JP2004257466A - ボールねじ - Google Patents
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Abstract
【課題】二点接触形式のボールねじにおいて、軸方向隙間を精度良く且つ容易に測定でき、二点接触形式の特性を最大限に発揮しうるボールねじを提供する。
【解決手段】ねじ軸(2)及びナット(3)のボール転動溝(5、6)に、ゴシックアーク溝を採用し、予圧を付与して、ボール(4)と軌道(7)との接触を二点接触形式とした。その場合において、ボール(4)と軌道(7)とに予圧をかける前のそれらの軸方向隙間を、ボールの直径をDwとするとき、0.5%Dw以上5%Dw以下の範囲とし、ゴシックアーク溝の円弧の曲率半径を、52%Dw以上60%Dw以下の範囲とした。また、ボール(4)同士の間に、スペーサ(8)を介在させた。
【選択図】 図1
【解決手段】ねじ軸(2)及びナット(3)のボール転動溝(5、6)に、ゴシックアーク溝を採用し、予圧を付与して、ボール(4)と軌道(7)との接触を二点接触形式とした。その場合において、ボール(4)と軌道(7)とに予圧をかける前のそれらの軸方向隙間を、ボールの直径をDwとするとき、0.5%Dw以上5%Dw以下の範囲とし、ゴシックアーク溝の円弧の曲率半径を、52%Dw以上60%Dw以下の範囲とした。また、ボール(4)同士の間に、スペーサ(8)を介在させた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道とボールとの接触形式およびボール転動溝の形状、の関係に特徴を有するボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールねじには、ねじ軸のボール転動溝およびナットのボール転動溝として、サーキュラアーク溝またはゴシックアーク溝あるいはそれらの組み合わせが用いられている。また、軌道とボールとの接触形式としては、二点接触形式、三点接触形式、四点接触形式がある。通常、これらの接触形式は、ねじ軸のボール転動溝およびナットのボール転動溝の形状をサーキュラアーク溝またはゴシックアーク溝あるいはそれらの組み合わせとすることによって決められる。
【0003】
例えば、ゴシックアーク溝は、一般に、四点接触形式に採用している。ゴシックアーク溝による四点接触形式での長所のひとつは、先端に鋼球を用いた測定球がボール転動溝に安定するため、有効径の管理を精度良くできる。
一方、サーキュラアーク溝は、一般に、二点接触形式に採用されている(例えば、特許文献1参照。)。二点接触形式の長所のひとつは、予圧荷重を大きくした場合でも、摩擦による発熱や摩耗が四点接触形式に比べて少ないことがあげられる。二点接触形式では、例えば、ダブルナット方式のボールねじは、軸方向隙間をつくり、この軸方向隙間に予圧荷重を見込んだ幅を加えた(あるいは引いた)間座等を用いて、ナットとねじ軸とを軸方向へ相互に動かすことによって予圧を付加する。そのため、軸方向隙間を精度良く管理する必要がある。
なお、軸方向隙間とは、軌道とボールとの間に予圧を付加する前の状態におけるボールとボール転動溝とがつくるねじ軸の軸方向における隙間をいう。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−276765号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サーキュラアーク溝は、溝形状が単一な円弧から形成されている。そのため、ねじ軸およびナットのボール転動溝における有効径を測定するための測定球が、ボール転動溝に対して不安定になりやすい。したがって、軸方向隙間を安定して管理することが難しいという問題があった。
この発明は、このような問題点に着目してなされたもので、二点接触形式のボールねじにおいて、二点接触形式の特性を最大限に発揮しうる条件を備えたボールねじを、安定した品質で提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために、二点接触形式のボールねじにおいて、その特性を最大限に発揮しうる条件を見いだした。
すなわち、請求項1に係る発明は、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、ねじ軸のボール転動溝およびナットのボール転動溝が対向して形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えたボールねじにおいて、前記ねじ軸のボール転動溝および前記ナットのボール転動溝にゴシックアーク溝を採用し、前記軌道と前記ボールとの間に軸方向への予圧を付加する前の状態における前記軌道と前記ボールとがつくる前記ねじ軸の軸方向での隙間である軸方向隙間を、前記ボールの直径Dwの0.5%Dw以上5%Dw以下の範囲とし、前記ボールと前記軌道とに前記予圧をかけて、前記ボールを前記軌道に二点接触させたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に係る発明によれば、ゴシックアーク溝を採用している。そして、軸方向隙間をボールの直径Dwに対して0.5%Dw〜5%Dwの範囲として二点接触させている。
実験の結果から、軸方向隙間をボールの直径Dwに対して0.5%Dw〜5%Dwの範囲にして、ボールと軌道とに予圧をかけて二点接触させると、ゴシックアーク溝を採用しても摩擦トルクの発生を抑えることができることが判った。そのため、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじを好適に提供することができる。
【0008】
そして、ゴシックアーク溝は対向する二つの円弧から構成されているから、ねじ軸及びナットの有効径を測定するための測定球が溝形状に対して安定する。そのため、軸方向隙間を定量的に精度良く測定することができる。したがって、二点接触形式のボールねじを安定した品質で提供することができる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のボールねじであって、前記ゴシックアーク溝を形成する円弧の曲率半径は、前記ボールの直径Dwの52%Dw以上60%Dw以下の範囲であることを特徴としている。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、ゴシックアーク溝を形成する円弧の曲率半径を、ボールの直径をDwとするとき、52%Dw以上60%Dw以下の範囲にすると、ボールねじを組立てて予圧を付加した状態でのボールとボール転動溝との接触角として好適な接触角度(例えば、45°)にする条件を無理なく満たすことができる。そのため、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじをより好適に提供することができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1ないし2のいずれかに記載のボールねじであって、前記ボール同士の間に、スペーサを介在させたことを特徴としている。
請求項3に係る発明によれば、スペーサによってボール同士の競り合いが抑制されるので、摩擦トルクの発生をより安定して抑えることができる。そのため、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじをより好適に提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるボールねじ1の構成を、一部を断面にて示す平面図であり、同図では、ナットを、ナットの軸方向の中心を含む平面で破断して示している。また、図2は、ボールねじ1に予圧を付加している状態における、軌道とボールとの関係を説明する説明図である。
【0012】
図1に示すように、このボールねじ1は、螺旋状のボール転動溝5を外周面に有するねじ軸2と、ねじ軸2のボール転動溝5に対向する螺旋状のボール転動溝6を内周面に有し、ねじ軸2に螺合される円筒状のナット3と、ねじ軸2のボール転動溝5とナット3のボール転動溝6とで形成される軌道7に転動自在に装填された多数のボール4と、を備えている。そして、多数のボール4を介してねじ軸2に螺合されているナット3と、ねじ軸2とが、ボール4の転動を介して軸方向に相対移動するようになっている。
【0013】
ナット3の軸方向一端には、ナット3をテーブル等に固定するためのフランジ22が設けてある。このフランジ22とねじ軸2との間、および、ナット3の軸方向他端部とねじ軸2との間は、防塵用シール10で塞がれている。
ナット3の外周面には切欠部21が形成され、この切欠部21に略コ字状に屈曲したチューブからなる循環通路9が配置されている。この循環通路9は、循環通路押え81で切欠部21に固定されている。この循環通路9の両端は、ナット3を貫通して軌道7に至り、軌道7内を転動するボール4が循環通路9を通って循環するようになっている。
【0014】
そのため、ボール4は軌道7内を移動し、ねじ軸2の回りを複数回回ってから、軌道7の一端(循環通路9の端部と軌道7との交点)において循環通路9の一方の端部(開口部)から循環通路9内にすくい上げられ、すくい上げられたボール4は、循環通路9の中を通って、循環通路9の他方の端部(開口部)から軌道7の他端に戻される。なお、循環通路9は、第1ナット31及び第2ナット32にそれぞれ1個ずつ軸方向に並べて配設されており、合計2個が設けられている。
【0015】
このボールねじ1には、ゴシックアーク溝をボール転動溝5、6に採用している。すなわち、ボール転動溝5,6の断面形状は曲率中心の異なる2つの同一円弧を組合せた略V字状である。
また、ナット3には、ダブルナットタイプを使用し、予圧を付加している。詳しくは、ナット3は、軸方向に並べられた第1ナット31及び第2ナット32と、両ナット21、22の間に介在された間座33と、が一体となって構成されている。そして、間座33の介在によって、軌道7内のボール4には、同図に示す矢印方向に予圧が付与され、各ボール4はナット3のボール転動溝6の1点と、これに対向する位置のねじ軸2のボール転動溝5の1点と、の2点で接触している。該2点を結ぶ線に直角な方向においては、ボール4は両ボール転動溝5、6に接触していないか、あるいは接触していても予圧は付与されていない(図2参照)。すなわち、ボールねじ1は、予圧付加構造にオフセットリード予圧構造を採用し、予圧をかけることによって、ボール4と軌道7との接触を二点接触形式としているのである。
【0016】
ところで、ボールねじ1は、ボール4と軌道7との間に予圧をかける前のそれらの軸方向隙間Δを、ボール4の直径をDwとするとき、0.5%Dw以上5%Dw以下としている。また、ゴシックアーク溝の円弧の曲率半径を、ボール4の直径をDwとするとき、52%Dw以上60%Dw以下の範囲としている。
ここで、「軸方向隙間Δ」とは、図3に示すように、予圧付加前での、ボール4とボール転動溝5、6とのねじ軸2の軸方向における隙間である。具体的には、本発明における軸方向隙間Δは、下式にて定義している。
【0017】
軸方向隙間Δ=(δ1+δ4)×2
そして、この軸方向隙間Δと予圧荷重分の厚さαとを見込んだ幅の間座33を、2個のナット31、32同士の間に挿入し、これを組み立てることによって、ナット3のボール転動溝6の溝ピッチを、ねじ軸2のボール転動溝5の溝ピッチに対して、わずかにずらすことによって予圧を付加している。
【0018】
発明者は、この軸方向隙間Δの量を変化させて、その特性を調査したところ、上記の条件に設定することによって、ゴシックアーク溝を採用した二点接触形式のボールねじであっても、大きな予圧を付加することが可能となることを見いだした。すなわち、後述する実験結果が示すように、大きな予圧を付加しても、ボール4がボール転動溝5、6に接触した際に生じるボール4表面の摩擦や損傷を最小限に抑えることができる。したがって、高速、高負荷で使用可能なボールねじ1を提供できる。
【0019】
なお、本実施形態のボールねじ1は、図1の部分拡大図として示す図4のように、全てのボール4同士の間に、スペーサ8が配置されている。このスペーサ8には、例えば、特開2000−120825号公報に開示されているものを用いる。これは、円柱の両底面が凹面(ボール保持面)71になっている形状である。この円柱の直径はボール4の直径Dwよりも少し小さい。また、この凹面71は、同じ曲率半径の2つの球面を合わせた面形状となっており、その断面がゴシックアーク形状となっている。そして、この凹面71は、ボール4の半径が凹面71の半径より小さく、凹面71の半径同士の交差位置がボール4の中心位置となるように形成されている。そのため、このスペーサ8の凹面71とボール4は、線接触することができる。これにより、ボール4はスペーサ8の凹面71に極めて低摩擦で接触することができる。そのため、ボール4とスペーサ8のすべり抵抗を小さくすることができる。したがって、スペーサ8の循環性も良好となるとともに、ボール4同士のせりあいによる作動性の悪化やボール4の摩擦や損傷を著しく低減することができる。
【0020】
以下、上述のボールねじ1に対して行った試験について説明する。
まず、図1のボールねじ1として、呼び番号「32×05×700−C3」(ねじ軸2の直径:32mm、リード:5mm、ボール4の基準直径:3.175mm(1/8インチ)、回路数:2.5巻1列×2、予圧構造:オフセットリード予圧)を用意した。
【0021】
試験体には、ボールねじ1のボール4と軌道7との軸方向隙間Δを、ボール4の直径Dwに対して0.5%Dw〜5%Dwの範囲から5種類設定した。具体的には、軸方向隙間Δが、0、0.25%Dw、0.5%Dw、1.5%Dw、3%Dwの5種類を準備した。
なお、予圧状態での各試験体の接触角は45°に設定した。
【0022】
試験は、予圧荷重をほぼ0の状態から、ボール直径Dwを徐々に大きくすることによって、予圧荷重を変化させて、予圧量と摩擦トルクとの関係を調べた。
また、試験は、下記の条件で行った。
試験機:日本精工株式会社製ボールねじトルク測定試験機
予圧荷重:0Nから徐々に増加
試験回転数:100rpm
ストローク:500mm
潤滑油:ISO VG#68
循環通路の向き:下
【0023】
図5は、上記5種類のボールねじ1試験体のそれぞれについて、予圧量と摩擦トルクとの関係を測定した結果である。
同図から判るように、軸方向隙間Δを0.5%Dw以上に設定した場合には、摩擦トルクが増加する割合は小さい。つまり、軸方向隙間Δを0.5Dw以上としたボールねじ1では、予圧量を大きくしてナット剛性を上げても、摩擦トルクの上昇や発熱が少ないことが判る。
ただし、過大な予圧荷重は、ボール4や、ねじ軸2およびナット3のボール転動溝5、6の寿命に影響を及ぼす。そのため、接触部の面圧を管理する必要がある。
ここで予圧動トルクは一般に下式で表わされる。
【0024】
【数1】
【0025】
また、一般に予圧摩擦係数Kは下式で表わされる。
【0026】
【数2】
【0027】
ただし、Fao:予圧荷重
L:リード
K:予圧摩擦係数
β:リード角
本試験に用いた各ボールねじ1の試験片に対して、上式から、予圧摩擦係数Kを求めた結果を図6に示す。
【0028】
同図から、予圧摩擦係数Kは、軸方向隙間Δが0.5%Dwを超えると急激に減少していることが判る。したがって、この予圧摩擦係数Kが小さい範囲でボールねじ1を使用すれば、発熱などの少ないボールねじを実現することができる。以上の考察から、ゴシックアーク溝を採用し、予圧を付加することによって二点接触形式とした場合、軸方向隙間Δを0.5%Dw以上に設定すれば、ボール4がボール転動溝5、6(軌道7)に接触した際に生じる摩擦トルクを効果的に抑えることが可能なことが判る。
【0029】
ところで、大きな軸方向隙間Δをずらして予圧を付加すると、設計上の接触角より、実際の組み立て(予圧付加後)状態での接触角が大きくなってしまう。そのため、組み立て(予圧付加後)状態で、所定の接触角にするためには、初期(予圧付加前)接触角を小さくしておく必要がある。なお、組み立て(予圧付加後)状態での接触角としては、40〜50°の範囲がボールねじの剛性、定格荷重等の点で望ましい。ゴシックアーク溝形状は、ボール転動溝とボールとの接触角が大きくとれることが特徴であり、通常、ボールとねじ軸側のボール転動溝との接触角と、ボールとナット側のボール転動溝との接触角は、それぞれ45°になっている。
【0030】
図7に、組み立て(予圧付加後)状態で、それぞれの接触角を45°とするための、初期接触角と軸方向隙間Δとの関係を示す。
同図から、初期接触角の下限値としては、52%Dw以上が望ましいことが判る。なぜならば、ボール転動溝には研磨逃げがある。そのため、研摩逃げとの干渉を避けるためには、初期接触角が少なくとも25°以上あることが必要である(図3参照)。また、ねじ軸2のボール転動溝5の有効径及びナット3のボール転動溝6の有効径は正確に測定する必要がある。すなわち、測定球を安定させるためには、初期接触角が、少なくとも25°以上あることが望ましい。しかし、上述の考察から軸方向隙間Δを0.5%Dw以上とすることが同時に要求される。そのため、上記軸方向隙間Δを実現するためのボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径を、52%Dw以上とすれば、初期接触角を少なくとも25°以上確保できるのである。
【0031】
次に、初期接触角の上限値としては、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径を、60%Dw以下とすることが望ましい。なぜならば、図7から判るように、組み立て(予圧付加後)状態での接触角を45°とするためには、曲率半径が大きくなるほど、そのグラフが寝てしまう。すなわち、軸方向隙間Δを変化させても初期接触角はそれほど変化しないことになる。そのため、所望の予圧荷重を付加するための軸方向隙間Δの管理が困難となる。また、曲率半径が、60%Dwを超えてしまうと、ボールねじの剛性や定格荷重が下がってしまう。そのため、ボールねじとしての性能が低下してしまうことにもなる。したがって、曲率半径を60%Dw以下とすれば、予圧荷重の管理が容易となり、ボールねじとしての性能も良い。
【0032】
図8は、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径54%Dwを基準とした定格荷重比率とボール転動溝を形成する円弧の曲率半径との関係を示すグラフである。上記のボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径の範囲は、通常のボールねじの使用範囲における定格荷重の実用範囲を考慮している。その判断としては、図8のグラフを参考として定格荷重の減少を30%減を目安として設定したものである。ただし、摩擦の低減だけを考えれば、例えばボールねじの寿命、剛性を犠牲にしてでもボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径を大きく(60%Dwを超えて)設定することも考えられる。しかし、通常のボールねじの使用範囲における剛性や定格荷重の実用範囲から考慮すれば、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径は、52%Dw以上60%Dw以下の範囲とすることが望ましいのである。
【0033】
以上の考察から、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径は、52%Dw以上60%Dw以下の範囲とすることが好ましい。また、図7から、先の考察における軸方向隙間Δの上限値を、5%Dw以下とすれば、初期接触角を少なくとも25°以上確保できることが判る。そのため、軸方向隙間Δは、0.5%Dw〜5%Dwの範囲とすることが望ましい。
【0034】
次に、比較のために、オーバーサイズボール予圧によるボールねじでの予圧動トルクを測定した。オーバーサイズボール予圧によるボールねじにおける予圧動トルクの測定条件およびボールねじ1の使用条件は、下記の条件で行った。なお、この条件は、ボールのつまり現象が起きやすい条件として設定した。
オーバーサイズ予圧によるボールねじとして、呼び番号「32×05×700−C3」(ねじ軸2の直径:32mm、リード:5mm、ボール4の基準直径:3.175mm(1/8インチ)、回路数:2.5巻1列×2、予圧構造:オーバーサイズボール予圧)を用意した。
【0035】
また、試験は、下記の条件で行った。
試験機:日本精工株式会社製ボールねじトルク測定試験機
予圧動トルクねらい値:10N・cm
試験回転数:10rpm
ストローク:500mm
潤滑油:ISO VG#68
循環通路の向き:下
図9は、オーバーサイズボール予圧によるボールねじでの予圧動トルクを測定した結果である。また、図10は本発明に係るボールねじ1による予圧動トルクを測定した結果である。
【0036】
図9、図10を比較した結果から判るように、本発明に係るボールねじ1は、オーバーサイズボール予圧によるボールねじと比べて動トルクの変動が極めて少なく、優れた特性を持つことが判る。
また、予圧摩擦係数Kが小さいため、ねじ軸2ないしナット3のボール転動溝5、6の有効径に変動があっても、その影響がトルク変動として出にくい。
【0037】
以上説明したように、このボールねじ1によれば、ゴシックアーク溝を採用して二点接触形式としている。そして、軸方向隙間Δをボール4の直径をDwとしたとき、0.5%Dw以上5%Dw以下の範囲にしている。そのため、上述の実験結果が示すように、ゴシックアーク溝を採用して二点接触形式を構成しても、ボール4がボール転動溝5、6に接触した際に生じる摩擦トルクの発生を好適に抑えることができる。
【0038】
そして、ゴシックアーク溝は対向する二つの円弧から構成されているから、ねじ軸2及びナット3でのボール転動溝5、6の有効径を測定するための測定球がボール転動溝の形状に対して安定する。そのため、軸方向隙間Δを定量的に精度良く測定し、管理することができる。したがって、二点接触形式のボールねじ1を安定した品質で提供することができる。
【0039】
そして、二点接触形式のボールねじ1は、対向するそれぞれのナット3のボール4が2点接触であるから、3点もしくは4点接触である場合と比較すると、摩擦抵抗が小さくなる。そのため、予圧量に対する動トルクを小さくすることができるため、発熱量が少なくなる。したがって、予圧量を大きくすることが可能となり、高剛性のボールねじ1を実現することができる。
【0040】
また、発熱量が少ないために、ねじ軸2及びナット3の熱膨脹も少ないので、高精度な位置決めが可能である。さらにまた、ねじ軸2及びナット3のボール転動溝5、6の形状誤差の影響がトルク特性に出にくいため、ボール転動溝5、6の加工時間や、組み立て時間の低減にもつながる。
さらに、ゴシックアーク溝を形成する円弧の曲率半径を、ボール4の直径をDwとするとき、52%Dw以上60%Dw以下の範囲にしている。そのため、ボールねじを組立てて予圧を付加した状態でのボール4とボール転動溝5、6との接触角を45°にする条件を無理なく満たすことができる。したがって、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじ1をより好適に提供することができる。
【0041】
さらに、ボール4同士の間に、スペーサ8を介在させている。そのため、スペーサ8によってボール4同士の競り合いが抑制されるので、摩擦トルクの発生をさらに好適に抑えることができる。
以上説明した本発明のボールねじ1の各構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、全てのボール4同士の間にスペーサ8を配置しているが、本発明のボールねじ1は、スペーサ8が全てのボール4同士の間に配置されているものに限定されない。例えば、小球を挟む等の方法や、その他の保持器も使用可能である。
また、上記実施形態では、チューブ式の循環通路9を用いているが、これに限定されるものではなく、他の形式の循環通路を用いてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、予圧方法として、オフセットリード予圧を用いているが、これに限定されるものではなく、ボールねじ1の予圧方法としては、以下の方法も適用可能である。
例えば、シングルナットの中央付近のリードを予圧量だけ大きくして予圧を与えることができる。また、本実施形態ではナットを2個使用し、ナットの間の隙間よりも予圧量だけ厚い間座を入れているが、逆に、薄い間座を入れて予圧を与えることもできる。また、多条ねじにおいて、ねじ軸の条間とナットの条間とをずらして予圧を与えることもできる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじを安定した品質で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるボールねじの平断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における予圧付加部分の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態における軸方向隙間の説明図である。
【図4】図1におけるボールとスペーサ部分を説明する要部拡大図である。
【図5】予圧量と摩擦トルクとの関係を説明するグラフである。
【図6】軸方向隙間と予圧摩擦係数との関係を説明するグラフである。
【図7】組み付け後(予圧付加後)の接触角と初期接触角との関係を説明するグラフである。
【図8】定格荷重比率とボール転動溝を形成する円弧の曲率半径との関係を示すグラフである。
【図9】従来のボールねじにおける動トルク特性を測定した結果を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態におけるボールねじの動トルク特性を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・ボールねじ
2・・・ねじ軸
3・・・ナット
4・・・ボール
5・・・(ねじ軸の)ボール転動溝
6・・・(ナットの)ボール転動溝
7・・・軌道
8・・・スペーサ
9・・・循環通路
10・・・防塵用シール
21・・・切欠部
22・・・フランジ
31・・・第1ナット
32・・・第2ナット
33・・・間座
71・・・凹面
81・・・循環通路押え
Dw・・・ボール直径
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道とボールとの接触形式およびボール転動溝の形状、の関係に特徴を有するボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールねじには、ねじ軸のボール転動溝およびナットのボール転動溝として、サーキュラアーク溝またはゴシックアーク溝あるいはそれらの組み合わせが用いられている。また、軌道とボールとの接触形式としては、二点接触形式、三点接触形式、四点接触形式がある。通常、これらの接触形式は、ねじ軸のボール転動溝およびナットのボール転動溝の形状をサーキュラアーク溝またはゴシックアーク溝あるいはそれらの組み合わせとすることによって決められる。
【0003】
例えば、ゴシックアーク溝は、一般に、四点接触形式に採用している。ゴシックアーク溝による四点接触形式での長所のひとつは、先端に鋼球を用いた測定球がボール転動溝に安定するため、有効径の管理を精度良くできる。
一方、サーキュラアーク溝は、一般に、二点接触形式に採用されている(例えば、特許文献1参照。)。二点接触形式の長所のひとつは、予圧荷重を大きくした場合でも、摩擦による発熱や摩耗が四点接触形式に比べて少ないことがあげられる。二点接触形式では、例えば、ダブルナット方式のボールねじは、軸方向隙間をつくり、この軸方向隙間に予圧荷重を見込んだ幅を加えた(あるいは引いた)間座等を用いて、ナットとねじ軸とを軸方向へ相互に動かすことによって予圧を付加する。そのため、軸方向隙間を精度良く管理する必要がある。
なお、軸方向隙間とは、軌道とボールとの間に予圧を付加する前の状態におけるボールとボール転動溝とがつくるねじ軸の軸方向における隙間をいう。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−276765号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サーキュラアーク溝は、溝形状が単一な円弧から形成されている。そのため、ねじ軸およびナットのボール転動溝における有効径を測定するための測定球が、ボール転動溝に対して不安定になりやすい。したがって、軸方向隙間を安定して管理することが難しいという問題があった。
この発明は、このような問題点に着目してなされたもので、二点接触形式のボールねじにおいて、二点接触形式の特性を最大限に発揮しうる条件を備えたボールねじを、安定した品質で提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために、二点接触形式のボールねじにおいて、その特性を最大限に発揮しうる条件を見いだした。
すなわち、請求項1に係る発明は、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、ねじ軸のボール転動溝およびナットのボール転動溝が対向して形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えたボールねじにおいて、前記ねじ軸のボール転動溝および前記ナットのボール転動溝にゴシックアーク溝を採用し、前記軌道と前記ボールとの間に軸方向への予圧を付加する前の状態における前記軌道と前記ボールとがつくる前記ねじ軸の軸方向での隙間である軸方向隙間を、前記ボールの直径Dwの0.5%Dw以上5%Dw以下の範囲とし、前記ボールと前記軌道とに前記予圧をかけて、前記ボールを前記軌道に二点接触させたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に係る発明によれば、ゴシックアーク溝を採用している。そして、軸方向隙間をボールの直径Dwに対して0.5%Dw〜5%Dwの範囲として二点接触させている。
実験の結果から、軸方向隙間をボールの直径Dwに対して0.5%Dw〜5%Dwの範囲にして、ボールと軌道とに予圧をかけて二点接触させると、ゴシックアーク溝を採用しても摩擦トルクの発生を抑えることができることが判った。そのため、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじを好適に提供することができる。
【0008】
そして、ゴシックアーク溝は対向する二つの円弧から構成されているから、ねじ軸及びナットの有効径を測定するための測定球が溝形状に対して安定する。そのため、軸方向隙間を定量的に精度良く測定することができる。したがって、二点接触形式のボールねじを安定した品質で提供することができる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のボールねじであって、前記ゴシックアーク溝を形成する円弧の曲率半径は、前記ボールの直径Dwの52%Dw以上60%Dw以下の範囲であることを特徴としている。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、ゴシックアーク溝を形成する円弧の曲率半径を、ボールの直径をDwとするとき、52%Dw以上60%Dw以下の範囲にすると、ボールねじを組立てて予圧を付加した状態でのボールとボール転動溝との接触角として好適な接触角度(例えば、45°)にする条件を無理なく満たすことができる。そのため、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじをより好適に提供することができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1ないし2のいずれかに記載のボールねじであって、前記ボール同士の間に、スペーサを介在させたことを特徴としている。
請求項3に係る発明によれば、スペーサによってボール同士の競り合いが抑制されるので、摩擦トルクの発生をより安定して抑えることができる。そのため、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじをより好適に提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるボールねじ1の構成を、一部を断面にて示す平面図であり、同図では、ナットを、ナットの軸方向の中心を含む平面で破断して示している。また、図2は、ボールねじ1に予圧を付加している状態における、軌道とボールとの関係を説明する説明図である。
【0012】
図1に示すように、このボールねじ1は、螺旋状のボール転動溝5を外周面に有するねじ軸2と、ねじ軸2のボール転動溝5に対向する螺旋状のボール転動溝6を内周面に有し、ねじ軸2に螺合される円筒状のナット3と、ねじ軸2のボール転動溝5とナット3のボール転動溝6とで形成される軌道7に転動自在に装填された多数のボール4と、を備えている。そして、多数のボール4を介してねじ軸2に螺合されているナット3と、ねじ軸2とが、ボール4の転動を介して軸方向に相対移動するようになっている。
【0013】
ナット3の軸方向一端には、ナット3をテーブル等に固定するためのフランジ22が設けてある。このフランジ22とねじ軸2との間、および、ナット3の軸方向他端部とねじ軸2との間は、防塵用シール10で塞がれている。
ナット3の外周面には切欠部21が形成され、この切欠部21に略コ字状に屈曲したチューブからなる循環通路9が配置されている。この循環通路9は、循環通路押え81で切欠部21に固定されている。この循環通路9の両端は、ナット3を貫通して軌道7に至り、軌道7内を転動するボール4が循環通路9を通って循環するようになっている。
【0014】
そのため、ボール4は軌道7内を移動し、ねじ軸2の回りを複数回回ってから、軌道7の一端(循環通路9の端部と軌道7との交点)において循環通路9の一方の端部(開口部)から循環通路9内にすくい上げられ、すくい上げられたボール4は、循環通路9の中を通って、循環通路9の他方の端部(開口部)から軌道7の他端に戻される。なお、循環通路9は、第1ナット31及び第2ナット32にそれぞれ1個ずつ軸方向に並べて配設されており、合計2個が設けられている。
【0015】
このボールねじ1には、ゴシックアーク溝をボール転動溝5、6に採用している。すなわち、ボール転動溝5,6の断面形状は曲率中心の異なる2つの同一円弧を組合せた略V字状である。
また、ナット3には、ダブルナットタイプを使用し、予圧を付加している。詳しくは、ナット3は、軸方向に並べられた第1ナット31及び第2ナット32と、両ナット21、22の間に介在された間座33と、が一体となって構成されている。そして、間座33の介在によって、軌道7内のボール4には、同図に示す矢印方向に予圧が付与され、各ボール4はナット3のボール転動溝6の1点と、これに対向する位置のねじ軸2のボール転動溝5の1点と、の2点で接触している。該2点を結ぶ線に直角な方向においては、ボール4は両ボール転動溝5、6に接触していないか、あるいは接触していても予圧は付与されていない(図2参照)。すなわち、ボールねじ1は、予圧付加構造にオフセットリード予圧構造を採用し、予圧をかけることによって、ボール4と軌道7との接触を二点接触形式としているのである。
【0016】
ところで、ボールねじ1は、ボール4と軌道7との間に予圧をかける前のそれらの軸方向隙間Δを、ボール4の直径をDwとするとき、0.5%Dw以上5%Dw以下としている。また、ゴシックアーク溝の円弧の曲率半径を、ボール4の直径をDwとするとき、52%Dw以上60%Dw以下の範囲としている。
ここで、「軸方向隙間Δ」とは、図3に示すように、予圧付加前での、ボール4とボール転動溝5、6とのねじ軸2の軸方向における隙間である。具体的には、本発明における軸方向隙間Δは、下式にて定義している。
【0017】
軸方向隙間Δ=(δ1+δ4)×2
そして、この軸方向隙間Δと予圧荷重分の厚さαとを見込んだ幅の間座33を、2個のナット31、32同士の間に挿入し、これを組み立てることによって、ナット3のボール転動溝6の溝ピッチを、ねじ軸2のボール転動溝5の溝ピッチに対して、わずかにずらすことによって予圧を付加している。
【0018】
発明者は、この軸方向隙間Δの量を変化させて、その特性を調査したところ、上記の条件に設定することによって、ゴシックアーク溝を採用した二点接触形式のボールねじであっても、大きな予圧を付加することが可能となることを見いだした。すなわち、後述する実験結果が示すように、大きな予圧を付加しても、ボール4がボール転動溝5、6に接触した際に生じるボール4表面の摩擦や損傷を最小限に抑えることができる。したがって、高速、高負荷で使用可能なボールねじ1を提供できる。
【0019】
なお、本実施形態のボールねじ1は、図1の部分拡大図として示す図4のように、全てのボール4同士の間に、スペーサ8が配置されている。このスペーサ8には、例えば、特開2000−120825号公報に開示されているものを用いる。これは、円柱の両底面が凹面(ボール保持面)71になっている形状である。この円柱の直径はボール4の直径Dwよりも少し小さい。また、この凹面71は、同じ曲率半径の2つの球面を合わせた面形状となっており、その断面がゴシックアーク形状となっている。そして、この凹面71は、ボール4の半径が凹面71の半径より小さく、凹面71の半径同士の交差位置がボール4の中心位置となるように形成されている。そのため、このスペーサ8の凹面71とボール4は、線接触することができる。これにより、ボール4はスペーサ8の凹面71に極めて低摩擦で接触することができる。そのため、ボール4とスペーサ8のすべり抵抗を小さくすることができる。したがって、スペーサ8の循環性も良好となるとともに、ボール4同士のせりあいによる作動性の悪化やボール4の摩擦や損傷を著しく低減することができる。
【0020】
以下、上述のボールねじ1に対して行った試験について説明する。
まず、図1のボールねじ1として、呼び番号「32×05×700−C3」(ねじ軸2の直径:32mm、リード:5mm、ボール4の基準直径:3.175mm(1/8インチ)、回路数:2.5巻1列×2、予圧構造:オフセットリード予圧)を用意した。
【0021】
試験体には、ボールねじ1のボール4と軌道7との軸方向隙間Δを、ボール4の直径Dwに対して0.5%Dw〜5%Dwの範囲から5種類設定した。具体的には、軸方向隙間Δが、0、0.25%Dw、0.5%Dw、1.5%Dw、3%Dwの5種類を準備した。
なお、予圧状態での各試験体の接触角は45°に設定した。
【0022】
試験は、予圧荷重をほぼ0の状態から、ボール直径Dwを徐々に大きくすることによって、予圧荷重を変化させて、予圧量と摩擦トルクとの関係を調べた。
また、試験は、下記の条件で行った。
試験機:日本精工株式会社製ボールねじトルク測定試験機
予圧荷重:0Nから徐々に増加
試験回転数:100rpm
ストローク:500mm
潤滑油:ISO VG#68
循環通路の向き:下
【0023】
図5は、上記5種類のボールねじ1試験体のそれぞれについて、予圧量と摩擦トルクとの関係を測定した結果である。
同図から判るように、軸方向隙間Δを0.5%Dw以上に設定した場合には、摩擦トルクが増加する割合は小さい。つまり、軸方向隙間Δを0.5Dw以上としたボールねじ1では、予圧量を大きくしてナット剛性を上げても、摩擦トルクの上昇や発熱が少ないことが判る。
ただし、過大な予圧荷重は、ボール4や、ねじ軸2およびナット3のボール転動溝5、6の寿命に影響を及ぼす。そのため、接触部の面圧を管理する必要がある。
ここで予圧動トルクは一般に下式で表わされる。
【0024】
【数1】
【0025】
また、一般に予圧摩擦係数Kは下式で表わされる。
【0026】
【数2】
【0027】
ただし、Fao:予圧荷重
L:リード
K:予圧摩擦係数
β:リード角
本試験に用いた各ボールねじ1の試験片に対して、上式から、予圧摩擦係数Kを求めた結果を図6に示す。
【0028】
同図から、予圧摩擦係数Kは、軸方向隙間Δが0.5%Dwを超えると急激に減少していることが判る。したがって、この予圧摩擦係数Kが小さい範囲でボールねじ1を使用すれば、発熱などの少ないボールねじを実現することができる。以上の考察から、ゴシックアーク溝を採用し、予圧を付加することによって二点接触形式とした場合、軸方向隙間Δを0.5%Dw以上に設定すれば、ボール4がボール転動溝5、6(軌道7)に接触した際に生じる摩擦トルクを効果的に抑えることが可能なことが判る。
【0029】
ところで、大きな軸方向隙間Δをずらして予圧を付加すると、設計上の接触角より、実際の組み立て(予圧付加後)状態での接触角が大きくなってしまう。そのため、組み立て(予圧付加後)状態で、所定の接触角にするためには、初期(予圧付加前)接触角を小さくしておく必要がある。なお、組み立て(予圧付加後)状態での接触角としては、40〜50°の範囲がボールねじの剛性、定格荷重等の点で望ましい。ゴシックアーク溝形状は、ボール転動溝とボールとの接触角が大きくとれることが特徴であり、通常、ボールとねじ軸側のボール転動溝との接触角と、ボールとナット側のボール転動溝との接触角は、それぞれ45°になっている。
【0030】
図7に、組み立て(予圧付加後)状態で、それぞれの接触角を45°とするための、初期接触角と軸方向隙間Δとの関係を示す。
同図から、初期接触角の下限値としては、52%Dw以上が望ましいことが判る。なぜならば、ボール転動溝には研磨逃げがある。そのため、研摩逃げとの干渉を避けるためには、初期接触角が少なくとも25°以上あることが必要である(図3参照)。また、ねじ軸2のボール転動溝5の有効径及びナット3のボール転動溝6の有効径は正確に測定する必要がある。すなわち、測定球を安定させるためには、初期接触角が、少なくとも25°以上あることが望ましい。しかし、上述の考察から軸方向隙間Δを0.5%Dw以上とすることが同時に要求される。そのため、上記軸方向隙間Δを実現するためのボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径を、52%Dw以上とすれば、初期接触角を少なくとも25°以上確保できるのである。
【0031】
次に、初期接触角の上限値としては、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径を、60%Dw以下とすることが望ましい。なぜならば、図7から判るように、組み立て(予圧付加後)状態での接触角を45°とするためには、曲率半径が大きくなるほど、そのグラフが寝てしまう。すなわち、軸方向隙間Δを変化させても初期接触角はそれほど変化しないことになる。そのため、所望の予圧荷重を付加するための軸方向隙間Δの管理が困難となる。また、曲率半径が、60%Dwを超えてしまうと、ボールねじの剛性や定格荷重が下がってしまう。そのため、ボールねじとしての性能が低下してしまうことにもなる。したがって、曲率半径を60%Dw以下とすれば、予圧荷重の管理が容易となり、ボールねじとしての性能も良い。
【0032】
図8は、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径54%Dwを基準とした定格荷重比率とボール転動溝を形成する円弧の曲率半径との関係を示すグラフである。上記のボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径の範囲は、通常のボールねじの使用範囲における定格荷重の実用範囲を考慮している。その判断としては、図8のグラフを参考として定格荷重の減少を30%減を目安として設定したものである。ただし、摩擦の低減だけを考えれば、例えばボールねじの寿命、剛性を犠牲にしてでもボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径を大きく(60%Dwを超えて)設定することも考えられる。しかし、通常のボールねじの使用範囲における剛性や定格荷重の実用範囲から考慮すれば、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径は、52%Dw以上60%Dw以下の範囲とすることが望ましいのである。
【0033】
以上の考察から、ボール転動溝5、6の断面形状における円弧の曲率半径は、52%Dw以上60%Dw以下の範囲とすることが好ましい。また、図7から、先の考察における軸方向隙間Δの上限値を、5%Dw以下とすれば、初期接触角を少なくとも25°以上確保できることが判る。そのため、軸方向隙間Δは、0.5%Dw〜5%Dwの範囲とすることが望ましい。
【0034】
次に、比較のために、オーバーサイズボール予圧によるボールねじでの予圧動トルクを測定した。オーバーサイズボール予圧によるボールねじにおける予圧動トルクの測定条件およびボールねじ1の使用条件は、下記の条件で行った。なお、この条件は、ボールのつまり現象が起きやすい条件として設定した。
オーバーサイズ予圧によるボールねじとして、呼び番号「32×05×700−C3」(ねじ軸2の直径:32mm、リード:5mm、ボール4の基準直径:3.175mm(1/8インチ)、回路数:2.5巻1列×2、予圧構造:オーバーサイズボール予圧)を用意した。
【0035】
また、試験は、下記の条件で行った。
試験機:日本精工株式会社製ボールねじトルク測定試験機
予圧動トルクねらい値:10N・cm
試験回転数:10rpm
ストローク:500mm
潤滑油:ISO VG#68
循環通路の向き:下
図9は、オーバーサイズボール予圧によるボールねじでの予圧動トルクを測定した結果である。また、図10は本発明に係るボールねじ1による予圧動トルクを測定した結果である。
【0036】
図9、図10を比較した結果から判るように、本発明に係るボールねじ1は、オーバーサイズボール予圧によるボールねじと比べて動トルクの変動が極めて少なく、優れた特性を持つことが判る。
また、予圧摩擦係数Kが小さいため、ねじ軸2ないしナット3のボール転動溝5、6の有効径に変動があっても、その影響がトルク変動として出にくい。
【0037】
以上説明したように、このボールねじ1によれば、ゴシックアーク溝を採用して二点接触形式としている。そして、軸方向隙間Δをボール4の直径をDwとしたとき、0.5%Dw以上5%Dw以下の範囲にしている。そのため、上述の実験結果が示すように、ゴシックアーク溝を採用して二点接触形式を構成しても、ボール4がボール転動溝5、6に接触した際に生じる摩擦トルクの発生を好適に抑えることができる。
【0038】
そして、ゴシックアーク溝は対向する二つの円弧から構成されているから、ねじ軸2及びナット3でのボール転動溝5、6の有効径を測定するための測定球がボール転動溝の形状に対して安定する。そのため、軸方向隙間Δを定量的に精度良く測定し、管理することができる。したがって、二点接触形式のボールねじ1を安定した品質で提供することができる。
【0039】
そして、二点接触形式のボールねじ1は、対向するそれぞれのナット3のボール4が2点接触であるから、3点もしくは4点接触である場合と比較すると、摩擦抵抗が小さくなる。そのため、予圧量に対する動トルクを小さくすることができるため、発熱量が少なくなる。したがって、予圧量を大きくすることが可能となり、高剛性のボールねじ1を実現することができる。
【0040】
また、発熱量が少ないために、ねじ軸2及びナット3の熱膨脹も少ないので、高精度な位置決めが可能である。さらにまた、ねじ軸2及びナット3のボール転動溝5、6の形状誤差の影響がトルク特性に出にくいため、ボール転動溝5、6の加工時間や、組み立て時間の低減にもつながる。
さらに、ゴシックアーク溝を形成する円弧の曲率半径を、ボール4の直径をDwとするとき、52%Dw以上60%Dw以下の範囲にしている。そのため、ボールねじを組立てて予圧を付加した状態でのボール4とボール転動溝5、6との接触角を45°にする条件を無理なく満たすことができる。したがって、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじ1をより好適に提供することができる。
【0041】
さらに、ボール4同士の間に、スペーサ8を介在させている。そのため、スペーサ8によってボール4同士の競り合いが抑制されるので、摩擦トルクの発生をさらに好適に抑えることができる。
以上説明した本発明のボールねじ1の各構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、全てのボール4同士の間にスペーサ8を配置しているが、本発明のボールねじ1は、スペーサ8が全てのボール4同士の間に配置されているものに限定されない。例えば、小球を挟む等の方法や、その他の保持器も使用可能である。
また、上記実施形態では、チューブ式の循環通路9を用いているが、これに限定されるものではなく、他の形式の循環通路を用いてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、予圧方法として、オフセットリード予圧を用いているが、これに限定されるものではなく、ボールねじ1の予圧方法としては、以下の方法も適用可能である。
例えば、シングルナットの中央付近のリードを予圧量だけ大きくして予圧を与えることができる。また、本実施形態ではナットを2個使用し、ナットの間の隙間よりも予圧量だけ厚い間座を入れているが、逆に、薄い間座を入れて予圧を与えることもできる。また、多条ねじにおいて、ねじ軸の条間とナットの条間とをずらして予圧を与えることもできる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴシックアーク溝による二点接触形式のボールねじを安定した品質で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるボールねじの平断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における予圧付加部分の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態における軸方向隙間の説明図である。
【図4】図1におけるボールとスペーサ部分を説明する要部拡大図である。
【図5】予圧量と摩擦トルクとの関係を説明するグラフである。
【図6】軸方向隙間と予圧摩擦係数との関係を説明するグラフである。
【図7】組み付け後(予圧付加後)の接触角と初期接触角との関係を説明するグラフである。
【図8】定格荷重比率とボール転動溝を形成する円弧の曲率半径との関係を示すグラフである。
【図9】従来のボールねじにおける動トルク特性を測定した結果を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態におけるボールねじの動トルク特性を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・ボールねじ
2・・・ねじ軸
3・・・ナット
4・・・ボール
5・・・(ねじ軸の)ボール転動溝
6・・・(ナットの)ボール転動溝
7・・・軌道
8・・・スペーサ
9・・・循環通路
10・・・防塵用シール
21・・・切欠部
22・・・フランジ
31・・・第1ナット
32・・・第2ナット
33・・・間座
71・・・凹面
81・・・循環通路押え
Dw・・・ボール直径
Claims (3)
- 外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、ねじ軸のボール転動溝およびナットのボール転動溝が対向して形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えたボールねじにおいて、
前記ねじ軸のボール転動溝および前記ナットのボール転動溝にゴシックアーク溝を採用し、
前記軌道と前記ボールとの間に軸方向への予圧を付加する前の状態における前記軌道と前記ボールとがつくる前記ねじ軸の軸方向での隙間である軸方向隙間を、前記ボールの直径Dwの0.5%Dw以上5%Dw以下の範囲とし、
前記ボールと前記軌道とに前記予圧をかけて、前記ボールを前記軌道に二点接触させたことを特徴とするボールねじ。 - 前記ゴシックアーク溝を形成する円弧の曲率半径は、前記ボールの直径Dwの52%Dw以上60%Dw以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。
- 前記ボール同士の間に、スペーサを介在させたことを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載のボールねじ。
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