JP6056163B2 - 隔壁付き基材、及びその製造方法、カラーフィルター、並びに表示素子 - Google Patents
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Description
前記有機EL表示素子は、自発光型の表示素子であり、広い色再現性、高視野角、低消費電力などの点から、液晶に代わるディスプレイとして期待されている。
この提案の技術では、前記隔壁を撥液性にすることで、アライメントずれなどの理由から前記隔壁上に滴下された塗布インクが前記領域に流れ込むようにして、前記有機EL層又は前記色素層を前記領域全体に形成している。
しかし、前記隔壁に撥液性を付与した状態で液滴吐出法又はノズルプリンティング法によって前記領域に有機EL層や色素層を形成するための塗布インクを塗布しても、前記隔壁の水平な面の上に前記塗布インクの残渣が発生してしまうという問題がある。特に、ノズルプリンティング法では、図4に示すように、塗布インクをA方向に間欠なく連続して塗布するため、前記塗布インクが前記隔壁上に必ず塗布され、前記隔壁上に前記塗布インクの残渣が発生しやすい。このような残渣は、表示される画像に滲みなどを発生させたり(例えば、特許文献2参照)、前記領域内に塗布される前記塗布インクの量にバラつきを生じさせ、その結果、乾燥後の前記有機EL層又は前記色素層の厚みも不均一となり、表示ムラを生じる(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。そのため、製造における歩留まりが悪くなり、プロセス安定性を低下させる。
本発明の隔壁付き基材は、基材と、前記基材上に形成された隔壁とを有する隔壁付き基材であって、
前記隔壁が、複数の第1の隔壁ラインと、前記第1の隔壁ラインと交差する方向に形成された複数の第2の隔壁ラインとを有し、
前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差しない非交差領域における前記第1の隔壁ライン及び前記第2の隔壁ラインの、長手方向に直交する方向における断面の形状が、前記断面において高さが最大となる箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる形状であり、
前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差する交差領域における前記隔壁の最大高さが、前記非交差領域における前記隔壁の最大高さよりも高く、
前記交差領域の形状が、前記交差領域において前記隔壁の高さが最大となる最高箇所から前記基材の表面に降ろした垂線を通る任意の断面において、前記最高箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる形状であることを特徴とする。
本発明の隔壁付き基材は、基材と、隔壁とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記基材の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラスなどが挙げられる。前記ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、シリカガラスなどが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、プラスチックが挙げられる。前記プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。
前記隔壁は、前記基材上に形成された隔壁であり、複数の第1の隔壁ラインと、複数の第2の隔壁ラインとを有する。
前記隔壁は、例えば、カラーフィルターや表示素子において、色素層、有機EL層などを形成する領域(以下、「開口領域」と称することがある。)を区画形成するための隔壁である。
前記開口領域の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図9A〜図9Dで示される形状などが挙げられる。
前記開口領域の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記開口領域が矩形の場合には、長手方向の長さが50μm〜500μmであり、短手方向の長さが15μm〜200μmである。
前記隔壁の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスルホン、フッ素樹脂、これらの樹脂のポリマーアロイ、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性の点からエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が好ましい。
これらの材質は、熱硬化型樹脂及びUV硬化型樹脂の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記隔壁に撥液性を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隔壁にCF4プラズマ処理をする方法、フッ素系シランカップリング材によって隔壁の表面に−CF3基、−CF2基、−CH3基、−CH2基等の撥液性官能基を修飾する方法、隔壁を形成する際に用いる塗布インクに撥液性官能基を有する撥液材を添加する方法などが挙げられる。
前記隔壁が撥液性であるかどうかは、例えば、接触角を測定することにより確認することができる。この場合、前記隔壁と同じ材質の膜を形成して、前記膜の接触角を測定することにより、前記隔壁の接触角を簡単に測定することができる。前記接触角の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ОCA20(英弘精機社製)を用いた液滴法により測定することができる。
ここで、撥液性とは、例えば、水に対する前記接触角が、90°以上であること、及びメシチレンに対する前記接触角が、30°以上であることをいう。なお、メシチレンは、1,3,5−トリメチルベンゼンともいい、エレクトロニクスの分野で汎用される溶解性の高い有機溶媒であり、カラーフィルターの色素層や有機EL(エレクトロルミネッセンス)の発光層などを形成する際の塗布インクの有機溶媒として用いられている。
前記第1の隔壁ラインは、前記隔壁の一部であって、前記第2の隔壁ラインと交差している。前記第1の隔壁ラインは複数あり、その各々は、略同一方向又は同一方向を向いている。
前記第2の隔壁ラインは、前記隔壁の一部であって、前記第1の隔壁ラインと交差する方向に形成された隔壁ラインである。前記第2の隔壁ラインは複数あり、その各々は、略同一方向又は同一方向を向いている。
前記第1の隔壁ライン及び前記第2の隔壁ラインは、それらが交差しない非交差領域と、それらが交差する交差領域とを形成している。
前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差する角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、略直交又は直交であることが好ましい。
前記非交差領域とは、前記隔壁において前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差しない領域である。
前記非交差領域における前記第1の隔壁ライン及び前記第2の隔壁ラインの、長手方向に直交する方向における断面の形状は、前記断面において高さが最大となる箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる形状(以下、「非交差領域における漸減形状」と称することがある。)である。前記非交差領域における漸減形状としては、例えば、円弧状などが挙げられる。
前記非交差領域が、前記非交差領域における漸減形状であることにより、例えば、カラーフィルターや表示素子を製造する際に、色素層、有機EL層などを形成するための塗布インクが前記非交差領域上に塗布された場合においても、前記非交差領域上に塗布された前記塗布インクは、前記非交差領域上にほとんど残存することなく、前記隔壁により区画形成された領域に移動するため、前記領域には、色素層や有機EL層などが均一に形成される。
前記非交差領域における漸減形状において、その高さが最大となる箇所は、微小領域を観察した場合に、前記基材の表面に対して水平となっていてもよい。この水平な領域の幅は、前記塗布インクの液滴の直径(例えば、20μm)よりも小さいことが好ましく、前記直径の1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましい。そうすることで、前記非交差領域上に塗布された前記塗布インクは、前記非交差領域上にほとんど残存することなく、前記隔壁により区画形成された領域に移動することができる。
前記交差領域とは、前記隔壁において前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差する領域である。
前記交差領域における前記隔壁の最大高さは、前記非交差領域における前記隔壁の最大高さよりも高い。また、前記交差領域の形状は、前記交差領域において前記隔壁の高さが最大となる最高箇所から前記基材の表面に降ろした垂線を通る任意の断面において、前記最高箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる形状(以下、「交差領域における漸減形状」と称することがある。)である。前記交差領域における漸減形状としては、例えば、円弧状などが挙げられる。
隔壁を形成する従来の方法、例えば、フォトリソグラフィー法などでは、現像条件等により隔壁ラインが交差しない非交差領域において、隔壁ラインの幅方向に若干の傾斜を形成することは可能かもしれない。しかし、隔壁ラインが交差する交差領域では、その上部は平坦になってしまう。そうすると、その平坦な面に、有機EL層や色素層を形成するための塗布インクが塗布された際に、前記塗布インクの残渣が前記平坦な面上に発生する。その結果、隔壁により区画形成された領域内の塗布インクの量にばらつきが生じ、表示ムラが生じたり、また、表示させる画像に滲みなどを発生させ、製造にける歩留まりが悪くなり、プロセス安定性が低下する。
一方、本発明のように、前記交差領域が、前記交差領域における漸減形状であることにより、例えば、カラーフィルターや表示素子を製造する際に、色素層、有機EL層などを形成する塗布インクが前記交差領域上に塗布された場合においても、前記交差領域上に塗布された前記塗布インクは、前記交差領域上にほとんど残存することなく、前記隔壁により区画形成された領域に移動するため、前記領域には、色素層や有機EL層などが均一に形成される。
前記交差領域における漸減形状は、その高さが最大となる最大箇所は、微小領域を観察した場合に、前記基材の表面に対して水平となっていてもよい。この水平な領域の幅は、前記塗布インクの液滴の直径(例えば、20μm)よりも小さいことが好ましく、前記直径の1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましい。そうすることで、前記交差領域上に塗布された前記塗布インクは、前記交差領域上にほとんど残存することなく、前記隔壁により区画形成された領域に移動することができる。
本発明の隔壁付き基材の製造方法は、液滴吐出装置により吐出された液滴を基材上に塗布して隔壁を形成する隔壁付き基材の製造方法であって、第1の隔壁ライン形成工程と、第2の隔壁ライン形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の隔壁付き基材の製造方法は、本発明の隔壁付き基材を製造する方法である。
前記液滴吐出装置としては、液滴を吐出できる装置であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット装置などが挙げられる。
前記液滴を吐出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピエゾ素子を用いた方法、静電吸引によって吐出する方法などが挙げられる。これらの中でも、液滴の大きさを小さくできる点で、静電吸引によって吐出する方法が好ましい。
前記液滴吐出装置を用いることで、フォトリソグラフィー法のような煩雑な方法を用いることがなく、低コストで前記隔壁付き基材を製造することができる。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記隔壁付き基材の説明において例示した前記基材と同様の基材が挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記液滴としては、前記隔壁を形成できる液滴であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隔壁形成材料と、有機溶媒とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する塗布インクからなる液滴などが挙げられる。
前記有機溶媒の沸点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。
前記第1の隔壁ライン形成工程としては、前記液滴吐出装置の吐出口を前記基材に対して第1の方向に相対的に移動させながら、前記液滴吐出装置から液滴を吐出させて複数の第1の隔壁ラインを形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第2の隔壁ライン形成工程としては、前記液滴吐出装置の吐出口を前記基材に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に相対的に移動させながら、前記液滴吐出装置から液滴を吐出させて複数の第2の隔壁ラインを形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の表示素子は、隔壁付き基材と、下部電極と、有機EL(エレクトロルミネッセンス)層と、上部電極とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記表示素子は、有機EL表示素子ということができる。
前記隔壁付き基材は、本発明の隔壁付き基材である。
前記下部電極としては、前記隔壁付き基材の隔壁により区画形成された領域に形成された電極であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記下部電極の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明導電性酸化物、金属などが挙げられる。前記透明導電性酸化物としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(インジウム−酸化亜鉛)などが挙げられる。前記金属としては、銀、銀−ネオジウム合金などが挙げられる。
前記有機EL層としては、前記下部電極上に形成された有機EL層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記有機EL層は、前記隔壁により区画形成された領域上に形成された前記下部電極上に形成される。
前記正孔輸送層としては、正孔輸送材料を有する層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記塗布プロセスにおける塗布量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記発光層としては、発光材料を有する層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記発光層を、赤色発光層(R)、緑色発光層(G)、青色発光層(B)とし、これらを並べて配置することにより、フルカラー表示素子が得られる。
前記塗布プロセスにおける塗布量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記上部電極としては、前記有機EL層上に形成された電極であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記上部電極の材質としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)−銀(Ag)合金、アルミニウム(Al)−リチウム(Li)合金、ITOなどが挙げられる。
前記上部電極の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記下部電極の形成方法と同様の方法などが挙げられる。
また、前記下部電極(陽極)に高反射率の銀(Ag)又は銀(Ag)−ネオジム(Nd)などの合金を用い、前記上部電極(陰極)に半透明のマグネシウム(Mg)−銀(Ag)などを用いた場合、前記有機EL表示素子は、基材側とは逆側から発光を取り出す、いわゆる「トップエミッション」の有機EL表示素子となる。この場合、図5に示す有機EL表示素子において、発光方向は矢印Dの方向となる。ここで、図5中、符号21はガラス基板であり、符号22は陽極であり、符号23は隔壁ラインであり、符号26は正孔輸送層であり、符号27は発光層であり、符号28は陰極である。
まず、ガラス基板21上に、導電性酸化物薄膜を形成する。次に、フォトリソグラフィー法により、前記導電性酸化物薄膜上にフォトレジストのパターンを形成する。その後、RIE(Reactive Ion Etching)などによりレジストパターンが形成されていない領域の導電性酸化物薄膜を除去し、その後、レジストパターンを除去することにより、導電性酸化物薄膜からなる陽極22を形成する(図3A及び図3G)。
まず、ガラス基板21にインクジェット装置を用いて隔壁ライン23を形成する。その直後に、隔壁ライン23と直交する方向に隔壁ライン24を形成する。そうすることで格子状隔壁25を形成する(図6A及び図6F)。
本発明のカラーフィルターは、隔壁付き基材と、色素層とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
本発明の表示素子は、前記カラーフィルターを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記隔壁付き基材は、本発明の隔壁付き基材である。
前記色素層としては、前記隔壁付き基材の隔壁により区画形成された領域に形成された層であって、色素を有する層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
まず、ガラス基板31にインクジェット装置を用いて隔壁ライン32を形成する(図7A及び図7D)。その直後に、隔壁ライン32と直交する方向に隔壁ライン33を形成する。そうすることにより、格子状隔壁34を形成する(図7B及び図7E)。
まず、図3F及び図3Lに示す表示素子を用意する。ここで、前記表示素子における発光層27を白色発光層とする。また、いわゆる「トップエミッション型」の表示素子とする。
次に、前記表示素子の陰極28上に封止層29を形成し、白色有機EL素子40を作製する(図10A及び図10B)。
作製された有機EL表示素子は、陽極及び陰極間に所定の電圧を印加することで、カラーフィルター側へ白色発光し、カラーフィルターを介することでフルカラーの有機EL表示素子となる。
この実施形態では、有機EL表示素子の一例としてトップエミッション型の白色有機EL素子の上方にカラーフィルターを配置した構造について説明したが、ボトムエミッション型の白色有機EL素子の下方にカラーフィルターを配置した構造でもよい。
ITO付きガラス基板上に格子状隔壁を形成した。なお、開口部(隔壁により区画形成された領域)の数が30行×10列の計300個となるように隔壁を形成した。図2A〜図2Fを用いて形成方法を説明する。
実施例1において、塗布インクを、感光性ポリイミド溶液(DL−1000、東レ社製)を炭酸プロピレンを用いて質量比で3倍に希釈した塗布インクへ変更した以外は、実施例1と同様にして格子状隔壁14が形成された隔壁付き基材を作製した(図2C及び図2F)。隔壁ライン12、13の幅は37μm、高さは1.0μm、隔壁ラインの長手方向に直交する方向における断面の形状は、図2Eに示すような、ラインの幅の中央部が最も高く、そこから幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる弧状であった。開口部の形状は、48μm×218μmの長方形であった。
ITO付きガラス基板上に、格子状隔壁を形成した。なお、開口部の数が30行×10列の計300個となるように隔壁を形成した。図1A〜図1Hを用いて形成方法を説明する。
実施例1、2及び比較例1で形成した格子状隔壁のAFM(原子間力顕微鏡)測定を行った。
図8A〜図8Cに、実施例1で形成した格子状隔壁のライン領域(非交差領域)の上面図(図8A)、ライン領域(非交差領域)の断面図(図8B)、ライン領域(非交差領域)の3次元図(図8C)を示す。図8D〜図8Fに、実施例1で形成した格子状隔壁の交差領域の上面図(図8D)、交差領域の断面図(図8E)、交差領域の3次元図(図8F)を示す。ライン領域(非交差領域)は、最大高さが1.2μmで、断面が円弧状の形状を有しており、交差領域の最大高さはライン領域(非交差領域)よりも0.8μm高く、最大高さを示す点から開口部へ高さが漸減する傾斜を有していることがわかった。
次に、図11A〜図11Cに、実施例2で形成した格子状隔壁のライン領域(非交差領域)の上面図(図11A)、ライン領域(非交差領域)の断面図(図11B)、ライン領域(非交差領域)の3次元図(図11C)を示す。図11D〜図11Fに、実施例2で形成した格子状隔壁の交差領域の上面図(図11D)、交差領域の断面図(図11E)、交差領域の3次元図(図11F)を示す。ライン領域(非交差領域)は、最大高さが1.0μmで、断面が円弧状の形状を有しており、交差領域の最大高さはライン領域(非交差領域)よりも0.6μm高く、最大高さを示す点から開口部へ高さが漸減する傾斜を有していることがわかった。
次に、図12A〜図12Cに、比較例1で形成した格子状隔壁のライン領域(非交差領域)の上面図(図12A)、ライン領域(非交差領域)の断面図(図12B)、ライン領域(非交差領域)の3次元図(図12C)を示す。図12D〜図12Fに、比較例1で形成した格子状隔壁の交差領域の上面図(図12D)、交差領域の断面図(図12E)、交差領域の3次元図(図12F)を示す。ライン領域及び交差領域共に最大高さは1μmとほぼ同等であり、実施例1、及び2で形成した格子状隔壁と比較して、平らな面を多く有していることがわかった。
次に、実施例1で作製した格子状隔壁付き基材の隔壁及びガラス基板、並びに比較例1で作製した格子状隔壁付き基材の隔壁及びガラス基板を、ドライエッチング装置を用いて酸素プラズマ処理(背圧10Pa、パワー500W、O2ガス流量50sccm、処理時間30秒間)により親液処理した後、更に、前記隔壁を、CF4プラズマ処理(背圧2×10−5Torr、パワー6W、CF4ガス流量5sccm、Arガス流量45sccm、処理時間30秒間)により撥液処理した。
親液処理、及び撥液処理の効果を確認した。
まず、実施例1で用いた塗布インク及び比較例1で用いた塗布液をそれぞれ、ITO付きガラス基板上にスピンコートにより全面塗布し、230℃で30分間の熱処理を行いサンプルを作製した。
前記サンプル及びITO付きガラス基板に対し、前記親液処理及び前記撥液処理と同様の条件で親液処理及び撥液処理を行い、接触角を測定した。その結果、実施例1で用いた塗布インク及び比較例1で用いた塗布液により形成された塗布膜は、水、メシチレンに対する接触角がそれぞれ90°、40°であり、高い撥液性を示した。一方、ITO付きガラス基板の水、メシチレンに対する接触角はそれぞれ15°、5°であり、親液性を示していた。これらのことから、良好な接触角コントラストが得られていることがわかった。
なお、接触角は、ОCA20(英弘精機社製)を用いて液滴法により測定した。
実施例1及び比較例1それぞれの格子状隔壁付き基材について、ノズルプリンターを用いて、開口1つにつきノズルが1回通過するよう、図13Aの矢印Aの方向(開口の長手方向)に1行ずつライン塗布し、格子状隔壁の上に発生した残渣(図13Bの符号B)の数を調査した。
塗布インクとしては、正孔輸送層インクと発光層インクを用いた。前記正孔輸送層インクとしては、水を溶媒とする固形分濃度1質量%の3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)溶液を用いた。また、前記発光層インクとしては、メシチレンを溶媒とする固形分濃度1質量%の高分子有機EL発光材料溶液を用いた。ノズルプリンターの条件としては、ノズル直径11μm、流量55μL/min、速度3m/secとした。これらの塗布インクを塗布した後、顕微鏡により格子状隔壁上に見られた残渣の数を調べて評価を行った。10列×30行の領域を10列×5行の6領域に分け、それぞれの領域について、以下の基準に従って評価した。それぞれのインクについての、実施例1の格子状隔壁の評価結果を表1に示す。また、比較例1の格子状隔壁の評価結果を表2に示す。
○:残渣のある箇所の数が0〜1箇所
△:残渣のある箇所の数が2〜5箇所
×:残渣のある箇所の数が6〜50箇所
この結果より、表面張力が特に低い発光層インクの塗布プロセスにおいて、本発明の隔壁付き基材が有効であることが確認できる。
ガラス基板21上にボトムエミッション型の有機EL表示素子20を形成した。図3A〜図3Lを用いて形成方法を説明する。
次に、フォトレジストをスピンコートにて塗布後、90℃で30分間のプリベークを行った。続いて、フォトマスクを用いて、g線、h線、及びi線混合UV光を150mJ/cm2露光し、東京応化社製現像液NMD−W2.38を用いて現像した後、120℃で30分間のポストベークを行い、フォトレジストのパターンを形成した。その後、RIE(Reactive Ion Etching)によりレジストパターンが形成されていない領域のITO膜を除去し、その後、レジストパターンを除去することにより、ITO膜からなる陽極22を形成した(図3A及び図3G)。
開口部の形状は、53μm×223μmの長方形であった。
ガラス基板21上にトップエミッション型の有機EL表示素子20を形成した。図6A〜図6Jを用いて形成方法を説明する。
開口部の形状は、53μm×223μmの長方形であった。
ガラス基板31上にカラーフィルター30を形成した。図7A〜図7Fを用いて形成方法を説明する。
開口部の形状は、53μm×223μmの長方形であった。
<1> 基材と、前記基材上に形成された隔壁とを有する隔壁付き基材であって、
前記隔壁が、複数の第1の隔壁ラインと、前記第1の隔壁ラインと交差する方向に形成された複数の第2の隔壁ラインとを有し、
前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差しない非交差領域における前記第1の隔壁ライン及び前記第2の隔壁ラインの、長手方向に直交する方向における断面の形状が、前記断面において高さが最大となる箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる形状であり、
前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差する交差領域における前記隔壁の最大高さが、前記非交差領域における前記隔壁の最大高さよりも高く、
前記交差領域の形状が、前記交差領域において前記隔壁の高さが最大となる最高箇所から前記基材の表面に降ろした垂線を通る任意の断面において、前記最高箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる形状であることを特徴とする隔壁付き基材である。
<2> 隔壁が、撥液性である前記<1>に記載の隔壁付き基材である。
<3> 非交差領域における隔壁の最大高さが、1.0μm以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の隔壁付き基材である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の隔壁付き基材と、
前記隔壁付き基材の隔壁により区画形成された領域に形成された下部電極と、
前記下部電極上に形成された有機EL層と、
前記有機EL層上に形成された上部電極と
を有することを特徴とする表示素子である。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の隔壁付き基材と、
前記隔壁付き基材の隔壁により区画形成された領域に形成された色素層と
を有することを特徴とするカラーフィルターである。
<6> 前記<5>に記載のカラーフィルターを有することを特徴とする表示素子である。
<7> 液滴吐出装置により吐出された液滴を基材上に塗布して隔壁を形成する隔壁付き基材の製造方法であって、
前記液滴吐出装置の吐出口を前記基材に対して第1の方向に相対的に移動させながら、前記液滴吐出装置から液滴を吐出させて複数の第1の隔壁ラインを形成する第1の隔壁ライン形成工程と、
前記液滴吐出装置の吐出口を前記基材に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に相対的に移動させながら、前記液滴吐出装置から液滴を吐出させて複数の第2の隔壁ラインを形成する第2の隔壁ライン形成工程とを含み、
前記隔壁付き基材が、前記<1>から<3>のいずれかに記載の隔壁付き基材であることを特徴とする隔壁付き基材の製造方法である。
12 隔壁ライン
13 隔壁ライン
14 格子状隔壁
20 有機EL表示素子
21 ガラス基板
22 陽極
23 隔壁ライン
24 隔壁ライン
25 格子状隔壁
26 正孔輸送層
27 発光層
28 陰極
31 ガラス基板
32 隔壁ライン
33 隔壁ライン
34 格子状隔壁
35 色素層
30 カラーフィルター
Claims (7)
- 基材と、前記基材上に形成された隔壁とを有する隔壁付き基材であって、
前記隔壁が、複数の第1の隔壁ラインと、前記第1の隔壁ラインと交差する方向に形成された複数の第2の隔壁ラインとを有し、
前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差しない非交差領域における前記第1の隔壁ライン及び前記第2の隔壁ラインの、長手方向に直交する方向における断面の形状が、前記断面において高さが最大となる箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる弧状の形状であり、
前記第1の隔壁ラインと前記第2の隔壁ラインとが交差する交差領域における前記隔壁の最大高さが、前記非交差領域における前記隔壁の最大高さよりも高く、
前記交差領域の形状が、前記交差領域において前記隔壁の高さが最大となる最高箇所から前記基材の表面に降ろした垂線を通る任意の断面において、前記最高箇所から前記断面の幅方向の端部に向かって高さが漸次低くなる弧状の形状であり、
前記非交差領域における前記隔壁の最大高さが、1.0μm以上であり、
前記交差領域における前記隔壁の最大高さが、前記非交差領域における前記隔壁の最大高さの1.3倍以上であることを特徴とする隔壁付き基材。 - 交差領域における隔壁の最大高さが、非交差領域における隔壁の最大高さよりも600nm以上高い請求項1に記載の隔壁付き基材。
- 隔壁が、撥液性である請求項1から2のいずれかに記載の隔壁付き基材。
- 請求項1から3のいずれかに記載の隔壁付き基材と、
前記隔壁付き基材の隔壁により区画形成された領域に形成された下部電極と、
前記下部電極上に形成された有機EL層と、
前記有機EL層上に形成された上部電極と
を有することを特徴とする表示素子。 - 請求項1から3のいずれかに記載の隔壁付き基材と、
前記隔壁付き基材の隔壁により区画形成された領域に形成された色素層と
を有することを特徴とするカラーフィルター。 - 請求項5に記載のカラーフィルターを有することを特徴とする表示素子。
- 液滴吐出装置により吐出された液滴を基材上に塗布して隔壁を形成する隔壁付き基材の製造方法であって、
前記液滴吐出装置の吐出口を前記基材に対して第1の方向に相対的に移動させながら、前記液滴吐出装置から液滴を吐出させて複数の第1の隔壁ラインを形成する第1の隔壁ライン形成工程と、
前記液滴吐出装置の吐出口を前記基材に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に相対的に移動させながら、前記液滴吐出装置から液滴を吐出させて複数の第2の隔壁ラインを形成する第2の隔壁ライン形成工程とを含み、
前記隔壁付き基材が、請求項1から3のいずれかに記載の隔壁付き基材であることを特徴とする隔壁付き基材の製造方法。
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