JP2005166526A - 有機elパネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発光特性の劣化要因を軽減すると共に、高精細な画素の効率的なパターニングを可能とする有機ELパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の有機ELパネルの製造方法は、複数の電極を基板上に間隔を空けて形成する電極形成工程と、前記複数の電極をまとめて被覆するように、活性光線の被照射によって有機化合物含有液に対する濡れ性が向上する濡れ性可変層を形成する濡れ性可変層形成工程と、前記複数の電極のうちの第一電極を被覆する前記濡れ性可変層に対して活性光線を照射する活性光線照射工程と、活性光線を照射した前記濡れ性可変層に対して有機化合物含有液を塗布することで、前記第一電極上に有機EL層を形成する有機EL層形成工程と、前記有機EL層を被覆するキャップ層を形成するキャップ層形成工程と、を含む。
【選択図】図12

Description

本発明は、複数の有機EL素子が配列されてなる有機ELパネルの製造方法に関する。
有機EL(Electroluminescence:エレクトロルミネッセンス)素子はアノード、有機化合物からなる有機EL層、カソードの順に積層された積層構造を為しており、アノードとカソードの間に正バイアス電圧が印加されると有機EL層において発光する。このような複数の有機EL素子を赤、緑、青の何れかに発光させるサブピクセルとして基板上にマトリクス状に配列して多色画像表示を行う有機EL表示パネルが実現化されている。
アクティブマトリクス駆動型有機EL表示パネルでは、アノード又はカソードのうちの一方の電極を全てのサブピクセルに共通する共通電極とすることができるが、少なくとも他方の電極及び有機EL層をサブピクセルごとにパターニングする必要がある。アノードやカソードをサブピクセルごとにパターニングする手法は従来の半導体装置製造技術を適用できる。つまり、PVD法又はCVD法等による成膜工程、フォトリソグラフィー法等によるマスク工程、エッチング法等による薄膜の形状加工工程を適宜行うことで、アノードやカソードをサブピクセルごとにパターニングすることができる。
一方、インクジェット技術を応用することでサブピクセルごとに有機EL層をパターニングする技術が提案されており、これは、例えば、赤、緑及び青の各色の有機発光層形成のため、有機発光層になる発光材料を液滴として画素ごとにノズルから吐出することで、画素ごとに有機発光層をパターニングするものである(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−12377号公報
しかし、特許文献1のようなインクジェット方式では、液状の発光材料が吐出口で乾きやすいために吐出口を塞いでしまい、発光材料の吐出量が不安定になり易いおそれがあった。そのため、画素内に成膜された有機EL層の膜厚が不均一となってしまい、膜厚が十分薄すぎると電気的に短絡を引き起こして画素欠陥を発生するおそれがあった。また、インクジェット方式は、スピンコートやロールコート等の方式と比べて、各画素毎にインクジェットヘッドから液滴を吐出するので製造時間が長くなるというおそれがあった。このため、インクジェット方式よりも容易に、赤、緑及び青の各色の高分子発光層をパターニングする方式が模索されている。
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、発光特性の劣化要因を軽減すると共に、高精細な画素の効率的なパターニングを可能とする有機ELパネルの製造方法を提供することである。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、それぞれ異なる色に発光する複数の有機EL層が配列されてなる有機ELパネルの製造方法において、
複数の電極を基板上に間隔を空けて形成する電極形成工程と、
前記複数の電極をまとめて被覆するように、活性光線の被照射によって有機化合物含有液に対する濡れ性が向上する濡れ性可変層を形成する濡れ性可変層形成工程と、
前記第一電極を被覆する前記濡れ性可変層に対して活性光線を照射する活性光線照射工程と、
活性光線を照射した前記濡れ性可変層に対して有機化合物含有液を塗布することで、前記第一電極上に有機EL層を形成する有機EL層形成工程と、
前記有機EL層を被覆するキャップ層を形成するキャップ層形成工程と、
を含むことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有機ELパネルの製造方法において、
前記第一電極に対する前記キャップ層形成工程後に、前記複数の電極のうちの第二電極に対して前記活性光線照射工程、前記有機EL層形成工程、及び前記キャップ層形成工程を行い、前記第一電極と前記第二電極との前記キャップ層を一括除去するキャップ層一括除去工程、を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の有機ELパネルの製造方法において、前記有機EL層形成工程における有機化合物含有液の塗布を、ディップコート又はダイコートにより行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機ELパネルの製造方法において、前記キャップ層の構成材料にポリビニルアルコールを含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の有機ELパネルの製造方法において、前記キャップ層一括除去工程において、前記キャップ層が形成された基板を水蒸気に曝す又は水洗することにより前記キャップ層を一括除去することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数の電極のうちの第一電極を被覆している濡れ性可変層に対して活性光線を照射することで、第一電極の表面のみに親液性を持たせ、他の領域を撥液性のままとする。従って、親液性領域のみに確実に有機化合物含有液を塗布することが可能となるが、このとき、有機化合物含有液によって成膜された有機化合物膜が親液性であり、且つ引き続き複数の電極のうちの第二電極にのみ第二有機化合物含有液によって第二有機化合物膜を形成したい場合に、キャップ層形成工程において第一電極上方にキャップ層を形成するので、このキャップ層を除去するだけで、第一電極の上方に成膜された、第二電極のための第二有機化合物膜を除去することができる。このため、各有機EL層を均等な厚さで成膜できると共に、有機化合物含有液が撥液性領域に滲むことがなく、複数の有機EL層において色純度の高い発色が可能となる。
また、請求項2に記載の発明のように、第一電極の表面に有機EL層を形成し、この有機EL層をキャップ層で被覆した後に、第二電極に対する有機EL層の形成を順次行っていくことが可能なので、つまり、成膜が完了した有機EL層をキャップ層で保護しながら他の有機EL層を順次形成していくことになるので、既に形成した有機EL層が、他の有機EL層を形成する際に損傷を受ける事態を防止でき、欠陥の少ない有機ELパネルを得られることができ、第一電極と第二電極とのキャップ層を一括除去すると、より生産性を向上することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、有機EL層形成工程における有機化合物含有液の塗布を、ディップコート又はダイコートにより行うものとすれば、例えば、従来のインクジェット方式と比較して、画素欠陥の発生度を抑えることができると共に、有機ELパネルの製造工程を簡略化できる。
キャップ層の構成材料としては、請求項4に記載の発明のように、水に溶解すると共に耐油性が極めて高い特性を有するポリビニルアルコールを用いることが好ましい。これにより、請求項5に記載の発明のように、キャップ層が形成された基板を水蒸気に曝す又は水洗することによりキャップ層を一括除去することが可能となり、有機ELパネル製造作業の作業性を向上できる。
請求項6記載の発明は、請求項2に記載の有機ELパネルの製造方法において、前記第一電極及び前記第二電極はそれぞれ複数あり、前記第一電極上に形成される有機EL層と前記第二電極上に形成される有機EL層とは発光色が異なることを特徴とする。
請求項6記載の発明によれば、各色の複数の画素毎に有機EL層をパターニングできるので、インクジェットのように一つ一つの画素毎に有機EL層をパターニングすることなく生産性を向上することができる。
本発明によれば、発光特性の劣化要因を軽減すると共に、高精細な画素の効率的なパターニングを可能とする有機ELパネルの製造方法を得られる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、『平面視して』とは、『透明基板5(後述)の面方向に対して垂直な方向から見て』という意味である。
図1は、本発明の製造方法により製造された有機EL表示パネル1の平面図であり、図2は、図1に示された切断線II−IIに沿った断面図である。図1においては、隣り合う6画素を示している。
有機エレクトロルミネセンス表示パネル1は、平面視してマトリクス状に配列された画素を用いて、アクティブマトリクス駆動方式によりドットマトリクス表示を行うものである。この有機エレクトロルミネセンス表示パネル1は、トランジスタアレイ基板2と、トランジスタアレイ基板2を被覆した平坦化膜3と、平坦化膜3上にマトリクス状に配列された複数の有機EL(Electro Luminescence:エレクトロルミネッセンス)素子4,4,…と、を備える。
トランジスタアレイ基板2は、透明基板5と、透明基板5上に行方向に形成された複数の第一走査線6,6,…と、第一走査線6,6,…に直交するように列方向に配列された複数の信号線7,7,…と、第一走査線6,6,…それぞれの間に行方向に配設された第二走査線8,8,…と、透明基板5上に形成された複数のトランジスタ9,9’,…と、これらトランジスタ9,9’,…を被覆した保護絶縁膜10と、を具備する。ここでは、一つの画素(サブピクセル)につき一つの有機EL素子4と二つのトランジスタ9,9’が設けられているが、一つの画素につき一つのトランジスタが設けられている場合でも、更には一つの画素につき三つ以上のトランジスタが設けられている場合でも、本発明を適用することができる。
図3に示すように、いずれのトランジスタ9も、ゲート電極11、ゲート絶縁膜12、真性な半導体膜13、不純物半導体膜14,15、ドレイン電極16、ソース電極17、ブロッキングレイヤ18から構成されており、これらが積層されてなるMOS型電界効果薄膜トランジスタである。ゲート絶縁膜12は、透明基板5一面に成膜されており、全てのトランジスタ9,9’,…に共通した層となっている。これらトランジスタ9,9’,…は、共通の保護絶縁膜10によって被覆されている。ゲート絶縁膜12及び保護絶縁膜10は、透明な電気的絶縁体であり、酸化シリコン(SiO2)及び窒化シリコン(SiN、Si34)といった無機珪素化物で形成されている。
第一走査線6,6,…及び第二走査線8,8,…の何れも、透明基板5上に形成されており、更に、ゲート絶縁膜12に被覆されている。信号線7,7,…の何れも、ゲート絶縁膜12上に形成されており、更に保護絶縁膜10によって被覆されている。なお、隣り合う第一走査線6及び第二走査線8の一組にはそれぞれ適宜走査信号が出力され、信号線8に階調信号が出力される。有機エレクトロルミネセンス表示パネル1では、選択期間に、所定の第一走査線6に走査信号が出力され、この第一走査線6に接続された複数のトランジスタ9が選択され、この間に各信号線8,8…に階調信号が出力されると、その第一走査線6と各信号線8との交差部に配置された画素の他方のトランジスタ9’に階調信号が書き込まれ、その画素の有機EL素子4は、階調信号に応じた輝度で発光する。そして上記動作が各行の第一走査線6毎に順次行われて有機エレクトロルミネセンス表示パネル1全体で画像が表示される。
以上のように構成されたトランジスタアレイ基板2の表面、つまり保護絶縁膜10の表面には、平坦化膜3がべた一面に成膜されている。平坦化膜3は、例えばPMMA、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリイミド、その他の透明な樹脂から形成されたものである。平坦化膜3は、可視光領域の光透過率が80%以上であるのが望ましく、更に液状の前駆体を紫外線照射により重合させた(硬化させた)ものが望ましい。この平坦膜3の厚さは保護絶縁膜10の表面に生じた段差の高さよりも十分に厚く、平坦化膜3が形成されることによって保護絶縁膜10の表面に生じた段差が解消され、平坦化膜3の表面がほぼ平坦な面となっている。
有機EL素子4は、平坦化膜3上に成膜された画素電極21と、画素電極21を被覆したパターン膜22と、パターン膜22を介して画素電極21上に成膜されたエレクトロルミネセンス層23と、エレクトロルミネセンス層23上に成膜された対向電極24と、を具備する。
画素電極21及びエレクトロルミネセンス層23は有機EL素子4ごとに独立しており、対向電極24及びパターン膜22は全ての有機EL素子4,4,…に共通している。つまり、画素電極21,21,…が平坦化膜3上にマトリクス状となって配列されており、これら画素電極21,21,…をまとめて被覆するようにパターン膜22が成膜されている。また、エレクトロルミネセンス層23はパターン膜22を挟んで各画素電極21上に形成されている。対向電極24は、エレクトロルミネセンス層23,23,…をまとめて被覆するように成膜されている。
画素電極21は、有機EL素子4のアノードとして機能する電極であり、透明な金属酸化物で形成されている。具体的には、画素電極21は、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))で形成されている。また、画素電極21は、平坦化膜3及び保護絶縁膜10に形成されたコンタクトホール25を介して、その画素の2つのトランジスタ9,9’のうちの一方のソース電極17に接続されている。
パターン膜22は、画素電極21,21,…それぞれに重なっている親液性領域22a,22a,…と、画素電極21,21,…間において平坦化膜3に重なっている撥液性領域22bと、にパターン化されている。つまり、平面視して、親液性領域22a,22a,…は、画素電極21,21,…と同様にマトリクス状に点在しており、撥液性領域22bは、親液性領域22a,22a,…それぞれを囲繞するように網目状を呈している。
親液性領域22a,22a,…は、有機化合物含有液に対してなじんで有機化合物含有液が40°以下の接触角で濡れる性質(以下、「親液性」という。)を有する。撥液性領域22bは、有機化合物含有液をはじいて有機化合物含有液が50°以上の接触角で濡れる性質(以下、「撥液性」という。)を有する。ここで、有機化合物含有液とは、エレクトロルミネセンス層23を構成した有機化合物又はその前駆体を含有した液であり、エレクトロルミネセンス層23を構成した有機化合物又はその前駆体が溶質として溶媒に溶けてなる溶液であっても良いし、エレクトロルミネセンス層23を構成した有機化合物又はその前駆体が分散媒である液体に分散してなる分散液であっても良い。
パターン膜22は、親液性領域22a,22a,…において非常に薄く、その厚さは0.0nmより厚く且つ1nm以下であり、厚さ方向に電界が加わることによって容易に厚さ方向に電流を流れる。
エレクトロルミネセンス層23は、有機化合物である発光材料で形成された層であって、画素電極21から注入された正孔と対向電極24から注入された電子を再結合させることで励起子を生成して発光する層である。また、エレクトロルミネセンス層23には、電子輸送性の物質が適宜混合されていても良いし、正孔輸送性の物質が適宜混合されても良いし、電子輸送性の物質及び正孔輸送性の物質が適宜混合されていても良い。
また、エレクトロルミネセンス層23は、画素電極21側から順に正孔輸送層、狭義の発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、画素電極21側から順に正孔輸送層、狭義の発光層となる二層構造であっても良いし、狭義の発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子或いは正孔の注入層が介在した積層構造であっても良い。ここでは、エレクトロルミネセンス層23は、導電性高分子であるPEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔注入層、ポリフルオレン系発光材料からなる電子輸送層を兼ねた狭義の発光層の順に積層した二層構造である。エレクトロルミネセンス層23は、有機化合物含有液を塗布すること(つまり、湿式塗布法)によって成膜される。
対向電極24は、有機EL素子4のカソードとして機能する電極であり、少なくとも仕事関数の低い材料を含む。具体的には、対向電極24は、マグネシウム、カルシウム、リチウム若しくはバリウムや希土類からなる単体又はこれらの単体を少なくとも一種を含む合金で形成されている。更に、対向電極24が積層構造となっていても良く、例えば、上述のような低仕事関数材料で形成された膜上にアルミニウム、クロム等高仕事関数で且つ低抵抗率の材料で被膜した積層構造でも良い。
なお、画素電極21が透明電極である場合には、透明基板5側が表示面となり、対向電極24が透明電極である場合には、対向電極24側が表示面となる。
次に、図4〜図14を用いて有機エレクトロルミネセンス表示パネル1の製造方法について説明する。ここで、図1に示された切断線II−IIに沿った断面の状態が、図4〜図14の順に示されている。
まず、スパッタ法、PVD法及びCVD法等といった成膜工程、フォトリソグラフィー法等といったマスク工程、エッチング法等といった薄膜の形状加工工程を適宜行うことによって、第一走査線6,6,…、第二走査線8,8,…及び信号線7,7,…を形成してパターニングするとともに、1つの画素につき2つのトランジスタ9,9’を透明基板5上に形成してパターニングする(図4参照。)。なお、アルミニウムからなる第一走査線6,6,…、第二走査線8,8及びトランジスタ9,9’,…のゲート電極11を形成した後、それらに対して陽極酸化を行うことによって酸化被膜を形成する。
次に、保護絶縁膜10をべた一面にCVD法等により成膜し、第一走査線6,6,…、第二走査線8,8,…、信号線7,7,…及びトランジスタ9,9’,…を保護絶縁膜10によって被覆する。
次に、平坦化膜3の前駆体である液状の紫外線重合性樹脂を保護絶縁膜10上に塗布又は散布することにより、紫外線重合性樹脂の膜を成膜し、紫外線重合性樹脂の膜に紫外線を照射することによりその膜を硬化させる。これにより、平坦化膜3が形成される(図5参照。)。紫外線重合性樹脂を塗布して成膜する方法は、スピンコート法であっても良いし、ディップコート法であっても良いし、ダイコート法であっても良い。
次に、フォトグラフィ法により平坦化膜3上にマスクを形成し、そのマスクをした状態でエッチング法を行うことにより、各画素のトランジスタ9’のソース電極17に通じるコンタクトホール25を平坦化膜3に形成する(図6参照。)。ここで、平坦化膜3に形成されたコンタクトホール25は、先に形成された保護絶縁膜10のコンタクトホール25に通じ更にソース電極17まで通じる。
次に、スパッタリング法、EB蒸着法、その他の気相成長法により透明な金属酸化物膜(例えば、ITO)をべた一面に成膜し、フォトリソグラフィー法により金属酸化物膜上にマスクを形成し、そのマスクをした状態で金属酸化物膜に対してエッチング法を行うことにより、複数の画素電極21,21,…をマトリクス状にパターニングする(図7参照。)。なお、形成した画素電極21はコンタクトホール25を介して、ソース電極17に接続される。
次に、画素電極21,21,…を形成した面を洗浄する。洗浄としては、大気圧未満の減圧下における酸素プラズマ洗浄であっても良いし、紫外線/オゾン洗浄であっても良い。その後、画素電極21,21,…、平坦化膜3、透明基板5、その他全体を純水で洗浄する。次に、全体に例えば窒素ガスといった不活性ガスを吹き付けて、全体を乾燥させる。
次に、図8に示すように、パターン膜22の前駆体となる濡れ性可変膜30を成膜し、濡れ性可変膜30によって画素電極21,21,…をまとめて被覆する。この濡れ性可変膜30の成膜方法について具体的に説明する。
まず、撥液性を示し、活性光線を入射されることによって親液性に可変する化合物としてフッ素を含む官能基を有したシラザン化合物を含有した溶液(以下、シラザン系溶液という。)に平坦化膜3、画素電極21,21,…等を形成したトランジスタアレイ基板2を浸漬し、その後トランジスタアレイ基板2を引き上げることによって、画素電極21,21,…が形成された平坦化膜3の表面一面にシラザン化合物の溶液の膜を成膜する(ディップコート法)。
ここで、「フッ素を含む官能基を有したシラザン化合物」とは、Si−N−Si結合を有し、N又は/及びSiにフッ素を含む官能基が結合したものであり、例えば次の一般式(1)で表すオリゴマー又はポリマーが挙げられる。
RfSi(NH)3/2 …(1)
一般式(1)においてRfは、撥液性を示すフッ素を含む官能基である。
「フッ素を含む官能基」としては、フルオロアルキル基があり、例えば、次の一般式(2)〜(19)で表す官能基が挙げられる。
−(CH2a(CF2bCF3 …(2)
−(CH2a(CF2bCF(CF32 …(3)
−(CH2a(CF2bC(CF33 …(4)
−(CF2aCF3 …(5)
−(CF2aCF(CF32 …(6)
−(CF2aC(CF33 …(7)
−(CF2a(C(CF32bCF3 …(8)
−(CF2a(C(CF32bCF(CF32 …(9)
−(CF2a(C(CF32bC(CF33 …(10)
−(CF2a(C(CF32b(CF2cCF3 …(11)
−(CF2a(C(CF32b(CF2cCF(CF32 …(12)
−(CF2a(C(CF32b(CF2cC(CF33 …(13)
−(C(CF32aCF3 …(14)
−(C(CF32aCF(CF32 …(15)
−(C(CF32aC(CF33 …(16)
−(C(CF32a(CF2bCF3 …(17)
−(C(CF32a(CF2bCF(CF32 …(18)
−(C(CF32a(CF2bC(CF33 …(19)
一般式(2)〜(19)においてa,b,cはいずれも整数である。
シラザン系溶液の溶媒としては、フッ素系溶剤が挙げられる。
ここでは、シラザン化合物として、次の一般式(20)及び化学構造式(21)で表せるシラザンオリゴマー(KP−801M:信越化学工業株式会社製)を用いる。そして、上述のディップコート工程においては、このシラザンオリゴマーを溶質としてm−キシレンヘキサフロライド溶媒に溶かしたシラザン系溶液(濃度3wt%)にトランジスタアレイ基板2を約一分間浸漬する。
81724Si(NH)3/2 …(20)
Figure 2005166526
次に、トランジスタアレイ基板2に例えば窒素ガスといった不活性ガスを吹き付けて、シラザン系溶液の溶媒を蒸発させることで、シラザン化合物が画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に堆積した状態となる。
次に、トランジスタアレイ基板2を10〜30分間放置すると、雰囲気中の水分によってシラザン化合物が加水分解・縮合をともない重合する。これにより、図8に示すように、フッ素を含む官能基が結合した重合体からなる濡れ性可変膜30が、画素電極21,21,…及び平坦化膜3全体を覆うように一面に成膜される。濡れ性可変膜30に含まれる縮合体は、次の一般式(22)で表される。
Figure 2005166526
一般式(22)において、Rfは上述したようにフッ素を含む官能基であって撥液性を示す官能基であり、Xはシラザン化合物と結合した画素電極21の原子若しくは原子団、平坦化膜3の原子若しくは原子団、画素電極21若しくは平坦化膜3の表面と結合したシラザン化合物の一部の原子若しくは原子団、又は、化学構造式(21)におけるNH基を置換した基を構成する原子若しくは原子団のいずれかであり、nは100以上の整数である。シラザン化合物が一般式(20)で表されるシラザンオリゴマーの場合には、RfはC81724となり、XがOとなる。シラザン化合物は活性が高く、画素電極21,21,…及び平坦化膜3にも吸着しやすいから、濡れ性可変膜30が画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に化学吸着した状態で成膜される。従って、濡れ性可変膜30においては、シラザン化合物の単分子ユニットにおける主鎖であるRf−Si−X−基又はRf−Si−基が、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に対して略垂直方向に配列するとともに隣接する単分子ユニットのSiが、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に沿った方向に対して加水分解により酸素をエーテル結合の状態で縮合されている。つまり、シラザン化合物は、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面の面方向に縮合されるとともに、画素電極21,21,…及び平坦化膜3の表面に形成された、単分子ユニットにおける主鎖であるRf−Si−X−基又はRf−Si−基の上方に、更に単分子ユニットにおける主鎖Rf−Si−X−基又はRf−Si−基が積み重なるということが殆どなくなる。このため、濡れ性可変膜30の厚さは、実質的に単分子ユニットにおける主鎖(ここでは縮合体としての側鎖に相当。)であるRf−Si−X−基又はRf−Si−基の長さに等しくなる。またこの濡れ性可変膜30は、各単分子ユニットにおける主鎖の中のフッ素を含む官能基Rfが濡れ性可変膜30の表面側に配置するように縮合されているから、表面では各官能基Rfの撥液性によって有機化合物含有液に対して撥液性を示す。
以上のように濡れ性可変膜30を成膜したら、濡れ性可変膜30をm−キシレンヘキサフロイド液(シラザン系溶液の溶媒と同じ液)ですすぐことで、堆積した未反応のシラザン化合物を洗い流す。
次いで、図9に示すように、トランジスタアレイ基板2にフォトマスク基板40を対向させて更にフォトマスク基板40に活性光線を透過させて濡れ性可変膜30に活性光線を部分的に照射することで、図10に示すように、濡れ性可変膜30がパターン膜22となる。このときフォトマスク基板40を濡れ性可変膜30に当接させて状態で活性光線を照射しても良いし、フォトマスク基板40を濡れ性可変膜30から離した状態で活性光線を照射しても良いが、フォトマスク基板40を濡れ性可変膜30にできる限り近づけて軽く当接させると良い。活性光線としては、可視光線、紫外線、赤外線等があるが、後述する光触媒膜43を励起するものである。
ここで、フォトマスク基板40について説明する。フォトマスク基板40は活性光線を透過する透明基板41を有し、この透明基板41の一方の面41aには、赤、緑、青色に対応する3種の複数の画素電極21のうちのいずれか一種の複数の画素電極21(例えば赤)に対応する位置にのみそれぞれ複数の開口部42aを有し、他の二種の画素電極21(例えば緑及び青)に対応する位置に開口部42aを持たないマスク42が形成されている。そして、マスク42全体を被覆するように約0.2μm厚の光触媒膜43が面41a全体に成膜されている。開口部42aの開口面積は対応する画素電極21の面積よりやや大きくなっている。
マスク42は活性光線を反射したり、吸収するものであって、少なくとも活性光線を透過しない遮光性のものである。光触媒膜43は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)及び酸化鉄(Fe23)の中から選ばれる一種又は二種以上の物質で形成されている。ここでは、酸化チタンを光触媒膜43として用いる。酸化チタンは、アナターゼ型とルチル型があり本発明では何れも使用することができるが、アナターゼ型の酸化チタンは励起波長が380nm以下であるからより好ましい。
以上のようなフォトマスク基板40を用いて、透明基板41の裏面41bに活性光線として紫外線を入射させる。図9に矢印で示すように、マスク42では活性光線が遮蔽されるが、マスク42の無い開口部42aでは光触媒膜43を透過する。そして、活性光線が光触媒膜43を透過する際に活性酸素種(・OH)が生成され、この活性酸素種が濡れ性可変膜30と化学反応を引き起こす。
光触媒膜43に活性光線が入射することによって活性酸素種が発生し、発生した活性酸素種が開口部42aの下方に位置する濡れ性可変膜30に到達し、活性酸素種によって濡れ性可変膜30の化学構造が変化する。なお、開口部42aの開口面積が画素電極21の面積よりもやや大きいため、画素電極21よりもやや外側の領域にも活性酸素種が到達する。
濡れ性可変膜30のうち開口部42aに重なる領域は、光触媒の作用により生成された活性酸素種(・OH)により撥液性を示すRf基が、親水性を示す水酸基に置換され、一般式(23)に示すようになる。
Figure 2005166526
この領域が親液性領域22aである(図10を参照)。
親液性領域22aは、フッ素を含む官能基(上記Rf)が分解・離脱し、水酸基に置換されるために、有機化合物含有液に対して親液性を示し、後述するエレクトロルミネセンス層23を構成する材料が含まれる液体をはじくことなくこの液体を親液性領域22aの表面に均一に成膜することが可能になる。
更に、親液性領域22aにおいては、珪素と酸素からなる縮合体における主鎖が画素電極21,21,…の表面に沿った状態で形成され、且つ、撥液性を示すフッ素を含む官能基が親液性である水酸基に置換されるため、膜厚も単分子ユニットにおける主鎖(ここでは縮合体としての側鎖に相当。)であるHO−Si−X−基又はHO−Si−基の長さに等しく、1nm以下と非常に薄くすることができる。そのため、活性酸素種が生成された領域である画素電極21,21,…上では、パターン膜22の膜厚が非常に薄くなり、親液性領域22a自体が正孔等の電荷の注入、輸送に支障をきたすことはほとんどない。
そして、濡れ性可変膜30のうちマスク42と重なる領域には、活性酸素種が到達しないから化学変化が起きず、エレクトロルミネセンス層23を構成する材料が含まれる液体に対して依然撥液性を示す。この領域が、撥液性領域22bである。撥液性領域22bは、親液性領域22aと連続して形成されているとともに親液性領域22aよりもほぼフッ素を含む官能基Rfの分だけ厚い。
以上のように濡れ性可変膜30のうち開口部42aに重なる領域のみを部分的に露光することによってパターン膜22を形成した後、親液性領域22aにエレクトロルミネセンス層23(図11を参照。)を成膜する。
エレクトロルミネセンス層23が積層構造である場合には、それぞれの層について有機化合物含有液を準備し、親液性領域22aにそれぞれの有機化合物含有液を塗布することで各層を積層していく。
例えば、エレクトロルミネセンス層23が正孔注入層、狭義の発光層からなる二層構造の場合には、まず、正孔注入層の有機化合物含有液(正孔注入層を構成する有機化合物(例えば、導電性高分子であるPEDOT(ポリチオフェン))と、ドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)系分散媒に分散した分散液)を、ディップコートあるいはダイコートによりパターン膜22上に展開すると、撥液性領域22bでは弾かれ、親液性領域22aのみに付着される。その後、ホットプレート上で100℃以上の温度で乾燥させることで親液性領域22aのみに正孔注入層を成膜する。
上述のように、画素電極21よりも広い領域に親液性領域22aが形成されているので、正孔注入層は、画素電極21の表面だけでなくその周囲にも形成される。
次に、狭義の発光層の赤、緑、青色用の発光材料、つまり有機化合物含有液(ポリフルオレン系発光材料が例えばトルエン、キシレン、テトラリンといった有機溶媒に溶解した溶液)のうち、ある一色(例えば赤色)の有機化合物含有液を、ディップコートあるいはダイコートによりトランジスタアレイ基板2上に展開すると、撥液性領域22bでは弾かれ、親液性領域22a上に形成された正孔注入層上にのみ付着する。発光材料含有液は、窒素雰囲気中でのホットプレートによる乾燥、あるいは真空中でのシーズヒータによる乾燥を行い、残留溶媒の除去を行う。これにより、正孔注入層及び狭義の発光層から成るエレクトロルミネンセンス層23が、親液性領域22aに対応する画素電極21上に形成される。
ここで、画素電極21よりも広く親液性領域22aが形成されているので、有機化合物含有液が確実に画素電極21全体にいきわたる。そのため、エレクトロルミネセンス層23が均等な厚さで成膜されるとともに、エレクトロルミネセンス層23とパターン膜22との間に剥離が生じることない。さらに、それぞれの親液性領域22aの周囲は撥液性領域22bとなっているため、有機化合物含有液が撥液性領域22bに滲むことがない。そのため、隣り合う二つの画素の有機化合物含有液同士が混ざり合うことがない。したがって、常に均等な厚さでエレクトロルミネセンス層23,23,…を成膜することができ、隣り合う二つの画素が互いに異なる発光色の有機化合物含有液の場合に色純度の高い発色ができる。
次に、ポリビニルアルコール水溶液をディップコートあるいはダイコートによりトランジスタアレイ基板2上に展開すると、撥液性領域22bでは弾かれ、エレクトロルミネンセンス層23上にのみ付着する。これをホットプレート上で100℃以上の温度で乾燥させることにより、エレクトロルミネンセンス層23の表面を被膜して保護するためのキャップ層50(図12を参照。)が形成される。この場合でも、エレクトロルミネンセンス層23が形成された領域以外の表面には撥液性領域22bが形成されているため、この領域にキャップ層50が形成されることはない。
ポリビニルアルコールは水に溶解し、且つ溶解速度は水温の上昇に伴って速くなるという特性を有する一方で、耐油性が極めて高く、ほとんどの有機溶剤には溶解しないという特性を有する材料である。キャップ層用のポリビニルアルコールとしては、例えば、株式会社クラレのPVA−505CやPVA−405を用いることができる。
そして、上述した一連の工程、つまり、フォトマスク基板を用いた活性光線照射によるパターニング工程、エレクトロルミネンセンス層形成工程及びキャップ層形成工程を、他の2色に対応する画素電極21に対しても同様に行うことにより、図13に示すような、赤、緑、青の各色に対応した3つのキャップ層50を形成する。
つまり引き続き、例えば緑色発光用の画素電極21に対応する位置にのみそれぞれ複数の開口部42aを有し、他の二種の画素電極21(赤色び青色)に対応する位置に開口部42aを持たないマスク42を有するフォトマスク基板40を用いて活性光線を照射して緑色発光用の画素電極21上のパターン膜22を親液性領域22aに変性してから、この上に正孔注入層、緑色発光層、キャップ層50をこの順に成膜し、次いで、例えば青色発光用の画素電極21に対応する位置にのみそれぞれ複数の開口部42aを有し、他の二種の画素電極21(赤色び緑色)に対応する位置に開口部42aを持たないマスク42を有するフォトマスク基板40を用いて活性光線を照射して青色発光用の画素電極21上のパターン膜22を親液性領域22aに変性してから、この上に正孔注入層、青色発光層、キャップ層50をこの順に成膜する。
そして、キャップ層50を加熱した水蒸気に曝す又は熱湯で水洗することにより、キャップ層を一括して溶解除去し、図14に示すような、赤、緑、青の各色に対応したエレクトロルミネセンス層23を形成する。なお、キャップ層50が撥液性を示す材料でない場合、図13の状態で、赤色発光層上のキャップ層50上には、2番目に成膜された正孔注入層、狭義の発光層(例えば緑色発光層)、緑色発光層用のキャップ層50、並びに3番目に成膜された正孔注入層、狭義の発光層(例えば青色発光層)、青色発光層用のキャップ層50が成膜されることになり、2番目に成膜された(例えば緑色発光層用)のキャップ層50上には、3番目に成膜された正孔注入層、狭義の発光層(例えば青色発光層)、青色発光層用のキャップ層50が成膜されることになるが、上述の通り加熱された純水等に接触させることによってキャップ層50をリフトオフするとともにその上層の膜も除去することが可能となり、結果として図14に示す構造となる。
次いで、蒸着やスパッタ等のPVD法及びCVD法といった成膜方法によって、各色のエレクトロルミネセンス層23,23,…を被覆するようにして対向電極24(図2を参照。)を一面に成膜する。エレクトロルミネセンス層23は画素電極21全体にいきわたって形成されているから、対向電極24が直接画素電極21に接触することもなく、対向電極24と画素電極21がショートすることがない。対向電極24の成膜後、封止樹脂、封止ガラスといった封止材でこれら有機EL素子4,4,…を封止するが、特にメタルキャップ、ガラス等の封止基板に紫外線硬化樹脂又は熱硬化性接着剤を塗布して、その封止基板を対向電極24側に貼り合わせるのが望ましい。
以上のように製造された有機エレクトロルミネセンス表示パネル1では、トランジスタ9,9’を介して入力した信号に従って有機EL素子4に電流を流す。有機EL素子4では、画素電極21からエレクトロルミネセンス層23へ正孔が注入され且つ対向電極24からエレクトロルミネセンス層23へ電子が注入されることで、電流が流れる。そして、エレクトロルミネセンス層23において正孔及び電子が輸送されて、エレクトロルミネセンス層23にて正孔及び電子が再結合することによってエレクトロルミネセンス層23で発光する。
以上のように、本実施の形態では、ディップコートあるいはダイコートによりエレクトロルミネセンス層23を形成するため、例えば、各画素毎に成膜するインクジェット等の液滴吐出法による場合と比較して、各色の全画素に一括してエレクトロルミネセンス層23を成膜するので効率がよい。
また、濡れ性可変膜30のうち活性光線の照射された領域が親液性領域22aになるから、親液性領域22aでは有機化合物含有液が濡れやすい。そのため、有機化合物含有液が親液性領域22a全体にいきわたって滲みやすい。これによりエレクトロルミネセンス層23が親液性領域22a全体にいきわたって均一な厚さに成膜される。画素電極21と対向電極24との間にエレクトロルミネセンス層23の成膜不良が起こらないから、画素電極21と対向電極24の間でショートが生じず、画素面内で均一な輝度で発光することができる。また、エレクトロルミネセンス層23とパターン膜22との間に剥離が生じにくいから、発光したエレクトロルミネセンス層23にダークスポットが発生しにくい。このようにエレクトロルミネセンス層23を構成する各層の膜厚の均一化や画素欠陥の発生度を抑えることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態の有機エレクトロルミネセンス表示パネル1は自発光式であるため、ページプリンタといった画像形成装置の線走査機構に用いることができる。
また、上述の説明では、対向電極24が全ての有機有機EL素子4,4,…について共通しているが、対向電極を有機EL素子4ごとに独立して形成しても良い。
また、板状の透明基板5の代わりにシート状の透明なフィルム基板であっても良い。
また、エレクトロルミネセンス層23の成膜については、ディップコートやダイコート法以外にも、スピンコート法や刷毛塗り法を用いてもよい。
また、上述の説明では濡れ性可変膜30に光触媒が含まれていないが、光触媒を含有したシラザン系溶液を塗布することによって濡れ性可変膜30に光触媒を含有させても良い。この場合には、フォトマスク基板40に光触媒膜43を設けても設けなくても良い。
また、フッ素を含む官能基を有するシラン化合物として、シラザン化合物を挙げたが、シランカップリング剤(加水分解縮合可能なフルオロアルキル基含有珪素化合物)といった他のシラン化合物やその他の撥液性を示す官能基でもよく、置換される官能基は水酸基以外の親液性の官能基であっても良い。
また、図15に示すように、透明基板5の表面に各電極の周囲を覆う仕切り壁60を形成してもよい。仕切り壁60の幅は、透明基板5に近づくにつれて大きくなる略台形状になっている。仕切り壁60は、絶縁性を有しており、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂又はノボラック樹脂等の感光性樹脂といった有機化合物で形成されている。なお、仕切り壁60の表面に撥液性を有した膜(例えば、フッ素樹脂膜)が形成されていても良いし、仕切り壁60の表層が撥液性を有するようにしても良い。仕切り壁60を設けることにより、エレクトロルミネセンス層23及びキャップ層50を親液性領域22aのみに確実に形成できる。
有機EL表示パネルの平面図である。 有機EL表示パネルの断面図である。 有機EL表示パネルの拡大図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。 仕切り壁の構造を示す断面図である。
符号の説明
1 有機ELパネル
5 基板
21 画素電極
23 有機EL層
30 濡れ性可変層
50 キャップ層
60 仕切り壁

Claims (6)

  1. それぞれ異なる色に発光する複数の有機EL素子が配列されてなる有機ELパネルの製造方法において、
    複数の電極を基板上に間隔を空けて形成する電極形成工程と、
    前記複数の電極をまとめて被覆するように、活性光線の被照射によって有機化合物含有液に対する濡れ性が向上する濡れ性可変層を形成する濡れ性可変層形成工程と、
    前記複数の電極のうちの第一電極を被覆する前記濡れ性可変層に対して活性光線を照射する活性光線照射工程と、
    活性光線を照射した前記濡れ性可変層に対して有機化合物含有液を塗布することで、前記第一電極上に有機EL層を形成する有機EL層形成工程と、
    前記有機EL層を被覆するキャップ層を形成するキャップ層形成工程と、
    を含むことを特徴とする有機ELパネルの製造方法。
  2. 請求項1に記載の有機ELパネルの製造方法において、
    前記第一電極に対する前記キャップ層形成工程後に、前記複数の電極のうちの第二電極に対して前記活性光線照射工程、前記有機EL層形成工程、及び前記キャップ層形成工程を行い、前記第一電極と前記第二電極との前記キャップ層を一括除去するキャップ層一括除去工程、を含むことを特徴とする有機ELパネルの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の有機ELパネルの製造方法において、
    前記有機EL層形成工程における有機化合物含有液の塗布を、ディップコート又はダイコートにより行うことを特徴とする有機ELパネルの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機ELパネルの製造方法において、
    前記キャップ層の構成材料にポリビニルアルコールを含むことを特徴とする有機ELパネルの製造方法。
  5. 請求項2に記載の有機ELパネルの製造方法において、
    前記キャップ層一括除去工程において、前記キャップ層が形成された基板を水蒸気に曝す又は水洗することにより前記キャップ層を一括除去することを特徴とする有機ELパネルの製造方法。
  6. 請求項2に記載の有機ELパネルの製造方法において、
    前記第一電極及び前記第二電極はそれぞれ複数あり、前記第一電極上に形成される有機EL層と前記第二電極上に形成される有機EL層とは発光色が異なることを特徴とする有機ELパネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009533809A (ja) * 2006-04-10 2009-09-17 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド 電気装置及びその製造方法

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