JP2019148275A - 転がり軸受の固定構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内輪に挿入する軸または外輪に嵌めるハウジングの端部を円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部を形成し、この加締め部と内輪または外輪との間に塑性変形可能な間座を挿入し、内輪を軸に、または外輪をハウジングに保持する際に、間座が、内輪または外輪の面取り部に変形して入り込むこと無く、間座の変形を抑えた上で内輪または外輪を、軸またはハウジングに固定することができるようにする。【解決手段】 内輪1に挿入する軸5または外輪2に嵌めるハウジングの端部を円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部6を形成し、この加締め部6と内輪1または外輪との間に塑性変形可能な間座7を挿入し、内輪1を軸5に、または外輪2をハウジングに保持する転がり軸受において、前記間座7に、内輪1または外輪2の面取り部に嵌る円錐状の突起部7aを設けたことを特徴とする。【選択図】 図1
Description
この発明は、転がり軸受(玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受など転動体を有する転がり軸受全般)、特に、内輪を軸に、外輪をハウジングにそれぞれ保持して使用される転がり軸受に関するものである。
転がり軸受は、図17、図18に示すように、内輪21と外輪22の両軌道面間に、保持器24により回転自在に保持された複数の転動体23を介在させたものであり、内輪21を軸25に、外輪22をハウジング28にそれぞれ保持して使用される。
この転がり軸受の軸方向への固定は、一般的に、図17に示す止め輪31、32による固定方法と、図18に示すナット40による固定方法を用いることが多い。
しかしながら、止め輪31、32による固定方法は、図17に示すように、止め輪31、32と止め輪31、32を挿入する溝33、34との間に若干の隙間が必要であることから、軸方向にガタが生じやすい。
また、図18に示すナット40による固定方法は、軸方向のガタは生じ難いものの、締付力を得るには、軸25の端部に、ある程度のねじ長さが必要なため、軸方向のスペースが大きくなりがちである。また、ナット40の緩みを防止するため、締付トルクの管理や緩み止め機構の追加も必要となる。
ところで、転がり軸受の軸方向への固定方法として、軸25やハウジング28の端部を塑性変形させて、内輪21または外輪22を加締め固定する方法を採用することもある。
軸25やハウジング28の端部を塑性変形させて、内輪21または外輪22を加締め固定する方法は、止め輪31、32やナット40のように、組立後の分解は不可能であるが、分解が必要でない用途であれば、ガタが無い、省スペース、部品点数の削減、組立工数の削減、低コストなど、他の固定方法に対してメリットが大きい。
この軸25やハウジング28の端部を塑性変形させて、内輪21または外輪22を加締め固定する方法としては、軸25またはハウジング28の全周を均一に変形させて加締めるもの、あるいは、軸25またはハウジング28の円周上を複数の点状に潰して加締めるものに大別され、特許文献1〜4には、軸25またはハウジング28を円周上に複数の点状に潰した加締め部26を形成し、この加締め部26によって転がり軸受の内輪21または外輪22を軸方向に固定する事例が紹介されている。
図19および図20は、軸25の端部を円周上に複数の点状に潰した加締め部26を設け、この加締め部26によって内輪21を固定する代表例を示している。
以上のように、軸25またはハウジング28の端部を円周上に複数の点状に潰した加締め部26によって転がり軸受を加締め固定するメリットとしては、塑性変形で潰す範囲が限定されているため、変形抵抗が小さく、比較的小さな荷重で加締めを行うことができ、加締め治具や設備等も小型のもので対応できることが挙げられる。
さらに、転がり軸受を軸25またはハウジング28に挿入した後、その入り口となる端部を潰して転がり軸受を軸方向に固定することから、軸25またはハウジング28に塑性変形部を別途設ける必要が無く、設計上の制約が少ない、コンパクト化が可能といったメリットもある。
一方、軸25またはハウジング28の端部を円周上に複数の点状に潰した加締め部26によって転がり軸受を固定する際の課題として、固定される転がり軸受の内輪21または外輪22の真円度変形があるということが、特許文献3に挙げられている。すなわち、転がり軸受の内輪21または外輪22は、円周上に多点状に配された加締め部26と接して力を受けるため、加締め点数に応じた多角形状に変形し易い。内輪21または外輪22の変形は、転がり軸受の回転調子の不良(回転ムラ)や異音、振動の発生原因となるため、注意が必要である。
特許文献3には、この対策として、図21および図22に示すように、加締め部26と内輪21または外輪22との間に塑性変形可能な間座27を挿入することが提唱されている。
この特許文献3は、間座27の材質として、硬質ゴムやポリエチレン等の高分子材料、硬さが200HV以下の軟質な金属(鉄合金、アルミ合金、銅合金、亜鉛合金等)を挙げており、加締め部26と、内輪21または外輪22との間において、間座27がクッション材の役割を果たすということを記載している。
ころがり軸受の振動と音響(潤滑 第16巻、第4号(1971))
ところが、加締め部26と、内輪21または外輪22との間に塑性変形可能な間座27を挟んで固定する方法は、内輪21または外輪22の真円度変形を抑制するものの、以下のような課題を有する。
その一つ目の課題としては、転がり軸受の固定強度の低下がある。
図23に示すように、転がり軸受の内輪21および外輪22には、組立時の挿入性を良くし、また周辺部材との相互の傷付きを防止するため、円弧状の面取りが設けられているので、間座27が軟質部材で形成され、かつ、内輪21および外輪22の面取りが大きい場合、転がり軸受に軸方向の力F1が作用すると、間座27が内輪21および外輪22の面取り部に入り込む形に変形し、内輪21および外輪22の固定位置に隙間aが生じ、内輪21および外輪22が軸方向にずれる危険性がある。
また、二つ目の課題としては、過大な加締め荷重で間座27が変形するということである。すなわち、図24に示すように、加締め荷重F2が過大な場合、間座27が内輪21および外輪22の面取り部に入り込む形で変形する。間座27の変形は、十分な固定強度が得られないだけで無く、最悪の場合、間座27が破損し、脱落する危険性がある。
このような間座27における課題は、間座27の厚みを増し、剛性を大幅に高めれば抑えることが可能であるが、軸方向寸法が肥大するため、本来の加締め固定のメリットであるコンパクト性を損ねてしまうことになる。
そこで、この発明は、内輪に挿入する軸または外輪に嵌めるハウジングの端部を円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部を形成し、この加締め部と内輪または外輪との間に塑性変形可能な間座を挿入し、内輪を軸に、または外輪をハウジングに保持する際に、間座が、内輪または外輪の面取り部に変形して入り込むこと無く、間座の変形を抑えた上で内輪または外輪を、軸またはハウジングに固定することができるようにすることを課題とする。
この発明は、内輪と外輪の両軌道面間に、複数の転動体を介在させ、内輪に挿入する軸または外輪に嵌めるハウジングの一部を円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部を形成し、この加締め部と内輪または外輪との間に間座を挿入し、内輪を軸に、または外輪をハウジングに保持する転がり軸受において、前記間座に、内輪または外輪の面取り部に嵌る円錐状の突起部を設けたことを特徴とする。
この発明は、間座に、内輪または外輪の面取り部に嵌る円錐状の突起部を設けたので、内輪を軸に、また、外輪をハウジングに加締め固定する際に、加締め部によって間座に軸方向の力が作用した場合でも、間座が内輪または外輪の面取り部に変形して入り込むことが無く、軸方向の力を均一に分散して受け止めることができるので、間座が軸方向にずれるということを防止することができる。
また、軸またはハウジングを加締める際に、加締め荷重が過大になってしまった場合でも、間座は内輪または外輪の面取り部に変形して入り込むこと無く、間座の変形を抑えた上で内輪または外輪を軸またはハウジングに固定することができる。
以下、この発明に係る転がり軸受の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、この発明に係る転がり軸受の第1の実施形態を示している。
図1〜図3に示す第1の実施形態の転がり軸受は、内輪1と外輪2の両軌道面間に、保持器4により回転自在に保持された複数の転動体3を介在させ、内輪1に挿入する軸5の端部に、円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部6を形成し、この加締め部6と内輪1との間に塑性変形可能な間座7を挿入し、内輪1を軸5に保持させたものである。図1〜図3に示す転がり軸受では、外輪2を保持するハウジングを省略している。
図1〜図3に示す第1の実施形態の転がり軸受は、内輪1と外輪2の両軌道面間に、保持器4により回転自在に保持された複数の転動体3を介在させ、内輪1に挿入する軸5の端部に、円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部6を形成し、この加締め部6と内輪1との間に塑性変形可能な間座7を挿入し、内輪1を軸5に保持させたものである。図1〜図3に示す転がり軸受では、外輪2を保持するハウジングを省略している。
第1の実施形態の転がり軸受では、図2に示すように、転動体3が8個で、加締め部6を円周方向に等間隔で6個形成している。
間座7の内輪1側の内径部には、内輪1の内径端部の面取り部に嵌る円錐状の突起部7aを設けている。
このように、間座7の内輪1側の内径部に、内輪1の内径端部の面取り部に嵌る円錐状の突起部7aを設けると、内輪1を軸5に加締め固定する際に、加締め部6によって間座7に軸方向の力が作用した場合でも、間座7の突起部7aが内輪1の面取り部に嵌っているので、間座7自体が変形して内輪1の面取り部に入り込むことが無く、軸方向の力を均一に分散して受け止めることができ、間座7が軸方向にずれるということを防止することができる。
また、軸5を加締める際に、加締め荷重が過大になってしまった場合でも、間座7は内輪1の面取り部に変形して入り込むことがないので、間座7の変形を抑えた上で内輪1を軸5に固定することができる。
図4(a)(b)(c)は、間座7の他の実施形態であり、間座7の内輪1側の内径部の円錐状の突起部7aを、内輪1の面取り部に沿った円弧状としたことを特徴としている。これにより、間座7の円錐状の突起部7aは、内輪1の面取り部に広い面積で密接することとなるので、より間座7の変形を抑えることができるとともに、加締め固定する際の軸方向の荷重を分散して受け止めることができ、内輪1の固定強度の向上が図れる。
前記図3(a)(b)(c)および図4(a)(b)(c)に示す間座7は、その材質を、硬質ゴムやポリエチレン等の高分子材料、硬さが200HV以下の軟質な金属(鉄合金、アルミ合金、銅合金、亜鉛合金等)にすることにより、加締め部6と内輪1の間において、間座7がクッション材の役割を果たす。また、間座7は、高分子材料や軟質な金属に限定されることは無く、鋼等の硬質な金属であっても良い。
次に、図5(a)(b)(c)は、間座7の他の実施形態である。
この図5(a)(b)(c)に示す間座7は、鋼板などの板材からプレス加工によって塑性加工し、成形したものである。間座7をプレス加工することにより、間座7の製造が容易になり、コストを抑えることが期待できる。
この図5(a)(b)(c)に示す間座7は、鋼板などの板材からプレス加工によって塑性加工し、成形したものである。間座7をプレス加工することにより、間座7の製造が容易になり、コストを抑えることが期待できる。
また、図6(a)(b)(c)は、間座7の他の実施形態である。
この図6(a)(b)(c)に示す間座7は、図5(a)(b)(c)に示す間座7と同様に、プレス加工によって製造したものであり、間座7の円錐状の突起部7aを、加締め部6の個数に応じて分割して櫛形に形成したものであり、円錐状の突起部7aの塑性加工をより容易にして、製造し易くする実施形態である。この図6(a)(b)(c)に示す間座7の分割数は、加締め部6の個数と同じ6個である。
この図6(a)(b)(c)に示す間座7は、図5(a)(b)(c)に示す間座7と同様に、プレス加工によって製造したものであり、間座7の円錐状の突起部7aを、加締め部6の個数に応じて分割して櫛形に形成したものであり、円錐状の突起部7aの塑性加工をより容易にして、製造し易くする実施形態である。この図6(a)(b)(c)に示す間座7の分割数は、加締め部6の個数と同じ6個である。
次に、図7〜図9は、この発明に係る転がり軸受の第2の実施形態を示している。
図7〜図9に示す第1の実施形態の転がり軸受は、内輪1と外輪2の両軌道面間に、保持器4により回転自在に保持された複数の転動体3を介在させ、外輪2に嵌めるハウジング8の端部に、円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部9を形成し、この加締め部9と外輪2との間に塑性変形可能な間座10を挿入し、外輪2をハウジング8に保持させたものである。図7〜図9に示す転がり軸受では、内輪1を保持する軸を省略している。
図7〜図9に示す第1の実施形態の転がり軸受は、内輪1と外輪2の両軌道面間に、保持器4により回転自在に保持された複数の転動体3を介在させ、外輪2に嵌めるハウジング8の端部に、円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部9を形成し、この加締め部9と外輪2との間に塑性変形可能な間座10を挿入し、外輪2をハウジング8に保持させたものである。図7〜図9に示す転がり軸受では、内輪1を保持する軸を省略している。
第2の実施形態の転がり軸受では、転動体3が8個で、加締め部9を円周方向に等間隔で10個形成している。
間座10の外輪2側の外径部には、外輪2の外径端部の面取り部に嵌る円錐状の突起部10aを設けている。
このように、間座10の外輪2側の外径部に、外輪2の外径端部の面取り部に嵌る円錐状の突起部10aを設けると、外輪2をハウジング8に加締め固定する際に、加締め部9によって間座10に軸方向の力が作用した場合でも、間座10が外輪2の面取り部に変形して入り込むこと無く、軸方向の力を均一に分散して受け止めることができるので、間座10が軸方向にずれるということを防止することができる。
また、ハウジング8を加締める際に、加締め荷重が過大になってしまった場合でも、間座10は外輪2の面取り部に変形して入り込むこと無く、間座10の変形を抑えた上で外輪2をハウジング8に固定することができる。
間座10は、外輪2の側面および面取り部に沿って密接し、変形が抑制されることから、間座10の材質は、ゴムやプラスチック等の軟質部材に限定されることは無く、アルミや銅などの軟質の金属や鋼などの硬質の金属であっても良い。
以上のように、この発明に係る転がり軸受は、内輪1に挿入する軸5または外輪2に嵌めるハウジング8の端部を円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部6、9を形成し、この加締め部6、9と内輪1または外輪2との間に塑性変形可能な間座7、10を挿入し、内輪1を軸5に、または外輪2をハウジング8に保持するものであり、間座7、10に、内輪1または外輪2の面取り部に嵌る円錐状の突起部7a、10aを設けることにより、軸5またはハウジング8を加締める際に、加締め荷重が過大になってしまった場合でも、間座7、10は、内輪1または外輪2の面取り部に変形して入り込むこと無く、間座7、10の変形を抑えた上で内輪1または外輪2を、軸5またはハウジング8に固定することができる。
ところで、転がり軸受の内輪1や外輪2には、加工上避けられない微小な円周上のうねりがあり、この円周上のうねりを考慮して転がり軸受の振動の発生を少なくするには、うねりの山数が、転動体3の個数をZ、nを正の整数とした場合に、nZ山、nZ−1山、nZ+1山のうねりの振幅がnZ+2以上の山うねりの振幅よりも小さくするとよいということが特許文献5において提唱されている。
そして、軌道輪(内輪1および外輪2)の微小な円周上のうねりの山数と転がり軸受の振動との関係は、非特許文献1等にも記載されており、転がり軸受が回転した際に、振動が発生しやすい軌道輪(内輪1および外輪2)のうねりの山数と振動の周波数との関係が表1のように纏められている。
図10(a)(b)(c)は、それぞれ内輪1が周方向にnZ−1山、nZ山、nZ+1山のうねりを持った転がり軸受を模式的に示す図であり、最上位置の転動体3にうねりの山が接触している場合を示している。図10(b)に示すように、nZ山では外輪2は半径方向の動きを生じないが、図10(a)に示すnZ−1山および図10(c)に示すnZ+1山では外輪2を上方へ移動させるため、内輪1の回転とともに半径方向の振動が発生するということがわかる。
次に、図11(a)(b)および図12(a)(b)は、内輪1が周方向にnZ山のうねりを持った転がり軸受を模式的に示した図であり、図11(a)(b)は、全ての転動体3がうねりの山に位置する場合、図12(a)(b)は、全ての転動体3がうねりの谷に位置する場合をそれぞれ示している。
図11(a)(b)に示す転動体3が山に位置する場合と、図12(a)(b)に示す転動体3が谷に位置する場合とでは、転がり軸受の内部すきまが変化するため、軸方向に荷重が作用している場合、外輪2の軸方向の移動量に差が生じ、軸方向の振動が発生することがわかる。図12(a)(b)に示す転動体3が谷に位置する方が、転がり軸受の隙間が大きくなり、外輪2が図12(b)に示すように、図中の矢印方向へ移動する。
この発明の転がり軸受においても、多点加締めによる内輪1および外輪2の変形を完全に無くすことは難しく、加締め点数に応じた内輪1および外輪2の周方向のうねり(真円度変形)が生じる懸念がある。
内輪1および外輪2の周方向のうねりは、前述の非特許文献1にも紹介されているように、その山数によっては転がり軸受の振動や音響の悪化を招くリスクがある。
また、ハウジング8または軸5の加締め部6、9と外輪2または内輪1との間に変形し易い軟質部材からなる間座7、10を挟むと、軸方向の転がり軸受の支持剛性が低下し、アプリケーションによっては、アキシアル荷重が作用した際の軸5の移動による振動や、歯車のかみ合いのずれ等の懸念も考えられる。
そこで、転がり軸受の内輪1または外輪2を軸5やハウジング8の端部を周上に複数箇所、点状に塑性変形させることで、加締めて軸方向に固定する場合において、転動体3の数をZ、nを整数としたときに、円周上の加締め点数をnZ及びnZ±1以外の数とすることが好ましい。
すなわち、多点加締めの影響による内輪1または外輪2の周方向うねりの山数を、振動発生のリスクが高いnZ山及びnZ±1山以外の山数とする。例えば、転動体3の数が8個の場合、避けるべき加締め点数(加締め部6の数)は、表2に「×」であらわした、「7、8、9、15、16、17、23、24、25…」ということになる。
例えば、図13(a)(b)および図14(a)(b)に示す例では、内輪1を軸5に挿入した後、その端部を周上に複数箇所だけ塑性変形させて、多点状に加締めることで軸方向にガタ無く固定している。この図13(a)(b)および図14(a)(b)に示す例では、間座7を省略して描いている。
図13(a)(b)および図14(a)(b)に示す例では、転動体3の数を「8」としているが、図13(a)(b)の例では、軸端の加締め点数(加締め部6の数)を転動体3の数よりも2少ない「6箇所」とし、一方、図14(a)(b)の例では、転動体3の数よりも加締め部6の数が2多い「10箇所」としている。
これにより、内輪1の周方向のうねりが、振動発生のリスクが高いnZ山及びnZ±1山以外の山数となり、振動発生や音響悪化のリスクを抑えることができる。
また、図15(a)(b)および図16(a)(b)の例は、外輪2をハウジング8に挿入した後、その端部を周上に複数箇所だけ塑性変形させて、多点状に加締めることで軸方向にガタ無く固定している。この図15(a)(b)および図16(a)(b)の例では、転動体の数を「8」としているが、図15(a)(b)の例では、軸端の加締め点数(加締め部9の数)を転動体3の数よりも2少ない「6箇所」とし、一方、図16(a)(b)の例では、転動体3の数よりも2多い「10箇所」としている。この図15(a)(b)および図16(a)(b)に示す例では、間座10を省略して描いている。
これにより、外輪2の周方向のうねりが、振動発生のリスクが高いnZ山及びnZ±1山以外の山数となり、振動発生や音響悪化のリスクを抑えることができる。
以上のように、理論上、振動や異音が発生し易い内輪1と外輪2のうねりの山数は過去より提唱されており、加締め点数(加締め部6、9の数)を振動や異音の発生し易い山数を避けることで、加締め固定のメリットは維持しながら、振動発生や音響悪化といった課題を克服することができる。
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
1 :内輪
2 :外輪
3 :転動体
4 :保持器
5 :軸
6 :加締め部
7 :間座
7a :突起部
8 :ハウジング
9 :加締め部
10 :間座
10a :突起部
2 :外輪
3 :転動体
4 :保持器
5 :軸
6 :加締め部
7 :間座
7a :突起部
8 :ハウジング
9 :加締め部
10 :間座
10a :突起部
Claims (5)
- 内輪と外輪の両軌道面間に、保持器により回転自在に保持された複数の転動体を介在させ、内輪に挿入する軸または外輪に嵌めるハウジングの端部を円周上に複数の点状に塑性変形させた加締め部を形成し、この加締め部と内輪または外輪との間に塑性変形可能な間座を挿入し、内輪を軸に、または外輪をハウジングに保持する転がり軸受において、前記間座に、内輪または外輪の面取り部に嵌る円錐状の突起部を設けたことを特徴とする転がり軸受の固定構造。
- 前記間座の円錐状の突起部を、内輪または外輪の面取り部に沿った円弧形状にしたことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受の固定構造。
- 前記間座の円錐状の突起部を、前記加締め部の数に応じて分割された櫛形に形成したことを特徴とする請求項1または2記載の転がり軸受の固定構造。
- 前記加締め部の個数を、転動体の個数と異ならせたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転がり軸受の固定構造。
- 前記加締め部が、円周上に等間隔に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の転がり軸受の固定構造。
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