JP2004257427A - ボールねじ - Google Patents
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Abstract
【課題】ボール循環チューブを組み立てる際に、ねじ締め作業を必要としないボールねじを提供する。
【解決手段】外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸(1)と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナット(2)と、前記ねじ軸(1)のボール転動溝および前記ナット(2)のボール転動溝が対向して形成される軌道(6)内に配置された複数のボール(3)と、前記軌道の一端部から前記ボール(3)を掬い上げ前記軌道の他端部に前記ボール(3)を戻すボール循環チューブ(4)と、前記ナット(2)に設けられて前記ボール循環チューブ(4)を嵌め込む取付け溝(7)と、を備えたボールねじにおいて、前記取付け溝(7)は、当該取付け溝(7)に挿入される前記ボール循環チューブ(4)の抜け方向への移動を抑える掛止部(21)を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸(1)と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナット(2)と、前記ねじ軸(1)のボール転動溝および前記ナット(2)のボール転動溝が対向して形成される軌道(6)内に配置された複数のボール(3)と、前記軌道の一端部から前記ボール(3)を掬い上げ前記軌道の他端部に前記ボール(3)を戻すボール循環チューブ(4)と、前記ナット(2)に設けられて前記ボール循環チューブ(4)を嵌め込む取付け溝(7)と、を備えたボールねじにおいて、前記取付け溝(7)は、当該取付け溝(7)に挿入される前記ボール循環チューブ(4)の抜け方向への移動を抑える掛止部(21)を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はボールねじに係り、特に、ボール循環チューブのナットへの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールねじには、ボールを循環させる方式として外部循環方式がある。
これは、図10に示すように、ねじ軸1に多数のボール3を介して螺合されたナット200の外面に、ボール循環チューブ400を露出して配設し、ボール3をナット200の外部に導き循環させる構造である。外部循環方式のボールねじでは、通常、ボール循環チューブ400をナット200の外面に固定するために、チューブ押さえ150が用いられる。
【0003】
一方、ナット200の外面には、ボール循環チューブ400およびチューブ押さえ150の据え付け面80がフライス加工で形成されている。そして、その据え付け面80には、ボール循環チューブ400の端部を挿入するチューブ挿入孔9の他にチューブ押さえ150を取り付けるために、ねじ穴110がタップ加工されている。
【0004】
なお、従来の技術には、チューブ押さえとボール循環チューブとを一体成形し、部品点数を少なくして組み立ての合理化を行っているものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−89650号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のボールねじでは、ナット200にねじ穴110のタップ加工を行う必要がある。
また、ボール循環チューブ400の組み付けに際しては、ねじ通し孔100に取付けねじ120を通し、ねじ穴110に締め付ける作業が必要であり、組み立て工数がかかるという問題点がある。
この発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ボール循環チューブの取付けに際し、据え付け面のタップ加工を省くと共に、ねじ締め作業を必要としないボールねじを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、前記ねじ軸のボール転動溝および前記ナットのボール転動溝が対向して形成される軌道内に配置された複数のボールと、前記軌道の一端部から前記ボールを掬い上げ前記軌道の他端部に前記ボールを戻すボール循環チューブと、前記ナットに設けられて前記ボール循環チューブを嵌め込む取付け溝と、を備えたボールねじにおいて、前記取付け溝は、当該取付け溝に挿入される前記ボール循環チューブの抜け方向への移動を抑える掛止部を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、取付け溝の掛止部によってボール循環チューブの抜けを防止することができる。そのため、ナット据え付け面のタップ加工を省くと共に、ねじ締め作業を必要としない。
なお、「掛止部」としては、種々の形状が考えられるが、例えば、ボール循環チューブの径に対し、取付け溝の幅を一部分狭くすることによって実現することができるし、また、取付け溝を形成する対向する二面全体の幅を僅かに狭くしてもよい。さらにまた、取付け溝を形成する対向する二面全体を取付け溝の開口側が縮径するように僅かに傾けて形成することによっても実現できる。あるいはまた、取付け溝を形成する対向する二面にさらに溝を加工し、その溝にボール循環チューブを嵌め込ませるようにしてもよい。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のボールねじにおいて、前記ボール循環チューブに、前記掛止部と少なくとも一部が前記抜け方向で対向する係止部を設け、前記係止部と前記掛止部とを当接させて前記抜け方向への移動を抑えることを特徴としている。
請求項2に係る発明によれば、ボール循環チューブをナットに固定する際に、ボール循環チューブの係止部をナットの掛止部に対して当接させることによって、ボール循環チューブの抜け方向への移動を抑えている。そのため、ボール循環チューブをナットに固定保持する位置が安定する。
【0010】
なお、係止部または掛止部にばね性を付与し、その弾性領域内で狭めるようにして、係止部と掛止部とを当接させれば、係止部と掛止部との当接部は緩むことがなく、ボール循環チューブをナットに固定保持する位置をより安定させることができる。
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のボールねじにおいて、前記係止部および前記掛止部を、互いに嵌まり合う1または2以上の突起および溝の組み合わせで構成したことを特徴としている。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、係止部と掛止部とを嵌合させると、くさびの作用が生じる。そのため、そのくさびの作用によって、ボール循環チューブをナットに固定保持する能力がより一層向上する。
ここで、くさびの作用とは、互いに嵌まり合う突起ないし溝形状を相互に有する部材を嵌合させるとき、嵌合方向の小さな力に対して、垂直方向に生じる大きな力によって強固な嵌合状態を得ることをいう。
【0012】
なお、この請求項3に係る発明における「互いに嵌まり合う1または2以上の突起および溝」としては、種々の形状が考えられるが、例えば、ボール循環チューブの係止部をその長手方向に連続した細長い突起(あるいは、溝)と、その突起(あるいは、溝)と嵌り合う位置に対応させて長手方向に連続した溝(あるいは、細長い突起)を掛止部の内側面に形成することにより実現することができる。あるいはまた、ボール循環チューブの係止部を水平方向に部分的に突起および溝によって形成し、その突起および溝と嵌り合う溝および突起を掛止部の係止部当接位置に対応させて形成するということで実現することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、従来と同一または相当部分には同一符号を付してある。
図1は、本発明の第一の実施形態での要部平面図、図2のうち図2(a)は、図1でのボール循環チューブとナットの要部断面(X−X)図、図2(b)は、ボール循環チューブの平面図、図2(c)は、ボール循環チューブの側面図、また、図3は、本発明の第一の実施形態に係るボールねじの説明図であり、同図では、ナット2の軸線を含む面で切断した状態で示している。
【0014】
図3に示すように、このボールねじは、ねじ軸1と、ナット2と、ボール3と、ボール循環チューブ4とから主に構成されている。
ねじ軸1は、断面円弧状のボールねじ溝1aを外面に有している。ねじ軸1に外嵌するナット2は、ねじ軸1のボールねじ溝1aに対応するボールねじ溝2aを内面に有するほぼ円筒状の部材で、一端側の外周に取付けフランジ10が形成されている。
【0015】
そして、ナット2の内孔に挿通されたねじ軸1のボールねじ溝1aおよびこれに対向するナット2のボールねじ溝2aで形成された螺旋状の軌道6と、ナット2に取り付けたU字形のボール循環チューブ4からなるボール循環路5とに、多数のボール3が転動自在に充填配置されている。
このボール3は、ナット2とねじ軸1の相対螺旋運動により、ボールねじ溝1a,2aに沿って転動し、ボール循環チューブ4の一方の端部4aにより掬い上げられてボール循環チューブ4内に入り、そのチューブ内を通って複数条のボールねじ溝1a,2aを跨いだ後に、反対側端より再びボールねじ溝1a,2aの間に入るという循環を繰り返す。また、ナット2とねじ軸1の相対螺旋運動の方向が変われば、上記ボール3の循環方向が逆になって同様に循環を繰り返す。これにより、ナット2とねじ軸1の任意の方向の相対螺旋運動がボール3の循環転動を介してガタなく円滑に行なわれる。
【0016】
図1、2に示すように、ナット2には、ボール循環チューブ4を挿入するための取付け溝7がエンドミル加工でナット2の外周面に形成されている。この際、ボール循環チューブ4を当接させる据え付け面8も同時に加工される。据え付け面8には、ほぼU字形のボール循環チューブ4の両端がそれぞれ差し込まれる対をなすチューブ挿入孔9が二箇所開口し、ナット2の肉厚を貫通してナット2内面のボールねじ溝2aに連通している。そして、各対における二箇所のチューブ挿入孔9の開口を結ぶようにして、ナット2の軸方向に対し、傾斜させたチューブ当て溝(図示せず)が、据え付け面8に対してエンドミル加工で形成されている。
【0017】
図1に示すように、ナット2の取付け溝7には、ボール循環チューブ4の抜け方向への移動を抑える掛止部21が形成されている。掛止部21は、ボール循環チューブ4を径方向両側から挟み込む位置に、取付け溝7(据え付け面8)の長手方向ほぼ全長にわたり、エンドミルで加工されている。そして、図2に示すように、この掛止部21の横断面形状は、V字状の溝形状である。すなわち、後述するボール循環チューブ4の長手方向中央部の両側端に形成される係止部11と、くさびの作用をもって嵌合するように、相対する鋭角をもったV字状の溝が連続して形成されている。
【0018】
一方、図1、2に示すように、ボール循環チューブ4は、U字形をしたパイプ形状の略中央部の対称面から長手方向に二分割されている。二分割されたボール循環チューブ4それぞれは、ばね性を有した金属板からプレス加工によって成形されている。そして、それぞれの両側部に、ボール循環チューブ4自身を固定するために、上述の掛止部21に相対して嵌合する幅と、形状からなる係止部11を有する。
【0019】
詳しくは、係止部11の横断面形状は、相対する掛止部21の溝形状に嵌合するように半円弧状をした突起から形成されている。そして、その突起形状は、ボール循環チューブ4の長手方向に所定の長さ連続して並行に加工されている。この突起からなる係止部11が、V字状の溝からなる掛止部21に対して嵌入されることによって、くさびの作用が生じる。
【0020】
次に、ナット2へのボール循環チューブ4の取り付け方法を説明する。
まず、二分割されたボール循環チューブ4を一対にして、U字形をしたボール循環チューブ4両端部をナット2のチューブ挿入孔9各対にそれぞれ嵌挿させるとともに取付け溝7にボール循環チューブ4を挿入する。このとき、ボール循環チューブ4の半円弧状をした突起である係止部11のばね性を利用して、その弾性領域内で狭めるようにして、ナット2の外周方向から据え付け面8へ向かって押し込むことによって、ボール循環チューブ4の係止部11をナット2の掛止部21に嵌め込む。そのため、ボール循環チューブ4のばね性によって、係止部11と掛止部21との当接部は緩むことがなく、しっかり嵌り込む。
【0021】
また、係止部11と掛止部21とは、それらの横断面形状が、長手方向に連続した細長い突起形状と、それに相対するV字状の溝とが嵌合し、且つ、ボール循環チューブ4自身のばね性によって、くさびの作用が生じて食い付く。そのため、ボール循環チューブ4をナット2の取付け溝7にしっかり固定することができる。
【0022】
以上説明したように、本発明に係るボールねじによれば、ボール循環チューブ4を、殆どワンタッチでナット2に固定できる。そのため、従来必要とされたボール循環チューブ4を取付けるためのタップ加工を省くことができる。したがって、組み立て時のねじ締め作業等を必要としない、簡単な構造で生産性の高いボールねじを提供できる。また、本発明に係るボール循環チューブ4の形成もプレス加工で容易にできる。そして、ボール循環チューブ4の据え付け面8等の加工も簡単である。また、チューブ押さえそのものを必要としない。そのため、加工時間、加工コストが低減可能であり、量産にも適している。
【0023】
図4に、本発明の第二の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Bの掛止部22の形状が、上記第一の実施形態のものと異なっている。すなわち、同図に示すように、この第二の実施形態では、掛止部22の溝形状が、据え付け面8の側に向けて連続した面として形成されている。
【0024】
この第二の実施形態によれば、係止部11と、掛止部22と、ボール循環チューブ4が据え付け面8に当接する当接部8aとの三点支持によってボール循環チューブ4を固定することができる。そのため、掛止部22の横断面形状を簡単にすることができるので、上記第一の実施形態より掛止部22の加工が容易になるという利点がある。しかし、ボール循環チューブ4の位置ずれを防止する能力の点からは、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第二の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0025】
図5に、本発明の第三の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Cの掛止部23の形状が、上記第一の実施形態のものと異なっている。すなわち、同図に示すように、この第三の実施形態では、掛止部23の溝形状は、第一の実施形態のものとほぼ同様だが、ボール循環チューブ4を挿入する側であるナット2C径方向の外周側から掛止部23溝形状に向けて取付け溝7の開口側が広い勾配23aを形成している。
【0026】
この第三の実施形態によれば、ボール循環チューブ4を挿入する開口側が広いので、ボール循環チューブ4の挿入が容易である。そのため、組み付け性が向上する。しかし、掛止部21の加工性の点では、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第三の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0027】
図6に、本発明の第四の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Dの掛止部24の形状が、上記第一の実施形態のものと異なっている。同図に示すように、この第四の実施形態では、上記第二の実施形態と上記第三の実施形態とを組み合わせた掛止部24を備えている。すなわち、掛止部24の溝形状が、据え付け面8の側に向けて連続した面として形成され、且つ、ナット2D径方向の外周側から掛止部24の溝形状に向けて取付け溝7の開口側が広い勾配24aを形成している。
【0028】
そのため、この第四の実施形態によれば、上記第二の実施形態と上記第三の実施形態とがもつ効果が得られる。なお、この第四の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
図7に、本発明の第五の実施形態を示す。なお、図7のうち図7(a)は、ボール循環チューブとナットの要部断面図、図7(b)は、ボール循環チューブの平面図、図7(c)はボール循環チューブの側面図、図7(d)は、ボール循環チューブの断面(Z−Z)図である。
【0029】
この実施形態では、ナット2Eの掛止部25と、この掛止部25に嵌まり込むボール循環チューブ4B両端の係止部12の形状とが、上記第一の実施形態のものと異なっている。すなわち、この第五の実施形態では、同図に示すように、掛止部25は、ボール循環チューブ4Bの側に向けた突起を備えている。そして、ボール循環チューブ4B両端の係止部12の形状は、掛止部25の形状と嵌り合う溝として形成されている。
【0030】
この第五の実施形態によれば、係止部12と、掛止部25とは、相対する溝と突起によって嵌合する。そのため、ボール循環チューブ4Bの位置ずれを防止することができる。なお、この第五の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
図8に、本発明の第六の実施形態を示す。
【0031】
この実施形態では、ナット2Fの掛止部26と、この掛止部26に嵌まり込むボール循環チューブ400とが、上記第一の実施形態のものと異なっている。同図に示すように、この第六の実施形態では、ボール循環チューブに、通常使用されている従来のボール循環チューブ400を使用している。すなわち、この実施形態では、ボール循環チューブ400の外径形状に対して係合関係を構成する位置に掛止部26の段部26aを形成し、ボール循環チューブ400の外径形状自体を係止部として使用している。
【0032】
詳しくは、取付け溝7の開口部の二面幅W1をボール循環チューブ400の外径よりわずかに狭く形成する。そして、掛止部26の溝形状を、据え付け面8の側に向けて連続した面として形成する。このとき、掛止部26の連続した面の二面幅W2はボール循環チューブ400の外径より広く形成する。また、段部26aのナット2F径方向の高さHはボール循環チューブ400のチューブ外径D1の1/2よりも高い位置に形成する。
【0033】
以上の形状を備えた第六の実施形態では、ボール循環チューブ400をナットの掛止部26に押し込んで、段部26aに対してボール循環チューブ400の外周を直接、嵌め付けることができる。したがって、この第六の実施形態によれば、従来のボール循環チューブ400をそのまま使用できるため、加工時間、加工コストが低減可能ある。しかし、ボール循環チューブ4の位置ずれを防止する能力の点からは、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第六の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0034】
図9に、本発明の第七の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Gの掛止部27と、この掛止部27に嵌まり込むボール循環チューブ400とが、上記第一の実施形態のものと異なっている。同図に示すように、この第七の実施形態では、第六の実施形態と同様に、ボール循環チューブに、通常使用されている従来のボール循環チューブ400を使用している。そして、ボール循環チューブ400が嵌り込むナット2Gの掛止部27は、据え付け面8を形成する結果として形成される取付け溝7をそのまま使用している。すなわち、この実施形態では、据え付け面8を形成する結果として形成される取付け溝7の対向する二面幅W3を、ボール循環チューブ400の外径形状に対して係合関係を構成するように、しまり嵌めとなる寸法に管理している。詳しくは、掛止部27としての取付け溝7の開口部の二面幅W3をボール循環チューブ400のチューブ外径D1よりわずかに狭く形成する。
【0035】
以上の形状を備えた第七の実施形態では、ボール循環チューブ400をナットの掛止部27に押し込んで、ボール循環チューブ400の外周を直接、嵌め付けることができる。したがって、この第七の実施形態によれば、従来のボール循環チューブ400をそのまま使用できる。さらに、掛止部27は、据え付け面8を形成する結果として形成される取付け溝7をそのまま使用している。そのため、加工時間、加工コストをより低減可能である。しかし、ボール循環チューブ4の位置ずれを防止する能力の点からは、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第七の実施形態では、ボール循環チューブ400をそのまま使用しているが、しまり嵌めによる弾性変形がボール循環チューブの内径に影響する場合には、その変形量を考慮し、例えば断面を楕円形状としたボール循環チューブを使用してもよい。また、掛止部27の二面幅W3は、並行としているが、開口部側を縮径させて加工すれば位置ずれを防止する能力を向上させることもできる。なお、この第七の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0036】
なお、上記各実施形態は、相互に組み合わせが可能である。例えば、第六の実施形態に第三の実施形態の掛止部の勾配形状を採用することもできる。
また、上記各実施形態では、ボール循環チューブ4を二分割し、ばね性を有する金属板から形成しているが、二分割せずに金属パイプから成形してもよい。また、プラスチック成形によるばね性を有するパイプとしても良い。
【0037】
また、上記各実施形態では、ボール循環チューブ4を据え付け面8に当接させているが、係止部と掛止部との嵌合によってボール循環チューブ4の抜け方向への移動をしっかり抑えれば、ボール循環チューブ4を据え付け面8にかならずしも当接させないで固定してもよい。
また、上記各実施形態では、ボール循環チューブ4全体を取付け溝7に挿入しているが、これに限定されるものではなく、ボール循環チューブ4の一部を取付け溝7に挿入するように構成してもよい。例えば取付け溝7の深さをボール循環チューブ4の径の5/8と浅く形成し、取付け溝7の開口側の両端部に掛止部を設け、ボール循環チューブ4の抜け方向への移動を掛止部によって抑えるようにして固定することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、このボールねじによれば、ボール循環チューブ取り付け用としての据え付け面のタップ加工を省くとともに、ねじ締め作業を必要としないボールねじを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における要部の平面図である。
【図2】図1のボール循環チューブ及びナットの要部の断面図である。
【図3】本発明のボールねじの一部破断説明図である。
【図4】本発明の第二の実施形態の要部の部分断面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態の要部の部分断面図である。
【図6】本発明の第四の実施形態の要部の部分断面図である。
【図7】本発明の第五の実施形態の要部の部分断面図である。
【図8】本発明の第六の実施形態の要部の部分断面図である。
【図9】本発明の第七の実施形態の要部の部分断面図である。
【図10】従来のボールねじを説明する一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1 ねじ軸
2、2B、2C、2D、2E、2F、2G、200 ナット
3 ボール
4、4B、400 ボール循環チューブ
5 ボール循環路
6 軌道
7 取付け溝
8 据え付け面
9 チューブ挿入孔
10 フランジ
11、12 係止部
21、22、23、24、25、26、27 掛止部
100 ねじ通し孔
110 ねじ穴
120 ねじ
150 チューブ押さえ
【発明の属する技術分野】
この発明はボールねじに係り、特に、ボール循環チューブのナットへの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールねじには、ボールを循環させる方式として外部循環方式がある。
これは、図10に示すように、ねじ軸1に多数のボール3を介して螺合されたナット200の外面に、ボール循環チューブ400を露出して配設し、ボール3をナット200の外部に導き循環させる構造である。外部循環方式のボールねじでは、通常、ボール循環チューブ400をナット200の外面に固定するために、チューブ押さえ150が用いられる。
【0003】
一方、ナット200の外面には、ボール循環チューブ400およびチューブ押さえ150の据え付け面80がフライス加工で形成されている。そして、その据え付け面80には、ボール循環チューブ400の端部を挿入するチューブ挿入孔9の他にチューブ押さえ150を取り付けるために、ねじ穴110がタップ加工されている。
【0004】
なお、従来の技術には、チューブ押さえとボール循環チューブとを一体成形し、部品点数を少なくして組み立ての合理化を行っているものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−89650号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のボールねじでは、ナット200にねじ穴110のタップ加工を行う必要がある。
また、ボール循環チューブ400の組み付けに際しては、ねじ通し孔100に取付けねじ120を通し、ねじ穴110に締め付ける作業が必要であり、組み立て工数がかかるという問題点がある。
この発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ボール循環チューブの取付けに際し、据え付け面のタップ加工を省くと共に、ねじ締め作業を必要としないボールねじを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、前記ねじ軸のボール転動溝および前記ナットのボール転動溝が対向して形成される軌道内に配置された複数のボールと、前記軌道の一端部から前記ボールを掬い上げ前記軌道の他端部に前記ボールを戻すボール循環チューブと、前記ナットに設けられて前記ボール循環チューブを嵌め込む取付け溝と、を備えたボールねじにおいて、前記取付け溝は、当該取付け溝に挿入される前記ボール循環チューブの抜け方向への移動を抑える掛止部を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、取付け溝の掛止部によってボール循環チューブの抜けを防止することができる。そのため、ナット据え付け面のタップ加工を省くと共に、ねじ締め作業を必要としない。
なお、「掛止部」としては、種々の形状が考えられるが、例えば、ボール循環チューブの径に対し、取付け溝の幅を一部分狭くすることによって実現することができるし、また、取付け溝を形成する対向する二面全体の幅を僅かに狭くしてもよい。さらにまた、取付け溝を形成する対向する二面全体を取付け溝の開口側が縮径するように僅かに傾けて形成することによっても実現できる。あるいはまた、取付け溝を形成する対向する二面にさらに溝を加工し、その溝にボール循環チューブを嵌め込ませるようにしてもよい。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のボールねじにおいて、前記ボール循環チューブに、前記掛止部と少なくとも一部が前記抜け方向で対向する係止部を設け、前記係止部と前記掛止部とを当接させて前記抜け方向への移動を抑えることを特徴としている。
請求項2に係る発明によれば、ボール循環チューブをナットに固定する際に、ボール循環チューブの係止部をナットの掛止部に対して当接させることによって、ボール循環チューブの抜け方向への移動を抑えている。そのため、ボール循環チューブをナットに固定保持する位置が安定する。
【0010】
なお、係止部または掛止部にばね性を付与し、その弾性領域内で狭めるようにして、係止部と掛止部とを当接させれば、係止部と掛止部との当接部は緩むことがなく、ボール循環チューブをナットに固定保持する位置をより安定させることができる。
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のボールねじにおいて、前記係止部および前記掛止部を、互いに嵌まり合う1または2以上の突起および溝の組み合わせで構成したことを特徴としている。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、係止部と掛止部とを嵌合させると、くさびの作用が生じる。そのため、そのくさびの作用によって、ボール循環チューブをナットに固定保持する能力がより一層向上する。
ここで、くさびの作用とは、互いに嵌まり合う突起ないし溝形状を相互に有する部材を嵌合させるとき、嵌合方向の小さな力に対して、垂直方向に生じる大きな力によって強固な嵌合状態を得ることをいう。
【0012】
なお、この請求項3に係る発明における「互いに嵌まり合う1または2以上の突起および溝」としては、種々の形状が考えられるが、例えば、ボール循環チューブの係止部をその長手方向に連続した細長い突起(あるいは、溝)と、その突起(あるいは、溝)と嵌り合う位置に対応させて長手方向に連続した溝(あるいは、細長い突起)を掛止部の内側面に形成することにより実現することができる。あるいはまた、ボール循環チューブの係止部を水平方向に部分的に突起および溝によって形成し、その突起および溝と嵌り合う溝および突起を掛止部の係止部当接位置に対応させて形成するということで実現することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、従来と同一または相当部分には同一符号を付してある。
図1は、本発明の第一の実施形態での要部平面図、図2のうち図2(a)は、図1でのボール循環チューブとナットの要部断面(X−X)図、図2(b)は、ボール循環チューブの平面図、図2(c)は、ボール循環チューブの側面図、また、図3は、本発明の第一の実施形態に係るボールねじの説明図であり、同図では、ナット2の軸線を含む面で切断した状態で示している。
【0014】
図3に示すように、このボールねじは、ねじ軸1と、ナット2と、ボール3と、ボール循環チューブ4とから主に構成されている。
ねじ軸1は、断面円弧状のボールねじ溝1aを外面に有している。ねじ軸1に外嵌するナット2は、ねじ軸1のボールねじ溝1aに対応するボールねじ溝2aを内面に有するほぼ円筒状の部材で、一端側の外周に取付けフランジ10が形成されている。
【0015】
そして、ナット2の内孔に挿通されたねじ軸1のボールねじ溝1aおよびこれに対向するナット2のボールねじ溝2aで形成された螺旋状の軌道6と、ナット2に取り付けたU字形のボール循環チューブ4からなるボール循環路5とに、多数のボール3が転動自在に充填配置されている。
このボール3は、ナット2とねじ軸1の相対螺旋運動により、ボールねじ溝1a,2aに沿って転動し、ボール循環チューブ4の一方の端部4aにより掬い上げられてボール循環チューブ4内に入り、そのチューブ内を通って複数条のボールねじ溝1a,2aを跨いだ後に、反対側端より再びボールねじ溝1a,2aの間に入るという循環を繰り返す。また、ナット2とねじ軸1の相対螺旋運動の方向が変われば、上記ボール3の循環方向が逆になって同様に循環を繰り返す。これにより、ナット2とねじ軸1の任意の方向の相対螺旋運動がボール3の循環転動を介してガタなく円滑に行なわれる。
【0016】
図1、2に示すように、ナット2には、ボール循環チューブ4を挿入するための取付け溝7がエンドミル加工でナット2の外周面に形成されている。この際、ボール循環チューブ4を当接させる据え付け面8も同時に加工される。据え付け面8には、ほぼU字形のボール循環チューブ4の両端がそれぞれ差し込まれる対をなすチューブ挿入孔9が二箇所開口し、ナット2の肉厚を貫通してナット2内面のボールねじ溝2aに連通している。そして、各対における二箇所のチューブ挿入孔9の開口を結ぶようにして、ナット2の軸方向に対し、傾斜させたチューブ当て溝(図示せず)が、据え付け面8に対してエンドミル加工で形成されている。
【0017】
図1に示すように、ナット2の取付け溝7には、ボール循環チューブ4の抜け方向への移動を抑える掛止部21が形成されている。掛止部21は、ボール循環チューブ4を径方向両側から挟み込む位置に、取付け溝7(据え付け面8)の長手方向ほぼ全長にわたり、エンドミルで加工されている。そして、図2に示すように、この掛止部21の横断面形状は、V字状の溝形状である。すなわち、後述するボール循環チューブ4の長手方向中央部の両側端に形成される係止部11と、くさびの作用をもって嵌合するように、相対する鋭角をもったV字状の溝が連続して形成されている。
【0018】
一方、図1、2に示すように、ボール循環チューブ4は、U字形をしたパイプ形状の略中央部の対称面から長手方向に二分割されている。二分割されたボール循環チューブ4それぞれは、ばね性を有した金属板からプレス加工によって成形されている。そして、それぞれの両側部に、ボール循環チューブ4自身を固定するために、上述の掛止部21に相対して嵌合する幅と、形状からなる係止部11を有する。
【0019】
詳しくは、係止部11の横断面形状は、相対する掛止部21の溝形状に嵌合するように半円弧状をした突起から形成されている。そして、その突起形状は、ボール循環チューブ4の長手方向に所定の長さ連続して並行に加工されている。この突起からなる係止部11が、V字状の溝からなる掛止部21に対して嵌入されることによって、くさびの作用が生じる。
【0020】
次に、ナット2へのボール循環チューブ4の取り付け方法を説明する。
まず、二分割されたボール循環チューブ4を一対にして、U字形をしたボール循環チューブ4両端部をナット2のチューブ挿入孔9各対にそれぞれ嵌挿させるとともに取付け溝7にボール循環チューブ4を挿入する。このとき、ボール循環チューブ4の半円弧状をした突起である係止部11のばね性を利用して、その弾性領域内で狭めるようにして、ナット2の外周方向から据え付け面8へ向かって押し込むことによって、ボール循環チューブ4の係止部11をナット2の掛止部21に嵌め込む。そのため、ボール循環チューブ4のばね性によって、係止部11と掛止部21との当接部は緩むことがなく、しっかり嵌り込む。
【0021】
また、係止部11と掛止部21とは、それらの横断面形状が、長手方向に連続した細長い突起形状と、それに相対するV字状の溝とが嵌合し、且つ、ボール循環チューブ4自身のばね性によって、くさびの作用が生じて食い付く。そのため、ボール循環チューブ4をナット2の取付け溝7にしっかり固定することができる。
【0022】
以上説明したように、本発明に係るボールねじによれば、ボール循環チューブ4を、殆どワンタッチでナット2に固定できる。そのため、従来必要とされたボール循環チューブ4を取付けるためのタップ加工を省くことができる。したがって、組み立て時のねじ締め作業等を必要としない、簡単な構造で生産性の高いボールねじを提供できる。また、本発明に係るボール循環チューブ4の形成もプレス加工で容易にできる。そして、ボール循環チューブ4の据え付け面8等の加工も簡単である。また、チューブ押さえそのものを必要としない。そのため、加工時間、加工コストが低減可能であり、量産にも適している。
【0023】
図4に、本発明の第二の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Bの掛止部22の形状が、上記第一の実施形態のものと異なっている。すなわち、同図に示すように、この第二の実施形態では、掛止部22の溝形状が、据え付け面8の側に向けて連続した面として形成されている。
【0024】
この第二の実施形態によれば、係止部11と、掛止部22と、ボール循環チューブ4が据え付け面8に当接する当接部8aとの三点支持によってボール循環チューブ4を固定することができる。そのため、掛止部22の横断面形状を簡単にすることができるので、上記第一の実施形態より掛止部22の加工が容易になるという利点がある。しかし、ボール循環チューブ4の位置ずれを防止する能力の点からは、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第二の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0025】
図5に、本発明の第三の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Cの掛止部23の形状が、上記第一の実施形態のものと異なっている。すなわち、同図に示すように、この第三の実施形態では、掛止部23の溝形状は、第一の実施形態のものとほぼ同様だが、ボール循環チューブ4を挿入する側であるナット2C径方向の外周側から掛止部23溝形状に向けて取付け溝7の開口側が広い勾配23aを形成している。
【0026】
この第三の実施形態によれば、ボール循環チューブ4を挿入する開口側が広いので、ボール循環チューブ4の挿入が容易である。そのため、組み付け性が向上する。しかし、掛止部21の加工性の点では、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第三の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0027】
図6に、本発明の第四の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Dの掛止部24の形状が、上記第一の実施形態のものと異なっている。同図に示すように、この第四の実施形態では、上記第二の実施形態と上記第三の実施形態とを組み合わせた掛止部24を備えている。すなわち、掛止部24の溝形状が、据え付け面8の側に向けて連続した面として形成され、且つ、ナット2D径方向の外周側から掛止部24の溝形状に向けて取付け溝7の開口側が広い勾配24aを形成している。
【0028】
そのため、この第四の実施形態によれば、上記第二の実施形態と上記第三の実施形態とがもつ効果が得られる。なお、この第四の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
図7に、本発明の第五の実施形態を示す。なお、図7のうち図7(a)は、ボール循環チューブとナットの要部断面図、図7(b)は、ボール循環チューブの平面図、図7(c)はボール循環チューブの側面図、図7(d)は、ボール循環チューブの断面(Z−Z)図である。
【0029】
この実施形態では、ナット2Eの掛止部25と、この掛止部25に嵌まり込むボール循環チューブ4B両端の係止部12の形状とが、上記第一の実施形態のものと異なっている。すなわち、この第五の実施形態では、同図に示すように、掛止部25は、ボール循環チューブ4Bの側に向けた突起を備えている。そして、ボール循環チューブ4B両端の係止部12の形状は、掛止部25の形状と嵌り合う溝として形成されている。
【0030】
この第五の実施形態によれば、係止部12と、掛止部25とは、相対する溝と突起によって嵌合する。そのため、ボール循環チューブ4Bの位置ずれを防止することができる。なお、この第五の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
図8に、本発明の第六の実施形態を示す。
【0031】
この実施形態では、ナット2Fの掛止部26と、この掛止部26に嵌まり込むボール循環チューブ400とが、上記第一の実施形態のものと異なっている。同図に示すように、この第六の実施形態では、ボール循環チューブに、通常使用されている従来のボール循環チューブ400を使用している。すなわち、この実施形態では、ボール循環チューブ400の外径形状に対して係合関係を構成する位置に掛止部26の段部26aを形成し、ボール循環チューブ400の外径形状自体を係止部として使用している。
【0032】
詳しくは、取付け溝7の開口部の二面幅W1をボール循環チューブ400の外径よりわずかに狭く形成する。そして、掛止部26の溝形状を、据え付け面8の側に向けて連続した面として形成する。このとき、掛止部26の連続した面の二面幅W2はボール循環チューブ400の外径より広く形成する。また、段部26aのナット2F径方向の高さHはボール循環チューブ400のチューブ外径D1の1/2よりも高い位置に形成する。
【0033】
以上の形状を備えた第六の実施形態では、ボール循環チューブ400をナットの掛止部26に押し込んで、段部26aに対してボール循環チューブ400の外周を直接、嵌め付けることができる。したがって、この第六の実施形態によれば、従来のボール循環チューブ400をそのまま使用できるため、加工時間、加工コストが低減可能ある。しかし、ボール循環チューブ4の位置ずれを防止する能力の点からは、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第六の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0034】
図9に、本発明の第七の実施形態を示す。
この実施形態では、ナット2Gの掛止部27と、この掛止部27に嵌まり込むボール循環チューブ400とが、上記第一の実施形態のものと異なっている。同図に示すように、この第七の実施形態では、第六の実施形態と同様に、ボール循環チューブに、通常使用されている従来のボール循環チューブ400を使用している。そして、ボール循環チューブ400が嵌り込むナット2Gの掛止部27は、据え付け面8を形成する結果として形成される取付け溝7をそのまま使用している。すなわち、この実施形態では、据え付け面8を形成する結果として形成される取付け溝7の対向する二面幅W3を、ボール循環チューブ400の外径形状に対して係合関係を構成するように、しまり嵌めとなる寸法に管理している。詳しくは、掛止部27としての取付け溝7の開口部の二面幅W3をボール循環チューブ400のチューブ外径D1よりわずかに狭く形成する。
【0035】
以上の形状を備えた第七の実施形態では、ボール循環チューブ400をナットの掛止部27に押し込んで、ボール循環チューブ400の外周を直接、嵌め付けることができる。したがって、この第七の実施形態によれば、従来のボール循環チューブ400をそのまま使用できる。さらに、掛止部27は、据え付け面8を形成する結果として形成される取付け溝7をそのまま使用している。そのため、加工時間、加工コストをより低減可能である。しかし、ボール循環チューブ4の位置ずれを防止する能力の点からは、上記第一の実施形態の形状が好適である。なお、この第七の実施形態では、ボール循環チューブ400をそのまま使用しているが、しまり嵌めによる弾性変形がボール循環チューブの内径に影響する場合には、その変形量を考慮し、例えば断面を楕円形状としたボール循環チューブを使用してもよい。また、掛止部27の二面幅W3は、並行としているが、開口部側を縮径させて加工すれば位置ずれを防止する能力を向上させることもできる。なお、この第七の実施形態のその他の作用・効果は第一の実施形態と同様である。
【0036】
なお、上記各実施形態は、相互に組み合わせが可能である。例えば、第六の実施形態に第三の実施形態の掛止部の勾配形状を採用することもできる。
また、上記各実施形態では、ボール循環チューブ4を二分割し、ばね性を有する金属板から形成しているが、二分割せずに金属パイプから成形してもよい。また、プラスチック成形によるばね性を有するパイプとしても良い。
【0037】
また、上記各実施形態では、ボール循環チューブ4を据え付け面8に当接させているが、係止部と掛止部との嵌合によってボール循環チューブ4の抜け方向への移動をしっかり抑えれば、ボール循環チューブ4を据え付け面8にかならずしも当接させないで固定してもよい。
また、上記各実施形態では、ボール循環チューブ4全体を取付け溝7に挿入しているが、これに限定されるものではなく、ボール循環チューブ4の一部を取付け溝7に挿入するように構成してもよい。例えば取付け溝7の深さをボール循環チューブ4の径の5/8と浅く形成し、取付け溝7の開口側の両端部に掛止部を設け、ボール循環チューブ4の抜け方向への移動を掛止部によって抑えるようにして固定することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、このボールねじによれば、ボール循環チューブ取り付け用としての据え付け面のタップ加工を省くとともに、ねじ締め作業を必要としないボールねじを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における要部の平面図である。
【図2】図1のボール循環チューブ及びナットの要部の断面図である。
【図3】本発明のボールねじの一部破断説明図である。
【図4】本発明の第二の実施形態の要部の部分断面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態の要部の部分断面図である。
【図6】本発明の第四の実施形態の要部の部分断面図である。
【図7】本発明の第五の実施形態の要部の部分断面図である。
【図8】本発明の第六の実施形態の要部の部分断面図である。
【図9】本発明の第七の実施形態の要部の部分断面図である。
【図10】従来のボールねじを説明する一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1 ねじ軸
2、2B、2C、2D、2E、2F、2G、200 ナット
3 ボール
4、4B、400 ボール循環チューブ
5 ボール循環路
6 軌道
7 取付け溝
8 据え付け面
9 チューブ挿入孔
10 フランジ
11、12 係止部
21、22、23、24、25、26、27 掛止部
100 ねじ通し孔
110 ねじ穴
120 ねじ
150 チューブ押さえ
Claims (3)
- 外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、前記ねじ軸のボール転動溝および前記ナットのボール転動溝が対向して形成される軌道内に配置された複数のボールと、前記軌道の一端部から前記ボールを掬い上げ前記軌道の他端部に前記ボールを戻すボール循環チューブと、前記ナットに設けられて前記ボール循環チューブを嵌め込む取付け溝と、を備えたボールねじにおいて、
前記取付け溝は、当該取付け溝に挿入される前記ボール循環チューブの抜け方向への移動を抑える掛止部を有することを特徴とするボールねじ。 - 前記ボール循環チューブに、前記掛止部と少なくとも一部が前記抜け方向で対向する係止部を設け、
前記係止部と前記掛止部とを当接させて前記抜け方向への移動を抑えることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。 - 前記係止部および前記掛止部を、互いに嵌まり合う1または2以上の突起および溝の組み合わせで構成したことを特徴とする請求項2に記載のボールねじ。
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