JP2004259357A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

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Akiyoshi Ito
彰義 伊藤
Katsuji Nakagawa
活二 中川
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Abstract

【課題】補助磁性層と交換結合をしている磁気記録層を含む2つの磁気記録層と1つの再生層からなる光磁気記録媒体において、読み取り空間分解能を低下せずに各記録層から再生層に記録マークを磁気転写する。
【解決手段】基板上に、第1の補償温度を有する第1の磁気記録層12と、交換結合により第1の磁気記録層12に形成される記録マークの磁化状態を制御する補助磁性層11と、第1の補償温度とは異なる第2の補償温度を有する第2の磁気記録層13と、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に形成されている記録マークが磁気転写により形成される再生層14とが積層されており、補助磁性層11の磁気分極の方向は、第1の磁気記録層12の磁気分極の方向と逆になっている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の記録層からなる光磁気記録媒体に関し、詳しくは、記録時に複数の記録層に同時に記録し、再生時に各記録層から情報を再生することができる光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、IT産業の目覚ましい発展により、家庭等においてもデータ量の大きな情報を扱う機会が多くなってきている。これにともない、記録媒体の大容量化が求められており、様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、記録媒体上に形成する記録マークのサイズを小さくすることにより、記録媒体の面内方向の記録密度を高める方法がある。小さなサイズの記録マークを再生するためには、再生用のレーザ光のスポット径Rを絞る必要がある。レーザ光のスポット径Rは、レンズの開口数(Numerical Aperture;NA)が高く、レーザ光の波長λが低いほど小さく絞ることができる。しかし、スポット径Rは、光の干渉限界があるため、所定量以上小さく絞ることができず、光磁気記録媒体の記録層にスポット径Rよりも小さな記録マークが形成されている場合には読み出すことができない。
【0004】
そこで、再生用のレーザ光によるスポット径Rよりも小さな記録マークから情報を読み出す方法として、磁気超解像(Magnetically induced Super Resolution;MSR)や、MSRの信号強度の現象を改善する磁区拡大再生方式(Magnetic Amplifying Magneto−Optical System;MAMMOS)等がある。
【0005】
MAMMOSでは、記録層と再生層を有する光磁気記録媒体を用いて、記録層に形成されている微小なサイズの記録マークを再生層に磁気転写し、磁気転写された記録マークのサイズを変化(拡大または縮小)させ、当該変化に基づき情報の再生を行なっている。
【0006】
ここで、MAMMOSの具体的な動作について図6(A)〜図6(E)を用いて説明する。まず、再生層に形成されている記録マークの磁気モーメントの方向(磁化方向)を所定の方向に揃えるために、レーザ光を照射する。そして、再生層の保持力Hcが小さくなったときに、再生層に形成されている記録マークの磁化方向と反対方向のパルス磁界Hbを印加する。これにより再生層に形成されている記録マークの磁化方向が所定の方向に揃う(図6(A))。なお、再生層に形成されている記録マークの磁化方向を所定の方向に揃える際には、記録層に形成されている記録マークが消失しない程度の温度とする。
【0007】
この状態でパルス磁界Hbを0にすると、再生層と記録層との間に働いている弱い静磁結合により、記録層に形成されている記録マークが再生層に磁気転写され、記録層と同一の記録マークが再生層に形成される(図6(B))。つぎに、再生層に形成された記録マークの磁化方向と同じ方向にパルス磁界Hbを印加すると、再生層に形成されている記録マークのサイズが拡大する(図6(C))。なお、再生層に形成されている記録マークの磁化方向と異なる方向にパルス磁界Hbを印加すると、再生層に形成されている記録マークのサイズは縮小する。図示しない信号再生部では、このような再生層の記録マークの変化に基づき情報の再生を行なう。
【0008】
また、情報の再生を行なった後、パルス磁界Hbを0にすると、記録マークは元のサイズに戻る(図6(D))。そして、再生層に形成されている記録マークの磁化方向と反対方向のパルス磁界Hbを印加することにより再生層に形成されている記録マークを消去する(図6(E))。このような過程を繰り返すことにより、記録層に形成されている微小なサイズの記録マークを再生層への磁気転写し、パルス磁界Hbの印加により再生層に形成された記録マークを変化させ、当該変化に基づき情報の再生を行ない、再生層に形成されている記録マークの消去を行なうことができる。
【0009】
また、さらなる高密度化を目指し、上述したMAMMOSを利用して、複数の記録膜からなる光磁気記録媒体に情報を記録し、記録した情報を再生する方法(以下、多層記録再生方法という。)がある(例えば、非特許文献1参照。)。以下に、多層記録再生方法で利用する光磁気記録媒体について説明する。
【0010】
光磁気記録媒体は、図7に示すように、少なくとも基板上に補助磁性層、第1の磁気記録層、第2の磁気記録層及び再生層が積層されてなる。また、第1の磁気記録層は、補助磁性層と交換結合しているので、正の小さなパルス磁界Hbの印加では記録マークは形成されず、一方、負の小さなパルス磁界Hbの印加により記録マークが形成されるような性質を有する。したがって、第1の磁気記録層は、図4に示すように、所定の記録温度まで昇温され、印加されるパルス磁界Hbが磁界H1よりも小さいとき(Hb<H1)には、記録マークは形成されず(磁気モーメントの向きは下向き(図中に下向きの矢印にて示す)(↓))、また、印加されるパルス磁界Hbが磁界H1よりも大きく0よりも小さいとき(H1<Hb<0)には、記録マークは形成され(磁気モーメントの向きは上向き(図中に上向きの矢印にて示す)(↑))、また、印加されるパルス磁界Hbが0よりも大きく磁界H2よりも小さいとき(0<Hb<H2)には、記録マークは形成されず(磁気モーメントの向きは下向き(↓))、また、印加されるパルス磁界Hbが磁界H2よりも大きいとき(H2<Hb)には、記録マークが形成される(磁気モーメントの向きは上向き(↑))。
【0011】
光磁気記録媒体は、このような性質を有する第1の磁気記録層と通常の記録層である第2の磁気記録層を積層してなっており、所定のパルス磁界Hb(Hb<H1、H1<Hb<0、0<Hb<H2またはH2<Hb)の印加により、図5に示すように、第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に垂直方向に4種類の記録マークを形成することができる。なお、第2の磁気記録層は、パルス磁界Hbが印加される方向に磁化方向が揃う性質を有している。
【0012】
したがって、多層記録再生方法は、第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層を有する光磁気記録媒体において、所定の記録温度まで当該光磁気記録媒体を昇温し、所定のパルス磁界Hbを印加することにより、第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に同時に所望する記録マークの形成を行なうことができる。
【0013】
また、先に図6(A)〜図6(E)を用いて説明したMAMMOSを利用して、光磁気記録媒体の第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に形成されている微小なサイズの記録マークを読み出し、情報の再生を行なう方法(以下、多層再生方法という。)がある。なお、第1の磁気記録層は、図8に示すように、第1の補償温度T1を有してなり、また、第2の磁気記録層は、第1の補償温度T1とは異なる第2の補償温度T2を有してなっている。
【0014】
光磁気記録媒体は、再生用の光ビームが照射され、第1の補償温度T1まで昇温されると、第1の磁気記録層に形成されている記録マークによる漏れ磁界が小さくなり(磁気分極が小さくなる)、第2の磁気記録層に形成されている記録マークのみが再生層に磁気転写される。また、光磁気記録媒体は、再生用の光ビームが照射され、第2の補償温度T2まで昇温されると、第2の磁気記録層に形成されている記録マークによる漏れ磁界が小さくなり(磁気分極が小さくなる)、第1の磁気記録層に形成されている記録マークのみが再生層に磁気転写される。
【0015】
したがって、多層再生方法では、第1の補償温度T1よりも第2の補償温度T2の方が低い(T1>T2)場合において、光ビームの照射により光磁気記録媒体を第1の補償温度T1まで昇温することにより、第2の磁気記録層に形成されている微小なサイズの記録マークが再生層に磁気転写され(以下、パターン1という。)、光ビームの照射により光磁気記録媒体を第2の補償温度T2まで昇温することにより、第1の磁気記録層に形成されている微小なサイズの記録マークが再生層に磁気転写され(以下、パターン2という。)、パルス磁界を印加することにより記録マークのサイズを変化させ、当該変化に基づき情報の再生を行なうことができる。なお、第1の補償温度T1または第2の補償温度T2は、光ビームの照射時間により決定される。
【0016】
【非特許文献1】
伊藤彰義,「多波長多重型光磁気ディスク」,OPTRONICS(1998)No.4 pp.115−124
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
パターン1の場合には、第2の磁気記録層に形成されている記録マークが再生層に磁気転写されるのは、高い温度領域(再生用の光ビームのスポット径の中心付近)においてであり、このときの漏れ磁界は、低い温度領域(再生用の光ビームのスポット径の中心以外)のときの漏れ磁界に比べて大きい。したがって、再生したい記録マークを周辺の記録マークと分離して再生層に磁気転写することができ、読み取り分解能の向上を図ることが可能である。
【0018】
しかしながら、パターン2の場合には、第1の磁気記録層に形成されている記録マークが再生層に磁気転写されるのは、パターン1と同様に、高い温度領域であるが、このときの漏れ磁界は、低い温度領域のときの漏れ磁界に比べて小さい。したがって、再生したい記録マークを周辺の記録マークと分離して再生層に磁気転写することが困難となり、読み取り空間分解能が向上できない問題がある。
【0019】
そこで、本発明では、上述したような問題に鑑みて提案されたものであり、少なくとも第1の磁気記録層、第2の磁気記録層、第1の磁気記録層と交換結合する補助磁性層及び再生層とを有し、第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に形成されている記録マークを再生層に磁気転写する際に読み取り空間分解能の向上を図ることが可能な光磁気記録媒体を提案する。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光磁気記録媒体は、上述の課題を解決するために、基板上に、記録マークが形成され、第1の補償温度を有する第1の磁気記録層と、上記第1の磁気記録層に記録マークが形成される際に、交換結合により当該記録マークの磁化状態を制御する補助磁性層と、記録マークが形成され、上記第1の補償温度よりも低い第2の補償温度を有する第2の磁気記録層と、上記第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に形成されている記録マークと同一の記録マークが磁気転写により形成される再生層とが少なくとも積層されており、上記補助磁性層の磁気分極の方向は、上記第1の磁気記録層の磁気分極の方向と逆になっている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
本発明の光磁気記録媒体1は、高密度化を図るために2つの磁気記録層と、1つの再生層が積層されており、記録する情報に応じて各磁気記録層に微小な記録マークが形成され、その記録マークを後述する磁区拡大再生方式(Magnetic Amplifying Magneto−Optical System;MAMMOS)により再生層に磁気転写し、サイズの変化(拡大または縮小)に基づき情報が再生されるものである。
【0023】
光磁気記録媒体1は、図1に示すように、基板10に補助磁性層11と、第1の磁気記録層12と、第2の磁気記録層13と、再生層14とが積層されてなる。第1の磁気記録層12は、希土類元素(以下、REという。)と遷移金属元素(以下、TMという。)との合金性の磁性層であり、図2(A)に示すような補償温度T1を有するREリッチのフェリ磁性層である。第2の磁気記録層13は、REとTMとの合金性の磁性層であり、図2(B)に示すような補償温度T1とは異なる補償温度T2を有するTMリッチのフェリ磁性層である。なお、以下の説明では、便宜上、補償温度T1は補償温度T2よりも低い(T1<T2)とするが、補償温度T1は補償温度T2よりも高く(T1>T2)ても良い。
【0024】
また、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13には、記録する情報に応じた微小なサイズの記録マークが形成される。この記録マークのサイズは、再生用のレーザ光によるスポット径Rよりも小さいので、光磁気記録媒体1では、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に形成されている微小なサイズの記録マークを後述する再生層14に磁気転写し、磁気転写された記録マークのサイズを変化させることで情報が再生される構成となっている。
【0025】
補助磁性層11は、温度の上昇により磁気異方性が小さくなる性質を有する磁性材料よりなっている強磁性体であり、後述するように交換結合により第1の磁気記録層12に形成される記録マークの磁化状態を制御する。また、補助磁性層11は、補償温度Tcを有しており、低温から当該補償温度Tcまでの磁気分極の方向が、図2(C)に示すように、第1の磁気記録層12の磁気分極の方向と逆になっている。なお、補助磁性層11は、TMリッチの磁性層である。
【0026】
再生層14は、後述するMAMMOSにより第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に形成されている微小なサイズの記録マークが磁気転写され、当該磁気転写により形成された記録マークのサイズがパルス磁界Hbの印加に応じて面内方向に変化(拡大又は縮小)する。また、再生層14は、保持力の小さな希土類元素(以下、REという。)と遷移金属元素(以下、TMという。)との合金製の非晶質材料によりなっている。
【0027】
このような光磁気記録媒体1は、補助磁性層11と交換結合している第1の磁気記録層12と、第2の磁気記録層13と、再生層14とからなっているので、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に記録する情報に応じた記録マークが形成され、また、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に形成された記録マークが再生層14に磁気転写され、磁気転写により再生層14に記録マークが形成される。
【0028】
光磁気記録媒体1は、図3に示すような記録再生装置2により情報が記録され、記録された情報が再生される。
【0029】
ここで、記録再生装置2の構成と動作について説明する。記録再生装置2は、MAMMOSを採用しており、図3に示すように、パルス磁界Hbを光磁気記録媒体1に印加する磁界印加部20と、光ビームを光磁気記録媒体1に照射する第1の光ビーム照射部21及び第2の光ビーム照射部22と、所定方向から入射する光ビームを所定方向に反射する第1のハーフミラー23及び第2のハーフミラー24と、入射された光ビームを絞る対物レンズ25と、光磁気記録媒体1から反射された光ビームを検出する信号検出部26と、信号検出部26の検出結果に基づき所定の信号処理を行なう信号処理部27を備える。
【0030】
ここで、MAMMOSについて説明する。MAMMOSは、後述する記録方法により光磁気記録媒体1の第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に形成された微小なサイズの記録マークの磁化状態を、再生層14に磁気転写し、当該磁気転写により再生層14に形成された第1の磁気記録層12または第2の磁気記録層13と同一の記録マークにパルス磁界Hbを印加し、再生層14に形成した記録マークを変化(拡大又は縮小)させ、当該変化に応じて情報を再生する再生方法のひとつである。
【0031】
磁界印加部20は、正・負バイアス及び多段階に磁界強度を変化させたパルス磁界Hbを発生することができ、記録時においては、正バイアスまたは負バイアスと磁界強度の強弱の組み合わせ(4通り)によりパルス磁界Hbを発生し、光磁気記録媒体1に印加し、また、再生時においては、正バイアス磁界または負バイアスにパルス磁界Hbを発生し、光磁気記録媒体1に印加する。また、磁界印加部20は、例えば、右ねじの法則を利用して、電圧を所定の方向に印加し、パルス磁界Hbを生じさせる。なお、上記以外の方法でパルス磁界Hbを発生させても良い。
【0032】
第1の光ビーム照射部21は、第1のハーフミラー23、第2のハーフミラー24及び対物レンズ25を介して光磁気記録媒体1に記録用の光ビームを照射する。なお、第1の光ビーム照射部21は、光磁気記録媒体1の所定の場所に所定の時間記録用の光ビームを照射することにより、当該所定の場所を記録温度まで昇温する。また、第2の光ビーム照射部22は、第1のハーフミラー23、第2のハーフミラー24及び対物レンズ25を介して光磁気記録媒体1に再生用の光ビームを照射する。なお、第2の光ビーム照射部22は、光磁気記録媒体1の所定の場所に所定の時間記録用の光ビームを照射することにより、当該所定の場所を所定の温度(補償温度T1及び補償温度T2)まで昇温する。なお、第1の光ビーム照射部21及び第2の光ビーム照射部22は、一つの光ビーム照射部で構成されていてもよい。
【0033】
対物レンズ25は、第1の光ビーム照射部21または第2の光ビーム照射部22から出力された光ビームを光磁気記録媒体1の所定の場所に集光する。
【0034】
また、第2の光ビーム照射部22から照射された再生用の光ビームは、光磁気記録媒体1で反射される。この反射された再生用の光ビーム(以下、反射光ビームという。)は、対物レンズ25及び第2のハーフミラー24を介して信号検出部26に入射する。信号検出部26は、反射光ビームを直線偏光に変換する波長板30と、反射板30により直線偏光に変換された反射光ビームをS偏光成分を有する光とP偏光成分を有する光に偏光分離するビームスプリッタ(以下、BSという。)31と、P偏光成分を有する光からカー回転角等を検出する第1の光検出器32と、P偏光成分を有する光からカー回転角等を検出する第2の光検出器33とを備えている。
【0035】
ここで、信号検出部26の動作について説明する。光磁気記録媒体1は、直線偏光の光ビームが照射されると、右回り円偏光又は左回り円偏光の光ビーム(反射光ビーム)を出射する。この反射光ビームの回転方向は、光磁気記録媒体1の再生層14に形成されている記録マークの磁化状態により決定され、例えば、磁化状態が拡大しているときには反射光は右回り円偏光となり、また、磁化状態が縮小しているときには反射光は左回り円偏光となる。
【0036】
反射光ビームは、波長板30を通過して直線偏光に変換され、BS31によりS偏光成分を有する光とP偏光成分を有する光に偏光分離される。P偏光成分を有する光は、第1の光検出器32に出射され、また、S偏光成分を有する光は、第2の光検出器33に出射される。第1の光検出器32は、P偏光成分を有する光からカー回転角等を検出する。また、第2の光検出器33は、S偏光成分を有する光から同様にカー回転角等を検出する。第1の光検出器32及び第2の光検出器33は、BS31から入力された光に基づいて電気信号を生成し、信号処理部27に出力する。
【0037】
信号処理部27は、入力された電気信号に基づき所定の信号処理を行なう。なお、信号処理部27では、第1の光検出器32及び第2の光検出器33から入力された電気信号により、信号検出部26に入力された光が右回り円偏光であるか左回り円偏光かを判断することができ、当該判断に応じて所定のデータに変換する。
【0038】
ここで、記録再生装置2により光磁気記録媒体1に情報を記録する動作について説明する。第1の光ビーム照射部21は、上述したように第1のハーフミラー23、第2のハーフミラー24及び対物レンズ25を介して光磁気記録媒体1に光ビームを照射する。磁界印加部20は、光磁気記録媒体1の第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13が記録用の光ビームの照射により所定の記録温度に達した際にパルス磁界Hbを印加する。光磁気記録媒体1は、印加されるパルス磁界Hbのバイアス方向及び磁界強度により、4つの記録状態で情報が記録される。
【0039】
ここで、光磁気記録媒体1に情報が記録される際の各磁気記録層の磁気モーメントの状態(磁化方向)について図4及び図5を用いて以下に説明する。なお、第1の磁気記録層12は、補助磁性層11と交換結合しているので、正の小さなパルス磁界Hbの印加では記録マークは形成されず、一方、負の小さなパルス磁界Hbの印加により記録マークが形成されるような性質を有する。
【0040】
第1の磁気記録層12は、所定の記録温度まで昇温され、図4(A)に示すように、印加されるパルス磁界Hbが磁界H1よりも小さいとき(Hb<H1)には、記録マークは形成されず(磁気モーメントの向きは下向き(図中に下向きの矢印にて示す)(↓))、図4(B)に示すように、記録信号レベルは0となり不記録状態となり、また、印加されるパルス磁界Hbが磁界H1よりも大きく0よりも小さいとき(H1<Hb<0)には、記録マークは形成され(磁気モーメントの向きは上向き(図中に上向きの矢印にて示す)(↑))、記録信号レベルは1となり記録状態となり、また、印加されるパルス磁界Hbが0よりも大きく磁界H2よりも小さいとき(0<Hb<H2)には、記録マークは形成されず(磁気モーメントの向きは下向き(↓))、記録信号レベルは0となり不記録状態となり、また、印加されるパルス磁界Hbが磁界H2よりも大きいとき(H2<Hb)には、記録マークが形成され(磁気モーメントの向きは上向き(↑))、記録信号レベルは1となり記録状態となる。なお、交換結合は、磁気的な結合の1つであり、二つの隣接した磁気モーメント間において、互いに平行に並ぼうとする性質のものである。また、交換結合は、隣接する原子間でのみ働くもので、直接積層された磁性層の界面に働く。
【0041】
光磁気記録媒体1は、このような性質を有する第1の磁気記録層12と通常の記録層である第2の磁気記録層13を積層してなっており、磁界印加部20により発生されたパルス磁界Hb(Hb<H1、H1<Hb<0、0<Hb<H2またはH2<Hb)の印加により、図5(A)に示すように、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に所望する記録マークが形成される(第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13は図5(B)に示すように印加するパルス磁界により形成される記録マークの磁化方向が異なる。)。なお、第2の磁気記録層13は、パルス磁界Hbが印加される方向に磁化方向が揃う性質を有している。
【0042】
したがって、記録再生装置2は、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13を有する光磁気記録媒体において、第1の光ビーム照射部21により所定の記録温度まで当該光磁気記録媒体を昇温し、磁界印加部20により所定のパルス磁界Hbを印加することによって、第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に同時に所望する記録マークの形成を行なうことができるので、情報の高速記録を行なうことができる。
【0043】
つぎに、上述のように第1の磁気記録層12及び第2の磁気記録層13に記録マークが形成されている光磁気記録媒体1から、情報を再生する記録再生装置2の動作について説明する。記録再生装置2は、既述したMAMMOSを利用して、光磁気記録媒体の第1の磁気記録層12に形成されている微小なサイズの記録マークまたは第2の磁気記録層13に形成されている微小なサイズの記録マークを選択的に読み出し、情報の再生を行なう。
【0044】
第2の光ビーム照射部22は、上述したように第1のハーフミラー23、第2のハーフミラー24及び対物レンズ25を介して光磁気記録媒体1に再生用の光ビームを照射する。第1の磁気記録層12は、再生用の光ビームの照射により補償温度T1付近まで昇温されると、TMとREとの磁気モーメントの大きさが等しくなり見かけ上、磁気がなくなり、漏れ磁界を発生しなくなる。したがって、再生層14には、第2の磁気記録層13に形成されている記録マークの磁化状態が磁気転写されることになる。このとき、磁界印加部20により印加されたパルス磁界Hbに応じて、再生層14に形成されている記録マークのサイズが変化する。なお、第2の磁気記録層13に形成されている記録マークが再生層14に磁気転写されるのは、高い温度領域(再生用の光ビームのスポット径の中心付近)においてであり、このときの漏れ磁界は、低い温度領域(再生用の光ビームのスポット径の中心以外)のときの漏れ磁界に比べて大きい。したがって、再生したい記録マークを周辺の記録マークと分離して再生層14に磁気転写することができ、読み取り分解能を容易に向上することができる。
【0045】
また、第2の磁気記録層13は、再生用の光ビームの照射により補償温度T2付近まで昇温されると、TMとREとの磁気モーメントの大きさが等しくなり見かけ上、磁気がなくなり、漏れ磁界を発生しなくなる。したがって、再生層14には、第1の磁気記録層12に形成されている記録マークの磁化状態が磁気転写されることになる。なお、第1の磁気記録層12に形成されている記録マークが再生層14に磁気転写されるのは、当該第1の磁気記録層12の面内方向において、高い温度領域においてであり、通常、このときの漏れ磁界は、低い温度領域のときの漏れ磁界に比べて小さくなる。こうなると所望する記録マークの磁化状態を再生層14に磁気転写できなくなる。しかしながら、本発明に係る光磁気記録媒体1が有する補助磁性層11は、上述したように、低温から補償温度Tcまでの磁気分極の方向が第1の磁気記録層12の磁気分極の方向と逆になっているので、低い温度領域の記録マークからの漏れ磁界を、高い温度領域の記録マークによる漏れ磁界よりも低くすることができ、読み取り空間分解能の低下を避けることができる。
【0046】
したがって、再生層14には、第1の磁気記録層12に形成されている記録マークの磁化状態が正しく磁気転写されることになる。このとき、磁界印加部20により印加されたパルス磁界Hbに応じて、再生層14に形成されている記録マークのサイズが変化する。
【0047】
したがって、記録再生装置2は、補償温度T1を有する第1の磁気記録層12と、補償温度T2を有する第2の磁気記録層13と、当該第1の磁気記録層12と交換結合をしており、補償温度Tcを有し、かつ、低温から当該補償温度Tcまでの磁気分極の方向が、第1の磁気記録層12の磁気分極の方向と逆になっている光磁気記録媒体1に、第2の光ビーム照射部22により補償温度T1または補償温度T2まで昇温することにより、第1の磁気記録層12に形成されている微小なサイズの記録マークまたは第2の磁気記録層13に形成されている微小なサイズの記録マークを、読み取り空間分解能の低下を招くことなく正確に再生層14に磁気転写することができるので、当該光磁気記録媒体1に記録されている情報を正確に再生することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る光磁気記録媒体は、少なくとも基板上に第1の磁気記録層と、第1の磁気記録層と交換結合をしている補助磁性層と、第2の磁気記録層と、再生層とを有しており、補助磁性層の磁気分極の方向が、第1の磁気記録層の磁気分極の方向と逆になっているので、第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に記録する情報に応じた記録マークが形成され、また、第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に形成された記録マークが、読み取り空間分解能の低下を招くことなく再生層に磁気転写され、磁気転写により再生層に記録マークが形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光磁気記録媒体の断面図である。
【図2】第1の磁気記録層が有する第1の補償温度T1と、第2の磁気記録層が有する第2の補償温度T2と、補助磁性層が有する補償温度Tcの関係を示し、各層の磁気分極の強度を示す図である。
【図3】本発明に係る光磁気記録媒体に記録されている情報の記録及び再生を行なう記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】(A)は、補助磁性層との交換結合により制御される第1の磁気記録層に形成される記録マークの磁化状態(磁気モーメントの向き)の様子を示す図であり、(B)は、パルス磁界Hbの印加に応じて変化する第1の磁気記録層の磁気モーメントの様子を示す図である。
【図5】(A)は、補助磁性層と交換結合している第1の磁気記録層と、第2の磁気記録層とが積層してなる光磁気記録媒体にパルス磁界を印加したときに形成される各磁気記録層の磁気モーメントの磁化状態の様子を示す図であり、(B)は、パルス磁界Hbの印加に応じて変化する各磁気記録層の磁気モーメントの様子を示す図である。
【図6】MAMMOSにより、記録層に形成されている記録マークを再生層に磁気転写する様子を示す図である。
【図7】複数の記録層を有する光磁気記録媒体の積層構造を示す図である。
【図8】第1の磁気記録層が有する第1の補償温度T1と、第2の磁気記録層が有する第2の補償温度T2の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 光磁気記録媒体、2 記録再生装置、10 基板、11 補助磁性層、12 第1の磁気記録層、13 第2の磁気記録層、14 再生層、20 磁界印加部、21 第1の光ビーム照射部、22 第2の光ビーム照射部、23 第1のハーフミラー、24 第2のハーフミラー、25 対物レンズ、26 信号検出部、27 信号処理部

Claims (1)

  1. 基板上に、
    記録マークが形成され、第1の補償温度を有する第1の磁気記録層と、
    上記第1の磁気記録層に記録マークが形成される際に、交換結合により当該記録マークの磁化状態を制御する補助磁性層と、
    記録マークが形成され、上記第1の補償温度よりも低い第2の補償温度を有する第2の磁気記録層と、
    上記第1の磁気記録層及び第2の磁気記録層に形成されている記録マークと同一の記録マークが磁気転写により形成される再生層とが少なくとも積層されており、
    上記補助磁性層の磁気分極の方向は、上記第1の磁気記録層の磁気分極の方向と逆になっていることを特徴とする光磁気記録媒体。
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