光を透過する任意のパターンが形成された第2のフォトマスク基板を用いて前記活性光線を前記第2の濡れ性可変層に照射することを特徴とする請求項6に記載の表示装置の製造方法。
  8. 前記第2のフォトマスク基板は、光触媒を含むことを特徴とする請求項7に記載の表示装置の製造方法。
  9. 前記第2の濡れ性可変層は、光触媒を含むことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
  10. 濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンを前記基板側に直接形成する基板パターン形成工程を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
  11. 前記所定の領域は、少なくとも1つの前記第1の電極に対応する親液領域であり、前記所定領域以外の領域は撥液領域であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
  12. 前記基板は、仕切り壁により前記第1の電極が囲繞された囲繞領域を有し、
    前記転写工程において、前記第1の濡れ性可変層に前記溶液が付着された前記転写ローラを回転して、前記付着された溶液を前記基板側の前記囲繞領域に接触させることにより転写することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
  13. 活性光線の被照射の有無により、濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンが形成された濡れ性可変層を有する版を備え、
    前記パターンが形成された濡れ性可変層を有する版は、円周上に取り付けられ、
    前記濡れ性可変層は、前記形成されたパターンに基づいて、第1の電極及び第2の電極の間に光学材料層が設けられる表示装置の前記光学材料層となる光学材料を含有する溶液が付着されることが可能であることを特徴とする転写ローラ。
  14. 活性光線の被照射の有無により、濡れ性が互いに異なる所定領域及び前記所定領域以外の領域からなるパターンが形成された濡れ性可変層を円周上に備え、
    前記濡れ性可変層は、前記形成されたパターンに基づいて、第1の電極及び第2の電極の間に光学材料層が設けられる表示装置の前記光学材料層となる光学材料を含有する溶液が付着されることが可能であることを特徴とする転写ローラ。
  15. 前記濡れ性可変層は、光触媒を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の転写ローラ。
  16. 前記所定の領域は、少なくとも1つの前記第1の電極に対応する親液領域であり、前記所定領域以外の領域は撥液領域であることを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の転写ローラ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8187670B2 (en) 2004-12-15 2012-05-29 Seiko Epson Corporation Patterned substrate, electro-optical device, and method for manufacturing an electro-optical device
JP2012146444A (ja) * 2011-01-11 2012-08-02 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 有機エレクトロニクスデバイスの製造方法及び有機エレクトロニクスデバイス
JP2016155114A (ja) * 2015-02-26 2016-09-01 株式会社東芝 塗布方法および塗布装置
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