JP2005174853A - エレクトロルミネセンス表示パネル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 隣り合う画素の間でエレクトロルミネセンス層が混じり合わず更に一画素内でエレクトロルミネセンス層の膜厚を一様にすること。
【解決手段】 トランジスタアレイ基板2のトランジスタ9が形成された面に樹脂を塗布することにより、平坦化膜3を成膜する。次に、平坦化膜3上に複数の画素電極21を形成する。次に、このトランジスタアレイ基板2をシラザン化合物溶液に浸漬することで、シラザン化合物の膜を表層に形成し、シラザン化合物を加水分解縮合させて、珪素と酸素との主鎖にフルオロアルキル基が結合した濡れ性可変膜30を形成する。濡れ性可変膜30のうち画素電極21に重なった領域に紫外線を照射することにより、親液性領域22aと撥液性領域22bにパターニングし、親液性領域22aに有機化合物含有液を塗布して、エレクトロルミネセンス層23を形成する。対向電極24を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】 トランジスタアレイ基板2のトランジスタ9が形成された面に樹脂を塗布することにより、平坦化膜3を成膜する。次に、平坦化膜3上に複数の画素電極21を形成する。次に、このトランジスタアレイ基板2をシラザン化合物溶液に浸漬することで、シラザン化合物の膜を表層に形成し、シラザン化合物を加水分解縮合させて、珪素と酸素との主鎖にフルオロアルキル基が結合した濡れ性可変膜30を形成する。濡れ性可変膜30のうち画素電極21に重なった領域に紫外線を照射することにより、親液性領域22aと撥液性領域22bにパターニングし、親液性領域22aに有機化合物含有液を塗布して、エレクトロルミネセンス層23を形成する。対向電極24を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数の有機エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence)素子が配列されてなるエレクトロルミネセンス表示パネル及びその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネセンス素子はアノード、エレクトロルミネセンス層、カソードの順に積層された積層構造を為しており、アノードとカソードの間に正バイアス電圧が印加されるとエレクトロルミネセンス層において発光する。このような有機エレクトロルミネセンス素子を画素として基板上にマトリクス状に配列して、各有機エレクトロルミネセンス素子を所定の階調輝度で発光させることによって画像表示を行うエレクトロルミネセンス表示パネルが実現化されている。特にアクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネセンス表示パネルでは、画素としての有機エレクトロルミネセンス素子の周りにアクティブスイッチング素子が形成されている。
アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネセンス表示パネルでは、アノード又はカソードのうちの一方の電極を全ての画素に共通する共通電極とすることができるが、少なくとも他方の電極及びエレクトロルミネセンス層を画素ごとにパターニングする必要がある。アノードやカソードを画素ごとにパターニングする手法は従来の半導体装置製造技術を適用できる。つまり、PVD法又はCVD法等による成膜工程、フォトリソグラフィ法等によるマスク工程、エッチング法等による薄膜の形状加工工程を適宜行うことで、アノードやカソードを画素ごとにパターニングすることができる。
エレクトロルミネセンス層の成膜方法については、材料等の条件に応じてドライ蒸着法と湿式コーティング法に大別できる。ドライ蒸着法を用いる場合には、メタルマスクを用いることで蒸着して成膜されるエレクトロルミネセンス層を画素ごとにパターニングすることができる。
一方、湿式コーティング法を用いる場合には、インクジェット技術を応用することで画素ごとにパターニングすることができる(例えば、特許文献1参照。)。つまり、エレクトロルミネセンス層になる材料を有機溶媒で溶解した有機溶液の液滴を画素ごとに吐出することで、画素ごとにエレクトロルミネセンス層をパターニングすることができる。
特開平10−12377号公報
ところで、高解像度の画像表示を行うエレクトロルミネセンス表示パネルを提供するためには、エレクトロルミネセンス層を微細パターンで形成しなければならない。インクジェット方式では、有機溶液の液滴の粒径が非常に小さいためエレクトロルミネセンス層を微細パターンで形成することは可能であるが、液滴が着弾してから固化するまでの間に液滴が滲んでしまうため、隣り合う画素の間で液滴が混合する恐れがある。
また、一画素に注目しても、アノードに着弾した液滴が周囲のトランジスタの形状にしたがって生じる凹凸の影響を受けて、凸部での厚さが薄くなってしまいアノード内に一様の厚さで滲まないので、エレクトロルミネセンス層の膜厚が一様にならないことがある。
また、一画素に注目しても、アノードに着弾した液滴が周囲のトランジスタの形状にしたがって生じる凹凸の影響を受けて、凸部での厚さが薄くなってしまいアノード内に一様の厚さで滲まないので、エレクトロルミネセンス層の膜厚が一様にならないことがある。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとしてなされたものであり、隣り合う画素の間でエレクトロルミネセンス層が混じり合わず更に一画素内でエレクトロルミネセンス層の膜厚をほぼ一様にすることを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明のエレクトロルミネセンス表示パネルは、複数のエレクトロルミネセンス素子が配列されてなるエレクトロルミネセンス表示パネルにおいて、
複数のトランジスタが基板上に形成されてなるトランジスタアレイ基板と、
前記トランジスタアレイ基板の前記複数のトランジスタが形成された面上に形成された樹脂の膜と、
互いに間隔を空けて前記樹脂の膜上に配列された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極をまとめて被覆するように形成され、前記複数の画素電極それぞれに重なった領域において親液性を示すとともに前記複数の画素電極に重なっていない領域において撥液性を示すようにパターン化されたパターン膜と、
前記パターン膜のうち前記複数の画素電極に重なった領域それぞれにおいて形成された複数のエレクトロルミネセンス層と、
前記エレクトロルミネセンス層上に形成された対向電極と、を備える。
複数のトランジスタが基板上に形成されてなるトランジスタアレイ基板と、
前記トランジスタアレイ基板の前記複数のトランジスタが形成された面上に形成された樹脂の膜と、
互いに間隔を空けて前記樹脂の膜上に配列された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極をまとめて被覆するように形成され、前記複数の画素電極それぞれに重なった領域において親液性を示すとともに前記複数の画素電極に重なっていない領域において撥液性を示すようにパターン化されたパターン膜と、
前記パターン膜のうち前記複数の画素電極に重なった領域それぞれにおいて形成された複数のエレクトロルミネセンス層と、
前記エレクトロルミネセンス層上に形成された対向電極と、を備える。
本発明のエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法は、複数のエレクトロルミネセンス素子が配列されてなるエレクトロルミネセンス表示パネルを製造するエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法において、
複数のトランジスタが基板上に形成されてなるトランジスタアレイ基板の前記複数のトランジスタが形成された面に樹脂を塗布し、塗布した樹脂の膜を硬化させる樹脂膜形成工程と、
複数の画素電極を前記硬化した樹脂の膜上に間隔をあけて形成する画素電極形成工程と、
活性光線の被照射によって発光層となる材料が含有された溶液に対する濡れ性が向上する濡れ性可変膜を、前記複数の画素電極をまとめて被覆するように形成する濡れ性可変膜形成工程と、
前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に活性光線を照射する照射工程と、
前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に発光層となる材料が含有された溶液を塗布することで前記複数の画素電極それぞれにエレクトロルミネセンス層を形成するエレクトロルミネセンス層形成工程と、
を含むことを特徴とする。
複数のトランジスタが基板上に形成されてなるトランジスタアレイ基板の前記複数のトランジスタが形成された面に樹脂を塗布し、塗布した樹脂の膜を硬化させる樹脂膜形成工程と、
複数の画素電極を前記硬化した樹脂の膜上に間隔をあけて形成する画素電極形成工程と、
活性光線の被照射によって発光層となる材料が含有された溶液に対する濡れ性が向上する濡れ性可変膜を、前記複数の画素電極をまとめて被覆するように形成する濡れ性可変膜形成工程と、
前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に活性光線を照射する照射工程と、
前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に発光層となる材料が含有された溶液を塗布することで前記複数の画素電極それぞれにエレクトロルミネセンス層を形成するエレクトロルミネセンス層形成工程と、
を含むことを特徴とする。
前記樹脂膜形成工程では、前記塗布した樹脂の膜を前記トランジスタの高さよりも厚い膜厚になるように形成することが好ましい。
上記エレクトロルミネセンスの製造方法は、前記形成したエレクトロルミネセンス層上に対向電極を形成する工程を更に含んでも良い。
前記濡れ性可変膜形成工程が、フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を含有した液体を前記複数の画素電極をまとめて被覆するように塗布する工程と、前記塗布した液体を乾燥させて、フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を加水分解縮合させて前記濡れ性可変膜として形成する工程と、を含むことが好ましい。
好ましくは、前記照射工程では、光触媒を透過した活性光線を、前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に照射する。
上記エレクトロルミネセンスの製造方法は、前記形成したエレクトロルミネセンス層上に対向電極を形成する工程を更に含んでも良い。
前記濡れ性可変膜形成工程が、フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を含有した液体を前記複数の画素電極をまとめて被覆するように塗布する工程と、前記塗布した液体を乾燥させて、フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を加水分解縮合させて前記濡れ性可変膜として形成する工程と、を含むことが好ましい。
好ましくは、前記照射工程では、光触媒を透過した活性光線を、前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に照射する。
本発明では、複数のトランジスタが基板上に配列されていても、それらトランジスタを被覆するように樹脂の膜を形成するため、その樹脂の膜の表面はトランジスタの形状の影響を受けずに平坦になる。その平坦な樹脂の膜に複数の画素電極を形成するため、これら画素電極の表面も平坦になる。そして、これら画素電極を被覆するように濡れ性可変膜を形成し、複数の画素電極それぞれに重なる領域に活性光線を照射すると、複数の画素電極それぞれに重なる領域では濡れ性可変膜の濡れ性が向上する。そのため、活性光線照射後の濡れ性可変膜においては、濡れ性が向上した領域が複数の画素電極と同様に点在した状態となる。従って、複数の画素電極それぞれに重なった領域に発光層となる材料が含有された溶液を塗布すると、濡れ性が向上した領域では発光層となる材料が含有された溶液が滲むが、濡れ性が向上していない領域つまり複数の画素電極間に重なった領域には発光層となる材料が含有された溶液が拡がらない。
ここで、画素電極の表面が平坦であるから、その表面に成膜された濡れ性可変膜も画素電極に重なる領域の表面が平坦になる。そのため、画素電極に重なる領域つまり濡れ性が向上した領域に塗布された発光層となる材料が含有された溶液がその領域内において一様の厚さで拡がる。
ここで、画素電極の表面が平坦であるから、その表面に成膜された濡れ性可変膜も画素電極に重なる領域の表面が平坦になる。そのため、画素電極に重なる領域つまり濡れ性が向上した領域に塗布された発光層となる材料が含有された溶液がその領域内において一様の厚さで拡がる。
本発明によれば、各画素電極に重なった領域では発光層となる材料が含有された溶液が滲み且つ各画素電極の間に重なった領域には発光層となる材料が含有された溶液が拡がらないため、隣り合う画素間で発光層となる材料が含有された溶液が混じり合わない。そのため、隣り合う画素の間でエレクトロルミネセンス層が連なって形成されることを防止することができる。
また、塗布した発光層となる材料が含有された溶液が塗布した領域において一様の厚さで拡がるから、一画素内でエレクトロルミネセンス層の膜厚を一様にすることができる。
また、塗布した発光層となる材料が含有された溶液が塗布した領域において一様の厚さで拡がるから、一画素内でエレクトロルミネセンス層の膜厚を一様にすることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、『平面視して』とは、『透明基板5(後述)面に対して垂直な方向に見て』という意味である。
図1は、本発明の製造方法により製造されたエレクトロルミネセンス表示パネル1の平面図であり、図2は、図1に示された切断線II−IIに沿った断面図であり、図3は、図2の領域Aを拡大して示した図面である。図1においては、隣り合う6画素を示し、主に電極の構造を図示する。
エレクトロルミネセンス表示パネル1は、平面視してマトリクス状に配列された画素を用いて、アクティブマトリクス駆動方式によりドットマトリクス表示を行うものである。このエレクトロルミネセンス表示パネル1は、トランジスタアレイ基板2と、トランジスタアレイ基板2を被覆した平坦化膜3と、平坦化膜3上にマトリクス状に配列された複数の有機エレクトロルミネセンス素子4,4,…と、を備える。なお、以下では、有機エレクトロルミネセンス素子4を有機EL素子4と略称する。
トランジスタアレイ基板2は、透明基板5と、透明基板5上に形成された複数の第一走査線6,6,…と、第一走査線6,6,…に直交するように配列された複数の信号線7,7,…と、第一走査線6,6,…それぞれの間に配設された第二走査線8,8,…と、透明基板5上に形成された複数のトランジスタ9,9,…と、これらトランジスタ9,9,…を被覆した保護絶縁膜10と、を具備する。ここでは、一つの画素(サブピクセル)につき一つの有機EL素子4と二つのトランジスタ9,9とが設けられているが、一つの画素につき一つのトランジスタと一つの有機EL素子とが設けられている場合でも、更には一つの画素につき三つ以上のトランジスタと一つの有機EL素子とが設けられている場合でも、本発明を適用することができる。
いずれのトランジスタ9も、ゲート電極11、ゲート絶縁膜12、真性な半導体膜13、不純物半導体膜14,15、ドレイン電極16、ソース電極17、ブロッキングレイヤ18から構成されており、これらが積層されてなるMOS型電界効果薄膜トランジスタである。ゲート絶縁膜12は、透明基板5一面に成膜されており、全てのトランジスタ9,9,…に共通した層となっている。これらトランジスタ9,9,…は、共通の保護絶縁膜10によって被覆されている。ゲート絶縁膜12及び保護絶縁膜10は、透明な誘電体であり、酸化シリコン(SiO2)及び窒化シリコン(SiN、Si3N4)といった無機珪素化物で形成されている。
第一走査線6,6,…及び第二走査線8,8,…の何れも、透明基板5上に形成されており、更に、ゲート絶縁膜12に被覆されている。信号線7,7,…の何れも、ゲート絶縁膜12上に形成されており、更に保護絶縁膜10によって被覆されている。なお、隣り合う第一走査線6及び第二走査線8のそれぞれに走査信号が出力され、信号線7に階調信号が出力されると、その第一走査線6と信号線7との交差部に配置された画素の2つのトランジスタ9,9により階調信号が取り込まれ、その画素の有機EL素子4は、次にその第一走査線6及びその第二走査線8に走査信号が出力されるまでの間トランジスタ9,9によって階調信号に応じた輝度で発光する。
以上のように構成されたトランジスタアレイ基板2の表面、つまり保護絶縁膜10の表面には、平坦化膜3がべた一面に成膜されている。平坦化膜3は、例えばPMMA、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリイミド、その他の透明な樹脂から形成されたものである。平坦化膜3は、可視光領域の光透過率が80%以上であるのが望ましく、更に液状の前駆体を紫外線照射により重合させた(硬化させた)ものが望ましい。この平坦化膜3の厚さは保護絶縁膜10の表面に生じた段差の高さよりも厚く、更に望ましくはトランジスタ9の高さ(透明基板5の表面からトランジスタ9の頭頂部までの高さ)よりも厚い。このような平坦化膜3が形成されることによって保護絶縁膜10の表面に生じた段差が解消され、平坦化膜3の表面がほぼ平坦な面となっている。
有機EL素子4は、平坦化膜3上に成膜された画素電極21と、画素電極21を被覆したパターン膜22と、パターン膜22を介して画素電極21上に成膜されたエレクトロルミネセンス層23と、エレクトロルミネセンス層23上に成膜された対向電極24と、を具備する。
画素電極21及びエレクトロルミネセンス層23は有機EL素子4ごとに独立しており、対向電極24及びパターン膜22は全ての有機EL素子4,4,…に共通している。つまり、画素電極21,21,…が平坦化膜3上にマトリクス状となって配列されており、これら画素電極21,21,…をまとめて被覆するようにパターン膜22が成膜されている。また、エレクトロルミネセンス層23はパターン膜22を挟んで各画素電極21上に形成されている。対向電極24は、エレクトロルミネセンス層23,23,…をまとめて被覆するように成膜されている。
画素電極21は、有機EL素子4のアノードとして機能する電極であり、透明な金属酸化物で形成されている。具体的には、画素電極21は、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))で形成されている。また、画素電極21は、平坦化膜3及び保護絶縁膜10に形成されたコンタクトホール25を介して、その画素の2つのトランジスタ9,9のうちの一方のトランジスタ9のソース電極17に接続されている。
パターン膜22は、画素電極21,21,…それぞれに重なっている親液性領域22a,22a,…と、画素電極21,21,…間において平坦化膜3に重なっている撥液性領域22bと、にパターン化されている。つまり、平面視して、親液性領域22a,22a,…は、画素電極21,21,…と同様にマトリクス状に点在しており、撥液性領域22bは、親液性領域22a,22a,…それぞれを囲繞するように網目状を呈している。
親液性領域22a,22a,…は、有機化合物含有液に対してなじんで有機化合物含有液が40°以下の接触角で濡れる性質(以下、「親液性」という。)を有する。撥液性領域22bは、有機化合物含有液をはじいて有機化合物含有液が50°以上の接触角で濡れる性質(以下、「撥液性」という。)を有する。ここで、有機化合物含有液とは、エレクトロルミネセンス層23を構成した有機化合物又はその前駆体を含有した液であり、エレクトロルミネセンス層23を構成した有機化合物又はその前駆体が溶質として溶媒に溶けてなる溶液であっても良いし、エレクトロルミネセンス層23を構成した有機化合物又はその前駆体が分散媒である液体に分散してなる分散液であっても良い。
パターン膜22は、親液性領域22a,22a,…において非常に薄く、その厚さは0.0nmより厚く且つ1nm以下である。
エレクトロルミネセンス層23は、有機化合物である発光材料で形成された層であって、画素電極21から注入された正孔と対向電極24から注入された電子を再結合させることで励起子を生成して発光する層である。また、エレクトロルミネセンス層23には、電子輸送性の物質が適宜混合されていても良いし、正孔輸送性の物質が適宜混合されても良いし、電子輸送性の物質及び正孔輸送性の物質が適宜混合されていても良い。
また、エレクトロルミネセンス層23は、画素電極21側から順に正孔輸送層、狭義の発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、画素電極21側から順に正孔輸送層、狭義の発光層となる二層構造であっても良いし、狭義の発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子或いは正孔の注入層が介在した積層構造であっても良い。ここでは、エレクトロルミネセンス層23は、導電性高分子であるPEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔注入層、ポリフルオレン系発光材料からなる狭義の発光層の順に積層した二層構造である。エレクトロルミネセンス層23は、有機化合物含有液を塗布すること(つまり、湿式塗布法)によって成膜される。
対向電極24は、有機EL素子4のカソードとして機能する電極であり、少なくとも仕事関数の低い材料を含む。具体的には、対向電極24は、マグネシウム、カルシウム、リチウム若しくはバリウムや希土類からなる単体又はこれらの単体を少なくとも一種を含む合金で形成されている。更に、対向電極24が積層構造となっていても良く、例えば、上述のような低仕事関数材料で形成された膜上にアルミニウム、クロム等高仕事関数で且つ低抵抗率の材料で被膜した積層構造でも良い。
なお、画素電極21が透明電極である場合には、透明基板5側が表示面となり、対向電極24が透明電極である場合には、対向電極24側が表示面となる。
次に、図4〜図11を用いてエレクトロルミネセンス表示パネル1の製造方法について説明する。ここで、図1に示された切断線II−IIに沿った断面の状態が、図4〜図11の順に示されている。
まず、スパッタ法、PVD法及びCVD法等といった成膜工程、フォトリソグラフィ法等といったマスク工程、エッチング法等といった薄膜の形状加工工程を適宜行うことによって、第一走査線6,6,…、第二走査線8,8,…及び信号線7,7,…を形成してパターニングするとともに、1つの画素につき2つのトランジスタ9,9を透明基板5上に形成してパターニングする(図4参照。)。なお、アルミニウムからなる第一走査線6,6,…、第二走査線8,8及びトランジスタ9,9,…のゲート電極11を形成した後、それらに対して陽極酸化を行うことによって酸化被膜を形成する。
まず、スパッタ法、PVD法及びCVD法等といった成膜工程、フォトリソグラフィ法等といったマスク工程、エッチング法等といった薄膜の形状加工工程を適宜行うことによって、第一走査線6,6,…、第二走査線8,8,…及び信号線7,7,…を形成してパターニングするとともに、1つの画素につき2つのトランジスタ9,9を透明基板5上に形成してパターニングする(図4参照。)。なお、アルミニウムからなる第一走査線6,6,…、第二走査線8,8及びトランジスタ9,9,…のゲート電極11を形成した後、それらに対して陽極酸化を行うことによって酸化被膜を形成する。
次に、CVD法等により保護絶縁膜10をべた一面に成膜し、第一走査線6,6,…、第二走査線8,8,…、信号線7,7,…及びトランジスタ9,9,…を保護絶縁膜10によって被覆する。次に、フォトリソグラフィ法により保護絶縁膜10上にマスクを形成し、そのマスクをした状態でエッチング法を行うことにより、各画素の2つのトランジスタ9,9のうちの一方のソース電極17に通じるコンタクトホール25を保護絶縁膜10に形成する。
次に、平坦化膜3の前駆体である液状の紫外線重合性樹脂を保護絶縁膜10上に塗布又は散布することにより、紫外線重合性樹脂の膜を成膜し、紫外線重合性樹脂の膜に紫外線を照射することによりその膜を硬化させる。これにより、平坦化膜3が形成される(図5参照。)。ここで、平坦化膜3は、保護絶縁膜10の表面に生じた段差の高さよりも厚く、更に望ましくはトランジスタ9の高さ(透明基板5の表面からトランジスタ9の頭頂部までの高さ)よりも厚くなるように成膜する。このように平坦化膜3を成膜することによって保護絶縁膜10の表面の段差が解消され、平坦化膜3の表面が平坦になる。
なお、紫外線重合性樹脂を塗布する方法は、スピンコート法であっても良いし、ディップコート法であっても良いし、ダイコート法であっても良い。
なお、紫外線重合性樹脂を塗布する方法は、スピンコート法であっても良いし、ディップコート法であっても良いし、ダイコート法であっても良い。
次に、フォトリソグラフィ法により平坦化膜3上にマスクを形成し、そのマスクをした状態でエッチング法を行うことにより、各画素の2つのトランジスタ9,9のうちの一方のトランジスタ9のソース電極17に通じるコンタクトホール25を平坦化膜3に形成する(図6参照。)。ここで、平坦化膜3に形成されたコンタクトホール25は、先に形成された保護絶縁膜10のコンタクトホール25に通じ更にソース電極17まで通じる。
次に、スパッタリング法、EB蒸着法、その他の気相成長法により透明な金属酸化物膜(例えば、ITO)をべた一面に成膜し、フォトリソグラフィ法により金属酸化物膜上にマスクを形成し、そのマスクをした状態で金属酸化物膜に対してエッチング法を行うことにより、複数の画素電極21,21,…をマトリクス状にパターニングする(図7参照。)。平坦化膜3が成膜されているため、画素電極21,21,…の表面も平坦になる。
なお、形成した画素電極21はコンタクトホール25を介して、ソース電極17に接続される。
なお、形成した画素電極21はコンタクトホール25を介して、ソース電極17に接続される。
次に、画素電極21,21,…を形成した面を洗浄する。洗浄としては、大気圧未満の減圧下における酸素プラズマ洗浄であっても良いし、紫外線/オゾン洗浄であっても良い。その後、画素電極21,21,…、平坦化膜3、透明基板5、その他全体を純粋で洗浄する。次に、全体に例えば窒素ガスといった不活性ガスを吹き付けて、全体を乾燥させる。
次に、図8に示すように、パターン膜22の前駆体となる濡れ性可変膜30を成膜し、濡れ性可変膜30によって画素電極21,21,…をまとめて被覆する。画素電極21,21,…の表面が平坦であるため、濡れ性可変膜30は画素電極21,21,…に重なった領域において平坦になる。
この濡れ性可変膜30の成膜方法について具体的に説明する。
まず、フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を含有した溶液(以下、シラザン系溶液という。)に平坦化膜3、画素電極21,21,…等を形成したトランジスタアレイ基板2を浸漬し、その後トランジスタアレイ基板2を引き上げることによって、画素電極21,21,…が形成された平坦化膜3の表面一面にシラザン化合物の溶液の膜を成膜する(ディップコート法)。
まず、フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を含有した溶液(以下、シラザン系溶液という。)に平坦化膜3、画素電極21,21,…等を形成したトランジスタアレイ基板2を浸漬し、その後トランジスタアレイ基板2を引き上げることによって、画素電極21,21,…が形成された平坦化膜3の表面一面にシラザン化合物の溶液の膜を成膜する(ディップコート法)。
ここで、「フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物」とは、Si−N−Si結合を有し、N又は/及びSiにフッ素を含む官能基が結合したものであり、例えば次の一般式(1)で表すオリゴマー又はポリマーが挙げられる。
RfSi(NH)3/2 …(1)
一般式(1)においてRfは、フッ素を含む官能基である。
「フッ素を含む官能基」としては、フルオロアルキル基があり、例えば、次の一般式(2)〜(19)で表す官能基が挙げられる。
−(CH2)a(CF2)bCF3 …(2)
−(CH2)a(CF2)bCF(CF3)2 …(3)
−(CH2)a(CF2)bC(CF3)3 …(4)
−(CF2)aCF3 …(5)
−(CF2)aCF(CF3)2 …(6)
−(CF2)aC(CF3)3 …(7)
−(CF2)a(C(CF3)2)bCF3 …(8)
−(CF2)a(C(CF3)2)bCF(CF3)2 …(9)
−(CF2)a(C(CF3)2)bC(CF3)3 …(10)
−(CF2)a(C(CF3)2)b(CF2)cCF3 …(11)
−(CF2)a(C(CF3)2)b(CF2)cCF(CF3)2 …(12)
−(CF2)a(C(CF3)2)b(CF2)cC(CF3)3 …(13)
−(C(CF3)2)aCF3 …(14)
−(C(CF3)2)aCF(CF3)2 …(15)
−(C(CF3)2)aC(CF3)3 …(16)
−(C(CF3)2)a(CF2)bCF3 …(17)
−(C(CF3)2)a(CF2)bCF(CF3)2 …(18)
−(C(CF3)2)a(CF2)bC(CF3)3 …(19)
一般式(2)〜(19)においてa,b,cはいずれも整数である。
RfSi(NH)3/2 …(1)
一般式(1)においてRfは、フッ素を含む官能基である。
「フッ素を含む官能基」としては、フルオロアルキル基があり、例えば、次の一般式(2)〜(19)で表す官能基が挙げられる。
−(CH2)a(CF2)bCF3 …(2)
−(CH2)a(CF2)bCF(CF3)2 …(3)
−(CH2)a(CF2)bC(CF3)3 …(4)
−(CF2)aCF3 …(5)
−(CF2)aCF(CF3)2 …(6)
−(CF2)aC(CF3)3 …(7)
−(CF2)a(C(CF3)2)bCF3 …(8)
−(CF2)a(C(CF3)2)bCF(CF3)2 …(9)
−(CF2)a(C(CF3)2)bC(CF3)3 …(10)
−(CF2)a(C(CF3)2)b(CF2)cCF3 …(11)
−(CF2)a(C(CF3)2)b(CF2)cCF(CF3)2 …(12)
−(CF2)a(C(CF3)2)b(CF2)cC(CF3)3 …(13)
−(C(CF3)2)aCF3 …(14)
−(C(CF3)2)aCF(CF3)2 …(15)
−(C(CF3)2)aC(CF3)3 …(16)
−(C(CF3)2)a(CF2)bCF3 …(17)
−(C(CF3)2)a(CF2)bCF(CF3)2 …(18)
−(C(CF3)2)a(CF2)bC(CF3)3 …(19)
一般式(2)〜(19)においてa,b,cはいずれも整数である。
シラザン系溶液の溶媒としては、フッ素系溶剤が挙げられる。
ここでは、シラザン化合物として、次の一般式(20)及び化学構造式(21)で表せるシラザンオリゴマー(KP−801M:信越化学工業株式会社製)を用いる。そして、上述のディップコート工程においては、このシラザンオリゴマーを溶質としてm−キシレンヘキサフロライド溶媒に溶かしたシラザン系溶液(濃度3wt%)にトランジスタアレイ基板2を約一分間浸漬する。
C8F17C2H4Si(NH)3/2 …(20)
C8F17C2H4Si(NH)3/2 …(20)
次に、トランジスタアレイ基板2に例えば窒素ガスといった不活性ガスを吹き付けて、シラザン系溶液の溶媒を蒸発させることで、シラザン化合物が画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に堆積した状態となる。
次に、トランジスタアレイ基板2を10〜30分間放置すると、雰囲気中の水分によってシラザン化合物が加水分解・縮合する。これにより、図8に示すように、フッ素を含む官能基が結合した縮合体からなる濡れ性可変膜30が、画素電極21,21,…及び平坦化膜3全体を覆うように一面に成膜される。濡れ性可変膜30に含まれる縮合体は、次の一般式(22)で表される。
一般式(22)において、Rfは上述したようにフッ素を含む官能基であって撥液性を示す官能基であり、Xはシラザン化合物と結合した画素電極21の原子若しくは原子団、平坦化膜3の原子若しくは原子団、画素電極21若しくは平坦化膜3の表面と結合したシラザン化合物の一部の原子若しくは原子団、又は、化学構造式(21)におけるNH基を置換した基を構成する原子若しくは原子団のいずれかであり、nは100以上の整数である。シラザン化合物が一般式(20)で表されるシラザンオリゴマーの場合には、RfはC8F17C2H4となり、XがOとなる。シラザン化合物は活性が高く、画素電極21,21,…及び平坦化膜3にも吸着しやすいから、濡れ性可変膜30が画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に化学吸着した状態で成膜される。従って、濡れ性可変膜30においては、シラザン化合物の単分子ユニットにおける主鎖であるRf−Si−X−基又はRf−Si−基が、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に対して略垂直方向に配列するとともに隣接する単分子ユニットのSiが、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に沿った方向に対して加水分解により酸素をエーテル結合の状態で縮合されている。つまり、シラザン化合物は、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面の面方向に縮合されるとともに、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に形成された、単分子ユニットにおける主鎖であるRf−Si−X−基又はRf−Si−基の上方に、更に単分子ユニットにおける主鎖Rf−Si−X−基又はRf−Si−基が積み重なるということが殆どなくなる。このため、濡れ性可変膜30の厚さは、実質的に単分子ユニットにおける主鎖(ここでは縮合体としての側鎖に相当。)であるRf−Si−X−基又はRf−Si−基の長さに等しくなる。またこの濡れ性可変膜30は、各単分子ユニットにおける主鎖の中のフッ素を含む官能基Rfが濡れ性可変膜30の表面側に配置するように縮合されているから、表面では各官能基Rfの撥液性によって有機化合物含有液に対して撥液性を示す。
以上のように濡れ性可変膜30を成膜したら、濡れ性可変膜30をm−キシレンヘキサフロイド液(シラザン系溶液の溶媒と同じ液)ですすぐことで、堆積した未反応のシラザン化合物を洗い流す。
次いで、図9に示すように、トランジスタアレイ基板2にフォトマスク基板40を対向させて更にフォトマスク基板40に活性光線を透過させて濡れ性可変膜30に活性光線を部分的に照射することで、図10に示すように、濡れ性可変膜30がパターン膜22となる。このときフォトマスク基板40を濡れ性可変膜30に当接させた状態で活性光線を照射しても良いし、フォトマスク基板40を濡れ性可変膜30から離した状態で活性光線を照射しても良いが、フォトマスク基板40を濡れ性可変膜30にできる限り近づけて軽く当接させると良い。活性光線としては、可視光線、紫外線、赤外線等があるが、後述する光触媒膜43を励起するものである。
ここで、フォトマスク基板40について説明する。フォトマスク基板40は活性光線を透過する透明基板41を有し、この透明基板41の一方の面41aには、画素電極21,21,…に対応するようにマトリクス状に配列された複数の開口部42a,42a,…を有するマスク42が網目状に形成され、約0.2μm厚の光触媒膜43がマスク42全体を被覆するように一方の面41a全体に成膜されている。開口部42aの開口面積は、画素電極21の面積よりやや大きくなっている。
マスク42は活性光線を反射したり、又は吸収したりし、活性光線を透過しないものである。光触媒膜43は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)及び酸化鉄(Fe2O3)の中から選ばれる一種又は二種以上の物質で形成されている。ここでは、酸化チタンを光触媒膜43として用いる。酸化チタンは、アナターゼ型とルチル型があり本発明では何れも使用することができるが、アナターゼ型の酸化チタンは励起波長が380nm以下であるからより好ましい。
以上のようなフォトマスク基板40を用いて、透明基板41の裏面41bに活性光線を入射させる。マスク42では活性光線が遮蔽されるが、マスク42の無い開口部42a,42a,…では光触媒膜43を透過する。従って、濡れ性可変膜30のうちマスク42に重なる領域つまり画素電極21の周囲には、活性光線が入射しないが、それぞれの画素電極21に重なる領域には活性光線が入射する。
活性光線が光触媒膜43を透過する際に活性酸素種(・OH)が生成され、この活性酸素種が濡れ性可変膜30と化学反応を引き起こす。濡れ性可変膜30のうち画素電極21,21,…に重なった領域には、光触媒膜43を透過した活性酸素種が到達し、画素電極21に重なった領域には、マスク42によって活性光線が遮蔽されるから活性酸素種が届かない。このように光触媒の作用は、光触媒膜43に活性光線が入射することによって活性酸素種が発生し、発生した活性酸素種が濡れ性可変膜30に到達し、活性酸素種によって濡れ性可変膜30の化学構造が変化する。なお、開口部42aの開口面積が画素電極21の面積よりもやや大きいため、それぞれの画素電極21よりもやや外側にも活性酸素種が到達する。
活性光線が光触媒膜43を透過する際に活性酸素種(・OH)が生成され、この活性酸素種が濡れ性可変膜30と化学反応を引き起こす。濡れ性可変膜30のうち画素電極21,21,…に重なった領域には、光触媒膜43を透過した活性酸素種が到達し、画素電極21に重なった領域には、マスク42によって活性光線が遮蔽されるから活性酸素種が届かない。このように光触媒の作用は、光触媒膜43に活性光線が入射することによって活性酸素種が発生し、発生した活性酸素種が濡れ性可変膜30に到達し、活性酸素種によって濡れ性可変膜30の化学構造が変化する。なお、開口部42aの開口面積が画素電極21の面積よりもやや大きいため、それぞれの画素電極21よりもやや外側にも活性酸素種が到達する。
濡れ性可変膜30のうち開口部42aに重なる領域は、光触媒の作用により生成された活性酸素種(・OH)により撥液性を示すRf基が、親水性を示す水酸基に置換され、一般式(23)に示すようになる。
この領域が親液性領域22aである。親液性領域22aは、フッ素を含む官能基(上記Rf)が分解・離脱し、水酸基に置換されるために、有機化合物含有液に対して親液性を示し、後述するエレクトロルミネセンス層23を構成する材料が含まれる液体をはじくことなくこの液体を親液性領域22aの表面に均一に成膜することが可能になる。
更に、親液性領域22aにおいては、珪素と酸素からなる縮合体における主鎖が画素電極21,21,…の表面に沿った状態で形成され、且つ、撥液性を示すフッ素を含む官能基が水酸基に置換されるため、膜厚も単分子ユニットにおける主鎖(ここでは縮合体としての側鎖に相当。)であるHO−Si−X−基又はHO−Si−基の長さに等しく、1nm以下と非常に薄くすることができる。そのため、活性酸素種が生成された領域である画素電極21,21,…上では、パターン膜22の膜厚が非常に薄くなり、親液性領域22a自体が正孔等の電荷の注入、輸送に支障をきたすことはほとんどない。
そして、濡れ性可変膜30のうちマスク42と重なる領域には、活性酸素種が到達しないから化学変化が起きず、エレクトロルミネセンス層23を構成する材料が含まれる液体に対して依然撥液性を示す。この領域が、撥液性領域22bである。撥液性領域22bは、親液性領域22aと連続して形成されているとともに親液性領域22aよりもほぼフッ素を含む官能基Rfの分だけ厚い。
そして、濡れ性可変膜30のうちマスク42と重なる領域には、活性酸素種が到達しないから化学変化が起きず、エレクトロルミネセンス層23を構成する材料が含まれる液体に対して依然撥液性を示す。この領域が、撥液性領域22bである。撥液性領域22bは、親液性領域22aと連続して形成されているとともに親液性領域22aよりもほぼフッ素を含む官能基Rfの分だけ厚い。
以上のように濡れ性可変膜30を部分的に露光することによってパターン膜22を形成した後、親液性領域22a,22a,…にエレクトロルミネセンス層23,23,…をそれぞれ成膜する。エレクトロルミネセンス層23,23,…の成膜は、液滴吐出技術(インクジェット技術)を応用して行う。つまり、図11に示すように、エレクトロルミネセンス層23の構成材料を含有した有機化合物含有液を吐出することのできるノズル70をトランジスタアレイ基板2に対向させて、駆動装置によってトランジスタアレイ基板2に対して相対的にノズル70を水平面に沿って移動させつつ、ノズル70が画素電極21の上方に位置した時にノズル70から有機化合物含有液を液滴71として一回又は複数回吐出する。これにより、有機化合物含有液の液滴が親液性領域22aに着弾する。なお、有機化合物含有液を赤、緑、青の色ごとに準備し、エレクトロルミネセンス層23,23,…の色を塗り分けても良い。
着弾した液滴が親液性領域22a内で広がって膜になり、そしてその膜が固化することによって、エレクトロルミネセンス層23が形成される。パターン膜22は画素電極21に重なる部分において親液性を示すため、着弾した液滴が濡れやすいとともに滲みやすく、有機化合物含有液が親液性領域22a内全体にいきわたる。
更に、平坦化膜3がトランジスタ9の高さによる凹凸を吸収しているので、平坦化膜3の表面が平坦なために、平坦化膜3上の画素電極21の表面が平坦であり、更には親液性領域22aの表面も平坦であるため、有機化合物含有液がトランジスタ9の形状の影響を受けずに一様の厚さで親液性領域22a内に拡がる。さらに画素電極21,21,…が透明基板5の面に平行なので、フォトマスク基板40との隙間が抑制され、紫外線のマスク42の下方に漏れることを抑制できるため、撥液性を示すべき箇所は十分遮光され、親液性を示す箇所には十分な紫外線が露光されることができる。このため撥液性領域22bと親液性領域22a,22a,…が明確になり、有機化合物含有液が撥液性となる領域にこぼれることが抑えられる。
また、画素電極21よりやや外側にも活性光線が入射して画素電極21よりも広い親液性領域22aが形成されているから、有機化合物含有液が確実に画素電極21全体にいきわたる。そのため、エレクトロルミネセンス層23が均等な厚さで成膜されるとともに、エレクトロルミネセンス層23とパターン膜22との間に剥離が生じることない。さらに、それぞれの親液性領域22aの周囲は撥液性領域22bとなっているため、有機化合物含有液が撥液性領域22bに滲むことがない。そのため、隣り合う二つの画素の有機化合物含有液同士が混ざり合うことがない。したがって、常に均等な厚さでエレクトロルミネセンス層23,23,…を成膜することができ、隣り合う二つの画素が互いに異なる発光色の有機化合物含有液の場合に色純度の高い発色ができる。
更に、平坦化膜3がトランジスタ9の高さによる凹凸を吸収しているので、平坦化膜3の表面が平坦なために、平坦化膜3上の画素電極21の表面が平坦であり、更には親液性領域22aの表面も平坦であるため、有機化合物含有液がトランジスタ9の形状の影響を受けずに一様の厚さで親液性領域22a内に拡がる。さらに画素電極21,21,…が透明基板5の面に平行なので、フォトマスク基板40との隙間が抑制され、紫外線のマスク42の下方に漏れることを抑制できるため、撥液性を示すべき箇所は十分遮光され、親液性を示す箇所には十分な紫外線が露光されることができる。このため撥液性領域22bと親液性領域22a,22a,…が明確になり、有機化合物含有液が撥液性となる領域にこぼれることが抑えられる。
また、画素電極21よりやや外側にも活性光線が入射して画素電極21よりも広い親液性領域22aが形成されているから、有機化合物含有液が確実に画素電極21全体にいきわたる。そのため、エレクトロルミネセンス層23が均等な厚さで成膜されるとともに、エレクトロルミネセンス層23とパターン膜22との間に剥離が生じることない。さらに、それぞれの親液性領域22aの周囲は撥液性領域22bとなっているため、有機化合物含有液が撥液性領域22bに滲むことがない。そのため、隣り合う二つの画素の有機化合物含有液同士が混ざり合うことがない。したがって、常に均等な厚さでエレクトロルミネセンス層23,23,…を成膜することができ、隣り合う二つの画素が互いに異なる発光色の有機化合物含有液の場合に色純度の高い発色ができる。
なお、エレクトロルミネセンス層23が積層構造である場合には、それぞれの層について有機化合物含有液を準備し、親液性領域22aにそれぞれの有機化合物含有液を順にノズルで吐出することでそれぞれの層を積層していく。例えば、エレクトロルミネセンス層23が正孔注入層、狭義の発光層からなる二層構造の場合には、正孔注入層の有機化合物含有液(正孔注入層を構成する有機化合物(例えば、導電性高分子であるPEDOT(ポリチオフェン))と、ドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)系分散媒に分散した分散液)を各親液性領域22aに吐出することで正孔注入層を成膜し、次いで、狭義の発光層の有機化合物含有液(ポリフルオレン系発光材料が例えばトルエン、キシレン、テトラリンといった有機溶媒に溶解した溶液)を成膜した正孔注入層に吐出することで狭義の発光層を成膜する。この場合でも、パターン膜22のうち各親液性領域22aでは、正孔注入層の有機化合物含有液がなじみ、撥液性領域22bでは正孔注入層の有機化合物含有液がはじかれる。
次いで、塗布した有機化合物含有液の溶媒・分散媒を乾燥させる。次いで、蒸着やスパッタ等のPVD法及びCVD法といった成膜方法によって、エレクトロルミネセンス層23,23,…を被覆するようにして対向電極24を一面に成膜する。エレクトロルミネセンス層23は画素電極21全体にいきわたって形成されているから、対向電極24が直接画素電極21に接触することもなく、対向電極24と画素電極21がショートすることがない。対向電極24の成膜後、封止樹脂、封止ガラスといった封止材でこれら有機EL素子4,4,…を封止するが、特にメタルキャップ、ガラス等の封止基板に紫外線硬化樹脂又は熱硬化性接着剤を塗布して、その封止基板を対向電極24側に貼り合わせるのが望ましい。
以上のように製造されたエレクトロルミネセンス表示パネル1では、トランジスタ9,9を介して入力した信号に従って有機EL素子4に電流を流す。有機EL素子4では、画素電極21からエレクトロルミネセンス層23へ正孔が注入され且つ対向電極24からエレクトロルミネセンス層23へ電子が注入されることで、電流が流れる。そして、エレクトロルミネセンス層23において正孔及び電子が輸送されて、エレクトロルミネセンス層23にて正孔及び電子が再結合することによってエレクトロルミネセンス層23で発光する。
以上のように、本実施の形態では、シラザン化合物を加水分解・縮合させることで濡れ性可変膜30を成膜し、珪素と酸素で構成された縮合体としての主鎖が画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に沿った状態で全面に形成され、各画素電極21において親液性領域22aの実質的な厚さが、濡れ性可変膜30の単分子ユニットにおける主鎖からフッ素を含む官能基Rfを除く厚さとなり非常に薄い。従って、画素電極21とエレクトロルミネセンス層23との間にパターン膜22の親液性領域22aが介在してもパターン膜22の絶縁性を無視することができ、画素電極21からエレクトロルミネセンス層23へ正孔が注入されることが阻害されない。
また、濡れ性可変膜30のうち活性光線の照射された領域が親液性領域22aになるから、親液性領域22aでは有機化合物含有液が濡れやすい。そのため、有機化合物含有液が親液性領域22a全体にいきわたって滲みやすい。これにより、エレクトロルミネセンス層23を親液性領域22a全体にいきわたって一様の膜厚で成膜することができるとともに、画素電極21と対向電極24との間においてエレクトロルミネセンス層23の成膜不良の発生することを防止することができる。そのため、画素電極21と対向電極24の間で短絡することを防止でき、エレクトロルミネセンス層23とパターン膜22との間に剥離が生じにくくすることができる。
また、有機化合物含有液がトランジスタ9の形状の影響を受けずに一様の厚さで親液性領域22a内に拡がるから、一画素内においてエレクトロルミネセンス層23を一様の膜厚で成膜することができる。
また、本実施形態では、濡れ性可変膜30内に光触媒を含有させないで、フォトマスク基板40を通じて濡れ性可変膜30に活性光線を照射することで、濡れ性可変膜30を活性酸素種により部分的に反応させている。濡れ性可変膜30のうち活性光線の照射された領域が親液性領域22aになり、画素電極21からエレクトロルミネセンス層23へ正孔が注入されることは阻害されないとともに、パターン膜22がエレクトロルミネセンス層23に化学的に影響を与えることもない。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上述の説明では、対向電極24が全ての有機有機EL素子4,4,…について共通しているが、対向電極を有機EL素子4ごとに独立して形成しても良い。
また、板状の透明基板5の代わりにシート状の透明なフィルム基板であっても良い。
例えば、上述の説明では、対向電極24が全ての有機有機EL素子4,4,…について共通しているが、対向電極を有機EL素子4ごとに独立して形成しても良い。
また、板状の透明基板5の代わりにシート状の透明なフィルム基板であっても良い。
また、上記実施の形態では、全面が露出されたパターン膜22上にインクジェットで有機化合物含有液を塗布したが、図12に示すように、各画素電極21を囲繞するように網目状の隔壁26を形成してもよい。隔壁26は各画素に塗布される有機化合物含有液が隣接する画素にこぼれないように或いは隣接する画素に飛散しないように十分な高さに設定されている。このためインクジェットヘッドで吐出された有機化合物含有液が画素電極21上に付着した際の勢いで外側に画素電極21の外側に拡散しようとしても隔壁26が囲繞しているので隔壁26で跳ね返され、画素電極21全体としてより均一な厚さに成膜することができる。なおこの後の製造工程は、上記実施の形態と同様である。
また、上述の説明では液滴吐出法によって複数のエレクトロルミネセンス層23,23,…をパターニングしていた。しかしながら、パターン膜22では親液性領域22a,22a,…がマトリクス状にパターニングされているため、有機化合物含有液をパターン膜22に塗布してトランジスタアレイ基板2を回転させること(スピンコート法)によって、複数のエレクトロルミネセンス層23,23,…をマトリクス状にパターニングすることができる。また、パターン膜22の親液性と撥液性のパターニングを利用して、ディップコート法又はダイコート法によって複数のエレクトロルミネセンス層23,23,…をマトリクス状にパターニングしても良い。更には、平版印刷法、凹版印刷法又は凸版印刷法を用いて複数のエレクトロルミネセンス層23,23,…をマトリクス状にパターニングしても良い。
また、上述の説明ではディップコート法によって濡れ性可変膜30を成膜したが、スピンコート法又は刷毛塗り法によって濡れ性可変膜30を成膜しても良い。
また、上述の説明では濡れ性可変膜30に光触媒が含まれていないが、光触媒を含有したシラザン系溶液を塗布することによって濡れ性可変膜30に光触媒を含有させても良い。この場合には、フォトマスク基板40に光触媒膜43を設けなくても良い。
また、フッ素を含む官能基を有するシラン化合物として、シラザン化合物を挙げたが、シランカップリング剤(加水分解縮合可能なフルオロアルキル基含有珪素化合物)といった他のシラン化合物やその他の撥液性を示す官能基でもよく、置換される官能基は水酸基以外の親液性の官能基であっても良い。
また、上記実施形態のエレクトロルミネセンス表示パネル1は自発光式であるため、ページプリンタといった画像形成装置の線走査機構に用いることができる。
1 … エレクトロルミネセンス表示パネル
2 … トランジスタアレイ基板
3 … 平坦化膜(樹脂の膜)
4 … 有機エレクトロルミネセンス素子
5 …透明基板(基板)
9 … トランジスタ
21 … 画素電極
22 … パターン膜
22a … 親液性領域
22b … 撥液性領域
23 … エレクトロルミネセンス層
24 … 対向電極
30 … 濡れ性可変層膜
43 … 光触媒膜
71 … 液滴(有機化合物含有液)
2 … トランジスタアレイ基板
3 … 平坦化膜(樹脂の膜)
4 … 有機エレクトロルミネセンス素子
5 …透明基板(基板)
9 … トランジスタ
21 … 画素電極
22 … パターン膜
22a … 親液性領域
22b … 撥液性領域
23 … エレクトロルミネセンス層
24 … 対向電極
30 … 濡れ性可変層膜
43 … 光触媒膜
71 … 液滴(有機化合物含有液)
Claims (6)
- 複数のエレクトロルミネセンス素子が配列されてなるエレクトロルミネセンス表示パネルにおいて、
複数のトランジスタが基板上に形成されてなるトランジスタアレイ基板と、
前記トランジスタアレイ基板の前記複数のトランジスタが形成された面上に形成された樹脂の膜と、
互いに間隔を空けて前記樹脂の膜上に配列された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極をまとめて被覆するように形成され、前記複数の画素電極それぞれに重なった領域において親液性を示すとともに前記複数の画素電極に重なっていない領域において撥液性を示すようにパターン化されたパターン膜と、
前記パターン膜のうち前記複数の画素電極に重なった領域それぞれにおいて形成された複数のエレクトロルミネセンス層と、
前記エレクトロルミネセンス層上に形成された対向電極と、を備えることを特徴とするエレクトロルミネセンス表示パネル。 - 複数のエレクトロルミネセンス素子が配列されてなるエレクトロルミネセンス表示パネルを製造するエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法において、
複数のトランジスタが基板上に形成されてなるトランジスタアレイ基板の前記複数のトランジスタが形成された面に樹脂を塗布し、塗布した樹脂の膜を硬化させる樹脂膜形成工程と、
複数の画素電極を前記硬化した樹脂の膜上に間隔をあけて形成する画素電極形成工程と、
活性光線の被照射によって発光層となる材料が含有された溶液に対する濡れ性が向上する濡れ性可変膜を、前記複数の画素電極をまとめて被覆するように形成する濡れ性可変膜形成工程と、
前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に活性光線を照射する照射工程と、
前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に発光層となる材料が含有された溶液を塗布することで前記複数の画素電極それぞれにエレクトロルミネセンス層を形成するエレクトロルミネセンス層形成工程と、
を含むことを特徴とするエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法。 - 前記樹脂膜形成工程では、前記塗布した樹脂の膜を前記トランジスタの高さよりも厚い膜厚になるように形成することを特徴とする請求項2に記載のエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法。
- 前記形成したエレクトロルミネセンス層上に対向電極を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法。
- 前記濡れ性可変膜形成工程は、
フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を含有した液体を前記複数の画素電極をまとめて被覆するように塗布する工程と、
前記塗布した液体を乾燥させて、フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を加水分解縮合させて前記濡れ性可変膜として形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法。 - 前記照射工程では、光触媒を透過した活性光線を、前記濡れ性可変膜のうち前記複数の画素電極それぞれに重なった領域に照射することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス表示パネルの製造方法。
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JP2003416334A JP2005174853A (ja) | 2003-12-15 | 2003-12-15 | エレクトロルミネセンス表示パネル及びその製造方法 |
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2003
- 2003-12-15 JP JP2003416334A patent/JP2005174853A/ja not_active Abandoned
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